JPS589528Y2 - コンパクト容器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、コンパクト容器の改良に係り、更に詳しくは
、蝶番によって蓋体を容器に開閉自在に連結し、蓋体の
縁部に第１突片を、また容器の縁部に第２突片を形成し
て、蓋体を閉じた時にこの第１突片が第２突片と係合し
て閉止するコンパクト容器の改良に関するものである。

従来提供されている上記のタイプのコンパクト容器では
、第１突片並びに第２突片の形状及びその突出量が極め
て正確に成形されなければならず、もしもこの保合が所
望のものよりも弱いと、コンパクト容器が不必要な時に
開いてしまい、また、所望のものよりも強い場合には開
放のために大きな力を要し、使用者にとって不便なもの
となる。

このため、コンパクト容器の成形に当ってはこの保合部
に最大級の注意が払われているが、これにもかかわらず
、この保合不良のため返品となるものが多く大きな問題
となっていた。

本願出願人は上記の問題を解決すべく、先に、実願昭５
４−１２６８７５号で、スライダ一部材を水平方向に押
し込むことによって第１突片と第２突片との保合を解く
とともに、更にスライダ一部材に加えていた押圧力を除
去すると、スライダ一部材が元の位置に弾性復帰するコ
ンパクト容器を提供した。

このコンパクト容器は第１突片及び第２突片の高度な寸
法精度が要求されず、しかも、簡単にして僅かな力で確
実に蓋体を開放することができるとともに、スライダ一
部材が弾性体によって自動復帰するので、開放位置にお
いてスライド孔内を遊動してガタつくことがないと言っ
た優れた利点を有している。

しかしながら、このパクト容器ではスライダ一部材の上
面に形成した傾斜面を利用し、スライダ一部材を内方に
押し込むと、この傾斜面が蓋体の前端縁から下方に垂下
した爪片を押し上げて蓋体を開放するように構成されて
いる。

即ち、このコンパクト容器ではスライダ一部材が小さな
部材であるため、この部材上の傾斜面の傾斜角度及び傾
斜面の長さが限られたものとなり、これ故、スライダ一
部材を押し込むことによって開放する蓋体の角度が比較
的小さなものに限られていた。

本考案は、上記の問題点に着目してなされたもので、そ
の目的は、本出願人の先願に係る上記実願昭５４−１２
６８７９号と同様の利点を有するとともに、スライダ一
部材を押し込んだ時に開放する蓋体の開放角度を比較的
大きく設定することのできるコンパクト容器を提供する
にある。

以下に本考案に係るコンパクト容器の好適な実施例を添
附図面を参照にして説明する。

第１図乃至第４図において、符号１は容器を示し、これ
はその後端縁において蝶番２を介して蓋体３と開閉自在
に連結されている。

蓋体３の前端縁の中央部には爪片４が下方に突出して一
体的に形成され、この爪片４の内壁面にはフック状の第
１突片５が一体的に形威されている。

蓋体３の前端縁付近の下面における爪片４の内方位置に
は、傾斜面６が当該個所の内壁を陥没させることにより
内側から外側に向けて斜上方に傾斜するように形威され
ている。

この爪片４の位置に対応して容器１の前端縁に凹所７が
一体的に形成され、凹所７の奥面８から前端縁に隔った
中空部９の上端部には、一定幅一定高さの梁１０が奥面
８と平行にかつ水平に一体的に架設されている。

この梁１０の外壁面の中央部には第２突片１１が一体的
に形成されており、蓋体３を閉じると、第１突片５が第
２突片１１とパチンという音とともに係合して閉止位置
を占める。

凹所７の底面には挿通孔１２が凹所７の両側面下端部に
肩部１３，１３をそれぞれ残して穿設されている。

前記凹所７の中空部９内にはスライダ一部材１４が挿通
孔１２を利用して摺動自在に収納される。

すなわち、スライダ一部材１４の横幅は凹所７の横幅と
ほぼ等しく、その奥行寸法は凹所７のそれ以下に設定さ
れており、スライダ一部材の組立時に挿通孔１２内に強
制的に圧入すると、横幅方向が撓んで挿通孔１２を通過
して凹所７の中空部９内に入り、次いで、弾性復帰して
両方の肩部１３，１３と係合可能となり、下方へ脱落し
なくなる。

スライダ一部材１４の上面における前記梁１０の内縁位
置には爪片１５がほは゛垂直に一体的に突設されており
、この爪片１５はスライダ一部材１４の摺動に伴って、
梁１０内方の中空部９内を摺動するようになっている。

この爪片１５の内壁面上端縁には傾斜面１６が外側から
内側に向けて斜下方に傾斜するように形威されている。

スライダ一部材１４の内端面と凹所７の奥面との間には
弾性体１７がスライダ一部材１４を常時外方に付勢する
ように介設されている。

本実施例では、この弾性体１７は円弧状の部片１７ ａ
からなり、弾力性を有する合成樹脂からスライダ一部材
と一体的に成形されている。

なお、図中、１８は化粧料収納トレイ、１９は鏡を示し
ている。

本考案に係るコンパクト容器の組立てに際して、スライ
ダ一部材１４を挿通孔１２内に強制的に圧入して前記の
ように凹所７の中空部９内に収納し組立てると、その円
弧状の弾性部材１７ ａは中空部９内で若干圧縮された
状態となり、スライダ一部材１４を常時外方へ付勢する
。

