JP2001180015A - インクジェット記録装置、インクジェット記録方法、及びインクジェット記録ヘッド - Google Patents

インクジェット記録装置、インクジェット記録方法、及びインクジェット記録ヘッド

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JP2001180015A
JP2001180015A JP2000312571A JP2000312571A JP2001180015A JP 2001180015 A JP2001180015 A JP 2001180015A JP 2000312571 A JP2000312571 A JP 2000312571A JP 2000312571 A JP2000312571 A JP 2000312571A JP 2001180015 A JP2001180015 A JP 2001180015A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 複数の記録ヘッドを用いずに、高品位な多値
記録画像を形成することができる小型化に適したインク
ジェット記録装置を提供する。 【解決手段】 駆動パルスによって前記電気熱変換素子
を発熱させてインクに気泡を発生させ、その気泡の圧力
によってノズルからインクの液滴を記録媒体上に吐出さ
せて画像記録を行うようにしたインクジェット記録装置
において、記録データに応じて前記記録ヘッドの駆動電
圧と駆動パルス幅を同時に変更するようにする。例え
ば、小さな液滴を吐出させるときには前記ノズルの駆動
電圧を高くすると共に駆動パルス幅を短くする一方、大
きな液滴を形成するときには駆動電圧を低くすると共に
駆動パルス幅を長くする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はインクを吐出させる
ことによって記録媒体に記録を行なうインクジェット記
録装置、特にインクの吐出量を変化させることが可能な
インクジェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、パソコンやワープロ等のOA機器
の普及に伴い、その周辺装置である記録装置も急速に普
及している。この記録装置の記録方式としては、例えば
ワイヤードット方式、熱転写方式、インクジェット方式
等種々の記録方式がある。これらの記録方式はそれぞれ
固有の記録ヘッドを有し、その記録ヘッドによって、搬
送される記録シートに所定の記録を行うものとなってい
る。
【0003】また、これらの記録装置に対し、現在で
は、高速記録、高解像度、高画像品位、及び低騒音の要
求が高まっている。特に近年のMPUの高遠化、半導体
メモリーの高集積化に伴って、イメージ画像データの取
扱いが増した。このため、中間調(ハーフトーン)にて表
現される高品位画像記録への要求が一段と高まってい
る。
【0004】インクジエット記録装置における中間調の
表現方法は、記録媒体への単位面積あたりのドットの打
ち込み数で表現する方式(2値による疑似中間調表現)
や、インク吐出量の異なるヘッドあるいは濃度の異なる
インクを吐出させる複数のヘッドを配し、中間調に応じ
てヘッドを選択して駆動する方式等がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
中間調表現の手段にあっては次に挙げるような問題点が
存在する。すなわち、2値による疑似中間調表現の手段
にあっては複数のドットで1画素を表現するために解像
度が低下するという問題がある。また、吐出量の異なる
ヘッドあるいは濃度の異なるインクを吐出させる複数の
ヘッドを配して中間調表現を行う方式にあっては、コス
ト的な障害に加え、小型化、省スペース化が妨げられる
という問題がある。特に多値フルカラー記録装置などの
場合には、各色毎に複数のヘッドを配なければならず、
その実現は極めて困難なものとなっている。
【0006】一方、特開昭55‐132259号公報に
は、1本のノズル内に2個の電気熱変換素子(大小も含
む)を設けることで非常に単純な構成でドットサイズを
変化させ、高階調、高画質を実現するものが提案されて
いる。これは、多値記録を行う上で重要な技術となって
いる。しかし、複数の電気熱変換素子を1本のノズルに
設けるようにする場合には、ノズルを比較的大きなサイ
ズに設定しなければならず、解像度を高めにくいという
問題が生じる。
【0007】また、複数の電気熱変換素子を1本のノズ
ルに設け、その1本のノズルから複数種の吐出量を得る
ようにする場合には、大きな吐出量を吐出させる時の方
が、小さな吐出量を吐出させる時よりも吐出速度が高く
なる。このため、吐出速度にバラツキが生じそのバラツ
キによって、着弾位置にズレが発生し画像が乱れるとい
う不都合が生じる。
【0008】また、小さな吐出量を得るようにするとき
には、電気熱変換素子の駆動によって生じた気泡を外気
とは連通させず、大きな吐出量を得るときにのみ前記気
泡を外気と連通させるようにすることも提案されてい
る。そのために、小さな吐出量を得るときには一回の液
滴の吐出に対し1つの駆動パルスを与え、大きな吐出量
を得るときには、一回の液滴の吐出に対し、複数のパル
スを与える駆動方法が提案、実施されている。ところ
が、この場合にも大きな吐出量を得るときの方が、小さ
な吐出量を吐出させる時よりも吐出速度が高くなって吐
出速度にバラツキが生じ、着弾位置にズレが発生して画
像が乱れるという不都合が生じる。
【0009】また、上記の2方式とも、1画素毎に、大
ドット、小ドット、大ドット、大ドット、小ドット…、
のように吐出量を変化させるときに生じるメニスカス振
動によって、吐出口部でのメニスカスの位置のズレが発
生していた。このズレによってメニスカス位置が斜めに
傾いた場合には着弾精度が著しく低下する。また、吐出
量のバラツキは、本来、±10%以下に抑えるべきであ
るが、駆動条件によっては±20%程度になる場合もあ
った。また、1本のノズルに複数の電気熱変換素子を設
ける構成においては、吐出量が大きなノズルと吐出量が
小さなノズルとを比較した場合、大吐出量のノズルが小
吐出量のノズルの2倍の吐出量を有しているとすると、
リフィル周波数は1/2に低下していた。そのため、イ
ンクジェット記録装置としての記録速度は、大きな吐出
量を得るときのリフィル周波数によって規制され、十分
な記録速度を得ることができなかった。
【0010】本発明は前記の従来の課題を解決するため
になされたものである。すなわち、複数の電気熱変換素
子や濃度の異なる同色のインクを吐出させるための複数
の記録ヘッドを用いずに、各ノズルの吐出量を変化させ
て多値記録画像を形成することができ、高解像度化を容
