JP4210360B2 - 歯科用印象材組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、歯科用印象材に関するものである。更に詳しくは、本発明は、型忠実性に優れ、口腔内の歯牙等の型どりにおいて、精密な模型を作ることのできる歯科用印象材、即ち石膏との良好な適合性を有する歯科用アルギン酸塩印象材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
アルギン酸塩印象材は、アルギン酸塩が硫酸カルシウムなどのゲル化反応剤によりゲル化してゲル状硬化体を生じることを利用したものであって、アルギン酸塩、ゲル化反応剤および充填剤から主として構成される組成物が使用されており、アルギン酸塩印象材は、人体に対する毒性がなく、適度の弾性を有するため、歯科治療において、型取り材として広く使用されている。
【0003】
印象材によって口腔内の歯牙等の印象を採得した印象材は、所定の加工が行なわれた後、石膏を用いて型取りが行なわれる。
従って、印象材としては、口腔内歯牙の印象を正確に採得できることと併せて、採得された印象を石膏に忠実に転写し得る特性、すなわち、石膏との適合性が要求される。
【0004】
歯科用アルギン酸塩印象材の、石膏との適合性改良としては、一般的に金属フッ化塩やケイフッ化物を添加すると良いと云われている。しかし、これらは少量添加では効果が十分ではなく、また添加量を増加しても効果にバラツキがある場合がある。添加量を増加した場合は、別の重要な品質である弾性歪みが増大し、またゲル化時間が不安定になる等の欠点を持っている。
【0005】
一方、近年の歯科医療の市場要求としては、より高度の石膏との適合性を有し、忠実な型どりの可能な印象材の開発が望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、口腔内歯牙等の印象を忠実に採得することが可能で、かつ、石膏との適合性に優れ印象材の印象を忠実に石膏模型に転写することができる印象材を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明はかかる目的を達成するために鋭意検討を行った結果なされたもので、アルギン酸塩、硫酸カルシウム、および、硫酸カリウム又は硫酸ナトリウムを含有してなる歯科用印象材組成物を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の必須成分であるアルギン酸塩としては、一般に使用されるナトリウム、カリウム、アンモニウムまたはトリエタノールアミン等の水溶性の塩が挙げられる。これらはいくつか混合して使用しても良い。なかでもナトリウム塩とカリウム塩の混合系は好ましい組み合わせの一つである。また使用量としては、印象材粉末組成物換算で5〜25重量%である。
【0009】
本発明の必須成分である硫酸カルシウムは、水の存在下でアルギン酸塩とゲル化反応をするゲル化反応剤として機能する。一般的には、硫酸カルシウムの2水塩が使用される。2水塩と半水塩を混合して使用しても良い。使用量としては、印象材粉末組成物換算として5〜30重量%である。
【0010】
本発明の必須成分である硫酸カリウム、硫酸ナトリウムは、無色あるいは白色の粉末で、硫酸カルシウム2水塩の水に対する溶解性より高い溶解性を示すので好ましい。
【0011】
使用量としては、印象材粉末組成物換算で0.005〜5重量%である。さらに好ましくは0.1〜3重量%である。添加量が少ない場合は、石膏との適合性の改良効果が十分でなく、添加量が多いと、印象材の他の品質に悪影響を及ぼし好ましくない。また、従来よりアルギン酸塩印象材に添加されている金属フツ化物やケイフツ化物との併用も好ましい形態である。具体的には、ヘキサフルオロチタン酸ナトリウム、ヘキサフルオロチタン酸カリウム、ヘキサフルオロジルコン酸カリウム等が挙げられる。使用量は、アルギン酸塩、硫酸カルシウム、硫酸カリウム又は硫酸ナトリウム及び充填剤からなる印象材組成物100重量部に対し0.1〜5重量部、好ましくは0.3〜3重量部である。
【0012】
また、一般に、本発明歯科用アルギン酸塩印象材には充填剤が配合される。具体的には、珪藻土、タルク、シリカ、炭酸カルシウム、マイカ等が挙げられる。好ましい充填剤は珪藻土である。珪藻土は通常微粉末が使用されるが、粒子の形状としては種々のものが使用できる。なかでも粒子形状として顕微鏡で観察して円盤状のものと桿状のものの組み合わせが好ましい形態の一つである。使用量としては、印象材粉末換算として40〜89.9%、好ましくは45〜85重量%である。
【0013】
