JP2892089B2 - 混成積層回路装置及び混成積層回路部品 - Google Patents

混成積層回路装置及び混成積層回路部品

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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は、コイル層を含む積層受動複合体の一方の面
上に能動回路部品を搭載した面実装型の混成積層回路部
品及びこれと基板とを組合せた混成積層回路装置に関
し、基板と積層受動複合体との間の段差を埋める熱伝導
体を設けることにより、コイル層または能動回路部品で
発生する熱を、熱伝導体を介して基板に熱伝導すること
により放熱し、発熱による温度特性変化を防止すると共
に、更に小型化または高集積化した混成積層回路装置、
及び、これを構成するのに適した混成積層回路部品を提
供できるようにしたものである。
<従来の技術> 従来、面実装型の混成積層回路装置は、実開昭63−31
547号公報の第5図に見られるように、混成積層回路部
品で発生する熱を、表面からの熱放射または縁部に設け
た接続端子を介して基板のランドへの熱伝導によって放
熱している。
<発明が解決しようとする課題> この種の混成積層回路装置及び混成積層回路部品の目
的の一つは、コイル、抵抗等の受動部品とIC、トランジ
スタ等の能動回路部品とを組合せて高集積化、高機能化
を図ることである。高集積化すると特定の回路素子の発
熱が他の回路素子の温度特性に影響を与え、混成積層回
路部品としての温度特性が問題となり、混成積載回路装
置及び混成積層回路部品の小型化を阻む。DC−DCコンバ
ータの制御回路のようにコイル部品を使用し、電力を扱
う場合は特に顕著である。
実開昭63−31547号公報に見られる従来技術では、そ
の第5図に示すように、混成積層回路部品と基板との間
は、接続端子の厚みによる段差及び空洞が生じている。
このため、基板への熱伝導ができず、混成積層回路部品
の放熱特性も悪くなっている。
そこで、本発明の課題は、上述した従来の問題点を解
決し、特定の素子の発熱による温度特性変化を防止した
混成積層回路装置、及び、混成積層回路装置を構成する
のに適した小型、かつ、高集積度の混成積層回路部品を
提供することである。
<課題を解決するための手段> 上述した課題解決のため、本発明に係る混成積層回路
装置は、混成積層回路部品と、基板と、熱伝導体とを含
む。前記混成積層回路部品は、積層受動複合体と、能動
回路部品と、接続端子とを有する。
前記積層受動複合体は、コイル層と、コンデンサ層と
を含んでいる。前記コイル層は、磁性体及び前記磁性体
中に埋設された一つまたは複数のコイルを有する。前記
コンデンサ層は、一面が前記コイル層の一面に重ね合わ
されている。前記能動回路部品は、前記コンデンサ層の
前記一面とは反対側の前記コンデンサ層の他面上に搭載
されている。
前記接続端子は、前記積層受動複合体の縁部に設けら
れ、少なくとも一端部が、重ね合わせ面とは反対側の前
記コイル層の前記他面に設けられていて、前記他面との
間に段差を形成している。
前記混成積層回路部品は、前記コイル層の前記他面が
前記基板の一面に対向するようにして、前記基板の一面
上に実装されている。前記熱伝導体は、前記基板と前記
コイル層の前記他面との間に配置され、前記段差を埋め
る。
また、本発明に係る混成積層回路部品は、熱伝導体が
コイル層の他面に備えられ、接続端子と、コイル層の他
面との間に生じる段差を埋めている。
<作用> 積層受動複合体のコイル層は、磁性体中に埋設された
一つまたは複数のコイルを有しており、鉄損及び銅損の
ため内部から発熱する。積層受動複合体の一方の面上に
搭載された能動回路部品も自己の消費電力で発熱する。
これらの熱の一部は、それぞれの素子の表面からの熱放
射または縁部の接続端子を介して基板への熱伝導によっ
て放出される。
接続端子は、積層受動複合体の縁部に一方の面から他
方の面に亙って設けられているので、積層受動複合体と
の間に段差が生じる。熱伝導体は、この段差による空洞
を埋めるように構成してあるので、コイル層で発生した
熱は熱伝導体を介して基板に熱伝導される。これによっ
て、コイル層の温度上昇が抑止され、能動回路部品の熱
がコイル層に熱伝導されるようになるので、能動回路部
品の温度上昇も抑止される。