このコンパクト容器の使用について説明すると、蓋体３
の第１突片５を容器１の第２突片１１と係合した閉止位
置において、スライダ一部材１４の後端面を指先で内側
即ち奥に向けて押圧すると、スライダ一部材１４は中空
部９内を前進する。

この時、スライダ一部材１４の突片１５、特にその傾斜
面１６が蓋体３に形成された傾斜面６に沿って摺動し、
傾斜面６，１６と協働して突片１５は蓋体３を押し上げ
る。

この押し上げ力によって蓋体３の第１突片５と容器１の
第２突片１１との保合が解除され、蓋体３は容器１に対
して開放自在な状態になる。

その後は、蓋体３を自由に開けて鏡１９を所望の角度に
設定することができる。

ちなみに、上記スライダ一部材１４に加えていた押圧力
を抜去すると、スライダ一部材１４はその円弧状の弾性
部片１７ Ｈによって元の位置に押し戻されて、蓋体３
の開放時に中空部９内で遊動してガタつくことがない。

なお、前記実施例では、スライダ一部材１４を容器１の
前端中央部に設け、このスライダ一部材１４の爪片１５
が蓋体３に陥没形成された傾斜面６に作用するように構
成したが、容器１と蓋体３との位置関係を逆転して、ス
ライダ一部材を蓋体の前端縁中央部に設け、このスライ
ダ一部材の爪片が容器に陥没形成された傾斜面に作用す
るように構成してもよい。

また、上記実施例では、容器または蓋体の前端縁中央部
にスライダ一部材を配設したが、本考案では、スライダ
一部材の位置はこれらに限られるものでなく、容器と蓋
体との何れか一方の両側縁に凹所を形威し、ここにスラ
イダ一部材を設け、他方の両側縁に傾斜面を陥没形成す
るようにしてもよい。

更に、上記実施例では、弾性体１７をスライダ一部材１
４と一体的に形成された円弧状部片１７ａとしたが、弾
性体はこれに限られるものでなく、第５図に示されるよ
うに、スライダ一部材と別体に構成され、スライダ一部
材の内端と凹所の奥面との間に介装されるコイルスプリ
ング１７ｂとすることができ、更には、図示するのを省
略したが、コイルスプリングの代りに板ばねまたは弾性
ブロックとすることもできる。

以上のように、本考案のコンパクト容器では、スライダ
一部材が作用する傾斜面を蓋体または容器の周縁部に没
設してなるので、この傾斜面の長さ及び角度を自由に設
定することができ、よって、スライダ一部材に加える力
を比較的小さくしても、蓋体を容器に対して比較的大き
な角庫開放することができる。

また、スライダ一部材の内側の凹所内に弾性体を介装し
てスライダ一部材を常時外方に向けて付勢しているため
、蓋体の開放後にもスライダ一部材がガタつくことがな
くなる。

また、前記弾性体をスライダ一部材と一体的に弾力性を
有する合成樹脂から形成してなる場合、製造簡単で、組
立容易となる。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第４図は本考案の一実施例を示し、第１図はそ
の蓋体を開放しかつスライダ一部材を分解して示す斜視
図、第２図は閉止位置における要部断面図、第３図は第
２図ＩＩＩ−ＩＩＩ断面図、第４図は開放状態を示す要
部断面図、第５図はスライダ一部材に別体として取付け
た弾性体の例を示す斜視図である。 １・・・・・・容器、２・・・・・・蝶番、３・・・・
・・蓋体、４・・・・・・爪片、５・・・・・・第１突
片、６・・・・・・傾斜面、７・・・・・・凹所、８・
・・・・・奥面、９・・・・・・中空部、１０・・・・
・・梁、１１・・・・・・第２突片、１２・・・・・・
挿通孔、１３・・・・・・肩部、１４・・・・・・スラ
イダ一部材、１５・・・・・・爪片、１７・・・・・・
弾性体。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 蝶番によって蓋体を容器に開閉自在に結合し、該蓋体を
   閉じた時に該蓋体の第１突片と該容器の第２突片との保
   合によって蓋体が容器に対して閉止位置を占める合成樹
   脂製コンパクト容器において、該容器と該蓋体の何れか
   一方の周縁部に凹所を一体的に形成するとともに、該凹
   所の中空部における奥面から離間した位置に外面に前記
   第２突片を形成された梁を架設し、該凹所の中空部内に
   一端面内縁に爪片が突設されたスライダ一部材を挿入し
   て前記爪片を前記梁の内方において摺動自在に位置せし
   め、該スライダ一部材の内縁と凹所の奥面との間に弾性
   体を介装して該スライダ一部材を常時外方に向けて付勢
   し、該容器と該蓋体との何れか他方の周縁部から前記第
   ２突片に向けて前記第１突片を突設するとともに、前記
   スライダ一部材の爪片に対向して内方に向けて肉厚を漸
   増するように傾斜し、爪片に摺動自在な傾斜面を形成し
   たことを特徴とするコンパクト容器。