JPS593476Y2 - 熱動形過負荷継電器の動作電流調整機構 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は熱動形過負荷継電器の動作電流調整機構に関
するものである。

一般に、熱動形過負荷継電器は、接触器と直列に接続し
、過負荷継電器を流れる負荷電流によりヒータ部を介し
てバイメタルを加熱し、負荷電流が所定の許容値を越え
て増加した際、バイメタルの湾曲作用により継電器操作
機構を作動して継電器接点を切換え、接触器に引外し信
号を供給して接触器を遮断するために使用されている。

ところで、従来の熱動形過負荷継電器の動作電流調整機
構は多くの煩雑な部品からなり、狭隘な空間部における
組立作業が困難であり、しかも部品寸法および組立精度
のバラツキにより調整誤差が生ずる難点があった。

この難点は、偏心カムを備えた動作電流調整ダイアルと
、偏心カムの偏心量を拡大する偏心量拡大リンク機構と
を設け、この偏心量拡大リンク機構の一端部の位置を変
化させてバイメタルの遊動間隙を調整すると共に、偏心
量拡大リンク機構の他端部を接点切換機構に係止してバ
イメタルの湾曲度が所定値に達した際、接点切換機構を
作動するよう構成することにより、部品が簡素化されて
組立作業および調整作業が容易となって解消されること
が突き止められた。

従って、本考案の一般的な目的は、動作電流の調整を正
確に行うことができ、しかも部品が簡素化されて組立作
業および調整作業を容易に行うことができる熱動形過負
荷継電器の動作電流調整機構を提供するにある。

この目的を遠戚するため、本考案においては、負荷電流
によりバイメタルを加熱し負荷電流が所定の動作電流を
越えて増加した際前記バイメタルの湾曲作用によりリン
ク機構を介して接点切換機構を作動し継電器接点の切換
えを行う熱動形過負荷継電器において、偏心カムを備え
た動作電流調整ダイアルと、前記偏心カムの偏心量を伝
達するシーソ部材と、温度補償バイメタルを介してバイ
メタルの変位に応動して接点切換機構を作動する接点切
換レバーとを設け、シーソ部材を温度補償バイメタルに
係合してバイメタルの遊動間隙を調整自在に構成するこ
とを特徴とする。

前記の熱動形過負荷継電器の動作電流調整機構において
、シーソ部材はケース壁部に枢着し、一端部を偏心カム
と弾力的に接触させると共に他端部に保合溝部を切設し
てなり、また接点切換レバーは一端をケース壁部に枢着
し、接点切換機構と当接する突出部を設けると共に温度
補償バイメタルを保持してこの補償バイメタルをバイメ
タルと連動するシックの先端部に対し遊動間隙をもって
対向配置し、前記シーソ部材の係合溝部を前記補償バイ
メタルに設けた切欠部に係合するよう構成すれば好適で
ある。

また、シーソ部材と温度補償バイメタルとの係合部と該
補償バイメタルのシック側先端との間の距離を、前記保
合部と温度補償バイメタルと接点切換レバーとの保合部
との間の距離よりも長く設定することにより、動作電流
が広範囲に調整することができる。

次に、本考案に係る熱動形過負荷継電器の動作電流調整
機構の実施例につき添付図面を参照しながら以下詳細に
説明する。

第１図は熱動形過負荷継電器の全体の構成を示すもので
、参照符号１０は合成樹脂材料からなるケースを示し、
このケース１０の内部に３相各相毎にヒータ部１２が設
けられ、これらのヒータ部１２の端子は夫々の継電器端
子１４に接続されている。

ヒータ部１２の内部にはバイメタル１６を挿着し、負荷
電流により前記ヒータ部１２がそれぞれ発熱してバイメ
タル１６を加熱するようにする。

バイメタル１６の下端部はそれぞれシフタ１８を連動し
、加熱によるバイメタル１６の湾曲によりシフタ１８を
図において左方に移行させるよう構成する。

一方、一端部がＬ字状に屈折され、他端部に突起部２０
を備えたシーソ２２を設けて、これをケース１０の内壁
部に突設したピン２４に枢着し、このように構成したシ
ーソ２２のＬ字状屈折部に切設した溝部２６の温度補償
バイメタル２８の切欠部３０に係止し、この保合部３２
を支点として前記補償バイメタル２８が揺動し得るよう
構成する（第２図参照）。