従って、混成積層回路部品からの放熱特性が改善さ
れ、温度上昇による特性変化を防止した混成積層回路装
置を提供できると共に、更に小型化または高集積化した
混成積層回路装置を提供できる。
また、熱伝導体は段差によって混成積層回路部品と基
板との間に生ずる空洞を埋め、熱伝導をさせるものであ
るから、熱伝導体を混成積層回路部品側に設けても、基
板側に設けても同様の作用効果を有する混成積層回路装
置が得られる。
更に、積層受動複合体に段差を埋める熱伝導体を設け
た混成積層複合部品においては、混成積層回路部品を基
板に実装した場合に、基板と積層受動複合体との間に形
成される空洞が埋められる。
従って、放熱特性が改善され、かつ、実装性の優れ
た、混成積層回路装置を構成するのに適した混成積層回
路部品を提供できる。
熱伝導体の全体を金属層で構成するのが理想である
が、表面を金属層で構成することによっても、基板への
熱伝導及びコイル層または基板への熱拡散ができる。
<実施例> 第1図は本発明に係る第1の実施例である混成積層回
路装置の実装状態を示す断面図、第2図はそれに実装さ
れた混成積層回路部品の平面図、第3図はその積層構造
を示す断面図、第4図はその回路図である。第4図は本
発明の適用可能なDC−DCコンバタータの回路例を示して
いる。回路動作は当業者にとって周知であるので、説明
は省略する。図において、1はコイル層、2はコンデン
サ層、3は抵抗体層である。コイル層1、コンデンサ層
2及び抵抗体層3は積層受動複合体を構成している。41
〜45は能動回路部品、5は接続端子、6は熱伝導体、8
は基板である。
コイル層1は、フェライト等の磁性体10の内部にコイ
ル11〜16を埋設した構造となっている。コイル11〜16の
巻回数、個数及び接続関係は要求される回路構成に応じ
て任意に選定される。例えば、コイル11とコイル13を直
列に接続してトランス100の1次側コイルとし、コイル1
2、コイル14をトランス100の2次側コイルとするように
である。コイル11〜16は接続端子5の何れかに接続され
て外部に引出される。
コンデンサ層2は、誘電体磁器20の内部にコンデンサ
ネットワーク21〜27を埋設した構造となっている。第1
図にはそのうち2つが図示されている。コンデンサネッ
トワーク21〜27は、誘電体磁器層を介して電極を対向さ
せて形成されたコンデンサを、所要のコンデンサ回路を
構成するように接続することによって構成されている。
コンデンサネットワーク21〜27のそれぞれの回路構成
は、用途に応じて任意に選択される。これらのコンデン
サネットワーク21〜27は接続端子5の何れかに接続され
て外部に引出される。
抵抗体層3は、誘電体磁器上に厚膜抵抗31〜35が印刷
により形成されている。第1図にはそのうち1つが図示
されている。
能動回路部品である制御IC41、トランジスタ42、ダイ
オード43〜45は抵抗体層3と共に、誘電体磁器上に搭載
され、他の回路部品と第4図に示すように接続されてい
る。
接続端子5は、積層受動複合体の各層間の接続及び外
部との接続のため、積層受動複合体の縁部に一方の面か
ら他方の面に亙って設けられており、積層受動複合体の
コイル層1との間に、その厚み部の段差G1を生じてい
る。
熱伝導体6は、段差G1により、基板8と前記積層受動
複合体のコイル層1との間に形成される空洞を埋めるも
のであり、金属等の電気的な導体材料、シリコン・コン
パウンド等の熱伝導性の良い樹脂材料等が用いられてい
る。
基板8は誘電体磁器またはガラスエポキシ等の材料基
板の上に導体で形成されたランド81及び82、導体部83及
び回路パターン(図示せず)を有している。
本実施例ではコイル11〜16、制御IC41、トランジスタ
42及びダイオード43〜45が多く発熱する。特にトランス
100を構成するコイル11〜14は鉄損及び銅損により発熱
する。このため、コイル層1は基板8に最も近くなるよ
うに構成してある。この熱は、接続端子5及び半田7を
介して基板8のランド81、82への熱伝導またはコイル層
1の表面からの熱放射によって放出される。
また、制御IC41等の能動回路部品も自己の消費電力に
より発熱する。この熱も、接続端子5及び半田7を介し
て基板8のランド81、82への熱伝導または各部品の表面
からの熱放射によって放出される。
更に、熱伝導体6が、基板8の導体部83と接触してい
るので、コイル層1で発生した熱は導体部83へ熱伝導体
