JPS6221975B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は強制水冷式エンジンのシリンダヘツ
ドに関し、シリンダヘツドの燃焼室に臨む高温で
加熱される内壁部を均等に、かつ強力に冷却する
ことにより、シリンダヘツドの熱歪みや亀裂の発
生を無くし、エンジンを高回転化、高出力化した
場合でも、ゆとりをもつて強力に冷却できるよう
にしたものである。

シリンダヘツドの燃焼室に臨む肉壁部は、火炎
が直接触れることから、過熱され易く、冷却が不
充分だと熱歪や亀裂を生ずる。これは吸排気弁の
弁口及び副燃焼室の各周壁部分で顕著である。し
かも、シリンダヘツドを冷却するにあたつて、全
体に亘つて均等に冷却しないと熱歪や亀裂を生ず
る。

これを解消するために、従来ではヘツドジヤケ
ツト内に導水壁を形成するか冷却水噴出口を臨ま
せるかして、冷却水を過熱しやすい個所へ流し込
ませるものがある。が、その流し込みによる水量
の増加はしれたものであるうえ、局部的にしか流
し込めないため、均等にかつ強力に冷却すること
はできない。

本発明はシリンダヘツドの高温に加熱される肉
壁部を広壁囲に亘つて強力に冷却させるために、
狭隘な冷却水路を内部に有するパイプを、シリン
ダヘツドの高温に加熱される肉壁部内に、排気ポ
ートの弁口及び副燃焼室を取り巻くひようたん形
に鋳ぐるみそのパイプ内の狭隘な冷却水路に冷却
水を高速で通過させるようにしたものである。

以下この発明の実施例を図面に基づき説明す
る。

第１図及び第２図は副室式強制高速水冷エンジ
ンを示し、これはシリンダブロツク１の上部にヘ
ツドブロツク２、前部にギヤケース３を固定し、
その内部にピストン４、クランク軸５、動弁装置
６、吸排気ポート７，８及びタイミングギヤ群９
などを組込んである。

このエンジンの冷却装置は、シリンダブロツク
１及びヘツドブロツク２内を冷却する主冷却系１
３と、ヘツドブロツク２の過熱されやすい肉壁部
を集中して冷却するヘツド高温部集中冷却系１４
とからなり、両冷却系１３，１４にラジエータ等
１０から冷却水ポンプ１５で冷却水を圧送するよ
うに構成してある。

主冷却系１３の冷却水の流れは、第２図乃至第
４図に示す通りで、冷却水はラジエータ等１０か
ら、ポンプ１５で吐出路１６、分配器１７、主水
路１９及び導入ポート２０を通り、ライナ１８の
下部の４個所からライナ１８の周面に螺旋状に凹
設した４本の狭隘な冷却水路２１を高速で上昇し
ながらライナ及びシリンダブロツク１を強力に冷
却したのち、吐出ポート２２、通水口２３を経て
ヘツドジヤケツト２４内に入り、その内部を前方
へ移動しながらヘツドブロツク２を冷却し、第５
図に示す出口２５からサーモスタツトユニツト２
６及び冷却水環流路２７を通つてラジエータ等１
０へ環流される。

そして、本発明の主要部となるヘツド高温部集
中冷却系は、第１図，第２図，第５図及び第６図
に見られる通りであつて、冷却水はラジエータ等
１０から、ポンプ吐出路１６及び導入管３２を経
て狭隘な高速冷却水路３０を高速で通過しなが
ら、その周囲の肉壁部を強力に冷却したのち、導
出管３４からラジエータ等１０に循環される。

高速冷却水路３０は、パイプ３７の内部空間で
形成され、パイプ３７はヘツドブロツク２よりも
熱伝導率又は融点の高い材料、例えば銅又は鍜鋼
で造られ、ひようたん形に曲げられる。パイプ３
７はヘツドブロツク２の燃焼室３８に臨む肉壁部
３９に、排気ポート７の弁口及び副燃焼室２８を
取巻く形に鋳ぐるまれる。高速冷却水路３０の一
端が冷却水の導入口３１、他端が導出口３３とし
て、ヘツドブロツク２の側面に開口し、導入口３
１に導入管３２が、また導出口３３に導出管３４
が接続される。符号３５は、ヘツドボルト、３６
はバイパス水路である。

