JPS5927399B2 - 接着強度の経時劣化が小さい電解クロム酸処理鋼板の製造方法 - Google Patents

接着強度の経時劣化が小さい電解クロム酸処理鋼板の製造方法

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JPS5927399B2
JPS5927399B2 JP54054036A JP5403679A JPS5927399B2 JP S5927399 B2 JPS5927399 B2 JP S5927399B2 JP 54054036 A JP54054036 A JP 54054036A JP 5403679 A JP5403679 A JP 5403679A JP S5927399 B2 JPS5927399 B2 JP S5927399B2
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【発明の詳細な説明】 本発明はクロメート皮膜および金属クロムからなる皮膜
を有する鉄鋼製品が接着缶として使用される場合におい
て、接着強度の経時劣化を最小にした電解クロム酸処理
鋼板の製造方法に関するものである。
クロメート皮膜及び金属クロムからなる皮膜を有する鉄
鋼製品(以下TFS−CTと云う)は塗料密着性が優れ
ている特徴を生かして、缶詰の胴を接着によつて成型す
るいわゆる接着缶の用途に多量に使用されている。
従来は缶内容物として炭酸飲料に多用されていたが、こ
の場合には低温で充填されるため、充填後長期に保存さ
れても接着部に欠陥を生ずることがなく、充分な缶寿命
を持つことが出来た。近時この接着缶が内容物としてジ
ュースや一般食缶にまで拡大される方向にあり、この場
合には殺菌のために高温で充填するか又は充填後100
〜120℃で30分程度加熱処理が要求される。
接着部が水溶液中に長時間高温で曝されると、接着部の
接着強度が経時と共に急速に低下するいわゆる経時劣化
の現象が見出されており、この様な新しい用途にTFS
−CTを用いる場合には経時劣化性が少ない表面皮膜を
持つたTFS−CTの開発が要望されている。TFS−
CTの製造方法として無水クロム酸と触媒イオン(50
4=、F−など)との混合液中で1回の電解を行なつて
金属クロムとクロメート皮膜を同時に得るいわゆる1S
tep法と同様メッキ液中で金属クロムとクロメート被
膜を得た後、クロメート被膜を溶解して金属クロムのみ
にしてから改めて電解によつてクロメート被膜を得るい
わゆる2Step法とがある。
このTFS−CTの1Step法によつて製造されたT
FS−CTの表面クロメート被膜は経時劣化の少ないク
ロメート被膜への改質に対して効果的である。
従来のTFS−CTのクロメート皮膜は大部分Cr3+
の水酸化物のコロイ・ド状のものからなつているが、こ
の中に必然的に少量のCr6+や触媒陰イオン(SO4
=、F−など)が含まれて来る。
例えば鉄鋼製品にクロメート被膜と金属クロムからなる
被膜とを設ける電解クロム酸処理に用いる電解液には、
無水クロム酸またはクロム酸塩、重クロム酸塩の水溶液
に種々の助剤が加えられている。これらの助剤のなかに
は硫酸イオン、弗素又は弗素を含む錯イオンなどの陰イ
オンを単独又は混合で含むものが多いが、これら陰イオ
ンはクロム酸の電解還元反応に関与し、金属の表面に形
成される電解クロム酸被膜、特にクロメート被膜中に、
可成りの量が含まれている。さらに、また電解クロム酸
処理により得られるクロメート被膜には水可溶性のCr
+6も必然的に混入される。これら上記の陰イオンおよ
びCr+6を含む被膜は、水に可溶性の成分を含んでい
るため、塗装された状態においても水溶液の存在する腐
食環境では、被膜を通して水溶液の浸透がおこり、これ
ら陰イオンおよびCr+6の溶出によつて、経時、特に