易に図ることができ、大小のドットを形成するときの吐
出速度のバラツキやメニスカス振動を低減することがで
き、高品位な画像を得ることができるインクジェット記
録装置及びインクカートリッジの提供を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成すべく、
本発明は次のような構成を有するものとなっている。
【0012】すなわち、請求項1記載の発明は、インク
吐出用のノズル内に電気熱変換素子を設けてなる記録ヘ
ッドと、記録データに基づき前記電気熱変換素子の駆動
を制御する駆動パルスを発生させる駆動制御手段とを備
え、前記駆動パルスによって前記電気熱変換素子に熱エ
ネルギーを発生させ前記ノズルからインクの液滴を記録
媒体上に吐出させて画像記録を行うようにしたインクジ
ェット記録装置において、前記駆動制御手段は、記録デ
ータに応じて前記記録ヘッドの駆動電圧と駆動パルス幅
を同時に変更することを特徴とするものである。
【0013】請求項2記載の発明は、インク吐出用のノ
ズル内に電気熱変換素子を設けてなる記録ヘッドを有す
ると共に、記録データに基づき前記電気熱変換素子の駆
動を制御する駆動パルスを発生させる駆動制御手段を備
え、前記駆動制御手段からの駆動パルスによって前記電
気熱変換素子に熱エネルギーを発生させ前記ノズルより
インクの液滴を記録媒体上に吐出させて画像記録を行う
ようにしたインクジェット記録装置において、前記駆動
制御手段が、小さな液滴を吐出させるときには前記ノズ
ルの駆動電圧を高くすると共に駆動パルス幅を短くする
一方、大きな液滴を形成するときには駆動電圧を低くす
ると共に駆動パルス幅を相対的に長くすることを特徴と
するものである。
【0014】請求項3記載の発明は、請求項2記載の発
明において、前記駆動制御手段が、小さな液滴を吐出さ
せるときには前記電気熱変換素子の駆動電圧を高くする
と共に駆動パルス幅を短くしてインク内に発生する気泡
がノズル外の大気と連通しないようにする一方、大きな
液滴を形成するときには駆動電圧を低くすると共に駆動
パルス幅を長くし、インク内に発生する気泡がノズル外
の大気と連通するようにすることを特徴とするものであ
る。
【0015】請求項4記載の発明は、請求項1ないし3
いずれか記載の発明において、前記駆動制御手段が、前
記1回のインク吐出動作に対し複数個のパルスを駆動パ
ルスとして出力することを特徴とするものである。
【0016】請求項5記載の発明は、請求項1ないし4
いずれか記載の発明において、前記制御手段が、k値を
一定のまま、駆動電圧と駆動パルス幅を制御することを
特徴とするものである。
【0017】請求項6記載の発明は、請求項1ないし5
いずれか記載の発明において、前記記録ヘッドには、異
なる複数の駆動電圧を供給する電圧供給源にそれぞれ接
続された電圧供給経路を形成し、その電圧供給経路の遮
断、接続を制御することにより、電気熱変換素子の駆動
電圧及び駆動パルス幅を変化させるようにしたことを特
徴とするものである。
【0018】請求項7記載の発明は、請求項1ないし6
いずれか記載の発明において、前記記録ヘッドが、基板
上に配設された前記電気熱変換素子上に保護膜を有し、
その保護膜の厚さが6000Å以下であることを特徴と
するものである。
【0019】請求項8記載の発明は、請求項1ないし7
いずれか記載の発明において、前記駆動制御手段が、4
μs以下のパルス幅を有する駆動パルスを出力すること
を特徴とするものである。
【0020】請求項9記載の発明は、請求項1ないし8
いずれか記載の発明において、前記記録ヘッドが、吐出
口と電気熱変換素子が対向している構造をもつことを特
徴とするものである。
【0021】請求項10記載の発明は、インク吐出用の
ノズル内に電気熱変換素子を設けてなる記録ヘッドを有
すると共に、記録データに基づき前記電気熱変換素子の
駆動を制御する駆動パルスを発生させる駆動制御手段を
備え、前記駆動パルスによって前記電気熱変換素子に熱
エネルギーを発生させ前記ノズルからインクの液滴を記
録媒体上に吐出させて画像記録を行うようにしたインク
ジェット記録方法において、前記記録データに応じて前
記記録ヘッドの駆動電圧と駆動パルス幅を同時に変更す
ることを特徴とするものである。
【0022】請求項11記載の発明は、インク吐出用の
ノズル内に電気熱変換素子を設けてなる記録ヘッドを有
すると共に、記録データに基づき前記電気熱変換素子の
駆動を制御する駆動パルスを発生させる駆動パルス発生
手段を備え、前記駆動パルス発生手段からの駆動パルス
によって前記電気熱変換素子に熱エネルギーを発生させ
前記ノズルよりインクの液滴を記録媒体上に吐出させて
画像記録を行うようにしたインクジェット記録方法にお
いて、小さな液滴を吐出させるときには前記電気熱変換
素子の駆動電圧を高くすると共に駆動パルス幅を短くす
る一方、大きな液滴を形成するときには駆動電圧を低く
すると共に駆動パルス幅を相対的に長くすることを特徴
とするものである。
【0023】請求項12記載の発明は、請求項11記載
の発明において、前記記録ヘッドのノズルから小さな液
滴を吐出させるときには前記電気熱変換素子の駆動電圧
を高くすると共に駆動パルス幅を短くしてインク内に発
生する気泡がノズル外の大気と連通しないようにする一
方、大きな液滴を吐出させるときには駆動電圧を低くす
ると共に駆動パルス幅を相対的に長くし、インク内に発
生する気泡がノズル外の大気と連通するようにすること
を特徴とするものである。
【0024】請求項13記載の発明は、請求項10ない
し12いずれか記載の発明において、前記記録ヘッドに
設けられたノズルの1回のインク吐出動作に対し複数個
のパルスを駆動パルスとして出力するようにすることを
特徴とするものである。
【0025】請求項14記載の発明は、請求項10ない
し13いずれか記載の発明において、前記記録ヘッド
に、異なる複数の駆動電圧を供給する電圧供給源にそれ
ぞれ接続された電圧供給経路を形成し、その電圧供給線
路の遮断、接続を制御することにより、電気熱変換素子
に供給する駆動電圧及び駆動パルス幅を変化させるよう
にすることを特徴とするものである。
【0026】請求項15記載の発明は、請求項10ない
し14いずれか記載の発明において、前記記録ヘッド
は、基板上に配設された前記電気熱変換素子上に保護膜
を有し、その保護膜の厚さが6000Å以下であること
を特徴とするものである。
【0027】請求項16記載の発明は、請求項10ない
し15いずれか記載の発明において、前記駆動制御手段
が、4μs以下のパルス幅を有する駆動パルスを出力す
ることを特徴とするものである。
【0028】請求項17記載の発明は、請求項10ない
し16いずれか記載の発明において、前記駆動制御手段
