JPS5830951B2 - 無公害性の腐食防止剤 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は無公害性の腐食防止剤に関し、更に詳しくは工
業用水や一般の循環水系等に用いる金属の腐食を防止す
るための腐食防止剤に関するものである。

従来、熱交換器や冷却器等の循環水系の水中に於ける金
属の表面腐食防止剤として、クロム酸塩、亜鉛塩、亜硝
酸塩を単体またはこれらを混合して使用することが知ら
れている。

しかし、クロム酸塩は腐食防止剤として効果的ではある
が人体に触れると皮膚や眼を著しく痛める有害物質であ
り、使用後煩わしい廃液処理を必要とする。

亜鉛もクロムと同様有害金属であり、これを使用すれば
当然循環汚染の恐れがある。

また亜硝酸塩も防食効果は太きいが、毒性が非常に強い
うえに細菌によっては、全く効果のない硝酸塩に変ると
いった欠点があった。

これらの欠点を除去するものとして、重合リン酸塩、縮
合リン酸塩および有機リン酸塩が多用されている。

これらリン酸塩類は毒性が比較的少いが、単独で使用す
ると防食効果が弱いため、通常前記したような有害物が
配合されている。

更に、リン酸塩類を溶解した液を廃液として放出すると
河川、海等の公共水域の富栄養化をもたらすため、リン
も排出規制を受ける趨勢にあり、有害物質およびリンを
含まない腐食防止剤の開発が要請されていた。

本発明の目的は前記のような欠点を改善し、有害物質や
リンを含まず、しかも防食効果の優れた無公害性の腐食
防止剤を提供するにある。

本発明は、グルタル酸とモリブデン酸のアルカリ金属塩
とを組合せることにより、優れた防食効果を示し、しか
も前記のような有害物質を含まない無公害性の腐食防止
剤であることを見出して本発明に到達した。

本発明はグルタル酸または／およびその水溶性塩類と一
般式Ｍ２０−ＭＯＯ３・ｎＨ２Ｏ（但し、Ｍはアルカリ
金属を示し、ｎ＝０を含む。

）で表わされるモリブデン酸塩類の少なくとも１種の化
合物との組合せにより構成される。

従来、モリブデン酸の塩が成る程度防食効果を有するこ
とが知られている。

しかし、防食効果を次式 ％式％ で示される防食率により判断すると、モリブデン酸塩単
独使用の場合防食率は８０係程度であって、優れた防食
効果が期待できる９０咎以上の値に達せず、実用には適
さないものであった。

本発明に使用するグルタル酸の水溶性塩としてはアルカ
リ金属との塩が有効である。

その他の金属では、モリブデン酸のアルカリ金属塩が難
溶性又は不溶性の塩となり防食効果を発揮しない。

本発明の腐食防止剤において、グルタル酸または／およ
びその水溶性塩とモリブデン酸アルカリ塩（またはその
水和物）との配合比は、夫夫グルタル酸およびモリブデ
ン酸ナトリウムの形に換算して、重量で８０ ： ２０
〜２０：８０．好ましくは７０：３０〜３０ニア０の範
囲である。

また、本発明による腐食防止剤を工業用水等に添加する
場合、その水質、水温、流速等の条件により多少異なる
が、８０ｐｐｍ以上、好ましくはｉｏ。

ｐｐｍ程度の添加量で良好な防食効果を発揮する。

本発明の腐食防止剤により、その腐食が防止される金属
としては、鉄、銅、アルミニウム、亜鉛およびこれらの
金属の合金等があり、従来公知の腐食防止剤を併用して
も差支えない。

以下本発明を実施例により説明する。

実施例 １ 試験水（東京部内地下水、ｐＨ６，１、電気伝導度３２
０ μｖ ／ｌｎ、全硬度（ＣａＣＯ３換算）９４．５
ｐｐｍ 、Ｍ−アルカリ度（ＣａＣＯ３換Ｘ）☆☆３４
．・０ｐｐｍ１塩素イオン４３．０ｐｐｍ）を恒温槽内
で４０℃に保ち、該試験水中にテストピース（ＪＩＳＧ
３１４１ＳＰＣＣ−Ｂ、６０ｘ４０ｘ２ ｒｒａｎ ）
を浸漬し、電磁攪拌機を用いて試験水を循環させ、腐食
防止剤を添加して１２０時間経過後、テストピースを恒
温槽から取出し、その腐食減量（１１ｇ）、腐食速度（
■／ ｄ ｒｒ？／ ｄ ａ ｙ ）を測定し、防食
率を算出した。

腐食防止剤は、グルタル酸とモリブデン酸ナトリウム三
水和物（Ｎａ２Ｍ。

）０４換算）の二成分の合計濃度１００ ｐｐｍとして
、その配合比を変えた他、比較例としてグルタル酸およ
びモリブデン酸ナトリウム単独使用の場合についても行
なった。

次表および第１図に示されるように、モリブデ５ ン酸
ナトリウム単独使用の場合その防食率は８０係程度で実
用に適せず、グルタル酸とモリブデン酸ナトリウムの配
合比は重量で８０ ： ２０〜２０：８０が望ましく、
特に６０：４０〜４０ ： ６０の範囲で防食率が最大
となる。

実施例 ２ グルタル酸とモリブデン酸のアルカリ金属塩の配合比を
重量で１：１とし、腐食防止剤の添加濃度を変えた他は
実施例１と同様の操作を行なった。

第２図は腐食防止剤の添加濃度（ｐｐｍ）と防食率との
関係を示し、図中曲線１，２はそれぞれモリブデン酸ナ
トリウム、モリブデン酸カリウムの場合であり、両者の
間に実質的な差異がなく、本発明による腐食防止剤を工
業用水等に適用する場合、添加濃度８０ｐｐｍ以上、１
００ ｐｐｍ程度で優れた防食効果を発揮することがわ
かる。

本発明は前記したようになるから、従来多用されて来た
有害物やリンを含まず、優れた防食効果を有する無公害
性の腐食防止剤を提供することができる。

また無公害性であることから、廃液の処理やそのための
施設を要せず、防食処理に要する経費を大巾に軽減する
ことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明における腐食防止剤の配合比と防食率と
の関係を示す説明図、第２図は腐食防止剤の添加濃度と
防食率との関係を示す説明図である。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ グルタル酸または／およびその水溶性塩と一般式Ｍ
   ２０−ＭＯＯ３・ｎＨ２Ｏ（但し、Ｍはアルカリ金属を
   示し、ｎ二〇を含む。 ）で表わされるモリブデン酸塩類のうち少な（とも１種
   の化合物とを、それぞれグルタル酸とモリブデン酸ナト
   リウム換算で８０：２０〜２０：８０の重量比で配合し
   てなる無公害性の腐食防止剤。