腐食環境が高温の場合の経時により、塗料の密着性の劣
化、ひいては接着強度が劣化する傾向がみられる。すな
わち、これら陰イオンを与える助剤は電解クロム酸処理
には不可欠のものであり、又Cr+6のクロメート被膜
中への形成は必然的なものであるが、形成された被膜の
耐食性、塗料密着性、特に経時後の塗料密着性には悪影
響を与えているので、被膜形成後はできるだけ取除くこ
とが必要である。
本発明の目的は接着強度の経時劣化が小さいクロメート
被膜を有する電解クロム酸処理鋼板を得る製造法を提供
するものであつて、電解クロム酸処理により得られるク
ロメート被膜に必然的に含まれる水可溶性の陰イオン、
特にSO4−ーイオン或いはCr+6を前述の様に出来
るだけ少なくして、電解クロム酸処理鋼板が塗装された
状態で高温水溶液の存在する腐食環境に曝された場合に
塗膜を通しての水溶液の浸透によつてクロメート被膜か
らこれらSO4−ーイオン或いはCr+6イオンの溶出
が生じにくい難溶性のクロメート被膜にする製造法であ
る。
すなわち、その要旨は無水クロム酸またはクロム酸塩、
重クロム酸塩を主とした水溶液中で、鋼板を陰極とした
電解クロム酸処理によつて、少なくとも表面層がクロメ
ート被膜からなる電解クロム酸処理鋼板を得、ついでこ
の電解クロム酸処理鋼板の表面クロメート被膜量をCr
換算量5〜50mf/d残存する様に調整せしめた後、
そのまま或いは水洗後直ちにSO4−一とCr+6の重
量比、即ちSO4−一/Cr+6が1/75より小なる
CrO3とSO4−ーよりなる(以下CrO3−SO4
−ー系浴と云う)水溶液中で、温度50℃以上、好まし
くは60℃以上マ?極電解処理を行ない、さらに水温6
5〜100℃、PH4以上の高温水にて0.3〜10秒
間処理する接着強度の経時劣化が小さい電解クロム酸処
理鋼板の製造方法である。
次に本発明について更に詳細に説明する。
本発明方法は無水クロム酸またはクロム酸塩、重クロム
酸塩を主とした水溶液中で、鋼板を陰極とした電解クロ
ム酸処理によつて、少なくとも表面層がクロメート被膜
からなる電解クロム酸処理鋼板を得た後、この処理鋼板
を電解クロム酸処理を行ないクロメート被膜量を調整後
、そのまま或いは水洗して、SO4−一/Cr+6の比
が1/75より小なるCrO3−SO4−ー系浴中で温
度50℃以上、好ましくは60℃以上で陰極電解処理を
行なうことによつて、クロメート被膜中に含有される陰
イオン、特にSO4−一を減少させるとともに、クロメ
ート被膜中のCr+6をCr+3に還元させることを目
的とする。
即ち、上記処理浴中で陰極電解処理を行なうことによつ
て、クロメート被膜中の水可溶成分であるSO4−ーイ
オンを電気透析効果によつて著しく減少せしめるととも
に、Cr+6のCr+3への還元によるCr+6の著し
い減少をもたらすのに効果がある。また、上記のCrO
3−SO4−ー系浴において、SO4−ー/Cr+6の
重量比をl/75より小なるSO4−ー量に限定した浴
を用いるのは、電気透析効果によりクロメート被膜中の
SO4−一を短時間で溶出せしめるために必要であり、
浴中におけるSO4−ー量は少ない方が溶出速度の点か
ら有利であり、好ましくはSO4−ー/Cr+6の比が
1/100以下が好ましい。
そして、このSO4−ー/Cr+6の比が1/75以上
になるように、浴中のSO4−ーイオン量が増加すると
、クロメート被膜の改質が行なわれず、金属Crの析出
が電解クロム酸処理鋼板に対して行なわれるだけである
ので、上記の比より浴中のSO4−一は少なくなければ
ならない。
この陰極電解処理の温度は本発明の目的とする効果を得
るためには重量であり、その処理温度は50℃以上、好
ましくは60℃以上の温度での処理が必要である。
即ち、上記の陰極電解処理において、浴温を高くするこ