6を介して熱伝導される。特に、混成積層回路部品が集
積化されて表面積が小さくなり、熱放射による放熱は期
待できなくなった場合でも、熱伝導体6によって有効に
放熱できるので、集積度を上げることが可能になる。
熱伝導体6は、基板8へ多くの熱伝導をさせるため、
導体部83をできるだけ広くとることが望ましい。これに
よって、コイル層1の温度上昇が少なくなり、能動部品
41〜45で発生する熱もコイル層1へ熱伝導される割合が
大きくなるので、能動回路部品41〜45の温度上昇も少な
くできる。また、基板8に導体部83を設けない場合、そ
の分を熱伝導体6で隙間を補ってやれば、基板8への熱
伝導を確保できる。
これによって、混成積層回路部品の放熱特性が改善さ
れ、発熱による温度特性変化を防止した混成積層回路装
置を提供できると共に、更に小型化または高集積化した
混成積層回路装置を提供できる。
第5図は、第1図に示すコイル11〜16のコイルの巻方
の1例を示す図である。
コイル導体111、112は、巻軸方向Oに変位する螺旋状
となっていて、各巻軸が互いの巻径面内に位置するよう
に配置されている。
また、コイル導体111の巻方向a1とコイル導体112の巻
方向b1とは、同一の巻軸方向Oで見て、互いに逆になっ
ている。即ち、巻軸方向Oで見て、コイル導体111の巻
方向a1は時計方向であり、コイル導体112の巻方向b1
反時計方向である。
コイル導体111、112は、コイル電流により同一方向の
磁界を生じるように、接続部113によって互いに接続さ
れている。コイル導体111の巻方向とコイル導体112の巻
方向とは、互いに逆になっているので、コイル111の終
端部と、コイル導体112始端部とを接続部113によって互
いに接続した場合、コイル導体111、112により、電流方
向が同一のコイルが形成され、同一方向の磁界を生じ
る。従って、同一のコイル長に対して倍の巻回数のコイ
ルが得られ、集積度も倍にできる。このようにコイルの
集積度を上げた場合、コイル層1の発熱も増加するの
で、本発明は更に効果的となる。
第6図は本発明の第2の実施例に係る混成積層型回路
装置の好適な実装状態を示す断面図である。第1図と同
一参照符号は同一性のある構成部品を示す。これは、熱
伝導体6を基板8側に設けた実施例である。本実施例で
は、熱伝導体6を誘電体磁器基板上に電気的な導体材料
を厚膜印刷により形成しているが、蒸着、スパッタ、メ
ッキ等で形成してもよい。更に、エポキシ基板上に金属
の導体層を接着等の手段を用いて形成してもよい。この
基板8に混成積層回路部品を実装すると、第1の実施例
と同様の実装状態になるので、同様の効果が得られる。
第7図は第3の実施例に係る混成積層回路装置の部品
として好適な混成積層回路部品の断面図である。第1図
と同一参照符号は同一性のある構成部品を示す。これ
は、第1の実施例における熱伝導体6を積層受動複合体
のコイル層1の他方の面に設けたものである。本実施例
では、熱伝導体6を、電気的な導体材料を厚膜印刷する
ことにより形成しているが、蒸着、スパッタ、メッキ等
で形成してもよい。更に、金属の薄板を接着剤で接着し
てもよい。本実施例の混成積層回路部品を基板8に実装
すれば、第1の実施例と同様の状態になるので、同様の
効果が得られる。
従って、混成積層回路部品からの放熱特性が改善さ
れ、かつ、実装性の優れた、混成積層回路装置を構成す
るのに適した混成積層回路部品を提供できる。
更に、積層受動複合体のコイル層1を構成する磁性体
に突起部を設け、熱伝導体6の代りとしてもよい。この
場合でも、空部をなくすことができるので熱伝導性が向
上する。接続端子5と積層受動複合体とが形成する段差
G1が小さいときには有効である。
上記の各実施例において、熱伝導体6の全体を金属層
で構成するのが理想であるが、表面を金属層で構成する
ことによっても、基板8への熱伝導及びコイル層1また
は基板8への熱拡散ができるので効果的である。
<発明の効果> 以上述べたように、本発明によれば、次のような効果
が得られる。
(a)混成積層回路部品と基板との間に形成される段差
による空洞を熱伝導体により埋めるようにしたので、コ
イル層及び能動回路部品で発生する熱は、熱伝導体を介
して基板へ熱伝導される。従って、コイル層等の発熱素
子の放熱が容易になり、混成積層回路部品の温度上昇が
少なくなるので、発熱による温度特性変化を防止した混
