JPH11994A - 液体噴射記録装置およびその駆動方法 - Google Patents

液体噴射記録装置およびその駆動方法

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JPH11994A
JPH11994A JP15415697A JP15415697A JPH11994A JP H11994 A JPH11994 A JP H11994A JP 15415697 A JP15415697 A JP 15415697A JP 15415697 A JP15415697 A JP 15415697A JP H11994 A JPH11994 A JP H11994A
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pulse
heating resistor
driving
liquid
pulse width
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Application number
JP15415697A
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English (en)
Inventor
Masashi Hiratsuka
昌史 平塚
Naoki Morita
直己 森田
Kazunori Onishi
一典 大西
Masaki Kobayashi
雅樹 小林
Harumi Tamura
晴美 田村
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Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長期にわたり安定した液体の噴射力および噴
射量を維持し、高画質を維持することのできる液体噴射
記録装置およびその制御方法を提供する。 【解決手段】 制御部4は複数の駆動条件を保持してい
る。例えば入力される記録データを計数して累積し、発
熱抵抗体2あるいは保護膜の状態を間接的に検知する。
累積した計数値が所定の値を超えると、それまでよりも
パルス幅の長い駆動条件に切り換え、発熱抵抗体2を駆
動する。これによって発熱抵抗体2に与えるエネルギー
量を増加させる。長期間の使用によって発熱抵抗体2の
発熱量が低下したり、保護膜の酸化によって熱伝導性が
低下した場合にも、飛翔する液滴の体積の低下を抑える
ことができ、良好な画質を維持して記録を続けることが
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液体を噴射して飛
翔液滴を形成し、この飛翔液滴により記録を行なう液体
噴射記録装置およびその制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】液体を噴射して記録を行なう液体噴射記
録装置の一つとして、熱エネルギーを利用したものがあ
る。この熱エネルギーを利用したサーマル液体噴射記録
装置は、低コストでありながら高画質が得られ、高速に
記録可能な装置として脚光を浴びている。このサーマル
液体噴射記録装置では、発熱抵抗体に通電し、電気エネ
ルギーを熱エネルギーに変換して、その熱エネルギーを
液体に伝えて液体を膜沸騰させ、発生する気泡の成長時
の圧力によって液体を噴射する。このとき、発熱抵抗体
の発熱によって、液体中から炭素を主成分とする物質が
発熱抵抗体の保護膜上に付着し、長期間の使用によって
保護膜上に炭素を主成分とする膜が堆積してしまう。こ
の堆積物の膜によって発熱抵抗体で発生する熱エネルギ
ーの液体への伝導が阻害され、エネルギー効率が低下し
て液体の噴射力が弱まり、画質の劣化を起こすという問
題がある。
【0003】また、同じく発熱抵抗体における発熱の繰
り返しによって、発熱抵抗体の保護膜の酸化並びに発熱
抵抗体自体の劣化が発生する。発熱抵抗体が劣化する
と、同じ電気エネルギーを与えても発生する熱エネルギ
ーが減少する。また、保護膜が酸化すると、熱伝導性が
低下し、発熱抵抗体で発生する熱エネルギーが液体に伝
達しにくくなる。これらによって、一定の電気エネルギ
ーを発熱抵抗体に与えても、液体が受けとる熱エネルギ
ーが減少する。そのため、飛翔する液滴の体積が減少し
て濃度低下を引き起こし、最悪な場合、長期間の使用に
より正常な吐出が不能になってしまうという問題があ
る。
【0004】一方、サーマル液体噴射記録装置の駆動方
法の主なものとして、シングルパルス駆動と分割パルス
駆動の2つの方法がある。図2は、サーマル液体噴射記
録装置の駆動方法の一例の説明図である。シングルパル
ス駆動では、図2(A)に示すように1つのパルスを発
熱素子に与える駆動方法である。以前はこのシングルパ
ルス駆動が用いられてきたが、より安定した駆動方法と
して、図2(B)に示すような分割パルス駆動が用いら
れている。この分割パルス駆動では、複数のパルスによ
って駆動する。図2(B)に示す例では、まず液体を噴
射しない程度のエネルギーをパルスP1(これをプレパ
ルスP1と呼ぶ)で与え、液体を加温する。休止期間P
2の後、液体を噴射するためのエネルギーをパルスP3
(これをメインパルスP3と呼ぶ)で与えて液滴を飛翔
させる。しかし、分割パルス駆動を行なっても、保護膜
上に炭素を主成分とする膜が堆積することに変わりはな
く、依然として上述の問題は残る。
【0005】図3は、従来の分割パルス駆動におけるド
ット径の経時変動を示すグラフである。ここではある液
体噴射記録装置において図2(B)に示す分割パルス駆
動を所定の駆動条件のまま続けた場合を示している。具
体例として、プレパルスP1のパルス幅を例えば0.5
00μsec、メインパルスP3のパルス幅を例えば
2.000μsecとした。
【0006】ドット径の変動は飛翔する液滴の体積の変
動とほぼ一致する。図3に示した例では、初期の状態で
はドット径が多少増加するものの、噴射パルス数が2×
106 パルスを境にドット径は減少を始めている。この
ことは、噴射パルス数が2×106 パルス以降は、発熱
抵抗体の実効面積が飛翔液滴体積に影響するほど減少し
てゆくことを示している。すなわち、発熱抵抗体やその
上の保護膜等の劣化や、保護膜上に堆積する堆積物など
