JPH1198998A - 有用蛋白質の製造方法 - Google Patents

有用蛋白質の製造方法

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JPH1198998A
JPH1198998A JP10218355A JP21835598A JPH1198998A JP H1198998 A JPH1198998 A JP H1198998A JP 10218355 A JP10218355 A JP 10218355A JP 21835598 A JP21835598 A JP 21835598A JP H1198998 A JPH1198998 A JP H1198998A
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silkworm
producing
ultrafiltration
recombinant baculovirus
recombinant
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JP10218355A
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English (en)
Inventor
Masanari Yamada
勝成 山田
Tsukasa Ito
宰 伊藤
Fumiyoshi Okano
文義 岡野
Isao Okada
勇雄 岡田
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 組換えバキュロウイルスによる有用蛋白質の
製造方法を提供する。 【解決手段】 4級アンモニウム塩で処理によって限外
濾過を容易にし、組換えバキュロウイルスの除去と目的
蛋白質の精製を容易にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、組換えバキュロウ
イルスを用いた遺伝子操作技術によって有用蛋白質を生
産する手法において、組換えバキュロウイルスの不活性
化とその後行程にあたる目的有用蛋白質の精製を容易に
するために夾雑蛋白質を効率よく除去することによっ
て、有用蛋白質の量産化を可能とし、以って高純度かつ
安価な医薬品(抗腫瘍・抗ウイルス)を製造する事を目
的とする有用蛋白質の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】遺伝子組換え技術を用いた有用蛋白質の
生産方法には多くの技術が報告されているが、近年、遺
伝子組換えしたカイコ核多角体病ウイルスを用いた有用
蛋白質の生産方法についても、ブタ成長ホルモン(特開
平3-224491)、成人T細胞白血病ウイルス外皮蛋白質
(特開平2-57191)、インフルエンザウイルスHA蛋白
質(特開平3-108480)、ネコインターフェロン(特開平
3-139276)等が開示されている。しかし、カイコ核多角
体病ウイルスを用いた有用蛋白質の生産方法によって特
に医薬品などを製造する場合には、安全性の観点から使
用した組換えカイコ核多角体病ウイルスの不活性化が不
可欠であり、さらには、除去することが好ましい。
【0003】カイコ核多角体病ウイルスの不活性化に関
しては、Watanabe らが詳細に報告している(文献
1)。しかし、開示されている加熱、紫外線、乾燥な
ど、物理的な不活性化条件、および、フェノール、ホル
マリンなどの殺菌剤、アルコールなどによる化学的な不
活性化条件では蛋白質の変性が生じることから、有用蛋
白の製造に利用することは困難である。また、この報告
は、野生型カイコ核多角体病ウイルスの不活性化に関す
るものであり、組換えカイコ核多角体病ウイルスの不活
性化については開示されていない。
【0004】特開平4-207198には、カイコ体液
をpH0.5〜pH3.0にすることを特徴とする組換え
カイコ核多角体病ウイルスの不活性化方法が開示されて
いるが、この方法では酸性に対して安定な有用蛋白質を
製造する場合に限られることから、さらに幅広い有用蛋
白質に対して適用可能な組換えバキュロウイルスの不活
性化方法が求められていた。また、特開昭61-152
276には、塩化ベンザルコニウムを用いた組換え大腸
菌の不活性化に関する技術が開示されているが、組換え
