JPS5911728Y2 - ミシンの上送り機構 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、ミシンの上送り機構に関し、特に押え棒の
下端に取付けた布押えが布の上面を単に押圧する一方、
送り歯を備えた上送り金が布上面で布送りの四運動をす
るミシンの上送り機構に係るものである。

従来、この棟上送り機構は、中空の押え棒の下部にピス
トン棒を遊嵌し、このピストン棒と押え棒内部に螺着し
た内ねじとの間にばねを配置し、ピストン棒を上送り金
を担持したリンクに接触させ、押え棒内部のばねの圧力
をピストン棒を介して上送り金リンクに加えて上送り金
に押圧力を附与している。

か・るばね圧によって上送り金に押圧力を附与する従来
機構では、上送り金の布送り行程で、上送り金が布地に
係合することなく水平に空動きするという誤動作が屡々
起った。

これは、ピストン棒が毎分数千回の頻度で上下動し、こ
の交番力が押え棒内部のばねに加わってばねが押え棒内
部で共振を起こし、そのためばね本体の弾性力が働かな
くなって上送り金が下降しなくなったものと考えられる
。

さらに、従来機構では、内ねじをねじ込んで押え棒内部
のばね圧を強くすると、このばね圧が押え棒に上向きに
働いて布押えが針板下の送り歯に対し布面を十分に押圧
しなくなる。

このように、ばね圧によって上送り金に押圧力を附与す
る従来機構では、上送り金の四運動中上送りエラーが発
生しかつ布押え圧が不安定であるため、イサリ（２枚の
縫製すべき布を送るとき、上と下の布がずれる現象）が
発生し易いことが判明した。

そこで、この考案は、ばね圧を使用することなく、上送
り金に押圧力を附与することのできるミシンの上送り機
構を得ることを目的としたものである。

この考案の実施例を図面に従って以下説明する。

第１図において、押え棒１をミシンアームのヘッド部２
に取付けた軸受ブシュ３に遊嵌し、さらに押え棒１の小
径部１ａをヘッド部２の上部に螺着した調節ねじ４の貫
通孔４ａに遊嵌し、押え棒１の肩部１ｂと調節ねじの段
孔４ｂの間にばね５を配置する。

調節ねじ４のねじ込みによりばね圧を調節することがで
き、調整後は締めナット６で固定する。

押え棒１の下端部に、第２図に示す支持体７を、割り孔
７ａに押え棒１を挿入後取付孔７ｂからボルトを通しナ
ット締めすることにより、固定する。

支持体７に押え脚８をねし止め８ａＬ、押え脚８の下端
部に従来技術に従い布押え９を取付ける。

こうして、ばね５の調整可能な固定圧力が押え棒１、押
え脚８を介して布押え９に作用し、布押え９は常時定圧
力で布の上面を押圧する。

支持体７に、また第１及び２図に示すように、押え棒下
端部から概ね斜め下向きに伸長した二又アーム状の固定
リンク１０を形戊し、固定リンク１０の端部に枢軸ピン
１１の受入孔１２を形成する。

固定リンク１０は押え棒以外の他の個所に固定してもよ
い。

固定リンク１０に後記するすべりリンク１３及び揺りて
こ１４を取付ける。

すべりリンク１３は、第２図に示すように、概ね平形を
なして胴部に長孔１３ ａを穿設し、一端に仲介リンク
１５を枢着し、かつ他端の自由端部１３ｂを二又状とし
て側方向きに開放したみぞ１３Ｃを形或している。

揺ってこ１４は、第２図に示すように、概ね山形をなし
てその頂部に枢軸孔１４ ａを穿設し、山形の一辺の上
端に仲介リンク２２を枢着しかつ概ね枢軸孔１４ ａの
個所から自由端部１４ｂに至る山形の他辺は二又状とな
って上下向きに開放したみぞ１４ Ｃを形威している。

すべりリンク１３を、揺りてこ１４のみぞ１４ Ｃに挿
入して長孔１３ａを枢軸孔１４ ａに整列の上、揺りて
こ１４と共に固定リンク１０の二又状アーム間に挿入し
、枢軸ピン１１を受入孔１２から枢軸孔１４ａ及び長孔
１３ａに通して、揺りてこ１４及びすべりリンク１３を
固定リンク１０に枢着する。

すべりリンク１３は、長孔１３ａにより枢軸ピン１１に
対し相対的に滑動することができまた枢軸ピン１１を中
心に揺動することもでき、揺りてこ１４は、枢軸孔１４
ａにより枢軸ピン１１を中心に揺動することができる。

こうして固定リンク１０に、すべりリンク１３を滑動か
つ枢動可能に、また揺りてこ１４を枢動可能に取付ける
。

第１図において、すべりリンク１３の一端を伸介ノンク
１５を介して揺動レバー１６の下端部１６ ａに連結す
る。

揺動レバー１６は、ミシン機構に連動して揺動する原動
リンク１７に連結した接続リンク１８の動きにより、支
軸１９を中心として下端部１６ ａが左右に揺動し、こ
れによりすべりリンク１３が直線往復運動する。

すべりリンク１３の下面に、送り歯２０ａを備えた上送
り金２０をねじ止め２０ｂシ、送り歯２０ ａを布押え
９の両側に位置させるように上送り金２０は第２図に示
すように二又状の送り歯となっている。

