JPS5951841B2 - 気体分離用多成分膜 - Google Patents

気体分離用多成分膜

Info

Publication number
JPS5951841B2
JPS5951841B2 JP57189397A JP18939782A JPS5951841B2 JP S5951841 B2 JPS5951841 B2 JP S5951841B2 JP 57189397 A JP57189397 A JP 57189397A JP 18939782 A JP18939782 A JP 18939782A JP S5951841 B2 JPS5951841 B2 JP S5951841B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
membrane
separation
gas
porous
multicomponent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired
Application number
JP57189397A
Other languages
English (en)
Other versions
JPS5895525A (ja
Inventor
ジエイ・マイルス・スチユア−ト・ヘニス
メアリ−・キヤスリン・トリポデイ
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Monsanto Co
Original Assignee
Monsanto Co
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Monsanto Co filed Critical Monsanto Co
Publication of JPS5895525A publication Critical patent/JPS5895525A/ja
Publication of JPS5951841B2 publication Critical patent/JPS5951841B2/ja
Expired legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 (技術分野) 本発明は気体混合物から少くとも一つの気体を分離する
ための多成分膜に関する。
(背景技術) 気体混合物から少くとも1種の選ばれた気体を分離する
こと(前記気体の濃度を高めることを含む)は、化学的
原料の供給に対する需要からみて特に重要な操作である
これらの需要は、気体混合物から1種または数種の所望
の気体を分離し、′そしてこの気体生成物を利用するこ
とによって満たされることが多い。
気体混合物からの1種または数種の気体を選択的に分離
するために分離膜を使用することが提案されている。
選択的分離を達成するためには、その膜は混合物中の1
種またはそれ以上の気体の透過に対して、少くとも1種
の他の気体の透過に対するよりも一層小さい抵抗を示す
すなわち、選択的分離は、少くとも1種の他の気体に対
して混合物中の1種またはそれ以上の所望の気体の優先
的欠乏または濃縮をもたらし、従って、1種またはそれ
以上の所望の気体と他の少くとも1種の気体との比率の
点で元の混合物とは異なる生成物を生成することができ
る。
しかしながら、分離膜の使用による1種またはそれ以上
の所望の気体の選択的分離を商業的に魅力的なものにす
るためには、この膜は、分離操作の間にそれに加えられ
るかもしれない条件に耐えうるのみならず、さらにまた
1種またはそれ以上の所望の気体の充分に高いフラック
ス(すなわち単位表面積当り透過物の透過速度)におい
て適当に選択的な分離を与え、その結果、この分離膜の
使用が経済的に魅力的なものとなるものでなくてはなら
ない。
すなわち、適宜に高い選択的分離を示すが、望ましくな
い低いフラックスを示す分離膜は、それらの膜の使用が
経済的に不可能である程度に分離膜表面積を大きくする
必要がある。
同様に、高いフラックス(流れ)を示すが、低い選択分
離を示す分離膜もまた経済的に魅力がない。
従って、1種またはそれ以上の所望の気体に対する充分
に選択的な分離と、商業的ベースでのこれら分離膜の使
用が経済的に可能となる程度に高いフラックスとを併せ
て示す分離膜の開発のために研究が続けられてきた。
一般に膜を通しての気体の通過は、細孔(すなわち膜の
供給側表面と排出側表面の両方を連絡している流体流れ
のための連続チャンネル)を通る前進によって達成され
る。
これらの細孔は、クヌードセン流れまたは拡散による分
離に適当なものであってもよいし、または不適当なもの
であってもよい。
別の機構においては、現在の膜理論の観点によれば、膜
を通しての気体の通過は、気体と膜物質との相互作用に
よるものである。
この後者の提案された機構においては、膜を通しての気
体の透過可能性は、膜物質中への気体の溶解および膜を
通しての気体の拡散を包含すると考察されている。
単一気体に対する透過定数は、現在では、膜中のその気
体の溶解度と拡散度との積であるとみなされている。
ある一定の膜物質は、膜物質との気体の相互作用による
ある一定の気体の通過に対して特定の透過定数を有して
いる。
膜を通しての気体の透過(すなわち流れ)の速度は、透
過定数に関係するが、しかしこれはまた、例えば膜の厚
さ、膜の物理的性質、膜を横切る透過気体の分圧差、温
度その他の変数によっても影響される。
従来技術としての液体分離膜の開発 ; これまでに分離操作に関連する特定の問題を解消し
ようという試みにおいて、液体分離のために使用されて
いる膜に種々の修正が提案されている。
以下の記述は、特定の問題を解決するために液体分離用
に使用されている膜になされてきた具体的な変形の例で
あり、これは本発明を完全に理解しうるための基盤とし
て役立つ。
例えば、セルロース膜が最初に水の脱塩用に開発利用さ
れ、そしてこれらの膜は、一般に「密な」または「緻密
(コンパクト)な」膜として記載することができる。
「密な」または「緻密な」膜は、本質的に細孔すなわち
膜の両表面間を連絡する流体流れチャンネルを有してい
すそして本質的に空隙すなわち膜物質を含有しない部分
を膜内に有していない膜である。
緻密な膜の場合には、いずれの表面も供給接触表面に適
当である。
その理由は、緻密な膜の性質はどちらの表面方向にも同
一であり、すなわちその膜は、対称だからである。
膜はその構造全体にわたって本質的に同一なのであるか
ら、それは等方性膜の定義内に入る。
これら緻密な膜のあるものは相当に選択性であるけれど
も、それらの主な欠点の一つは、膜に伴う比較的大きな
厚さに由来する低い透過フラックスである。
従って緻密な膜を使用して大量の水の脱塩に必要な装置
設備をつくることは非経済的であった。
液体分離用の膜の流れ(フラックス)を上昇させる試み
は、例えば膜に充填剤を加えて細孔度を変化させ、そし
て膜をできるだけ薄くして透過流れの速度を上昇させる
ことからなる。
これによりある程度は改善された透過速度が達成された
が、一般に、これらの改善された速度はその特定の膜の
選択性の犠牲において得られるものであった。
膜性能を改善する別の試みにおいてロエブ(Loeb)
氏および彼の協力者は、例えば米国特許第313313
2号明細書において、まずセルロースアセテート溶液を
薄層として成形し、次いでこの薄層上に種々の技術、例
えば溶媒蒸発に続く冷水中急冷によって密な膜被覆を形
成させることによる水脱塩用のセルロースアセテート膜
の製造法を開示している。
これらの密な被覆つきの膜の形成は、一般に熱水中での
最終やきなまじ処理を包含する。
このロエブ氏の方法により製造された膜は、同一セルロ
ースアセテート物質からつくられた二つの別々の部分、
すなわち、薄い密な半透過性被覆およびそれ程密ではな
い空隙含有非選択性支持体部分から構成されている。
この膜はその構造全体にわたって本質的に同一密度のも
のではないので、それらは非等方性膜の定義に入る。
これらの別個の部分および膜性能の差(どちらの膜表面
が塩供給溶液に接するかによって観察しうる)の故に、
ロエブタイプの膜は非対称性であるとして記載すること
ができる。
例えば、実際的脱塩試験においては、非対粋性の密な被
覆つきの膜は、それよりも旧式のスタイルの緻密な膜に
比較して優れた透過流れを有していることが示されてい
る。
ロエブタイプの膜の透過速度の改善は、密な選択性部分
の厚さを低減したことによって達成されたものである。
そのような膜中の密度がより低い部分は、操作圧下にお
ける膜の破壊を阻止するに充分な構造的支持体となるが
、透過流れにはほとんど抵抗を与えない。
従って、その分離は本質的にはこの密な被覆によって達
成され、そして密度のより小さい支持体部分の第一義的
機能は、この密な被覆を物理的に支持することである。
しかしそのようなロエブタイプの膜においては、この密
度がより低い支持体部分が往々にして圧力例えば水の脱
塩に望ましい斥力によって圧縮され、そしてそのような
条件下では密度のより低い支持体部分はその空隙体積の
若干を失なう。
従って密な被覆の流出側から出ていく透過物の自由流れ
は阻止されて低下した透過速度を与える結果となる。
更に、ロエブ氏等により開示されたセルロースアセテー
ト膜はまた、汚染および種々の化学的劣化もうけやすい
従ってより強い構造性および増大した化学的抵抗性を与
えう・るセルロースアセテート以外の物質のロエブタイ
プの膜の開発に関心が向けられていた。
良好な選択性および良好な透過速度を示す単−成分膜を
得るための重合体物質の「ロエブ膜」形成は極めて困難
であることが見出された。
はとんどの試みは、多孔性、すなわち、密な膜を通して
の流体流れチャンネルを有していて分離能力がないもの
であるか、または有用な透過速度を与えるには厚すデぎ
る密な被覆を有するかのいずれかの膜を生成させる結果
となる。
すなわち、これら非対称性の膜は注性にして液体分離操
作、例えば逆浸透における許容性を満足しないものであ
る。
本明細書に以後に更に記載されるように、気体分離操作
に対しθて良好な選択性および透過速度を示すロエブタ
イプの膜を生成されることは更に一段と困難である。
水の脱塩および他の液体−液体分離、例えば液体からの
有機物質の分離に適当な有利な分離膜を5提供するため
の他の開発の結果、流れチャンネルの存在の故に容易に
液体を通過させ、しかも操作条件に耐えるに充分な強度
の多孔性支持体およびその上に支持されている薄い半透
性膜を包含する複合膜が開発された。
提案されている複合膜は、り多孔性支持体上に供給溶液
から重合体フィルム物質を連続的に沈着させることによ
り生成させたいわゆる「動的に形成された」膜からなる
重合体フィルム物質は細孔中に、そしてその多孔性基質
