JPS5855350Y2 - 熱交換器内の結露防止装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は焼却炉廃ガスの処理設備における熱交換器内で
の結露を可及的に防止し、熱交換パイプ等の寿命を延長
し得る様に改善された装置に関するものである。

都市廃棄物等の焼却炉から排出される廃ガスは多量の熱
エネルギーを保有しており、これを回収すれば焼却場内
関連施設への給湯、暖房をはじめとして近隣の地域暖房
や地域発電にも利用することが可能である。

その為の廃ガス熱回収設備として最も汎用されているの
は熱交換器である。

これは内部に熱交換パイプ（単なる蛇管域はこれにフィ
ン等を組合わせて熱交換効率を高めたもの等）を内蔵し
たもので、これを煙道の途中に配置して前記熱交換パイ
プ内に冷水を流し、廃煙熱を冷水に熱交換させて温水又
は熱水を得るものである。

たとえば第１図は、熱交換器を備えた従来の廃ガス処理
設備を例示する概略工程説明図で、図中１は冷水散布室
、２は熱交換器、３はマルチサイクロン、４は電気集塵
機、５は誘引通風機、６は煙突、７ａ〜７ｆは何れもダ
ンパを示す。

燃焼室から排出されてきた廃ガスＡはまず冷水散布室１
に入り、この部分で上部から冷水の散布を受け、冷却と
除塵が行なわれる。

そして通常の熱交換実施状態ではダンパ７ａを全開、ダ
ンパ７ Ｃ，７ｂを全閉にして廃ガスを熱交換器２に送
り、更にマルチサイクロン３及び電気集塵機４で除塵処
理した後、誘引通風機５を経て煙突６から放出される。

この状態で運転を継続しているときには、熱交換器２内
は高温の廃ガスが常時熱交換されながら通過しているか
ら、熱交換器２内の熱交換パイプ外周部に結露すること
はない。

一方、焼却炉は平常通り運転しているが温・熱水が不要
なときは、ダンパ７ｂを開いて廃ガスを熱交換器バイパ
ス煙道８方向に流し、以下同様に除塵処理した後煙突６
から放出される。

このときダンパ７ａは全閉とし廃ガスが熱交換器２内に
流入しない様にするが、それにも拘らず廃ガスの一部は
ダンパ７ａから漏れ出して熱交換器２内に流入する。

ところがこの廃ガスは、焼却物中に含まれる水分及び燃
焼工程で発生する水分、更には冷水散布室で混入する水
分を多量含んでいるから、少量の廃ガスが熱交換器２内
に流入すると廃ガスが露点以下に冷却されて結露し、熱
交換パイプ（或はフィン等）の外周に水滴が付着する。

そうなると水滴中に廃ガス中の塩化水素ガスや亜硫酸ガ
スが吸収されて腐食性の酸になり、熱交換パイプの腐食
劣化は急速に進行する。

即ち酸性水溶液の腐食性は酸性ガス黒体の腐食性に比べ
て著しく大であるから、熱交換器２内での結露現象は熱
交換パイプ或は熱交換器２全体の延命化を期すうえで大
きな障害になる。

尚図中９及び１０もバイパス煙道で、マルチサイクロン
３や電気集塵機４等の補修、清掃、定期点検等を行なう
ときに使用される。

また熱交換器２を冷水散布室１の前位に配置することも
あるが、高温ガスによる機器の腐食が著しいから、通常
は第１図の如く冷水散布室１である程度降温させた後熱
交換器２に供給する方法が採用される。

しがし熱交換器２を冷水散布室１の前位に配置した場合
でも、前記した如く廃ガス中には多量の水分が含まれて
いるから、熱交換休止時の熱交換器２内での結露現象は
同様に避は難く、機器の短命化を加速する。

本考案者は前述の様な事情に着目し、熱交換休止時にＪ
コける熱交換器２内の結露現象を防止することによって
熱交換器の腐食を抑制し、その延命化を達成すべく鋭意
検討を重ねてきた。

その結果、熱交換休止時に、熱交換器内に低湿度の外気
を流入させてやｊ′シば、熱交換器内ガスの露点が低下
し、結露現象を可及的に防止できることをつきとめた。

本考案は上記の知見を基に完成されたものであって、そ
の構成とは、熱交換器又は上流側煙道の適所に、熱交換
実施時には全閉され、また熱交換休止時には開放される
大気開放ダンパを設け、熱交換休止時には熱交換器内に
大気を流入させることにより、結露を防止し得る様にし
たところに要旨が存在する。