ケース１０の上面には、偏心カム３４を備えた動作電流
調整ダイアル３６を回動自在に配設し、この調整ダイア
ル３６の偏心カム３４をシーソ２２の突起部２０に対向
配設すると共に、調整ダイアル３６の円周表面にテーパ
溝３８を切設し、テーパ溝３８とケース壁部との間に調
整ダイアル固定用の線状ばね４０を介装する。

また、シーソ２２の突起部２０の背部とケース１０の一
部に形成した凹部４２との間に圧縮ばね４４を介装し、
シーソ２２の突起部２０を偏心カム３２のカム表面に圧
接するよう構成する。

ケース１０の壁部に接点切換レバー４６を配設してこれ
を円柱状支持部４８を介して枢着する。

この接点切換レバー４６には、接点切換操作用の突出部
５０を突設すると共に補償バイメタル２８の一端部を把
持する把持部５２を設ける。

接点切換レバー４６の把持部５２には、一端部において
シフタ１８と対向位置する補償バイメタル２８の他端部
を挿入し、シック１８の作動により補償バイメタル２８
が係合部３２を支点として図において時計方向に傾動し
た際、接点切換レバー４６が支持部４８を支点として時
計方向に回動するよう構成する。

また、ケース１０の壁部には、ばね機構部５４を備えた
可動接点レバー５６をその基部を固定させて配設し、こ
の可動接点レバー５６の先端部に可動接点５８を突設し
、一方この可動接点５８と対向して常開接点６０および
常閉接点６２をケース１０の壁部に配設し、接点切換レ
バー４６が駆動された際、接点切換レバー４６の突出部
５０に当接配置された前記ばね機構部５４に設けられた
操作ばね板６４が押圧されて第３図に示すように可動接
点５８が常開接点６０に切換わるよう構成する。

次に、このように構成した本考案装置の作用について説
明する。

先ず、動作電流を調整するため調整ダイアル３６を回動
すると、線状ばね４０のばね作用により偏心カム３４は
安定した状態を維持しながら所望の位置に回動され、シ
ーソ２２はその先端部に設けられた突起部２０がばね４
４の押圧力により偏心カム３４のカム表面に圧接された
状態を維持しながらピン２４を支点として傾動する。

この場合、補償バイメタル２８はシーソ２２と係合部３
２を介して係止されており、且つ補償バイメタル２８の
上端部は接点切換レバー４６の把持部５２で把持されて
いるため、シーソ２２の傾動により補償バイメタル２８
は接点切換レバー４６の把持部５２を支点として回動し
、補償バイメタル２８とシフタ１８との離間距離ｄが変
化する。

偏心カム３４の偏心量は、シーソ２２を介して、係合部
３２を支点とする補償バイメタル２８のレバー比により
拡大され、補償バイメタル２８とシフタ１８との離間距
離ｄが変化することにより、動作電流が広範囲に調整さ
れる。

いま、負荷電流が所定の調整された動作電流以下の場合
には、可動接点５６は常閉接点６２と接触した状態にあ
るが、負荷電流が所定の調整された動作電流を越えて増
加すると、バイメタル１６の湾曲度が増加してシフタ１
８がバイメタル１６の湾曲度に対応したストロークだけ
左方に駆動されて補強バイメタル２８に当接し、さらに
この補償バイメタル２８を保合部３２を支点として時計
方向に回動偏位させる。

この時、補償バイメタル２８の上端部は接点切換レバー
４６の把持部５２に係止されているため、補償バイメタ
ル２８の時計方向への回動により、接点切換レバー４６
は円柱状支持部４８を支点として時計方向に回動し、接
点切換レバー４６の突出部５０がばね機構部５４の操作
ばね板６４を右方に押圧する。