を通って運ばれ易く、従って補充される必要があiるの
で、□こうした連続的沈着が必要である。
更に、にの重合体フィルム物質は、往々にして分離すべ
き液体混合物中に可溶性であって、潜在的侵食を受けや
すい。
すなわち、支持体がそのような液体混合物によって洗い
流される。
; 多孔性支持体上に本質的に中実の拡散または分離膜
を提供することによって、複合脱塩用膜を製造すること
もまた提案された。
例えば、米国特許第3676203号明細書を参照され
たい。
これには、多孔性支持体例えばセルロースアセテート、
ポリス九ホンその他の上のポリアクリル酸分離膜が開示
さもてし)る。
この分離膜の厚さは、例えば約60ミクロンまでの比較
的大なるものであり、その結果この分離膜は多孔性支持
体の細孔中に流れこむことなく、また破壊しないだけの
強度を有している。
その他の提案では、より密な部分を表面、すなわち、分
離膜用の直接の支持表面としての被覆中に有する非等方
性支持体を使用している。
例えば、カバン(Cabasso)氏等のrResea
rch &Development of N5
−1 and RelatedPo1ysulf
one Hollow Fibers for
ReverseOsmosis Desalinat
ion of Seawater」 と題する報告〔米
国商務省ナショナル・テクニカル・インフォメーション
・サービス発行PB248666)を参照されたい。
カバソ氏等は、水の脱塩用の例えばその場で交叉結合さ
せたポリエチレンイミンまたはその場で重合させたフル
フリルアルコールで被覆して重層分離膜を生成させた非
等方性ポリスルホン中空繊維からなる複合膜を開示して
いる。
逆浸透膜を生成させるその他の試みは、米国特許第35
56305号明細書に開示されている。
ショル(Shorr)氏は、非等方性多孔性基質、この
多孔性基質上の超薄接着剤層および接着剤層によって基
質に結合されている薄い半透性膜からなる逆浸透用の三
成分分離膜を開示している。
通常多孔性支持体物質との複合形のこれら極薄半透膜は
、超薄膜と多孔性支持体とを別々に成形した後、これら
の両者を表面−表面接触させることによって製造される
液体処理に使用されている他のタイプの膜は、所望の直
径の細孔を有するいわゆる「限外濾過」膜である。
充分に小さい分子はこの細孔を通過しうるが、より大な
る嵩高の分子は膜の供給表面上に保持される。
限外濾過膜の一例は、米国特許第3556992号明細
書に記載されている。
これらの膜は非等方性支持体、およびヘミセルロースか
らの苛性水酸化物の分離に適当な細孔サイズを有する膜
が生じるように支持体中に非可逆的に圧縮されたゲルを
有しており、そして限外濾過はこのゲルを通して行われ
る。
従来技術としての気体分離膜の開発 本発明の技術的背景に関する前記の説明は、液体混合物
からの液体の分離、例えば水の脱塩用の膜に関するもめ
である。
更に近年には、気体混合物からの気体の分離に対して適
当な分離膜の開発・に重点が置かれてきた。
分離膜を通しての気体の透過は種々の研究の主題であっ
た。
しかしながら高い流れおよび有用な選択的分離の両方を
示す気体分離膜は、少くとも工業的には明らかに提供さ
れていなかった。
次の記述は気体分離に使用される膜に対する具体的な例
であり、そしてこれは本発明を完全に理解するための基
盤となる。
液体−液体分離膜に関する知識を利用して気体分離を行
う試みがなされた。
しかし、液体系に対して適当な膜の開発に比べて、気体
系に対して適当な分離膜の開発には多くの異った配慮が
必要である。
例えば膜中の小さな細孔の存在は、液体の分離、例えば
脱塩に対しては、膜上の吸着およびその膨潤、および液
体の高い粘度および高い凝集性の故に、膜の性能に不当
には悪影響を与えないかもしれない。
気体は極めて低い吸着性、粘度および凝集性しか有して
いないので、そのような膜中の細孔を通って容易に気体
が通過することを阻止するような障壁(バリヤ)は設け
られておらず、その結果、もし起るにしてもほとんど気
体の分離は生じない。
膜を通しての透過による選択的分離に影響を与えうる液
体と気体との間の極めて重要な違いは、そのような膜中
への液体の溶解度に比べて一般により低い膜中への気体
の溶解度である。
すなわち、液体に比べてより低い気体透過定数を与える
結果となる。
膜を通しての透過による選択的分離に影響しうる液体と
気体とのその他の差異としては、密度および内圧、粘度
に及ぼす温度の効果、表面張力および秩序度があげられ
る。
気体の良好な分離を示す物質は、往々にして気体の劣っ
た分離を示す物質に比べてより低い透過定数を有してい
ることが認められている。
一般に、充分なフラックス(流れ)を与え、しかも気体
が膜物質との相互作用の際に膜を通過されるように可及
的細孔のない膜を生成させるためには、その低い透過度
の観点から、気体分離膜物質を可及的薄い形とすること
に努力が向けられてきた。
気体の分離に適当な分離膜の開発のための一つの試みは
、非等方性多孔性支持体上に支持された重層膜を有する
複合膜を提供することである。
この場合重層された膜は、所望の分離を行い、すなわち
、この重層された膜は半透性である。
この重層膜は適正なフラックスを与えるに充分なだけ薄
いもの、すなわち、超薄のものであるのが有利である。
多孔性支持体の本質的機能は繊細な薄い重層膜を傷つけ
ないで支持し、そしてこの重層膜を保護することである
適当な支持体は、重層された膜が供給混合物から透過物
を選択的に分離する機能を達成したあとでは、その透過
流れに低い抵抗しか与えない。
すなわち、これら支持体は望ましくは多孔性であって、
透過流れに低い抵抗しか与えず、しかも充分に重層膜を
支持するものである。
すなわち、これらの支持体は分離条件下に重層膜が破損
するのを阻止するに充分な小さな細孔サイズを有してい
る。
米国特許第3616607号、同第3657113号お
よび同第3775303号各明細書は1多孔性支持体上
に重層膜を有する気体分解用の膜を例示している。
かかる気体分離用の複合膜は問題がないわけではなかっ
た。
例えば、米国特許第3980456号明細書は空気から
酸素を分離するための複合膜フィルムの製造を開示して
いる。
該複合膜は微細孔性ポリカーボネートシートおよび別個
に形成された(すなわち前形成された)80%のポリ
(フェニレンオキサイド)および20%の有機ポリシロ
キサン−ポリカーボネート共重合体の重層した超薄分離
膜からなるものである。
この膜の成形において、極めて小さい粒状不純物、すな
わち、約3000オングストローム以下の寸法の粒子を
含まないようにすることは不可能であるとされている。
これらの微細粒子は前形成された超薄膜層の下またはそ
の間に沈着し、そして極薄膜に比べてのそられの大きな
寸法に起因し、超薄膜が破損するに到る。
それにより、膜の有効性が減少する。
前記の米国特許第3980456号明細書は、この超薄
膜上に前形成した有機ポリシロキサン−ポリカーボネー
ト共重合体シール物質を適用して、微細粒子により生じ
たこの破れを被覆することを開示し、そしてまた、極薄
膜と多孔性ポリカーボネート支持体との間に接着剤とし
て有機ポリシロキサン−ポリカーボネート共重合体の前
形成した層を使用することも開示している。
すなわち、そのように製造される複合膜は、その材質お
よび構成において複雑である。
要約すれば、選択的分離を行う重層された膜の不存在下
において一般的な工業的操作に対して充分な流れおよび
分離選択性を示す適当な非等方性の膜は、気体分離の分
野においては今までに提供されなかった。
更に、選択的分離を与えるために重ね合せ(重層)膜を
有する気体分離用の複合膜は、その膜性能において、ご
くわずかかまたは中等度の改善しか達成されなかったし
、そしてこれらの気体分離膜の大規模な工業的適用は美
現しなかった。
更に、この重ね合せ膜は、所望め分離選択性を与えるた
めにはおそらくは超薄膜なのではあるが、その上に重ね
合せた膜を有していない多孔性支持体に比して、その複
合膜を通しての気体透過流れを有意に低下させるはずで
ある。
(発明の概要) 本発明は、多孔性分離膜に接触しているコーティングを
包含し、しかもその多成分膜の分離性が主としてコーテ
ィングの材質ではなくて、多孔性分離膜によって決定さ
れるような気体分離用の多成分(すなわち複合)膜に関
する。
気体混合物から少くとも一つの気体を分離するな、めの
これら多成分膜は、望ましい潰択性を示し、そしてなお
有用なフラックスを示干ものである。
本発明は、気体分離用の多成分膜を提供するものであっ
て、この多成分膜は、広範な気体分離用膜物質から製作
することができ、従っである気体分離に対して有利な膜
物質を自由に選択することができる。
本発明による多成分膜は、その構造及び製造法と成分と
の組合せにより、フラックス(流れ)および分離選択性
の望ましい組合せを達成することができる。
すなわち、高い分離選択度を有しているが比較的低い透
過定数を有する物質を使用して、所望の透過速度および
所望の分離選択性を有する多成分膜を生成させることが
できる。
更に、本発明の膜はり□混入物、すなわち、支持体上に
重ねた前成形した極薄分離膜を有する複合膜の従来技法
の製造に障害となった微細粒子の影響を受けにくい。
本発明の多成分膜の製造には接着剤の使用は必ずしも必
要ではない。
従って、本発明の多成分膜は、それを構成するのに複雑
な技術を必要としない。
本発明による多成分膜は高い構造的強度、強靭さ、およ
び摩擦および化学試薬抵抗性を有し、しかも工業的に有
利なフラックス(流れ)および選択的分離を示すように
製造することができる。
これら多成分膜は、また望ましい取扱い特性、例えば静
電気に対する低い感受性、隣接多成分膜への低い接着性
その他をも有している。
用語の定義 本発明による気体分離用の多成分膜は、供給用および排
出用の各表面を有する多孔性分離膜ならびにこの多孔性
分離膜に接触しているコーテイング物質で構成される。
この多孔性分離膜は、その構造全体にわたって本質的に
同一の組成または材質を有している。
すなわち、この多孔性分離膜は実質的に化学的に均質で
ある。
多孔性分離膜の材質は、気体混合物の少くとも一つの気
体に対して、混合物中の少くとも一つの残余の気体に比
べて選択的透過を示し、従って該多孔性分離膜は気体分
離機能を有する。
それ故にこの多孔性分離膜は「分離」膜として定義され
る。
この分離膜を「多孔性」と記載することによって、その
膜が供給表面と排出表面とを連絡する気体流れ用の連続
チャンネルすなわち細孔を有していることを意味してい
る。
これら連続チャンネルは、その数およびその断面が充分
に大である場合には、この多孔性分離膜を通して、この
多孔性分離膜物質との相互作用による分離をほとんど行
