JPS5852946B2 - 接着性組成物 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は内装タイル、外装タイル、床タイル、モザイク
タイル等のタイル類、レンガ類（以下、タイル等という
）を壁や床に接着するための接着性組成物に関する。

詳しくは、本発明はセメントに特定のヒドロキシエチル
セルロースとメチルセルロースまたはヒドロキシアルキ
ルメチルセルロースを併せ添加することにより、水を加
えて混練した接着材の性能、例えば接着性、ずれ抵抗性
、ドライアウト等を改善する接着性組成物に関する。

従来から、タイル等の接着に用いられるセメントモルタ
ルは壁や床面等の下地による吸水により十分な保水性が
得られないためにセメントの水利が進まず、接着性、作
業性に劣る欠点があった。

これらセメントモルタルの欠点を改善することを目的と
してカルボキシメチルセルロース セルロース等の水溶性高分子を添加することが知られて
いる。

しかしながら水溶性高分子の添加量が少ない場合にはセ
メントモルタルの効果が十分発揮されず、その所望の効
果を期待するためにはある程度の添加量が必要である。

一方、水溶性高分子をセメントに添加すると凝結が遅延
され、添加量を多くするに従って遅延が著しくなり、セ
メントの水利が長期に亘って阻害される。

またセメントモルタルを用いてタイル等を壁のような垂
直な面に接着する場合、タイル等は日型によりずれ落ち
るという新たな欠点があられれてくる。

本発明者らはかかる欠点を解消すべく鋭意研究を重ねた
結果、セメントに特定のヒドロキシエチルセルロースと
メチルセルロースまたはヒドロキシアルキルメチルセル
ロースを併せ用いることによって、セメントの凝結遅延
が緩和され、ドライアウト（表乾現象）が改善され、更
にずれ抵抗性の優れた接着性組成物が得られることを見
出し、本発明を完成するに至った。

本発明は、（イ）セメント、（口）セルロース分子のア
ンヒドログルコース単位当り結合したエチレンオキサイ
ドのモル数（以下ＭＳという）が２．２〜５であるヒド
ロキシエチルセルロース、および（ハ）メチルセルロー
スまたはヒドロキシアルキルメチルセルロースからなる
接着性組成物である。

本発明においては第１戒分として用いられるセメントは
通常のポルトランドセメント、白色セメント、混合セメ
ント等の水硬性セメントの総称であって、これらのセメ
ントが好適に使用される。

また本発明においては第２成分としてＭＳが２．２〜５
のヒドロキシエチルセルロースが用いることが極めて重
要である。

セメントにヒドロキシエチルセルロースを添加すると凝
結が遅延されるが、それはヒドロキシエチルセルロース
のＭＳと密接な関係にある。

即ちヒドロキシエチルセルロースＭＳが小さくなるに従
って凝結時間が長くなり、長期に亘ってセメントの水利
を阻害することがわかった。

また、接着材を塗布した場合のドライアウト（表乾現象
）に関して、ヒドロキシエチルセルロースのＭＳに好ま
しい範囲が存在することがわかった。

即ちＭＳが小さすぎても、また太きすぎてもドライアウ
トが早く起こり、タイル等の接着可能時間すなわちオー
プンタイムが短かくなるのである。

以上の知見に基づき、セメントの凝結およびドライアウ
ト特性の点からヒドロキシエチルセルロースのＭＳは２
．２〜５の範囲であることが好ましい。

なお、ヒドロキシエチルセルロースのＭＳによってセメ
ントの凝結あるいはドライアウト特性の異る理由は明ら
かではないが、ＭＳが大きくなるに従って水溶液の表面
張力が減少するためセメント粒子と水との親和性が増す
ことに起因するものと推定される。

本発明に用いられるヒドロキシエチルセルロースの製法
は特に限定されないが、公知の方法がそのまま採用され
る。

一般にはセルロースとエチレンオキサイドをアルカリ存
在下に反応させ、アルカリ、水の量を変えることにより
所望のＭＳを有するヒドロキシエチルセルロースを得る
ことができる。

具体的には、特公昭３７−２１９９号公報に示された製
法等が好ましく採用できる。

本発明に用いられるヒドロキシエチルセルロースは市販
されており、入手は容易で、たとえばナトロゾルの商品
名（米国パーキュレス社）が挙げられる。

本発明におけるヒドロキシエチルセルロースの添加量は
セメントの凝結、接着材のドライアウト特性更には接着
性、作業性等を考慮して、セメント１００重量部に対し
て１〜３重量部が好ましい。

即ち、ヒドロキシエチルセルロースの添加量が１重量部
以下では好ましい接着性が得られず、また３重量部以上
では粘度が著しく上昇し作業性が悪化するほかセメント
の凝結が更に遅延される等好ましくない。

更に本発明においては第３成分としてメチルセルロース
またはヒドロキシアルキルメチルセルロースあるいはこ
れら両者が用いることも至って重要である。

即ち、第１成分のセメントに対して第２成分および第３
成分を併せ用いることによってセメントの凝結、ドライ
アウト特性、接着性、作業性をそこなうことなく特にず
れ抵抗性を改善することができる。