とによりクロメート被膜からのSO4−一の溶出、除去
反応及び被膜中のCr+6の還元反応を短時間で行なわ
しめるのに著しく効果があるとともに、理由は定かでは
ないが、コロイド状のCr+3の水酸化物からなるクロ
メート被膜の脱水、縮合反応を促進するためか、クロメ
ート被膜を高温での腐食水溶液に対して難溶性にするの
に効果があり、接着強度の経時劣化性を著しく改善する
。本発明は上記処理法の適用により、クロメート被膜中
の硫酸イオンの迅速な除去、クロメート被膜中のCr+
6の電解による還元作用により、本発明の目的とする接
着強度の経時劣化の著しい向上が見られる。
しかしながら、上記処理のみでは、陰極電解後次の水洗
工程に到る迄に、必然的にクロム酸塩、重クロム酸塩に
湿潤状態に曝される。そのために、クロメート被膜にC
r+6、陰イオン特にSO4−一の付着、再拡散が起こ
り、接着強度の経時劣化に対して悪影響を及ぼす。従つ
て、本発明では、この悪影響を除去するための硫酸イオ
ンの溶出及びCr+6の溶出を行なうと同時に、さらに
前記の陰極電解処理によつてクロメート被膜から充分に
溶出されなかつたSO4−ーイオンの溶出を行なうとと
もに、Cr+6の溶出を行なつてオキソ化度の向上を計
るために、温度65〜100℃、PH4以上の高温水に
て0.3〜10秒間処理を行なうことが必要不可欠であ
る。以上の如く、本発明のCrO3−SO4−ー系の水
溶液中での陰極電解処理及び高温水による処理を併せ行
なうことにより、従来のTFS−{Tのクロメート被膜
に比して著るしく経時による劣化が少ない接着強度を有
する処理被膜を与えることができる。
さらに、本発明の処理法は、高温水による処理法に比し
て、高温水処理に先行するCrO3−SO4−一の水溶
液中での陰極電解処理により、TFS−CTの電解処理
工程に於けるロールの擦過等により生じるクロメート被
膜の欠陥を補修する効果が著るしく、高温水の処理より
も更に一層の耐食性を向上せしむる効果が得られ、陰極
電解処理のみに比して高温水の処理を併用することによ
り、経時による接着強度が向上する利点が挙げられる。
即ち、本発明の方法で処理された電解クロム酸処理鋼板
は、エポキシ系塗料を塗付焼付け後、これら塗装材同志
をナイロン系接着剤で接着した場合の剥離接着強度を、
例えば0.4%程度のクエン酸溶液中に70℃で7日間
、或いは110℃の高温クエン酸溶液中に8時間浸漬し
た後における経時接着強度を比較すると、本発明の方法
により処理したものは上記の如き高温水による梯時試験
後の接着強度が、経時試験を行なわずに接着後直ちに接
着試験を行なつた場合の剥離接着強度に比して殆んど劣
化せず、また剥離面は塗料と接着剤の界面で剥離し、経
時による塗料密着性が非常に優れている。
一方、これまでの電解クロム酸処理被膜は、接着直後の
剥離接着強度に比して、経時試験後の剥離接直強度の劣
化が非常に著しく、また剥離面は電解クロム酸処理被膜
と塗料の界面で生じ、経時による塗料密着性の劣化が非
常に著しい。また、本発明の処理法に比して、CrO3
−SO4系の陰極電解処理のみでは、長時間の経時によ
る接着強度の劣化が比較的大きく、充分に満足するもの
ではなく、さらに、高温水による処理法のみでは、処理
工程中に於ける擦過傷等によるクロメート被膜の損傷の
ため、本発明の方法に対して、クロメート被膜に欠陥を
生じやすい、即ち、例えば硫酸銅試験におけるピンホー
ル試験等において銅の析出が可成り多い等の欠点がみら
れ、そのために長時間の経時に対して、試験環境によつ
ては、その接着強度は充分に満足するものが得られなか
つた。次に、本発明の方法における電解クロム酸処理後
のCrO3−SO4−ー系水溶液の陰極電解処理及びそ
れに引き続いて行なわれる高温水による水洗処理の詳細
な処理条件を述べる。
