JPS596013B2 - スイツチ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はスイッチに関するものである。

リードスイッチに代わり第１図のようなスイッチが近時
提案されている。

このスイッチは、強磁性体である軟質磁性体（例えば５
２アロイ）よりなる対の固定電極１，１および２，２と
、その間に介在された永久磁石よりなる可動体３を絶縁
性容器４（例えばガラス管）内に封入して構成されてい
る。

このスイッチの駆動は、例えば図示せぬコイル等にて固
定電極１，１と２，２を矢印ａ。

ａ′或はｂ 、 ｂ’力方向夫々磁化し、可動体３に対
向する固定電極１，１と２，２の端部に、同一極（Ｎ、
Ｎ極或はＳ、Ｓ極）を誘起せしめ、これにより吸引力と
反撥力を同時に受けた可動体３が固定電極１，１或は２
，２に吸着してその電極間を電気的に導通状態とするも
のである。

このスイッチはリードスイッチの如くリード片のばね性
を利用したスイッチングではないため、より小型化がで
き、且つ大電流の開閉も可能であるなど将来有望なスイ
ッチである。

ところで、このスイッチを実現するにあたって最も困難
な問題は第１に可動体表面に接点金属をいかに強固に付
着せしめるか、第２に可動体の割れや欠けをいかに防ぐ
かであった。

というのは、本スイッチでは可動体を永久磁石で形成し
ているが、この永久磁石は通常、磁性粉を焼結して製造
する関係上、その表面上に酸化皮膜が常に形成され、こ
のため金、ロジウム等の接点金属を可動体表面に強固に
付着形成することが困難であった。

また前述の如く永久磁石は燃結形成であるので、衝撃に
対し脆く、特にＢ−Ｈ積の大きいサマリューム・コバル
ト系磁石はこの性質が著しい。

このように永久磁石を可動体として用い、それを固定電
極に衝突させてスイッチングする構成とした第１図の如
垣スイッチでは、その接点動作時に接点のはく離、可動
体の割れや欠は等を生じ、このため信頼度の高い接点接
触が得られず、且つ寿命の長いスイッチが実現できなか
った。

本発明はこのような従来の問題点を解決することを目的
とするものである。

そして、この目的は、永久磁石よりなる可動体が固定電
極間の接点開閉を行なうスイッチにおいて、前記可動体
は、永久磁石表面にニッケル、銅、スズ等の軟質金属群
から選ばれた少なくとも１つの金属層と、該金属層上に
ロジウム、タングステン、レニウム等の硬質接点金属群
から選ばれた少なくとも１つの接点層とを有し、且つ少
なくとも前記永久磁石と前記金属層とが熱拡散されてい
ることにより達成できる。

以下、本発明の一実施例を第２図、第３図を参照しなが
ら説明する。

第２図は本発明に係る可動体を拡大して示す断面図であ
る。

図において、可動体３は直方体に焼結形成されたサマリ
ューム・コバルト系の永久磁石５からなり、該永久磁石
５の表面に、先ずメッキ等の手段によりニッケル、銅、
スズ等の軟質金属群から選ばれた少なくとも１つの金属
よりなる金属層６を形成し、次に該金属層６と永久磁石
５とを熱拡散処理した後、該金属層６の表面上に、メッ
キ等の手段によりロジウム、タングステン。

レニウム等の硬質金属群から選ばれた少なくとも１つの
金属よりなる接点層７を形成したものである。

このように製造された可動体３においては、固定電極１
，１或は２，２と接触する面に硬質の接点層７が設けら
れているので、接触時の機械的摩耗が小さく、安定な接
点接触が長期に渡り得られる。

また、該接点層７の下には軟質の金属層６が設けられて
いるので、該金属層６が固定電極１゜１或は２，２との
接触時に生じる衝撃力を緩和させ、永久磁石５の割れや
欠けを軽減せしめる。

更に、永久磁石５上に直接金属層を強固にメッキ形成す
ることは困難であるが、本発明に係る可動体３では、永
久磁石５上に接点金属との密着性が良好な下地層である
金属層６が形成されており、しかも該金属層６を熱拡散
しているので、少なくとも該金属層６と永久磁石５との
接触部近傍では両者は合金化する。

従って本発明では接点金属を永久磁石に強固に付着する
ことができる。

第３図は上記可動体を用いた本発明に係るスイッチの寿
命を、故障率（ｋＩ軸）と接点動作回数（横軸）との関
係で示したものであり、比較のため従来スイッチの寿命
試験結果も示しである。

図において、線Ａは従来スイッチの寿命特性を、線Ｂ、
Ｃは本発明に係るスイッチの寿命特性を示す。

従来スイッチは、サマリュウム・コバルト磁石の表面上
に直接ロジウムを約１０μ（ミクロン）メッキして接点
層を形成した可動体を用い、第３図に示す如き形状に製
造したスイッチである。

