JPS5913256Y2 - 電気めっき用治具

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【考案の詳細な説明】この考案は電気めっきに関し、特に被めっき物をめっき
液中で回転しながらめっきする場合の被めっき物への通
電機構に関するものである。

電気めっき、特に電鋳の様な厚いめっきでは高電流密度
でめっきを行なわないと能率が悪い、高電流密度でめっ
きを行なうためには、陰極面近傍のイオン濃度傾斜を減
少し、イオンの陰極への供給を促進しなければならない
。

又、陰極に発生するガスを除去しなければ、ガスの付着
した部分でめっきが停止し、一様なめっきができない。

このために陰極をめっき液中で回転しながらめつきする
方法が一般にとられている。

しかしながら、電気めっきであるから被めっき物である
陰極に通電しなければならないが、陰極が回転するため
安定に陰極に通電するのが難しい。

めっき電流の変動は、めっきレートを変化させるのでめ
っきが層状になってしまい好しくない。

このため普通は、水銀溜を利用して、回転軸と固定部の
間を通電したり、高精度のはめあいの摺動軸受を用いて
通電する方法がとられている。

しかし、水銀溜による方法は、水銀の人体に対する安全
性から好しくない。

又、摺動軸受は、はめあい精度をよくしても、軸と軸受
間の電気抵抗が変化し、その上経年変化もあり安定に被
めっき物に電流が流せない。

この考案の目的は、人体に対して安全で、かつ安定した
めつき電流の流せる、回転陰極への通電機構を有する電
気めっき用治具を提供することにある。

次に図面を参照して、この考案を詳細に説明する。

図は、この考案の実施例を示す陰極部分の断面図である
。

被めっき物１は回転基板２に固定されている。

回転基板２には回転軸３が固定されており、回転軸３に
はプーリ部４が形成されておりベルト５で外部より回転
される。

回転軸３の中心には、導電性の通電軸６が固定されてお
り被めっき物１と通電軸６はリード線７で電気的に結ば
れている。

通電軸の一端はキャップ８の中に出ており、キャップ内
にはめつき液が浸入しない様に固定基板９の軸受部１０
及び固定基板９とキャップ８の間のシール部１１にはオ
ーリング（図示せず）を入れてシールしである。

うず巻ばね１２の一端は、通電軸６に固定され、通電軸
６を中心軸として、キャップ８内でうず巻状（ぜんまい
状）に巻かれており、他端はキャップ８に固定され、リ
ード線１３に電気的に接続され、リード線１３はめつき
電源に結ばれている。

電気めっきは、ベルト５で回転軸３の回転方向を一定時
間毎に反転しながら行なうので、陰極と電源とは常に通
電状態が保たれ、安定しためつきが得られる。

回転軸３の回転方向の切換えは、モータの回転数を検出
しであるいは、うす巻きばね１２が通電軸６に巻かれて
行く時のトルクの変化を検出するなどの方法で容易に行
なえる。

回転数は、めっきの電流密度にもよるが、高々１００
ｒｐｍ程度である。

うず巻ばねの材質としては、ばね鋼の箔板よりも、ばね
用リン青銅板が電気抵抗が小さいので発熱が小さく好し
い。

又、うす巻ばねの表面を絶縁膜、例えばフッ素樹脂コー
ティングでコートしておくと、うず巻ばねの巻き付けら
れた状態でもばね板が接触し合わないので電気抵抗が変
化せず安定なめつき電流を供給できる。

この考案により有害な水銀を使用せず、また、被めっき
物とめっき用電源部とは摺動する部分を介することなく
電気的に接続されるため、安定しためつき電流の供給で
きる電気めっきの通電機構を有する治具が得られる。

さらに、本考案では、陰極の回路方向を一定時間毎に反
転しているので、陰極に発生したガスの除去の効果が大
きい。

【図面の簡単な説明】

図は、この考案の実施例を示す治具の断面図である。図において、１は被めっき物、２は回転基板、３は回転
軸、４はプーリ部、５はベルト、６は通電軸、７及び１
３はリード線、８はキャップ、９は固定基板、１０は軸
受部、１１はシール部、１２はうす巻きばねを各々表わ
す。

【実用新案登録請求の範囲】