先ず電解クロム酸処理(TFS−CTの製造)は、従来
法と同様の方法で行ない、クロメート被膜量を5〜50
77V/Ri?に調整される。これは、クロメート被膜
量を577V/d以下にすると、クロメート被膜量の調
整後、或いは水洗後に引き続いて行なわれる本発明の処
理の陰極電解処理により、クロメート被膜量の若干の増
加は可能であるが、本発明の如く、SO4−ー/Cr+
6の比を1/75より小なるようにSO4−ーイオン量
を少なくしたCrO3−SO4−ー系水溶液中では、そ
の増加量は電解条件にもよるが、多くても約1077V
/r!I程度であり、通常は3〜577V/d程度しか
増加せず、又高温水の処理によるクロメート被膜量の若
干の減少も考慮すると、本発明の処理後のTFS−CT
のクロメート被膜量が少なくなり、その耐食性の点で好
ましくないので、クロメート被膜量の調整量の下限を限
定した。更に、その被膜量が5077VZイ以上の場合
には、その後の処理による若干の増加も勘案すると加工
性の点で問題となるとともに、本発明の処理により被膜
中の陰イオンの溶出或いはCr+6の溶出等に要する処
理時間が長くなるなどの問題が生ずるのでその上限値を
限定した。本発明は、クロメート被膜量を調整後、その
まま或いは水洗してSO4−一/Cr+6の重量比が1
/75、好ましくは1/100以下のCrO3−SO4
−ー系浴の水溶液中で温度50℃以上、好ましくは60
℃以上で陰極電解処理が行なわれるが、これらの温度は
通電に必要な電導度が得られればよいので特に規定する
必要はないが電力コスト及び処理浴中へのメツキ浴の持
ち込み、クロメート被膜からのSO4−ーイオンの溶出
等による処理浴中へのSO4−ーイオンの増加に対して
、長時間に亘りSO4−一/Cr+6の重量比を1/7
5より小さくなる様に維持するため307/t以上、好
ましくは507/t以上の濃度が有利である。濃度を高
くすると電力コストは低下するが、液持出しの損失が増
加するので、無暗に増加させるのは有利ではなく、コス
ト面から見て180f/1以下が望ましい。浴温は高い
程前記の如く経時劣化が少ない傾向がみられ、又陰極電
解処理に引き続いて行なわれる高温水の処理に対しても
その余熱を利用できる点からも好ましく、50℃以上、
好ましくは60〜95℃の範囲が好ましい。
即ち、50℃以下の処理温度では、本発明の目的とする
効果が短時間の処理で得られず、95℃以上では処理浴
の蒸発等が著しくなるため経済的に不利である。電解条
件は単位面積当りの電解クーロン数で整理される。
経時劣化性を最小にするためには2.5クーロン/Dr
r7以上更に好ましくは5クーロン/Dd以上の電気量
が必要である。従つて電流密度を高くする程電解時間は
短くてすみ、電流密度を低くすれば電解時間を長くする
必要がある。単位面積当りのクーロン量を高くし過ぎて
も性能面で特に悪影響は認められないが、特に利点もな
い。尚、本発明の処理浴に使用されるSO4−ーイオン
は、硫酸或いは硫酸アンモン、硫酸クロム、硫酸ナトリ
ウム等の硫酸塩のいずれでもよく、上記のCr+6に対
する比率が満足されればよい。次に、これらの陰極電解
処理に引き続いて、そのまま或いは水洗後高温水による
処理が行なわれるが、先づ使用される水道水、蒸溜水、
脱イオン水の水質として、PHが4以上の水が好ましい
。即ち、本発明のポイントはTFS−CTの陰極電解処
理後のクロメート被膜中に含まれる陰イオンの溶出、特
にSO4−ーの溶出及び水溶性Cr+6を短時間に溶出
させることにあり、陰極電解処理による陰イオンの溶出
、Cr+6の還元及びそれに続く高温水の処理によつて
、陰極電解処理では不充分であるクロメート被膜中の陰
イオン特にSO4一の除去にくわうるに、就中クロメー
ト被膜中のCr+6の溶出及び陰極電解処理後にクロメ