うことなしに(もしあるにしても極めてわずかの分離し
か行なわず)本質的にすべての気体混合物を流通させる
本発明により、有利には多孔性分離膜物質との相互作用
による気体混合物からの少くとも一つの気体の分離か、
多孔性分離膜単独の場合に比べて改善されている多成分
膜が提供゛される。
本発明の多成分膜は、特定の相互関係を有する多孔性分
離膜およびコーティングからなる。
これらの関係の中には、多孔性分離膜、コーティングお
よび多成分膜に対する一組の気体に関する相対的分離係
数で表現すると好都合なものもある。
ある一組の気体aおよびbに対する膜の分離係数(α代
)は、気体aに対する膜の透過定数(Pa)と気体すに
対する膜の透過定数(pb) との比として定義される
分離係数はまた、気体混合物に含まれる気体aに対する
厚さlの膜の透過度(Pa/l) と気体すに対する同
−膜の透過度(Pb/ l ’) との比にも等しく、
所与の気体に対する透過度は、単位厚さ当りの膜の1c
m水銀柱の分圧低下に対する1秒当り表面積1 cm”
当りの膜を通過する標準温度および圧力(STP)下で
の気体の体積であり、そしてこれはP=cm3/Crr
I2−秒−cmHg/lとして表わされる。
実際には、ある膜に対するある一組の気体に関する分離
係数は、一組の気体の各々に対する透過定数または透過
度の計算に対して充分な情報を与える多くの技術を使用
、して決定することができる。
透過定数、透過度および分離係数の決定に利用で゛きる
多くの技術のあるものは、ワンダ(Hwang )氏等
によって、「Techniques ofChemis
try J第1II巻[Membranes 1nSe
parations J (第12章第296〜32
2頁) (JohnWiley & 5ons、
社1975年版)に開示されている。
本明細書に云う固有分離係数とは、その物質を横断する
気体流れのためのチャンネルを有していない物質に対す
る分離係数であり、そしてこれは、その物質に対する最
高の達成可能の分離係数である。
そのような物質は、連続または非細孔性のものであると
いえる。
物質の固有分離係数は、物質の緻密膜の分離係数を測定
することによって近似的に求めることができる。
しかしながら、固有分離係数の測定には、緻密な膜の製
造において導入される不完全性、例えば細孔の存在、緻
密な膜中の微細粒子の存在、膜製造中の変動に由来する
不規則な分子順序その他を含むいくつかの困難さが存在
する。
その結果、測定された固有分離係数は、固有分離係数よ
り低いものとなる。
従って、本明細書で使用されている場合の「測定固有分
離係数」は、その物質の乾燥緻密膜の分離係数を意味し
ている。
本発明による気体分離用多成分膜は、少くとも一組の気
体に関して、多孔性分離膜に閉塞接触しているコーテイ
ング物質の測定固有分離係数よりも有意により大なる分
離係数を示す。
多成分膜の分離係数とコーテイング物質の測定固有分離
係数との関係を示すにあたって「有意により大きい」と
いう表現は、その分離係数の差が、重要なものであると
いうこと、一般的には少くとも約10%大であることを
意味している。
「閉塞接触」とは、多成分膜において多孔性分離膜構成
物質を通過する気体/細孔を通過する気体の比率が、コ
ーティングが閉塞接触していない多孔性分離膜単独にお
ける多孔性分離膜構成物質を通過する気体/細孔を通過
する気体の比率に比べて高くなるように前記コーティン
グが多孔性分離膜に接触していることを意味する(多孔
性分離膜にコーティングが閉塞接触している本発明の多
成分膜においては、コーティングが閉塞接触していない
多孔性分離膜単独の場合よりも気体が細孔よりも多孔性
分離膜構成物質をより多く通過する)。
すなわち、この接触は、多成分膜において少くとも一組
の気体に関して、多成分膜により示される分離係数への
多孔性分離膜物質の寄与を多孔性分離膜単独におけるそ
の寄与に比べて増加させるような接触である。
従って前記の少くとも一組の気体に対しては、多成分膜
により示される分離係数は、多孔性分離膜により示され
る分離保護よりも大である。
更に、少くとも一組の気体に対しては、多孔性分離膜物
質はコーティング物質C測定固有分離係数より大なる測
定固有分離係数を示す。
また、前記の少くとも一組の気体に関しては、多成分膜
により示される分離係数は、往々にして多孔性分離膜構
成物質の測定固有分離係数に等しいかまたはこれより小
である。
多くの場合、多成分膜の意図されている気体分離適用に
は関係なしに、その分離係数の関係は、水素、ヘリウム
、アンモニアおよび二酸化炭素のうちの1種および一酸
化炭素、窒素、アルゴン、六弗化硫黄、メタンおよびエ
タンの1種からなる少くとも一組の気体に対して示すこ
とができる。
また、本発明のある多成分膜においては、分離係数の関
係は、二酸化炭素と水素、ヘリウムおよびアンモニアの
うちの一つ、またはアンモニアと二酸化炭素、水素およ
びペリラムのうちの一つからなる気体の組に対して示す
ことができる。
本発明の多成分膜は、少くとも一組の気体に関して、コ
ーテイング物質の測定固有分離係数よりも少くとも約3
5%大きく、そして好ましくは少くとも約50%、そし
て時には少くとも約100%大きい分離係数を示すこと
が望ましい。
前記の少くとも一組の気体に関して、多成分膜の分離係
数は屡々多孔性分離膜のものより少くとも約5%、往々
にして少くとも約10%大であり、そして時には少くと
も約50%または約100%大である。
多成分膜に関する本発明における一つの態様は、気体混
合物中の少くとも一つの気体に対して、気体混合物の一
つまたはそれ以上の残余め気体より大なる選択的透過を
示し、そして実質的空隙体積(少くとも約5体積%)を
有する多孔性分離膜物質に閉塞接触しているコーティン
グからなる多成分膜に関するものである。
□その多成分膜は少くとも一組の気体に関してコニティ
ング物質の測定固有分離係数よりも有意に大なる分離係
数を示す。
空隙とは、多孔性分離膜において多孔性分離膜構成物質
が欠けている中空部分である。
すなわち、空隙が存在する場合には、多孔性分離膜の密
度は多孔性分離膜構成物質の密度より小さくなる。
「空隙体積」とは多孔性分離膜全体に対して占める前記
空隙の割合をいい、空隙体積を「実質的」であると記載
することによって、少くとも約5体積%の空隙のような
充分な空隙が多孔性分離膜厚さ内に与えられていて、同
一物質および厚さの緻密膜を通して観察可能な透過速度
に比べて、膜を通しての透過速度に認識できるだけの上
昇をもたらすことを意味している。
好ましくは、この空隙体積は多孔性分離膜の見かけの体
積、すなわち、総体的な全寸法における体積基準で約9
0%まで、例えば約10〜80%、そして時には約20
または30〜70%である。
多孔性分離膜の空隙体積測定の)ための一方法は、同じ
体積の多孔性分離膜構成物質との密度比較によるもので
ある。
従って、中空繊維多孔性分離膜の孔は多孔性分離膜の密
度に影響しない。
□多孔性分離膜の密度は本質的には、その厚さ全体にわ
たって同一すなわち等方性である。
あるいはまたこの多孔性分離膜は、多孔性分離膜を横切
る気体流れに対する障壁関係においてその厚さ内に少く
とも一つの比較的密な部分を有していることを特徴とし
ている。
すなわち、この多孔性分離膜は非等方性である。
コーティングは好ましくは、非等方性多孔性分離膜の比
較的密な部分に閉塞接触している。
非等方性多孔性分離膜の比較的密な部分(すなわち表層
部分)は有孔性であっても良いから、それは同一厚さの
緻密膜の製造に比してより容易に非常に薄く製造するこ
とができる。
薄い比較的密な部分を有する多孔性分離膜を使用するご
とにより、多成分膜を通しての流量が増加される。
多成分膜に関する本発明の特徴の別の態様においては、
との多成分膜は気体混合物中の少くとも一つに対してそ
の気体混合物中の残余の一つまたはそれ以上の気体に対
するよりも大なる選択透過度を示す多孔性分離膜物質に
閉塞接触しているコーティングを含んでいる。
この場合、コーティングはコーティング形成に適当な本
質的に液体状の物質を使用して施されるのであり、そし
て少くとも一組の気体に関しては、この多成分膜はコー
テイング物質の測定固有分離係数よりも有意に大なる分
離係数を示す。
多孔性分離膜に適用するための物質は、外的支持なしに
は形を保持し得ないという点で本質的には液体である。
コーテイング物質は液体であってもよく、または液体溶
媒中に溶解または微細分割された固体(例えばコロイド
サイズ)として懸濁させた多孔性分離膜に適用するため
の本質的に液体の物質であってもよい。
コーテイング物質、または液体溶媒中のコーテイング物
質は、多孔性分離膜物質をぬらす(すなわちそれに接着
する)傾向を有すべきである。
それにより、多孔性分離膜とコーティングとの接着が容
易になる。
本質的に液体の物質を使用して多孔性分離膜上にコーテ
ィングを生成させることは、別個に形成された固体物質
の複合膜生成よりも簡単である。
更に、コーティング用に広い範囲に属する物質を使用す
ることができ、そしてその適用技術は容易である。
本発明の別の態様における多成分膜は、ポリスルホンか
らなる多孔性分離膜に閉塞接触しているコーティング含
んでいる。
この場合、少くとも一組の気体に関しては、この多成分
膜はコーテイング物質の測定固有分離係数よりも有意に
大なる分離係数を示す。
本発明の更に別の態様における多成分膜は、気体混合物
中の少くとも一つの気体に対して、その気体混合物中の
一つまたはそれ以上の残余の気体に比べて選択的な透過
を示す中空繊維多孔性分離膜物質に閉塞接触しているコ
ーティングを含むものである。
その場合少くとも一組の気体に関して、この多成分膜は
コーテイング物質の測定固有分離係数よりも有意に大な
る分離係数を示す。
中空フィラメント (すなわち中空繊維)においては、
外側表面が多孔性分離膜の供給表面または排出表面であ
りうるし、そして内側表面がそれぞれ排出表面または供
給表面であってよい。
中空フィラメントを用いると、一定の装置体積内で分離
のために高い利用可能表面積を有する気体分離装置が得
られるという利点がある。
中空繊維は、本質的に総厚さおよび形状が同一の非支持
性フィルムよりも一層大なる圧力差に耐えうろことが知
られている。
本発明の多成分膜を使用する気体分離方法を以下に説明
する。
気体混合物の少くとも一つの気体が選択的透過によって
少くとも一つの他の気体から分離されて、少くとも一つ
の透過気体を含有する透過生成物が生成される。
この方法は、気体混合物を気体混合物中の少くとも一組
の気体に関して、この多成分膜が一組の気体のうちの一
つの気体に対して、残余の気体のものより大なる選択的
透過を示すような多成分膜の一表面(供給表面)に接触
