JPS5840383Y2 - チエ−ンのシ−ルリング - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はチェーンのピン、ブツシュ間に充填した潤滑油
を包入、密封するシールリングに関する。

更に詳しくは、チェーンの内・外リンクプレート方向へ
拡開し、内周側と外周側とを対称とする一対のリップ部
を備えるとともに、外リンクプレート側の第１リツプを
内リンクプレート側の第２リツプよりも長くし、第１リ
ツプの外リンクプレートに対する接触力を低減すること
により、外リンクプレートと摺接するシール面荷重を下
げ、摩耗量の縮小、摩耗に対する追従性を向上させるよ
うにしたチェーンのシールリングに関する。

チェーン１は第４図に示す如く、ピン２で結合された左
右−組の外リンクプレート３，３と、ブツシュ４で結合
された左右−組の内リンクプレート５，５とを多数連結
することにより形成され、ピン２はブツシュ４に隙間Ｓ
を開けて嵌入される。

この隙間Ｓにグリス等の潤滑油が充填されることが行わ
れ、チェーン１がスプロケットに噛み込んで屈曲したさ
いに相対的に回転変位するピン２、ブツシュ４の摩耗を
潤滑油が防止し、摩耗に起因するチェーン１の伸びを防
止する。

ブツシュ４の両端外周部には内・外リンクプレート３，
５の間に位置してシールリング６が嵌合され、シールリ
ング６の左右両側面が内・外リンクプレート３゜５に弾
性接触して弾性変形し、隙間Ｓ内の潤滑油を包入、密封
シールする。

同、７はブツシュ４に嵌合したローラである。

第４図で示した従来のシールリング６は断面円形のＯＩ
Ｊソングあり、このシールリング６は内・外リンクプレ
ート３，５の抑圧作用で長円形に変形することとなる。

シールリング６の内径寸法はブツシュ４の外径寸法より
も小さく形成され、ブツシュ４に円周方向の引張力をも
ってシールリング６が嵌合圧入される。

従ってチェーンの屈曲連動によりピン２、ブツシュ４が
回転変位した場合、シールリング６の外側シール面６ａ
がピン２と一体に回動する外リンクプレート３に対して
摺動接触する。

０リング状のシールリング６においてはこのシール面６
ａの面積が大きく、外リンクプレート３との接触面積が
大きいため、リンクプ・レート３に対するシール面６ａ
の接触力、摩擦力が大きくなり、これがシールリング６
の異常摩耗、摩擦熱による永久変形の原因となり、潤滑
油のシール効果を長期間に亘り期待し難い。

第５図で示したシールリング８は断面Ｘ字形に形成され
、内・外周部に夫々同じ長さの一対のリップ９ａ、９ａ
、９ｔｚ９ｂを備えている。

このリップ９ａ、９ｂが内・外リンクプレート３，５に
弾性的に当接して撓み、先端がシール面となる。

このＸ字形シールリング８においては、０１Ｊング状シ
ールリング６よりもシール面における接触力が小さく、
シール面荷重を抑えることができる。

然し乍ら、リップ９ ａ 、９ ｂの長さｌは短くリン
クプレートにより押圧されたさいに曲がることができる
撓み量は第６図で示したδであり、それ程大きな撓み量
は得られず、このためシール面のリンクプレートに対す
る接触力、摩擦力は必ずしも要求される程小さくならず
、シール面荷重において問題が残されている。

本考案者は以上の如き従来における問題点に鑑み、これ
を有効に解決するために本考案を威したものである。

本考案の目的は、内・外リンクプレートの間に介入され
、ピン、ブツシュ間に充填した潤滑油を包入、密封する
チェーンのシールリングにおいて、内・外リンクプレー
ト方向へ突出する如く拡開する第１及び第２のリップを
備え、夫々のリップを内周側と外周側とで対称となる如
くし、且つ外リンクプレート側の第１リツプを内リンク
プレート側の第２リツプよりも長くしたシールリングを
提供し、スプロケットへの噛み込みによりチェーンが屈
曲した場合に外リンクプレートと摺動接触する第１リツ
プの長さを長くすることにより、このリップの撓み量を
充分に大きなものとし、外リンクプレートに対する接触
力、及びこのリンクプレートが回動して摺接したさいに
おける摩擦力を小さくし、シール面荷重を低減すること
により摩耗に対して有利となり、且つ摩耗しても復元力
により摩耗に追従するようにしたチェーンのシールリン
グを提供する。

以下に本考案の好適一実施例を添付図面に従って詳述す
る。

第１図は本考案に係るシールリング１０の縦断面図を示
し、このシールリング１０は側面の全体形状が円環状に
形成されている。

シールリング１０の基本構造は一対を威す第１リツプ１
１と第２リツプ１２とからなり、このリップ１１，１２
はともに断面直線状に形成され、シールリング１０の外
側方へ拡開する如く一体的に形成されている。

第１、第２リップ１１．１２は夫々シールリング１０の
内周側と外周側とに夫々一組１１ａ。

１１ ｂ ｔ １２ ａ ｔ １２ ｂづつあり、上下
対称形となっている。

第１リップ１１ａ、１１ｂを基端部で結合し、基端部か
ら横軸に対して上下逆に斜傾させて延出する。

夫々の第１リツプ１１ａｔｌｌｂの中間部から第２リッ
プ１２ａ、１２ｂを突設し、この第２リツプ１２ａｔ１
２ｂを第１リツプ１１ａ。

１１ｂとは縦軸に対して左右逆方向へ延出する。

第１リツプ１１ａ、１ ｌｂの長さ方向中間部から第２
リツプ１２ａｔ１２ｂを突出させることにより、第３図
の如く第１リツプ１１ａｔ１１ｂの長さ１２を第２リツ
プ１１よりも長く設定し、且つこの長さ１１，１２と、
第６図で示した従来のＸ字形シールリング８のリップ９
ａ ｔ ９ ｂの長さｌとの寸法関係がｌ、＜ｌ＜１
２となるようにする。

