JPS5917232B2 - 防抜染糊組成物 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は防抜染糊組成物即ち防染又は抜染用糊組成物に
関する。

従来、防抜染剤として用いられている第一錫塩には、塩
化第一錫、硫酸第一錫、酢酸第一錫、リン酸第−錫、シ
ュウ酸第−錫等がある。

その中で、塩化第一錫が最も多用されるが、防抜染部分
の繊維強度を低下させること、防接染模様部分の周縁に
ハレーション現象と呼称される量輪現象を生じ絵際が美
麗でないこと、防抜染糊が強酸性を示すため印捺時にア
ルミニウム製のスケージホルダーやスクリーン型枠を腐
蝕させること、乾燥・固着工程において塩酸ガスが発生
するため作業環境衛生上の問題や金属製機械の腐蝕の問
題があること等種々の欠点を有している。

硫酸第一錫は、高温蒸熱下の繊維脆化が著しく使用が困
難である。

蟻酸第一錫、酢酸第一錫等の可溶性のカルボン酸第−錫
塩は、繊維の脆化はほとんど起さないが、塩化第一錫同
様ハレーション現象が著しく絵際が美麗でない。

リン酸第−錫は、水不溶性であり繊維脆化がなく又ハレ
ーション現象もないが、極めて不活性であり多量の飽和
蒸気の存在下においてのみその効果を発揮するので、サ
ーモゾール法、高温連続蒸熱法の様な蒸気量が少ない固
着法では十分な防抜染力を有しているとは言えない。

シュウ酸第−錫も水不溶性であるが、リン酸第−錫量様
蒸気量が少ないサーモゾール法、高温連続蒸熱法ではや
はり不十分な防抜染力しか示さない。

本発明者等は、斯かる問題を解決すべく種々の第一錫塩
について、防抜染剤としての適性を鋭意研究した結果、
特殊な多価カルボン酸第−錫塩が、防抜染剤として優れ
た適性を有していることを発見し、本発明を完成したの
である。

本発明の主な目的は、各種天然繊維、各種合成繊維の防
接染加工において、繊維の脆化及び金属機械の腐蝕を与
えることなく、シかも防接染模様周縁へのにじみ出しに
よる絵際の不鮮明さを起さない、優れた防抜染力を有す
る防抜染糊を提供することにある。

本発明について述べると、本発明の特徴は、元糊中に、
防抜染剤として、下記一般式で示される水不溶又は水難
溶性の多価カルボン酸第−錫塩を含有せしめることにあ
る。

上式中、Ｍはそれぞれ独立に、１当量の二価の錫、水素
、アルカリ金属、アンモニウム又はアルキルアミンカチ
オンを表わし、ｎは０，１又は２を表わす。

但し、この分子中に存在するＭのうち少なくとも１つは
二価の錫カチオンであるものとする。

上記一般式の化合物は、本発明の糊組成物中に１種のみ
で又は２種以上の混合物として含有されていてもよく、
元糊重量に対して２〜２０重量％の量で含まれるのが好
ましい。

また、本発明の糊組成物中には塩化第−錫等の水可溶性
第一錫塩が併存していてもよい。

上記一般式の化合物は、対応する多価カルボン酸又はそ
の塩を金属錫又は第一錫塩と反応させることにより、容
易に製造することができる。

本発明による防抜染糊のｐＨは、中性あるいは微酸性で
あるため、防抜染部分の繊維脆化がなく、スクリーン捺
染機等に用いられるアルミニウム製のスケージホルダー
やアルミニウム製スクリーン型枠を腐蝕しない。

また、乾燥工程や固着工程において酸性ガスを発生しな
いので機械の損傷がなく、作業者に与える環境衛生上の
問題もほとんどない。

また、防抜染剤が、水不溶あるいは水難溶性であるため
、ハレーション現象がなく絵際が美麗であり、防抜染糊
の貯蔵安定性も良好である。

更に特徴的なことは、水不溶又は水難溶性であるにもか
かわらず驚く程の防抜染力を有することである。

これは、まず還元性を発揮する原子価２価の錫イオンの
分子中にためる割合が大きいことと含チツ素カルボン酸
の第一錫塩という特異な構造により、蒸熱固着中にわず
かの蒸気で、２価の錫イオンが解離されやすく、有効に
還元作用を発揮するためであると推察される。

本発明の防抜染糊組成物は、前記一般式で示される水不
溶又は水難溶性の第一錫塩を元糊中に混合して用いるの
であるが、元糊に用いる糊剤は、加工ローカストビーン
ガム、加ニゲアルガム、テンフン類、カルボキシメチル
セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセル
ロース１．クリスタルガム、トラガントガム、アルギン
酸ソーダ等一般に捺染用糊剤として用いられるものを使
用できる。

また、本発明の防抜染糊組成物は、白抜、着抜、白防及
び着防に用いることが可能であり、この防抜染糊組成物
中に、蛍光染料、着色用顔料、着色用染料等を併用でき
る。

また、界面活性剤、染色用キャリヤー剤、ｐＨ調整剤、
吸湿剤、油脂類、鉱物油、酸化防止剤等も必要に応じて
併用することができる。

本発明に係る防抜染糊組成物は、綿、麻、レーヨン、羊
毛、アセテート、ポリアクリル繊維、ポリアミド繊維、
ポリエステル繊維及びそれらの混紡品の織物、編物等の
防染又は抜染に広く適用出来る。