させること、多成分膜の反対側表面(排出側表面ンを少
くとも一つの透過気体に対して、前記の一表面の化学ポ
テンシャルよりも低い化学ポテンシャルに保つこと、前
記の少くとも一つの透過気体を多成分膜中に通して透過
させること、そして前記反対側表面の近傍から、気体混
合物中の〔前記の少くとも一つの気体〕/〔前記の少く
とも一つの他の気体〕の比率とは異った〔気体混合物中
の前記の少くとも一つの気体〕/〔気体混合物の前記の
少くとも一つの他の気体〕の比率を有すノる透過生成物
を取去ることを包含する。
本発明の多成分膜を使用する分離方法は、多成分膜の供
給側で前記の少くとも一つの気体を濃縮して濃縮生成物
を得ることを包含し、そしてこれは前記の少くとも一つ
の気体を多成分膜に透過さ1せて、前記の異った比率が
より高い比率である透過生成物を提供することを包含し
ている。
本発明によれば多成分膜は実質的な空隙体積(少くとも
約5%)を有する多孔性分離膜に閉塞接触しているコー
ティングを包含している。
不発?明の多成分膜を用いる気体分離方法においては、
一酸化炭素、二酸化炭素、ヘリウム、窒素、酸素、アル
ゴン、硫化水素、亜酸化窒素、アンモニアおよび1〜約
5個の炭素原子を含有する炭化水素のうちの少くとも一
つを水素と共に含有する気1体混合物から水素が選択的
に分離される。
更に別の観点においては、気体混合物中の少くとも一つ
の気体が少くとも一つの他の気体から分離されるが、こ
れはポリスルホン含有多孔性分離膜に閉塞接触している
コーティングを含む多成分膜に気体?混合物を接触させ
ることからなる。
本発明による多成分膜を利用した気体分離用装置を次に
説明する。
この装置は、その中に供給側表面およびそれに反対の排
出側表面を有する少くとも1個の多成分膜を内蔵する閉
鎖容器からなつ1ており、そしてその閉鎖容器は気体混
合物をそれに供給できる装置、多成分膜の供給側近傍か
らの気体の除去が可能な装置、および多成分膜の排出側
表面の近傍から透過生成物を除去することが可能な装置
を有している。
; 意外なことに、低い測定固有分離係数を有するコー
テイング物質を低い分離係数を有する多孔性分離膜上に
設けて、コーティングまたは多孔性分離膜のどちらより
も大なる分離係数を有する多成分膜を生成できるという
ことが発見された。
この結果は、膜に対して選択的透過を与えるためには重
ね合せた膜が高い分離係数を示すことが必須であるとい
う従来の提案(すなわち多孔性支持体上に支持された重
ね合せた膜を有する気体分離複合膜に対する従来の提案
)に対照的な全く予期せざるものである。
低い分離係数を示すコーティングを多孔性分離膜と組合
せて使用してコーティングおよび多孔性分離膜の各々よ
りも大なる分離係数を有する多成分膜を生成できるとい
う発見は、気体分離のための高度に有利な多成分膜の形
成を可能にする。
例えば、望ましい固有分離係数を有するが、重ね合せ膜
として使用困難な物質を本発明の多孔性分離膜物質とし
て使用し、その際多孔性分離膜構成物質の分離選択性を
多成分膜の分離係数に有意に寄与させることができる。
多成分膜の多孔性分離膜が、薄いが比較的密な分離域を
有する非等方性のものであってよいことは明白である。
すなわち、この多孔性分離膜は、非等方性膜により与え
られる低い透過抵抗性の利点を利用し、しかも望ましい
分離係数を示す多成分膜を与えることができる。
更に、単一成分(非複合性)の非等方性膜を気体分離に
対しては受容できないものとする流れチャンネルの存在
は、本発明の多成分膜に使用される多孔性分離膜におい
ては許容しうるだはでなく、却って望ましい。
コーティングは透過に対して低い抵抗を示し、そのコー
ティングを構成する物質は低い測定固有分離係数を示す
こともありうる。
ある多成分膜においては、このコーティングは選択的(
亡所望の透過気体を拒否する傾向を有し、しかもそのコ
ーティングを使用して得られた多成分膜が、多孔性分離
膜よりも大なる分離係数を示すこともありうる。
本発明は、前形成多孔性分離膜、すなわち、コーティン
グ適用前に製造された多孔性分離膜およびコーティング
の組合せにより製造された多成分膜に関する。
本発明は特に、多成分気体分離膜に関するが、ここに多
孔性分離膜物質の分離選択性は、多成分膜を通しての透
過気体の選択性および相対透過速度に有意に寄与する。
本発明の多成分膜は、一般に従来技術による高い分離係
数を示す重層膜を使用した複合膜よりも一層高い透過速
度を示す。
更に、本発明の多成分膜は、コーティングおよび多孔性
分離膜のそれより優れた分離係数を示す。
本発明の多成分膜は、ある意味では、多孔性支持体上に
高い分離係数を示す重層膜を有している従来技術による
気体分離膜と同類のものにみえるかもしれないが、それ
は表面的観察にすぎない。
従来技術によるこれらの複合分離膜は、実質的比率の分
離を行う支持体または基質を使用していない。
本発明の多成分膜は、具体的な分離をなすための利用範
囲がきわめて広い。
何故ならば、コーティングおよび多孔性分離膜の両者が
総合的分離機能に寄与するからである。
その結果は、特定の分離要求に対して、例えば工業的に
望ましい分離速度および選択性の組合せにおける種々の
気体混合物からの所望の気体の分離に対してのこれら膜
の適合範囲が広いからである。
この多成分膜は種々の気体分離作用物質からつくること
ができ、そして所与の気体分離に対する有利な膜物質の
選択においてこれまでよりも一層融通性に富んでいる。
更に、これら多成分膜は、良好な物理的特性、例えば強
靭さ、摩擦抵抗性、強度および耐久性、および良好な化
学試薬抵抗性を有している。
(発明の詳細な説明) 本発明は、多成分膜の分離性がコーテイング物質よりも
多孔性分離膜により主として決定されるような多孔性分
離膜に閉塞接触しているコーティングを包含する気体分
離用多成分膜に関する。
この多成分膜は、気体分離操作に広範に応用可能である
本発明の供給物として適当な気体混合物は、気体物質、
または通常は液体または固体であるが、分離が実施され
る温度では蒸気であるような物質を包含する。
本明細書においては、主として例えば窒素からの酸素の
分離、一酸化炭素、二酸化炭素、ヘリウム、窒素、酸素
、アルゴン、硫化水素、亜酸化窒素、アンモニアおよび
1〜約5個の炭素原子を含有する炭化水素(特にメタン
、エタンおよびエチレン)のうちの少くとも一つからの
水素の分離、水素、窒素、アルゴンおよび1〜約5個の
炭素原子を含有する炭化水素(例えばメタン)のうちの
少くとも一つからのアンモニアの分離、一酸化炭素およ
び1〜約5個の炭素を含有する炭化水素(例えばメタン
)のうちの少くとも一つからの二酸化炭素の分離、に約
5個の炭素原子を含有する炭化水素(例えばメタン)か
らのヘリウムの分離、1〜約5個の炭素原子を含有する
炭化水素(例えばメタン、エタンまたはエチレン)から
の硫化水素の分離、および水素、ヘリウム、窒素および
1〜約5個の炭素原子を含有する炭化水素からの一酸化
炭素の分離について本発明の説明を行う。
本発明はこれらの特定の気体の分離に限定されるもので
はなく、また実施例中の特定の多成分膜に限定されるも
のでもない。
本発明の気体分離用多成分膜は、多孔性分離膜または基
質およびこの多孔性分離膜に閉塞接触しているコーティ
ングを有するフィルムまたは中空フィラメントまたは繊
維であってよい。
この多成分膜の挙動に影響するいくつかの因子は、コー
ティングおよび多孔性分離膜物質の透過定数、多孔性分
離膜の全表面積に相対的な孔(すなわち細孔または流れ
用チャンネル)の全断面積、多成分膜におけるコーティ
ングおよび多孔性分離膜各々の相対厚さ、多孔性分離膜
の形態、および最も重要なのは多成分膜中のコーティン
グおよび多孔性分離膜各々の透過流れに対する相対的抵
抗である。
一般に、多成分膜の分離度は、気体混合物中の各気体の
気体流れに対するコーティングおよび多孔性分離膜の相
対的抵抗によって影響される。
これらのコーティングおよび多孔性分離膜は特定的には
それらの気体流れ抵抗性について有利になるように選択
することができる。
多孔性分離膜に使用されるセルロース系重合体は、有用
な気体分離性を有する固体の物質である。
この多孔性分離膜は、例えばこの重合体物質用の溶媒を
含有する溶液からその物質に対する不良溶媒または非溶
媒中に注入することによって多孔性の形で製造すること
ができる。
紡糸および/または注造成形(キャスチング)条件およ
び/または最初の成形後の処理その他は、多孔性分離膜
の細孔度および気体流れ抵抗性に影響を与える。
一般に無機の充填剤と混合した有機重合体を使用して多
孔性分離膜が製造される。
本発明の多孔性分離膜に適当な典型的セルロース系重合
体は例えばセルロースアセテートブチレート、セルロー
スプロピオネート、エチルセルロース、メチルセルロー
ス、ニトロセルロース等があげられる。
中空フィラメント多孔性分離膜の製造においては広範囲
の種類の紡糸条件を使用できる。
紡糸は湿式ジェットまたは乾式ジェット技術を使用して
実施することができる。
すなわち、ジェットは凝固浴中であってもよいしまたは
これから除去されていてもよい。
湿式ジェット技術が便利さの故に屡々使用される。
紡糸条件は、好ましくはフィラメントを不当に延伸させ
ないようなものである。
通常、紡糸速度は約5〜100m 7分の範囲内である
が、しかしフィラメントが不当に延伸されずそして凝固
浴中での充分な滞留時間が与えられるならば、一層高い
紡糸速度を使用することができる。
凝固した中空繊維を望ましくは水洗して溶媒iを除去し
、そして少くとも約2時間の量水浴中に保存しておくこ
とができる。
一般にこの繊維は、コーティング適用および気体分離装
置に集成する前に乾燥させる。
この乾燥は約0°〜90℃、便利にはほぼ室温例えば1
5°〜35℃、そして約5〜95′%好ましくは約40
〜60%相対湿度中で実施することができる。
前記の中空フィラメント多孔性分離膜の製造方法の記載
は、多孔性分離膜の製造に利用可能な技術を単に説明す
るために与えられているものであり、そしてこれは本発
明を限定するものではない。
コーティングは多孔性分離膜に接触している本質的に分
断されていない膜、すなわち、本質的に非孔性膜の形で
ありうるし、またはこのコーティングは非連続性または
分断されたものであってもよい。
コーティングが分断されている場合には、それは往々に
して「閉塞物質」と呼ばれる。
その理由は、それが気体流れ用のチャンネル、すなわち
、孔を閉塞させるからである。
このコーティングは、例えば流れに不当な低下を生せし
めることによってか、または多成分膜の分離係数が本質
的にコーティングのものとなる程度の気体流れ抵抗を生
じることによって多成分膜の性能に悪影響を及は゛す程
に厚いものでないのが好ましい。