によって発熱抵抗体の実行面積が小さくなり、十分に熱
が液体に伝わらず、液滴の体積が変化して記録されるド
ット径が小さくなったものと考えられる。このようにド
ット径が小さくなると、上述のように所望の記録濃度が
得られなくなり、画質が低下するという問題がある。
【0007】発熱抵抗体の保護膜上に、炭素を主成分と
する膜が堆積する問題に対する対策として、例えば特開
平6−122198号公報には、特殊な駆動によりイン
クを噴射させ、堆積物を除去する方法が記載されてい
る。また、例えば特開平7−17040号公報には、イ
ンクをノズル側から吸引しながら駆動し、堆積物を除去
する方法が記載されている。しかし、これらの方法で
は、画像形成に必要としないインクの噴射や吸引を行な
うので、印字効率の面から不利である。また、不純物の
多いインクを使用した場合には効果が十分でないという
問題もある。
【0008】一方、特開平2−175257号公報に
は、発熱抵抗体の経時劣化に応じて発熱抵抗体に与える
駆動電圧を増加する方法が記載されている。しかしなが
ら、小型の記録装置に可変電圧電源と周辺回路を搭載す
ることは、コスト的にも不利である。また、特開平5−
169674号公報にも同様に、最低駆動電圧が上昇す
るような発熱抵抗体の経時劣化に応じて駆動電圧を変化
させる方法が記載されており、同様の問題がある。この
文献にはさらに温度制御や例えば図3に示す初期のドッ
ト径の増加に対処するため、図2(B)に示す分割パル
ス駆動においてプレパルスのパルス幅を変化させる例も
記載されている。しかし、発熱抵抗体などの経時劣化に
対応してパルス幅を変化させるものではなく、発熱抵抗
体などの経時劣化に対しては、駆動電圧の変更によって
対処している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した事
情に鑑みてなされたもので、長期にわたり安定した液体
の噴射力および噴射量を維持し、高画質を維持すること
のできる液体噴射記録装置およびその制御方法を提供す
ることを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、例えば記録す
べき画像情報のドット数や、液体を収容したタンクの使
用個数等を計数して間接的に発熱抵抗体あるいは保護膜
の状態を認識し、その発熱抵抗体あるいは保護膜の状態
に応じて、発熱抵抗体に与える駆動パルスのパルス幅を
設定し、設定されたパルス幅の駆動パルスを発熱抵抗体
に与えて発熱抵抗体を駆動する。これによって、発熱抵
抗体やその保護膜が劣化して発熱量や熱伝導性が低下し
た場合でも、それらに応じて熱エネルギーが得られるよ
うに駆動パルスのパルス幅を長く設定して発熱抵抗体を
駆動するので、液体に対して常にほぼ一定の熱エネルギ
ーを与えることができる。そのため、安定した噴射力で
液滴を噴射することができるとともに、その液滴量も安
定し、長期にわたり高画質を維持することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の液体噴射記録装
置の実施の一形態を示す要部ブロック図、図4は、同じ
く記録ヘッド部分の一例を示す概略断面図である。図
中、1は記録ヘッド、2は発熱抵抗体、3は温度検出
部、4は制御部、5はタンク、11は流路基板、12は
ドライバー側電極、13は樹脂層、14は共通電極、1
5は支持基板、16は保護膜、17は吐出孔、18は流
路、19は液室である。
【0012】記録ヘッド1には多数の発熱抵抗体2が配
列されている。記録ヘッド1は、図4に示すように、支
持基板15上に発熱抵抗体層を成膜し、必要に応じて不
純物をドープして発熱領域を形成し、発熱抵抗体2とす
る。その上に層間絶縁膜を成膜後、ドライバー側電極1
2と共通電極14を形成し、例えばコンタクトホール等
により発熱抵抗体2との電気的接続を図る。また発熱抵
抗体2上には、液体との接触による化学的なダメージ
や、キャビテーション等の物理的ダメージから発熱抵抗
体2を保護するための保護膜16を形成する。そして、
少なくとも発熱抵抗体2上の発熱領域を除き、樹脂層1
3を施す。ここでは樹脂層13を2層設けているが1層
でもよい。発熱抵抗体2上の樹脂層13を設けなかった
部分が液室19となる。
【0013】また、別の工程によって、発熱抵抗体2に
対応する流路18や、図示しない共通液室などが流路基
板11に形成され、上述のようにして形成された支持基
板15と接合または接着されて記録ヘッド1が作製され
る。なお、ドライバー側電極12および共通電極14
は、例えば支持基板15上や記録装置本体に設けられた
制御部4と電気的に接続される。
【0014】記録ヘッド1は、発熱抵抗体2の発熱によ
って加温される。それとともに内部の液体も加温され
る。液体は温度によって粘度が変化するため、所定の液
滴量を噴射させるために必要となるエネルギー量が変化
する。記録ヘッド1には温度検出部3が設けられてお
り、内部の液体の温度に代えて、記録ヘッド1の温度を
検出して制御部4へ出力し、液体の状態を制御部4へ伝
える。
【0015】制御部4は、液体噴射記録装置各部の制御
を行なう。記録時には外部から送られてきた記録データ
に従って、記録ヘッド1や被記録媒体の制御を行なうと
ともに、発熱抵抗体2に対して選択的に駆動パルスを与
えて発熱させ、液体を噴射させて記録を行なう。このと
き、上述のように温度によって噴射させる液体の粘度等
が変化することを考慮し、ほぼ一定の液滴量の噴射を行
ない安定した記録を行なうため、温度検出部3で検出し
た記録ヘッド1の温度を考慮して記録時の駆動条件を設
定することができる。
【0016】また、図3に示したグラフにも現われてい
るように、使用してゆくと噴射される液滴量が減少し、
記録されるドット径が小さくなってくる。このような現
象を回避するため、発熱抵抗体2に与える駆動パルスの
パルス幅を制御する。例えば発熱抵抗体2が劣化して発
熱量が少なくなったり、保護膜16が劣化して熱伝導性
が低下した場合には、液体の加熱量が少なくなるので、
これを補うために駆動パルスのパルス幅を長くしてより
多くのエネルギーを供給する。これによって液体の加熱
量を維持し、噴射する液滴量をほぼ一定に保って長期間
にわたり画質を維持することができる。なお、発熱抵抗
体2あるいは保護膜16の状態は、例えば記録すべき画
