JPS583132B2 - キカイシキデイスクブレ−キ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はケーブル等によって与えられる回転方向の入力
を、摩擦パッドを押圧する直線方向の出力に変換してブ
レーキ作用を行なう機械式ディスクブレーキに関する。

一般に、機械式ディスクブレーキにおいては、ブレーキ
ディスクと摩擦パッドとの間隙が所定の範囲内にあるよ
うに調整する間隙調整装置としてのアジャストボルトが
組み込まれたものが多く用いられている。

このような形式のディスクブレーキとして、例えば特開
昭４８−２３１４２号または実開昭４８−２４１４８号
に示されたものが知られている。

即ち、支持部材にディスクの軸線方向に摺動可能に支承
され、ディスクをまたいで両側に延びる脚部を有するキ
ャリパと、該キャリパの一方の脚部によってディスクの
一面に押しつけられる第１の摩擦パッドと、該第１の摩
擦パッドに対向して軸線方向に摺動可能に設けられ、デ
ィスクの他側に押付けられる第２の摩擦パッドと、前記
キャリパの他方の脚部に進退可能に設けられたナット部
材としての皿状ナットと、該皿状ナットに進退可能に螺
合し、その一端が第２の摩擦パツドに当接し他端が他方
の脚部の外部から手動により直接回転操作可能なアジャ
ストボルトと、ブレーキアームの回動を受けてアジャス
トボルトを第２の摩擦パッド側に押圧するカム機構とを
備えたものが知られている。

しかし、従来方式によるこの種ディスクブレーキにおい
ては、該ディスクブレーキが振動した場合にアジャスト
ボルトがひとりでに回動し、皿状ナットに対するアジャ
ストボルトの螺合位置が変ってしまうことを防止するた
めに、アジャストボルトに該皿状ナットおよび該皿状ナ
ットと軸方向に当接係合するロックナットを螺合し、該
ロックナットを皿状ナットに押圧させ、アジャストボル
トをロックしておく構成としていた。

そして、摩擦パッドに摩耗が生じたときには、キャップ
を外し、ロックナットを一旦皿状ナットより離間させた
後、ドライバー等の工具によってアジャストボルトを皿
状ナットに対してその摩耗分を補償する量だけ前進させ
、その後再度ロックナットを皿状ナットに当接係合する
まで螺合し、ロックするという手順で手動調整を行なっ
ていた。

このため、従来方式のものは摩擦パッドの摩耗を手動調
整するには、前述したようにロックナットを一旦皿状ナ
ットから離間する方向に緩め、再度該ロックナットを締
付ける作業が必要となり、調整作業が非常に面倒である
という欠点があった。

またアジャストボルトに螺合されるロックナットが必要
となり、該ロックナットはブレーキアームを貫通して皿
状ナットに当接する長尺な形状となっているため、この
結果アジャストボルトの軸線方向に対してキャリパが幅
広となり、ひいてはディスクブレーキ自体が大きなもの
となってしまい自動車への取付上の困難さや、価格的に
高価となる欠点を有していた。

本発明は上記従来方式によるディスクブレーキの欠点に
鑑み、手動式の極めて簡単な間隙調整装置を有し、かつ
、これによってディスクブレーキ自体も小型化した機械
式ディスクブレーキを提供するもので、以下図面に示し
た実施例と共に説明する。

１はキャリパで、このキャリパ１はディスクＤをまたい
で両側に延びる脚部１ａ及び１ｂを有している。

キャリパ１は、車両に固定された支持部材２に、キャリ
パ１に設けられた２本のボルト３（第１図には１本のみ
が示されている）により軸線方向に摺動可能に支承され
ている。

キャリパ１の一方の脚部１ａには第１の摩擦パツド４が
プレート５及びねじ６により固定されている。

また、前記支持部材２のほぼ中央には孔７が設けられ、
この孔７には第２の摩擦パツド８が前記第１の摩擦パツ
ド４に対向して設けられている。

この第２の摩擦パツド８は、例えばディスクＤ側から見
た場合、円形の上部及び下部が切断された形状で、前記
孔７も同様の形状を有しており、したがって第２の摩擦
パツド８は支持部材２に対して回転方向への動きは規制
され、軸線方向のみ摺動可能に支持されている。

キャリパ１の他方の脚部１ｂには段付孔９が設けられて
いる。

該段付孔９の内部にはカム板部材１０が挿嵌され、この
カム板部材１０はその突出部１０ａが段付孔９端面に設
けられた小孔９ａに嵌合し、その回転を規制して脚部１
ｂに固着されている。