が、k値を一定のまま、駆動電圧と駆動パルス幅を制御
することを特徴とするものである。
【0029】請求項18記載の発明は、請求項10ない
し17いずれか記載の発明において、前記記録ヘッド
が、吐出口と電気熱変換素子が対向している構造をもつ
ことを特徴とするものである。
【0030】請求項19記載の発明は、基板上に配設さ
れた前記電気熱変換素子上に保護膜を有するインクジェ
ット記録ヘッドであって、前記保護膜の厚さを6000
Å以下とすることを特徴とするものである。
【0031】請求項20記載の発明は、請求項19記載
の発明において、前記インクジェット記録ヘッドにおい
て、電圧供給源から出力される複数の供給電圧を記録ヘ
ッドへと供給する複数の配線が設けられることを特徴と
するものである。
【0032】上記のように、本発明においては駆動パル
ス幅および駆動電圧を変更することにより、所望の吐出
量を安定して得ることができる。すなわち、記録インク
の吐出量を変化させる気泡の大小は、記録ヘッドにおけ
る電気熱変換素子の駆動パルスのパルス幅と駆動電圧と
により決定され、両者を制御することによって同一ヘッ
ドにてインクの吐出制御を行うことができる。
【0033】例えば、駆動電圧を高くし駆動パルス幅を
短くした場合と駆動電圧を低くし駆動パルス幅を長くし
た場合とを比較すると、前者の方が電気熱変換素子から
インク等の液体に熱が伝わる時間が短いため、吐出量が
後者と比較して少なくなる。これは、前者の方が、発泡
に寄与する高い温度に加熱されたインク層(高温層)の
厚みが薄くなるためである。
【0034】従って、インクの吐出量を少なくする場合
には、電圧が高くパルス幅が短い駆動パルスを設定し、
吐出量を大きくする場合には、電圧が低くパルス幅の大
きな駆動パルスを設定する。本発明者が電気熱変換素子
上に形成される気泡の大きさを実際に測定したところ、
電圧が高く、パルス幅が短いという駆動パルスを設定し
た方が、生成される気泡の大きさが明らかに小さいこと
が確認された。なお、この測定では投入エネルギーを一
定とすることを条件としており、パルス幅の大小によっ
て電気熱変換素子への投入エネルギーが変化しないよう
に駆動電圧を設定した。このように、駆動電圧と駆動パ
ルス幅とを同時に変更することにより、インクジェット
記録ヘッドの気泡発生力(発泡力)を制御することがで
き、同一の電気熱変換素子を用いてインク吐出量を変化
させることができる。
【0035】また、上記のように駆動電圧と駆動パルス
幅とを共に変化させるようにして、発泡力を変化させ
る。小さいインク滴を吐出させる場合にはノズル外の大
気から遮断された状態でインクの吐出動作を行うように
する。大きいインク滴を吐出させる場合には、気泡をノ
ズル外の大気と連通させるようにする。これによれば、
より大きな範囲でインクの吐出量を変化させることがで
きる。
【0036】さらに、異なる複数の駆動電圧を供給する
電圧供給経路を前記記録ヘッドに形成し、その電圧供給
線路の遮断、接続を行うことにより、電気熱変換素子に
対して切換える。このようにして電気熱変換素子に供給
する駆動パルスの電圧及び幅を変化させるようにすれ
ば、電気熱変換素子に対する駆動パルスの迅速な切換え
が可能となり、一画素毎に吐出量を変化させることが可
能となる。
【0037】
【発明の実施の形態】(第1の実施形態)図1は本発明
の基本的な形態を示すインクジェットブリントヘッドの
第1の実施形態を模式的に示す斜視図である。図1はイ
ンクジェットプリントヘッド基板の斜視図である。
【0038】同図において、34は流路構成部材の一部
として機能し、インク吐出発生素子、後述するインク流
路、及びインク吐出口を形成する材料層の支持体として
機能する基板である。この本実施形態では、Si基板
(ウエハー)を用いた場合を例にとり説明するが、その
他、例えば図2に示されるような、ガラス、セラミック
ス、プラスチックあるいは金属等からなる基板34を用
いることも可能であり、このような基板の材質は本発明
の本質に関係するものではなく、特に限定されない。ま
た、前記電気熱変換素子31およびインク供給口33を
備える基板には、長溝状の貫通孔からなるインク供給口
33の長手方向における両側辺部に沿って熱エネルギー
発生手段である電気熱変換素子31がそれぞれ1列ずつ
千鳥状に300dpiのピッチを介して配列されてい
る。この基板4上にはインク流路を形成するためのイン
ク流路壁36aを備えた被覆樹脂層36が設けられてい
る。前記インク流路壁36aは、前記被覆樹脂層36の
中央部に形成した開口部端縁に前記各電気熱変換素子3
1の両側に位置するよう突設したものとなっている。
【0039】この被覆樹脂層36には、さらに前記電気
熱変換素子31に対応した吐出口32を備える吐出口プ
レート35が設けられている。ここで、図1においては
インク流路壁36と吐出口プレート35とは別部材によ
って構成しているが、このインク流路壁36aをスピン
コート等の手法によって基板34上に形成することによ
りインク流路壁36aと吐出口プレート35とを同一部
材として同時に形成することも可能である。
【0040】また、図1においては、電気熱変換素子を
駆動するための電気的な配線等は示していないが、この
実施形態においては、インクジェット記録装置からイン
クジェット記録ヘッドヘと駆動電圧を供給する駆動電圧
供給回路C1の供給電圧が、図2に示すように1種類と
なっている。すなわち、この実施形態における電圧供給
回路C1は、電源電圧供給端子Vopに接続される電気
熱変換素子31と基準電圧としてのグランドGNDに接
続されるスイッチング素子としてのFET51とを直列
に接続している。そして、前記FET51をONさせる
ことにより前記電源電圧供給端子Vopからの駆動電圧
を前記各電気熱変換素子31に供給し、FET51をO
FFさせることにより前記各電気熱変換素子31への駆
動電圧の供給を遮断するようになっている。なお、前記
スイッチング素子51のON,OFF制御は、CPUな
どを備える制御装置からの駆動信号によって制御される
ようになっている。
【0041】また、前記電源電圧供給端子Vopには、
図5(b)に示すように、記録装置の電源に接続されて
おり、電源においては、CPUからの制御信号により、
DC6.0VとDC15.0Vを切り換えている。ま
た、パルス幅は図5(a)に示すように、レジスタがコ
ンパレータのカウントするstart値とstop値を
設定し、その値によってパルス幅が変更される。さらに
は、Vopとパルス幅を変更する時には、まずVopを
変更し、Vopの電圧が安定したところでソフト処理に
よってレジスタが設定するstart値とstop値を
変更することによりパルス幅を変更することになる。
