JPS5810380Y2 - スイツチング電源回路の実装構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、スイッチング電源回路またはＤＣＤＣコンバ
ータの実装構造に関する。

特に、周囲に生じる電磁誘導を小さくするように改良さ
れた実装構造に関するものである。

一般に、スイッチング電源回路は入力電圧をスイッチン
グ素子でパルス電圧に変換し、そのパルス電圧を変成器
により任意の電圧に変圧し、変圧された電圧を整流し平
滑することにより、任意の電圧の直流出力を得るもので
ある。

第１図はスイッチング電源回路の一例であり、１は入力
電圧源、２はトランジスタ、３は変成器、４は整流器、
５はコンデンサ、６，７は出力端子である。

トランジスタ２のベースにクロック信号を与え、トラン
ジスタ２が導通および遮断を繰返すように制御し、変成
器３の１次巻線にパルス電圧を得る。

このパルス電圧の振幅が変成器３の巻数比だけ逓倍され
て変成器３の２次巻線に誘起され、その誘起された電圧
を整流器４で整流し、コンデンサ５で平滑することによ
り出力端子６，７間に直流出力が得られる。

この種のスイッチング電源回路は配線数が少ないため、
両面に印刷配線導体を設けた印刷配線板に搭載され、装
置に組込まれることが多い。

第２図は従来例の印刷配線板の断面構造の一例である。

１１はスイッチング電源回路の搭載された印刷配線板、
１２．１３は他の回路の印刷配線板、１４，１５．１６
は配線導体である。

印刷配線板１１にはトランジスタ２コンデンサ５、変成
器３等の部品が搭載されている。

２０はリード端子、２１はスルーホールを有する部品取
付用ランド、２２は半田、２３は放熱器である。

２６は絶縁材で、トランジスタ２のケースと放熱器２３
を電気的に絶縁し熱的に結合する。

ここで、色刷配線板１１には第１図で示すスイッチング
電源回路が搭載されていて、配線導体１４および各部品
２，３．５等に第１図の説明で述べたパルス電圧が印加
されている。

このため、印刷配線板１１の近傍に隣接して配置された
論理回路素子などが搭載される別の印刷配線板１および
１３に設けられた配線導体１５．１６等には、上記パル
ス電圧による誘導電圧が発生する。

すなわち、トランジスタ２のケースが第１図に示すトラ
ンジスタ２のコレクタ電位であるとすると、そのコレク
タにはパルス電圧が印加されるため、静電結合により配
線導体１５に誘導電圧が発生する。

変成器３からは磁束が漏洩し、電磁結合により配線導体
１５に誘導電圧が発生する。

また、配線導体１６にはパルス電圧が印加される配線導
体１４との間の静電および電磁結合により誘導電圧が発
生する。

最近のスイッチング電源回路のスイッチング周波数は２
０ ＫＨｚ程度であるが、公知のように、スイッチング
周波数を高周波化すると、第１図に示す変成器３、コン
デンサ５を小形にすることができるため、スイッチング
電源回路が小形化される。

一方、スイッチング周波数の高周波化により、上記パル
ス電圧の有する高周波成分が増加するため、印刷配線板
１１に隣接して配置された印刷配線板１２．１３の配線
導体１５．１６に誘起される電圧、すなわち雑音電圧は
さらに増加し、配線導体１５．１６に接続された回路に
誤動作が生じることになる。

本考案はこの欠点を改良するもので、経済的な構造によ
り電磁および静電誘導を軽減する構造を提供することを
目的とする。

本考案は、パルス電圧が印加される印刷配線導体および
その電圧が印加される搭載部品に対し、これらをはさみ
込むように遮へい導体板および遮へい導体層を設けたも
のである。

すなわち本考案は、印刷配線板が三層構造に構成され、
この三層構造の印刷配線板の一つの面には地気電位に接
続された遮へい導体層が接続され、上記印刷配線板に搭
載される部品およびパルス信号の印加される印刷配線導
体層は全て上記遮へい導体層の一方の側に位置するよう
に配置され、上記部品のうち発熱する部品に熱的に接続
され且つ地気電位に電気的に接続された金属製へい導体
板が上記一方の側において上記部品を覆うように配置さ
れたことを特徴とする。

