JPS5856086Y2 - チヤツク - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、工具の軸振れを防ぎ加工の精度化を図ること
のできるチャックに関する。

第１図はその従来例を示し、１はチャック筒、２はドリ
ル等工具、３はニードル等ベアリング、４は回転筒であ
り、同ベアリング３はチャック筒１と回転筒４間にテー
パ状すテール５を介して介装されており、従来同リテー
ナ５は、回転筒４の回動に従ってチャック筒１に沿って
螺旋乗上動作するニードル等ベアリング３と共にスラス
ト方向へ移動するのでチャック筒１の先端位には同図示
ｌの如くチャック力の伝達の全くない部分が生ずる。

従って捉えられる工具２はチャック筒１の先端位におい
て比較的弱いチャック力でもって所謂浮動状態となり、
この結果チャック長が短くなるので工具２の軸心振れ作
用は顕著となっていた。

これによりドリリング作業における高精度化は全く期待
できず、殊に重切削、重研削用としてのチャック耐久性
に問題があった。

本考案は上記問題を解決するためになされたものであり
、以下図示する好適なる具体例にて本考案を説明する。

第２図はチャックの関連部分を縦断面で捉えるもので、
６はチャック本体で、該本体６は、筒心方向に関し基部
側となるホルダ一部７と、先端側となるチャック筒１と
を具備し、ホルダ一部７は周知の如く図示省略された主
軸ヘッドに定着され、チャック筒１はエンドミル等所望
工具２を捉えるべく派出構成されるのである。

同チャック筒１は該外周壁を先細テーパー状とし、該内
周壁は工具２に対応するストレート筒である。

同筒１の外周囲には対応するテーパー筒状のリテーナ５
が、多数個のニードルベアリング３を具備して可回動に
着装され、これらベアリング３の外周囲には、同様に先
細テーパー状の内周壁を有する回転筒４が装備され、こ
こに回転筒４の回動調節でベアリング３はチャック筒１
に対し自転しつつ螺旋方向に公転して乗上動作をして、
チャック筒１の収縮により工具２がチャッキングされる
。

８はチャック筒１の先端位に止着されたストップリング
であり、９は回転筒４の基端内周に止着されたストップ
リングである。

ここにおいて第１図の要部を拡大視する第３図Ｉ及びＩ
Ｉに基いて従来の問題点を詳説する。

即ち、矢印Ａは事実上チャック力となる成分て内径方向
に作用し、矢印Ｘはチャック筒１の筒心方向への伸び作
用を示し、又矢印Ｙはチャック筒１に作用するチャック
伝達力Ａによる該筒１の外周部への引張作用を示す。

これら各作用に対し従来は、チャック筒１が連続する環
内の内周壁１０を有し、これでもって工具２に全面的に
対接する構成を採るものであった。

従って工具２は一般に強靭材料で構成されて全く変形に
余裕はなく、これがためチャック筒１の内周壁１０はＡ
力による歪を全てＸ方向に逃がすべく作用し、これと共
に上記Ｙ力が偶力として作用するので図示Ｚ方向へ大な
る反り上り状態を呈す。

これによればチャック筒１の先端はチャック力Ａを受け
ないｌなる筒長間において開拡状となり、これはチャッ
ク力Ａに比例して大口径となる。

この結果工具２は該奥側部においてはチャックされるが
上記ｌなる範囲を含む先端方はフリーとなり、ドリリン
グ等切削及び研摩精度が著しく低下するものであった。

これに対し本案では、第２図に示す如くチャック筒１の
内周壁１０に先端から軸心方向に向く凹部１１を周方向
に複数列をもって配設してあり、同凹部１１は第４図Ｉ
Ｉに示す如くコ型溝でなり、その奥端は挿入された工具
２の奥端よりやや手前程にまで形成されている。

従って上記と比較すれば明白であるがここで第４図Ｉ、
ＩＩを交えて該作用を詳説すれば、チャック力Ａによっ
てチャック筒１は収縮し、この際該内周壁１０は凹部１
１が設けであるので同図ＩＩに仮想線指示する如く周方
向並びに内径方向へと変形量を吸収し、この結果内周壁
１０において先端方向に作用する伸び量は図示Ｘの如く
小となる。