【0042】上記構成を有するこの第1の実施形態によ
れば、単一の電気熱変換素子を設けたノズルから異なる
吐出量のインクを吐出させることができる。例えば、図
6に示すように、5p1の吐出量を得る時の駆動パルス
は、駆動電圧を15V、パルス幅を0.5μsとし、1
0p1の吐出量を得る時の駆動パルスは、駆動電圧を6
V、駆動パルス幅を3μsとしている。k値は両方とも
1.25である。ここで、k値の説明とk値を知る方法
について説明する。インクジェット記録ヘッドにおいて
は、インクが吐出するかしないかのエネルギー閾値があ
る。すなわち、そのエネルギー閾値を超えなければ発泡
はしない。また、インクジェットエネルギーを与える要
素としては、電圧とパルス幅があるが、パルス幅を一定
にした条件において電圧を変化させた時にインクが吐出
されるか否かの電圧閾値をVthと呼ぶ。上記のような
閾値があるが、その閾値Vthでそのままインクジェッ
ト記録ヘッドの駆動を行った場合には、電気熱変換素子
の表面性などの理由から吐出が十分安定していないため
に、閾値よりは大きな駆動エネルギーを与えることにな
る。そして、Vthに対して一定の値をかけて駆動電圧
を設定するが、その一定の値をk値と呼ぶ。すなわち、
駆動電圧=k値×Vthである。具体的にk値を求める
場合には、インクジェット記録ヘッドに与えるパルス幅
を一定として、印加する駆動電圧を変化させながら記録
を行い、記録媒体にインク滴が着弾しているかどうかを
観察することにより閾値となる駆動電圧(Vth)を求
める。その上で、(インクジェット記録装置の駆動電
圧)/(Vth)を算出することにより、インクジェッ
ト記録ヘッドに加えられているk値を求めることができ
る。また、各駆動パルスのパルス波形を図4に示す。図
示のように、5p1を得るときには図4(a)に示す波形
であり、10p1を得るときには図4(b)に示す波形と
なる。各駆動電圧でのk値を一定にするために、インク
ジェット記録ヘッドのVthを前持って求めておき、イ
ンクジェット記録装置の記憶領域内にパルス幅と駆動電
圧の関係のデータを格納する。格納するデータとして
は、図13の示すようなデータであり、駆動電圧とパル
ス幅の関係が格納されている。実際にインクジェット記
録ヘッドを駆動する時には、図5(a),(b)のよう
な駆動装置を用いて、格納されたデータよりk値一定の
駆動条件を決め、その値に従ってCPUより電源に信号
を送ってVopを変更する。次にソフト処理によりレジ
スタが設定するパルス幅を決定するためのstart値
とstop値を変更し、パルス幅を変更して記録する。
上記のような手順を行うことにより、k値一定の駆動に
より記録を行うことができる。
【0043】このように、この実施形態においては、駆
動電圧と駆動パルス幅とを変更することにより、異なる
インク吐出量を得ることができ、階調表現が可能にな
る。しかも、各ノズルに設けられる電気熱変換素子の個
数は1個であるため、基板に対する各ノズルの実装密度
を高い値に設定することができ、記録ヘッドの小型化を
実現することができる。
【0044】なお、この第1の実施形態においては、5
p1と10p1の2種類のインク吐出量を得る場合を例に採
り説明したが、その他の吐出量、例えば、8p1,10p1,
15p1等の吐出量を得るようにすることも可能である。
また、1回の吐出に対し単一の連続した駆動パルスを出
力する場合に限らず、図4(c)に示すように複数のパ
ルスからなる駆動パルスによって1回の吐出を行うよう
にしても良い。
【0045】また、この実施形態においては、電気熱変
換素子31上に形成されている保護膜としての被覆樹脂
層36を6000Å以下の薄肉に形成している。これ
は、前記の層を薄く形成するほど電気熱変換素子から発
生する熱がインク液に伝達され易くなり、吐出量を変化
させることが容易になるためであり、さらに、被覆層3
6を薄く形成した場合には、駆動パルス幅に対するイン
ク吐出速度が安定し、良好な吐出特性を得ることもでき
る。図7にこの駆動パルス幅に対する吐出速度の関係を
示す。
【0046】図示のように、被覆樹脂層36が5300
Åである場合には、駆動パルス幅が変化しても略一定の
吐出速度を得ることができるが、被覆樹脂層36が10
000Åであった場合には、駆動パルス幅が増大するに
従って吐出速度が低下する。そして、こうした吐出速度
の変化が生じた場合には、前述のように駆動パルス電圧
と駆動パルス幅とを同時に変化させることによる制御が
やや困難なものとなるため、被覆樹脂層36を前述のよ
うに薄肉化したものとなっており、これによってインク
吐出量の制御を容易に実現し得るようになっている。
【0047】(第2の実施形態)次に本発明の第2の実
施形態を説明する。本発明においては、図3に示すよう
にインクジェット記録装置からインクジェット記録ヘッ
ドヘと2種類の駆動電圧を供給するために、2系統の電
圧供給経路を有する電圧供給回路C2を形成したものと
なっている。すなわち、この電圧供給回路C2の電源電
圧供給端子Vop1,2は、図12に示すように記録装
置の電源に接続されており、またこの電圧供給回路C2
は、図外の異なる直流電圧供給源から供給される異なる
2種類の直流電源電圧入力端子Vop1,Vop2にそ
れぞれ接続されたスイッチング素子としての2個のFE
T51,52と、一端が基準電圧であるグランドGND
に接続されると共に他端が前記両FETに対して直列に
接続された電気熱変換素子31とにより構成されてい
る。
【0048】そして、この電圧供給回路C2では、前記
FET51とFET52とが選択的にONするものとな
っている。一方のFET51がONした場合には、FE
T52はOFFとなり、図外の直流電圧供給源から端子
Vop1に供給される電圧が電気熱変換素子31に印加
される。また逆にFET51がOFFした場合には、F
ET52はONとなり、端子Vop2に供給される電圧
が電気熱変換素子31に印加される。
【0049】このように、この第2の実施形態において
は、インクジェット記録ヘッドの基板内に、2系統の配
線が形成されたものとなっており、各系統に供給される
電圧をFET51,52のスイッチング動作によって選
択的に変更し得る。そして、FET51,52のON時
間を変化させることによって駆動パルス幅を変化させる
ことができ、これによってインク吐出量を変化させるこ
とができる。
【0050】この実施形態では、一方の端子Vop1に
15Vの電圧が、他方の端子Vop2に6Vの電圧がそ
れぞれ供給されている。5p1のインク吐出量を得る場合
にはFET51をONさせ、15Vの電圧、0.5μs
のパルス幅を有する駆動パルスを電気熱変換素子に供給
する。また、10p1のインク吐出量を得る時には、FE