そしてこのスイッチを多数製造してその片側の固定電極
間に１ｏｏｖ（ボルト）−ＬＡ（アンペア）の負荷を接
続し、該スイッチに第１図の如き外部磁界を印加して接
点に隔着等の故障が起きるまで接点動作させた。

この結果が線Ａにて示されている。また本発明の一実施
例として、可動体３ば、サマリウム・コバルト系の磁石
５の表面に先ず銅を約１０μメツキして下地の金属層６
を形成し、次に該可動体を７５０Ｃで１時間拡散処理し
た後、該金属層６上にロジウムを約１０μメツキして接
点層７を形成した。

そして、このように形成した可動体３を用いて上記従来
スイッチと同様な形状のスイッチを多数製造し、このス
イッチについて従来スイッチと同条件下で寿命試験を行
なった。

この結果が線Ｂにて示されている。

更に本発明の他の実施例として可動体３を、サマリウム
・コバルト系の磁石５上にニッケルメッキして金属層６
を形成し、それを７５０Ｃで１時間拡散処理した後、該
金属層６上にロジウムメッキして接点層７を形成した。

そして該可動体３を用いて前記と同様な形状のスイッチ
を多数製造し、且つ同条件下で寿命試験した。

その結果が線Ｃ（０１〜Ｃ３）にて示されている。

尚、線Ｃ１は前記金属層６を約１０μのニッケルで、前
記接点層７を約３μのロジウムで形成した場合、線Ｃ２
は前記金属層６を約２０μのニッケルテ、前記接点層７
を約３０μのロジウムで形成した場合、線Ｃ３は前記金
属層６を約４０μのニッケルで、前記接点層７を約３μ
のロジウムで形成した場合である。

この試験結果からも明らかな通り、本発明に係るスイッ
チは従来スイッチに比べ１０倍以上の寿命となる。

この原因については上述したが、従来のスイッチでは接
点金属（ロジウム）の永久磁石への付着が強固でないた
め、高々１万回程度の接点動作回数で接点層（ロジウム
）がはく離し、この結果、接触抵抗が増大して可動体が
固定電極に隔着してしまうものであった。

これに対し本発明のスイッチでは、接点金属（ロジウム
）は付着性の良いニッケル、銅、スズ等の軟質金属上に
形成されており、しかも該軟質金属は熱拡散して永久磁
石と合金化しているため両者の付着は極めて強固である
。

従って本発明のスイッチは従来スイッチに比べ１０倍以
上も寿命が延びるものと思われる。

更に、従来スイッチの故障原因としては、上述した接点
の隔着によるものの他に可動体の割れや欠けによって生
じるものがあった。

すなわち、可動体が固定電極にスイッチングした際の衝
撃により永久磁石内に内部ひずみが生じ、この内部ひず
みが接点動作回数にほぼ比例して増大する結果、可動体
の特に縁部が割れたり欠けたりし、これによって接触不
良となったり、或は欠けた磁石粒が固定電極間を短絡す
るなどの故障を起こしていた。

そして従来スイッチの場合では接点動作回数が１０４回
程度で可動体は平均的に第４図に示す如ぎ状態となって
しまい、中には縁部が全て欠は落ち完全に使いものにな
らないものもあった。

これに対し、本実施例の２種とも接点動作回数か１０回
に達しても割れや欠けをほとんど生じていなかった。

以上述べた如く、本発明によれば、長寿命で且つ信頼度
の高い接点開閉を行なうスイッチが提供でき、その効果
は極めて顕著である。

尚、上記実施例では軟質金属として銅、ニッケル、硬質
接点金属としてロジウムを用いたけれども、軟質金属と
してスズ、硬質接点金属としてタングステン。

レニウムを使用した場合にも同様な傾向が見られた。

また本発明は上記実施例に限定されるものではない。

すなわち、上記実施例では金属層６と接点層７はメッキ
で形成したがこれらはスパッタリング等のドライコーチ
ングにより形成しても同様な効果を奏することは勿論で
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明が対象とするスイッチの断面図、第２図
は本発明に係る可動体の断面図、第３図は本発明に係る
スイッチと従来スイッチの寿命試験結果を示す図、第４
図は従来の可動体の割れ状態を示す斜視図である。 図において、１，２は固定電極、３は可動体、４は絶縁
性容器、５は永久磁石、６は軟質金属、にニッケル、銅
、スズ等）よりなる金属層、７は硬質金層（ロジウム、
タングステン、レニウム等）よりなる接点層である。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 永久磁石よりなる可動体が固定電極間の接点開閉を
   行なうスイッチにおいて、前記可動体は、永久磁石表面
   に硬質接点金属の付着性が良いニッケル、銅、スズ等の
   軟質金属群から選ばれた少なくとも１つの金属層と、該
   金属層上にロジウム。 タングステン、レニウム等の硬質接点金属群から選ばれ
   た少なくとも１つの接点層とを有し、且つ前記永久磁石
   と前記金属層とが熱拡散されていることを特徴とするス
   イッチ。