ここで印刷配線が三層構造に構成された構造とは、２枚
の絶縁板が重ね合され、その両面におよび重ね合された
接触面の三面に、それぞれ導体層が形成された構造をい
う。

以下図面により詳しく説明する。

第３図は本考案−実施例の構造断面図である。

１１は印刷配線板、４０は印刷配線された遮へい導体層
で、クリアランスホール４１を有する。

４２は放熱器２３に密着接続した遮へい導体板である。

１４は回路の印刷配線導体である。

ここでパルス電圧が印加される配線導体１４およびトラ
ンジスタ２、コンデンサ５、変成器５を、遮へい導体板
４２と印刷配線板１１に設けられた遮へい導体層４０と
で、はさみ込む構造としたことに特徴がある。

その他の構造は第２図従来例と同様である。

このため、配線導体１４およびトランジスタ２、コンデ
ンサ５、変成器３から、印刷配線板１１の外部に漏洩す
る電磁界は極めて減少する。

特に遮へい導体板４２と遮へい導体層４０を被誘導回路
の地気電位または第１図に示す電源回路の出力地気電位
、すなわち出力端子６または７に接続することにより、
静電誘導に対する効果がさらに向上する。

また、本実施例では放熱器２３上に遮へい導体板４２を
密着しているので、トランジスタ２の放熱効果をより向
上することができる利点も生ずる。

なお、トランジスタ２のケースが内部で電極から絶縁さ
れているときには、絶縁材２５は不要であり、放熱器２
３は直接トランジスタ２のケースに接触するように取付
けられる。

第４図は本考案による他の実施例の断面構造図である。

この例は、クリアランスホールを有する遮へい導体層５
０を２枚の配線板の間にはさむように形成したところに
特徴がある。

本実施例では配線導体１４にパルス電圧が印加され、配
線導体５１には、例えば第１図に示すスイッチング電源
回路の直流出力等の外部に誘導を与えない信号が印加さ
れている。

前例と同様に、パルス電圧が印加される配線導体１４お
よび搭載部品であるトランジスタ２、コンデンサ５、変
成器３は、遮へい導体層５０と遮へい導体板２３ではさ
み込まれる構造である。

このため、スイッチング電源回路自体の配線導体５１に
雑音電圧が誘起しないことはもとより、隣接する印刷配
線板上の配線導体に雑音電圧が誘起されない。

以上説明したように、本考案によれば、パルス信号が印
加された部品および導体層は、部品搭載面側の遮へい板
と、その裏面の印刷配線導体層との間にはさみ込まれる
構造となるため、この回路の外部に対する電磁および静
電誘導が著しく軽減される効果がある。

本考案の構造は配刷配線板の構造変更により実施できる
ので、遮へいのために架装置の変更を必要とせず経済的
であって、その効果が大きい。

本考案を実施することにより隣接する回路の選択が自由
になり、設計自由度が向上するとともに、架内の実装密
度を向上することのできる効果がある。

また本考案の構造によれば、金属遮へい板が放熱板を兼
ねることになり、放熱効率がよくなり、架内の実装密度
を向上する効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はスイッチング電源回路の構成例を示す図、第２
図は従来例のスイッチング電源回路の実装構造断面図、
第３図および第４図は本考案実施例の実装構造断面図。 １・・・・・・入力電圧源、２・・・・・・トランジス
タ、３・・・・・・変成器、４・・・・・・整流器、５
・・・・・・コンデンサ、６，７・・・・・・出力端子
、１１．１２．１３・・・・・・印刷配線板、１４，１
５．１６・・・・・・印刷配線導体、２０・・・・・・
リード端子、２１・・・・・・ランド、２２・・・・・
・半田、２３・・・・・・放熱器、４０・・・・・・遮
へい導体層、４１・・・・・・クリアランスホール、４
２・・・・・・遮へい導体板。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 スイッチング電源回路を構成する部品を搭載する印刷配
   線板の実装構造において、 上記印刷配線板は二枚の絶縁板が重ねられてなる三層構
   造に構成され、 この三層構造の印刷配線板の一つの層には地気電位に接
   続された遮へい導体層が形成され、上記印刷配線板に搭
   載される部品およびパルス信号の印加される印刷配線導
   体層は上記遮へい導体層に対してその一方の側に位置す
   るように配置され、 上記部品のうち発熱する部品に熱的に接続され且つ電気
   的に地気電位に接続された金属遮へい導体板が上記一方
   の側において上記部品を覆うように配置された 構造を特徴とする スイッチング電源回路の実装構造。