像情報のドット数の計数によって間接的に認識すること
ができる。また、タンク5の使用個数によっても間接的
に知ることができる。タンク5の容量は決まっているの
で、その容量と噴射する液滴量から発熱抵抗体2による
液体の噴射回数(すなわち、画像情報のドット数)がわ
かる。記録すべき画像情報のドット数やタンク5の使用
個数等の計数値は、内部の記憶素子に記憶される。この
液体噴射記録装置の電源が遮断されても、この記憶素子
に記憶されている内容が失われることのないように構成
されている。
【0017】タンク5には発熱抵抗体2によって飛翔さ
せる液体が貯蔵されている。記録ヘッド1において液滴
を飛翔させて液体が消費されると、貯蔵している液体を
流路18へと供給する。
【0018】次に動作の一例について説明する。制御部
4からドライバー側電極12および共通電極14を介し
て発熱抵抗体2に駆動信号が印加されると、発熱抵抗体
2はその電気的エネルギーを熱エネルギーに変換し、液
体中に熱を放出する。放出された熱によって液体中に気
泡が発生する。発生した気泡は液室19内で成長し、そ
のときの圧力によって液室19および流路18内の液体
が吐出孔17から噴射する。噴射された液滴は被記録媒
体へと飛翔して付着し、記録が行なわれる。
【0019】液滴の噴射後、電気的エネルギーの切断に
よって急速に冷却され、気泡は縮小してゆく。この時の
負圧によってタンク5から液体が流路18に再供給され
る。そして、気泡は保護膜16上で消滅する。気泡の消
滅時には、消滅点に液体が急激に流入し、キャビテーシ
ョンが発生する。保護膜16はこのキャビテーションか
ら発熱抵抗体2を保護している。
【0020】図2(B)に示すような分割パルス駆動を
行なう場合、プレパルスP1は液体の加熱を目的として
おり、発熱抵抗体2の保護膜16と液体の接触面で膜沸
騰は発生せず、従って液体も噴射されない。メインパル
スP3をある程度の長さ以上にすると、上述のように発
熱抵抗体2の保護膜16と液体の接触面で膜沸騰がお
き、これによって発生する気泡の膨張によって液体が噴
射される。サーマル方式は熱を利用した噴射方式である
ので、環境温度に対して敏感である。そのため、制御部
4は温度検出部3によって検出される記録ヘッド1の温
度に応じた駆動条件に従って駆動パルスを発熱抵抗体2
に与え、発熱抵抗体2を駆動する。図5は、駆動条件の
一例の説明図である。メインパルスP3のパルス幅を所
定の液滴量が噴射されるように設定し、記録ヘッド1の
温度による飛翔液滴量の変動を補正するために、温度に
応じてプレパルスP1のパルス幅を設定している。この
ようして設定された図5に示すようなプレパルスP1と
メインパルスP3の組み合わせを使用することにより、
記録ヘッド1の温度によらず常にほぼ一定の液滴量を噴
射させ、安定した画質を提供することができる。
【0021】また、上述の液体を噴射する過程におい
て、液体中に放出される熱によって液体中の不純物や染
料などが炭化し、保護膜16上に付着して徐々に堆積す
る。さらに、膜沸騰後に気泡が消滅するまでの間は、発
熱抵抗体2および保護膜16と液体との間は気泡によっ
て遮断され、発熱抵抗体2および保護膜16の熱は液体
に十分に伝達されない。このため、発熱抵抗体2および
保護膜16に残された熱は、保護膜16上の堆積物の発
生を加速する。この堆積物によって発熱抵抗体2の実効
面積が減少するため、エネルギー効率が低下し、飛翔す
る液滴の体積が減少して濃度低下を引き起こす。
【0022】上述のような分割パルス駆動を用いて発熱
抵抗体2を駆動する場合、メインパルスP3の印加時に
はプレパルスP1により既に液体の温度が上昇している
ため、メインパルスP3による投入エネルギーは最小限
に抑えることができ、当然、図2(A)に示したシング
ルパルス駆動よりも少ない。これは膜沸騰後に気泡が消
滅するまでの、発熱抵抗体2の保護膜16と液体が遮断
された状態を短くすることができ、堆積物の発生を低減
できる。しかしながら、このような分割パルス駆動によ
っても発熱抵抗体2の保護膜16上に付着する堆積物を
無くすことはできず、保護膜16の酸化および発熱抵抗
体2の劣化も防ぐことはできない。そのため上述の図3
にも示したように、依然として飛翔する液滴の体積は減
少してしまう。特にブラックインクを使用した場合に堆
積物の発生量が多い。
【0023】また、上述のように発熱抵抗体2における
発熱の繰り返しによって、発熱抵抗体2の保護膜16の
酸化並びに発熱抵抗体2自体の劣化が発生し、液滴を飛
翔させるために最低限必要とする電圧が増加する。この
ため、一定の駆動電圧を用いた場合、飛翔する液滴の体
積が減少して濃度低下を引き起こす。
【0024】このような飛翔する液滴の体積の減少、す
なわちエネルギー効率の減少を補うには、投入エネルギ
ーの増加が必要となる。本発明では、このような濃度低
下を防ぐため、制御部4は発熱抵抗体2を駆動する際の
駆動パルスのパルス幅を制御する。例えば、実効面積が
減少した発熱抵抗体2に対して、パルス幅を長くしてよ
り大きなエネルギーを与えると、飛翔する液滴の体積を
増加することができる。
【0025】最適な駆動パルスの条件は実験によって求
めることができる。例えば上述の図3に示した例では、
噴射パルス数が2×106 パルス以降で液滴の体積が減
少しているので、噴射パルス数が2×106 パルスまで
は標準の駆動条件を用い、2×106 パルス以降はより
大きなエネルギーを与えるように、駆動パルスのパルス
幅を長くすればよい。ここでは、図2(B)に示した分
割パルス駆動を用いるものとし、エネルギー量を増加さ
せるためにプレパルスP1を長くした場合と、メインパ
ルスP3を長くした場合、それにプレパルスP1および
メインパルスP2の両方を長くした場合について、ドッ
ト径の変化を測定した。
【0026】図6ないし図10は、分割パルス駆動にお
けるパルス幅を変化させた場合のドット径の経時変動の
一例を示すグラフである。各図においては、温度による
影響が出ないように、記録ヘッド1の温度を30〜34
゜Cの範囲に制御した。また、駆動条件は2×106
ルスまでは標準の駆動条件を用い、2×106 パルス以
降はより大きなエネルギーを与える駆動条件のみを使用
した。なお、標準の駆動条件は、プレパルスP1=0.
