JPS587044Y2 - サイドバルブ型エンジンのバルブ潤滑装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はサイドバルブ型エンジンのバルブステム部分に
給油するための潤滑装置に関する。

更に詳しくは、潤滑油を貯溜したクランクケースとタペ
ット室とを孔で連通せしめるとともに。

該孔とタペット室との間に該孔よりも狭くした絞り部を
設け、孔を通ってタペット室に供給されるオイルミスト
の流速を該絞り部で増大し、且つバルブステム方向へ延
設したガイド部材でバルブステム部分にオイルミストを
送り、供給されるオイルミストによりバルブステム部分
の冷却向上を図り、オイルのタール化をなくしてバルブ
の膠着を防止するようにした潤滑装置に関する。

吸気バルブ、排気バルブをシリンダーの側部に配置した
サイドバルブ型（側弁型）エンジンは知うレ、この種エ
ンジンにおいてはその構造上バルブ廻りの冷却が難しく
、バルブは燃焼室に隣接しているため高温になる。

このため潤滑油をバｌレブ部分に供給すると、バルブス
テムの下端に設けたシムとタペットとの間ｌこ侵入した
潤滑油はタール状態となり、バルブの正常な作動を阻害
することとなる。

又バルブステムとバルブガイドとの間に侵入した潤滑油
のタール化によりバルブは膠着状態となり、吸気孔、排
気孔を開閉するバルブの円滑なる作動はこれによって阻
害される。

本考案者は以上の如き従来における問題点に鑑み、これ
を有効に解決するために本考案を成したものである。

本考案の目的は、サイドバルブ型エンジンにおけるバル
ブステム部分への潤滑効率、給油量を増大せしめるよう
にし、バルブステムの冷却を向上させ、供給された潤滑
油のタール化をなくシ、バｌレブの正常な作動を保障で
きるようにした潤滑装置を提供する。

以上を達成するためｌこ本考案は、潤滑油を貯溜したク
ランクケースとバルブステムの下部が露出するタペット
室とを孔により連通せしめるとともｌこ、該孔とタペッ
ト室との間に該孔よりも狭くした絞り部を設け、潤滑油
のオイルミストがタペット室に流入するさい該絞り部に
より流速を増し。

以って潤滑効率の向上を図り、且つ絞り部からバルブス
テム方向にガイド部材を延出し、オイルミストを該ガイ
ド板により案内してバルフステム部分に供給するように
し、これによりバルブステムの有効な冷却、給油を図る
ようにしたことを特徴とする。

以下に本考案の好適一実施例を添付図面に基づいて詳述
する。

第１図は本考案に係る潤滑装置を備えたサイドバルブ型
エンジンの要部断面図で、このエンジンはピストンが往
復動するシリンダー１を傾斜させた前傾型である。

シリンダー１の側部にバルブステム２，３が配置され、
第２図に示す通り吸気バルブステム２．排気バルブステ
ム３は平行に並設されている。

以下の説明において両バルブステム２．３の構造は同じ
であるため、吸気バルブステム２についてのみ述べる。

バルブステム２はシリンダバレル４に縦設固定した筒状
バルブガイド５に往復動自在に嵌入され。

その先端に形成した吸気バルブ部２ａが吸気孔６を開閉
する。

バルブステム２の下部は中空突出壁７の内部に形成され
たタペット室Ｓに露出している。

タペット室Ｓの下部にはタペット８が摺動自在に組み込
まれ、エンジンのクランク軸に応動するカム９の回転で
タペット８が往復動し、バルブステム２を突き上げて吸
気孔７を開閉せしめる。

バルブステム２の下端にバｌレブステム２を常時下方へ
弾圧付勢するバネ１０の受部材１１が取り付けられ、又
、バルブステム２の下面にはシム１２が固定され、この
シム１２はバルブステム２とタペット８との離間距離を
適正値に保ち、バｌレブ部２ａによる吸気孔６の開閉時
期を適正時期に調節するためのものである。

クランクケース１３の上部であって上記突出壁７の下面
７ａの下部には孔１４を形成し、この孔１４によって潤
滑油１し５を溜めたクランクケース１３とタペット室Ｓ
とを連通させる。

孔１４の下部は突出壁７の下壁７ｂとなっており、下壁
７ｂと目し突出量の上壁７ｃとこの下壁７ｂとの内面に
ガスケット部材１７を当てかったカバー１８を当接して
取り付け、ガスケット部材１７を備えたカバー１８によ
って内部をタペット室Ｓとした中空突出壁７の開口部を
密閉する。

