JPS5913282B2 - 圧延機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は圧延機に係り、特に、その圧延精度の改良に関
する。

近年、圧延製品、特に板材の厚み精度に対する要求は厳
しくなってきている。

このような要求に対し、被圧延材の長手方向の板厚精度
は、自動板厚制御の急速な発達によってかなり進歩して
いるが、被圧延材の幅方向の板厚精度については有効な
制御手段がない状態である。

もつとも、被圧延材の板幅方向の厚み（フラットネス）
を制御する手段として、４段圧延機における作業ロール
のベンディング法が開発され、かなりの効果を発揮して
いるが、従来のロールベンディング法では、被圧延材の
板厚を制御する能力に限界があり、特に、被圧延材の板
幅が大きく変化する場合には、能力不足で充分な効果を
発揮し得ないのが実情である。

すなわち、一般に、良好な、特に板幅方向の板厚不同の
少ない製品を圧延するには、圧延荷重等の影響によって
作業ロールが変形するのをできるだけ少な（すること、
および、ロールベンディングによる修正能力を大きくす
ることの２点が最も重要な要素となる。

しかしながら、通常の圧延機では、作業ロールの両端部
が補強ロールとの接触荷重による曲げモーメントを受け
るため、作業ロールの圧延部と非圧延部の境界点付近、
つまり、被圧延材の両側部で急激な板厚不同を生じるこ
ととなり、特に、被圧延材の板厚が変化する場合には、
前述した曲げモーメントにも差を生じ、被圧延材の板幅
が狭くなる程作業ロールは大きな曲げモーメントを受け
、その撓み量も大きくなって板厚不同が一層大きくなる
欠点を有する。

また、この種の圧延機においては、圧延作業の進行に伴
ないロールが熱膨張をするが、この熱膨張はロールの軸
線方向において一様でないため、被圧延材には必然的に
板幅方向の板厚不同が生じる。

このために、両作業ロール間の軸線方向の間隙を当初か
ら変化させておくことが考えられるが、圧延作業の進行
に伴なうロールの摩耗によって初期の状態から変化する
ことも回避できない。

したがって、前述したように問題に対処するためには、
大きな修正能力を有するロールベンディング装置を設け
て、ロールの間隙を常に思い通りに変化させ得ることが
必要とされる。

ところが、一般の圧延機においては作業ロールが大きな
曲げ剛性を有する補強ロールにより拘束されているため
、ロールベンディング効果がロール端部にしか及ばない
難点があり、また、ロールペンディングカもロールネッ
クの強度や軸受の寿命等の制約を受けるため、ある範囲
内に限定され、ロール間隙を常に思い通りに変化させる
ことは困難であった。

そこで、通常の圧延作業においては、良好な製品品質を
確保するため、例えば被圧延材の板幅が変化するごとに
作業ロール間の間隙を変化せしめているが、煩雑なロー
ル交換を行なう必要があるため、大幅な稼動率の低下を
もたらしているのが実情であり、かつ多種類の曲率を有
するロールを保有しておく必要があるため、予備ロール
数が著して増加し、コストアップになる欠点があった。

このような従来のものにおける欠点を除去するため、第
１図に示すように、被圧延材たるストリップ１を圧延す
る上下作業ロール２，３と、これらの作業ロール２，３
を加圧する上下補強ロール４．５との間にそれぞれ中間
ロール６．１を介装せしめ、かつ、これらの中間ロール
６．７の軸線を、第２図に示すように、図示しない傾斜
装置により他のロールの軸線に対し水平面内においてθ
だけ傾斜させるようにした圧延機が本出願人の出願によ
り公知となっている。

なお、第１図中、符号８，９はロールベンディング装置
である。

この圧延機は、圧延荷重による作業ロール２゜３０曲が
りを減少するために、上下一対の中間ロール６．７を水
平面内において傾斜させ、ストリップ１と接触していな
い作業ロール２，３の部分に対する補強ロール４，５か
らの荷重を軽減し得るようにするとともに、中間ロール
６．７の傾斜調節とロールベンディング装置８，９の協
動により、ストリップ１の板幅方向の板厚不同をより有
効に修正し得るようにしたものである。

そして、この圧延機により被圧延材の形状制御能力は格
段に高まったが、一方においてつぎのような欠点もあっ
た。

すなわち、６段圧延機となるため、従来の４段圧延機に
比べ大型化し、またロール傾斜装置も上下２組必要とさ
れるため、コストの上昇を招来した。

本発明は、前述した従来のものにおける欠点を除去し、
被圧延材の幅方向の板厚の制御を充分なすことができ、
しかも安価に製造できる圧延機を提供することを目的と
してなされたもので、傾斜ロールおよびその傾斜装置を
一対の作業ロールのうち小径作業ロールと、その補強ロ
ールとの間に配設したものである。