ート被膜中に再拡散又は付着するCr+6の溶出による
オキソ化度の向上にあるため、本発明の処理に使用され
る水の水質は重要であり、PHが4以下では陰イオンの
溶出が妨げられるとともに、またクロメート被膜中への
処理水溶液から再浸透するため好ましくない。PHが1
0以上の場合には、クロメート被膜を溶解する恐れがあ
るので、PHlO以下のものが使用されることになる。
また、この高温水に対する陰極電解処理浴の持ち込み或
いはクロメート被膜から溶出するCr+6陰イオンの処
理水溶液中に含有される量は各々Cr+6107/l、
陰イオン1t/t以下であり、かつPHが上記範囲を満
足すれば充分であり、この範囲をこえるとクロメート被
膜からの陰イオン及びCr+6の溶出を妨げるためか、
本発明の目的を満足しなくなる。
次に、本発明の処理において重要な条件は、処理に使用
される水の温度及び処理時間である。
温度は65℃〜100℃、処理時間は0.3秒〜10秒
とされるべきである。即ち、本発明の方法はラインスピ
ードの高速化に対処するため、短時間で上述のクロメー
ト被膜からの陰イオンおよびCr+6主体被膜の溶出を
出来るだけ短時間に行なうため、高温処理が当然必要で
あるとともに、これら溶出に加うるにクロメート被膜の
オキソ化度を向上させて、クロメート被膜を塗装後の経
時試験によつて溶出され難くするため、絶対に必要であ
る。即ち、処理水の温度が65℃以下では、上記処理時
間の範囲で坑イオン及びCr+6の溶出が充分でなく、
またクロメート被膜のオキソ化度が充分でないためか、
本発明の目的とする効果が得られない。また処理水の温
度が100℃以上では、経済的でなくなるとともに、電
解クロム酸処理鋼板にこの水蒸気が接触しても直ちに液
状水になりがたいため、クロメート被膜からの水による
溶出効果がなくなるため、処理水溶液の温度を100℃
以上にする事は好ましくない。処理時間については、0
.3秒以上の処理時間でなければ、クロメート被膜から
の溶出処理、特にCr+6の溶出が充分でなく、クロメ
ート被膜のオキソ化度向上が充分でなく、本発明の目的
とする効果が得られず、また15秒以上の処理時間では
工業的にあまり経済的でなく、水中のSO4−ー等陰イ
オン或いは水中に含まれる他の不純物等の再浸透により
接着強度の経時劣化が著るしくなるので処理時間は10
秒以下に限定される。
尚、本発明の高温水の適用方法であるが、前述の条件を
満足するものであれば、浸漬処理、スプレイによる噴射
処理、高温水蒸気と低温水溶液の混合温湯による噴射処
理いずれでも良い。
第1図は、CrO3−H2SO4(SO4−一/Cr+
6=1/400)系処理浴を用いて陰極電解処理及び高
温水の処理を施した電解クロム酸処理鋼板の接着強度を
電解温度との関係で示したものであるが、図からも明ら
かな様に、電解温度が50℃より低い場合、或いは高温
水による処理のみの場合は、高温水溶液中での経時によ
り、その接着強度の劣化が本発明の場合よりも明らかに
生じやすい。
又、第2図は、CrO3−(NH4)2Cr207(S
O4−一/Cr+6=1/800)系処理浴を用いて、
陰極電解処理を行ない、それに引き続いての水洗温度と
接着強度との関係を示したものであるが、この図からも
明らかな如く、電解処理後の水洗温度は65℃より低い
場合、即ち陰極電極処理のみの場合は、高温水溶液中で
の経時により、その接着強度の劣化が本発明の場合より
も明らかに生じやすい。即ち、電解クロム酸処理鋼板に
本発明の方法を適用することによつて、高温の水溶液(
上記図では0.5%クエン酸水溶液)中での経時によつ
て、接着強度の劣化が小さいクロメート被膜を有する例
えば電解クロム酸処理鋼板の表面クロメート被膜層が、
クロメート被膜層中の酸素原子に対するS原子の比率が
0.2以下でかつクロメート被膜中のCr−0H系オー