カム板部材１０の前記段付孔９端面当接側とは反対側に
は第２図（第１図のＸ−Ｘ断面図）に示すような傾斜溝
１１が３ケ所にわたって配設されている。

なお、カム板部材１０は脚部１ｂと別部材として述べた
が、脚部１ｂの段付孔９端面に直接傾斜溝１１を形成し
てもよい。

１２は前記段付孔９内に前記カム板部材１０と対向して
設けられたナット部材で、このナット部材１２にはカム
板部材１０と対向する側に第２図に示されるように前記
傾斜溝１１と平行の傾斜を有する傾斜溝１３が３ケ所に
わたって配設され、該各傾斜溝１１と１３との間にはボ
ール１４が３ケ所にわたって配設され、該各傾斜溝１１
および１３、ボール１４によりカム機構を構成している
。

そして、通常前記ボール１４は傾斜溝１１と１３のそれ
ぞれ最も深い所に位置している。

また、ナット部材１２には第２の摩擦パッド８側にブレ
ーキアーム１５が固着され、このブレーキアーム１５は
、これの孔１５ａにケーブル等が接続され、ブレーキ操
作時にケーブルよりの牽引力を受けて前記ナット部材１
２に回動力を与える。

１６はアジャストボルトで、該アジャストボルト１６は
その雄ねじ部が前記ナット部材１２の雌ねじ部に螺合し
ており、その一端１６ａは前記第２の摩擦パツド８の裏
金８ａに当接支承されている。

アジャストボルト１６には前記一端１６ａ側に第３図（
第１図のＹ−Ｙ断面図）に見られる如く六角形状部１６
ｂが設けられている。

また、前記第２の摩擦パツド８の裏金８ａには前記アジ
ャストボルト１６の回転制御部材１７がピン等により固
定して設けられ、この回転制御部材１７は第１図及び第
３図に見られるように平板を打抜き曲げ加工により形成
されている。

そして、回転制御部材１７はその係止部１７ａが前記ア
ジャストボルト１６の外側から六角形状部１６ｂに向け
て延びると共に、該六角形状部１６ｂの相対向する２つ
の面に弾性的に係合して、アジャストボルト１６の両方
の回転すなわち第３図で時計回り及び反時計回りの回転
を規制するようになっている。

また、アジャストボルト１６の他端１６ｃはカム板部材
１０に設けられた孔１０ｂ内まで延び、前記脚部１ｂの
孔９ｂを介して外部から手動により操作可能になってい
る。

１８はウエーブワツシャで、このウエーブワツシャ１８
はリテーナ１９を介して止め輪２０により段付孔９より
脱落しないように保持されている。

そして、ウエーブワツシャ１８は前記ナット部材１２の
段部に係合して、ナット部材１２をカム板部材１０側に
付勢している。

２１．２２はシール部材、２３はダストカバーで、該ダ
ストカバー２３は外部より水、泥等の侵入を防止する。

本発明機械式ディスクブレーキは以上のような構造を有
し、以下にその作用を述べる。

今、操作者がブレーキペダル若しくはブレーキレ六一を
操作すると、これに連動するケーブルが牽引されてその
力がブレーキアーム１５に伝達され、これによりブレー
キアーム１５はナット部材１２を第２図矢示方向に回動
させる。

このナット部材１２の回動に伴なってナット部材１２と
カム板部材１０との間に相対回動変位が生じる。

この相対回動変位によりこれら両部材１０，１２に設け
られた傾斜溝１１．１３間をボール１４が移動して、ナ
ット部材１２を第２の摩擦パツド８に近接するように該
第２の摩擦パッド８側に変位させる。

このとき、ナット部材１２に螺合されたアジャストボル
ト１６が軸方向に移動されて、第２の摩擦パツド８をデ
ィスクＤ側に移動させる。

作動初期、即ちナット部材１２の回動によりアジャスト
ボルト１６が軸方向へ移動し、摩擦パツド８がディスク
Ｄの一面側に移動し該ディスクＤに当接するまでの間は
、ブレーキ作用は行なわれない。

従って、この作動初期ではアジャストボルト１０にスラ
ストカが作用しないため、該アジャストボルト１６とナ
ット部材１２との螺合部分に摩擦力が発生することがな
く、またアジャストボルト１６は回転制御部材１７に形
成された係止部１７ａが六角形状部１６ｂに係合してい
るため、アジャストボルト１６が回動することがない。

次に、ナット部材１２がさらに回動して、アジャストボ
ルト１６を介して第２の摩擦パツド８がディスクＤの一
面に当接し押圧され、またその反力でキャリパ１は支持
部材２上を摺動して第１の摩擦パツド４をディスクＤの
他面に押圧し、ここにブレーキ作用がなされる。