その他、界面活性剤、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、流動パラフィン等の粉塵防止剤、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム等の金属酸化物、金属水酸化物、着色剤、香料等の添加剤を必要に応じ配合してよい。
【0014】
一般に歯科用アルギン酸塩印象材はJIS規格でその基本物性が規定されている。これを満足するために、必須成分以外に、適当な材料を配合しても良い。例えば、ゲル化時間の調整には、一般にゲル化調整剤あるいはゲル化遅延剤を使用する。アルギン酸塩と硫酸カルシウムとの、いわゆるゲ化反応による硬化時間を調整するもので、印象材として他の品質に悪影響を及ぼさないものを選べばよい。一般的には、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属の第3リン酸塩、ピロリン酸塩、トリポリリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩等のリン酸塩、珪酸塩、炭酸塩、シュウ酸塩等が挙げられる。これらは通常微粉末で使用され、使用量としては、アルギン酸塩、硫酸カルシウム、硫酸カリウム又は硫酸ナトリウム及び充填剤からなる印象材組成物100重量部に対し0.01〜5重量部程度である。
【0015】
本発明の印象材の製造方法については、特に限定されずに公知の方法から適宜選択して使用することができる。全ての原料を同時に混合機に投入、混合しても良いし、目的に応じて分割混合を実施することも出来る。印象材の形態としては粉末状でもペースト状でも良い。また、市販の粉末状あるいはペースト状の歯科用アルギン酸塩印象材を適宜選び、これに、含有されていない本発明の必須成分である硫酸カリウム又は硫酸ナトリウムを混合しても良い。
【0016】
本発明印象材の具体的な使用の形態は、歯科用印象材としての形態と同様で粉末状あるいはペースト状が一般的である。
本発明の印象材は、粉末状のものは水を適当量加え練和しペースト状にし、ペースト状のものはそれを使用し、口腔内の微細な形状を精密に再現するべく印象を採得する。採得した印象へは歯科用石膏(硬石膏)を水と混合した石膏ペーストを流し込み、硬化させて石膏模型を作成する。この際、石膏模型に滑らかな面を与えなければならない。一般的には、硬化した石膏模型の表面粗さを測定し、これを石膏との適合性(JIS T 6505)あるいは相性として評価する。
【0017】
【実施例】
以下実施例にて本発明を更に詳しく記述するが、以下の実施例は本発明を制限するものではなく、本趣旨を逸脱しない範囲で変更すべきところは全て本発明に包含される。
表−1に示す配合割合で各成分を配合し、均一となるようにミキサーでよく混合して印象材粉末を得た。これを温度23℃、相対湿度50%の雰囲気中に一晩放置した。
【0018】
ゲル化時間の評価試験は、混合して得られた印象材粉末に、2.5重量倍の蒸留水を加えて練和して印象材ペーストを調製し、これを用いて測定した。練和および試験は温度23℃、相対湿度50%の雰囲気中で行なった。
本発明での石膏との相性は平滑なポリエチレンテレフタレートの表面を印象材ペーストで印象を採得しゲル化させた。この印象を軽く水洗した後、石膏ペーストを注入硬化させ、注入より30分後に脱型し一晩室内に放置した石膏の、ゲル化した印象材との界面を形成した面の中心線平均粗さを測定した。なお、測定は東京精密社製「サーフコム570A」にて実施、測定長さ2.500mm、5ケ所の平均値で記した。
【0019】
結果を表−1に示した。なお、ゲル化時間を歯科用印象材として適当な時間に合わせる為、組成毎にピロリン酸ナトリウムを適宜多少増減させたが、Raの値には影響はみられなかった。また、添加剤として加えたチタンフツ化カリウムの添加量は、アルギン酸塩、硫酸カルシウム、硫酸カリウム又は硫酸ナトリウムおよび充填剤からなる印象材組成物100重量部に対しての重量部で示した。
【0020】
実施例1は、硫酸カリウムを添加したことにより、添加していない比較例1と比較して石膏との適合性(Ra値)が改良されている。
実施例2は、硫酸ナトリウムを添加した例で、これも同様に石膏との適合性が改良されている。
【0021】
【発明の効果】
本発明の歯科用印象材組成物は、石膏との適合性が良好で、口腔内の微細な形状をより精密に再現することができる。
【0022】
【表1】
Claims (2)
- アルギン酸塩、硫酸カルシウム、及び硫酸カリウム又は硫酸ナトリウムを含有してなる歯科用印象材組成物。
- 下記の成分(a)〜(d)を含有してなる請求項1記載の歯科用印象材組成物。
(a)アルギン酸塩 : 5〜25重量%
(b)硫酸カルシウム : 5〜30重量%
(c)硫酸カリウム又は硫酸ナトリウム :0.005〜5重量%
(d)充填剤 :40〜89.9重量%
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