T52をONにし、6Vの電圧、3.0μsのパルス幅
を有する駆動パルスを電気熱変換素子に供給する。
【0051】このように、この第2の実施形態において
も、駆動電圧と駆動パルス幅を変更することにより、単
一の電気熱変換素子を有するノズルによって、インクの
吐出量を変化させることができ、階調表現が可能にな
る。また、この第2の実施形態におけるインクジェット
記録装置及びインクジェット駆動方法によれば、駆動電
圧を変更する場合に、インクジェット記録ヘッドに対し
てFET51またはFET52のON,OFFを制御す
るだけで、駆動電圧と駆動パルス幅の変更を同時に行う
ことができるため、吐出量の切換えを迅速に行うことが
可能となり、1画素毎に吐出量を変化させることがで
き、高精細な多値階調表現を実現することができる。
【0052】(第3の実施形態)次に、本発明の第3の
実施形態を説明する。この第3の実施形態においては、
インクジェット記録装置および記録ヘッドの構成は上記
第1の実施形態または第2の実施形態と同様であるが、
その駆動方法が異なる。すなわち、5p1の吐出量を得よ
うとする時には、15Vの電圧、0.5μsのパルス幅
を有する駆動パルスを供給するようにし、12p1の吐出
量を得ようとする時には、6Vの電圧、0.5μsの複
数のパルスを供給する。具体的には、図4(c)に示す
ようにP1=O.5μs,P2=1.0μs,P3=2.
5μsに設定している。
【0053】このようにして、複数のパルスを与えるよ
うにすれば、発泡力を上昇させてより大きな吐出量を得
ることが可能となり、さらに多種類の階調表現が可能に
なる。
【0054】(第4の実施形態)次に、本発明の第4の
実施形態を図に基づき説明する。この第4の実施形態に
おいても、インクジェット記録装置および記録ヘッドの
構成は上記第1の実施形態または第2の実施形態と同様
であるが、その駆動方法(インクジェット記録方法)が
次のように異なるものとなっている。すなわち、前述の
第1〜第3の実施形態においては、ノズル内に発生させ
る気泡をノズル外の大気に連通させないような状態にお
いてインクの吐出を行う駆動形態のみを採るものとし
た。これに対し、この第4の実施形態では、ノズル内に
発生する気泡を大気と連通させるよう駆動することでイ
ンクを吐出させるような駆動形態をとることも可能とし
ている。そして、この気泡を大気と連通させる駆動形態
と、大気と連通させない駆動形態とを適宜切換えること
により、吐出量を変化させ得るようになっている。つま
り、ノズル内に発生する気泡が大気と連通する場合に
は、ノズルの発砲室におけるインクの大部分が吐出され
る。一方、気泡が大気と連通しない場合には、発砲室の
中の一部分のインクしか吐出されないために、吐出量が
少なくなる。
【0055】従って、少ない吐出量5p1を得る時には、
図4に示すように、駆動電圧を15V、パルス幅を0.
5μsとし、小さい発砲力を与えて気泡を形成し、大気
に連通させないようにしている。また、大きな吐出量1
2p1を得る時には、駆動電圧を6V、駆動パノレス幅を
3μsとして大きな発泡力を与え、大気に連通させるよ
うにする。この場合、k値(駆動電圧/インクが発泡する
最低電圧)は両方とも1.25である。このように、発
泡が大気と連通する場合と連通しない場合とを切り替え
ることにより、吐出量を変化させることを一つの電気熱
変換素子のみで確実に行うことができる。
【0056】さらに、同じk値で駆動電圧と駆動パルス
幅を変更することにより耐久性能を損なうことなく吐出
両を変化させることができる。また、図11に示すよう
な吐出部が吐出口と電気熱変換阻止が対抗している構造
は、電気熱変換阻止が発生させる発泡力の変化が、直接
吐出量に関係するために好ましい。
【0057】また、上記実施形態においても、変化させ
得る吐出量は2種類に限らず、2種類以上とすることも
可能である。例えば、5p1,8p1,10p1,15p1等のよ
うにさらに多種類の吐出量に変化させ得るようにするこ
とも可能である。また、この実施形態においても供給す
べき駆動パルスは、一つの吐出に対して1つのパルスを
吐出する場合に限らず、複数のパルスからなるものとし
ても良い。
【0058】(第5の実施形態)以下、本発明の第5の
実施形態を図に基づいて説明する。この第5の実施形態
では、上記第4の実施形態と同様に、気泡が大気と連通
する場合と連通しない場合とを切り替えて吐出量を変化
させることができると共に、ヘッドの構成として電気熱
変換素子上に形成されている被覆樹脂層を6000Å以
下の薄肉に形成したものとなっている。すなわち、図4
に示すように、4p1の少ない吐出量を得る時には、駆動
電圧を15v、パルス幅を0.5μsとし、気泡を小さ
くして大気と連通しないようにしている。10p1の大き
な吐出量を得る時には、駆動電圧を6vとし駆動パルス
幅を3μsとして気泡を大気と連通させるようになって
いる。また、被覆樹脂層としては、電気熱変換素子材料
の上にSinを3000Å,Taを2300Åに形成す
ることにより、全体として5300Åの厚さの層を形成
している。
【0059】また、この実施形態においては、電気熱変
換素子31上に形成されている被覆樹脂層36を600
0Å以下の薄肉に形成している。これは、先にも述べた
ように層を薄く形成するほど電気熱変換素子から発生す
る熱がインク液に伝達され易くなり、吐出量を変化させ
ることが容易になると共に、駆動パルス幅に対するイン
ク吐出速度が安定し、良好な吐出特性を得ることができ
ることによる。図7にこの駆動パルス幅に対する吐出速
度の関係を示す。
【0060】図示のように、被覆樹脂層36が5300
Åである場合には、駆動パルス幅が変化しても略一定の
吐出速度を得ることができる。しかし、被覆樹脂層36
が10000Åであった場合には、駆動パルス幅が増大
するに従って吐出速度が低下する。この吐出速度の変化
は、インク滴の着弾位置にずれを発生させ、画像に乱れ
を生じさせるため、これを除去するために駆動パルスを
制御する必要があり、制御動作がやや複雑なものとな
る。そこで、この第5の実施形態においては、前記被覆
樹脂層36を前述のように薄く形成することにより、駆
動パルス幅の変化に対してインク吐出速度を安定化し、
駆動パルスの制御を容易に行い得るようにするものとな
っている。
【0061】図10にこの実施形態における駆動パルス
幅と吐出速度のゆらぎとの関係を示す。図10に示すよ
うに、保護膜厚を薄くすることにより、1ドット単位の
吐出速度のゆらぎを減少させることができる。しかし、
本実施例では使用しなかったが、パルス幅が4μsにな
ると、保護膜厚に関係なく吐出速度のゆらぎが大きくな
り、結局、着弾位置にはのズレが発生してしまう。よっ
て、駆動パルス幅としては、4μs未満、さらにいえば
