JPS5946610B2 - 腹水用処理装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は腹水処理装置に関するものである。

肝硬変や内臓痛等の患者には腹水症で苦しんでいる人が
多い。

腹水で内臓に圧迫を受けている患者にとって、腹水を除
去してやれば一時的に楽な状態になれるが、腹水中に含
まれる多量の栄養物（特に蛋白質等）も同時に除去され
るため患者の衰弱が激しくなり問題であった。

このため、腹水中の有用な蛋白質を生体へ戻してやる試
みが多く行われている。

現在では、主として２つの方法が行われている。

すなわち、市販の人工腎臓ダイアライザー等でろ過濃縮
する方法と、市販のメンブランフィルタ−でろ過、除菌
、腺癌細胞したのち濃縮する方法である。

前者の方法は腹水中の細菌や癌細胞までが濃縮されて生
体へ戻されるため患者にとって問題が多い。

後者の方法は、メンブランフィルタ−により細菌や癌細
胞が除去されるので、前者の方法を大きく改善したもの
といえる。

しかしながら現状のメンブランフィルタ−はろ遅効率が
良くない。

すなわち、メンブランフィルタ−を用いて腹水をろ過、
除菌、腺癌細胞していくと、しだいにメンブランフィル
タ−が目づまりを起こし、ろ過速度が遅くなってくると
いう問題点があった。

この問題点は、濃縮器についても同様で、薫白質を含む
体液を濃縮して、いくとしだいに濃縮器のフィルターが
目づまりを起こし、濃縮の効率が低下してくる。

そこで我ふは、これらの問題点を解決するために鋭意研
究を行った結果、除菌フィルターと濃縮器の少なくとも
一方にフィルターを２本以上使用し、常時ろ過濃縮を行
いながら、１本以上のフィルターに連続的にまたは断続
的に、生体にたいして無害な腹水の構成成分である他の
フィルターのる液を逆流させることによりフィルターを
洗浄しりがら、使用することで、目づまりが大幅に軽減
され”ることを見出し、本発明を得るにいたった。

すなわち、腹水処理装置の除菌フィルターと濃縮型の少
なくとも一方が、膜を使用したフィルターが２本以上直
列または並列に接続されてなるものであり、さらにその
うちの少なくとも１本のフィルターが連続的または断続
的に他方のフィルターのる液により逆流状態におかれる
ようにする手段を有することを特徴とした腹水処理装置
である。

以下、この発明を図面によって説明する。

第１図は濃縮器が２本のフィルターからなり、しかも直
列に接続された例の概略図であり、第２図は濃縮器の２
本のフィルターが並列に接続された例の概略図である。

第１図に示す例の装置は、生体から腹水を取り出して輸
送するポンプ１と、腹水中に含まれる細菌や癌細胞を除
去するろ過器２と、ろ過器２で除菌、腺癌細胞された腹
水を濃縮する濃縮器３，４と、濃縮器３，４のろ液室を
連結する回路１１および回路１１に取り付けられたポン
プ８と、濃縮器３のろ液輸送回路１２に接続された弁９
および濃縮器４のろ液輸送回路１３に接続された弁１０
とを有する。

腹水は腹水導入口５より導入され、ポンプ１により輸送
され、ろ過器２で除菌、腺癌細胞され濃縮器３，４に送
られ、濃縮器３，４で濃縮された腹水が貯留ビン７に一
時貯えられた後、生体へ戻される。

濃縮器３，４のろ液はろ液輸送回路１２゜１３を通して
排出される。

こ、の状態で濃縮器３゜４が目づまりを起こして濃縮効
率が悪くなり始めた場合、ポンプ８を作動させて濃縮器
４のろ液の一部を濃縮器３に送り、濃縮器３に逆流させ
てやる。

このとき弁９は閉じ、連続的にろ過濃縮を行わせるため
に弁１０は開かれた状態にする。

すると濃縮器３の目づまりが一部われ、濃縮器３は再び
濃縮効率良く濃縮できるようになる。

さらに、”ポンプ８を逆回転させ、弁９を開き、弁１０
を閉じてやると、今度は濃縮器４が逆流状態になり、濃
縮器４の目づまりが洗われ、濃縮器４が再び濃縮効率良
く濃縮できるようになる。

上記したろ液による濃縮器の逆流状態は交互に常時行わ
れていても良いが、断続的に行われるだけでも十分な効
果が得られる。

そしてこのような動作は、電気的な制御装置により自動
的に行われるのが望ましい。

さらに濃縮器だけでなく、ろ過器についても、上記した
方法を用いることによって同様な効果が得られることは
明白である。

また、この方法で濃縮器やろ過器のフィルターに逆流さ
れる液体は、生体にたいして無害な腹水の構成成分であ
るろ液なので、生体にたいして悪影響を与えることは全
くない。

