JPS5856441Y2 - コイルバネの引張力調整装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は構造簡易にして、コイルバネの引張力を容易に
変え得るようにしたコイルバネの引張力調整装置に関す
る。

従来から、調節器、演算機などに用いる力ないし変位の
変換機構には第１図〜第３図に示すようなコイルバネの
引張力調整装置が組み込まれている。

すなわち、第１図に示す装置は、一端に操作つまみ１を
有して計器の装置固定部Ａに回転自在に取付けられた調
整ねじ２にナツト３を螺合させ、このナツト３の外周に
引張りコイルバネ４の一端部を嵌合して銀ロー付けした
もので、コイルバネ４の他端は計器の所定箇所に引掛け
られており、前記操作つまみ１を回転操作することによ
りナツト３が軸方向に移動して、引張りコイルバネ４の
引張力を可変設定するように構成さ、れている。

しかし、このような構成においては、溶接時の熱により
コイルバネ４の材質が変化したり、変形したりあるいは
熱応力が発生したりするため、引張力を狂わせる′とい
う不都合があった。

一方、第２図に示すものはナツト３の外周面にねし溝５
を形成し、コイルバネ４の一端部にねじ込むことにより
該バネ４とナツト３とを一体的に結合したもので、第３
図はナラｌ〜３の外周面に例えば３個の突起６ａ〜６Ｃ
を軸方向にコイルバネ４のピッチだけずらして突設し、
これらの突起６ａ〜６Ｃでコイルバネ４の一端部を係止
したものである。

このような構成においては溶接を必要としないので熱に
よる影響を受けないものの、ナツト３の加工がいずれも
面倒で加工費が高くなるという欠点を有している。

本考案は上述したような従来の欠点に鑑みてなされたも
ので、外周に軸方向の位置が異なる少なくとも２つの爪
を有するリング部材を介してコイルバネの一端を調整ね
しに連結するという極めて簡単な構成により、製造及び
組立てが簡単で引張力を容易に調整し得るようにしたコ
イルバネの引張力調整装置を提供するものである。

以下、本考案を図面に示す実施例に基づいて詳細に説明
する。

第４図は本考案に係る引張力調整装置の一実施例を示す
図である。

なお、図中第１〜第３図と同一構成部材のものに対して
は同一符号を以って示し、その説明を省略する。

同図において、ナツト３はその一端面ａに一体に突設さ
れた薄肉の円筒部１０を有し、この円筒部１０にリング
部材１１が嵌合されている。

このリング部材１１は前記円筒部１０の先端部を外側に
折り返すことにより該円筒部１０からの抜けを防止され
ており、その外周縁には１対の爪１２．１３が半径方向
に突設されている。

これらの爪１２．１３は軸対称な位置に設けられ、且つ
一方の爪、例えば爪１２の基部を板厚方向に屈曲させる
ことにより、爪１２が爪１３に対して軸方向にコイルバ
ネ４の略ピッチｐだけずれている。

そして、これらの爪１２．１３はナラ１〜３をコイルバ
ネ４の一端部に回転させながら挿入していくことにより
、隣接するコイル間に係入され、これによってコイルバ
ネ４とナツト３とが一体的に結合され、調整ねじ２に連
繋される。

かくして、このような構成による引張力調整装置によれ
ば、リング部材１１をプレス加工等により形成すること
ができるので加工が簡単で、安価に製造することができ
る。

また、リング部材１１が円筒部１０に対して回転自在に
取り付けられたとしても、該リング部材１１はコイルバ
ネ４の引張力によって常時ナツト３の一端面ａに圧接さ
れているので、調整ねじ２による引張力調整時に回転し
てコイルバネ４から外れる虞れはない。

第５図は本考案の他の実施例を示す図である。

この実施例においては、夫々１個の爪１４．１５を有す
る２個のリング（リング状板）ＩＩＡ、ＩＩＢでリング
部材１１を構成したものである。

これらのリング１１ Ａ、 １１ Ｂはナツト３の円筒
部１０に回転自在に嵌合されて抜けを防止されており、
相対的に回転されることにより各爪１４．１５相互の円
周方向の角度Ｏが変えられ、これによって爪１４．１５
をコイルバネ４のピッチに正確に適合させるようにして
いる。

このような構成においても上記実施例と同様の効果が得
られることは明らかであろう。

なお、上記実施例はいずれもナツト３にリング部材１１
を一体的に取り付けた場合について説明したが、本考案
はこれに何ら限定適用されるものではなく、リング部材
１１の厚みが十分であれば、ナツト３を用いる必要がな
く、直接リング部材１１にねじ孔を形成して調整ねじ２
に螺合させてもよいことは勿論である。

以上説明したように本考案に係るコイルバネの引張力調
整装置は、軸方向の位置が異なる少なくとも２つの爪を
有するリング部材を介してコイルバネを調整ねしに連結
したので、リング部材の製造および取付けが簡単で、コ
ストの低減を計ることができる。

また、コイルバネは単にリング部材の爪に引掛けられて
いるので、溶接を必要とせず、良好な調整装置を得るこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第３図は従来の引張力調整装置の一例を示す断
面図、第４図は本考案の一実施例を示し、ａはその断面
図、ｂはリング部材の平面図、第５図は本考案の他の実
施例を示し、ａは要部断面図、ｂはリング部材の平面図
である。 １・・・操作つまみ、２・・・調整ねし、３・・・ナツ
ト、４・・・コイルバネ、１１・・・リング部材、１１
Ａ、 １１ Ｂ・・・リング（リング状板）、１２〜
１５・・・爪。

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. （１）第１の取付部に回動可能に係止された調整りしと
   、外周に軸方向の位置が異なる少なくとも２つの爪を有
   して前記調整ねしに螺着されたリング部材と、前記爪の
   表裏面を一端部巻線間で挾持係止することにより前記一
   端部が前記リング部材の外周に回動不可能に張架され他
   端が第２の取付部に回動不可能に係止されたコイルバネ
   とを有し、前記コイルバネは前記調整ねじの回転調整に
   伴うリング部材の軸方向移動によりその引張力が変えら
   れることを特徴とするコイルバネの引張力調整装置。
2. （２）リング部材は、夫々１つの爪を有する複数の１ン
   グ状板を互いに軸回転可能に重ね合わせて固定し、これ
   らリング状板の相対的回転により各爪相互の円周方向の
   角度が変えられることを特徴とする実用新案登録請求の
   範囲第１項記載のコイルバネの引張力調整装置。