JPS591099Y2 - ガソリン機関用燃料系統機構 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案はガソリン機関用燃料系統機構に関する。

従来、ガソリン機関の燃料系統において、その周囲温度
が上昇すると、該系統内の燃料が多量に気化し、ペーパ
ーロック現象を生じ機関の運転停止や排出ガス性能が悪
い管種々の弊害をもたらす。

この弊害を防止する方法として、従来、高温時に気液混
合燃料の循環量を増して燃料が受熱する時間を短くする
方法があるが、これは燃料供給系で発生した気状燃料を
液状燃料と積極的に分離するものではなく、上記弊害の
防止効果は大きく望めない。

また気状燃料と液状燃料との分離機構を備えたものも提
案されているが、これは単に室を設けて自然分離を行な
わせるだけでその効果は大きく望めない。

そこでこの考案は、気状燃料と液状燃料とを積極的に分
離させ、必要液状燃料を気化器へ供給し、気状燃料及び
余剰液状燃料を燃料タンクへ還元して、前記ペーパーロ
ックによる弊害を除去しようとすることを目的とするも
ので、すなわち燃料タンクより気化器に通ずる燃料通路
中に、室の上部に位置してタンクへの還元路、下部に位
置して気化器への供給路の開口部を有し、一時的に燃料
流速を低下させる気液分離室を設けたものにおいて、上
記分離室を機械式膜ポンプの燃料吐出口部に逆止弁を介
して一体的に設けて燃料が分離室の内周壁に沿って流下
する構成となし、且つ分離室内部に燃料流速を強制的に
減衰させる障害物を設けたものである。

次にこの考案を機械式膜ポンプに備えた実施例について
説明する。

第１図はこの考案を倒立型膜ポンプに応用した例を示し
、１は偏心カム、２は揺動腕で、その一端はスプリング
３の反発力によって常時カム面に接している。

揺動腕２の他端は、作動膜杆４を挟持しており、カム１
の回転によって作動膜杆４を押し上げるようになってい
る。

作動膜杆４の他端には作動膜５が固定されている。

６は作動膜５を常時下方へ付勢するスプリングである。

７は燃料吸入口で燃料タンクと連通している。

８は吸入逆止弁、９はポンプ室、１０は排出逆止弁、１
２は分離室１１内に設置した燃料流速をこれに擾乱運動
を起すことなく強制的に減衰させるための障害物で、こ
れは第３図に示す如く、多数の貫通穴１２ ａを形成し
た２枚の板を直角に組み合せて構成してもよく、また第
４図に示す如く、円筒の内側へ多数の切り起し片１２
ｂを突出して構成してもよく、その他、燃料流速を積極
的に減衰し得るものであればよい。

分離室１１には、その上方に還元路口１３を、また下方
に排出口１４を夫々連通して設け、還元路口１３は燃料
タンクに、排出口１４は気化器に連通している。

次に作動について説明する。

今、偏心カム１を回転させると、揺動＠、２が上下に揺
動し、そのローカム（カム半径最小部）からバイカム（
カムの半径最大部）までの半回転の間は、作動膜杆４及
び作動膜５を押し上げて燃料の吸入行程をなし、次の半
回転の間はスプリング６の反発力によって作動膜杆４及
び作動膜５が押し下げられ燃料の排出行程を行なう。

吸入行程で燃料タンクより吸入ロアへ吸い込まれた気液
混合燃料は、吸入逆止弁８を通ってポンプ室９に入り、
次の排出行程で排出逆止弁１０の円周方向に吐出されこ
こでまず流速を減じ、分離室１１の壁に沿って液体燃料
が下方に落ちながら障害物１２に当って、更に流速を落
し下方の排出口１４の付近に液状燃料が溜り、上方に気
状燃料が溜る。

下方に溜った液状燃料は排出口１４を通って気化器へ供
給され、上方に溜った気状燃料及び余剰液状燃料は還元
路口１３を通って燃料タンクへもどる。

この場合、第３図の障害物にあっては、燃料が分離室１
１内で主として左右の擾乱運動をするのを防止して燃料
流速を減衰させるものであり、また、第４図に示すもの
にあっては、主として上下の擾乱運動を防止して流速を
減衰させるものである。

第５図はこの考案を正立型ポンプに適用した例で、排出
逆止弁１０を通った気液混合燃料が、分離室１１内に突
設したパイプドーム１５に沿って上方へ押し上げられ、
分離室１１の天井に当ってここでも流速を減じ、分離室
内周壁に沿って液状燃料は下方に落ち障害物１２に当っ
て更に流速が減衰され、パイプドーム１５の底部に液状
燃料が溜り、分離室１１の上部に気状燃料が溜るように
なっている。

そして上方の還元路口１３から気状燃料及び余剰液状燃
料が燃料タンクへもどり、下方の排出口１４より必要液
状燃料が気化器へ供給されるものである。

第６図は第５図の分離室１１の背が高くなりがちである
ため、分離室１１の背を低くしても性能上の効果がある
ように分離室１１の断面積を広くして背を低くしたもの
である。

以上のようにこの考案によれば、気液混合燃料の流速を
これに擾乱運動を起すことなく強制的に減衰させる障害
物を設置したので、該気液混合燃料が液状燃料と気状燃
料とに積極的に分離されるとともにその気状燃料と余剰
液状燃料が燃料タンクへもどされ、必要液状燃料のみを
気化器へ供給できるのであるが、特にこの考案において
は、燃料ポンプの吐出弁から吐出された燃料は常に上方
から落ちてくるようになっているため、燃料溜りとの距
離がとれ気液の分離性能がよく液状燃料の鎮静化作用が
大きい。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の実施例を示すもので、第１図は倒立型
膜ポンプに応用した断面図、第２図は第１図におけるＩ
Ｉ −ＩＩ線断面図、第３図Ａ、 Ｂ及び第４図Ａ、
Ｂは障害物の２つの実施例を示す夫々平面図と斜視図、
第５図は正立型膜ポンプに応用した例を示しＡは縦断面
図、Ｂは■−Ｖ線断面図、第６図は第５図の変形例を示
し、Ａは縦断面図、ＢはＶＩ−ＶＩ線断面図である。 １・・・・・・偏心カム、２・・・・・・揺動腕、３・
・・・・・スプリング、４・・・・・・作動膜杆、５・
・・・・・作動膜、６・・・・・・スプリング、７・・
・・・・吸入口、８・・・・・・吸入逆止弁、９・・・
・・・ポンプ室、１０・・・・・・排出逆止弁、１１・
・・・・・分離室、１２・・・・・・障害物、１３・・
・・・・還元路口、１４・・・・・・排出口、１５・・
・・・・パイプドーム。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 燃料タンクより気化器に通ずる燃料通路中に、室の上部
   に位置してタンクへの還元路、下部に位置して気化器へ
   の供給路の開口部を有し、一時的に燃料流速を低下させ
   る気液分離室を設けたものにおいて、上記分離室を機械
   式膜ポンプの燃料吐出口部に逆止弁を介して一体的に設
   けて燃料が分離室の内周壁に沿って流下する構成となし
   、且つ分離室内部に燃料流速を強制的に減衰させる障害
   物を設けたガソリン機関用燃料系統機構。