JPS5921733Y2 - ミシンの布送りロ−ラ− - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は四運動する送り歯と押え足とにより布を挾み間
欠的に送る布送り機構を備えたミシンに関し、針落ち手
前において縫合前の布へ布送り方向への作用力を与える
か又は針落ち後方において縫合後の布へ布送り方向への
作用力を与えるかのいずれかを選択可能とするミシンの
布送りローラーに関するものである。

従来、ミシンの布送りローラーは上下二枚の布を縫う場
合に、押え足の下面との間で摩擦抵抗が生じて上布が送
り歯で送られる下布に対してずれるのを防止するため、
針落ち手前で上布を布送り方向に送るものや、縫合後の
布に縫いしわを生じないようにするため、針落ち後方で
縫合後の布を布送り方向に引っばり布に緊張を与えるも
のが提案されているが、上布を送るものは縫合した布を
引っばることができず、縫合した布を引っばることがで
きるものは上布を送ることができない欠点があった。

本考案は、布送りローラーを針落ち手前において針板と
の間で布を挾み布を針落ち方向に送る位置か、針落ち後
方において針板との間で布を挾み布送り方向に引っばる
位置かに必要に応じて配置することができるようにする
ことにより上記の従来の欠点を除くことを目的とする。

以下、本考案の実施例を図面により説明すると、図示し
たミシン１はミシンテーブル２の下方に配置した原動モ
ーター（図示しない）の駆動により、ベルト及びミシン
プーリー（いずれも図示しない）を介して駆動され、こ
のミシン駆動により、ミシンベッド部に配置した送り歯
３が上下及び前後に四運動し、その上昇時に針板４の送
り歯溝（図示しない）から突出してミシンアーム部に配
置した布押え機構の押え足５の下面の間で布Ｗを挟持し
ながら前進して布Ｗを後方に間欠送りし、また、送り歯
３の下降時には、押え足５の下面と針板４の上面との間
で布Ｗを挟持した状態で針棒６か下降してその下端に支
持した針７とミシンベッド部に配置した釜あるいはルー
パー（図示しない）との協同により所定の縫目を形成す
るようにした周知のミシンである。

ミシンテーブル２上に固定した支持台８には、ミシン機
構に連動して駆動し且つコントロールボックス（図示し
ない）の操作により回転速度を調節することのできるモ
ーター９を載置し支持台８の上面端部に垂設した壁部８
ａにモーター９のシャフト１０を貫通する。

第５図に示すように保持板１１の一端には、通し孔１１
ａとその通し孔１１ ａに沿う円弧状の長孔１１ ｂ
を設けるとともにその他端には、通し孔１１Ｃとその通
し孔１１ Ｃ周辺にギザギザの歯部１１ ｄを設ける。

モーターシャフト１０を保持板１１の通し孔１１ａに遊
嵌し、且つ、支持台８の壁部８ａに突設したストッパー
１２を長孔１１ ｂに遊嵌して、保持板１１がモーター
シャフト１０を中心軸として上下に回動するようにする
とともに、モーターシャフト１０には外周に溝１３ ａ
を設けたローラー１３をネジ１４により固定する。

一端に鍔部１５ ａを設けた軸体１５は胴部１５ｂを円
筒型にするとともに、他端にはネジ部１５ Ｃをその軸
線が胴部１５ｂ中心軸線に沿うように突設する。

外周に溝１６ ａを設けたローラー１６を軸体１５の胴
部１５ｂに遊嵌し、回動自在とするとともに、支持板１
７の一端に設けられた通し孔１７Ｈに軸体１５のネジ部
１５ Ｃを嵌合し、ネジ部１５ Ｃの先端にナツト１８
を螺合する。

支持板１７の他端に対して通し孔１７ ａに対応して設
けられた通し孔１７ ｂには、ローラー１６と同型の外
周に溝１９ ａをもつローラー１９を胴部２０ｂに遊嵌
する軸体１５と同型の軸体２０のネジ部２０ Ｃを遊嵌
し、ネジ部２０ Ｃの先端にナツト２１を螺合する。

支持板１７の一対の通し孔１７ ａ 、１７ ｂのほぼ
中間位置において、支持板１７に一端を固定した円筒型
の保持体２２の他端には保持板１１の歯部１１ Ｃに噛
み合うように歯部２２ ａを設けるとともに、歯部２２
ａの中央部に保持板１１の通し孔１１ Ｃに嵌合する
ようにネジ部２２ ｂを保持部２２の中心軸線上に突設
する。

保持板１１の通し孔１１ Ｃに嵌合した保持体２２のネ
ジ部２２ ｂの先端にはワッシャー２３を介してナツト
２４を螺合するとともに、第５図において保持板１１に
対して支持板１７を保持体２２のネジ部２２ ｂを中心
として時計方向に回動し支持板１７ ａの右端を下方に
移動してナツト２４を締めると、保持板１１の歯部１１
ｄと保持体２２とが噛み合い、支持板１７が右下りの
位置で保持板１１に保持体２２を介して支持される。