以下、実施例により本発明を更に説明する。

なお、実施例中「部」とあるのは「重量部」を示す。

実施例 １ ポリエステルポンジー織物を次の条件下で、無地染めし
た。

捺染後、１３０℃で１分間乾燥し、更にＨＴスチーマ−
試験機（昭和機械通商■製）にて１７０℃で７分間の高
温スチーミング処理を行ない、次いで、水洗、ソーピン
グし、乾燥した。

、斯くして得られたポリエステルポンジー織物の着色抜
染品は、前駆上に鮮明な赤色の水玉模様が印捺されてお
り、ハレーション現象は全く認められなかった。

尚、比較のため、上記抜染糊中のニトリロトリアセチッ
クアシッド第一錫の代りに、塩化第一錫を同量混入して
抜染糊を作成し、同様の方法で着色抜染を行ない、その
結果を比較すると次表の通りであった。

実施例 ２ 下記組成からなる防染糊を、ポリエステルスウエード織
物に、縞模様にスクリーン捺染した。

次いで、下記組成からなる地色用オーバー糊を、上記ス
ウエード織物−ヒに印捺された縞模様を覆う様に全面に
スクリーン捺染した。

オーバープリント後、１３０℃で１分間乾燥し、更にＨ
Ｔスチーマ−試験機（昭和機械通商■製）にて、１７０
℃で７分間の高温スチーミング処理を行ない、次いで、
水洗、ソーピングし、乾燥した。

斯くして、黒地上に白変が良好で、ハレーションが全く
ない白地縞模様の美麗なポリエステルスウエード織物の
防染品が得られた。

実施例 ３ 下記組成からなる防染糊を、トリアセテートデシン織物
上に縞模様に捺染した。

次いで、下記組成からなる地色用オーバー糊を上記トリ
アセテートデシン織物上に捺染された縞模様を覆う様に
全面に捺染した。

カヤロンライトスカーレットＧ５−２００（日本イｍ陶
製）、Ｃ，１，デイヌノ←スレッド１５３）３０部二゛
ンカガム２Ａ（日宵ピ’ｒＪＴＩＡ謔東襲）１０％
３００部サンす−ズＰＮＯＩＬ（山陽パＬ／７４製）１
２％オーバープリント後、１００℃で２分間乾燥し、更
にＨＴスチーマ−試験機（昭和機械通商■製）にて、１
６０℃で１０分間高温スチーミング処理を行ない、次い
で、水洗、ソーピングし、乾燥した。

斯くシて、スカーレノト地に青の縞模様がくつきりと印
捺されたトリアセテートデシン織物の優れた着色防染品
が得られた。

実施例 ４ アクリルモスリン織物を次の条件下で無地染めした。

得られた青色布に、下記組成からなる抜染糊を水玉模様
に、スクリーン捺染した。

捺染後、１００℃で２分間乾燥し、更に、重金工業社■
製ＨＴスチーマー試験機にて、１００℃で３０分間常圧
スチーミング処理し、次いで、水洗、ソーピングし、乾
燥した。

斯くして、前駆上に黄色の水玉模様の美麗なアクリルモ
スリン織物の着色抜染品が得られた。

実施例 ５ 冷水３００部に、塩化第−錫二水塩（昭和化工■製、純
度９５％以上）３００部を透明に溶解し、この中へ、撹
拌下３０分間を要してＮ（ＣＨ２ＣＯＯＮ ａ ）３の
３７．５％透明水溶液４００部を徐々に滴下し、滴下終
了後更に３時間撹拌を続は反応を完結せしめた。

こうして得られたニトリロトリアセティツクアシッドの
部分第一錫塩は、白濁した微粒子の分散状であった。

次に、上記方法にて作製されたニトリロトリアセティツ
クアシッドの部分第一錫塩の分散液を用いて、下記組成
からなる防染糊を作成し、ポリエステルポンジー織物上
に縞模様に捺染した。

次いで、下記組成からなる地色用オーバー糊を、上記ポ
ンジー織物上に印捺された縞模様を覆う様に全面スクリ
ーン捺染した。

オーバープリント後１３０℃で１分間乾燥し、更にＨＴ
スチーマ−試験機（昭和機械通商■製）にて１７０℃で
７分間の高温スチーミング処理を行ない、次いで水洗し
、ソーピングし、乾燥した。

斯くして、赤地上に鮮明なターコイズブルーの、ハレー
ションが全くない、縞模様のポリエステルポンジー織物
の防染品が得られた。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 元糊中に、下記一般式で示される水不溶又は水難溶
   性の多価カルボン酸第−錫塩を含有せしめてなる防染又
   は抜染用糊組成物。 上式中、Ｍはそれぞれ独立に、１当量の二価の錫、水素
   、アルカリ金属、アンモニウム又はアルキルアミンカチ
   オンを表わし、ｎは０，１又は２を表わす。 但し、この分子中に存在するＭのうち少なくとも１つは
   二価の錫カチオンであるものとする。