JPS5942928B2 - 自動復帰式熱動形過電流継電器 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は自動復帰成熱動形過電流継電器の長時限復帰形
の改良に関する。

従来、冷凍機用の電動機保護としては自動復帰式の熱動
形過電流継電器を採用される場合が多く、この場合の動
作特性としては一般に４〜６倍の過電流で２〜１５秒位
で動作するものが要求されるが、その復帰時間について
は逆に長く２〜３分以上を要求されていた０この場合、
動作時間については従来技術で満足できるが、復帰時間
を長くすることについては困難であった。

第１図は従来の熱動形過電流継電器の内部正面図の要部
を示すもので、１は図示しないヒータ一部に過電流が流
れた場合、図示２点鎖線から実線方向にわん曲するバイ
メタル板で、その先端１ａには連動板２が係合されてい
る。

この連動板２は上記バイメタル板１のわん曲により図示
左側方向に押され、その左側先端２ａに係合された釈放
レバー３の下方自由端３ａを押す。

釈放レバー３は前記連動板と係合する自由端３ａ、ケー
ス４に支持された調整金具５に軸６により軸支された基
部３ｂおよび、その中間部付近に設けられ、後述のトグ
ル機構を形成する作動板７に当接する当接片３ｃを有し
、自由端３ａ部分は通常バイメタル板で形成されること
から、第１図では別体のものを溶接等により固着したも
のが示されている０ なお、これらは一体的に形成される場合もある。

このように一体化された釈放レバーは軸６のまわりに回
動可能である０前記作動板７は弾性体より成り、その下
方端部には可動接点８が固着される０また、上方端部に
は第２図に示すように取付孔７ａを有し、中央部には舌
片７ｂが設けられ、ケースに固定（図示せず）されたコ
字状の基台９の上下の支持部９ａ・９ｂを取付孔７ａの
上端部７ａ′と舌片７ｂの先端７ｂ’とにより挾むよう
にして揺動可能に保持され、しかも舌片７ｂは弾性板で
あって撓み量をもって基台９へ当接しているので、作動
板７は基台９に弾性的に支持されている。

この作動板７はその下方自由端を常時は固定接点１０側
へ圧接するように配置され、上部の取付孔７ａの上端部
７ａ′と舌片７ｂの先端７ｂ’とのほぼ中間に設けられ
た突起７ｃが第１図に示すように釈放レバー３の当接片
３ｃと当接するように形成されている。

そして釈放レバー３の時計方向への回動により押されて
基台９の上下支持部９ａ・９ｂの延長線Ａ−Ａ’を境に
トグル機構が反転し、可動接点８が固定接点１０から解
離し、第１図に示すようにストッパー１１側へ移動する
。

この場合、ストッパー１１の位置は、接点の自動復帰を
必要とするため、釈放レバー３の復帰方向、すなわち反
時計方向への回動に伴ない作動板自身も追随し、トグル
機構を自動的に再反転し得るよう選定される。

すなわち、作動板７の下方端部が基台９の上下支持部９
ａ・９ｂの延長線Ａ−Ａ’より固定接点１０側に位置す
るよう設定される。

このように作動板７、基台９、可動接点８、固定接点１
０、ストッパー１１により速動開閉機構が形成される。

このように構成された従来例の動作を説明すると、まず
負荷側事故により過電流が流れ、バイメタル板１がわん
曲し、連動板２を介して釈放レバー３を軸６のまわりに
時計方向に回動させ、この回動により釈放レバー３の当
接片３ｃで作動板の突起７ｃを押すことになり、速動開
閉機構の作動板７のトグル機構が反転動作し、可動接点
８は固定接点１０から離れてストッパー１１側へ移動す
る。