ナツト２４をゆるめ、第５図において保持板１１に対し
て支持板１７を反時計方向に回動し、支持板１７の左端
を下方に移動して、ナツト２４を締めると、保持板１１
の歯部１１ ｄと保持体２２の歯部２２ａとが噛み合い
支持板１７が左下りの位置で保持板１１に保持体２２を
介して支持される。

エアーシリンダー２５はモーター９と押え足５の中間に
おいて、ミシンテーブル２の上方に固定し、エアーシリ
ンダー２５のピストンロッド２６の先端を押え足５の側
方で押え足５の腕５ａに沿って配置された保持板１１の
中間部に躯着すると、ともに、エアーシリンダー２５内
に設けられたバネ（図示しない）により常には、保持板
１１へ下方への弾性力を付与し、エアーをシリンダー２
５内に供給してエアーシリンダー２５にピストンロッド
２６を引き込むと、保持板１１を上方に引き上げるよう
になっている。

無端ベルト２７はモーター９のシャツ） １０の先端に
固定したローラー１３と支持板１７に支持したローラー
１６．１９との間にかけ渡すとともに、第３図に示すよ
うに支持板１７を左下りにして無端ベルト２７の一端が
ローラー１９の溝１９ ａ及びローラー１６の溝１６
ａに嵌合し、エアーシリンダー２５からエアーを排出す
ると、バネ（図示しない）の弾性力を受けて保持板１１
を下降し、針落ち後方において無端ベルト２７の下端で
針板４上に布Ｗｔ 、Ｗ２を押圧するように構成する。

また、第４図に示すように支持板１７を右下りにして無
端ベルト２７の一端がローラー１９の溝１９ａに嵌合し
、エアーシリンダー２５からエアーを排出するとバネ（
図示しない）の弾性力を受けて保持板１１を下降し、針
落ち手前において無端ベルト２７の下端で針板４上に布
Ｗｌ 、Ｗ２を押圧するようにする。

本考案は、以上の構成であり、次に作用及び効果につい
て説明する。

縫合前の上下布’Ｗｔ 、Ｗ２を布ずれがしないように
送るときは、エアーシリンダー２５内にエアーを注入し
て保持板１１を上方に持ち上げ、ナツト２４をゆるめ支
持板１７を第４図に示すように右下りにしてナツト２４
を締めるとともに、針を上死点に停止し送り歯３が送り
歯溝（図示しない）の前部から突出した状態において、
押え足５を上げて布Ｗ１．Ｗ２を針板４上におき、押え
足５を下げて布Ｗ１．Ｗ２を送り歯３の上面と押え足５
の下面で挾むとともに、エアーシリンダー２５内のエア
ーを排出してバネ（図示しない）の弾性力により保持板
１１を下方に押し下げ、針落ちの後方において、無端ベ
ルト２７の下端で布Ｗ１．Ｗ２を針板４上に押圧する。

ミシンの作動機構が作動すると、これに連動したモータ
ー９が駆動してモーター９のシャフト１０に支持したロ
ーラー１３と支持板１７に支持したローラー１６．１９
とに掛は渡した無端ベルト２７の下端が布送り方向へ移
動することによって上布Ｗ１を布送り方向に送るように
摩擦力を与え押え足５と針板４との間に上布Ｗ１を送り
込み、四運動する送り歯３が送り歯溝（図示しない）の
前部から後部に移動し押え足５と協働して下布Ｗ２を布
送り方向に送り上布Ｗ１は下布Ｗ２と一緒に同じ量だけ
針落ちの方向へ送られる。

上死点にある針７が下降し始めると、送り歯３は送り歯
溝（図示しない）から下降し、押え足５の下面が上下布
Ｗ１．Ｗ２を針板４上に押圧するとともに、針７が布Ｗ
１．Ｗ２を貫通して布Ｗ１．Ｗ２に対しミシンベッド部
に配置した釜あるいは、ルーパー（図示しない）との協
働により結節を形威する。

上下布Ｗ１．Ｗ２に結節を形成している間無端ベルト２
７の下端の布送り方向への移動により無端ベルト２７の
下端が上布Ｗ１を布送り方向に送り押え足５の手前に上
布Ｗ１をため、針７が針落ちから上昇し始めて、送り歯
３が再び送り歯溝（図示しない）から突出し、前部から
後部に布Ｗ１．Ｗ２を布送り方向に送ると無端ベルト２
７の下端が上布Ｗ１に与える摩擦力により上布Ｗ１を布
送り方向に送り、この時押え足５の手前にたまった上布
Ｗ１は、針落ちの方向へ伸ばされて平坦な状態で送られ
、送り歯３により布送り方向に送られる下布Ｗ２と同じ
量だけ針落ち方向へ移動する。

移動した上下布Ｗ１．Ｗ２に針７が貫通して次の結節を
作ることにより、第１の結節から第２の結節の間におけ
る上布Ｗ１と下布Ｗ２との長さが同じであるから上布Ｗ
１と下布Ｗ２との間で縫いずれが生じない。

上布Ｗ１を下布Ｗ２に対してより多く送るには、支持板
１７の傾斜角度を更に傾けることにより無端ベルト２７
の上布Ｗ１に対する押圧力を高め上布Ｗ１に与える摩擦
力を増加すればよい。