以上のように構成すると、冷却水がポンプ１５
で狭隘な高速冷却水路３０を高速水流となつて通
過することにより、高温加熱され易い肉壁部のう
ちでも、特に異常高温になり易い排気ポート弁口
部分３９ａ及び副燃焼室部分３９ｂを全体に亘つ
て均等かつ強力に冷却し、最新の高速・高負荷エ
ンジンにあつても充分ゆとりをもつて強力に冷却
する。

また、それほど高温にならない吸気ポートの弁
口部分には高速冷却水路を設けないようにして、
吸気ポートが過冷却されることを防いでいる。こ
の結果、シリンダヘツドが全体に亘つて均熱化さ
れるし、燃焼室の手前で吸気が過冷却されること
もない。

なお、上記実施例の変形例として、その一部を
次のように変更するものが考えられる。

(イ) ヘツド高温部集中冷却系１４に専用の冷却水
ポンプを設け、主冷却系１３とは別に冷却水を
圧送する。この場合、ラジエータ等１０は両冷
却系１３，１４で共用する。

この発明は上記のように構成され、作用するも
のであるから、冷却水が高速冷却水路を高速水流
となつて次々に環流するから、シリンダヘツドの
肉壁部のうちでも、特に異常高温になり易い排気
ポートの弁口部分及び副燃焼室部分を高速の冷却
水で均等にかつ強力に冷却することができるの
で、高速・高負荷エンジンにあつても十分の余裕
をもつてシリンダヘツドの肉壁部を強力に冷却で
きる。しかも、シリンダヘツドの肉壁部のうちで
も、それほど高温にならない吸気ポートの弁口部
分では高速冷却水による強制冷却を行わないの
で、吸気ポートが過冷却されなくてすみ、シリン
ダヘツド全体に亘つて均熱化される。このため、
シリンダヘツドでの熱歪が抑制され、亀裂の発生
が防げる。

更に、吸気ポートが過冷却されることがないの
で、吸気の過冷却を防ぐことができ、燃焼室での
燃焼性能が低下しない。

その上、冷却水ポンプとラジエータとの間に導
入管、ひようたん形に鋳ぐるんだパイプ及び導出
管からなる一連の冷却水路を形成するので、シリ
ンダヘツドの肉壁部に排気ポートの弁口部分及び
副燃焼室部分専用の、しかも、流路抵抗の少ない
冷却水路が形成され、冷却水を高速で通過させる
ことができる。

【図面の簡単な説明】

図面はこの発明の実施例を示すものであつて、
第１図はエンジンの縦断面図、第２図は同エンジ
ンの要部横断面図、第３図及び第４図はそれぞれ
第２図―線及び―線に沿う断面図、第５
図はヘツドブロツクの内部構造を示す第１図―
線断面図、第６図は第５図―線断面図であ
る。 ３０…高速冷却水路、３７…パイプ、３１…導
入口、３３…導出口、３８…燃焼室、３９…燃焼
室の肉壁部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 冷却水を高速で通過させるための狭隘な高速
   冷却水路を内部に有するパイプを、シリンダヘツ
   ドの燃焼室に臨む肉壁部内に、排気ポートの弁口
   及び副燃焼室を取り巻くひようたん形に鋳ぐる
   み、上記高速冷却水路の一端を冷却水の導入口と
   してシリンダヘツドの一側部に開口するととも
   に、この導入口を導入管で冷却水ポンプに連通連
   結し、高速冷却水路の他端を導出口としてシリン
   ダヘツドの上記一側部に開口するとともに、この
   導出口を導出管でラジエータに連通連結し、冷却
   水ポンプから吐出した冷却水を導入口に直接案内
   して、高速冷却水路内を高速で通過させながら、
   パイプを通じてシリンダヘツドの排気ポートの弁
   口及び副燃焼室に臨む肉壁部を強力に冷却し、導
   出口からラジエータに直接戻すように構成したこ
   とを特徴とする強制高速水冷式エンジンのシリン
   ダヘツド。