ばね板６４が可動接点レバー５６の死点を越えると、可
動接点レバー５６は常開接点６０の側に倒れて接点が切
換わる（第３図）。

このようにして、接点が切換えられると、接触器列外し
信号が接触器に供給されて負荷電流が遮断される。

この結果、バイメタル１６の湾曲度が所定量に減少する
と、ばね機構部５４の操作ばね板６４への押圧力が消滅
する。

従って、操作ばね板６４は最初の状態（第１図）に復帰
し、これに伴い可動接点レバー５６は再び常閉接点６２
の側に倒れて接点が切換わる。

本考案装置によれば、動作電流の調整を安定した精度で
正確に行うことができ、しがち部品が簡素化されて組立
作業および調整作業を容易に行うことができ、性能の向
上、組立作業および調整作業の省力化に寄与する効果が
極めて大きい。

以上、本考案の好適な実施例について説明したが、本考
案の精神を逸脱しない範囲内において、種々の改良変更
を施し得ることは勿論である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る熱動形過負荷継電器の動作電流調
整機構の構成を示す側断面図、第２図は第１図に示すシ
ーンと補償バイメタルとの保合部の構成を示す分解斜視
図、第３図は第１図に示す接点切換機構の動作状態を示
す要部側面図である。 １０・・・・・・ケース、１２・・・・・・ヒータ部、
１４・・・・・・継電器端子、１６・・・・・・バイメ
タル、１８・・・・・・シフタ、２０・・・・・・突起
部、２２・・・・・・シーソ、２４・・・・・・ピン、
２６・・・・・・溝部、２８・・・・・・温度補償バイ
メタル、３０・・・・・・切欠部、３２・・・・・・係
合部、３４・・・・・・偏心カム、３６・・・・・・動
作電流調整ダイアル、３８・・・・・・テーパ溝、４０
・・・・・・線状ばね、４２・・・・・・凹部、４４・
・・・・・圧縮ばね、４６・・・・・・接点切換レバー
、４８・・・・・・円柱状支持部、５０・・・・・・接
点切換操作用突出部、５２・・・・・・把持部、５４・
・・・・・ばね機構部、５６・・・・・・可動接点レバ
ー、５８・・・・・・可動接点、６０・・・・・・常開
接点、６２・・・・・・常閉接点、６４・・・・・・操
作ばね板。

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. （１）負荷電流によりバイメタルを加熱し負荷電流が所
   定の動作電流を越えて増加した際前記バイメタルの湾曲
   作用によりリング機構を介して接点切換機構を作動し継
   電器接点の切換えを行う熱動形過負荷継電器において、
   偏心カムを備えた動作電流調整ダイアルと、偏心カムの
   偏心量を伝達するシーソ部材と、温度補償バイメタルを
   介してバイメタルの変位に応動して接点切換機構を作動
   する接点切換レバーとを設け、シーソ部材を温度補償バ
   イメタルに係合してバイメタルの遊動間隙を調整自在に
   構成することを特徴とする熱動形過負荷継電器の動作電
   流調整機構。
2. （２）実用新案登録請求の範囲第１項記載の熱動形過負
   荷継電器の動作電流調整機構において、シーン部材はケ
   ース壁部に枢着し、一端部を偏心カムと弾力的に接触さ
   せるとともに他端部に保合溝部を切設してなり、また接
   点切換レバーは一端をケース壁部に枢着し、接点切換機
   構と当接する突出部を設けると共に温度補償バイメタル
   を保持してこの補償バイメタルをバイメタルと連動する
   シフタの先端部に対し遊動間隙をもって対向配置し、前
   記シーン部の係合溝部を前記補償バイメタルに設けた切
   欠部に係合してなる熱動形過負荷継電器の動作電流調整
   機構。
3. （３）実用新案登録請求の範囲第１項または第２項記載
   の熱動形過負荷継電器の動作電流調整機構において、シ
   ーソ部材と温度補償バイメタルとの保合部と該補償バイ
   メタルのシフタ側先端との間の距離を、前記保合部と温
   度補償バイメタルと接点切換レバーとの係合部との間の
   距離よりも長くしたことを特徴とする熱動形過負荷継電
   器の動作電流調整機構。