JPS5827070Y2 - 内燃機関の分配型燃料噴射装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はプランジャが回転及び往復運動して燃料を分配
圧送する形式の内燃機関の分配型燃料噴射装置に関する
ものである。

本考案は機関の低速度域においてスモークの発生を抑え
つつ、機関としての十分な出力を得るように、始動はね
と並列に第２のばねを配列し、この第２のばねは機関の
始動前には作用せず、機関の始動後に作用して始動レバ
ーの戻り運動を規制し、燃料制御スリーブを燃料増方向
に付勢するようにした分配型燃料噴射装置に関するもの
である。

この種の分配型燃料噴射装置は機関の停止状態ではプラ
ンジャの有効圧送行程を延長又は短縮して燃料噴射量を
加減する燃料制御スリーブが燃料過給位置に付勢されて
おり、機関が始動すると遠心力によって付勢されるシッ
クが始動レバーに衝合して燃料制御スリーブを燃料減方
向に戻し、始動レバーは完全に速度制御レバーに衝合し
て速度制御レバーと一体的に運動するようになっている
。

機関の低速度域では、機関の出力不足を来たし、しばし
ばエンジンが停止することがある。

このような問題の対策として、シフタと引張レバーとの
間における始動レバーの遊動量を小さく設定することが
考えられるが、このようにすると機関の停止状態で燃料
制御スリーブを過給方向へ移動させるストロークが減じ
、過給量が少なくなり、機関の始動が困難となる。

また、コレクトレバーによって前記始動レバーの軸支持
点を燃料増側へ設定することも考えられるが、機関の始
動後における燃料制御スリーブの戻り量が小さくなり、
燃料過給の傾向が生じ、スモークの発生する恐れがある
。

さらに、始動ばねのばね定数を犬とすることが考えられ
るが、これもまた燃料制御スリーブの戻りが抑えられ過
給気味となり、スモークの発生する恐れがある。

本考案はこのような問題に鑑み、燃料制御スリーブの始
動過給位置からある一定の戻り量の位置で初めてばね作
用が働き、始動レバーの戻りを制限する第２のばねを前
記始動ばねと並列に配列することによって、機関の低速
域においてスモークの発生を抑え、かつ高負荷に対応で
きる十分な機関出力を得るようにした分配型燃料噴射装
置を提案するものである。

□本考案の構成を図示の実施例に基
づいて説明すると、第１図に示すようにケーシング３２
の左側端壁にポンプ室が構成され、この内部に取容した
公知のベーンを支持するロータ２３を収容してベーンポ
ンプＡが構成され、ロータの軸１が機関により回転され
るようになっている。

このポンプＡの吸入口はケーシング３２の内部に構成し
た燃料溜室６２に連なり、また吐出口は流量制御弁３を
経て通路２に連なり、この通路２は後述するメータリン
グ弁を経てケーシング３２の右側端壁に設けた吸入通路
１６と接続される。

前記ポンプ軸１の内端には、公知のオルダム継手３３を
介してプランジャ３１が回転かつ軸方向運動可能に結合
される。

前記ポンプ軸１の外周を取り囲んで円筒状のホルダ２５
が軸方向不動にかつ僅かに回動可能に支持される。

このホルダ２５は円周方向に間隔を存して複数個のカム
ローラ６０を回転可能に支持しており、一部外側に設け
た溝に係合するレバー６１により回動を規制される。

レバー６１は支軸によってケーシング３２に支持され、
かつ下端を後述する噴射時期調整装置りに結合される。

前記ローラ６０に係合するカム円板２６がプランジャ３
１の端部に固定され、プランジャ３１に取付けた腕３０
とケーシング３２の右側端壁との間に介装した圧縮ばね
２０の力によって前記ローラ６０に係合されている。

このカム円板２６は円周方向に沿ってエンジンの気筒数
と同数の凸部を備えており、この凸部にローラ６０が乗
り上げた時プランジャ３１が右方向つ押動されるように
なっている。