又第１リツプ１１ ａ ｔ １ ｌ ｂの基端結合部１
３を第２リツプ１２ ａ ＞ １２ ｂの先端よりもシ
ールリング１０の内部側にへこませて没入量ｄを確保し
、チェーン１への組み込み時において結合部１２がリッ
プ１２ａ、１２ｂの撓み変形を妨げないようにする。

シールリング１０の内部孔１０ａの径をブツシュ４の外
径寸法よりも小さくし、第２図に示す如くブツシュ４の
両端外周部にシールリング１０゜１０を円周方向の引張
力をもって嵌合し、ブツシュ４と一体化する。

シールリング１０は第１リツプ１１が外リンクプレート
３と対向し、第２リツプ１２が内リンクプレート５と対
向するようにセットされ、チェーン１の組み立て時にお
いてピン２、ブツシュ４間の隙間Ｓに、グリス等の潤滑
油を充填する。

この潤滑油は内・外リンクプレート３．５と弾性接触し
、内側に弾性的に撓んだリップ１１．１２のシール作用
により密封シールされる。

チェーン１がスプロケットに噛み込み、ピン２、ブツシ
ュ４が相対回転変位すると、シールリング１０は引張力
をもってブツシュ４に嵌合されているため、外リンクプ
レート３との間ですべりを起し、第１リツプ１１の先端
シール面１１ｃが外リンクプレート３の内面に対して摺
動接触する。

第１リツプ１１の長さ１２は長く、第３図で示した大き
な撓み量δ２が得られるため、シール面１１ｃの外リン
クプレート３への接触力、摩擦力は小さく、従ってシー
ル面荷重は小さくなり、外リンクプレート３に対して摺
接しても摩耗量は少く、摩耗量の縮小が図られ、摩耗に
対して有利となる。

又シール面１１ｃが摩耗したとしても上記の如く第１リ
ツプ１１は大きな撓み量δ２を持っているため、リップ
１１自身の弾性復元力によりシール面１１ｃは摩耗に追
従して常に外リンクプレート３に接触し、潤滑油をシー
ルする。

内リンクプレート５と単に弾性接触し、摺接しない第２
リツプ１２の撓み量はδ１であってこれは第１リツプ１
１の撓み量δ２よりも小さく、第２リツプ１２の曲げ抵
抗は第１リツプ１１よりも大きいため、この第２リツプ
１２によってシールリング１０は外リンクプレート３方
向への押付力を受け、潤滑油のシール効果上好都合であ
り、且つ第１リツプ１１のシール面１１ｃが外リンクプ
レート３との摺接により摩耗しても第１リツプ１１の弾
性復元力と併せ、シール面１１ｃが摩耗量に追従して外
リンクプレート３に接触する。

又本実施例の如く第１リツプ１１を２個のリップ１１ａ
ｔｌｉｂにより形成すれば、チェーン１への組み付は時
においてリップ１１ ａ 、１１ ｂの間に外リンクプ
レート３で囲まれた大きな環状空間部Ｓ１ができ、この
空間部ｓ１に溜められた潤滑油がシール面１１ｃに徐々
に侵入してシール面の潤滑が図られ、シール面１１ｃの
摩耗防止、シールリング１０の耐摩耗性向上に寄与する
。

本考案はブツシュ４にローラ７を嵌装したローラチェー
ンはもとより、ブツシュチェーンにも適用することがで
き、チェーンの種類は任意である。

以上の説明で明らかな如く本考案によれば、シールリン
グに内・外リンクプレート方向へ拡開し、内周側と外周
側とが対称となる如く延出された第１、第２リツプを形
成し、且つ外リンクプレート側の第１リツプを内リンク
プレート側の第２リツプよりも長くしたため、外リンク
プレートと摺接する第１リツプの接触力、摩擦力は小さ
くなり、シール面荷重の低減により摩耗量の減少が遠戚
され、且つ摩耗量に追従する復元力を第１リツプが備え
ることなり、摩耗対策上、及びシール効果上極めて有効
で、潤滑油の長期間に亘る封入作用を発揮する。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示し、第１図はシールリング
の縦断面図、第２図はシールリングを装着したチェーン
の要部断面図、第３図はリップの長さ、及び撓み量を示
すシールリングの要部の図、第４図、第５図は従来のシ
ールリングを示す第２図と同様の図、第６図は従来のＸ
字形シールリングの長さ、及び撓み量を示す図である。 同図面中、１はチェーン、２はピン、３は外リンクプレ
ート、４はブツシュ、５は内リンクプレート、１０はシ
ールリング、１１は第１リツプ、１２は篭２リップであ
る。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. チェーンを構成する外リンクプレートと内リンクプレー
   トの間に介入され、ピン、ブツシュ間に充填された潤滑
   油を包入、密封するシールリングにおいて、内・外リン
   クプレート方向へ拡開する如く延出した第１及び第２リ
   ツプを備え、外リンクプレートと接触する第１リツプを
   内リンクプレートと接触する第２リツプよりも長く形成
   し、第１及び第２リツプの夫々を内周側と外周側とで対
   称となる如く、形成したことを特徴とするチェーンのシ
   ールリング。