ル結合に対するCr−0系のオキソ結合の比率がクロメ
ート被膜最表面で0.90以上からなるクロメート被膜
を有する電解クロム酸処理鋼板を得ることができる。実
施例 1板厚0.17rrr!nのDOubleRed
uce冷延鋼板(テンパーグレードDR−8)を2.5
%オルソケイ酸ソーダー溶液中で90℃1秒間の浸漬脱
脂、及び3%NaOH溶液中で60℃、10A/dイの
電流密度で1秒間の電解脱脂を行なつた後、水洗し、室
温10%の硫酸中に1秒間浸漬して水洗した後、次の条
件で電解クロム酸処理を行なつた。
上記電解クロメート処理後、上記浴組成中に0.75秒
間浸漬して、クロメート被膜量を約1577V/イに調
整して、そのまま以下の条件で陰極電解処理を施した。
\ 一 −゜ − − ”−
ノ − − ″ −″゛この陰極
電解処理後、水道水で水洗し、更に温度85℃、PH7
.lの高温水道水に4秒間、浸漬処理することによつて
、本発明の処理を施して板温160℃で乾燥を行ない、
クロメート被膜量207V/イで、接着強度の高温水溶
液中での経時による劣化が極めて少なく、さらに処理工
程中における搬送ロール等によるクロメート被膜の擦過
による損傷等により発生するクロメート被膜の欠陥が少
なくて、耐食性、塗料密着性にすぐれ、かつクロメート
被膜中の酸素原子に対するS原子の比が最大0.06で
クロメート被膜最表面のオキソ化度が1.03からなる
TFS−CTを得た。
実施例 2実施例1と同一の条件で電解クロメート処理
後、そのまま以下の陰極電解処理浴中に80℃で1秒間
浸漬してクロメート被膜量を8η/dに調整、以下の電
解条件で直ちに陰極電解処理を施した。

′この陰極電解処理後、直ちに温度90℃、PH6の
脱イオン水をスZ゜レイで約7秒間噴射しつつ、本発明
の処理を施し、板温120℃で乾燥を行ない、クロメー
ト被膜量2171!f/dで、接着強度の劣化が極めて
少なく、さらにまたクロメート被膜の擦過による損傷等
によつて発生するクロメート被膜の欠陥が少なくて、耐
食性、塗料密着性にすぐれ、かつクロメート被膜中の酸
素原子に対するS原子の比が最大0.075でクロメー
ト被膜最表面のオキソ化度が1.0からなるTFS−C
Tを得た。実施例 3実施例1と同様の冷延鋼板を用い
、実施例1と同、様の脱脂、酸洗の前処理後、次の条件
で電解クロム酸処理を行なつた。
上記電解クロメート処理後、上記浴組成中に0.7秒間
浸漬してクロメート被膜量を15mf!/n!に調整し
、水洗後以下の条件で雲極電解処理を行なつた。
SO4−一0.257/1,.F−0.057/lを塩
の形態で含有する温度95℃、PH7.2の高温水道水
中に3秒間浸漬処理することによつて、本発明の処理を
施し、板温95℃で乾燥を行ない、クロメート被膜量1
877V/Rrl2で、接着強度の高温水溶液中での経
時による劣化が極めて少なく、さらにまた処理工程中に
於ける搬送ロール等によるクカメート被膜の擦過による
損傷等により発生するクロメート被膜の欠陥が少なくて
、耐食性、塗料密着性にすぐれ、かつクロメート被膜中
の酸素原子に対するS原子の比が最大0.15でクロメ
ート被膜最表面のオキソ化度が0.96からなるTFS
−CTを得た。
実施例 4 実施例1と同様の条件で電解クロム酸処理後、同一浴組
成中に0.4秒間浸漬して、クロメート被膜量を19η
/dに調整後、そのまま以下の条件で陰極電解処理を施
した。
(′ この陰極電解処理後、水道水で水洗し、更にCr+61
r/T.SO4−一0.1yが塩の形態で含有される炭
酸アンモンでPH7.8に調整された温度75℃の高温
蒸溜水中に4.8秒間浸漬処理することによつて、本発
明の処理を施し、板温135℃で乾燥を行ない、クロメ
ート被膜量2577V/dで、接着強度の高温水溶液中
