JPS5941515B2 - 自動車用部分表面処理鋼板 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、鋼板の側端部（側端表面部）を部分防食被膜
を施した自動車用部分表面処理鋼板に関するものである
。

現在、自動車用鋼板材料には、凝結水、雨水等による濡
れ大気病食、寒冷地域における冬期道路凍結防止用散布
剤（塩化ナトリウム、塩化カルシウム等）等の防食対策
として、車体内外面を問わず片面または両面に燐酸塩処
理、各種の金属または合金被膜を施した全面メッキ鋼板
が使用されている。

しかしながら、自動車々体材料の中で例えばドアやフエ
ンダー部材のキャラクタ−ライン上部位置の該当材料の
ように塗装が充分に行なわれる部分に全面メッキ鋼板を
使用することは、冷延鋼板に電着塗装特にカチオン電着
塗装した鋼板に較べ、塗装後の耐食性が劣り、省資源化
と低コスト化から好ましいものでない。

またこのように部分に使用される材料は現在主として亜
鉛系表面処理鋼板が使用されカチオン電着塗装時の塗装
条件あるいは塗料の種類によつてはＥＤフッ（電着フッ
）と呼ばれる塗膜欠陥を発生したり、あるいは腐食環境
において亜鉛系を主成分とする表面処理鋼板は塗膜の密
着性が必ずしも充分でなく塗膜を通して侵入する腐食水
溶液によつてブリスターが発生したりあるいは塗料が容
易に剥離される問題があつた。本発明は、耐食性、リン
酸塩処理性および塗装性能（塗装後の耐食性、二次塗料
密着性）が同一部材の異なる位置で同時に要求される自
動車用部材、例えばドアやフエンダーのキャラクタ−ラ
イン下部位置に耐食性またその上部位置にリン酸塩処理
性および塗装性能が要求される同一部材に対して使用す
ることができる自動車用部分表面処理鋼材を提供するも
のである。

さらにまた均一厚みの平担面をもつ自動車用部分表面処
理鋼板を提供するものである。その要旨は、鋼板側端部
の片側または両側の片面または両面に、また防食被覆層
厚みに同等もしくは同等以上のクラウン量をつけた鋼板
側端部の片側または両側の片面または両面に、連続また
は不連続状の防食被膜を施した自動車用部分表面処理鋼
板である。以下本発明について詳細に説明する。

通常の表面処理原板（鋼板）の製造工程を経て製造され
た鋼ストリツプまたは切板の如き鋼板側端部の片側また
は両側の片面または両面に、亜鉛メツキ、亜鉛一アルミ
合金メツキ、亜鉛系合金メツキ（例えばＺｎ−Ｆｅ−Ｎ
ｉ等）ターンメツキ、亜鉛合金化メツキ等を通常のメツ
キ法（ロールコーテイング、電磁ポンプ、超音波振動に
よる溶融メツキ法や電気メツキ法、蒸着、スプレー）に
よつて、連続または不連続状の部分メツキを施す。また
亜鋭粉末を主成分とした防食塗料をメツキと同様に部分
塗装してもよい。この場合表面処理原板の側端部に部分
表面処理する被膜の巾と形状は、車体の形状や大きさあ
るいは要求される耐食性部分の大きさによつて、任意に
決められるものである。さらにまた本発明は、必要によ
つて自動車用に同一板厚の表面平担な部分表面処理鋼板
が要求される場合、通常の製造工程を経て製造された表
面処理原板に、予め防食被覆層の厚みに同等もしくは同
等以上のクラウン量をつけた鋼板側端部の片側または両
側の片面または両面に連続または不連続状の防食被膜を
施した部分表面処理鋼板も提供する。

表面処理鋼板の中央部から側端部に向けて板厚を薄くす
るようなクラウンをつけた表面処理原板の鋼ストリツプ
または切板の側端部に防食被膜を施すことは、同一板厚
で平担な表面をもつ表面処理原板に部分表面処理した表
面処理鋼板の巻取時または積層時に発生する防食被膜の
ビルドアツプや鋼板の変形を防止して彎曲のない商品価
値の高い部分表面処理鋼材を製造する。このクラウンの
大きさは、通常自動車用表面処理鋼板として被膜層の厚
みは片面当り約２５μ以下のものが使用されるので、片
面当り多くとも１００μ、好ましくは５０μ程度が良好
な製品コイルの形状を確保するために望ましい。