縫合後の上下布Ｗ、、Ｗ、、を針落ち後方で引っばるに
は、エアーシリンダー２５にエアーを注入して、保持板
１１を上方に持ち上げ、ナツト２４をゆるめ支持板１７
を第３図に示すように左下りにしてナツト２４を締め、
針７を上死点で停止し、送り歯３が送り歯溝（図示しな
い）の前部から突出した状態で押え足５を上げて、布Ｗ
１．Ｗ２を針板４上におき、押え足５を下げて布Ｗ１．
Ｗ２を押え足５の下面と送り歯３上面とで挾むとともに
エアーシリンダー２５内のエアーを排出して保持板１１
を下方に降ろし、針落ちの後方において無端ベルト２７
の下端を針板４の上面に圧接する。

ミシンの作動機構を作動すると、ミシンの作動機構に連
動するモーター９の駆動により布送り方向に移動する無
端ベルト２７の下端は針板４の上面で摺動し、上死点に
ある針７が下降して前述したように布Ｗｔ 、Ｗ２に対
して縫い目を形威し、四運動する送り歯３が送り歯溝（
図示しない）から突出して押え足と協同して縫合した布
Ｗ１．Ｗ２を布送り方向に送り、無端ベルト２７の下端
と針板４上面との間に送り込み、無端ベルト２７の摩擦
力を上布Ｗ１に与え、縫合された上下布Ｗ、、Ｗ２を布
送り方向に引っばって縫いしわを生じないようにする。

布Ｗ１．Ｗ２を強く引っばるためには支持板１７の傾斜
角度を更に、傾けることにより無端ベルト２７の上布Ｗ
１に対する押圧力を高め無端ベルト２７の摩擦力を強く
すればよい。

以上のべたように、本考案は押え足５の側方に上下動し
、且つ回動可能に布送り方向に沿って配置した支持板１
７の前後端にローラー１６．１９を設け、そのローラー
１６．１９とミシンの作動機構に連動して駆動する駆動
体９との間に無端ベルト２７をかけ渡すとともに、支持
板１７に下方の弾性力を与え、且つ支持板１７を一方向
に回動して無端ベルト２７により針落ち手前の布Ｗ１を
押圧して駆動体９の回動により布１を布送り方向に送る
ようにするか、支持板１７を他方向に回動して無端ベル
ト２７により針落ち後方の布Ｗ１を布送り方向に送るよ
うにするかいずれか切換えることができるようにするこ
とにより、上下布Ｗ１．Ｗ２に対して必要に応じて上下
Ｗ１．Ｗ２を同じ量送ったり、上布Ｗ１の方を下布Ｗ２
より多く送るようにしたり、また、縫合後の布Ｗｔ 、
Ｗ２を布送り方向に引っばったりすることができるよう
にしたので、いずれか一方の機構しかもたないものに比
べて有用であるとともに、簡単な操作でいずれかの機構
に切り換えることができるので、作業能率の向上に大い
に効果がある。

本考案の実施例として、支持板１７を支持するため、保
持板１１を押え足５に沿って設け、一端をモーター９の
シャフト１０に回動自在に支持し、他端に支持板１７を
支持したものを挙げたが、エアーシｊンダー２５を押え
足５の側方に設け、ピストンロッド２６の先端に保持部
を形威し、そこに支持板１７を回動係止可能に支持する
ようにしても同一の効果がえられる。

他の実施例として、本考案の実施例における保持板１１
の代りに、押え足５の側端部に布送り方向に沿う壁部を
設け、その壁面に支持板１７を回動・係止可能に支持し
ても同一の効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は一部を省略した斜視図、第２図は一部を省略し
た平面図、第３図、第４図は作用説明図、第５図は要部
の分解斜視図である。 図中、３は送り歯、４は針板、５は押え足、９はモータ
ー、１１は保持板、１６．１９はローラー、１７は支持
板、２７は無端ベルトである。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 布送り方向に沿う送り歯溝を設けた針板４と、作動機構
   に連動して四運動し送り歯溝から出没する送り歯３と、
   送り歯に対向して上下動可能にし送り歯と協同して布を
   挾み送るように布を針板上に押圧する弾性を受ける押え
   足５と、 押え足の側方に上下動可能に支持し下方の弾性を受ける
   保持板１１と、押え足の側端又は保持板の下端に対して
   布送り方向に平行に且つ布送り方向との直交水平軸を中
   心に回動可能に支持するとともに一方向に回動して一端
   が針落ち手前で針板に対向する位置と他方向に回動して
   他端が針落ち後方で針板に対向する位置とのいずれかに
   移動係止可能とした支持体１７と、支持体の両端に布送
   り方向との直交水平軸を中心に回転可能に支持した回転
   体１６．１９と、 原動機により回転可能に機枠に支持した駆動体と回転体
   との間に布送り方向に回転するようにかけ渡し支持体の
   下降により針落ち手前又は後方で布を針板上に押圧する
   ベルト２７とからなるミシンの布送りローラー