での経時による劣化が極めて少なく、さらにまたクロメ
ート被膜の擦過による損傷等によつて発生するクロメー
ト被膜の欠陥が少なくて、耐食性、塗料密着性にすぐれ
、かつクロメート被膜中の酸素原子に対するS原子の比
が最大0.05でクロメート被膜最表面のオキソ化度が
1.05からなる電解クロム酸処理鋼板を得た。
実施例 5 実施例1と同一の条件で電解クロメート処理後、そのま
ま以下の陰極電解処理浴中に60℃で0.5秒間浸漬し
て、クロメート被膜量14η/n!′に調整して、以下
の電解条件で直ちに陰極電解処理を施した。
この陰極処理後、150℃の高温水蒸気と50℃の水道
水からなるPH7の混合温湯(約95℃)を2秒間吹き
つけることにより、本発明の処理を施して、板温180
℃で乾燥を行ない、クロメート被膜量2077V/dで
接着強度の劣化が極めて少なく、さらにまたクロメート
被膜の擦過による損傷等によつて発生するクロメート被
膜の欠陥が少なくて、耐食性、塗料密着性にすぐれ、か
つクロメート被膜中の酸素原子に対するS原子の比が最
大で0.10でクロメート被膜最表面のオキソ化度が0
.99からなるTFS−CTを得た。
上記実施例で得られたTFS−CTの耐食性くSST(
JIS−Z237l)、及び積み重ねスタツク貯蔵試験
〉、クロメート被膜の損傷によるピンホール試験(硫酸
銅析出試験)、塗料密着性〈ゴバン目テスト、デユポン
衝撃〉、接着強度の経時劣化性試.験の試験結果を第1
表に示した。
比較のために、実施例1と同一条件で電解クロム酸処理
およびクロメート被膜量調整後温度60℃の水道水で水
洗、乾燥して作成した電解クロム酸処理鋼板(比較例1
)及びクロメート被膜量調整後、水洗して、80t/I
CrO3−0.2t/1S04−一(SO4−一/Cr
+6+1/200)系水溶液中で陰極電解処理(60℃
−10A/Dd・1秒間)のみを行なつて作成した電解
クロム酸処理鋼板(比較例2)、高温水による処理のみ
を行なつて作成した電解クロム酸処理鋼板(比較例3)
の性能を併記した。接着強度の経時劣化性試験エポキシ
系塗料を5μ厚さ塗布後、210℃で10分間焼きつけ
、塗装材同志を100μ厚さのナイロン系フイルムを用
いて、200℃で30秒間溶融接着後、第1表に示す条
件の高温水溶液中に浸漬して経時試験後のT−Peel
引張り試験により経時試1験後の塗料密着性を調査した
【図面の簡単な説明】
第1図は、CrO3−SO4−ー系水溶液中で陰極電解
処理後80℃の水道水で4秒間の高温水処理を施した場
合の電解処理温度と接着強度の関係を示したグラフであ
り、第2図は、CrO3−SO4−一系水溶液中で温度
90℃、電気量10クーロン/Drn″の条件で陰極電
解処理後の水洗処理温度と接着強度の関係を示したグラ
フである。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 1 無水クロム酸またはクロム酸塩、重クロム酸塩を主
    とした水溶液中で、鋼板を陰極とした電解クロム酸処理
    によつて、少なくとも表面層がクロメート被膜からなる
    電解クロム酸処理鋼板を得、ついでこの電解クロム酸処
    理鋼板の表面クロメート被膜量をCr量として5〜50
    mg/dm^2に調整後、そのまま或いは水洗後50℃
    以上の温度でSO_4^−^−/Cr^+^6の重量比
    が1/75より小なるクロム酸浴中で2.5クーロン/
    dm^2以上の陰極電解処理を行ない、更に温度65〜
    100℃、pH4以上の高温水にて0.3〜10秒間処
    理することを特徴とする接着強度の経時劣化が小さい電
    解クロム酸処理鋼板の製造方法。
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