即ち、部分表面処理を施される鋼ストリツプに対して、
被膜層の厚みと同じ大きさのクラウンで理論的には充分
であるが、被覆層の厚みのばらつき等を考慮すれば被覆
層厚みより幾分大なるクラウンをつけることが好ましく
、又現状の自動車用表面処理鋼板の最大被覆層厚みの約
２倍程度の大きさのクラウンをつければ、本発明の目的
とする部分表面処理鋼材をコイル製品としてその形状を
悪化させることなく得ることができる。

このクラウンを表面処理原板につける方法は、特に規定
されないが、通常冷延鋼板に行なわれている方法が採用
される。

例えば、熱間圧延工程において、最終仕上げ工程におい
て、熱間圧延板にクラウンをつけて、その比率のクラウ
ンで後工程の冷間圧延工程を行なうことによつて容易に
達成できる。上記のように鋼板の中央部を鉄面その両側
を部分被覆層を施した本発明の部分表面処理鋼板を自動
車用表面処理鋼板として使用することにより、自動車車
体の内面部において塗料のツキ廻りがよく、充分な塗装
が行なわれる部分は冷延鋼板とほぼ同様の表面状態を有
する鉄面で構成され、塗装が充分に行なわれない部分は
表面被覆処理面で構成されることによつて、自動車車体
の防食効果を著しく向上せしめることが可能である。

以下に本発明の実施例を示す。

実施例 １ 鋼ストリツプ（０．８×１２１４ＸＣ）をゼンヂマ一方
式の片面溶融メツキ装置を用い、酸化方式による加熱脱
脂及びガス（７５％Ｈ２−Ｎ２系）還元方式による表面
清浄化処理を行なつて非酸化性雰囲気に保たれたチヤン
バ一内の片面溶融亜鉛メツキ浴面上を通板させて片面溶
融亜鉛メツキを施した。

即ち、メツキ原板として鋼ストリツプの中央部から両側
に向つて５０μのクラウンをつけた鋼ストリツプを用い
ると共に、溶融亜鉛メツキ浴面上をほぼ水平に通板せし
め、かつ溶融亜鉛メツキ浴移動ガイド装置と電磁ポンプ
を用いて溶融亜鉛メツキ浴を流動、移動せしめると共に
、流動浴の移動ガイド装置の出口部が浴面上において、
鋼ストリツプの両側から各々２００ｍｍ巾づつ流動浴を
供給できるメツキ浴の出口部からメツキ浴を鋼ストリツ
プに供給した。

そのあと該鋼ストリツプを高圧Ｎ２ガス（圧力０．１０
ｋｇ／ｄ）でワイピングを行なつてメツキ量１２０９／
イの両側から約２００ｍｕ巾ずつメツキされた部分片面
溶融亜鉛メツキ鋼板を得た。次いで、この部分片面溶融
亜鉛メツキ鋼板の非メツキ面の冷却過程において生成し
た酸化膜を、酸洗により除去して製品をコイル状に巻き
取つたが、鋼ストリツプ原板にクラウンをつけたため、
上記の如き厚メツキ量にかかわらず、形状を悪化せしめ
ることなく良好な形状で巻き取ることができた。

本発明の部分片面溶融亜鉛メツキ鋼板を用いて自動車の
ドア一を成形加工して製作すると共に、片面メツキを部
分的に施した部分がドア一のキヤラクターラインの下側
でかつ内面に位置する様に自動車車体に取りつけ、燐酸
塩処理及びカチオン電着塗装を施して性能試験を行なつ
た。一方比較例として、メツキ量１２０ｙ／ＴＩの溶融
亜鉛メツキを片面全面に施した片面溶融亜鉛メツキ鋼板
を用いて、亜鉛メツキ面がドア一内面に位置するように
製作して自動車車体に取りつけ、燐酸塩処理及びカチオ
ン電着塗装を施して性能試験を行なつた。第１表に性能
試験結果を示すように、本発明の部分片面溶融亜鉛メツ
キ鋼板は、自動車車体の内面において燐酸塩処理、塗装
がツキ廻り良く充分に行なわれる個所は非メツキ面（鉄
面）で構成され、又前記処理が困難な車体内面の下廻り
の個所は表面処理を施されたメツキ面で構成されるよう
に使用されることにより、自動車車体用の防食鋼板とし
て著しく優れた性能を有していた。実施例 ２ 鋼ストリツプ（０．７×９１４ＸＣ）をメツキ原板とし
て用い、前処理による清浄化、活性化処理後水洗してか
ら鋼ストリツプの片側１５０ｍｍ巾に対して片面のみ約
４０９／Ｍ２のメツキ量の片面電気亜鉛メツキを施した
。