500μsec,メインパルスP3=2.000μse
cとした。ドット径の測定時には、より大きなエネルギ
ーを与える駆動条件で液体を噴射させたときのドット径
とともに、測定時のみ標準の駆動条件で液体を噴射させ
たときのドット径を測定し、それぞれ実線、破線で示し
ている。
【0027】図6に示したグラフは、プレパルスP1の
パルス幅を長くした例を示している。この例では、2×
106 パルス以降はプレパルスP1のパルス幅を0.6
25μsecに長くしている。プレパルスP1のパルス
幅を変更直後は図3に示したグラフに比べてドット径の
低下が少なく、一部では回復していることから多少の効
果があったものと認められる。
【0028】図7に示したグラフでは、プレパルスP1
のパルス幅を図6の場合よりも長くし、2×106 パル
ス以降のプレパルスP1のパルス幅を0.750μse
cにした。この場合、ドット径の低下は緩やかになった
ものの、この条件で動作を続けても回復はしなかった。
また、2×106 パルス以降でプレパルスP1のパルス
幅を長くして動作を続け、測定時だけ標準の駆動パルス
で液体を噴射させると、ドット径はあまり改善していな
い。これは、プレパルスP1のパルス幅を長くしたこと
によって供給されるエネルギー量が増加し、噴射される
液滴量は多少改善されるものの、発熱抵抗体3の保護膜
16上への堆積物の体積は増加し続けていると考えられ
る。このようなことから、プレパルスP1のパルス幅を
長くした場合には、保護膜16上の堆積物の改善は望め
ないものの、液滴量の低下を補い、ドット径の改善を図
ることができると考えられる。
【0029】図8に示したグラフは、メインパルスP3
のパルス幅を長くした場合を示している。ここでは、2
×106 パルス以降のメインパルスP3のパルス幅を
2.250μsecとした。この場合でも、多少、ドッ
ト径が小さくなる傾向はあるものの、図6、図7に示し
たグラフに比べてドット径の低下は少ない。また、メイ
ンパルスP3のパルス幅を長くした場合も、測定時だけ
標準の駆動パルスで液体を噴射させた場合も、ともにド
ット径はあまり変わらなかった。これらのことからし
て、メインパルスP3を長くすることは、ドット径を大
きくすることにはあまり寄与しないが、ドット径の低下
を抑えることには効果があることがわかる。発熱抵抗体
2や保護膜16の劣化によって液体に伝達される熱量の
低下を補償するだけであれば、測定時に標準の駆動パル
スを用いた場合にはドット径は小さくなるはずである。
しかしメインパルスP3を長くした場合には、測定時に
標準の駆動パルスを用いた場合にもドット径が改善して
いる。これは、例えばメインパルスP3を長くして多く
のエネルギーを加えたことによって、発熱抵抗体2の保
護膜16上に堆積した堆積物が除去されて、発熱抵抗体
2の実行面積が増加したためと考えられる。
【0030】このように、プレパルスP1を長くするこ
とは、ドット径を大きくすることに効果があり、メイン
パルスP3を長くすることは、ドット径を大きくするこ
とには大きな効果はないが、ドット径の低下を抑制する
ことに効果があることが明らかとなったので、これらを
組み合わせることによって、より効果的な制御が期待で
きる。組み合わせた条件によって駆動した例を図9、図
10に示している。
【0031】図9に示したグラフは、プレパルスP1お
よびメインパルスP3のパルス幅をともに長くした例を
示しており、2×106 パルス以降のプレパルスP1の
パルス幅を図6と同様の0.625μsecとし、また
メインパルスP3のパルス幅を図8と同様の2.250
μsecとした場合を示している。また、図10に示し
たグラフは、同様に2×106 パルス以降のプレパルス
P1のパルス幅を図7と同様の0.750μsecと
し、またメインパルスP3のパルス幅を図8と同様の
2.250μsecとした場合を示している。
【0032】図9、図10に示したグラフでは、実験時
のばらつきによって形状に差があるものの、いずれの場
合も発熱抵抗体2の駆動を続けるうちにドット径が回復
しており、1×108 パルス後の初期からの変動量はほ
ぼ0μmと大幅に改善されている。さらに、測定時のみ
標準の駆動条件で駆動した場合のドット径も、1×10
8 パルス後の初期からの変動量が−5〜−8μm程度と
改善されている。これはメインパルスP3を長くした効
果であると考えられる。また、標準の駆動条件とより大
きなエネルギーを与える駆動条件のドット径の差は、主
としてプレパルスP1を長くした効果であると考えられ
る。両者の効果によって変動量を大幅に改善することが
できた。
【0033】実際には上述のように記録ヘッド1の温度
によって噴射される液滴の体積が変化するため、より大
きなエネルギーを発熱抵抗体2に与えるように駆動パル
スのパルス幅を変更した場合でも、温度に応じた駆動条
件を設定することが望ましい。図11は、駆動条件の別
の例の説明図である。図6〜図10に示したグラフとは
標準条件が異なるが、図5に示した駆動条件を標準条件
としたとき、上述のようにプレパルスP1およびメイン
パルスP3のパルス幅を長くすることによってドット径
の低下を防止することができるので、例えば各温度ごと
の駆動条件についてこのような変更を加えればよい。図
11では、メインパルスP3のパルス幅を2.250μ
secから2.500μsecに変更し、26℃以上の
場合のプレパルスP1のパルス幅をそれぞれ長くしてい
る。なお、26℃以下では、それ以上プレパルスP1の
パルス幅を長くできない(長くすると気泡が発生してし
まう)ため、やむを得ず変更していない。
【0034】図12は、本発明の実施の一形態における
発熱抵抗体あるいは保護膜の状態に応じた駆動パルスの
パルス幅制御の一具体例を示すフローチャートである。
