JPS5836708B2 - 建築物 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は地上から緩い上り勾配で登る螺旋床の外周と螺
旋床の幅方向の中間に外壁体と中間壁体とを配設し、中
間壁体により螺旋床を内外に劃して外方に螺旋状の居住
空間を、内方に廊下と駐車場空間とを形成した建築物に
関するものである。

一般に複数階層からなる建築物は各階層の床を水平に形
成し、各階層毎に床を独立させた構造を基本体に建築さ
れることから、一階宛の床面積が限定され、従って部屋
を設計する場合には常にこの床面積を基準に部屋の区劃
数及びその大きさが決定され、一階宛の床面積を越えて
設計することができない構造になっている。

また、上記従来の建築物は各階層間を階段乃至はエレベ
ーターで接続し、人の昇降及び荷物の昇降を専らこの階
段或はエレベーターを利用して行うようにしている。

したがって附設したエレベーターが故障したり、緊急避
難に際してその使用が不能となった場合には階段の使用
を余儀なくされることとなり、老人、子供のように体力
が劣る場合には実際の使用が不可能になる場合が生ずる
。

特に高層建築物になる程この傾向は増大し、緊急避難時
における脱出を不可能にする危険性がある。

本発明は、上述の様な従来の複数階層からなる建築物の
欠陥に鑑み開発されたもので、建築基体の床を螺旋状の
床にすることによって地上に接する第一階層より最上階
層まで床面を連続させ、実質的に階層毎の床面積の制約
をなくし、部屋の設計を自由にすると共に床を連続させ
ることによって地上より最上層階まで連続した廊下の設
計を可能にし、エレベーター、階段設備以外の第３の昇
降手段を組込んでその昇降を容易にした建築物を提供す
ることにある。

また、本発明は上記螺旋床の幅方向の中間に螺旋方向に
沿う中間壁体を配設することによって内外に区劃し、そ
の外方の空間を居住空間とし、内方の空間を駐車場空間
として同一建築物中に両空間を有効に併存できるように
した複数階層からなる建築物を提供することにある。

以下、本発明を図示する実施例につき詳述し、その他の
特徴を明らかにすると、第１図及び第２図は本発明に係
る建築物の基体の外形を断面円筒形状に形成したー実施
例で、図中１は基体の中心に仮想する垂直な基線Ａの周
りを巡るように地上より上方に向って緩く上り勾配する
螺旋床、２は上記基体の外周つまり螺旋床１の外周線に
沿って上下対向する床面間に配設した外壁体で、３は螺
旋床１の幅方向の中間に螺旋方向に沿って上記外壁体２
と対向するように配設した中間壁体である。

螺旋床１は１／８〜１／２０程度の上り勾配に形成する
と共に半周或は一周したとき上下の床面間に約３ｍ前後
の高さが得られるようにその径が選ばれ、上記外壁体２
及び中間壁体３はこの床の螺旋に沿って最下層階より最
上層階まで巡らすのである。

したがって、上記螺旋床は両壁体２，３によって上下の
床間に形成される螺旋状の空間を二分することになり、
中間壁体３の外方、つまり、中間壁体３と外壁体２との
間に螺旋状の居住空間４を形成することになり、また中
間壁体３の内方に同じく螺旋状の駐車場空間５を形成す
ることになる。

６は上記のように配設した中間壁体３の内方にこの壁体
と並行するように配設した第２中間壁体で、この壁体６
の配設によって居住空間４と駐車場空間５の間に廊下７
が形或される。

上記した第２中間壁体６の内方には駐車場空間５の床を
上下に貫くようにして最上層階まで抜ける空間８が形成
され、この空間内部に各階層を連絡するエレベーター室
９と階段室１０が収められ、その夫々は各階層において
前記廊下７に連通させる。

そして前記居住空間４には任意の間隔をもって放射方向
に配設された間仕切り壁１１を設け、また駐車場空間５
の螺旋床上面には放射方向に駐車間隔ライン１２を表示
してもよい。

なお螺旋床２の内周は開放状でもよいが、自動車や人間
の転落防止のため適宜間隔で柱やフェンスを設けたり、
壁面を形成してもよい。

、最下層階かな最上層階まで螺旋状に連続する居住空間
４は上記間仕切り壁１１・・・によって任意の幅に区劃
され、夫々独立した居室空間１３・・・を形成すること
になる。

そして、この居室空間１゛３はその床を螺旋床１の一部
とするため、図示しないが、夫々の居室空間内部には水
平な床板を張って通常の水平な床面とし、更にこの内部
を任意に壁体で区劃して複数の部屋に構成し、住居その
他の目的に従ったレイアウトを施す。

そしてこの居室空間内に設ける水平床板と螺旋床との間
に形成される断面三角形状をなす空間には居室に必要な
電気設備の配線、上下水道の配管乃至冷暖房設備等の配
線、配管を収納したり、更には床下格納庫等を設けるこ
とができる。

第３図は、第１〜２図に示す第１の実施例より更に基体
の外径を大きくして螺旋床１の幅を太きくし、これによ
って駐車場空間５の幅を大きくしで、内外二重に駐車間
隔ライン１２・・・を附設するようにした本発明の他の
実施例で、前記した実施例と同一構成部分に同一符号を
付してある。

このように本発明の建築物は、螺旋床１が地上より最上
層階まで螺旋状になって連続することから、中間壁体３
によって劃された居住空間４と駐車空間５及び両者の中
間に設けられた廊下７は同じく最下層階から最上層階ま
で連続することになる。

したがって、居住空間についてみた場合、その間口は間
仕切り壁１１を選択することによって自由にその居室空
間１３の広さを選べることになるため、従来の様に各階
層の床面積に拘束されることがなく、それだけ自由な部
屋の設計が可能となる利点がある。

そして、この居住空間に沿って廊下７が並行して設けら
れるため、中間壁体の任意の位置に出入口を開設するこ
とができると共に、廊下７は地上より最上層階まで一定
の上り勾配で連続するため、エレベーター及び階段を使
用することなく目的の階層に上ることができる。

したがって緊急避難時においてエレベーターの使用が不
可能となった場合でも階段以外にこの廊下を通して安全
に避難することができる利点がある。

そして更に本発明建築物は上記居住空間に並行して駐車
場空間が併設されることから別個に駐車場を必要としな
いと同時に、この駐車場空間は地上に接続するため自走
して目的の階層まで上ることかできる。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の一実施例を示すもので、第１図は片半を
断面とした概略正面図、第２図は上図の横断平面図、第
３図は他の実施例における廠略横／ 断平面図である。 １は螺旋床、２は外壁体、３は中間壁体、４は居住空間
、５は駐車場空間、６は第２中間壁体、７は廊下、１０
は階段室、１１は間仕切り壁、１２は駐車間隔ライン。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 地上から緩い上り勾配で登る螺旋床の外周に外壁体
   を配設するとともに、該螺旋床の幅方向の中間に中間壁
   体と、この中間壁体の内方に位置する第２中間壁体とを
   夫々螺旋方向に沿い併行に配設し、上記外壁体と中間壁
   体との間に居住空間を設けるとともに中間壁体と第２中
   間壁体との間に螺旋状の廊下を夫々設け、第２中間壁体
   の内方に螺旋床の内方部分によって駐車場空間を形成し
   たことを特徴とする建築物。 ２ 螺旋床は横断面形を円形の環状としたことを特徴と
   する特許請求の範囲第１項に記載の建築物，