JPS5840343Y2 - 内燃機関のダンパ−デイスク付クラツチ装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は内燃機関のクラッチ装置用に使用されるダンパ
ーディスクにおける継手騒音を防止する、内燃機関のダ
ンパーディスク付クラッチ装置の改良に関するものであ
る。

従来、舶用内燃機関において、その内燃機関と逆転クラ
ッチとを継合する場合、その継合部における衝撃を吸収
するため、ダンパーディスクを介設すると、ダンパーデ
ィスクに装着されているスプリングとディスク本体等の
接触により、所謂、継手騒音を発することがあり、問題
とされている。

上記継手騒音は、一般に低速域に発生するため、その機
関の最低速を継手騒音の発生しない高い回転域にセット
しているものもあるが、この場合、舶用内燃機関で重要
視される最低速性能を悪化させるという欠点がある。

また、継手騒音の発生を防止するため、ゴム継手を使用
しているものもあるが、この場合、継手騒音は発生しな
い代りに、ギヤーのかみ合いによるギヤー騒音を著しく
増加させるという欠点がある。

一方、ダンパーディスクに使用するスプリング等のばね
材を種々変更して、継手騒音の発生を低減する諸元を見
つけ出しても、そのばね材のへたり等により、ある期間
の運転後においては、再び継手騒音が発生する。

将来、これらばね材の耐久性等に改善の余地はあるもの
の、現状ではスプリングとディスク本体等との接触によ
る継手騒音を防止することは難かしいのが現状である。

そこで本考案は、前記従来の問題点を解消するためにな
されたものであり、ダンパーディスクのスプリング部を
連間することにより、ダンパーディスクの継手騒音を低
減せしめることを目的としたものである。

この考案は上記目的を達成するため、フライホイールに
ボルトを介してディスクプレートを装着し、このディス
クプレートとクラッチ軸部におけるボス部との間に、ス
プリングを介設して戊る内燃機関のダンパーディスク付
クラッチ装置において、前記ディスクプレートに、前記
スプリングの全周面を覆う遅閉カバーを設け、この遅閉
カバーに、振動低減用制振材を内張すしたことを要旨と
するものである。

以下図面にもとづいて本考案の実施例を説明する。

第１図に示す本考案の実施例においては、フライホイー
ル１にボルト２により固設されたディスクプレート３が
設けられており、ディスクプレート３とボス部４との間
にスプリング５が介装され、ダンパーディスクを構成し
ている。

即ち図示されていない内燃機関からの回転を、フライホ
イール１及びディスクプレート３からスプリング５を介
して、ボス部４に設けられたスプライン部６に嵌合する
図示されていない逆転クラッチ軸に継合し、そのスプリ
ング５が衝撃を吸収する役割をはたしている。

そこで本考案では、スプリング５を覆う遮断カバー７を
ディスクプレート３の両側面に設け、その内面に振動低
減用制振材８を内張すしている。

また、遮断カバー７をディスクプレート３にボルト９に
より取付けの際、振動遮断用ゴムパツキン１０を介在せ
しめている。

次に本考案を、６気筒の内燃機関に適用して運転せしめ
、クラッチ本体中央上部から一定の距離の位置にマイロ
クツオンを設置し、騒音計で測定した結果を第２図及び
第３図の線図で示している。

第２図はクラッチ・オンにおける結果を示し、第３図は
クラッチ・オフにおける結果を示しているが、いづれも
縦軸をクラッチ本体中央上部から一定距離の位置におけ
る騒音レベルｄＢ（Ａ）で表し、横軸をその機関の回転
速度ｎ（ｒｐｍ）で表わしている。

また第２図及び第３図の線図では、遮断カバー７を設け
ていない従来のダンパーディスクの一定時間使用後の測
定をＡで示し、本考案における遮断カバー７、振動低減
用割振材８及び振動遮断用ゴムパツキン１０を設けたダ
ンパーディスクの場合をＢで示し、遮断カバー７及び振
動遮断用ゴムパツキン１０を設けたダンパーディスクの
場合Ｃ１更に遮断カバー１のみを設けたダンパーディス
クの一定時間使用後の測定結果をＤで表わしている。

上記第２図及び第３図で斜線で示すように、従来のダン
パーディスクに較べ本考案のダンパーディスクでは、継
手騒音を低減する上で著しい効果のあることか実機によ
る測定結果で確認されている。

特に、クラッチ中立時の５０Ｏｒｐｍまで発生していた
継手騒音が回転数増大と共に全くなくなり、その低減量
１２ｄＢ（Ａ）にも到達することが判明した。

従って本考案は従来問題にされていたダンパーディスク
付クラッチ装置におけるスプリングとディスク本体等の
接触により発生する継手騒音を著しく低減せしめる上で
非常に効果があり、またダンパーディスクのディスクプ
レート自体に制振効果を持たせることにより、ダンパー
ディスク付クラッチ装置におけるスプリングとディスク
本体等の接触により発生する継手騒音が、ディスクプレ
ート経由外部に放散されるのを防止する上で極めて有効
である。

特に、その継手騒音を低減するための遮断カバーも特別
な材料を要せず、加工及び組付けも簡単であり、非常に
低コストで製作できるので、本考案は実用上極めて有効
な考案である。

なお本考案は内燃機関のダンパーディスクを使用したク
ラッチ装置に対して有効である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例におけるダンパーディスク装置
上部半分を示す側断面図、第２図及び第３図は従来例と
本考案の実施例におけるダンパーディスク装置のそれぞ
れ、クラッチ・オン及びクラッチ・オフの状態における
継手騒音の線図である０ ３・・・・・・ディスクプレート、５・・・・・・スプ
リング、７・・・・・・遮断カバー、８・・・・・・振
動低減用制振材、１０・・・・・・振動遮断用ゴムパツ
キン。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. フライホイールにボルトを介してディスクプレートを装
   着し、このディスクプレートとクラッチ軸部におけるボ
   ス部との間に、スプリングを介設して成る内燃機関のダ
   ンパーディスク付クラッチ装置において、前記ディスク
   プレートに、前記スプリングの全周囲を覆う遅閉カバー
   を設け、この遅閉カバーに、振動低減用制振材を内張す
   したことを特徴とする内燃機関のダンパーディスク付ク
   ラッチ装置。