JPS5924847Y2 - シリンダライナ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、ポートス力ベンジング方式のディーゼル機
関のシリンダライナに関するもので、主としてシリンダ
ライナの中段部に排気ポートおよびまたは掃気ポートを
有するクロスおよびルーブス力ベンジング方式ディーゼ
ル機関のシリンダライナに関し、とくにポートリブの冷
却構造に関するものである。

第１図および゛第２図は従来のシリンダライナを示し、
シリンダライナ１はシリンダ部内に装嵌固定される。

２，２・・・・・・は掃気ポートで、掃気室Ｂから破線
矢印の方向に進入する掃気は、掃気ポート２゜２・・・
・・・を経てシリンダライナ１内に流入する。

３゜３・・・・・・は排気ポートで、シリンダライナ１
内で生成した排気は、排気ポート３，３・・・・・・を
経て白矢印の方向に進み、排気通路Ｃから外部に流出す
る。

冷却水はシリンダＡの冷却水人口りから黒矢印の方向に
送給され、シリンダライナ１の外周面に沿って形成され
る冷却水通路内を回流して、冷却水出口Ｅからシリンダ
Ａの外部に導出される。

２ａ 、２ ａ・・・・・・は、隣接する掃気ポート２
，２・・・・・・を仕切るポートリブであり、３ ａ
、３ ａ・・・・・・は、隣接する排気ポー ト３．３
・・・・・・を仕切るポートリブである。

各ポートリブのうち、とくに排気のポートリブ３ ａ
、３ ａ・・・・・・は、第２図から容易に理解できる
ように、その内側面ならびに両側面の三面を高温燃焼ガ
スによって曝され、他の部分に比べて単位受熱面積当り
の質量が小さく、高温燃焼ガスによって他の部分より高
温になる。

そのためポートリブ３ａの熱応力が高くなり、亀裂の原
因となる。

さらに、部分的熱膨張を生じることによって該部内面の
磨耗率が高くなり、他の部分に比べ早期磨耗を来たす欠
点を有している。

この考案は、上記の従来のシリンダライナにおける欠点
を改良するためになされたもので、その目的とするとこ
ろは、きわめて簡単な附加的構成によって、シリンダラ
イナのポートリブの冷却を高効率のものとに達成しうる
シリンダライナを提供することにある。

この考案の他の目的は、上記の簡単な構成によって、な
おかつ比較的高温部（排気ポートのポートリブ）と比較
的低温部（掃気ポートのポートリブ）とに対する冷却効
果の適切な配分を実施するとともに、上記高温部と低温
部との総合冷却効果を計画的に設定しうるシリンダライ
ナを提供することにある。

この考案にか・るシリンダライナは、上記目的を達成す
るための構成として、ポートスカベンジング方式のテ゛
イーゼル機関のシリンダライナにおいて、ポートリブの
肉厚内にポートリブの上下方向の長さに沿って冷却水用
の鋳抜穴を設け、該鋳抜穴はその上部に位置する開口の
みによってシリンダライナの外周面に形成される冷却水
通路との間に連通の状態となるように配設されることを
特徴とする。

つぎに、この考案にか・るシリンダライナの構成につい
て、実施例を示す図面に基き、詳細に説明する。

第３図および第４図は、この考案にか・るシリンダライ
ナの一実施例について、要部を拡大して示したもので、
４，４・・・・・・は、各ポートリブの肉厚内に設けら
れた冷却水用の鋳抜穴である。

鋳抜穴４はいずれもその上部に開口５を設けられ、これ
によってシリンダライナ１の外周面に形成される冷却水
通路Ｆに連通ずる。

鋳抜穴４のシリンダライナ軸心方向の深さは、状況に応
じ適当の深さとされる。

鋳抜穴４の形成手段として、鉄部にパイプを鋳込み、パ
イプの内孔を鋳抜穴としてそのまま利用する方法もある
。

鋳抜穴４の内部には、冷却水通路Ｆからの冷却水が常に
充満している。

ポートリブ、とくに排気ポート用のポートリブ３ ａ
、３ ａ・・・・・・は、前記のように高温の排気ガス
により三面から加熱されるが、この熱は鋳抜穴４，４・
・・・・・の内部の冷却水を加熱する。

加熱された冷却水は、鋳抜穴４の中で対流作用を起こし
、その結果、上部の開口５から常に低温冷却水が穴内に
流れ込み、昇温冷却水との置換が行なわれるが、その際
開口５に近いポートリブ３ａが下位のポートリブ２ａに
くらべて多くの冷却効果が期待し得られ、比較的高温部
と比較的低温部とに対する冷却効果の適切な配分が自動
的に行なわれる。

また、前記のように、鋳抜穴４の深さを適当に設定する
ことにより、ポートリブ３ａと２ａとの総合冷却効果を
計画的に設定することが可能であり、それによって過不
足のない冷却を実施できて効率のよい冷却を実現するこ
とができ、る。

この考案における技術思想の中該をなすものは、鋳抜穴
を充満する冷却水の対流作用を応用したことにあり、そ
のため、低温冷却水を流入するための構造としては、単
に鋳抜穴４に対して上部の開口５を設けるだけでよく、
このことは、換言すれば、シリンダライナのみに対する
構造上の改変、しかもその改変はシリンダライナの製作
上ごとく簡単に行なうことのできる改変にとどまり、シ
リンダＡに対する改造、たとえば冷却水通路Ｆの構成を
改造するなどの必要が全くない、ということにほかなら
ない。

本考案にか・るシリンダライナは上記のように構成され
、そのため、とくに熱応力の高くなる傾向にあるポート
リブに対して常に冷却水の供給が行なわれ、その結果従
来のシリンダライナに発生の可能性が強かったポートリ
ブの亀裂事故、ないしは鉄部の部分的膨張による磨耗率
の上昇が防止され、シリンダライナの早期磨耗を減少せ
しめて、シリンダライナの寿命を延長する、などの効果
がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のシリンダライナの縦断面図、第２図は第
１図中のＩＩ −ＩＩ線における横断面図、第３図は本
案にか・るシリンダライナの部分的縦断面図、第４図は
第３図中のＩＶ−ＩＶ線における部分的横断面図である
。 １・・・・・・シリンダライナ、２・・・・・・掃気ポ
ート、２ａ、３ａ・・・・・・ポートリブ、３・・・・
・・排気ポート、４・・・・・・鋳抜穴、５・・・・・
・開口、Ａ・・・・・・シリンダ、Ｂ・・・・・・掃気
室、Ｃ・・・・・・排気通路、Ｄ・・・・・・冷却水入
口、Ｅ・・・・・・冷却水出口、Ｆ・・・・・・冷却水
通路。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ポートス力ベンジング方式のディーゼル機関のシリンダ
   ライナにおいて、ポートリブの肉厚内にポートリブの上
   下方向の長さに沿って冷却水用の鋳抜穴を設け、該鋳抜
   穴はその上部に位置する開口のみによってシリンダライ
   ナの外周面に形成される冷却水通路との間に連通の状態
   となるように配設されることを特徴とするシリンダライ
   ナ。