上記ずれ抵抗性が改善される理由は明らかでないが、セ
メント１００重量部に対してメチルセルロースまたはヒ
ドロキシアルキルメチルセルロースを特に０．０５〜０
．２５重量部の範囲に添加した場合は、微細な空気泡が
混入され接着材にグイラタンシーの性質が付与されるた
めではないかと推定される。

しかしながらメチルセルロースまたはヒドロキシアルキ
ルメチルセルロースの添加量がセメント１００重量部に
対して０．０５重量部以下では十分なずれ抵抗性が発揮
されず、また０、２５重量部以上では空気泡の混入が多
くなり、加えてセメントの水和が著しく阻害されるため
接着材としての強度が低下、更には乾燥収縮が著しく大
きくなるなどの欠点が表面化してくる。

ヒドロキシアルキルメチルセルロースとしてはヒドロキ
シエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル
セルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース等があ
げられる。

これらのヒドロキシアルキルメチルセルロースおよびメ
チルセルロースは通常の方法で製造されたものが使用さ
れる。

例えば商品名”メトローズ”、゛′ハイメトローズ”メ
トセル”等で市販されているものが好ましく使用される
。

以上、本発明の第１〜３成分からなる接着性組成物は、
水を適当量加え、十分混練することによって接着材組成
物とすることができる。

また、これに他の添加剤を加えることも伺等差し支えな
く、例えば硫酸塩を添加すれば接着材の乾燥収縮を更に
改良すること、コンクリートやモルタルに用いられる天
然あるいは人工細骨材を加えることによって作業性およ
び保水性を更に向上させること、あるいはずれ抵抗性や
乾燥収縮を更に改良する目で繊維等を加えられる。

以下、実施例をあげて説明するが本発明はこれに限定さ
れるものではない。

なお以下の実施例において使用したセメントは徳山曹達
■社製ポルトランドセメントである。

また細骨材は豊浦標準砂を使用した。

実施例 １ セメンｌ−１００重量部に対し、第１表に示す様なＭＳ
を有するヒドロキシエチルセルロースとメチルセルロー
スまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースを第１表
に示す添加物で混合し、ＪＩＳＲ５２０１に準じた方法
で２８重量部の水を加えて混練し、凝結時間を測定した
。

結果を第１表に示す。

尚、凝結時間はビカースケール２０ ｍ ／ ｍでの時
間とした。

また使用したセメントの標準水量は＊＊２８ｍ１で、凝
結時間は２時間５０分であった。

実施例 ２ セメント１００重量部、細骨材１００重量部に第１表に
示すようなＭＳを有するヒドロキシエチルセルロースと
メチルセルロースまたはヒドロキシプロピルメチルセル
ロースを第１表に示す添加量で混合し、６０重量部の水
を加えて混練し接着材を調製した。

充分養生した３３０Ｘ６００Ｘ５０ｔのコンクＩＪ−ト
平滑面を前日水打ちしたものに、５ｍ／ｍの厚さで接着
材を塗布し、所定時間経過後に２５角の陶器質タイル（
淡陶■製）を圧着した。

ただちにタイルを剥がして、裏面に付着した接着材の付
着状態を観察し、次の記号でその状態を示し、第１表に
併記しドライアウト特性の指標とした。

◎：１００〜８０係 ○： ８０〜５０φ △： ５０〜２０φ ×： ２０〜 Ｏ饅 実施例 ３ 実施例２と同様な方法で調製した接着材を塩ビ板（２０
０ｘ ２００ ｘ １０ｔ）上に厚さ５ｍ／ｍで塗布し
、ただちに２５角陶器質タイル（淡陶■製）を圧着し、
ただちに塩ビ板を垂直にして、２時間後のタイルのずれ
落ちた距離を測定した。

その結果を第２表に示した。

実施例 ４ 実施例２と同様な方法で接着材を調製し、接着材をＪＩ
Ｓ Ｒ５２０１の強度測定の項に準じて、４Ｘ４Ｘ１
６．ＣｒｒＬの型枠に詰め２０℃で１日湿空養生後脱型
し、以後２７日間２０°Ｃ相対湿度５０係で養生した硬
化体の圧縮強度を測定した。

その結果を第３表に示す。

実施例 ５ 実施例４と同様な方法で硬化体を製作し、脱型時を基準
として、ＪＩＳ Ａ １１２９のコンタクトゲージ
方法により、２０℃、相対湿度５０％で、材４＞８週で
の乾燥収縮を測定し、収縮率を求めた。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ （イ）セメント （ロ）セルロース分子のアンヒドログルコース単位当り
   結合したエチレンオキサイドのモル数（ＭＳ）カ２．２
   〜５であるヒドロキシエチルセルロース、および （ハ）メチルセルロース又はヒドロキシアルキルメチル
   セルロース からなる接着性組成物。 ２ セメント１００重量部に対して、ヒドロキシエチル
   セルロースが１〜３重量部である特許請求の範囲第１項
   記載の接着性組成物。 ３ セメント１００重量部に対して、メチルセルロース
   またはヒドロキシアルキルメチルセルロースが０．０５
   〜０．２５重量部である特許請求の範囲第１項記載の接
   着性組成物。