JPS5941276B2 - 発熱体 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は遠赤外域の熱線を放射し、効率よ〈物体の加熱
を行ないうる新規な発熱体に関するものである。

これまで、ニクロム線のような抵抗体をセラミックス板
に埋め込んだり、表面に設けた溝中に装入した構造をも
つ発熱体は知られている。

しかしながら、この発熱体におけるセラミックス板は単
に抵抗体の支持体として用いられているにすぎず抵抗体
の発生する熱を直接被熱物体に受ける形式であるため、
水、高分子物質のように遠赤外域に特性吸収を有する物
の加熱を効果的に行なうには不適当であるし、また使用
されるセラミックス板自体非常にもろくかつ野衝撃に弱
いため、外部衝撃や冷物体との接触により容易に破損す
るという欠点がある。他方、石英管や、特殊セラミック
ス層を表面に有する金属管に抵抗体を装入した形式の赤
外線ヒーターも知られている。

しかしながら、このようなヒーターは構造が複雑で、簡
単に製造できないという欠点がある。本発明者は、構造
が簡単で取扱いやすく、しかも機械的、熱的衝撃に十分
に耐えうる遠赤外発熱体を開発すべく鋭意研究を重ねた
結果、ある種のセラミックスを基体とし、この一方の面
に抵抗材料からなる導電性皮膜を形成させた場合、通電
により抵抗材料が発熱し、これにより該セラミックスが
加熱されて強い遠赤外域の熱線を放射することおよびこ
の発熱体は機械的、熱的衝撃に強いことを見出し、この
知見に基づいて本発明をなすに至つた。

すなわち、本発明は、ムライト系セラミックス、酸化ス
ズ系セラミックス、炭化ケイ素系セラミックス、コージ
イエライト系セラミックス、チタン酸アルミニウム系セ
ラミックス及びスポジウメン系セラミックスの中から選
ばれた加熱により遠赤外域の熱線を放射しうる、熱膨張
係数５×１０−０／ ｄｅｇ以下の、ち密なセラミック
スからなる板状体の一方の面に、所定の抵抗材料からな
る導電性皮膜を一体的に形成させたことを特徴とする発
熱体を提供するものである。

本発明においては、発熱体本体として、加熱により遠赤
外域の熱線を放射し、しかも低熱膨張率のち密なセラミ
ツクス、すなわちムライト系セラミツクス、酸化スズ系
セラミツクス、炭化ケイ素系セラミツクス、コージイエ
ライト系セラミツクス、チタン酸アルミニウム系セラミ
ツクス、スポジウメン系セラミツクスなどで熱膨張係数
５×１０−６／Ｄｅｇ以下のものを用いることが必要で
ある。

そして、このようなセラミツクスを用いることにより、
特に水や有機高分子物質の加熱を効率よく行うことがで
き、しかも機械的曲げ強度少なくとも５００却／Ｃｄｓ
通常は１０００幻／Ｃｄ以上という高強度を有する発熱
体を得ることができるのである。

また、これらのセラミツクスを加熱するための導電性皮
膜抵抗体を構成する材料としては、各種金属、合金なら
びに炭化物・窒化物・酸化物等をあげることができる。

これらは厚さ０．０５μないし５０μの皮膜としてセラ
ミツクス表面の一方に被着される。この被着方法として
は、貼着、真空蒸着、メツキ、印刷、転写などがある。
次に、本発明の発熱体を図面について説明すると、第１
図の側面図に示すように、セラミツクス板１の裏面に導
電性抵抗材料からなる導電性皮膜が一体に被着形成され
、導電性皮膜２には両端部にそれぞれ電極３，３が取り
付けられ送電端子を形成している。

前記発熱体の構成に訃いて、導電性皮膜２は、第２図の
ように細巾の線状あるいは第３図のように１枚の板状な
ど適宜形状をとることができるが、セラミツクス板１を
十分に加熱しうるための出力を有することが必要である
。

このため、厚さは少なくとも０．０５μにするが、あま
り厚くなるとセラミツクス板１との熱膨張率の差が大き
くなり全体に反りを生じるおそれがあるから、５０μを
超えないようにするのが好ましい。本発明の発熱体の断
面構造は、必ずしも第１図のように直線的表面にする必
要はなく、第４図に示すごとく、熱放射面に多数の凹凸
を設けて放射面積を増大させてもよいし、また第５図に
示すごとく、熱放射面を曲面にして熱線の乱反射を形成
させるようにしてもよい。