コーティングの平均厚さは約50ミクロンまでとするこ
とができる。
コーティングが分断されている場合には、勿論コーテイ
ング物質を有していない部分が存在する。
コーティングは約0.0001〜50ミクロン範囲の平
均厚さを有しつる。
ある場合には、そのコーティングの平均厚さは約1ミク
ロン以下であり、そして約0.5ミクロン以下の場合も
おこりつる。
このコーティングは単層で゛あってもよいし、または同
一物質かまたは異種物質からなる少くとも2個の別々の
層からなっていてもよい。
多孔性分離膜が非等方性である場合、すなわち気体流れ
障壁関係においてその厚さ内に比較的密な部分を有して
いる場合には、このコーティングは、比較的密な部分に
閉塞接触するように施されるのか望ましい。
比較的密な部分は、多孔性分離膜のどちらかの表面また
は両方の表面でありうるし、または多孔性分離膜の厚さ
の中央部分である場合もある。
コーティングは、多孔性分離膜の供給表面および排出表
面の少くとも一方に施される。
多成分膜が中空繊維である場合には、コーティングを外
側表面に施し、多成分膜を保護し、および/または取扱
いを容易にすることができる。
任意の適当な方法を使用できるが、コーティングを適用
する方法は、多成分膜の総括的性能に何らかの関係を有
する。
本発明の多成分膜は、多成分膜の全抵抗に比して低い気
体流れ抵抗を有しているようなコーテイング物質を含有
する物質でコーティングすることによって製造すること
ができる。
このコーティングは任意の適当な方法、例えばスプレー
、刷毛塗り、コーテイング物質を含有する本質的に液体
状の物質中への浸漬その他のコーティング操作によって
施すことができる。
前記したように、コーテイング物質を施す場合、本質的
に液体であり、多孔性分離膜物質に対しては実質的に非
溶媒である溶剤中に溶解した溶液として用いるのが好ま
しい。
コーティング物質含有物質が、多孔性分離膜の一表面に
塗布され、そして多孔性分離膜の反対側が低い給体圧力
下に保たれるのが望ましい。
本質的に液体状の物質が重合性物質を含有している場合
、そしてその重合性物質が多孔性分離膜に塗布後に重合
されてコーティングを生成する場合には、多孔性分離膜
の他方の表面を重合の間またはその前に比較的低い絶対
圧力下に保つべきである。
しかしながら、本発明自体は、コーテイング物質を塗布
する特定の方法により限定されるものではない。
コーティングのために特に有利な物質は、気体に対して
コーティングの存在が多成分膜の透過速度を不当に低減
しないような比較的高い透過定数を有している。
コーティングの気体流れに対する抵抗は、好ましくは、
多成分膜の抵抗に比して比較的小さいものである。
前述したように、コーティング用の物質の選択は、所望
の分離係数を示す多成分膜が得られるような多孔性分離
膜構成物質の測定固有分離係数に対するコーティング構
成物質の測定固有分離係数によってきまる。
このコーテイング物質は、多孔性分離膜に閉塞接触でき
るものでなくてはならない。
例えば、塗布された際、閉塞接触が生じるに充分な程度
に多孔性分離膜をぬらし、そしてそれに接着すべきであ
る。
このコーテイング物質の湿潤性は、単独または溶媒中の
このコーテイング物質を多孔性分離膜物質に接触させる
こと;によって容易に測定することができる。
更に、多孔性分離膜の平均細孔直径の推定に基づいて適
当な分子サイズのコーテイング物質を選択することがで
きる。
コーテイング物質の分子サイズが多孔性分離膜の細孔に
適合されるに大きすぎる場合には、その物質は閉塞接触
を得るに有用ではないかもしれない。
他方、そのコーティング用物質の分子サイズが小さすぎ
る場合には、それは、コーティングおよび/または分離
操作の間に多孔性分離膜の細孔を通って流れてしまう。
すなわち、より大なる細孔を有する多孔性分離膜に関し
ては、より小さい孔を有するものに関して使用するより
も一層大なる分子サイズを有するコーテイング物質を使
用することが望ましい。
細孔が広範囲な種類のサイズである場合には、多孔性分
離膜に塗布した後で重合させるコーティング物質用の重
合性物質を使用すること、または例えばそれらの分子サ
イズを漸増的順序でコーテイング物質を塗布することに
よって異った分子サイズの二種またはそれ以上のコーテ
イング物質を利用することが望ましい。
コーティング用物質は、天然または合成物質であってよ
い。
それらは屡々重合体であり、そして多孔性分離膜に閉塞
接触する性質を示すという利点を有する。
合成物質としては付加および縮合重合体の両者があげら
れる。
コーティングを構成しうる有用な物質の典型的な例は、
気体分離条件下に固体または液体状の置換または未置換
重合体であり、合成ゴム、天然ゴム、比較的高い分子量
および/または高沸点の液体、有機プレポリマー、ポリ
(シロキサン) (シリコーン重合体)、ポリシラザ
ン、ポリウレタン、ポリ (エピクロロヒドリン)、ポ
リアミン、ポリイミン、ポリアミド、アクリロニトリル
含有共重合体、例えばポリ (α−タロロアクリロニト
リル)共重合体、ポリエスチル(ポリラクタムを含む)
、例えばアルキル基が1〜約8個の炭素原子を含有して
いるポリ (アルキルアクリレート)およびポリ (ア
ルキルメタクリレート)、ポリセパセード、ポリスクシ
ネートおよびアルキド樹脂、テルペノイド樹脂例えば亜
麻仁油、セルロース重合体、ポリスルホン特に脂肪族基
含有ポリスルホン、ポリ (アルキレングリコール)例
えばポリ (エチレングリコール)、ポリ (プロピレ
ングリコール)その他、ポリ (アルキレン)ポリサル
フェート、ポリピロリドン、α−オレフィン性不飽和含
有単量体からの重合体、例えばポリオレフィン例えばポ
リ (エチレン)、ポリ (プロピレン)、ポリ (ブ
タジェン)、ポリ (2・3−ジクロロブタジェン)、
ポリ (イソプレン)、ポリ (クロロプレン)、ポリ
(スチレン)共重合体を含めてポリ (スチレン)、
例えばスチレン−ブタジェン共重合体、ポリビニル、例
えばポリ (ビニルアルコール)、ポリ (ビニルアル
デヒド) 〔例えばポリ (ビニルホルマール)および
ポリ (ビニルブチラール)〕、ポリ (ビニルケトン
) 〔例えばポリ (メチルビニルケトン)〕、ポリ(
ビニルエステル)〔例えばポリ (ビニルベンゾエート
)〕、ポリ (ビニルハライド) 〔例えばポリ (ビ
ニルプロミド)〕、ポリ (ビニリデンハライド)、ポ
リ (ビニリテ゛ンカーボネート)、ポリ (N−ビニ
ルマレイミド)その他、ポリ (1・5−シクロオクタ
ジエン)、ポリ (メチルイソプロペニルケトン)、弗
素化エチレン共重合体、ポリ (アリーレンオキサイド
)例えばポリ (キシリレンオキサイド)、ポリカーボ
ネート、ポリホスフェート、例えばポリ (エチレンメ
チルホスフェート)その他、および前記の反復単位を含
有するブロック共重合体を含む任意の共重合体、および
前記のいずれかを含むグラフトおよびブレンドがそれら
の例としてあげられる。
これらの重合体は、多孔性分離膜に塗布した後で重合さ
せてもよいし、又させなくてもよい。
コーティングのための特に有用な物質はポリ(シロキサ
ン)である。
典型的なポリ (シロキサン)は脂肪族または芳香族部
分を包含し、そして1〜約20個の炭素原子を含有する
反復単位を有している。
ポリ (シロキサン)の分子量は広範囲に変化させうる
が、一般には少くとも約1000である。
このポリ (シロキサン)が多孔性分離膜に適用される
場合には約1000〜30000の分子量を有している
一般的な脂肪族および芳香族ポリ (シロキサン)とし
ては、ポリ (モノおよびジ置換シロキサン)があげら
れ、その置換基としては、低級脂肪族例えばシクロアル
キルを含めて低級アルキル特にメチル、エチルおよびプ
ロピル、低級アルコキシ、単環性または二環性の例えば
ビフェニレン、ナフタレンその他を含むアリール、低級
単環および二環性アリールオキシ、低級脂肪族および低
級芳香族アシルを含めてアシルその他があげられる。
脂肪族および芳香族置換基の例は、ハロゲン例えば弗素
、塩素および臭素、ヒドロキシル基、低級アルキル基、
低級アルコキシ基、低級アシル基その他である。
このポリ (シロキサン)を交叉結合剤の存在下に交叉
結合させてシリコーンゴムを生成させることができ、そ
してこのポリ(シロキサン)は交叉結合を助ける交叉結
合性共単量体、例えばα−メチルスチレンとの共重合体
であってよい。
交叉結合を促進させる典型的な触媒としては、有機およ
び無機パーオキサイドがあげられる。
交叉結合は多孔性分離膜へのポリ (シロキサン)の適
用の前であってもよいが、ポリ(シロキサン)を多孔性
分離膜に適用後に交叉結合させるのが望ましい。
多くの場合、このポリ(シロキサン)は交叉結合の前に
は約1000〜1oooooの分子量を有している。
特に有利なポリ(シロキサン)はポリ (ジメチルシロ
キサン)、ポリ (フェニルメチルシロキサン)、ポリ
(トリフルオロプロピルメチルシロキサン)、α−メ
チルスチレンとジメチルシロキサンとの共重合体および
交叉結合前には約1000〜50000の分子量を有す
る後硬化ポリ (ジメチルシロキサン)含有シリコーン
ゴムである。
成る種のポリ (シロキサン)は所望の程度の閉塞接触
が達成されるに充分な程にはポリスルホン多孔性膜をぬ
らさない。
しかしながら、実質的にポリスルホンに影響を与えない
溶媒中にこのポリシロキサンを溶解または分解させるこ
とによって閉塞接触の達成が容易になる。
適当な溶媒としては、通常は液体状のアルカン、例えば
ペンタン、シクロヘキサンその他、脂肪族アルコール、
例えばメタール、ある種のハロゲン化アルカンおよびジ
アルキルエーテルその他ならびにそれらの混合物があげ
られる。
多孔性分離膜およびコーティングに対しては、次の物質
が本発明の多成分膜を生成するための有用な物質および
それらの組合せの代表的なものである。
しかしながら、これらの物質、および組合せは本発明に
有用な広範囲の物質の単なる代表例にすぎない。
これらは本発明を限定するものではなく、その有利な適
用の例示にすぎない。
窒素からの酸素分離のための多孔性分離膜に典型的な物
質としては、セルロースアセテート例えば約2.5の置
換度を有するセルロースアセテートが挙げられる。
適当なコーテイング物質としては、ポリ(シロキサン)
、 (ポリシリコーン)例えばポリ(ジメチルシロキサ
ン)、ポリ (フェニルメチルシロキサン)、ポリ (
トリフルオロプロピルメチルシロキサン)、前加硫およ
び後加硫されたシリコーンゴムその他、ポリ (スチレ
ン)例えば約2〜20の重合度を有するポリ (スチレ
ン)、ポリ (イソプレン)例えばイソプレンプレポリ
マーおよびポリ (シスート4−イソプレン)、脂肪族
ヒドロカルビルを含有する約14〜30個の炭素原子含