第２図に示すように、ケーシング３２の右側端壁にはバ
レル１７が嵌合固定され、この右側端部はプラグ５２に
よって閉鎖される。

バレル１７にプランジャ３１を嵌合して加圧室１８が構
成される。

バレル１７には１つの吸入口５５と、該吸入口５５から
軸力向に離れて気筒数と同数の排出口４９とが備えられ
ており、吸入口５５はケーシング３２の通路１６を経て
前述したベーンポンプＡの吐出通路２に接続される。

−力、排出口４９は円周方向に等間隔に配列されており
、これらはケーシング３２の各通路１２を経て各吐出弁
１９に接続され、さらに図示してない噴射管を経てエン
ジンの各気筒に取付けた噴射弁へ接続される。

前記プランジャ３１はこの内端部外周に溝を削設して、
吸入口５５と加圧室１８とを結ぶ気筒数と同数の吸入通
路５１を周方向に等間隔に形成している。

また加圧室１８に一端が開口する軸方向の通路５０が形
成され、この通路５０は径方向に延びる１つの吐出通路
４５と連なり、排出口４９と連通・遮断されるようにな
っている。

前記通路５０の端部は径方向の通路４６を経てケーシン
グ３２の内部に構成した燃料溜室６２に連通するように
なっている。

通路４６の開口端部を開閉するための燃料制御スリーブ
２７がプランジャ３１の基端部に摺動可能に介装される
。

この燃料制御スリーブ２７は球継手４４を介して始動レ
バー４０の下端に連結される。

始動レバー４０は支軸４２をもって引張レバー３８の下
端部に支持されると共に、上端は後述する調速機のシッ
ク２８に衝合される。

始動レバー４０の上端に対向して、ケーシング３２に支
軸９をもって支持した停止レバー１０の下端が配置され
、この停止レバー１０はケーシング３２の外部からレバ
ー１０ａによって反時計方向に回動すると、燃料制御ス
リーブ２７を左方向へ大きく移動させ、無噴射状態とし
機関を停止することができるようになっている。

引張レバー３８はこの下端部を支軸４２をもってコレク
トレバー３５の下端のリブ５５ａに支持されており、こ
の上端はばね座３６を挿通支持し、かつばね座３６との
間にアイドリングばね３７を支持している。

ばね座３６とピン６との間に調速レバー８を掛渡される
。

ピン６はケージ？グ３２に支持した支軸７に偏心して支
持され、速度制御レバー７ａの回動によって調速ばね８
を引張り、引張レバー３８を傾け、燃料制御スリーブ２
７の位置を制御するようになっている。

コレクトレバー３５はケーシング３２に支軸４１をもっ
て支持され、この下端はケーシング３２の右側端壁との
間に介装した強いばね３５によって時計方向に付勢され
、上端がケーシング３２に螺合した全負荷設定ボルト３
４に衝合され、前述した支軸４２を所定の位置に設定す
るようになっている。

第３図に示すように、始動レバー４０と引張レバー３８
との間に、圧縮された始動はね３９が介装され、機関の
停止状態で両者を互いに離隔させている。

そして、さらに第２のばね７０が始動ばね３９と並列し
て配され、図示の実施例では一端が始動レバー４０に係
止され、他端は機関停止状態で引張レバー３８から所定
間隔だけ離されている。

シフタ２８を付勢する調速機は、第２図に示すように、
ケーシング３２の左側端壁に公知のメタリング弁を内蔵
するロッド４を支持し、これにポンプ軸１の歯車２４と
噛合う歯車５を支持し、この歯車５に固定支持した円筒
状のカバー４３の内部に、４個のフライウェイト２９を
拡開可能に支持し、前記ロッド４の先端にシフタ２８を
摺動可能に外挿してなり、シック２８の基端部のフラン
ジが前記フライウェイト２９の切欠に係合し、遠心力に
よってフライウェイト２・９が拡開されると、シフタ２
８がロッド４に沿って右へ摺動し、始動レバー４０を回
動するようになっている。

前記シフタ２８の摺動運動はまたロッド４の内部に構成
されるメータリング弁の開度を調節し、ベーンポンプＡ
からプランジャの加圧室１８へ送る燃料を調節するよう
になっている。

