JPS581376Y2 - ディファレンシャル装置の潤滑構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、オイルリターンホールが、キャリヤの下部
に形成されている形式（通称「下孔形式」）の車両用テ
イファレンシャル装置において、ドライブピニオンシャ
フトを回転自在に支持している一対のベアリングのうち
、特にフロントベアリンク、さらにはフロントオイルシ
ールの潤滑構造に関するものである。

一般に、車両が普通の状態で静止しているときのディフ
ァレンシャル装置内のオイルレベルは、充分に確保され
ている。

しかしながら、車両が走行しているときには、種々の原
因によってキャリヤのフロント側の潤滑が不充分となり
、フロントベアリングおよびフロントオイルシールの潤
滑不良による摩耗や損傷を招くこととなる。

なお、フロントベアリングの潤滑が不充分となる原因と
しては、例えば、 （Ｉ） ＩＪソングャの回転によってフロント側へ供
給されるオイルの量が減少したとき。

（ｎ） テ゛フノーズアップ角が大きくなって、フロ
ント側のオイルレベルが下がったとき。

等があげられる。

また、フロントオイルシールの潤滑不足を招く原因とし
ては、上記（１） 、 （ＩＩ）の他に、例えはフロン
トベアリングを通過するオイルの量よりも、オイルリタ
ーンホールを通じてリヤ側に戻されるオイルの量が多い
場合などが考えられる。

この考案は、フロントベアリングおよびフロントオイル
シールの潤滑を常に良好に保持し得る潤滑構造の提供を
、その目的とするものである。

次に、この考案の構成を、図面で示す実施例に従って詳
細に説明する。

第１図は、自動車用のディファレンシャル装置の一部を
断面で表しており、この図面において、テイファレンシ
ャルキャリャ１の内部ニは、ドライブピニオンシャフト
２がチーバード・ローラ・ベアリングを用いたフロント
ベアリング３およびリヤベアリング（図示しない）によ
り、キャリヤ１に対して回転自在に支持されている。

このシャフトのフロント側（第１図の右側）には、コン
パニオンフランジ４がスプライン嵌合によって一体的に
連結されている。

なお、このコンパニオンフランジ４におけるスリーブ部
分４′の外周面と、キャリヤ１のフロント開口部の内周
面との間には、フロントオイルシール５が備えつけられ
ている。

さて、前記フロントベアリング３のフロント側には、第
２図および第３図からも明らかなように筒状で、かつ全
体として半リング形状をしたオイルガイド部材Ｉがキャ
リヤ１の内周面に沿って配設されている。

そして、このガイド部材Ｉは、ベアリング３のアウタレ
ース３′と、フロントオイルシール５の金属製のカバー
５′とによって挾みつけられて、キャリヤ１側にしっか
りと固定されている。

なお、このガイド部材Ｉにおける上方の両端開口部は、
それぞれオイル用の入ロアａとしての役目を果し、ガイ
ド部材７のはゾ中央下面には、オイルの出ロアｂが形成
されている。

この出ロアｂは、キャリヤ１の下部に形成されているオ
イルリターンホール６のフロント側の入口６′に連通し
ている。

つまり、このガイド部材Ｉによってオイルリターンホー
ル６の入口６′は、ガイド部材７の各人ロアａに置き変
えられたこととなるのである。

なお、ガイド部材Ｉに形成されている折り曲げ片７′は
、ベアリング３のアウタレース３′と、オイルシール５
のカバー５′との間で、このガイド部材７の出ロアｂを
、オイルリターンホール６に対応合致させるためのスペ
ーサー的な役割を果している。

このように構成したディファレンシャル装置において、
図示されていないリングギヤの回転によってリヤ側から
フロント側に向けて送られる潤滑オイルは、フロントベ
アリング３の回転に伴うポンプ作用により、このベアリ
ング３を通過（潤滑）する。

このベアリング３を通過したオイルは、そのオイルレベ
ルが、前記ガイド部材Ｔの入ロアａに達するまで、ベア
リング３とフロントオイルシール５との間にためられる
。

このためられたオイルによってフロントベアリング３お
よびフロントシール５の潤滑を充分に行うことができる
。

なお、ベアリング３とオイルシール５との間にためられ
たオイルのレベルが、ガイド部材７の入ロアａに達する
と、オイルは、この人ロアａからガイド部材７の中に流
入し、オイルリターンホール６を通じてリヤ側に戻され
る。

以上のようにこの考案に、オイルリターンホールがディ
ファレンシャルキャリアの下部に形成されているタイプ
のディファレンシャル装置において、このオイルリター
ンホールのフロント側の入口に連通させた筒状のオイル
ガイド部材をキャリヤの内周面に沿って湾曲させ、かつ
その両端をキャリヤ内の上方位置で開口させたことによ
り、オイルリターンホールのフロント側の人口を実質的
にはオイルガイド部材の両端開口部に置きかえているた
め、フロントベアリングを通過したオイルのレベルが、
オイルガイド部材の両端開口に達するまで、このフロン
トベアリングとオイルシールとの間にためておくことが
できる。

これによって、従来、潤滑に関して不利とされていたフ
ロントベアリングおよびフロントオイルシールのリップ
部の潤滑を良好に維持し、これらの潤滑不良による摩耗
や損傷を防止することができる。

【図面の簡単な説明】

図面は、この考案の実施例を示し、第１図は自動車用の
ディファレンシャル装置の一部を表した断面図、第２図
は第１図の■−■線断面図、第３図はオイルガイド部材
のみを表した斜視図である。 １・・・・・・ディファレンシャルキャリア、６・・・
・・・オイルリターンホール、６′・・・・・・フロン
ト側の入口、７・・・・・・オイルガイド部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ディファレンシャルキャリヤの内部でドライブピニオン
   シャフトがフロントベアリング及びリヤベアリングによ
   って回転自在に支持されているとともに、このドライブ
   ピニオンシャフトのフロント端部にコンパニオンフラン
   ジのスリーブ部分カ一体的に結合され、かつこのスリー
   ブ部分の外周面とキャリヤの内周面との間にオイルシー
   ルが設けられ、さらにキャリヤ内の潤滑オイルをフロン
   ト側からリヤ側へ戻すためのオイルリターンホールが、
   このキャリヤの下部に形成されている形式のテイファレ
   ンシャル装置において、前記のフロントベアリングとオ
   イルシールとの間におけるキャリヤ内の下部に、このキ
   ャリヤの内周面に沿って湾曲し、かつ両端がキャリヤ内
   の上方位置で開口した筒状のオイルガイド部材を、前記
   オイルリターンホールのフロント側の入口に連通させた
   状態で配設し、しかもこのオイルガイド部材は前記コン
   パニオンフランジのスリーブ部分外周面に対しては一定
   の間隔をもち、かつキャリヤの内周面に対しては油密を
   保持して接触させたことを特徴とするテイファレンシャ
   ル装置の潤滑構造。