すべりリンク１３が直線往復運動すると、上送り金２０
もまた直線往復運動する。

上送り金２０の移動量は、揺動レバー１６の上方部１６
ｂに対する接続リンク１８の連結点１８ ａを調節ねじ
２１により移動させて調整することができる。

揺りてこ１４の一端を仲介リンク２２を介して揺動アー
ム２３の下端部２３ ａに連結し、揺動アーム２３はミ
シン機構に連動して下端部２３ ａが左右に揺動し、こ
れにより揺りてこ１４が枢軸ピン１１を中心に往復角運
動する。

すべりリンク１３の自由端部１３ｂのみぞ１３ Ｃに第
２図に示す角形又は丸形のすべり子２４を遊嵌し、この
すべり子２４のピン孔２４ ａにピン２５を揺りてこ１
４のピン孔１４ｄから挿入して、揺りてこの自由端部１
４ｂとすべりリンクの自由端部１３ｂとをすべり対偶の
関係に連結する。

これにより、直線運動の際、すべりリンク１３を概ね水
平に移動させるように案内し、角運動の際、揺りてこ１
４に追従してすべりリンク１３の自由端部１３ｂが枢軸
ピン１１を中心に揺動して上送り金２０を上下動し、さ
らに、後記するように、ミシン機構の動力を誘引した動
的な押圧力を上送り金に加える。

この考案によるミシンの上送り機構の布送り動作は次の
通りである。

第１図において、ミシン機構に連動して揺動レバー１６
の下端部１６ ａが左方へ一定角度揺動するとすべりリ
ンク１３が左方へ水平移動し、これに伴い上送り金の送
り歯２０ ａが布に係合したよ・左方へ水平移動して布
を送る。

次いで揺動アーム２３の下端部２３ ａが左方へ一定角
度揺動すると、揺れてこ１４が枢軸ピン１１を中心に両
自由端部１３ｂ，１４ｂを上昇させるように角運動し、
これに伴い上送り金の送り歯２０ ａが布面から離れる
。

次いで揺動レバーの下端部１６ ｂが右方へ揺動すると
、すベリリンク１３が右方へ水平移動し、これに伴い上
送り金の送り歯２０ ａが元位置の上方へ復帰する。

次いで揺動アームの下端部２３ａが右方へ揺動すると、
すべりリンク及び揺りてこの自由端部１３ ｂ ，１４
ｂが下降し、上送り金の送り歯２０ ａが布面に接触
する。

このとき、揺動アーム２３の下端部２３ ａが右方へ揺
動すればする程、揺りてこ１４は枢軸ピン１１を中心に
自由端部１３ｂ，１４ｂがさらに下降するように枢動し
、ミシン機構の動力が押圧力となって上送り金に加わり
、上送り金の布押え圧が高まる。

従って、揺動アーム２３の角運動量を予め設定しておけ
ば、何等ばね圧を使用することなく、ミシン機構の動力
を誘引した動的なかつ安定した押圧力を上送り金に付与
することができる。

これにより上送り金は安定した布押え圧で布面に係合し
て、上送りエラーが発生せず、イサリの発生も低減する
。

布押え圧が安定しているので、若し縫製物の内容次第で
イサリの発生ある場合であっても、上送り金の移動量を
調整することによって対処することができる。

第３及び４図は、それぞれ、揺りてこ１４とすべりリン
ク１３の両自由端部間におけるすべり対偶の変形例を示
すもので、第２図に示すすべり子２４とピン２５の代り
に、すべりリンク１３に設けた案内みぞ２６とピン２５
、又は揺りてこ１４に設けた案内みぞ２７とすべりリン
ク１３のタツプ孔２８に螺着したピン（図示なし）とで
、すべり対偶を形威したものである。

以上説明したように、この考案によれば、揺りてこの自
由端部とすべりリンクの自由端部とをすべり対偶の関係
に連結したので、何等ばね圧を使用することなく、ミシ
ン機構の動力を誘引した動的な押圧力を上送り金に付与
することができ、これにより布押え圧が安定して、上送
りエラーが発生せず、イサリの発生も低減し、またイサ
リの発生に対しても対処することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案によるミシンの上送り機構を一部断面
にして示す側面図、第２図は第１図に示す上送り機構の
主要部分の分解斜視図、第３図はすベリリンクの自由端
部の変形例を示す部分斜視図、及び第４図は揺りてこと
すべりリンクの両自由端部の変形例を示す部分斜視図で
ある。 １・・・・・・押え棒、４・・・・・・調節ねし、５・
・・・・・ばね、７・・・・・・支持体、８・・・・・
・押え脚、９・・・・・・布押え、１０・・・・・・固
定リンク、１１・・・・・・枢軸ピン、１３・・・・・
・すべりリンク、１４・・・・・・揺りてこ、１５・・
・・・・仲介リンク、１６・・・・・・揺動レバー、１
７・・・・・・原動リンク、１８・・・・・・接続リン
ク、１９・・・・・・支軸、２０・・・・・・上送り金
、２１・・・・・・調節ねし、２２・・・・・・伸介リ
ンク、２３・・・・・・揺動アーム、２４・・・・・・
すべり子。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 布の上面を押圧する布押えと、布押えを支持する押え棒
   と、押え棒又はそれに付随した部材に固定した固定リン
   クと、固定リンクに滑動かつ枢動可能に取付けられかつ
   ミシン機構に連動して直線往復運動するすべりリンクと
   、すべりリンクに該リンクと共に連動するように設けた
   上送り金と、固定リンクに枢動可能に取付けられかつミ
   シン機構に連動して往復角運動する揺りてことを備え、
   揺りてこの自由端部とすべりリンクの自由端部とをすべ
   り対偶の関係に連結してなるミシンの上送り機構。