このとき、アジャストボルト１６にはブレーキ押圧力の
反力として大きなスラストカが加えられるため、該アジ
ャストボルト１６とナット部材１２との螺合部分に大き
な摩擦力が発生し、この摩擦力によってナット部材１２
の回動に伴ってアジャストボルト１６も回動する。

このブレーキ作用時には、アジャストボルト１６の回動
に伴って該アジャストボルト１６の六角形状部１６ｂの
相対向する面が、回転制御材１７の係止部１７ａをその
ばね力に抗して拡径方向に押し広げる。

しかし、ナット部材１２の回動角は通常５°〜１０°と
わずかであり、アジャストボルト１６の回動角もこれと
同程度かまたはそれ以下であるから、回転規制部材１７
の係止部１７ａと六角形状部材１６ｂの相対向する２つ
の面とは最初の係合位置のまま変化することはない。

したがって、ブレーキを解除すべくケーブルをゆるめる
と、図示しない戻りばねによりブレーキアーム１５はナ
ット部材１２と共に上記とは逆回転し、ナット部材１２
はウエーブワツシャ１８により押圧されて図示状態に復
帰すると共に、前記アジャストボルト１６もブレーキ作
動前の位置に復帰し、このアジャストボルト１６と回転
制御部材１７との回転方向の位置関係も変わることはな
い。

そして、第１及び第２の摩擦パツド４，８が摩耗してア
ーム１５の回動ストロークが増大した場合にはダストカ
バー２３を取り外し、外部より手動によりアジャストボ
ルト１６に回転制御部材１７の係止部１７ａのばね力よ
りも犬なる回転力を与え該係止部材１７ａに抗して回動
進入させることにより摩擦パツド４，８とディスクＤと
の間隙を調整すればよい。

なお、本実施例においては、アジャストボルト１６の回
転制御部材１７との係合部、即ち六角形状部１６ｂを六
角形状としたが、これに限定されるものではなく八角形
状またはその他の形状としてもよく要はアジャストボル
ト１６がナット部材１２と共に回動する範囲内において
、その回動をブレーキ作動前の状態に復帰させることが
できる多角形状部であればよいものである。

また、第２の摩擦パッドを支持部材に保持したが、キャ
リパ自体に保持させるようにしてもよい。

本発明機械式ディスクブレーキは以上のような構造、作
用を有し、アジャストボルトの回転制御部材を従来装置
のようにキャリパ内に設けず、このアジャストボルトに
よって軸線方向に変位せしめられるパッドに設けること
により、間隙調整装置の構成を簡略化すると共に、ディ
スクブレーキ自体の軸線方向長さを縮小して小型化する
ことができ、したがって、ディスクブレーキの取付が容
易で、安価なものとなる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明機械式ディスクブレーキの実施例を示す
縦断面図、第２図は第１図のＸ−Ｘ断面図、第３図は第
１図のＹ−Ｙ断面図である。 １……キャリパ、１ａ，１ｂ……脚部、２……支持部材
、４……第１の摩擦パッド、８……第２の摩擦パッド、
９……段付孔、１０……カム板部材、１１，１３……傾
斜溝、１２……ナット部材、１４……ボール ……アジャストボルト、１７……回転制御部材、１８…
…ウエーブワツシャ、Ｄ……ディスク。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 車両に固定される支持部材と、該支持部材にディス
   クの軸線方向に摺動可能に支承され、デイスクをまたい
   で両側に延びる脚部を有するキャリパと、該キャリパの
   一方の脚部によってディスクの一面に押しつけられる第
   １の摩擦パッドと、前記支持部材により回転方向への動
   きが規制されると共に軸線方向に摺動可能に設けられ、
   ディスクの他面に押付けられる第２の摩擦パッドと、前
   記キャリパの他方の脚部に進退可能に設けられたナット
   部材と、該ナット部材に進退可能に螺合し、その一端が
   第２の摩擦パッドに当接し他端が他方の脚部の外部から
   手動により直接回転操作可能なアジャストボルトと、ブ
   レーキアームの回動を受けてアジャストボルトを第２の
   摩擦パッド側に押圧するカム機構と、からなる機械式デ
   ィスクブレーキにおいて、前記アジャストボルトの前記
   第２の摩擦パツド当接側には半径方向断面が多角形状を
   した多角形状部を形成し、前記ブレーキアーム操作時に
   はアジャストボルトがナット部材と相対的に回転するこ
   とを規制し、該アジャストボルトの他端を回転操作する
   間隙調整時にはアジャストボルトがナット部材と相対的
   に回転することを許すよう、前記第２の摩擦パッドには
   前記多角形状部に向けて延びると共に該多角形状部に弾
   性的に係合する係止部を有する回転制御部材を設けたこ
   とを特徴とする機械式ディスクブレーキ。