突出壁７の下面７ａを上壁７ｃ、下壁７ｂから内方（こ
窪ませることにより、ガスケット部材１７と突出壁７の
下面７ａとの間に通路を形成し、この通路の幅の大きさ
を前記孔１４よりも小さく０１通路を孔１４よりも狭く
した絞り部１９とする。

又、下面７ａから若干上方に離れた位置に、ガイド板２
０をガスケット部材１７から略垂直に立ち上がらせ、こ
のガイド板２０をバルブステム２方向へ適宜長さ起立、
延出する。

図止例ではガスケット部材１７を打ち抜き、折り曲げ加
工することによりガイド板２０とガスケット部材１７と
を一体成形した。

又、中空突出壁７の下面７ａには平行な断面三角形状の
リブ２１，２１を第２図に示す如く突条に二列形成し、
夫々のリブ２１，２１を前記吸気バルブステム２．排気
バルブステム３の位置ト一致させて平行に第１図の通り
下面７ａの全長に亘って形成する。

次に作用について述べる。

シリンダー１内を往復動するピストンでクランクケース
１３に貯溜された潤滑油１５の霧化したオイルミストは
変動圧力を受け、前記孔１４を通ってタペット室Ｓに流
出入する。

オイルミストが孔１４からタペット室Ｓに流入するさい
、この孔１４とタペット室Ｓとの間に孔１４よりも狭い
絞り部１９が形成されているため、この絞り部１９でオ
イルミストの流速は増大し、流勢をもってタペット室Ｓ
に流入する。

絞り部１９を通過したオイルミストは第１図矢印に示す
如くガイド板２０によって向きが転換され、ガイド板２
０に案内されてバルブステム２，３方向に飛散、進行す
る。

この時、第２図に示す通りタペット室Ｓの幅方向に飛散
、拡散するオイルミストは前記リブ２１゜２１によって
拡散方向が規制され、リブ２１，２１に沿って飛散し、
この結果、バルブステム２，３部分にオイルミストが供
給される。

以上において絞り部１９の形状によってバルブステム２
，３部分に供給されるオイルミストの流速、給油量を設
定することができる。

以上の如くバルブステム２，３部分に大きな流速をもっ
て潤滑油の多量のオイｌレミストが確実に供給され、こ
れが循環するため潤滑効率が向上し。

シリンダー１の側部に配置され、燃焼室に隣接して設け
られて高温となるバルブステム２，３部分を有効に冷却
する。

オイｌレミストは循環し、交換されるため、バｌレブス
テム２，３の下端に設けた前記シム１２とタペット８と
の間に侵入したオイルミストはタール化せず、又バルブ
ステム２，３と前記バルブガイド５との間に侵入し、こ
の間を潤滑するオイルミストはタール化することはなく
。

バルブステム２，３は冷却され、この冷却によるタール
化の防止でバルブステムの膠着は発生しない。

以上の説明で明らかな如く本考案によれば、絞り部とガ
イド部材とで潤滑油の潤滑効率、給油量の向上を達成で
き、バルブステム部分への給油によりバルブステムの有
効な冷却を達成することができ、冷却効率が向上し、オ
イｌレミストの循環。

交換によりオイｌレミストがタール状態となることはな
く、オイルミストのタール化によるバルブステムの膠着
の発生を防止し、バルブの円滑なる作動を保障できるよ
うになる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示し、第１図はエンジンの要
部断面図、第２図はカバー等を取り除いた第１図２矢視
力向の図である。 尚図面中、１はシリンダー ２，３はバルブステム、１
３はクランクケース、１４は孔、１５は潤滑油、１９は
絞り部、２０はガイド部材、Ｓはタペット室である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シリンダーの側部に吸気、排気バルブステムを配置した
   サイドバルブ型エンジンの潤滑油を貯溜したクランクケ
   ースとバルブステムの下部が露出するタペット室とを孔
   で連通させるとともに、該孔の上方にはガイド板を配設
   して成るバルブ潤滑装置において、上記孔とタペット室
   との間に当該孔よりも狭くした絞り部を設け、更にタペ
   ット室の下面には該絞り部からバルブステム方向へ断面
   三角形状等のリブを突条に形成したことを特徴とするサ
   イドバルブ型エンジンのバルブ潤滑装置。