バキュロウイルスの不活性化方法については開示されて
いない。一方、ウイルスに対する塩化ベンザルコニウム
の不活性化はウイルスによって異なり、Yamamoto らは
HIVウイルスが塩化ベンザルコニウムで不活性化され
ることを報告しているが(文献2)、一方、Watanabe
らはカイコのFlacherie virus は塩化ベンザルコニウム
によって不活性化されないと報告している(文献3)。
すなわち、これらの従来技術では組換えカイコ核多角体
病ウイルスを用いた有用蛋白質の生産において、幅広い
有用蛋白質の活性の維持と組換えカイコ核多角体病ウイ
ルスの不活性化を両立することは困難であった。また、
さらに、カイコ幼虫において有用蛋白質を生産させた場
合、カイコ体液中にはカイコ由来の大量の蛋白質が含ま
れていることから、この大量に存在する夾雑蛋白質を効
率的に取り除く必要があった。夾雑蛋白質の除去を大規
模に行う一つの手法として、蛋白質の分子量の差によっ
て蛋白質を分離する方法である限外濾過膜による夾雑蛋
白質の除去が挙げられる。例えば、特開昭56-815
21号には血清中のアルブミンとグロブリンの分離に関
した開示されており、また、特開平9-12599には
γ-リベチンの分離精製方法が示されている。しかしな
がら、カイコ幼虫の体液中に生産された有用蛋白質を限
外濾過によって処理しようとした場合、カイコ体液が著
しく茶褐色に着色し、このため限外濾過における濾過性
が悪くなり、カイコ幼虫体液の限外濾過による大量処理
は困難であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで、酸に安定な有
用蛋白質に限らず、すべての有用蛋白質の活性を低下さ
せることなく組換えカイコ核多角体病ウイルスの不活性
化を行った後に、カイコ幼虫体液中の夾雑蛋白質を効率
良く除去できれば、従来組換えカイコ核多角体病ウイル
スを用いて量産が困難であった有用蛋白質でも量産が容
易となると期待できる。すなわち、本発明は、組換えカ
イコ核多角体病ウイルスを用いた有用蛋白質の製造にお
いて、幅広い有用蛋白質に適用可能な組換えカイコ核多
角体病ウイルスの不活性化方法とその後行程にあたる目
的有用蛋白質以外の夾雑蛋白質の効率的な除去方法を提
供することによって、有用蛋白質の量産化を可能とし、
以って高純度かつ安価な医薬品(抗腫瘍・抗ウイルス)
の製造を可能とすることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、こうした状
況に鑑み、鋭意工夫を重ねた結果、組換えカイコ核多角
体病ウイルスが感染したカイコ幼虫の体液に4級アンモ
ニウム塩を添加することによって、組換えカイコ核多角
体病ウイルスが不活性化すること、また、4級アンモニ
ウム塩、または、金属キレート剤を添加することによっ
て組換えカイコ核多角体病ウイルスが感染したカイコ幼
虫の体液の限外濾過における濾過性が大幅に向上するこ
と、さらに、組換えカイコ核多角体病ウイルスによって
産生した有用蛋白質の比活性が向上するため、後工程で
ある精製が容易となることを見出し本発明を完成するに
至った。
【0007】すなわち本発明は、有用蛋白質をコードす
る遺伝子により組み換えられた組換えカイコ核多角体病
ウイルスをカイコ幼虫に感染させて有用蛋白質を生産す
る際に、カイコ幼虫の体液に4級アンモニウム塩を添加
した後に、限外濾過することを特徴とする有用蛋白質の
製造方法、ならびに、組換えカイコ核多角体病ウイルス
の不活性化方法を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明に関し詳細に説明す
る。
【0009】本発明の有用蛋白質としては特に限定はさ
れないが、4級アンモニウム塩に対して安定な蛋白質が
好ましい。4級アンモニウム塩に対して安定な蛋白質と
しては種々のものが報告され、今後も多くのものが見出
されるであろうが、それらへの応用が可能である。例え
ば、4級アンモニウム塩に対して安定な有用蛋白質とし
て、ヒトインターフェロン(α、β、γの各タイプ)、
ネコインターフェロン、イヌインターフェロン(α、
β、γの各タイプ)などのインターフェロン類などが挙
げられる。インターフェロンは、抗ウイルス作用を示す
ところの蛋白質を主成分とする生理活性物質でIFNと