この場合の可動接点８を固着した部分の作動板の停止位
置は、基台９の支持部９ａ・９ｂを結ぶ延長線Ａ−Ａ’
に対して固定接点１０側にある。

このような接点の開放動作により図示しない開閉器等が
しゃ断開放し、過電流が流れなくなり、バイメタル板１
は冷却されわん白変形は復元する。

この復元動作に伴ない作動板７はその弾性力により突起
７ｃで釈放レバーの当接片３ｃを押し戻しながら復帰方
向へ移動し、突起７ｃ付近の作動板７がＡ−に線を越え
て復元されると、作動板７のトグル機構が反転復帰し、
可動接点８は固定接点１０側に自動的に復帰する。

このように従来実施例によれば、接点の自動復帰を行な
わせるためには、第１図に示すように速動開閉機構の作
動板７が動作反転後の可動接点８を固着した部分の作動
板７の停止位置を基台９の上下支持部９ａ・９ｂの延長
線入−にに対して固定接点１０側に位置させる必要があ
り、そのため速動開閉機構が動作反転した時点から復帰
反転するまでの作動板７の移動距離には限度があり、こ
の移動距離と比例的に表現できる釈放レバー先端 ３ａ
の移動距離である復帰ストロークにも自ずと限度があっ
た。

第３図はバイメタル板の冷却時のわん回持性を示し、縦
軸の動作時のわん曲点から復帰ストロークＩの長さのも
のでは復帰時間Ｔ１を得るのに対し、復帰ストローク■
ではＴ、の３倍の復帰時間Ｔ２を得ることができる。

すなわち縦軸の動作時のわん曲点に対する復帰ストロー
クの割合が大きくなれば復帰時間を長くすることができ
る。

しかし従来の自動復帰式の熱動形過電流継電器は、前記
したように復帰ストロークを成る程度以上は大きくする
ことはできなかった。

また、仮に復帰ストロークを大さくできたとしても動作
ストローク（過電流によるバイメタル板のわん曲により
釈放レバー３が時計方向に回動して、速動開閉機構が動
作反転するまでの釈放レバー先端３ａの移動距離）に接
近し過ぎると、復帰の正確度が損われ、復帰不良を起す
可能性があり、逆に動作ストロークを復帰ストロークに
近づけて、動作ストロークに対する復帰ストロークの割
合を大きくして復帰時間を長くすることも考えられるが
、動作ストロークがあまり小さくなると、過負荷時の動
作電流値の調整範囲（第１図の電流調整ダイヤルＤＹに
よる調整）も狭められて遂には調整できなくなり、この
ようなことから従来の自動復帰式のものでは復帰時間を
２〜３分以上長くすることは困難であった。

したがって、従来はこの対策として別途復帰用のタイマ
ー等を設けた回路的にも複雑なものとなり価格も高くな
っていた。

（図示省略）本発明はこれらの欠点を解消し、過負荷時
の速動開閉機構動作反転後の復帰ストロークを長くして
、速動開閉機構の作動板自身での自動復帰ができないよ
うにし、復帰に際しては、釈放レバーと共動する復帰レ
バーを作動板の復帰方向に係合し、過電流しゃ断後釈放
レバーを復帰方向へ付勢する復帰専用のバイメタル板を
別途設置して、そのバイメタル板のわん曲復元力により
連動板および釈放レバーを介して復帰レバーを引戻し、
その復帰レバーに係合した速動開閉機構を反転復帰する
ようにした復帰時間の長い自動復帰成熱動形過電流継電
器を提供することを目的としたものである。

次に本発明の一実施例を図面により説明する。

第４図は本発明の内部正面図の要部を示すもので、図に
おいて従来例と同符号のものは同一または相当する部分
を示し、１は通常使用されているバイメタル板、２は連
動板、３は釈放レバー、４はケース、５は調整金具、６
は軸、７は作動板、８は可動接点、９は基台、１０は固
定接点、１１はストッパーであり、これらの構成につい
ては第１図に示した従来例とほぼ同様である。

ここで従来例と相違する部分としては、速動開閉機構が
過負荷により動作反転後、可動接点８を停止させるスト
ッパー１１の位置が従来例に対して、さらに図示左側方
向にあって、釈放レバー３の復帰時に作動板７自身では
そのトグル機構が反転し得ないような位置に選定されて
いることである。