本発明の発熱体を用いて加熱器を構成する場合、単に一
方の側のみを放射面とした加熱プレートとするのが普通
であるが、使用目的に応じ第６図のごとく２枚の加熱プ
レートを導電性皮膜２を内側にしてスペーサー兼電極３
，３を介して結合した構造とし、両面より熱線を放射す
るように構成することもできる。

さらに、第７図に示すごとく、４枚の加熱プレートを角
筒状に組み合わせ、四方の面より熱線を放射させる構造
にしてもよいし、あらかじめセラミツクスを円筒状に成
形し、第８図に示すごとくその内面に導電性皮膜２を設
けて、外面全体から熱線を放射させる構遺あるいは第９
図に示すごとく球面体の構造にすることもできる。この
第１臥第８図および第９図の構造は、たとえばその内部
に窒素、アルゴンなどの不活性気体を充満することによ
り導電性皮膜の高温劣化を抑制できるので一般に存在す
る発熱体より高温まで使用できる発熱体を新たに提供で
きる。また、第１０図のように円筒体セラミツクスの外
側に導電性皮膜を設ける構造とすれば、内部に被加熱体
を封入し、効率よく加熱することができる。この第１０
図では、この内部に不活性気体を充満することにより、
被加熱体をその雰囲気で加熱することができる。次に本
発明の発熱体の利点を示す。

（１）？熱体本体がち密なセラミツクスから成つている
ため、前記第７図、第８図、第９図のような構造とし、
導電性皮膜を外部と遮断して内部に封入することができ
るので、耐薬品性の良好なものとすることができ、しか
も機械的強度が大きいという長所を有している。

（２）セラミツクスが低熱膨張性なので、外部からの熱
衝撃に対し安定である。

通常のセラミツクスは熱衝撃に弱いという欠点があるが
本発明の発熱体は温度差の大きい物との接触により損傷
を受けることがなく厨房用ヒーター、反応器用ヒーター
として好適である。（３）熱放射面がセラミツクスなの
で遠赤外域の熱線が放射され、水や有機高分子物質の加
熱、乾燥に好適である。

前掲した石英管に抵抗体を装入した形式の赤外線ヒータ
ーと比較して、これらの管の代りに本発明のヒーター１
を使用した場合の放射赤外線の波長と相対放射強度との
関係をグラフにして第１１図に示す。また同図に参考に
市販の赤外ランプやシーズヒータ一の場合も示す。

何れに対しても、本発明のヒーターの場合が遠赤外域の
熱線の放射がすぐれていることがよくわかる。（４）通
電される皮膜抵抗体と熱放射体のセラミックが一体であ
る。

よつて、構造が簡単であり取扱い容易な発熱体とするこ
とができる。

（５）熱放射被対象物からみてこの発熱体はセラミツク
面が出ているので、通電によつて得られる発熱体である
に拘らず、電気的に絶縁可能な安全構造の発熱体とする
ことができる。

（６）通電される皮膜抵抗と熱放射体のセラミツクが耐
えられる範囲の高温まで可能な発熱体の設計が可能であ
る。

したがつて、熱放射強度の大きい発熱体とすることがで
きる。

一般に実用化されている抵抗の温度特性が直線性である
発熱体はニクロム線・カンタル線等であるがこれの実用
上の１２００℃限界温度を超える発熱体の設計が可能で
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の１例の構造を示す側面図、第２図は
その底面図、第３図は別例の底面図、第４図は裏面に凹
凸をもつ例の側面図、第５図は波形曲面をもつ例の側面
図、第６図は２枚の加熱プレートを組合せた例の側方断
面図、第７図は４枚の加熱プレートを角筒状に組合せた
例の部分断面側面図、第８図は円筒状加熱プレートの例
の横断面図、第９図は球状発熱体の例の部分断面斜視図
、第１０図は内部加熱式円筒状発熱体の部分断面斜視図
であり、図中符号１はセラミックス、２は導電性皮膜、
３は電極である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ムライト系セラミックス、酸化スズ系セラミックス
   、炭化ケイ素系セラミックス、コージイエライト系セラ
   ミックス、チタン酸アルミニウム系セラミックス及びス
   ポジウメン系セラミックスの中から選ばれた加熱により
   遠赤外域の熱線を放射しうる、熱膨張係数５×１０＾−
   ＾６／ｄｅｇ以下の、ち密なセラミックスからなる板状
   体の一方の面に、所定の抵抗材料からなる導電性皮膜を
   一体的に形成させたことを特徴とする発熱体。