略記される。また、その他に、イヌインターロイキン−
12などのほ乳動物由来のインターロイキンなどが挙げ
られる。本発明では、特にネコIFN-ω、または、イ
ヌIFN-γが好ましく用いられる。
【0010】イヌインターフェロン-γは参考文献5に
示されているアミノ酸配列からなるポリペプチドである
が、そのアミノ酸配列の一部が置換されたもの、また、
その一部が欠如したもの、あるいは、いくつかのアミノ
酸残基が付加されたものでも、イヌ由来細胞、例えば、
イヌMDCK細胞(ATCC CCL−34)に対し
て、文献16に示されているようなインターフェロン−
γの本来の生理活性を有するポリペプチドであれば本発
明に含まれる。具体的には、例えば、配列番号5に示す
成熟蛋白質部分のアミノ酸配列からなるポリペプチドが
挙げられる。また、例えば、配列番号6に示す成熟蛋白
質部分のような糖鎖結合部位を欠如させたイヌインター
フェロン-γを挙げることができる。また、配列番号
7、8に示す成熟蛋白質部分のようなC末端が欠如した
イヌインターフェロン-γを挙げることができる。
【0011】遺伝子組換えバキュロウイルスは、例えば
次のようにして作製することができる。すなわち、有用
蛋白質をコードするDNAの上流に核多角体病ウイルス
由来のプロモーター領域を含むDNA断片、下流に終止
シグナル以下のDNA断片を有する組換えプラスミド
と、核多角体病ウイルスのDNAを、例えばBM−N細
胞のようなカイコ培養細胞に同時に感染させることによ
って、細胞内で外来の有用蛋白質をコードするDNAと
ウイルスDNAの組換えが起こり、遺伝子組換えウイル
スが作製される。このようにして作製された組換えウイ
ルスは、核多角体病ウイルスの多角体蛋白質の遺伝子領
域に外来のDNAが置換または挿入されており多角体を
形成することができないため、非組換えウイルスと容易
に区別することが可能である。
【0012】このような遺伝子組換え核多角体病ウイル
スとして、例えば、ネコIFNの蛋白質をコードするD
NAが組換えられたrBNV100や 、イヌIFN-γ
の蛋白質をコードするDNAが組換えられたrBNVγ
を挙げることができる。
【0013】rBNV100は、特開平4−20719
8に開示された方法によって作製することができる。す
なわち、生命科学研究所にFERM P-1633号として
寄託されている大腸菌の形質転換体から一般的な手法に
より抽出したプラスミドからネコIFNの蛋白質をコー
ドするDNA部分を、例えばpBM030(文献4)な
どのカイコのクローニングベクターの発現調節部分の下
流に連結するという一般的な遺伝子操作技術によって組
換えプラスミドを作製することができる。この組換えプ
ラスミドとカイコ核多角体病ウイルスDNA(文献4)
とを、文献4に示されている方法で、カイコ樹立細胞、
例えば、BM−N細胞(文献4)にコ・トランスフェク
ションした後、培養を続ける。培養液中には、非組換え
ウイルス(野生型)と組換えウイルスの両方が出現する
ため、限界希釈法およびプラーク法などの一般的な方法
によって、組換えウイルスをクローニングする。組換え
ウイルスは核多核体の形成能がないことから、野生型ウ
イルスと容易に区別することが可能である。
【0014】イヌIFN-γの蛋白質をコードするDN
Aが組換えられたrBNVγは、例えば次のように作製
することができる。まず、イヌIFN-γの蛋白をコー
ドするDNA(文献5)を、例えば次のようにして製造
する。すなわち、イヌの細胞からポリ(A)RNAを抽
出した後、cDNAに転換し、イヌIFN-γをコ−ド
する遺伝子配列を元にしたプライマ−を用いてポリメラ
ーゼ連鎖反応(以下PCRと略す)を行うことによって
イヌIFN-γをコ−ドする遺伝子を得ることができ
る。
【0015】イヌの細胞、例えばマイト−ジェンなどで
刺激されたイヌリンパ球などよりRNAを得る方法とし
ては、通常の方法、例えば、ポリソ−ムの分離、ショ糖
密度勾配遠心や電気泳動を利用した方法などがあげられ
る。上記イヌ細胞よりRNAを抽出する方法としては、
グアニジン・チオシアネ−ト処理後CsCl密度勾配遠
心を行うグアニジン・チオシアネ−ト−塩化セシウム法
(文献6)バナジウム複合体を用いてリボヌクレア−ゼ
インヒビタ−存在下に界面活性剤で処理したのちフェノ
−ル抽出を行う方法(文献7),グアニジン・チオシア