ここでポンプ１は生体から腹水を取り出し、かつ輸送す
るものであるから、生体の腹水排出能力にあわせて自動
的に腹水の取り出し量が制御できる機構をもったものが
好ましく用いられる。

また、生体にたいして無毒、無害なものでなければなら
ない。

ろ過器２は、腹水中の有用な蛋白質（アルブミン、グロ
ブリン）等は透過させるが細菌や癌細胞は透過させない
機能を有するもので、ろ過動率の点からセルロースアセ
テートなどからつくられる中空繊維が好ましい。

濃縮器３，４は、除菌、腺癌細胞された腹水中の生体に
有用な蛋白質を濃縮するものである。

したがって上記蛋白質は透過させないで、しかも、水抜
き性能のすぐれたものである必要である。

一般に従来人工腎臓に用いられている中空繊維が使用で
きるが、処理能力の点からポリアクリロニトリル中空繊
維が最も好ましい。

濃縮器３，４のろ液室を連結する回路１１に取り付けら
れたポンプ８には、市販のローラーポンプ等生体に対し
て無毒、無害なものであれば全て使える。

ろ過器２と濃縮器３との間に輸送用のポンプ６を用いる
ことができる。

ポンプ６は前述のポンプ１と同じ構造のもあて良い。

弁９，１０は市販の電磁弁等生体に対して無毒、無害な
ものであれば全て使用できる。

上記したこの発明の各部分のうち、腹水に直接接する部
分は全てディスポーザブルであり、生体に対して無毒、
無害なものであることが望ましい。

第２図に示す例は、濃縮器である２本のフィルターが並
列に接続された例であるが、生体から腹水を取り出して
輸送するポンプ１と、腹水中に含まれる細菌や癌細胞を
除去するろ過器２と、ろ過器２で除菌、腺癌細胞された
腹水を濃縮する濃縮器３，４と、濃縮器３，４のろ液室
を連結する回路１４および回路、１４に取り付けられた
ポンプ１５と、濃縮器３のろ液輸送回路１゛６に取り付
けられた弁、１Ｂおよび濃縮器４のろ液輸送回路１７に
取り付けられた弁１９とを有する装置である。

腹水は腹水導入口５より導入され、ポンプ１により輸送
され、ろ過器２で除菌、除痛細胞され濃縮器３，４に送
られ、濃縮器３，４で濃縮された腹水が貯留ビン７に一
時貯えられた後、生体へ戻される。

濃縮器３，４のろ液はろ液輸送回路１６゜１７を通して
排出される。

この状態で濃縮器３゜４が目づまりを起こして濃縮効率
が悪くなり始めた場合、ポンプ１５を作動させて濃縮器
４のろ液の一部を濃縮器３に送り、濃縮器３に逆流させ
てやる。

このとき弁１８は閉じ、弁１９は開かれた状態になる。

すると濃縮器３の目づまりが洗われ、濃縮器３は再び濃
縮効率良く濃縮できるようになる。

さらにポンプ１５を逆回転させ弁１８を開き、弁１９を
閉じてやると今度は濃縮器４が逆流状態になり、濃縮器
４の目づまりが洗われ、濃縮器４が再び効率良く濃縮で
きるようになる。

以上述べたように、本発明の腹水用処理装置を使用する
ことによって、連続的にろ過濃縮を行いながらフィルタ
ーの目づまりを除去できるようになったので、従来の方
法に比較して格段の性能向上、すなわち腹水処理速度の
向上が得られるようになった。

さらにこの方法は、腹水の構成成分のみによるフィルタ
ーの洗浄方法であるため、生体に対する悪影響が全くみ
られず、大量の腹水も短時間で処理することが可能とな
った。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による腹水用処理装置の１例を示す概略
図であり、第２図は他の例を示す概略図である。 １．６・・・・・・ポンプ、２・・・・・・ろ過器、３
，４・・・・・・濃縮器、５・・・・・・腹水導入口、
７・・・・・・貯留ビン、８゜１５・・・・・・ろ液相
のポンプ、９，１０，１８．１９・・・・・・弁、１１
，１４・・・・・・ろ液室を連結する回路、１２．１３
，１６，１７・・・・・・ろ液輸送用回路。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 除菌フィルター、濃縮器および腹水を輸送する手段
   を主要部とし、除菌フィルターと濃縮器の少なくとも一
   方が直列または並列に接続された２本以上のろ過膜を使
   用したフィルターからなり、かつ上記２本以上のフィル
   ターのうちの少なくとも１本のフィルターに連続的また
   は断続的に他のフィルターのる液を逆流させる手段を有
   する腹水処理装置であって、少なくとも１本のフィルタ
   ーに連続的または断続的に他のフィルターのる液を逆流
   させ名手段が、上記フィルター同士のる液室を連結する
   回路と、この回路に取り付けられたろ液輸送手段および
   各フィルタ゛−のろ液輸送回路に取り付けられた回路開
   閉手段とよりなる事を特徴とする腹水用処理装置。