すなわち、作動板７の下方自由端部が基台９の上下支持
部９ａ・９ｂの延長線Ａ−Ａ’よりストッパー１１側に
位置するよう選定される。

そのため復帰ストロークも第１図の従来例に比べて長く
なっている。

したがって、この作動板７の復帰については他力復帰が
必要となる。

１２は釈放レバー３が復帰方向に回動する際、それと共
動して作動板７を復帰方向へ引戻す復帰レバーで、釈放
レバー３に固着、または一体的に形成されるものである
。

１３はバイメタル板１よりさらに大きいわん回持性（例
えばバイメタル板１のわん曲量の１．５〜３倍等選定さ
れる）を有する復帰専用のバイメタル板で、熱わん曲量
には連動板と係合せず、わん曲復元時に下方先端１３ａ
を連動板の保合部２ｂと係合して連動板２を図示右側方
向へ移動させる。

この場合連動板２の左側端部には釈放レバー３の下方自
由端３ａとの係合凹部２ｃが設けられていて、その中間
部に設けられた係合部２ｄで釈放レバー３を復帰方向へ
引戻すように構成されている。

なお、保合四部２ｃの他の係合部２ａはバイメタル板１
が熱わん曲する場合に釈放レバー３を動作方向へ回動さ
せるためのもので、従来例と同目的のためのものである
。

第５図は、バイメタル板１．１３の冷却特性の一例を示
すもので、Ａは通常使用されているバイメタル板１の冷
却特性であり、Ｂは本発明で使用される復帰専用のバイ
メタル板１３の冷却特性である。

図からバイメタル板の動作時のわん白点から、わん曲量
０．５となるための時間は、ＡにおいてＴＩであるのに
対しＢでは約２倍のＴ２時間となることが分る。

このような復帰時間はＢの冷却時の冷却特性によって決
定される。

このように構成された本発明の動作は、図示しないヒー
ターに過電流が流れると、バイメタル板１が過熱されて
図示左方向へわん曲変形する。

このわん曲変形によりバイメタル板先端１ａで連動板２
を左側方向へ押すことになり、これに伴って釈放レバー
３をこれに係合された作動板７の弾性力に打ち勝って軸
６のまわりに時計方向へ回動させる。

この釈放レバー３の回動により、釈放レバーの当接片３
ｃで作動板の突起７ｃを押すことになり、速動開閉機構
が動作反転して第４図に示すように可動接点８がストッ
パー１１側に反転し停止する。

この接点の開放動作により図示しない電源側の開閉器等
が開放し過電流がしゃ断され、バイメタル板１には電流
が流れなくなり、自然冷却されてわん曲変形も常態に復
元するようになる。

なお、バイメタル板１よりわん曲変形大なる復帰専用の
バイメタル板１３も同様にわん曲復元する。

この復元動作の場合、本発明によれば復帰時間を長くす
るために復帰ストロークを通常の自動復帰式よりも大き
く、また、動作反転後の作動板７の可動接点８を固着し
た部分の停止位置が、基台９の上下支持部９ａ・９ｂの
延長線Ａ−Ｎを越えてストッパー側となるよう形成され
ているので、本来ならばそのトグル機構からして復帰し
得ないにもかかわらず、復帰レバー１２と復帰専用のバ
イメタル板１３の追加および連動板２の形状変更により
復帰方向へ付勢せしめて接点の自動復帰が可能となって
いる０すなわち、復帰専用のバイメタル板１３の復元力
により連動板２を介して釈放レバー３が復帰方向に引戻
され、これに伴なって釈放レバー３と共動する復帰レバ
ー１２により作動板７も復帰方向（図示右方向）へ引戻
されて、作動板７のトグル機構が反転復帰し、作動板７
の下方自由端に固着した可動接点８は自動復帰する。