ここでは図5に示した駆動条件と図11に示した駆動条
件を用る。これらの駆動条件は、予め例えば装置内部に
備えられたROM等の記憶素子に格納されているものと
する。発熱抵抗体あるいは保護膜の状態は駆動パルス数
によって間接的に知ることとし、便宜上、記録ヘッド1
全体で記録する累積画素数で認識するものとする。記録
ヘッド1には160個の発熱抵抗体2が配置されている
ものとし、1個の発熱抵抗体2の駆動パルス数が2×1
6 パルスに達した時点で駆動条件を切り替えるものと
する。すなわち、記録ヘッド1全体では、累積画素数で
160×2×106 =3.2×108 画素に達した時点
で駆動条件を切り替える。また、ここでは一例として記
録ヘッド1において最もドット径の変動が大きいブラッ
クインクを噴射するものとする。
【0035】印字命令を受けると、S21において、ま
ず累積画素数を判定する。内部の記憶素子に記憶してい
る累積画素数と上述の切替え条件である3.2×108
とを比較し、累積画素数が3.2×108 に達していな
ければS22において図5に示した駆動条件を選択す
る。3.2×108 に達していればS23において図1
1に示した駆動条件を選択する。S24において、記録
すべき画像データの中のブラックの画素数を計数し、S
25において、計数した画素数を累積画素数に加算して
記憶素子に記憶させる。そして記録印字に移行する。記
録時にはS22またはS23で選択した温度ごとに設定
されている駆動条件から、温度検出部3で検出した記録
ヘッド1の温度に対応する駆動条件を選択し、その駆動
条件で記録データに応じて発熱抵抗体2を駆動し、記録
を行なう。このような制御により、累積画素数が3.2
×108 を超える長期にわたり、所望のドット径を維持
することが可能となる。
【0036】上述のような発熱抵抗体2あるいは保護膜
16の状態に応じた駆動パルスのパルス幅の切替え制御
は、記録ヘッド1の寿命中に1回に限らず何回行なって
もよい。例えば2回の切替えを行なう場合を考える。こ
の場合、記録ヘッド1の使用初期から用いる標準の駆動
条件のほかに、それよりも大きなエネルギーを発熱抵抗
体2に与える駆動条件を2つ用意しておく。図13は、
駆動条件のさらに別の例の説明図である。図13に示し
た駆動条件は、図5に示した駆動条件のメインパルスP
3のパルス幅のみを長くしたものである。これは上述の
図8に示したグラフにおける実験例に対応するものであ
り、メインパルスP3のみの変更であるため、駆動条件
を変更しない場合と比較してドット径の変動量はほとん
どない。そのため、ドット径の経時変動が減少を始める
2×106 パルスより早い時期に切り替えても濃度差が
目立つことが無い。さらに、図13に示した駆動条件に
切り替えることによって、それ以降のドット径の減少を
緩やかにすることができる。
【0037】しかしながら、ドット径の減少は緩やかに
なるものの、この駆動条件ではドット径の減少が0にな
ったわけではない。そのため、この駆動条件である程度
記録動作を行なった後に、今度はドット径を増加させる
駆動条件に切り替えればよい。切り替える条件として
は、上述の図11に示した駆動条件とすることができ
る。図11に示した駆動条件は、図13に示した駆動条
件のプレパルスP1を長くした条件である。切り替える
タイミングは、上述の2×106 パルスよりも遅くてよ
い。
【0038】図14は、本発明の実施の一形態における
発熱抵抗体あるいは保護膜の状態に応じた駆動パルスの
パルス幅制御の別の具体例を示すフローチャートであ
る。この例では上述のように標準の駆動条件から2回切
り替える例を示している。ここでは、図5、図13、図
11に示した駆動条件をこの順に切り替えてゆく。これ
らの駆動条件は、予め例えば装置内部に備えられたRO
M等の記憶素子に格納されているものとする。切り替え
るタイミングは、1個の発熱抵抗体2の駆動パルス数が
1×106 パルスに達した時点および3×106 パルス
に達した時点で順次駆動条件を切り替えるものとする。
すなわち、記録ヘッド1全体では160個の発熱抵抗体
2が設けられているものとすれば、累積画素数で160
×1×106 =1.6×108 画素に達した時点と、1
60×3×106 =4.8×108画素に達した時点で
駆動条件を切り替える。
【0039】図12に示した動作例と同様に、印字命令
を受けると、まず累積画素数を判定する。S31におい
て、累積画素数が1.6×108 に達したか否かを判定
し、達していない場合にはS32において図5に示す駆
動条件を選択する。累積画素数が1.6×108 に達し
ている場合には、さらにS33において、累積画素数が
4.8×108 に達したか否かを判定する。4.8×1
8 に達していない場合には、S34において図13に
示す駆動条件を選択する。累積画素数が4.8×108
に達している場合には、S35において図11に示す駆
動条件を選択する。
【0040】このようにして累積画素数に従って駆動条
件を選択した後、S36において、記録データの中のブ
ラックの画素数を計数し、S37において計数値を累積
画素数に加算し、記憶素子に記憶させる。その後、選択
した駆動条件を用い、記録データに従って発熱抵抗体2
を駆動し、記録を行なう。記録時には選択した駆動条件
を用い、記録ヘッド1の温度に応じた駆動条件により記
録データに従って発熱抵抗体2を駆動し、記録を行な
う。このような2段階の切替えを行なうことにより、切
替え時の濃度差を目立たせずに所望のドット径を維持す
ることができる。
【0041】ここでは、3つの表を用いた2回の切替え
を行なう場合を例としたが、さらに細かい駆動条件の設
定を行ない、多段階の切替えを行なうことは、当然可能
である。
【0042】上述のように、発熱抵抗体2あるいは保護
膜16の状態を検知する方法として使用したタンク5の
