JPS5943232B2 - エマルジヨン切削油廃液のパラフインによる抽出方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、エマルジョン切削油廃液のパラフィンによ
る簡単な抽出方法に関する。

一般に、ＪＩＳＷ−１種として知られる水溶性切削油は
、エマルジョンタイプであり、鉱油、脂肪酸エステル、
脂肪油等これらを乳化させるカップリング剤（界面活性
剤）を助剤とし、さらに防腐剤、サビ止メ剤、腐蝕抑制
剤等が添加されている。

そして、この切削油の廃油処理には公害問題を伴うので
、大手、中小企業の大部分は廃油処理業者に委託してい
るのが現状である。

しかしながら、家内工業的な小規模企業にあっては、取
扱い量も２ｍ’以下と少く、したがって大量処理を目的
とする上記廃油処理業者に委託することもできず、また
廃油を放置しておけば腐敗を招くなどの幾多の問題があ
り、止むなく煩雑な方活によらざるを得ないという不都
合があった。

すなわち、一般的な方法としては、エマルジョン切削油
廃液を油浮上槽で硫酸バンドと水酸化カルシュラムとよ
り成るエマルジョンブレーカにより上層の浮上油と下層
の分離液とに分離し、浮上油はリンクベルトまたは手に
より除去回収すると共に分離液は凝集沈澱槽で凝集させ
た後、上澄水を放流して処理したり、或はまたエマルジ
ョン切削油を有機溶媒によって抽出処理を行っている。

しかしながらこのような廃油処理方法は、前者にあって
は処理手段が煩雑でありまた後者は有機溶媒を使用して
いるので、有害であり、引火性があり甚だ危険であるな
ど多くの欠点がある。

このような処理方法の他に電解法、瀘過法、蒸発分留法
などがあるが、いづれも大型な装置を必要とし、設備コ
ストも上がり小規模な企業対象とはなり得ない。

この発明は、斜上の点に着目して成されたもので、エマ
ルジョン切削油を使用する小規模企業の数ケ月に１回位
の割合でエマルジョン切削油を交換することによって生
ずる廃油処理を、きわめて簡単に無害な状態での投棄を
可能としたエマルジョン切削油廃液のパラフィンによる
抽出方法を提供するにある。

この発明の特徴とする処は、ＪＩＳＫＯ１０２排水試験
方法のｎ−ヘキサン抽出物質と同じ直鎖の炭化水素であ
る処のパラフィンを用いこのパラフィンにより、汚染物
質のｎ−ヘキサン抽出物質を抽出除去するようにすると
共に廃油中の油分、エマルジョン油をパラフィンに同時
に包含させて、油分エマルジョン油を水中から分離する
ようにしたエマルジョン切削油廃液のパラフィンによる
抽出方法にある。

また、この発明の他の特徴とする処は、パラフィンが常
温で固体であり、融点も６０〜６２℃位の比較的低い温
度であることを利用し、パラフィンにより抽出された油
分その他の油状汚染物質を回収し、再生利用できるよう
にしたエマルジョン切削油廃液のパラフィンによる抽出
方法にある。

以下に、この発明の一実施例を説明する。

まず、廃液１１を所定の容器内に入れる。

廃液を攪拌しながら硫酸を加えてＰＨ１程度の酸性液と
して加熱しながらエマルジョンを破壊し比重差によって
油状物質と分離液とに分離する。

つぎに、この加熱された廃液にパラフィン１００ｇを加
えて液温を６０〜８０℃位にして５分〜１０分位加熱状
態を維持する。

そして、その間、パラフィンを廃液全体に行き亘たらせ
てから加熱を止めて放冷する。

温度が次第に降下して、はぼ室温に達すると廃液中の油
分などの油状汚染物質はパラフィンにより包含された状
態で分離液の表面に固化して分離する。

油状廃棄物質を包含しているパラフィンは固化している
のでこれを除去し、分離液に対して石灰を加えて中和し
、ＰＨ７の中性液とする。

石灰の投入により凝集反応を生じて得た沈澱物は、水酸
化鉄、水酸化アルミニウムその信服肪酸のカルシウム塩
などとして得られるのでこれらを炉遇すれば汚染公害物
質は殆んど完全に除去された状態となる。

また、固形のパラフィンは燃料としてその侭利用できる
が、分別蒸溜法によって各種の油状成分を抽出してそれ
ぞれ再生利用を可能きする。

ツキに、エマルジョン切削油の廃液Ａ、Ｂ、Ｃ。

Ｄにおいて表１に示す廃液成分ＣＯＤ、およびｎ−ヘキ
サン抽出物が、この発明の実施例で示す処理方法によっ
てパラフィンが抽出した各種油分その他の油状物質以外
の分離液中にどれ位減少して行ったかを表−２以降で示
す。

すなわち、パラフィンによって各種油状物質を包含させ
て抽出除去した後の分離液でも表−２に示すようにＣＯ
Ｄとｎ−ヘキサン抽出物は著るしく減少していることが
分ると共にさらにこの分離液を中和濾過させることによ
り、いづれの成分も９９％以上に除去できたことを示し
ており、この除去率を表−４で示す。

この発明によれば、処理方法が簡単で少量の廃液処理が
可能となるので小規模企業の廃油処理にきわめて有効に
利用できる。

なお、この発明の特徴とする点を以下に列挙する。

イ）パラフィンを加熱溶融して液状の油状物質を固形物
質として取除いているので、鉱油、動植物油以外に界面
活性剤、有機硫黄化合物、有機塩素化合物、エステル、
アミンなどエマルジョン切削油の各種成分を抽出できる
。

Ｑ 油状汚染物質を含有したエマルジョン廃液は酸性に
しているので、これを温めることにより簡単にエマルジ
ョンブレークができる。

ノ→廃油中の鉄分または脂肪酸は、硫酸または塩酸によ
り酸性に保って分離液中に混入しているので石灰で中和
させるだけで特別な凝集剤の添加を必要とすることなく
、水酸化鉄またはカルシウム塩として沈澱除去できる。

→油状汚染物質を含有した固型のパラフィンは、パラフ
ィン、鉱油などを沸点の違いにより分溜でき、鉱油は原
料へ、パラフィンは廃液の抽出に再利用できる。

ホ）パラフィン１容に対し、エマルジョン切削油廃油で
２容の油状物質を抽出できる。

へ）パラフィンは加熱しても沸点が３００℃位できわめ
て高いので危険が少いと共に無害である。

ト）油状物質を含有したパラフィンを取除いた分離液中
のＣＯＤ値およびｎ−ヘキサン抽出物質は、９９％以上
除去できる。

以上述べたように、この発明によれば、エマルジョン切
削油の廃油処理を汚染物質を投棄することなく簡単に実
癩できるので公害防止の上で淘に有益である。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ エマルジョン切削油の廃液に酸を加えてエマルジョ
   ンを破壊し、比重差によって油状物質と分離液とに分離
   すると共に、これに固形のパラフィンを加えて融解温度
   まで加熱し油状物質をパラフィンで包含させて冷却固化
   してパラフィンによって抽出するようにしたことを特徴
   とするエマルジョン切削油廃液のパラフィンによる抽出
   方法。 ２ 前項において油状物質を抽出したパラフィンを除去
   した分離水に石灰などの中和剤を加えて、鉄、脂肪酸な
   どを沈澱凝集除去するようにしたエマルジョン切削油廃
   液のパラフィンによる抽出方法。