以下実施例たる図面に基づいて本考案の構成及び作用効
果を説明するが、下記はあくまで代表例にすぎず、前・
後記の趣旨にそって熱交換器の形状、構造、熱交換パイ
プの配列等を適宜変更したり、大気開放ダンパの形状や
取付は位置を変更したりすることも可能で、それらすべ
て本考案技術の範時に包含される。

第２図は本考案による結露防止機能を備えた熱交換装置
２を例示する概略見取り図で、廃ガス処理設備内の位置
関係は第１図で説明したのと実質的に違わない。

この熱交換器２には、上・下流側に廃ガス通路を構成す
る煙道１１．１２が接続され、内部には熱交換パイプ１
３が配置されるほか、壁面適所に大気開放ダンパ１４が
設けられる。

図中１５は内部を清掃したり点検する際に利用されるマ
ンホールである。

この熱交換器において、熱交換実施時には大気開放ダン
パ１４を全閉とし、通常の熱交換器と同様に操作する。

そして熱交換休止時には大気開放ダンパ１４を開放し、
誘引通風機（第１図）からの吸引によって湿度の低い大
気を熱交換器２内に流入させる。

そうすると、熱交換器２内に滞留している高湿度の廃ガ
スは、直ちに大気と置換されつつ熱交換器２から流出し
、熱交換器２内の湿度は急激に低下する。

また第１図で゛説明した如くダンパ７ａを全閉にした場
合で゛も〜部の廃ガスが漏れて熱交換器２内に流入する
が、これらは熱交換器２内に流入した直後に大気開放ダ
ンパ１４から流入した大気に拡散し、低湿度化されて順
次熱交換器２外に流出する。

即ち熱交換休止時には、熱交換器２内は常時低湿度に維
持され、また熱交換器２の内部温度も降下して熱交換パ
イプ内の水温との差が少なくなるさら、熱交換器２内で
結露する恐れは皆無となる。

その結果結露に起因する腐食が完全に防止され、熱交換
パイプ及び熱交換器２全体の腐食が大幅に抑制され、そ
の寿命を著しく延長し得ることになった。

上記の如く本考案では、熱交換休止時に燃交換器内に大
気を流入させ、内部の湿度及び温度を降下させることに
よって結露を防止したところに最大の特徴がある。

従ってかかる機能に徴して考えれば明らかな如く、大気
開放ダンパ１４は、熱交換休止時に熱交換器２°内へ大
気を流入させ得るものである限りその形状や構造等は何
ら制限されず、またその取付は位置も図示した土壁部の
ほか側壁、下壁、前壁の適所に設けることができ、更に
は第２図に破線で示した如く上流側（廃ガス流入側）煙
道１１の適所に設けることも可能である。

ところで大気開放ダンパ１４からの大気の流入は、先に
触れた如く誘引通風機５（或はこれと煙突）による吸引
を利用するものであり、大気の流入量が多すぎると、バ
イパス煙道８を経て送られるべき廃ガスに対する吸引力
が低下し、廃ガス処理効率が低下する恐れがある。

従って実操業においては、ダンパ７ａを全閉時に漏出す
る廃ガス量に応じて大気開放ダンパ１４の開放面積を調
節し、結露防止に必要な最少限の大気を流入させる様に
することが望まれる。

本考案は概略以上の様に構成されており、熱交換器内で
の結露を完全に防止したから、結露に起因する熱交換パ
イプ等の腐食が防止され、これらを著しく延命化し得る
ことになった。

しかも本考案では、熱交換器或はその上流側煙道の適所
に大気開放ダンパを設けるだけでよいから、設備面での
負担も極めて軽微である。

更にその操作は大気開放ダンパの開・閉という極めて簡
単なものであって操業面での負担も極めて少なく、焼却
炉廃ガスの廃熱回収設備への実用価値は頗る大きい。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の或は本考案装置も適用され得る廃ガス処
理設備を例示する概略説明図、第２図は本考案の実施例
を示す見取り図である。 １・・・・・・冷水散布室、２・・・・・・熱交換器、
３・・・・・・マルチサイクロン、４・・・・・・電気
集塵機、５・・・・・・誘引通風機、６・・・・・・煙
突、７ａ、７ｂ、７Ｃ，７ｄ、７ｅ、７ｆ・−・・・−
ダンパ、８，９．１０・・・・・・バイパス煙道、１１
．１２・・・・・・煙道、１３・・・・・・熱交換パイ
プ、１４・・・・・・大気開放ダンパ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 熱交換器及び熱交換器バイパス煙道を備えた焼却炉廃ガ
   スの処理設備において、熱交換休止時における熱交換器
   内での結露を防止する装置であって、前記熱交換器又は
   その上流側煙道の適所に、熱交換実施時には全閉され、
   また熱交換休止時には開放される大気開放ダンパを設け
   てなることを特徴とする熱交換器内の結露防止装置。