個数で行なう方法がある。一つのタンク5で記録できる
ドット数は、ほぼ一定である。これは、記録ヘッド1の
温度に応じて、飛翔する液滴の体積が一定となるような
駆動条件を用いているためである。したがって、使用し
たタンク5の個数の計数と、記録データの累積画素数の
計数は、同等の機能と考えてよい。ただし、タンク5の
使用個数の計数による切替えの場合は、記録に用いる液
切れと切替え時期が一致するように、タンク5の容量あ
るいは切替え時期を設定することが望ましい。
【0043】図15は、本発明の実施の一形態において
発熱抵抗体あるいは保護膜の状態をタンクの使用個数で
認識する場合の駆動パルスのパルス幅制御の一具体例を
示すフローチャートである。この例においてもブラック
インクを用いる場合について示しており、図14に示し
た例と同様に標準の駆動条件のほかに2つの駆動条件を
用い、切り替えて用いる場合を示している。ここでは1
個のタンク5によって8×107 回のブラックインクの
噴射が行なえるものとする。図14における切替えタイ
ミングである累積画素数が1.6×108 画素は2個分
のタンク5に相当し、4.8×108 画素は6個分に相
当する。
【0044】図15(A)において、印字命令を受ける
と、まず使用したタンク5の個数を判定する。S41に
おいて、使用したタンク5の個数が2個以内か否かを判
定し、2個以内の場合にはS42において図5に示す駆
動条件を選択する。使用したタンク5の個数が2個を超
えている場合には、さらにS43において、使用したタ
ンク5の個数が6個以内か否かを判定する。6個以内の
場合には、S44において図13に示す駆動条件を選択
する。使用したタンク5の個数が6個を超える場合に
は、S45において図11に示す駆動条件を選択する。
記録時には選択した駆動条件を用い、記録ヘッド1の温
度に応じた駆動条件により記録データに従って発熱抵抗
体2を駆動し、記録を行なう。
【0045】タンク5内のブラックインクがなくなり、
タンク5が交換されると、タンク5の交換時の各種の動
作を行なうとともに、S46においてブラックインクタ
ンク数を1だけ増加させ、装置内の記憶素子に記憶させ
る。以後、印字命令を受けたときに取り出されるブラッ
クインクタンク数は1だけ増加した値となる。
【0046】なお、タンク5の交換の検知は、例えば液
体の残量が少なくなったことを検知してタンク交換メッ
セージを表示した後に、タンク交換メンテナンスを実行
する信号を検知すればよく、検知するたびに計数してゆ
けばよい。この方法以外にも、例えば、あらかじめタン
ク5の取り付け部に電極、スイッチ等のタンク5が接続
状態であるか否かを判断できる機能を設けておき、液体
の残量が少なくなったことを検知してタンク交換メッセ
ージを表示後に、タンク5が取り外されたあるいは取り
付けられたことを検知し、計数してもよい。あるいは、
液体の残量が容易に判断できる構成であれば、タンク5
の接続状態を計数するのみでも可能である。いずれにせ
よ、空になったタンク5を何回交換したかを電気的な信
号で、記録装置の制御回路に供給できる構成があればよ
い。
【0047】図14に示した例では、図13と同様に2
段階の切替えを行なう例を示したが、これに限らず、図
12に示すように1段階の切替えを行なう制御や、3段
階以上の切替えを行なう制御を行なってもよい。
【0048】上述の各例では、記録ヘッド1に設けられ
ている発熱抵抗体2が均等に使用されているものとし
て、累積画素数や使用したタンク5の数を計数して、各
発熱抵抗体2あるいは保護膜16の状態を推定した。し
かし、場合によっては記録ヘッド1に設けられている発
熱抵抗体2の間に使用頻度差が生じる場合がある。一例
として、例えば160個の発熱抵抗体2を有するブラッ
クインク用の記録ヘッド1と、1色あたり40個の発熱
抵抗体を有する3色一体型のカラーインク用の記録ヘッ
ドを備えたカラーの液体噴射記録装置の場合を考える。
【0049】このような記録装置では、白黒画像を記録
する場合は、ブラックインク用の記録ヘッド1のみを使
用し、160個の発熱抵抗体2をすべて用いて記録を行
なう。しかし、他の色を含むカラー画像を記録する場合
は、ブラックインク用の記録ヘッド1に設けられた16
0個の発熱抵抗体2のうち、カラーインク用の記録ヘッ
ドにおける1色分の発熱抵抗体の数と同じ40個の特定
の位置の発熱抵抗体2しか使用しない。したがって、ブ
ラック以外の色を含むカラー画像を多く記録すると、ブ
ラックインク用の記録ヘッド1の中で、特定の位置の4
0個の発熱抵抗体2のみの使用頻度が増加することにな
り、他の発熱抵抗体2との間に使用頻度差が発生する。
【0050】このような使用頻度差が生じると、累積画
素数や使用したタンク数が少なくても特定の発熱抵抗体
2においてドット径の低下が始まってしまう。これを防
止するため、特定の発熱抵抗体2におけるドット径の低
下前に駆動条件を切り替えるようにすればよい。例え
ば、記録ヘッド1の使用の初期は、例えば図5に示した
ような標準の駆動条件を用いて記録を行なう。記録する
画像が白黒の場合、その総画素数を計数し、累積画素数
に加算して装置内部の記憶素子に保存する。また記録す
る画像がカラー画像の場合、記録データ中のブラックの
総画素数を計数し、その4倍の画素数を累積画素数に加
算して装置内部の記憶素子に保存する。これは、カラー
画像の記録の場合には160個の発熱抵抗体2のうちの
40個を使用しているためである。発熱抵抗体2の使用
割合によって異なる係数を乗算すればよい。このよう
に、発熱抵抗体2の使用割合に応じた係数を計数した画
素数に乗算することにより、記録モードによって発生す
る最も使用頻度の高いノズルに合わせた駆動条件の切替
えを行なうことができる。
【0051】このようにして計数した累積画素数が1.