成積層回路装置を提供できる。
(b)混成積層回路部品の温度上昇が少なくなるので、
更に小型化または高集積化した混成積層回路部品の使用
が可能となり、結果として、小型、かつ、高機能化した
混成積層回路装置が提供できる。
(c)混成積層回路部品に熱伝導体を設けたので、放熱
特性及び実装性が優れ、かつ、混成積層回路装置を構成
するのに適した混成積層回路部品を提供できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係る第1の実施例である混成積層回路
装置の実装状態を示す断面図、第2図はそれに実装され
た混成積層回路部品の平面図、第3図はその積層構造を
示す断面図、第4図はその回路図、第5図は第1図に示
すコイル11〜16のコイルの巻方の1例を示す図、第6図
は本発明の第2の実施例に係る混成積層型回路装置の好
適な実装状態を示す断面図、第7図は第3の実施例に係
る混成積層回路装置の部品として好適な混成積層回路部
品の断面図である。 1……コイル層、2……コンデンサ層 3……抵抗体層 41〜45……能動回路部品 5……接続端子、6……熱伝導体 8……基板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H05K 1/18 H01G 4/40 H01F 17/00 H01F 27/00

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】混成積層回路部品と、基板と、熱伝導体と
    を含む混成積層回路装置であって、 前記混成積層回路部品は、積層受動複合体と、能動回路
    部品と、接触端子とを有しており、 前記積層受動複合体は、コイル層と、コンデンサ層とを
    含んでおり、 前記コイル層は、磁性体及び前記磁性体中に埋設された
    一つまたは複数のコイルを有しており、 前記コンデンサ層は、一面が前記コイル層の一面に重ね
    合わされており、 前記能動回路部品は、前記コンデンサ層の前記一面とは
    反対側の前記コンデンサ層の他面上に搭載されており、 前記接続端子は、前記積層受動複合体の縁部に設けら
    れ、少なくとも一端部が、重ね合わせ面とは反対側の前
    記コイル層の前記他面に設けられていて、前記他面との
    間に段差を形成しており、 前記混成積層回路部品は、前記コイル層の前記他面が前
    記基板の一面に対向するようにして、前記基板の一面上
    に実装されており、 前記熱伝導体は、前記基板と前記コイル層の前記他面と
    の間に配置され、前記段差を埋めること を特徴とする混成積層回路装置。
  2. 【請求項2】前記熱伝導体は、前記コイル層の前記他面
    に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の混
    成積層回路装置。
  3. 【請求項3】前記熱伝導体は、前記基板側に設けたこと
    を特徴とする請求項1に記載の混成積層回路装置。
  4. 【請求項4】前記熱伝導体は、金属層を含むことを特徴
    とする請求項1、2または3に記載の混成積層回路装
    置。
  5. 【請求項5】積層受動複合体と、能動回路部品と、接続
    端子と、熱伝導体とを有する混成積層回路部品であっ
    て、 前記積層受動複合体は、コイル層と、コンデンサ層とを
    含んでおり、 前記コイル層は、磁性体及び前記磁性体中に埋設された
    一つまたは複数のコイルを有しており、 前記コンデンサ層は、一面が前記コイル層の一面に重ね
    合わされており、 前記能動回路部品は、前記コンデンサ層の前記一面とは
    反対側の前記コンデンサ層他面上に搭載されており、 前記接続端子は、前記積層受動複合体の縁部に設けら
    れ、少なくとも一端部が、重ね合わせ面とは反対側の前
    記コイル層の前記他面に設けられていて、前記他面との
    間に段差を形成しており、 前記熱伝導体は、前記コイル層の前記他面に備えられ、
    前記段差を埋めていること を特徴とする混成積層回路部品。
  6. 【請求項6】前記熱伝導体は、金属層を含むことを特徴
    とする請求項5に記載の混成積層回路部品。
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