有化合物、例えばヘキサテ功ン、亜麻仁油特に粗製1亜
麻仁油その他があげられる。
水素含有気体混合物から水素を分離するための多孔性分
離膜に対する典型的物質としては、セルロースアセテー
ト例えば約2.5の置換度を有するセルロースアセテー
トが挙げられる。
適当なコー。ティング物質としては、ポリ (シロキサ
ン) (ポリシリコーン)例えばポリ (ジメチルシロ
キサン)、前加硫および後加硫されたシリコーンゴムそ
の他、ポリ (イソプレン)、α−メチルスチレン−ジ
メチルシロキサンブロック共重合体、脂肪。
族ヒドロカルビル基を含有する約14〜30個の炭素原
子を有する化合物その他があげられる。
本発明に使用される多孔性分離膜は、不当に多孔性では
なく、そしてこれらは工業的に魅力的な基準で分離を達
成するに充分な多孔性分離膜物質面積を与えるものであ
るのが望ましい。
この多孔性分離膜は、充分に本発明の多成分膜の分離を
達成し、従って多孔性分離膜中に大なる〔全表面積〕:
〔全細孔断面積〕比を与えるものであることが望ましい
この結果は、従来技術の複合膜製造目的、即ち、重ね合
せた膜が実質的に分離を達成し、そして支持体は望まし
くはその第一義的な(すなわち重ねた膜を支持するとい
う)機能に合致するように可及的多孔性につくられてお
り、そしてその支持体が重ねた膜からの気体流れを遅延
または阻害しないようにする概念とは明らかに逆である
多孔性分離膜物質を通過する気体の量および本発明の多
成分膜の性能に及ぼすその影響は、全細孔断面積および
/または多孔性分離膜の平均細孔直径に対する全表面積
比により影響されることは明らかである。
この多孔性分離膜は少くとも約10:1、好ましくは少
くとも約103:、1〜108:1の〔全表面積〕対〔
全細孔断面積〕比を有しており、そして成る種の多孔性
分離膜は約103:1〜108:1または1012:1
の比を有している。
平均細孔断面直径は広範囲に変動し、約5〜20000
オングストロームの範囲内である。
ある多孔性分離膜、特にあるポリスルホン多孔性分離膜
においては、その平均細孔断面直径は約5〜1000ま
たは5000オングストロームでありうるし、そして約
5〜200オングストロームでさえありうる。
このコーティングは、好ましくは本発明の予成分離膜の
性能の観察に基づいて開発されたモデルに関しては、分
離膜の孔を通しての気体通過に増大された抵抗を与え、
孔を通る気体に対する多孔性分離膜物質を通過する気体
の比率が、コーティングを有していない多孔性分離膜使
用の場合のその比率よりも大となるように多孔性分離膜
に閉塞接触している。
気体分離膜に関して有用な特性は、その有効分離厚さで
ある。
本明細書に使用されている「有効分離厚さ」なる語は、
多成分膜と同一の透過速度をある気体に対して有してい
る多孔性分離膜を構成する物質の連続(非孔性)且つ緻
密な膜の厚さである。
すなわち、有効分離厚さは、気体に対する多孔性分離膜
の物質の透過定数を、その気体に対する多成分膜の透過
度で除した商である。
より低い有効分離厚さを与えることによって、特定の気
体に対する透過速度が上昇する。
屡々この多成分膜の有効分離厚さは、特に多成分膜が非
等方性である場合には実質的には全膜厚さよりも小さい
一酸化炭素、二酸化炭素、窒素、アルゴン、六弗化硫黄
、メタンおよびエタンの少くとも1種により示される気
体に関するこの多成分膜の有効分離厚さは、約1000
00オングストローム以下、好ましくは約15000オ
ングストローム以下、例えば約100〜15000オン
グストロームである。
例えばポリス用ホン多孔性分離膜からなる多成分膜にお
いては、前記気体の少くとも一つに対するこの多成分膜
の有効分離厚さは、望ましくは約5000オングストロ
ーム以下である。
ある多成分膜においては、特に前記気体の少くとも一つ
に関するその有効分離厚さは、多成分膜の厚さの少くと
も約50%以下、好ましくは約20%以下である。
細孔含有膜から気体分離のための膜を製造するための従
来方法の一つは、細孔含有膜の少くとも一方の表面を、
その表面を緻密化し、それによって膜分離の選択性を低
下させる孔の存在を減少させるように処理することであ
った。
この緻密化は、例えば膜物質に対する溶媒または膨潤剤
による化学的処理であるか、または膜と液体との接触を
行うか、もしくは行うことなしに実施されるやきなまじ
であった。
そのような緻密化方法は、通常、膜を通しての流れを実
質的に減少させる結果となる。
本発明のいくつかの特に有利な多成分膜は、膜の少くと
も一表面が、膜を充分に緻密化させるように処理されて
いるか、または液体の存在もしくは不存在下に充分にや
きなまじされていて、少くとも一組の気体に関して多成
分膜により示される分離係数に等しいかまたはこれによ
り大なる分離係数を与える点を除いては、多成分膜に使
用されている多孔性分離膜と実質的に同一の膜の透過性
よりも大なる透過性を示す。
膜の選択性を上昇させるための別の方法は、その製造条
件を修正して、それが非修正条件下に製造された膜より
も多孔性でなくなるようにすることである。
一般に製造条件に由来する分離の選択性の向上は、膜を
通してのより低い流れによって達成される。
例えばその多孔性分離膜が非等方性中空繊維であるよう
な本発明の特に有利な多成分膜は、多孔性分離膜(これ
は気体分離条件下に例えば少くとも約10kg/cm□
の絶対圧差において中空繊維構造を保持でき、そしてそ
の非等方性中空繊維膜が少くとも一組の気体に関して、
多成分膜の分離係数に等しいかまたはそれ、より大なる
分離係数を示す)の材質からなる非等方性中空繊維膜よ
りも大なる透過度を示す。
有利なことに、この多孔性分離膜は、その取扱いに何ら
特殊な装置を必要としない程度の厚さを有する。
屡々この多孔性分離膜は約20〜500ミクロン例えば
約50〜200または300ミクロンの厚さを有してい
る。
多成分膜が中空繊維の構造の場合には、この繊維は往々
にして約200〜1000ミクロン、例えば約200〜
800ミクロンの外径および約50〜200または30
0ミクロンの壁厚を有する。
本発明の多成分膜を使用して濃縮化を含む気体の分離を
実施する場合には、この多成分膜の供給側の化学ポテン
シャルよりも少くとも1種の透過気体に関してより低い
化学ポテンシャルに排出側を保持する。
この多成分膜を通して所望の透過を1行わせる駆動力は
、例えば分圧の差によって与えられる多成分膜を横切る
化学ポテンシャルの差である〔例えば01af A、H
oug enおよびに、M、Watson両氏編r C
hemical ProcessPrinciples
J第1I部参照〕。
透過気体は多成分膜′中に入り、そしてこれを通過し、
多成分膜の排出側の近くから除去されて透過気体に対し
て所望の駆動力を保持させる。
多成分膜の機能は、気体流れまたは気体供給混合物が最
初に接触する膜表面の方向によって左右されない。
; 費用のかかる冷蔵および/またはその他の費用のか
かるエネルギー投入を必要としない気体混合物からの少
くとも1種の気体の分離法を提供することの他に、本発
明は選択的透過操作に高度の融通性のある多数の利点を
提供する。
シート形態であるか、または中空繊維形態であるかにか
かわらず、この多成分気体分離膜は、工業用気体の分離
、医療用の酸素富化、汚染制御装置および気体混合物か
ら少くとも1種の気体を分離することが所望されるすべ
ての要求において有用である。
さ□はど頻繁ではないが、時としては単−成分膜が正当
に高い分離選択度および良好な透過速度特性の両方を有
している。
そしてそのような場合でさえも、これらの単−成分膜は
いくつかの特定気体の分離に対してしか適当ではない。
本発明による多成分気体分離膜は、気体分離用単一成分
膜としては望ましくない透過速度と分離係数との組合せ
の故に従来では不向きであった広範囲の種々の物質をそ
の材料として使用できる。
多孔性分離膜物質の選択は、薄くて本質的に細孔のない
膜を形成で;きる能力よりも、所与の気体に対するその
選択性および透過定数に基づくものであるから、本発明
の多成分膜は、気体混合物からの広範な種類の気体の分
離に対して有利に適合させることができる。
数学的モデル 多孔性分離膜中の細孔の断面直径はオングストロームの
程度である。
従って、多孔性分離膜の細孔およびコーティングと多孔
性分離膜との間の界面は、現在利用可能な光学的顕微鏡
によって直接観察することはできない。
試料をさらに拡大できる現在利用可能な技術、例えば走
査電子顕微鏡および透過電子顕微鏡は、特別の試料調製
を必要とし、利用範囲も制限される。
例えば、走査電子顕微鏡においては、有機試料を例えば
少なくとも40または50オングストロームの厚さの金
の層で被覆しなくてはならない。
この被覆の適用方法によっても、画像に影響が生じる。
更に、走査電子顕微鏡に必要な被覆が存在するだけで試
料の特性を不明瞭にし、または明らかに変化させる。
更に、走査電子顕微鏡および透過電子顕微鏡は、共に試
料の調製過程でその特性を変化させる恐れがある。
従って、多成分膜の完全な構造は、利用可能な最良の顕
微鏡技術をもってしても、視覚的に認めることができな
い。
本発明の多成分膜は、独特の性能を有しており、そして
種々の技術により示されるように本発明の多成分膜の観
察された性能と一般的に相関する数学的モデルを開発す
ることができる。
しかしながら、この数学的モデルは、本発明を限定する
ものではなく、本発明により与えられる利点および有利
さを更に詳しく説明するためのものである。
本発明の多成分膜の数学的モデルを理解し易いように、
添付図面第1. 2. 3. 4. 6および7図に示
されるモデルを参照することができる。
これらの図解モチ゛ルは、数学的モチ゛ル中で展開され
る概念の理解を容易にするためのものであって、本発明
の多成分膜の実際の構造を説明するためのものではない
更に、数学的モデルの概念の理解を助けるため、これら
の図解モデ゛ルは数学的モデルに含まれている特性の存
在を示すものである。
そして特徴が判り易いように、これら特性の間の相対的
関係に関し、図解用モデルは大幅に誇張されている。
第5図は、数学的モデルの透過流れ抵抗と電気流れ抵抗
の概念の間の類似性を示すためのものである。
第1,2および4図は、数学的モデルを理解する目的の
ための図解モデ゛ルであり、これらはコーティングと多
孔性分離膜との界面、すなわち、第6図中に線A−Aお
よびB−Bの間の領域として示された(しかし必ずしも
同一スケールではない)拡大部分を示している。
第3図は線C−Cと°線D−Dとの間の領域として第7
図中に示されている領域の拡大図解モデルである。
これらモデルにおいては、同一の記号は同一の特性を意
味している。
第1図は、物質Xにより細孔3が充填または一2部充填