3.5μs以下に設定することが望ましい。また、吐出
速度バラツキが少ないように吐出量を変化させた時のメ
ニスカス振動による吐出量の変動幅も±10%におさえ
ることができた。
【0062】さらに、この第5の実施形態にあっては、
各ノズルにおけるリフィール周波数を駆動パルス幅の変
化、つまりインク吐出量の変化に対して安定化させるこ
とができる。図8及び図9に駆動パルス幅とリフィル周
波数との関係を示す。図示のように、1つのノズルに複
数のヒータを設ける構成のインクジェット記録ヘッド
(図9の従来例1)や、大気に対して気泡が連通する場合
と連通しない場合とを同一駆動電圧でパルスの形状によ
ってのみ切り替える駆動方式(図9の従来例2)では、そ
れぞれ駆動パルスによって吐出量を変化させた分だけリ
フィル周波数が低下している。しかし、本実施例の構成
においては、上記2つの従来例と比較してかなり向上し
ており、記録速度の低下を抑制している。
【0063】すなわち、図9の従来例1では駆動ヒータ
を切換えることによって吐出量を4plから10plへと変
化させた場合、リフィル周波数が22.5kHzから1
0kHzへと大きく低下するため(10plのリフィル周
波数:4plのリフィル周波数=2.25)、これによっ
て記録速度が大きく影響されるという問題が生じる。ま
た、従来例2にあっても、駆動パルス幅のみを変化させ
ることによってインク吐出量を4plから10plへと変化
させた場合、吐出量は21plから11plへと大きく変化
するため(10plのリフィル周波数:4plのリフィル周
波数=1.91)、これが記録速度に大きく影響する。
【0064】これに対し、この第5の実施形態にあって
は、インク吐出量を4plから10plへと変化させた場合
にも、吐出量は16.9plから13.1plへと大きく変
化するため(10(pl)のリフィル周波数:4(pl)=1.
29)、記録速度には殆ど影響せず、安定した記録速度
を得ることができる。
【0065】なお、上記各実施形態においては、各ノズ
ル内に1個の電気熱変換素子を設けた場合を例に採り説
明したが、複数の電気熱変換素子を同一ノズル内に設け
る場合にも本発明は適用可能であり、この場合には、さ
らに多様なインク吐出量の制御が可能となる。
【0066】(その他)なお、本発明は、特にインクジ
ェット記録方式の中でも、インク吐出を行わせるために
利用されるエネルギとして熱エネルギを発生する手段
(例えば電気熱変換体やレーザ光等)を備え、前記熱エ
ネルギによりインクの状態変化を生起させる方式の記録
ヘッド、記録装置において優れた効果をもたらすもので
ある。かかる方式によれば記録の高密度化,高精細化が
達成できるからである。
【0067】その代表的な構成や原理については、例え
ば、米国特許第4723129号明細書,同第4740
796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて
行うものが好ましい。この方式は、液体(インク)が保
持されている液路に対応して配置されている電気熱変換
体に、記録情報に対応していて核沸騰を越える急速な温
度上昇を与える少なくとも1つの駆動信号を印加するこ
とによって、電気熱変換体に熱エネルギを発生せしめ、
熱作用面上に膜沸騰を生じさせる。そして、この気泡の
成長により吐出口を介して液体(インク)を吐出させ
て、少なくとも1つの滴を形成する。パルス形状の駆動
信号としては、米国特許第4463359号明細書,同
第4345262号明細書に記載されているようなもの
が適している。なお、上記熱作用面の温度上昇率に関す
る発明の米国特許第4313124号明細書に記載され
ている条件を採用すると、さらに優れた記録を行うこと
ができる。
【0068】記録ヘッドの構成としては、上述の各明細
書に開示されているような吐出口,液路,電気熱変換体
の組合せ構成(直線状液流路または直角液流路)の他に
熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示す
る米国特許第4558333号明細書,米国特許第44
59600号明細書を用いた構成も本発明に含まれるも
のである。
【0069】さらに、記録装置が記録できる記録媒体の
最大幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録
ヘッドに対しても本発明は有効に適用できる。そのよう
な記録ヘッドとしては、複数記録ヘッドの組合せによっ
てその長さを満たす構成や、一体的に形成された1個の
記録ヘッドとしての構成のいずれでもよい。
【0070】加えて、上例のようなシリアルタイプのも
のでも、装置本体に固定された記録ヘッド、あるいは装
置本体に装着されることで装置本体との電気的な接続や
装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチ
ップタイプの記録ヘッド、あるいは記録ヘッド自体に一
体的にインクタンクが設けられたカートリッジタイプの
記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効である。
【0071】また、本発明の記録装置の構成として、記
録ヘッドの吐出回復手段、予備的な補助手段等を付加す
ることは本発明の効果を一層安定できるので、好ましい
ものである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに
対してのキャッピング手段、クリーニング手段、加圧或
は吸引手段、電気熱変換体或はこれとは別の加熱素子或
はこれらの組み合わせを用いて加熱を行う予備加熱手
段、記録とは別の吐出を行なう予備吐出手段を挙げるこ
とができる。
【0072】また、搭載される記録ヘッドの種類ないし
個数についても、例えば単色のインクに対応して1個の
みが設けられたものの他、記録色や濃度を異にする複数
のインクに対応して複数個数設けられるものであっても
よい。すなわち、例えば記録装置の記録モードとしては
黒色等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘ
ッドを一体的に構成するか複数個の組み合わせによるか
いずれでもよいが、異なる色の複色カラー、または混色
によるフルカラーの各記録モードの少なくとも一つを備
えた装置にも本発明は極めて有効である。
【0073】さらに加えて、以上説明した本発明実施例
においては、インクを液体として説明しているが、室温
やそれ以下で固化するインクであって、室温で軟化もし
くは液化するものを用いてもよく、あるいはインクジェ
ット方式ではインク自体を30℃以上70℃以下の範囲
内で温度調整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあ
るように温度制御するものが一般的であるから、使用記
録信号付与時にインクが液状をなすものを用いてもよ
い。加えて、熱エネルギによる昇温を、インクの固形状
態から液体状態への状態変化のエネルギとして使用せし
めることで積極的に防止するため、またはインクの蒸発
を防止するため、放置状態で固化し加熱によって液化す
るインクを用いてもよい。いずれにしても熱エネルギの
記録信号に応じた付与によってインクが液化し、液状イ
ンクが吐出されるものや、記録媒体に到達する時点では
すでに固化し始めるもの等のような、熱エネルギの付与
によって初めて液化する性質のインクを使用する場合も
本発明は適用可能である。このような場合のインクは、
特開昭54−56847号公報あるいは特開昭60−7
1260号公報に記載されるような、多孔質シート凹部
または貫通孔に液状又は固形物として保持された状態
で、電気熱変換体に対して対向するような形態としても
よい。本発明においては、上述した各インクに対して最
も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行するもので
ある。
【0074】さらに加えて、本発明インクジェット記録
装置の形態としては、コンピュータ等の情報処理機器の
画像出力端末として用いられるものの他、リーダ等と組
合せた複写装置、さらには送受信機能を有するファクシ
ミリ装置の形態を採るもの等であってもよい。
【0075】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明によれば、駆
動パルス幅を変えるだけでなく、駆動電圧をも同時に変
更するようにしたため、ノズル内に単一の電気熱変換素
子を設けた場合であっても発泡力を制御することがで
き、吐出量を変化させて多階調の画像形成を行うことが
できる。
【0076】このため、記録ヘッド内にノズルを高い実
装密度で設けることができ、記録ヘッドの小型化を図る
ことが可能となると共に、電気熱変換素子の個数増大を
抑えることができ、コスト低減を図ることが可能とな
る。
【0077】さらに、発泡力が低い駆動条件の場合に気
泡を大気と連通させてインクの吐出を行う場合と、発泡
を大気と連通させずにインクを吐出させる場合とに適宜
切り替えるようにしたため、吐出量を変化させ得る範囲
を広げることが可能となる。
【0078】また、異なる複数の駆動電圧を供給する電
圧供給源に接続された電圧供給経路を記録ヘッドに形成
し、その電圧供給線路の遮断、接続を行うことにより電
気熱変換素子に対して電気熱変換素子に供給する駆動パ
ルスの電圧及び幅を変化させるようにしたため、電気熱
変換素子に対する駆動パルスの迅速な切換えが可能とな
り、これによれば一画素毎に吐出量を変化させることが
可能となり、高精細な画像を形成することができる。
【0079】さらに、保護膜厚を6000Å以下にする
ことによって、吐出量に関係なく、吐出速度を一定にす
ることができると共に、変化した吐出量が増加してもリ
フィル周波数の低下を抑制することができ、記録時間を
短縮することが可能となる。
【0080】さらに、駆動パルス幅を4μs未満とする
ことにより、吐出速度のゆらぎを1ドット単位で低減す
ることができ、インク滴の着弾ずれなどによる画像の乱
れを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の記録ヘッドの構成を示す一部切欠斜視
図である。
【図2】本発明の記録ヘッドにおけるヒータへの電圧供
給回路の一例を示す説明回路図である。
【図3】本発明の記録ヘッドにおけるヒータへの電圧供
給回路の他の例を示す説明回路図である。
【図4】記録ヘッドのヒータに供給する駆動パルスを示
す図であり、(a)は少ないインク吐出量を得る場合に
用いる駆動パルスを、(b)は多くのインク吐出量を得
る場合に用いる駆動パルスを、(c)は1回のインクの
吐出に用いる複数の駆動パルスをそれぞれ示している。
【図5】(a)は駆動パルスのパルス幅を変更する回路
を示す図であり、(b)は図2に示した電圧供給回路の
出力端子Vopに接続される駆動装置を概念的に示す回
路図である。
【図6】駆動パルスのパルス幅と吐出量との関係を示す
線図である。
【図7】駆動パルスの駆動パルス幅と吐出速度との関係
を示す線図である。
【図8】駆動パルスの駆動パルス幅とリフィル周波数と
の関係を示す図である。
【図9】インク吐出量の変化に対するリフィル周波数の
変化を示す図である。
【図10】駆動パルス幅と吐出速度のゆらぎとの関係を
厚さの異なる2種類の被覆樹脂層において示す線図であ
る。
【図11】吐出口と電気熱変換素子とが対向した構造を
なす吐出部を示す縦断側面図である。
【図12】図3に示した電源供給回路の電源電圧供給端
子Vop1,Vop2に接続された駆動装置を示す図で
ある。
【図13】駆動電圧と駆動パルス幅の関係を示す図であ
る。
【符号の説明】
30 記録ヘッド 31 ヒータ(電気熱変換素子) 34 基板 36 被覆樹脂層(保護膜) 51 FET 52 FET C1 駆動電圧供給回路 C2 駆動電圧供給回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2C057 AF06 AF30 AF39 AG15 AG16 AM03 AM15 AM21 AM22 AQ01 AQ02 AR04 AR08 BA03 BA13 CA01

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インク吐出用のノズル内に電気熱変換素
    子が配された記録ヘッドと、前記電気熱変換素子の駆動
    を制御する駆動パルスを発生させる駆動制御手段とを備
    え、前記駆動パルスを与えることで前記電気熱変換素子
    に熱エネルギーを発生させ前記ノズルからインクの液滴
    を記録媒体上に吐出させて画像記録を行うようにしたイ
    ンクジェット記録装置において、 前記駆動制御手段は、記録データに応じて前記記録ヘッ
    ドの駆動電圧と駆動パルス幅を同時に変更する手段であ
    ることを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 【請求項2】 インク吐出用のノズル内に電気熱変換素
    子が配された記録ヘッドを有すると共に、記録データに
    基づき前記電気熱変換素子の駆動を制御する駆動パルス
    を発生させる駆動制御手段を備え、前記駆動制御手段か
    らの駆動パルスによって前記電気熱変換素子に熱エネル
    ギーを発生させ前記ノズルよりインクの液滴を記録媒体
    上に吐出させて画像記録を行うようにしたインクジェッ