即ち、鋼ストリツプのメツキ面に対応して１５０ｍｍ巾
の電極を設け、残余の非メツキ面に対応する面にはＦＲ
Ｐ製の非通電性の電流遮断ガイドをＬ字型に設けて電解
処理を行なうことにより、鋼ストリツプの片側１５０ｍ
ｍ巾の片面のみにメツキ量約４０９／Ｍ２の部分片面電
気亜鉛メツキ鋼板を製造した。次いで、本発明の部分片
面電気亜鉛メツキ鋼板を用いて、部分片面メツキが施さ
れた部分が自動車フエンダ一のキヤラクターラインより
下側、内面に位置するように製作、自動車車体に取りつ
けた。

一方比較例として、メツキ量４０９／Ｍ２の片面電気亜
鉛メツキを片面全面に施した片面電気亜鉛メツキ鋼板を
用いて、亜鉛メツキ面がフエンダ一内面に位置するよう
に製作して自動車車体に取りつけた。

上記自動車車体を各々燐酸塩処理、及び力チオノン電着
塗装を施して性能試験を行なつた。

第１表に性能試験結果を示すように、本発明の部分片面
電気亜鉛メツキ鋼板は、自動車車体の内面において燐酸
塩処理、塗装がツキ廻り良く充分に行なわれる個所は非
メツキ面（鉄面）で構成され、又前記処理が困難な車体
内面の下廻りの個所は表面処理を施されたメツキ面で構
成されるように使用されることにより、自動車車体の防
食鋼板として著しく優れた性能を有していた。実施例
３ 鋼ストリツプの中央部から両側に向つて４０μのクラウ
ンをつけた０．８×１５２０×Ｃをメツキ原板として用
い、前処理による清浄化、活性化処理後水洗してから、
鋼ストリツプの両側から約３００ｍｍ巾に対して両面に
約２２．５９／Ｍ２のメツキ量のＺｎ−７．５０！）Ｆ
ｅ−１５％Ｎｉ系合金電気メツキを施した。

即ち、鋼ストリツプのメツキ面に対応して３００關巾の
電極を鋼ストリツプの両側に対向して設けると共に、残
余の非メツキ面に対応する面にはコの字型のチタン製の
非通電性の電流遮断ガイドを設けて電解処理を行なうこ
とにより、鋼ストリツプの両側３００ｍｍ巾の両面にメ
ツキ量約２２．５９／Ｍ２の部分両面電気亜鉛系合金メ
ツキ鋼板を製造した。

この場合、鋼ストリツプ原板にクラウンをつけたため、
両面の部分メツキにかかわらず形状を損なうこくなくコ
イル状に巻き取ることが可能であつた。次いで、本発明
の部分電気亜鉛系合金メツキ鋼板を用いて、部分メツキ
された面が自動車のドア一のキヤラクターラインより下
側に位置するように製作、自動車車体に取りつけた。一
方、比較例として、メツキ量約２２．５９／Ｍ２の片面
電気亜鉛系合金メツキを片面全面に施した片面電気亜鉛
系合金メツキ鋼板を用いて片面メツキ面がドア一内面に
位置するように製作して自動車車体に取りつけた。上記
自動車車体を各々燐酸塩処理、及びカチオン電着塗装を
施して性能試験を行なつた。第１表に性能試験結果を示
すように、本発明の部分電気亜鉛系合金メツキ鋼板は、
自動車車体の内面において燐酸塩処理、塗装がツキ廻り
良く充分に行なわれる個所は、非メツキ面（鉄面）で構
成され、又前記処理が困難な車体内面の下廻りの個所は
表面処理を施されたメツキ面で構成されるように使用さ
れることにより、自動車車体用の防 食鋼板として著しく優れた性能を有していた。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 鋼板側端部の片側または両側の片面または両面に、
   連続または不連続状の防食被膜を施したことを特徴とす
   る自動車用部分表面処理鋼板。 ２ 防食被覆層厚みに同等もしくは同等以上クラウン量
   をつけた鋼板側端部の片側または両側の片面または両面
   に、連続または不連続状の防食被膜を施したことを特徴
   とする自動車用部分メッキ鋼板。