JPS5925763B2 - 歯科印象用寒天組成物 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は歯科印象用寒天組成物に関するものであり、特
に本発明品は強度及びコロイド系の他の印象材との接着
性に優れ、更に口腔内に挿入してゲル化させた際にこの
面に注入硬化させた模型材石膏面を滑沢ｌと仕上げるこ
とを可能ならしめた点を特徴とするものである。

従来歯科における口腔内の型取用材料としては合成ゴム
系、水性コロイド系の材料が弾性を有している型取材と
して使用されている。

之等の材料は該材料が本来有している特性を活かし、症
例によって使い分けられている。

寒天組成物は水性コロイド系に属するものであって適度
な弾性を有しており親水性が大きく、細部の再現性が優
れているなどの諸種の利点を有しているので歯科型取材
としての性能が高く評価されて来つつある。

その使用に当っては通常、加熱してゲル状からゾル状に
変えて流動性を与え、口腔内の必要部分ｌこ注入した後
、他の印象材例えばアルジネート印象材を重ねて圧接し
口腔内の印象を採る。

或いはゾル化した寒天組成物のみを印象用トレー内に盛
り口腔内に圧接した後、トレー側のパイプに水を通して
冷却させて寒天ゲルによる口腔内の型取を行なう。

しかしながら歯科用寒天組成物は一般に型取後に型取面
に注入した模型材石膏面を粗雑にする本質的な欠陥を持
っている。

この原因は寒天コロイドそのもの、更に寒天コロイドの
ゲル強度増大を目的として加えられている硼酸塩などに
起因するものと認められる。

従って模型材石膏面の改良のためには型取材に接触して
硬化する石膏面を積極的に硬化促進せしめる必要がある
。

このためには硫酸カリウムなどの石膏硬化促進材を予め
寒天組成物に含有させることが有効である。

しかし硫酸カリウムなどの電解質を寒天組成物に含有さ
せることは寒天組成物の強度を低下せしめると共に、接
合させて使用するコロイド系印象材即ちアルジネート印
象材との接着を著しく低下せしめる。

従って寒天組成物に含有させる硫酸カリウムなどの量は
自ずから制限され、しかも満足すべき滑沢な模型材石膏
面を得ることは難かしい。

しかもこの方法は型取後に付着する唾液や通液などを予
め流水で洗浄する必要があるため寒天組成物中に含まれ
ている硫酸カリウムは表面から溶出し、硫酸カリウム濃
度の低下と共にその効果が薄れて滑沢性を持った模型材
石膏面が得られ難くなる。

本発明者は従来の寒天組成物の利点を保持した侭、その
欠点を除去することを目的として歯科用寒天組成物の研
究を進めた。

本発明の特徴とする点は、この研究結果によって水不溶
性四塩基性硫酸アルミニウム・工水酸化アルミニウムが
寒天組成物に極めて優れた効果を与えることを見出した
ことに在り、寒天組成物に０．５重量％以上、２０重量
％以下の範囲内の量を添加すると模型材石膏面を著しく
滑沢に仕上げ、しかも高強度を有し更にアルジネート印
象材との接着力も優れている寒天組成物を作製し得る点
にある。

本発明に使用する水不溶性四塩基性硫酸アルミニウム・
三水酸化アルミニウムは可溶性アルミニウム塩溶液とア
ルカリ溶液との反応によって作製されるがアルミニウム
塩原料としては成る町Ｘ不純物の少ない硫酸アルミニウ
ムを選ぶ。

−力、アルカリ原料としては苛性ソーダ、炭酸ソーダま
たはアンモニアなどが適当であるが何れもＪＩＳ規格品
程度の品位のものであればよい。

反応時のゲル化を防止し、均一な生成物粒子を得るため
に、その濃度は２０重量％以下に調節した。

硫酸アルミニウム水溶液にアルカリ水溶液を静かに攪拌
しながら少量宛添加して沈澱析出させて懸濁液とする。

懸濁液がｐＨ５，０〜５．２の時点でアルカリ溶液の。

添加を中止する。

アルカリ溶液添加中の溶液の温度は３０℃以下に保ち懸
濁液を濾過してペースト状の沈澱物を得る。

必要に応じてこのペースト状物質を脱水乾燥後、粉砕し
て粉末状にする。

本発明で使用した水不溶性四塩基性硫酸アルミニウム・
三水酸化アルミニウムは次の構造式で示される。

〔Ａ１２ＳＯ４（ＯＨ）４ＸＨ２０・２Ａｌ（ＯＨ）３
〕。

但し ７ ＞ ｘ ＞ ４ （５００）ｎ＞分子量＞（４４６）ｎ である。

水不溶性四塩基性硫酸アルミニウム・三水酸化アルミニ
ウムを以後「塩基性硫酸アルミニウム」と略記する。

本発明に係る寒天組成物は原則として、 ａ寒天 ｂ 充填剤及び必要に応じ常用の添加剤 Ｃ硼酸塩 ｄ水 ｅ 塩基性硫酸アルミニウム から成っている。

成分ｅとして使用するとき塩基性硫酸アルミニウムの粉
末状のものは粒子が凝集し易く、二次粒子となり易いた
め予め寒天組成物成分として使用される水或いは液体成
分と混合練和して解膠させて一次粒子の懸濁液にして使
用することが好ましい。