された中実部分2を有する多孔性分離膜物質Yに接触し
ているコーテイング物質Xの本質的に連続的なそして非
中断性の上かけ(オーバーレイ)層1の一つのモデルの
拡大断面図である。
第2図は、別の図解用モデルの拡大図であり、1多孔性
分離膜物質Yは、空隙であるか、または均一に接触、す
なわち、非中断様式のコーテイング物質Xで一部充填さ
れているかのいずれかである彎曲表面界面部分の形態を
有する。
第3図は、細孔3中に物質Xを有するモデルの1拡大図
であるが、非中断上かけ層1は存在していない。
第4図は、本発明の数学的モデルによる概念の説明を助
ける更に別のモデルである。
第4図は、第5図に説明されている周知の電流抵抗回路
との類似性を示している。
第6図は更に別のモデルの断面図であるが、コニティン
グ物質Xは膜の厚さ全体にわたる相反的に勾配を存する
密度および多孔性構造を特徴とする多孔性分離膜のより
密度の高い方の表面上に流延された細孔閉鎖性フィルム
として与えられている。
第7図は、連続または非中断上かけ層1を必ずしも要し
ない閉塞された非等方性分離膜のモデルめ断面図である
次の方程式は、本発明の多成分膜について観察された性
能を説明するために開発された数学的モチ゛ルを説明す
るものである。
この数学的モデルを適当に使用することによって本発明
の有利な多成分膜が得られるような多孔性分離膜および
コーテイング物質を選択することができる。
以下に説明するように、多成分膜を通しての気体aの流
れQl、8は、第5図の数学的に等価の電気回路との類
似性によって多成分膜の各部分を通る気体流れ抵抗の函
数として(例えば第4図のモデル参照)表わすことがで
きる。
ここに△P□、8は多成分膜を通しての圧力差であり、
そしてR1,8,R2,8およびR3,8はそれぞれ上
がけ層1、多孔性分離膜の中実部分2および多孔性分離
膜の細孔3の気体流れ抵抗を表わしている。
同一の多成分膜を通しての第2の気体すの流れQo、5
も同様にして気体すの圧力差および上かけ層1、多孔性
分離膜の中実部分2、および細孔3を通しての気体すの
流れ抵抗に対して適当な項を使用して表現することがで
きる。
気体すに対するこれら各々の抵抗は、気体aに対する各
々のものとは異ったものであってよい。
すなわち、選択的透過を多成分膜により達成することが
できる。
気体aおよびbの各々に対して相対的にR1,R2およ
びR3を変化させることによって気体aおよびbの各々
に対して所望の計算された流れを生成させ、そして気体
aに対する抵抗を気体すに対して相対的に変化させて気
体a/気体すの計算された選択透過度とすることによっ
て有利な多成分膜を形成することができる。
数学的モデルの理解に有用なその他の方程式を次に記載
する。
ある与えられた分離物質に対して2種の気体aおよびb
に対する分離係数(α已)はある与えられた厚さlおよ
び表面積Aの物質nの膜に対して方程式2によって定義
される。
ここにP ns ’aおよびP。
、5はそれぞれ物質nの気体aおよび市に対する透過定
数であり、そしてQaおよびQ5は△P8および△Pb
が駆動力、すなわち、膜を横切っての気体aおよび市に
対する分圧低下である場合の気体aおよび市の膜を通し
ての流れである。
気体aに対する膜物質nを通しての流れQ8は、方程式
3によって示される。
ここにA。
は膜物質nの表面積であり、Inは膜物質nの厚さであ
り、そしてRn、 aはモデルの目的に対しては気体a
の流れに対する膜物質nの抵抗として定義される。
方程式3から、抵抗Rn% aは数学的には方程式4に
より表わされることが理解できる。
この抵抗は数学的意味においては、電流流れに対する物
質の電気抵抗と同類である。
この数学的モデルを説明するため、例えば第4図の図解
モチ゛ルを参照することができる。
この多孔性分離膜は物質Yの中実部分2と細孔または穴
3からなるものとして表わされている。
物質Xは第4図のモデル中で゛は、上か゛け層1および
゛多孔性分離膜の細孔3中に入りこんだ物質として存在
している。
上かけ層1、多孔性分離膜の中実部分2および物質Xを
含有する細孔3のこれら部分の各各が気体流れ抵抗を有
していて、その結果全多成分膜は第5図に表わされてい
ると同様の電気回路と比較できる。
この場合抵抗R工は二つの並列抵抗R2およびR3と直
列である。
物質Xが連続的で緻密な上かけ層1として与えられてい
る場合には、ある気体に対するその流れ抵抗R1は方程
式4により表わすことができ、そしてこれは上かけ層の
厚さ11、上かけ層の表面積A1および物質Xの透過定
数Pxの函数である。
本発明の多成分膜の多孔性分離膜は、並列の2個の抵抗
としてモデルにより表わされる。
方程式4によれば、物質Yを包含する多孔性分離膜の中
実部分2の抵抗R2は、これら中実部分の厚さ12、中
実部分2の全表面積A2および物質Yの透過定数Pyの
函数である。
多孔性分離膜の細孔3の抵抗R3はR2と並列である。
細孔の抵抗R3は、方程式4におけるように厚さ13を
透過定数R3および全細孔断面積A3で割ることによっ
て求められる。
この数学的モデルの目的では、13が第4図の図解モデ
ルに説明されているように細孔3中への物質Xの浸透平
均深さにより表わされ、そして透過定数P3が細孔中に
存在する物質Xの透過定数Pxにより表わされると仮定
されている。
透過定数PxおよびPyは、物質の測定可能な性質であ
る。
表面積A1は多成分膜の構造およびサイズにより確定す
ることができる。
そして表面積A2およびA3は測定できるし、あるいは
それらに対する限界を、多孔性分離膜の気体流れ測定に
基づく方法と組合せて通常の走査電子顕微鏡を使用して
推定することができる。
厚さ11,12および13は同一の方法で測定すること
ができる。
すなわち、多成分膜に対するQ工、8は確定できる△P
□、a、11512,13.PX、PY、AI、A2お
よびA3の値を使用して、方程式1および4から計算す
ることができる。
分離係数(α已)もまた同様にして方程式1および2か
ら決定することができる。
この数学的モデルは、本発明の有利な多成分膜の開発に
役立てることができる。
例えば、気体混合物中の少くとも一つの気体を少くとも
一つの残余の気体から分離することは、特に有利な多成
分膜中では実質的には多孔性分離膜により行われるので
あるから、多孔性分離膜用の物質は、前記気体に対する
その測定固有分離係数ならびにその物理的および化学的
性質、例えば強度、強靭性、耐久性、化学的抵抗性その
他に基づいて選択することができる。
次いで、この物質をいずれかの適当な技術を使用して、
多孔性分離膜とすることができる。
この多孔性分離膜は、前述したように好ましくは気体流
れ測定技術と組合せた走査電子顕微鏡によって特性づけ
ることができる〔例えばJ、Applied 5cie
nce18.805−819 (1974)参照〕。
この多孔性分離膜は、モデルの目的のためには、気体流
れに対する二つの並列抵抗、すなわち、その中実部分2
および細孔3として表わすことができる。
細孔の抵抗R3は細孔を通しての気体流れが層流である
か、クヌードセン (Knudsen)拡散流れであるかを決定する細孔の
平均サイズおよび細孔の数によってきまる。
開放細孔を通しての気体の拡散速度は中実物質を通して
のものよりはるかに大なのであるから、細孔の気体流れ
に対して計算された抵抗R3は通常その全細孔断面積か
沖実部分の全表面積よりはるかに小さい場合でさえも、
多孔性分離膜の中実部分の計算された抵抗R2よりは実
質的に小さい。
細孔3を通しての流れに対する中実部分2を通しての透
過気体流れの比率を上昇させるためには、細孔の抵抗R
3を中実部分の抵抗R2に対して上昇させなくてはなら
ない。
これは、このモデルによれば、細孔中に物質Xを入れて
細孔を通しての気体の拡散速度を減少させることによっ
て達成できる。
細孔を通しての気体流れ抵抗の推定値を得、そして多孔
性分離膜物質の気体流れ抵抗に関する知識を有していれ
ば、所望の分離係数を有する多成分膜を生成するに必要
な細孔を通しての気体流れ抵抗の所望の上昇を推定する
ことができる。
細孔中のコーテイング物質の深さ (13)と多孔性分
離膜物質を通しての気体の最小透過距離(1□)とは同
一であると推定できる。
次いで、コーティング用物質の透過定数の知識に基づい
て所望の抵抗を与えるようにコーテイング物質を選ぶこ
とができる。
コーテイング物質はまた、R3を上昇させることの他に
、以下に記載される別の性質に対しても選択することが
できる。
コーテイング物質が第4図に示されているように多孔性
分離膜上の上かけ層をも形成する場合には、流れを低下
させる原因となる。
そのような状況は、方程式1による数学的モデルにより
表わされる。
そのような場合、コーテイング物質の性質はまた流れを
不当に低下させないものでなくてはならない。
コーテイング物質の選択は、多孔性分離膜物質の測定固
有分離係数に対するその測定固有分離係数、および多成
分膜中におけるその所望の抵抗を与える能力に依存する
コーテイング物質は、多孔性分離膜に閉塞接触しうるち
のであるべきである。
多孔性分離膜の平均細孔サイズに基づいて、適当な分子
サイズのコーテイング物質を選ぶことができる。
コーティングの分子サイズが大きすぎる場合、またはコ
ーテイング物質が表面において細孔に架橋を形成する場
合には、そのモチ゛ルは、細孔の抵抗R3が多孔性分離
膜の中実部分の抵抗R2に相対的に上昇しない結果とな
り、そしてそのような場合には、細孔を通しての気体拡
散に相対的な中実部分2を通しての気体透過の比率は、
多孔性分離膜単独の場合のその比率に比べて上昇率が低
い。
他方、コーテイング物質の分子サイズが小さすぎる場合
には、コーティングおよび(または)分離操作の間に該
物質が細孔を通って流れてしまう恐れがある。
コーティングは細孔中に入っていくコーテイング物質の
他に、上がけ層1 (第4図のモデル参照)の形で施さ
れる場合が多い。
こうした場合、その上かけ層1は気体流れに対する抵抗
R1を表わす。
R1は、多孔性分離膜の組合せ抵抗に対して直列関係に
ある。
この状態が生じた場合、多孔性分離膜が気体混合物中の
少くとも一組の気体の分離を実質的に達成するためには
、その多成分膜中の上かけ層が気体流れに過大な抵抗を
与えないようにコーテイング物質を選ぶべきである。
これは例えば気体に対する高い透過定数および低い選択
性を示すコーテイング物質を用いることによって達成で
きる。
モデルにより表わされている様に上かけ層の厚さ11は
また、多成分膜の示す流れおよび選択性に若干の影響を
与える。
その理由は、上かけ層1の抵抗(R1)はその厚さl工
の函数であるからである。
適当な物質Xおよび物質Yが選ばれた場合には、これら
の物質を包含する種々の構造の多成分膜を、方程式1.
