JPS5811971Y2 - 流体圧縮機における駆動軸のシ−ル装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は流体圧縮機主として自動車の冷暖房のために
使用される流体圧縮機の駆動軸のシール装置に関する。

一般に、自動車の冷暖房用の圧縮機は狭隘なエンジン室
に収容され、エンジンの動力を利用する関係から、全体
として占有空間の小さなもので、エンジンによく近接し
エンジンからオーバハングする部分の少ないものである
ことが望ましく、これにはアクシャル型の圧縮機よりラ
ジアル型のものが適している。

第１図イはこの種のラジアル型の圧縮機の駆動部分を示
すものであるが、このものでは、前側ケーシング１を貫
通する駆動軸２はケーシング１の前端部上に配設された
電磁クラッチ３によって適宜回転され、後端にある偏心
部（図示せず）によって十字に交差する双頭型のピスト
ン体（図示せず）を交互に往復動するようになっており
、そして駆動軸２の前端部上には前側ケーシング１の小
径部内面との間にブラケットａ、円錐コイルばねｂおよ
び回転密封リングＣなどからなる軸封部材４が施され、
この軸封部材４の前側には段付筒状のカバープレート５
が配置され、このカバープレート５の段みぞのところに
保持リング６を施してカバープレート５を固定すると共
に軸封部材４を定位置に保持するようになっている。

ところで゛、このもののカバープレート５は内周面全幅
にわたって駆動軸２に接するようになされているので、
軸前端に取付けられる受動円板３ａのボス部は前方に張
出さなければならず、それだけ軸長が長くなり、反面カ
バープレート５の外周面には第１図口のように取外しを
容易にするためのつば５ａと段みぞ５ｂが形成されてい
るので、前側ケーシング１の内面に当接する部分の幅ｔ
が狭くなっており、ケーシング１の内面に設けられた保
持リング６の環状みぞ７に充分な面取り７ａを施すこと
ができず、かどが尖鋭になって、カバープレート５の挿
入時にＯリング５Ｃがかどに当って損傷し易く、これを
防ぐため面取りを充分に行うには上記の幅ｔを大きくし
なければならず、軸長を長くする結果となり、また、保
守点検に当って保持リング６を着脱する際、これがカバ
ープレート５のつば５ａに当って着脱がやり難いなどの
欠点がある。

この考案は上記の欠点を解消すべくなされたもので、軸
長の短縮が計られ、保持リングの着脱が容易でしかもシ
ール用Ｏリングを損傷しないようにした駆動軸のシール
装置を提供するものである。

第２−図はこの考案の実施例を示すものであり、駆動軸
２′の前端部外周において前側ケーシング１′の小径部
内面との間にスリーブ状のブラケットａ′、円錐コイル
ばねｂ′および回転密封リングＣ′などから軸封部材４
′が施され、その前側（図で左側）に接してカバープレ
ート５′が配設され、これを保持リング６′によって止
着し、軸封部材４′を定位置に保持するようにしている
点では上述のものと変りはないが、カバープレート５′
の構造および保持リング６′の止着位置において異なる
ものである。

すなわち、カバープレート５′は第３図に示すように前
側ケーシング１′の小径部の内径にほぼ等しい外径を持
ち外面の一様な所要幅の筒体をなし、周面の後（図で右
）寄りの位置にシール用のＯリング５ｃ’が埋設されて
おり、内面には前側（図で左側）より後側（図で右側）
に向って駆動軸２′の直径より大きな内径を持ち幅狭な
前部開口面５ａ’とこれより深く段をなして後すぼまり
に傾斜した円錐面５ｂ’とさらに駆動軸２′の直径にほ
ぼ等しい内径の幅狭な後部開口面５ｄ’とが形成されて
いる。

そして、このようなカバープレート５′がその後端面を
上記軸封部材４′の前面に接するようにして前側ケーシ
ング１′の小径部に嵌挿され、またその前端に接して保
持リング６′が配置され、前方ケーシング１′の小径部
内面に形成され、そして後縁にカバープレート５′の周
面に対しゆるやかに傾斜した面取り７ａ’が施された環
状みぞ７′に嵌め込まれて軸封部材４′を定位置に保持
している。

なお図中８，８′はカバープレートの取外し具である。

以上のように、この考案ではカバープレートを外面が一
様な筒体となし、内面に大きな前部開口面とこれより大
きく段をなして続く後すぼまりの円錐面を形成したので
、軸端に取付けられる受動円板のボス部をカバープレー
トの中に入るように後方に張出すことができ、従来のも
のにくらべて軸長すなわち機体の軸方向長さを短縮する
ことができ（図では電磁クラッチの支持軸受の中心から
軸端までの距離ｌ又はこれより△ｌ小さなｌ′として示
している）、またカバープレートの外面は全幅にわたっ
て前側ケーシングの小径部内面に接するので、保持リン
グ嵌合用の環状みぞに充分な広がりを持った面取りを施
すことができ、かどが尖鋭にならずカバープレート上の
Ｏリングを損傷することなく、さらにカバープレートは
っばなどを持つことなく保持リングはその前端面に当接
しているので、機体の保守点検に当って保持リングの嵌
め外し強いては軸封部材の嵌め外しが容易にできるもの
である。

【図面の簡単な説明】

第１図イは従来の圧縮機の駆動部分の一部の断面図。 第１図口はそのカバープレートの側面図。第２図はこの
考案の実施例の一部の断面図。 第３図はそのカバープレートの断面図。 図中、１，１′は前側ケーシング、２，２′は駆動軸、
３は電磁フラツチ、３ ａ 、３ ａ’は受動円板、４
，４′は軸封部材、５，５′はカバープレート、５ａ′
は前部開口面、５ｂ′は円錐面、５ｄ′は後部開口面、
６，６′は保持リング、７，７′は環状みぞ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 外面が一様な所要幅の円筒体をなし、周面にはシール用
   Ｏリング５ｃ’を埋設し、内面には大きな前部開口面５
   ａ′とこれに段をなして続く後すぼまりの円錐面５ｂ’
   と駆動軸２′の径にはほぼ等しい後部開口面５ｄ’を形
   成したカバープレート５′を駆動軸２′の前端部上に配
   設した軸封部材４′の前面に接しさせて設け、その前端
   面に保持リング６′を当接し、これを前方ケーシング１
   ′の小径部内面に形成し且つ後縁に上記カバープレート
   ５′の周面に対し傾斜のゆるやかな面取り７ａ′を施し
   た環状みぞ７′に嵌合させて上記カバープレート５′を
   止着してなる流体圧縮機における駆動軸のシール装置。