6×108 画素を超えた時、例えば図13に示す駆動条
件に切り替える。更に、4.8×108 画素を超えた
時、図11に示す駆動条件に切り替えるようにすればよ
い。
【0052】あるいは、記録ヘッド1に設けられている
発熱抵抗体2をブロックに分け、ブロックごとの累積駆
動回数を計数してゆくことも可能である。例えば160
個の発熱抵抗体2を40個ずつ4つのブロックに分け
る。このうちの1つのブロックはカラー画像の記録時に
用いられる発熱抵抗体2からなるブロックであるとす
る。各ブロックごとに積算されてゆく累積画素数が、例
えば4×107 画素、1.2×108 画素に達したか否
かを判定してもよい。
【0053】さらに、このようにブロックごとに累積画
素数を計数する場合、各ブロックごとに使用する駆動条
件を判定し、各ブロックごとに最適な駆動条件によって
発熱抵抗体2を駆動するように構成してもよい。これに
よって、あまり使用されていない発熱抵抗体2におい
て、大きいエネルギーの駆動条件によって駆動され、ド
ット径が大きくなってしまう事態を回避することができ
る。このようなブロックごとの駆動条件の設定をさらに
細分化し、例えば各発熱抵抗体2ごとに液体を噴射した
回数を計数し、計数値に応じてそれぞれの発熱抵抗体2
に適した駆動条件を設定してもよい。
【0054】なお、上述の図5、図11、図13に示し
た駆動条件は一例であって、他の駆動条件を設定しても
よいことは言うまでもない。また、駆動条件を切り換え
る条件も任意であって、例えば実験的に設定すればよ
い。さらに、ブラックインクに限らず、他の色のインク
や、その他の噴射する液体においても、それらの液体に
応じた条件を設定すればよい。
【0055】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、発熱抵抗体やその保護膜の状態に応じて、発
熱抵抗体に与える駆動パルスのパルス幅を変更すること
により、発熱抵抗体の保護膜上に堆積する堆積物や、保
護膜の酸化や発熱抵抗体の劣化によってエネルギー効率
が低下した場合においても、飛翔する液滴の体積を最適
な量に維持し、長期間使用した場合であっても良好な画
質を得ることができるという効果がある。本発明では、
発熱抵抗体やその保護膜の状態に応じて駆動パルスのパ
ルス幅を変更する構成であるので、従来のように電源電
圧を変化させる等の大型の構成は必要なく、装置のハー
ド的な大型化も回避できる。
【0056】このような駆動パルスのパルス幅の変更に
よって、発熱抵抗体に与えるエネルギーを増加させて飛
翔する液滴の体積を増加させるだけでなく、発熱抵抗体
の保護膜上に付着する堆積物を低減することができる。
これにより、従来、不純物が多いために堆積物の付着が
激しい液体も使用することができるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の液体噴射記録装置の実施の一形態を
示す要部ブロック図である。
【図2】 サーマル液体噴射記録装置の駆動方法の一例
の説明図である。
【図3】 従来の分割パルス駆動におけるドット径の経
時変動を示すグラフである。
【図4】 本発明の液体噴射記録装置の実施の一形態に
おける記録ヘッド部分の一例を示す概略断面図である。
【図5】 駆動条件の一例の説明図である。
【図6】 分割パルス駆動におけるプレパルスP1のパ
ルス幅を変化させた場合のドット径の経時変動の一例を
示すグラフである。
【図7】 分割パルス駆動におけるプレパルスP1のパ
ルス幅を変化させた場合のドット径の経時変動の別の例
を示すグラフである。
【図8】 分割パルス駆動におけるメインパルスP3の
パルス幅を変化させた場合のドット径の経時変動の一例
を示すグラフである。
【図9】 分割パルス駆動におけるプレパルスP1およ
びメインパルスP3の両方のパルス幅を変化させた場合
のドット径の経時変動の一例を示すグラフである。
【図10】 分割パルス駆動におけるプレパルスP1お
よびメインパルスP3の両方のパルス幅を変化させた場
合のドット径の経時変動の一例を示すグラフである。
【図11】 駆動条件の別の例の説明図である。
【図12】 本発明の実施の一形態における発熱抵抗体
あるいは保護膜の状態に応じた駆動パルスのパルス幅制
御の一具体例を示すフローチャートである。
【図13】 駆動条件のさらに別の例の説明図である。
【図14】 本発明の実施の一形態における発熱抵抗体
あるいは保護膜の状態に応じた駆動パルスのパルス幅制
御の別の具体例を示すフローチャートである。
【図15】 本発明の実施の一形態において発熱抵抗体
あるいは保護膜の状態をタンクの使用個数で認識する場
合の駆動パルスのパルス幅制御の一具体例を示すフロー
チャートである。
【符号の説明】
1…記録ヘッド、2…発熱抵抗体、3…温度検出部、4
…制御部、5…タンク、11…流路基板、12…ドライ
バー側電極、13…樹脂層、14…共通電極、15…支
持基板、16…保護膜、17…吐出孔、18…流路、1
9…液室。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小林 雅樹 神奈川県海老名市本郷2274番地 富士ゼロ ックス株式会社内 (72)発明者 田村 晴美 神奈川県海老名市本郷2274番地 富士ゼロ ックス株式会社内

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 記録ヘッドに保護膜で覆われた発熱抵抗
    体が設けられ、該発熱抵抗体の加熱により液体を噴射さ
    せる液体噴射記録装置において、前記発熱抵抗体に与え