このようなメータリング弁については公知であるので説
明を省略する。

噴射時期調整装置りは第１図に示すように、実際には紙
面に対し直角方向に延びるシリンダの内部にピストン２
１を嵌装した室６５と６６とを仕切り、室６５を燃料溜
室６２に、室６６をベーンポンプＡの吐出口にそれぞれ
接続し、室６５に収容した圧縮ばね２２の力と室６６の
燃料圧力とのつり合う位置にピストン２１を移動させ、
レバー６１を回動させて、ホルダ２５を回転変位させる
ようになっている。

次に、本考案による分配型燃料噴射装置の作動について
説明する。

４サイクル機関の場合、ポンプ軸１は機関の１／２の速
度で駆動され、プランジャ３１も同速度で回転駆動され
ると同時に、円周方向に形成されているカム円板２６の
凹凸部がローラ６０に係合してプランジャ３１を往復動
させる。

第２，３図に示す機関の停止状態では、フライウェイト
２９は萎んだ状態にあり、シフタ２８が最左力へ変位し
ている。

機関を始動する場合、速度制御レバーを加速方向に回動
し、調速ばね８により引張レバー３８をケーシング２３
のピン７５に当るまで支軸４２を中心として反時計方向
へ回動させる。

すると、始動ばね３９によって始動レバー４０がシフタ
２８に当るまで、支軸４２を中心として反時計方向に回
動され、この時燃料制御スリーブ２７は最右方へ変位し
、燃料過給位置となる。

ここで機関を始動させれば、プランジャ３１の回転と往
復動に伴なって燃料が噴射される。

カム円板２６の凹部がローラ６０に係合している第２図
の状態では、プランジャ３１は最左方位置にあって、吸
入通路５１が吸入口５５に連通していて加圧室１８に燃
料が吸入されている。

加圧室１８はまた通路５０及び吐出通路４５を経て吐出
口４９に連通し、溢流通路４６はスリーブ２７によって
閉じられている。

カム円板２６の回転に伴って、カムの凸部がローラ６０
に係合すると、プランジャ３１が右方へ移動し、プラン
ジャ３１の回転に伴ってやがて吸入通路５１が吸入口５
５から遮断され、加圧室１８の燃料が加圧され、通路５
０．４５を経て吐出口４９へ圧送され、さらに通路１２
を経て吐出弁１９を押し開いて、噴射管を経て腹射弁へ
送られ、ここから機関の気筒へ噴射される。

プランジャ３１が最右方へ移動した時、吸入通路５１の
１つが吸入口５５に連通し、次いで吐出通路４５は吐出
口４９から遮断される。

そして、プランジャ３１の左方向移動に伴って燃料が吸
入口５５から通路５１を経て力０圧室１８へ供給され、
プランジャ３１が最左力へ移動する途中で溢流通路２７
がスリーブ２７により閉じられ、次いで吐出通路４５が
第２の吐出口４９と連通し、以下前述のようにプランジ
ャ３１の回転と往復との組合せ運動を繰返す内に分配バ
レル１７の円周方向に配列された第３、第４の吐出口４
９への順次燃料が圧送される。

燃料の噴射はプランジャ３１の溢流通路４６がスリーブ
２７から離れて開くまで継続し、溢流通路４３が開けば
、カロ圧室１８の燃料は通路５０゜４６を経て溜室６２
へ戻され、吐出弁１９は閉じる。

このようにして、機関が始動すると、フライウェイト２
９が拡開し、シフタ２８が右へ押されて、始動レバー４
０を始動ばね３９に抗して時計方向に回動させる。

本考案では始動ばね３９が撓むと、やがて始動レバー４
０に係止されたばね７０の端部が引張レバー３８に当り
、シフタ２８に始動ばね３９とばね７０との合力を及ぼ
し、始動レバー４０の回動を制限し、燃料制御スリーブ
２７の左方向、即ち燃料減力向への戻り量を抑えるよう
に作用する。

従って機関が一定の回転速度以下では専ら始動ばね３９
により燃料の過給が抑えられてスモークの発生を防止す
る一方、一定の回転速度を超えると第４図に線８０で示
すようにばね７０が作用して、線８１で示されるばね７
０のない場合に比べて燃料噴射量の減少を抑え、機関の
低速域において全負荷出力を増大させる。