、従って全体的に反り返りのための偶力は小となってチ
ャック筒１の先端の開口径は小となる。

これと共に内周壁１０は凹部１１を除く、より狭小面積
で工具２を把持するので、同一チャック力Ａのもとでは
工具２に与えをチャック応力は大となる。

又凹部１１にてチャック筒１の内周壁１０は断続状とな
るので、工具２を該周方向に関して所謂掛合態勢でチャ
ックできる。

さらに凹部１１は切溝状とすれば工具２に与えられる切
削熱を該空域を介して放逸する作用をも有する。

本考案は以上の如くであり、従って工具は凹部の作用に
より的確にキャッチされ、該凹部が縦溝状であることも
手伝って工具の回転による緩み防止を極めて効果的なも
のとする。

特に本案の場合にはコレットに凹部を付したものとは異
なり、チャック筒の内周部自体に直接形成したものであ
るから、割りコレットを装填しない場合にあっても上記
効果を奏すると云う利点がある一方割すコレットを装填
した場合にはコレットの割りスリットと重複した関係で
旨く協働して工具を強力にロックすることができるもの
であり、これら何れの場合も、工具、コレット或いはチ
ャック筒内周に付着してきた油分が凹部の存在により効
果的に油切りされ、この際の油切りはチャック筒内面が
凹部形成により狭面積化することを相俟って強引な排除
によってなされ、これがスノツプ防止を一層完壁化する
ものである。

又、この種ニードルベアリング内蔵型チャックの場合に
は、操作が極めて能率的で強力なチャック力を発生伝達
するのが特徴であるが、その反面ニードルを介するため
逆戻りを起生じ易く従って危険であると共に加工精度の
向上を達威し得ないと云った問題をもっていた訳であり
、こうした一つの欠点を、唯単なる凹部の付加によって
旨く解決しニードルと四部が相協働して予期し得ないロ
ック効果を得るに到ったものである。

即ち、凹部に対応する部分は凹部のない部分よりも薄肉
で弾性凹みを生じ易い特質をもつことにより、チャッキ
ング終了際での多数のニードルのうちこの凹部に対応し
うる何れかが凹部に対応する外周部に弾発嵌入した状態
となるものであり、これに伴ってニードル並びに回転筒
の逆回転を規制し、その際凹部の溝が工具に噴込状とな
るので工具とチャックとは完全ロックされた形となり、
こうして二ドル型チャックに残された緩み易いと云った
欠点を単に凹部が存在するだけのものでなくニードルの
利用によって一層効果的に防止することが出来たもので
ある。

更に前記凹部の存在は、特に工具を直接チャックする場
合において工具を効果的に空冷するものとして機能する
。

即ち、コレット使用の場合には当然乍ら工具は細径のも
のに限定され、従って軽切削を対象とすることから差程
冷却を要さない訳であるが、一方直接掴持する場合は工
具自体も大径で重切削をその対象として構成されるので
あり、こうした重切削時に於いては工具の先端からシャ
ンクに伝わる熱量も必然的に多大であり、これを旨く放
逸しないと工具先端要部の摩滅は進行し易いものである
。

これが従来の完全円筒型チャック筒の場合であると工具
のもつ熱分を旨く外部に迄放逸し得なかった訳であるが
、本案の四部は直接工具を掴む重切削の場合にでも有効
に空冷効果を発揮させうるものであり、特にこの冷却性
は乾式切削時に於いて有効であるだけでなく、強力にチ
ャックされかつ的確にロックされた姿勢から更に過剰の
ロックを起生ずるのを極力抑えチャック解放操作の便を
も充分に配慮したものである。

尚回転筒４の外周囲には第２図に仮想線で断面形態を表
示する如く保持筒１２を派出すれば、チャック力に逆力
を与えるのでチャック性能は向上する。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来例を示す縦断面図、第２図は本考案具体例
を示す縦断面図、第３図工は第１図の要部拡大図、第３
図ＩＩは同図工の横断面図、第４図工は第２図の要部拡
大図、第４図ＩＩは同図■の横断面図である。 １・・・チャック筒、２・・・エンドミル等工具、４・
・・回転筒、１０・・・内周壁、１１・・・凹部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. チャック本体６の正端側に、外周を先細テーパー状とし
   たチャック筒１を突設し、該チャック筒１の外周に、内
   周を先細テーパー状とした回転筒４を回動操作自在に備
   えると共に、同回転筒４とチャック筒１との内外間に、
   チャック筒１の外周面に対し螺旋状に公転する多数のニ
   ードルベアリング３を配備したチャックにおいて、前記
   チャック筒１の内周・壁に、同筒１の先端から軸心方向
   に向く凹部１１を周方向に複数列をもって配設したこと
   を特徴とするチャック。