但しペースト状の塩基性硫酸アルミニウムは通常、水分
６０〜７０重量％を含む一次粒子（０，０２μ〜０．１
μのコロイド粒子と見られる）のペーストであるからそ
の何便用し得る。

本発明における成分ａとしての寒天は通常、組成物中に
５〜１５重量％が使われ、ゲル化温度が３５〜４５℃の
ものであればよく、粉末状寒天、角寒天、細寒天などが
使われる。

本発明における成分すは通常、組成物に対し１〜５重量
％が使用され、酸化ケイ素、硫酸カルシウム、酸化亜鉛
、酸化チタン、粘土など不活性な微粉及び寒天組成物に
添加される従来公知の着色剤、着香剤、防カビ剤、グリ
コール類などが添加され得る。

成分Ｃとしての硼酸塩は通常０．１〜１．０重量％の範
囲内にあるが硼酸マグネシウム、硼酸亜鉛、硼酸カリウ
ム、硼酸ナトリウムなどが使用可能である。

成分ｄとしての水は蒸留水或いはイオン交換処理した水
の使用が好ましい。

上記したａ −ｄ成分は公知であるが、本発明において
特徴としている点は上記４成分の他に第５成分として塩
基性硫酸アルミニウムを共存させることによって性能の
優れた歯科印象用寒天組成物を提供することに在る。

但し成分す、ｃの必要性を特に限定するものではない。

鼓で使用される塩基性硫酸アルミニウムの添加量は０．
５〜２０重量％が好適であるが、好ましくは１〜５重量
％である。

即ち添加量が０．５重量％より少ない時は模型材石膏面
の滑沢性の低下を招き、２０重量％を超えて使用すると
充填効果が大きくなり、弾性低下を来たし強度が著しく
低下するので好ましくない。

このため本発明は寒天組成物重量に対し塩基性硫酸アル
ミニウムの含有量を０．５重量％以上、２０重量％以下
と限定した。

本発明による歯科印象用寒天組成物の特徴は（１）型取
後、注入模型材石膏面が滑沢に仕上げられる。

その結果、製作される模型は滑沢な面を持つため、技工
操作に何等支障を来たすことがなく、作業性が一段と改
良され作業能率が向上する。

（２） コロイド系の他の印象材、特にアルジネート
印象材との接着性が犬で、剥離することなく一塊として
口腔内より撤去することが出来るため寸法精度の良い模
型が得られる。

（３）ゲル強度が大きく、細部の型取を破損なしに採得
することが出来、再現性が極めて優れている。

本発明の骨子は塩基性硫酸アルミニウムを寒天組成物に
共存させることにより従来の歯科印象用寒天組成物の利
点を保持した侭で型取性能が著しく向上した歯科印象用
寒天組成物を提供することにある。

以下に実施例によって本発明を更に具体的に許可する。

実施例 １ 粉寒天 ３０ 部（以下、部は総べ硼酸ソー
ダ 。

、、て重量部を示す）酸化チタン ４ 〃 弁柄 １〃 香料 ０．１／／ デヒドロ酢酸ソーダ ０．５１１ 水 ４００ 〃 を８０〜９５℃に加熱混合し均一な寒天ゾル状粘性体を
得た。

次に塩基性硫酸アルミニウム１０部と水３０部とを乳鉢
にて充分に練和して上記の寒天ゾル状粘性体に添加し均
一になるまで加熱混合した。

得られたゾル状粘性体を所定の型に注入した後、冷却し
ゲル状の寒天組成物を得た。

実施例 ２ 粉寒天 ４５部部 硼酸カルシウム ３ 〃 勝光山クレー ４ 〃 群青 １〃 香料 ０．１〃 チモール ０．５／／ 水 ４００ 〃 水分７０％を含む ペースト状塩基性）５０ 〃 硫酸アルミニウム を９０〜９５℃に加熱し、均一になるまで混合練和して
寒天ゾル状粘性体を得た。

得られた寒天ゾル状粘性体を所定の型に注入した後、冷
却しゲル状の寒天組成物を得た。

次表に実施例１及び２による寒天組成物と市販品寒天組
成物（外国製）の物性を下記の方法により測定し比較し
た。

ゲル化点及び破砕強度は米国歯科圀師会規格腐１１に準
じて測定した。

模型材石膏面の表面粗さは触針式表面粗さ測定機（触針
荷重０．４ｇ）によりＪＩＳ力法方法じて測定した。

アルジネート印象材との接着強さは寒天組成物（厚さ４
關）を中央に、両端をアルジネート印象材とする角柱状
試験片（９×９×３２１ｎＴＩＬ）を作り、引張強度を
測定した。

以上の結果から明らかな様に本発明によれば破砕強度、
模型材石膏面の表面粗さ、アルジネート印象材との接着
強さを向上させることが出来、従来公知の寒天組成物に
比し性能の優れた寒天組成物を提供することに成功した
ものである。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 水不溶性四塩基性硫酸アルミニウム・三水酸化アル
   ミニウムを歯科印象用寒天組成物の全量に対し０．５重
   量％以上、２０重量％以下を含んでいをことを特徴とす
   る歯科印象用寒天組成物。