このように作動板７の動作反転時の停止位置が、基台９
の上下支持部９ａ・９ｂの延長線Ａ−Ａ’より左側方向
に位置するようストッパー１１の配置を設定し、復帰レ
バー１２および復帰専用のバイメタル板１３の追加と連
動板の形状変更という簡単な構造変更により、従来実現
できなかった復帰時間２〜３分以上のものを容易に得る
ことができるようになった。

以上のように本発明によれば、過電流動作用バイメタル
板１、復帰専用バイメタル板１３、前記バイメタル板１
によって作動時折圧される押圧部と前記バイメタル板１
３によって復帰時押圧される押圧部と端部に挾持部を有
する連動板２、該連動板゛挾持部に一端を挾持され、他
端を固定部に回動可能に支持された釈放レバー３、該釈
放レバー中間部に設けられた当接片３ｃと復帰レバー１
２、コ字状に形成され、該コ字状外側腕部にそれぞれ支
持部を有する基台９、該基台支持部に揺動可能に保持さ
れ、遊端部に可動接点を有し前記当接片により押圧され
、前記復帰レバーにより引戻される弾性作動板７、該作
動板の可動接点にそれぞれ対接する固定接点１０とスト
ッパー１１、前記基台の２つの支持部９ａ 、９ｂを結
ぶ線上Ａ−Ａ’を、過電流動作時の前記弾性作動板の反
転停止位置が越えると共に、前記復帰レバーの係止部に
前記弾性作動板が対接するごとく配置されているので、
復帰ストロークを従来に比べて大きくでき、動作ストロ
ークを不必要に小さくすることなく、また、復帰ストロ
ークが大きいにもかかわらず、作動板のトグル機構が完
全に反転して接点を自動復帰させることができる。

したがって、従来例のように別途復帰用のタイマー等を
使用する必要もなく、動作電流値の調整可能な復帰時間
の長い、しかも構造簡単で、安価な自動復帰成熱動形過
電流継電器を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来実施例の熱動形過電流継電器の要部を示す
内部正面図、第２図は作動板支持部説明のための斜視図
、第３図はバイメタル板冷却時のわん曲復元特性曲線を
示し、復帰ストロークと復帰時間の関係を説明するため
のもの、第４図は本発明の要部を示す内部正面図、第５
図はバイメタル板１および復帰専用のバイメタル板１３
の冷却特性の一例を示すものである。 １・・・・・・バイメタル板、２・・・・・・連動板、
３・・・・・・釈放レバー、６・・・・・・軸、７・・
・・・・作動板、８・・・・・・可動接点、９・・・・
・・基台、１０・・・・・・固定接点、１１・・・・・
・ストッパー、１２・・・・・・復帰レバー、１３・・
・・・・復帰専用のバイメタル板。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 過電流動作用バイメタル板１、復帰専用バイメタル
   板１３、前記バイメタル板１によって作動時押圧される
   押圧部と前記バイメタル板１３によって復帰時折圧され
   る押圧部と端部に挾持部を有する連動板２、該連動板挾
   持部に一端を挾持され、他端を固定部に回動可能に支持
   された釈放レバ−３該釈放レバー中間部に設けられた当
   接片３Ｃと復帰レバー１２、コ字状に形成され、該コ字
   状外側腕部にそれぞれ支持部を有する基台９、該基台支
   持部に揺動可能に保持され、遊端部に可動接点を有し前
   記当接片により押圧され、前記復帰レバーにより引戻さ
   れる弾性作動板７、該作動板の可能接点にそれぞれ対接
   する固定接点１０とストッパー１１、前記基台の２つの
   支持部９ａ 、９ｂを結ぶ線上Ａ−Ａ’を、過電流動作
   時の前記弾性作動板の反転停止位置が越えると共に、前
   記復帰レバーの係止部に前記弾性作動板が対接するごと
   く配置されたことを特徴とする自動復帰成熱動形過電流
   継電器。 ２ 復帰レバー１２を釈放レバー３と一体的に形成した
   ことを特徴とする特許請求の範囲第１項記載の自動復帰
   成熱動形過電流継電器。