2および4を使用して形成することができる。
例えば、多孔性分離膜に対する全細孔断面積(A3)と
全表面積(A2 +A3) とのより望ましい比および
多孔性分離膜の分離層1□のより望ましい厚さ12はこ
の数学的モデルから得ることができる。
この情報は、例えば、望ましい面積比A3/ (A2+
A3)および望ましい分離厚さ12ならびに望ましい上
かけ層厚さ11を有する多孔性分離膜の製造方法の決定
に有用である。
このことは、非等方性中空繊維多孔性分離膜の場合には
紡糸条件および/または後処理条件を適当に選択するこ
とによって達成できる。
前記の説明は、多成分膜の種々の構造を数学的に取扱う
場合の1例である。
少くとも一組の気体に対して、上がけ層1、多孔性分離
膜の中実部分2および細孔3の相対的抵抗を変化させて
、少くとも一組の気体に対して高い流れおよび高い選択
性を示す有利な多成分膜を生成させるためのいくつかの
方法が論じられている。
次の記載は、方程式3および4の組合せにおいて方程式
1を与える数学的誘導である。
電気抵抗について周知のオームの法則から、第5図に示
した電気回路の全抵抗R0に対する数学的表現を得るこ
とができる。
ここにR23は、並列のR2とR3との組合せ抵抗であ
り、そしてこれは方程式5中の最後の項に等しい。
同様に、前記数学的モデルは、第4図のモデルにより誇
張して説明されているように、この同一の数学方程式を
使用しである与えられた気体の流れに対しての多成分膜
の全抵抗を表わす。
抵抗R23は、多孔性分離膜の画部分すなわち中実部分
2と物質Xで充填された細孔3との合併抵抗を表わして
いる。
コーティングが本質的に連続的な上かけ層1として与え
られておらず、そして細孔3中に入った物質Xとしての
み与えられている場合、すなわち第3図の図解モデルに
より示されている状況の場合には、上がけ層の抵抗R1
は0であり、そしてこの項は方程式5および方程式5が
ら導かれる以後のすべての方程式から除外される。
多成分膜を通してのある気体の全流れ(フラックス)は
、電流の流れに等しく、そして定常状態においてはこれ
は方程式6により与えられる。
(6) Q、r、8=Q1、a = Q 23
.8ここにQl、8は上かけ層1を通る気体の流れであ
り、そしてQ23.8は多孔性分離膜の中実部分2およ
び細孔3 (物質Xで充填されている)の両方を通る気
体の合併された流れである。
(7)Q23.8=Q2.8+Q3.8 気体に対する多成分膜断面の全分圧低下は、上かけ層1
の分圧低下(△P1.8)と多孔性分離膜の中実部分2
および充填細孔3の分圧低下(△P23、a)の和であ
る。
(8) △P□、8=△P1.8+△P23.
8予成分膜の各部分を通しての気体流れは、各部分に特
異的な抵抗および分圧低下を使用して方程式3により表
わすことができる。
方程式6.8.9および10がら、抵抗および全分圧低
下によって△P23.8を表現することができる。
方程式6および10を組合せた方程式11は方程式1を
与える。
本発明によれば、コーティングは多孔性分離膜に閉塞接
触して多成分膜を生成する。
本発明の多成分膜が示す現象を説明するために展開され
たこの数学的モデルは、多孔性分離膜中に物質Xを含有
する細孔3を与える。
物質Xを含有する細孔の気体流れ抵抗R3は、物質Xで
充填されていない細孔の気体流れ抵抗よりはるかに大で
ある。
何故ならば、気体に対するすべての物質の透過度は、開
放流れチャンネルの透過度よりもはるかに小さいからで
ある。
従って、R3は多成分膜中では増大しており、そして方
程式10に関しては、R2はR23に対して大きな影響
を与える。
R3は多成分膜中ではR2に比して増大しているのであ
るから、単独の多孔性分離膜中の場合におけるその比率
よりも物質Xで充填された細孔を通るものに比してより
大なる比率の気体が多孔性分離膜の中実部分を通過する
従って、少くとも一組の気体の分離係数は、単独の多孔
性分離膜中の分離係数に比べて、物質Yとの相互作用に
よって多成分膜中では高くなっている。
次の実施例は本発明の例示であるが、これらは本発明を
限定するものではない。
気体のすべての部および%は特に記載されていない限り
は体積基準であり、そして液体および固体のすべての部
および%は重量基準である。
例1〜3 表Iの例1〜3はセルロースアセテート多孔性分離膜お
よびコーティング(被膜)で構成される多成分膜を例示
している。
例2および例3は二種の異った気体混合物を分離する同
一複合中空繊維膜を示している。
これら二つの実施例では、この多孔性基質膜が両気体混
合物をコーティングなしの場合でさえもある程度は気体
を分離するがしがし両方の場合ともその分離係数はセル
ロースアセ)テートについて測定された固有分離係数よ
りもはるかに小さいことがわかる。
そのような多孔性分離膜においては、はとんどの気体は
その細孔を通過し、そして比較的わずがな透過流れがセ
ルロースアセテートを通過する。
1 コーテイング後には、例2および例3の多成分膜に
より示される気体に対する分離係数は、コーテイング物
質の測定固有分離係数または多孔性分離膜の分離係数の
いずれよりも大である。
すなわち、多成分膜においては、細孔を通過するものに
1比べて一層大比重の気体流れがセルロースアセテート
を通過する。
従って、多成分膜の分離係数は、セルロースアセテート
の測定固有分離係数にはるかにより近くなる。
例1は、若干具った被覆および非被覆性を有するセルロ
ースアセテート中空繊維の別の試料を示しておりそして
これは例2に比較することができる。
この多孔性分離膜は一層高い02透過性および一層低い
分離係数を有しているけれども、その多成分膜は別々の
場合のコーティングおよび多孔性基質膜物質各々よりも
より高い分離係数を示す。
(m(a) 与えられた気体に対する膜の透過度は単
位厚さ当りの膜の上流側と下流側との間で1cmの水銀
の分圧低下に対して毎秒表面積/an”当り、前記膜を
通過する気体の量(常温および常圧条件下のcTr13
で表わす)である(透過度の単位=cm”7cm”・秒
・cmHg)。
(b) イーストマン・コダック社から得られそして
O8W Final Report # 14−3O−
3066r Development of Hi
gh Flux HollowReverse
Osmosis For Brackish W
aterSoftening (1973) Jに従っ
て紡糸されたセルロースアセテート (置換度約2.5
)。
例2の繊維は温水で後処理された。
(C)すべてのコーティングは適用時は液体であり、そ
してコーテイング後にはそれ以上硬化、重合または交叉
結合なされない。
(d) 例1〜3で用いられたコーティング操作の要
点は以下の通りである。
コーティング操作A(例1で使用) 希釈されていない液体コーティング物質中に多孔性中空
繊維膜を浸漬させた後、引き上/ げ、過剰の液体を滴下させた。
コーティング操作B(例2、例3で使用)多孔性中空繊
維の孔の部分を真空にしなか; ら希釈されていない
液体コーティング物質中に多孔性中空繊維膜を浸漬した
繊維を取出した後真空を解除して、過剰の液体を滴下さ
せた。
(e) 一組の気体に対する膜の分離係数は、第一気
体に対する膜透過度をその組の第二の気体の膜透過度で
除したものとして定義される。
【図面の簡単な説明】
添付図面第1図は本発明の多成分膜の数学的モチ゛ルを
説明する拡大断面図であり、第2図は別のi図解用モチ
゛ルの拡大図であり、第3図は細孔中に物質Xを有する
モデルの拡大図であり、第4図は本発明の数学的モデル
による概念の説明を助ける更に別の拡大図であり、第5
図は数学的モデルの透過流れ抵抗と電気抵抗の概念の間
の類似性を示:す図であり、第6図は更に別のモチ゛ル
の断面図であり、第7図は閉塞された非等方性分離膜の
モデルの断面図である。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 多孔性支持体と、該多孔性支持体に接触しているコ
    ーテイング物質とからなる気体分離用多成分膜において
    、前記多孔性支持体は、(イ)セルロース系重合体から
    なり、(ロ)少くとも約5体積%の空隙体積を有し、(
    ハ)気体混合物の少くとも一つの気体の選択的透過度が
    気体混合物中の残りの一つまたはそれ以上の気体の選択
    的透過度より大であって、気体分離機能を有する多孔性
    分離膜であり、そして前記コーテイング物質は多孔性分
    離膜に閉塞接触しており、少くとも一組の気体に関して
    多孔性分離膜の物質である前記セルロース系重合体がコ
    ーティングの物質の測定固有分離係数よりも大なる測定
    固有分離係数を示し且つ多成分膜がコーティングの物質
    の測定固有分離係数よりも少くとも約10%大なる分離
    係数を示すことを特徴とする、気体分離用多成分膜。 2 前記の少くとも一組の気体が水素、ヘリウム、アン
    モニアおよび二酸化炭素のうちの一つと一酸化炭素、窒
    素、アルゴン、六弗化硫黄、メタンおよびエタンのうち
    の一つとからなっており、そして前記空隙体積が約10
    〜80%である、特許請求の範囲第1項に記載の多成分
    膜。 3 多成分膜により示される前記分離係数がコーテイン
    グ物質の前記測定固有分離係数よりも少くとも約35%
    大であり、コーティングが多孔性分離膜の少くとも一表
    面に接触しており、そしてその多孔性分離膜が比較的密
    な部分を有する非等方性のものである、特許請求の範囲
    第1項に記載の多成分膜。 4 多孔性分離膜がセルロースアセテートからなる、特
    許請求の範囲第1項に記載の多成分膜。
JP57189397A 1976-11-15 1982-10-29 気体分離用多成分膜 Expired JPS5951841B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US74215976A 1976-11-15 1976-11-15
US742159 1976-11-15
US832481 1986-02-21

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPS5895525A JPS5895525A (ja) 1983-06-07
JPS5951841B2 true JPS5951841B2 (ja) 1984-12-17

Family

ID=24983713

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP57189397A Expired JPS5951841B2 (ja) 1976-11-15 1982-10-29 気体分離用多成分膜

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JPS5951841B2 (ja)
SU (1) SU858547A3 (ja)
ZA (1) ZA776779B (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JPS5895525A (ja) 1983-06-07
ZA776779B (en) 1979-02-28
SU858547A3 (ru) 1981-08-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4230463A (en) Multicomponent membranes for gas separations
JPS5951321B2 (ja) 気体分離用多成分膜
KR940006394B1 (ko) 복합막과 이들의 제조방법 및 용도
Pinnau et al. Relationship between substructure resistance and gas separation properties of defect-free integrally skinned asymmetric membranes
Pinnau et al. Structures and gas separation properties of asymmetric polysulfone membranes made by dry, wet, and dry/wet phase inversion
Chung et al. Development of a defect-free 6FDA-durene asymmetric hollow fiber and its composite hollow fibers
US4486202A (en) Asymmetric gas separation membranes
US4654055A (en) Asymmetric gas separation membranes
Pinnau et al. Influence of quench medium on the structures and gas permeation properties of polysulfone membranes made by wet and dry/wet phase inversion
JPH0456657B2 (ja)
US4581043A (en) Composite dense membrane
JPH08511196A (ja) 複合炭素流体分離膜
EP0649676A1 (en) Fluoropolymer posttreatment of gas separation membranes
JPS63116723A (ja) 中空繊維不整ガス分離膜の形成方法
JPS6154222A (ja) 複合ガス分離膜
CA1321931C (en) Composite membranes, their manufacture and their use
Hachisuka et al. New type asymmetric membranes having almost defect free hyper-thin skin layer and sponge-like porous matrix
JPH08206478A (ja) ポリマーのブレンドから膜を製造する方法
Shieh et al. Study on multi-layer composite hollow fiber membranes for gas separation
JPS6154204A (ja) 複合流体分離膜
JP2688882B2 (ja) 気体分離用複合膜の製造方法
JPH07251044A (ja) 気体分離膜の処理方法
JPH0451220B2 (ja)
JPS5951841B2 (ja) 気体分離用多成分膜
JPS63278525A (ja) 気液分離膜製造法