JPS5819345Y2 - 斜板式圧縮機 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は車両空調用の斜板式圧縮機に係り、詳しくは駆
動軸と共に回転される斜板に作用する軸方向の力を受承
するための、スラストベアリングと接するスラスト座に
関するものである。

従来、駆動軸を回転可能に支持するラジアルベアリング
と、シリンダブロックと斜板との間に介在されて斜板を
回転可能に支持するスラストベアリングの両者の潤滑状
態を比較した場合、スラストベアリングは斜板室内に構
成されて、常時微粒油の雰囲気中にあるため潤滑条件は
良好であるが、一方うシアルベアリングはシリンダブロ
ック側のスラスト座とスラストレースによって斜板室と
密閉状態に近いことと、回転の遠心力が作用してブロー
バイガスの流れが非常に悪いために潤滑が不十分であっ
た。

また上記のようなブローバイガスの悪循環によって斜板
室の圧力が吸入室、吸入通路に比べて高くなるため、吸
入通路から慣性でオイルを斜板室へ導入することが困難
となり、斜板の冷却・潤滑作用が低下する。

さらに、圧縮時のブローバイガスと、吸入時にピストン
がかき寄せたオイルが、シリンダブロックのスラスト座
とスラストレースの間に過剰に供給されるために、スラ
スト座とスラストレースの間に滑りが生じ、その摩擦に
よってアルミニウムで形成されたシリンダブロックのス
ラスト座の摩耗を早める原因となっていた。

本考案の目的は上記の欠点を解消しようとするもので、
斜板側のスラスト座をスラストレースの側面内周部と対
接させ、シリンダブロック側のスラスト座をスラストレ
ースの側面外周部と対接するように環状に形成するとと
もに、スラスト座の内径はシリンダボア内接円の直径よ
りも大きく形成して、シリンダブロック側のスラスト座
をボアによって分断させて、この分断部分からブローバ
イガスが駆動軸に沿ってラジアルベアリングを潤滑させ
たのち、吸入室へ遅滞なく流れるようにした斜板式圧縮
機を提供することである。

以下図示の実施例にもとづき本考案を詳細に説明する。

第１〜２図において、対接された一対のシリンダブロッ
ク１，２の両端部は、弁板３，４を介在してそれぞれフ
ロントおよびリアのハウジング５，６によって閉塞され
ている。

前記シリンダブロック１，２のほぼ軸心部には駆動軸７
が貫通してラジアルベアリング８，９によって回転自在
に支承され、その一端はフロントハウジング５を貫通延
在して、外部駆動源と連結可能である。

前記シリンダブロツり１，２の対接部分には斜板室１０
が形成され、前記駆動軸７に傾斜して固着された斜板１
１が回転可能に収納されている。

さらに前記シリンダブロック１，２には、前記駆動軸７
を中心として放射状にかつこれと平行に互に対向整列し
た適数組のシリンダボア１２，１３が穿設され、これら
シリンダボアの挟間に凹設されたほぼ扇状の空洞部は、
それぞれ吸入通路１４．吐出通路１５および油留室１６
等として利用される。

前記シリンダボア１２，１３内には両頭のピストン１７
が嵌挿され、該ピストン１７はボール１８．シュー１９
等の軸受装置を介して前記斜板１１に対して係留し、該
斜板１１の回転力によって前記シリンダボア１２，１３
内を往復動する。

前記斜板１１とシリンダブロック１，２の間には、斜板
１１を回転可能に支持するためのスラストベアリング２
３が斜板１１を挾んで対称的に介在され、該スラストベ
アリング２３はコロを挾持するためのスラストレース２
３ ａ 、２３ ｂを有する。

前記斜板１１のボス部には前記スラストレース２３ ｂ
の側面内周部と対接する環状のスラスト座１１ ａが設
けられる一方、シリンダブロック１，２には前記スラス
トレース２３ ａの側面外周部と対接する環状のスラス
ト座１ａ、２ａが設けられている。