    ト記録装置において、 前記駆動制御手段は、小さな液滴を吐出させるときには
    前記ノズルの駆動電圧を高くすると共に駆動パルス幅を
    短くし、大きな液滴を形成するときには駆動電圧を低く
    すると共に駆動パルス幅を相対的に長くする手段である
    ことを特徴とするインクジェット記録装置。
  3. 【請求項3】 前記駆動制御手段は、小さな液滴を吐出
    させるときには前記電気熱変換素子の駆動電圧を高くす
    ると共に駆動パルス幅を短くしてインク内に発生する気
    泡がノズル外の大気と連通しないようにする一方、大き
    な液滴を形成するときには駆動電圧を低くすると共に駆
    動パルス幅を長くし、インク内に発生する気泡がノズル
    外の大気と連通するようにすることを特徴とする請求項
    2記載のインクジェット記録装置。
  4. 【請求項4】 前記駆動制御手段は、前記1回のインク
    吐出動作に対し複数個のパルスを駆動パルスとして出力
    することを特徴とする請求項1ないし3いずれか記載の
    インクジェット記録装置。
  5. 【請求項5】 前記駆動制御手段は、k値を一定のま
    ま、駆動電圧と駆動パルス幅を制御することを特徴とす
    る請求項1ないし4いずれか記載のインクジェット記録
    装置。
  6. 【請求項6】 前記記録ヘッドには、異なる複数の駆動
    電圧を供給する電圧供給源にそれぞれ接続された電圧供
    給経路を形成し、その電圧供給経路の遮断、接続を制御
    することにより、電気熱変換素子の駆動電圧及び駆動パ
    ルス幅を変化させるようにしたことを特徴とする請求項
    1ないし5いずれか記載のインクジェット記録装置。
  7. 【請求項7】 前記記録ヘッドは、基板上に配設された
    前記電気熱変換素子上に保護膜を有し、その保護膜の厚
    さが6000Å以下であることを特徴とする請求項1な
    いし6いずれか記載のインクジェット記録装置。
  8. 【請求項8】 前記駆動制御手段は、4μs以下のパル
    ス幅を有する駆動パルスを出力することを特徴とする請
    求項1ないし7いずれか記載のインクジェット記録装
    置。
  9. 【請求項9】 前記記録ヘッドは、吐出口と電気熱変換
    素子が対向している構造をもつことを特徴とする請求項
    1ないし8いずれか記載のインクジェット記録装置。
  10. 【請求項10】 インク吐出用のノズル内に電気熱変換
    素子を配した記録ヘッドを用い、前記電気熱変換素子の
    駆動を制御する駆動パルスを発生させる駆動制御手段を
    備え、前記駆動パルスを与えることで前記電気熱変換素
    子に熱エネルギーを発生させて前記ノズルからインクの
    液滴を記録媒体上に吐出させて画像記録を行うインクジ
    ェット記録方法において、 前記記録データに応じて前記記録ヘッドの駆動電圧と駆
    動パルス幅を同時に変更することを特徴とするインクジ
    ェット記録方法。
  11. 【請求項11】 インク吐出用のノズル内に電気熱変換
    素子を配した記録ヘッドを用い、前記電気熱変換素子の
    駆動を制御する駆動パルスを発生させ、前記駆動パルス
    発生手段からの駆動パルスを与えることで前記電気熱変
    換素子に熱エネルギーを発生させ前記ノズルよりインク
    の液滴を記録媒体上に吐出させて画像記録を行うように
    したインクジェット記録方法において、小さな液滴を吐
    出させるときには前記電気熱変換素子の駆動電圧を高く
    すると共に駆動パルス幅を短くする一方、大きな液滴を
    形成するときには駆動電圧を低くすると共に駆動パルス
    幅を相対的に長くすることを特徴とするインクジェット
    記録方法。
  12. 【請求項12】 前記記録ヘッドのノズルから小さな液
    滴を吐出させるときには前記電気熱変換素子の駆動電圧
    を高くすると共に駆動パルス幅を短くしてインク内に発
    生する気泡がノズル外の大気と連通しないようにする一
    方、大きな液滴を吐出させるときには駆動電圧を低くす
    ると共に駆動パルス幅を相対的に長くし、インク内に発
    生する気泡がノズル外の大気と連通するようにすること
    を特徴とする請求項11記載のインクジェット記録方
    法。
  13. 【請求項13】 前記記録ヘッドに設けられたノズルの
    1回のインク吐出動作に対し複数個のパルスを駆動パル
    スとして出力するようにすることを特徴とする請求項1
    0ないし12いずれか記載のインクジェット記録方法。
  14. 【請求項14】 前記記録ヘッドに、異なる複数の駆動
    電圧を供給する電圧供給源にそれぞれ接続された電圧供
    給経路を形成し、その電圧供給線路の遮断、接続を制御
    することにより、電気熱変換素子に供給する駆動電圧及
    び駆動パルス幅を変化させるようにすることを特徴とす
    る請求項10ないし13いずれか記載のインクジェット
    記録方法。
  15. 【請求項15】 前記記録ヘッドは、基板上に配設され
    た前記電気熱変換素子上に保護膜を有し、その保護膜の
    厚さが6000Å以下であることを特徴とする請求項1
    0ないし14いずれか記載のインクジェット記録方法。
  16. 【請求項16】 前記駆動制御手段は、4μs以下のパ
    ルス幅を有する駆動パルスを出力することを特徴とする
    請求項10ないし15いずれか記載のインクジェット記
    録方法。
  17. 【請求項17】 前記駆動制御手段は、k値を一定のま
    ま、駆動電圧と駆動パルス幅を制御することを特徴とす
    る請求項10ないし16いずれか記載のインクジェット
    記録方法。
  18. 【請求項18】 前記記録ヘッドは、吐出口と電気熱変
    換素子が対向している構造をもつことを特徴とする請求
    項10ないし17いずれか記載のインクジェット記録方
    法。
  19. 【請求項19】 基板上に配設された前記電気熱変換素
    子上に保護膜を有するインクジェット記録ヘッドであっ
    て、前記保護膜の厚さを6000Å以下とすることを特
    徴とするインクジェット記録ヘッド。
  20. 【請求項20】 前記インクジェット記録ヘッドにおい
    て、電圧供給源から出力される複数の供給電圧を記録ヘ
    ッドへと供給する複数の配線が設けられることを特徴と
    する請求項19記載のインクジェット記録ヘッド。
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