以下、本発明を図面に示す実施例により説明する。

なお、前述した従来のものと同一の構成については、図
面中に同一の符号を付し、その説明は省略する。

第３図は第１図の補強ロール５および中間ロール７間の
接触圧力分布を示すものであり、中間ロールγの傾斜の
ための回動中心が圧延機の中心と一致すれば、圧力分布
は左右対称となるため、第１図の中間ロール６．７を１
つのみにしても圧力分布が左右非対称となることはない
。

そこで、第４図に示すように、中間ロール６のみを配設
すれば、前述した従来のものにおける欠点を除去できる
。

ところで、この中間ロール５を上下のいずれに配設する
かであるが、上下の作業ロール２，３および補強ロール
４，５とも同径で、しかも上下の駆動条件も同一であれ
ば、上下のいずれの側に中間ロール６を配しても圧力分
布の左右対称性は確保できる。

ところが、既に知られている第５図に示すような、作業
ロール２，３の径が異なり、しかも一方の作業ロール３
のみをモータ１０により駆動するという上下非対称な圧
延機においては、中間ロール６の配設位置が問題となる
。

そこで、第６図により、いずれの側に中間ロール６を配
設すれば良いかを導びく。

まず、中間ロール６の傾斜角θ（第２図の角度）と、作
業ロール２の下面の中心部および端部間のたわみ量、す
なわち見かけ上の作業ロール２のりラウン相当量ｃＲと
の関係式を示す。

ここで、Ｒｗ、Ｒｉ、ＲＢはそれぞれ作業ロール２、傾
斜ロール６、補強ロール４０半径、ＢＬはロールバレル
長である。

また（１）式は、第６図に示すように、傾斜ロール６の
中心部と端部のずれ量ａにより作業ロール２はＣｗだげ
撓み、また補強ロール４はＣＢだけ撓み、これらの合計
がＣＲであることから導びされている。

ここで、ずれ量ａは（２）式、（３）式中の（ＢＬ／
２ ） ｔａｎθである。

ここでは、作業ロール２のロール径の大小を考慮してい
るのでＣｗについて考える。

Ｒ■＋ＲｗをＸとおき、ＣｗをＸで微分すると、となり
、この値はＸが正であるから常に負である。

すなわち、ＣｗはＸに対する減少函数であるため、ずれ
量ａが一定（傾斜角θが一定）なら、Ｘが太き（なると
Ｃｗは小さくなり、同じ傾斜角を与えた場合、Ｘが小さ
い方がＣｗは大きくなる。

逆に、同じクラウン相当量Ｃｗを得ようとする場合は、
Ｘが小さい方が傾斜角θは小さくて済む。

以上のことから、Ｘが小さい側、すなわち作業ロール径
が小さい側に傾斜ロール６を配置する方が、同じクラウ
ン相当量を得るのにロール６の傾斜角θが小さくて良く
、傾斜装置の小型化および制御性の向上が図れるといっ
た種々の利点を有する。

つぎに、駆動軸の有無についてであるが、駆動される作
業ロール３には、大形の継手や駆動軸等が設けられ、ロ
ール傾斜装置を設置する際にスペース的な制約があるた
め、傾斜装置の据付が煩雑になるおそれがある。

そこで、駆動されない側の作業ロール２の方に、即ち小
径の作業ロール２の側に傾斜ロール６等に設けるのが良
い。

本発明に係る圧延機は、前述したように、傾斜ロールお
よびその傾斜装置を一対の作業ロールの小径側に配設し
たので、小型ながら被圧延材の幅、方向の板厚の制御を
充分なすことができ、安価に製造できるという優れた効
果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の圧延機の一例を示す説明図、第２図は第
１図の要部の平面図、第３図は第２図の圧力分布を示す
説明図、第４図は本発明に係る圧延機の実施例を示す説
明図、第５図は従来の圧延機の他側を示す説明図、第６
図はロール傾斜によるロールのクラウン相当量を導く原
理図、である。 １・・・・・・ストリップ、２，３・・・・・・作業ロ
ール、６゜７・・・・・・傾斜ロール。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 一対の作業ロール及び一対の補強ロールを備え、被
   圧延材を圧延する圧延機において、前記作業ロールの軸
   線に対して水平方向に傾斜した軸線を有する傾斜ロール
   、およびこの傾斜ロールを水平方向に傾斜せしめる傾斜
   装置を前記一対の作業ロールのうち小径の作業ロールと
   、その補強ロールとの間に配設したことを特徴とする圧
   延機。