なお、前記スラスト座１ａ、２ａの内径はシリンダボア
１２．１３内接円の直径よりも大きく形成され、該スラ
スト座１ａ、２ａはシリンダボア１２，１３によって分
断されている。

上述のごとく構成された斜板式圧縮機について、つぎに
作用の説明を行なうと、まず外部駆動源より駆動軸７が
駆動力を得て斜板１１が回転すると、該回転力によって
ピストン１７が往復動をする。

該ピストン１７の往復動により発生する吸引力によって
、外部冷凍回路より帰環した冷媒は、吸入通路１４内に
流入しフロントおよびリアのハウジング５，６の吸入室
２１内に流入する。

他方吸入通路１４内に流入した冷媒中に含まれた微粒油
、もしくは油分を高率に含有する一部の冷媒は、比較的
比重が大きいため慣性力の影響によって斜板室１０内に
突入し、該斜板室１０内の斜板１１とシュー１９、シュ
ー１９とボール１８．ボール１８とピストン１７、スラ
ストベア９フフ２３等各摺動部を効果的に潤滑する。

そしてシリンダポア１３内壁面とピストン１７外周面と
の細隙より被圧縮冷媒が漏洩した比較的高圧のいわゆる
ブローバイガスを、スラスト座１ａ、２ａとシリンダボ
ア１２，１３が交叉して形成した分断部分から、駆動軸
７に沿って流れラジアルベアリング８，９のコロの間を
通過して、副吸入室２０から吸入室２１へ遅滞なく排出
するため、斜板室１０内の高圧化を防止すると同時に、
ラジアルベアリング８，９の潤滑を十分に行なうことが
できるとともに、フロントハウジング５の副吸入室２０
内に配設されている軸封装置２２の潤滑ならびに冷却を
効果的に行なうことができる。

上述のごとく本考案によればシリンダブロック側のスラ
スト座を拡大し、シリンダボアで分断したことによって
、斜板室内に残留する冷媒を駆動軸に沿って吸入室側へ
積極的に導くことができ、ラジアルベアリングの潤滑効
果が上がるとともに、斜板室内の高圧化を防止して、帰
還冷媒に含まれる微粒油および油分を高率に含有する冷
媒の一部が斜板室へ円滑に流入する結果、各摺動部の潤
滑効果が上がり、また軸封装置の潤滑と冷却が効率的に
行なわれることと、シリンダブロック側のスラスＩ−座
が同じ側のスラストレースの外周部に対接する一方、斜
板側のスラスト座が斜板側のスラストレースの内周部と
対接することによって、シリンダブロックと斜板の間の
クリアランスをなくするための加工公差をスラストベア
リングのたわみによって吸収させるため衝撃音の発生す
ることを防止できることや、さらにシリンダブロック側
のスラスト座を拡大したことによって、スラストレース
との面接触による抵抗が大となって、滑りによる摩耗を
防止することと、シリンダブロック側のスラストレース
が回転しないため遠心力の影響を受けることがない等、
耐久性の高い圧縮機を得るという効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

図は本考案の実施例を示すもので第１図は断面正面図、
第２図は第１図におけるＡ−Ａ断面図である。 １．２・・・・・・シリンダブロック、１ ａ、２ ａ
、１１ ａ・・・・・・スラスト座、８，９・・・・・
・ラジアルベアリング、１１・・・・・・斜板、１２．
１３・・・・・・シリンダボア、２３・・・・・・スラ
ストベアリング、２３ ａ 、２３ ｂ・・・・・・ス
ラストレース。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シリンダブロックと駆動軸に支持され共に回転する斜板
   との間に介在され、該斜板に作用する軸方向の力を受承
   するための、スラストベアリングのスラストレースと対
   接するスラスト座において、シリンダブロック側のスラ
   ストレースと対接する環状のスラスト座が、前記スラス
   トレースの外周部に対接し、かつその内径はシリンダボ
   ア内接円の直径よりも大きく形成されるとともに、前記
   斜板のボス部に設けられたスラスト座が、斜板側のスラ
   ストレースの内周部に対接するよう環状に形成されたこ
   とを特徴とする斜板式圧縮機。