    る駆動パルスのパルス幅を制御して前記発熱抵抗体の駆
    動制御を行なう制御手段を有し、該制御手段は、前記発
    熱抵抗体あるいは前記保護膜の状態に応じて前記駆動パ
    ルスのパルス幅を制御することを特徴とする液体噴射記
    録装置。
  2. 【請求項2】 前記制御手段は、前記発熱抵抗体あるい
    は前記保護膜の状態を、記録すべき画像情報のドット数
    の計数によって間接的に認識することを特徴とする請求
    項1に記載の液体噴射記録装置。
  3. 【請求項3】 前記制御手段は、前記発熱抵抗体あるい
    は前記保護膜の状態を、液体を収容したタンクの使用個
    数の計数によって間接的に認識することを特徴とする請
    求項1に記載の液体噴射記録装置。
  4. 【請求項4】 前記制御手段は、前記発熱抵抗体を駆動
    する前記駆動パルスとして、液体を噴射させないで加熱
    するプレパルスと液体を噴射させるメインパルスによっ
    て構成される駆動信号を用いることを特徴とする請求項
    1に記載の液体噴射記録装置。
  5. 【請求項5】 前記制御手段は、前記発熱抵抗体あるい
    は前記保護膜の状態に応じて、前記発熱抵抗体に与える
    前記駆動パルスのうち前記メインパルスのパルス幅を変
    更することを特徴とする請求項4に記載の液体噴射記録
    装置。
  6. 【請求項6】 前記制御手段は、前記発熱抵抗体あるい
    は前記保護膜の状態に応じて、前記発熱抵抗体に与える
    前記駆動パルスのうち前記プレパルスのパルス幅を変更
    することを特徴とする請求項4に記載の液体噴射記録装
    置。
  7. 【請求項7】 前記制御手段は、前記発熱抵抗体あるい
    は前記保護膜の状態に応じて、前記発熱抵抗体に与える
    前記駆動パルスの前記プレパルスおよび前記メインパル
    スの両方のパルス幅を変更することを特徴とする請求項
    4に記載の液体噴射記録装置。
  8. 【請求項8】 さらに前記記録ヘッドの温度を検出する
    温度検出手段を有し、前記制御手段は、前記発熱抵抗体
    あるいは前記保護膜の状態に応じて設定される駆動パル
    スに対応して設定されている前記記録ヘッドの温度に応
    じた複数の駆動条件の中から前記温度検出手段によって
    検出された前記記録ヘッドの温度に応じた駆動条件を選
    択して該駆動条件に従って前記発熱抵抗体を駆動するこ
    とを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項
    に記載の液体噴射記録装置。
  9. 【請求項9】 記録ヘッドに保護膜で覆われた発熱抵抗
    体が設けられ、該発熱抵抗体の加熱により液体を噴射さ
    せる液体噴射記録装置における制御方法において、前記
    発熱抵抗体あるいは前記保護膜の状態に応じて前記発熱
    抵抗体に与える駆動パルスのパルス幅を設定し、設定さ
    れたパルス幅の駆動パルスを前記発熱抵抗体に与えて前
    記発熱抵抗体を駆動することを特徴とする液体噴射記録
    装置における制御方法。
  10. 【請求項10】 前記発熱抵抗体あるいは前記保護膜の
    状態は、記録すべき画像情報のドット数の計数によって
    間接的に認識することを特徴とする請求項9に記載の液
    体噴射記録装置における制御方法。
  11. 【請求項11】 前記発熱抵抗体あるいは前記保護膜の
    状態は、液体を収容したタンクの使用個数の計数によっ
    て間接的に認識することを特徴とする請求項9に記載の
    液体噴射記録装置における制御方法。
  12. 【請求項12】 前記発熱抵抗体に与える前記駆動パル
    スとして、液体を噴射させないで加熱するプレパルスと
    液体を噴射させるメインパルスによって構成される駆動
    信号を用いることを特徴とする請求項9に記載の液体噴
    射記録装置における制御方法。
  13. 【請求項13】 設定する前記駆動パルスのパルス幅
    は、前記発熱抵抗体あるいは前記保護膜の状態に応じて
    前記駆動パルスのうち前記メインパルスのパルス幅を変
    化させることを特徴とする請求項12に記載の液体噴射
    記録装置における制御方法。
  14. 【請求項14】 設定する前記駆動パルスのパルス幅
    は、前記発熱抵抗体あるいは前記保護膜の状態に応じて
    前記駆動パルスのうち前記プレパルスのパルス幅を変化
    させることを特徴とする請求項12に記載の液体噴射記
    録装置における制御方法。
  15. 【請求項15】 設定する前記駆動パルスのパルス幅
    は、前記発熱抵抗体あるいは前記保護膜の状態に応じて
    前記駆動パルスの前記プレパルスおよび前記メインパル
    スの両方のパルス幅を変化させることを特徴とする請求
    項12に記載の液体噴射記録装置における制御方法。
  16. 【請求項16】 前記記録ヘッドの温度を検出し、前記
    発熱抵抗体あるいは前記保護膜の状態に応じて設定され
    る駆動パルスに対応して設定されている前記記録ヘッド
    の温度に応じた複数の駆動条件の中から前記記録ヘッド
    の温度に応じた駆動条件を選択し、該駆動条件に従って
    前記発熱抵抗体を駆動することを特徴とする請求項9な
    いし請求項15のいずれか1項に記載の液体噴射記録装
    置における制御方法。
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