機関の回転速度は速度制御レバー７ａによって制御され
、第１図に示すように機関の中速域では引張レバー３８
の上端が始動の場合よりも右へ戻されるが、フライウェ
イト２９が大きく拡開されるので、シック２８により始
動レバー４０の上端は始動ばね３９及びばね７０を撓ま
せて、引張レバー３８に衝合され、引張レバー３８と一
体的に運動する。

噴射時期の調整は噴射時期調整装置りによって行われ、
機関回転速度が上昇し、これに比例して上昇するベーン
ポンプＡの吐出口の圧力によって、ピストン２１が第１
図において、ばね２２に抗して厚方向に移動すると、ロ
ーラ６０を支持するホルダ２５が回転変位して噴射時期
を進め、逆に機関回転速度が低下し、吐出口の圧力が低
下すると、はね２２の力が室６６の圧力に打ち勝って、
ピストン２１を右方向に移動させ、噴射時期を遅らせる
。

上述のように、本考案は分配型燃料噴射装置として、プ
ランジャの溢流通路を開閉する燃料制御スリーブ２７に
一端が結合し、他端が調速機のシフタ２８に衝合する始
動レバー４０と、該始動レバー４０と共通の軸に支持さ
れ、かつ速度制御レバーと調速ばねを介して結合される
引張レバー３８との間に、前記燃料制御スリーブ２７を
燃料過給位置に付勢する始動ばね３９と並列に、かつ機
関の停止状態で両者の一力から所定間隔たけ離れている
第２のばね７０を介装したので、この構成によって、（
ａ） 機関の停止状態では始動ばね３９によって過給
に十分なストロークを燃料制御スリーブに付与し、（ｂ
） 機関の始動後は始動ばね３９が撓んで燃料制御ス
リーブ２７の戻り運動を許してスモークの発生を抑え、
（Ｃ）かつ第２のばね７０が作用して燃料制御スリーブ
２７の戻り過ぎを抑えて、機関の低速全負荷状態におけ
る出力を増大する、という優れた効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る内燃機関の分配型燃料噴射装置の
縦断面図、第２，３図は同装置の要部縦断面図、第４図
は同装置の作用説明線図である。 １：ポンプ軸、７ａ：速度制御レバー、８：調速ばね、
１０：停止レバー、１６：吸入通路、１８：加圧室、２
６：カム円板、２７：燃料制御スリーブ、３１ニブラン
ジヤ、３３：オルダム継手、３５：コレクトレバー、３
８：引張レバー、３９：始動ばね、４０：始動レバー、
４２：支軸、４６：溢流通路、４９：排出口、５１：吸
入通路、５５：吸入口、６２：燃料溜室。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. １つの吸込口と該吸込口から離れておりかつ互いに周方
   向に隔置された気筒数と同数の排出口とを持つ分配バレ
   ルに、エンジンと同期して回転と軸方向運転をするプラ
   ンジャの先端部を嵌装シて内部に加圧室を構成し、前記
   プランジャに、前記加圧室と前記吸入口とを結ぶ互いに
   円周方向に隔置されて気筒数と同数の吸入通路と、前記
   加圧室と前記排出口とを結ぶ１つの吐出通路と、前記加
   圧室と燃料溜室とを結ぶ溢流通路とを設け、前記プラン
   ジャの基端部に前記溢流通路の端部を開閉する燃料制御
   スリーブを摺動可能に外挿してなる内燃機関の燃料噴射
   装置において、ケーシングに支軸をもって中間部分を支
   持され、一端が前記燃料制御スリーブに結合され、他端
   が遠心力によって付勢されるシックに係合される始動レ
   バーと、ケーシングに前記支軸をもって前記始動レバー
   と独立に一端が支持され、他端が調速ばねを介して速度
   制御レバーに結合される引張レバーと、前記始動レバー
   と前記引張レバーとの間に介装され、前記燃料制御スリ
   ーブを燃料増力向に付勢する始動はねと、該始動ばねと
   並列に配列され、機関の始動後に前記シックによる始動
   レバーの戻り運動に対抗するばね力を発生する第２のば
   ねとを設け、該第２のばねによって低速域における最大
   燃料噴射量を得るよう構成したことを特徴とする内燃機
   関の分配型燃料噴射装置。