ネ−ト−ホット・フェノ−ル法、グアニジン・チオシア
ネ−ト−グアニジン塩酸法、グアニジン・チオシアネ−
ト−フェノ−ル・クロロホルム法、グアニジン・チオシ
アネ−トで処理したのち塩化リチウムで処理してRNA
を沈殿させる方法などの中から適当な方法を選んで行う
ことができる。
【0016】イヌリンパ球などより通常の方法、例え
ば、塩化リチウム/尿素法、グアニジン・イソチオシア
ネ−ト法、オリゴdTセルロ−スカラム法等によりmR
NAを単離し、得られたmRNAから通常の方法、例え
ば、Gublerらの方法(文献8),H.Okaya
maらの方法(文献9)等によりcDNAを合成する。
得られたmRNAからcDNAを合成するには、基本的
にはトリ骨芽球ウイルス(AMV)などの逆転写酵素な
どを用いるほか1部プライマ−を用いてDNAポリメラ
−ゼなどを用いる方法を組み合わせてよいが、市販の合
成あるいはクロ−ニング用キットを用いるのが便利であ
る。このcDNAを鋳型としてイヌIFN-γの塩基配
列を基にしたプライマ−を用いてPCRを行うことによ
ってイヌIFN-γの蛋白質をコ−ドするDNAを得る
ことができる。
【0017】このイヌIFN-γの蛋白質をコ−ドする
DNAをカイコのクローニングベクター(文献4)に連
結して作製した組み換え体プラスミドとカイコ核多角体
病ウイルスDNAとを、カイコ樹立細胞にコトランスフ
ェクションして作製することができる。従って、組み換
え体ウイルスは、in vivo的な方法で作製するこ
とができる。
【0018】すなわち、イヌIFN-γの蛋白質をコー
ドするDNA部分を、例えばpBM030(文献4)な
どのカイコのクローニングベクターの発現調節部分の下
流に連結するという一般的な遺伝子操作に従って組換え
体プラスミドを作製することができる。この組換え体プ
ラスミドとカイコ核多角体病ウイルスDNA(文献4)
とを、文献のような方法でカイコ樹立細胞、例えばBM
−N株(文献4)にコトランスフェクションした後、培
養を続け、培養液中に出現した非組換え体(野性型)と
組換え体のウイルスの中から限界希釈法、もしくはプラ
ーク法などの一般的な方法によって組換え体ウイルスを
クローニングすることができる。組換え体ウイルスは多
角体の形成能がないことから、野性型ウイルスと容易に
区別できる。有用蛋白質の生産は、前記の組換えカイコ
核多角体ウイルスを、カイコ生体中で増殖させることに
より行なう。すなわち、前記の組換え体ウイルスを含む
培養液をカイコ幼虫に注射して、クワの葉または合成飼
料を与えて飼育する。飼育後、カイコを切開し得られた
体液から有用蛋白質を回収することができる。
【0019】このようにして得られた、組換えバキュロ
ウイルスを感染させたカイコ細胞培養上清、または、カ
イコ幼虫の体液から、限外濾過膜を用いて組換えバキュ
ロウイルスを除去することができる。限外濾過膜として
は、分子量分画サイズが100,000以下のものを用
いるのが好ましい。
【0020】組換えバキュロウイルスの不活性化に使用
する4級アンモニウム塩としては、アルキルトリメチル
アンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、
アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルピ
リジニウム塩、アシルアミノプロピルジメチルベンジル
アンモニウム塩などを用いることができるが、具体的に
は、経済性または安全性の観点から、例えば塩化ベンザ
ルコニウム、塩化ベンゼトニウムが好適に使用される。
【0021】使用される4級アンモニウム塩の濃度は、
組換えバキュロウイルスの不活性化に十分で、かつ、目
的とする有用蛋白質の活性を低下させない濃度であれば
よく、例えば、終濃度で0.01%以上が好適に用いら
れる。しかし、過度に高濃度の4級アンモニウム塩を使
用することは、経済的に不利であるばかりでなく、目的
とする有用蛋白質の精製を困難とする場合がある。通
常、0.5%以下の濃度の4級アンモニウム塩による処
理が、有用蛋白質の生産において良い結果をもたらす。
【0022】カイコ幼虫体液を4級アンモニウム塩で処
理する方法としては、カイコ幼虫体液抽出液に4級アン
モニウム塩を添加する方法、もしくは、4級アンモニウ
ム塩水溶液にカイコ細胞の培養上清またはカイコ体液を
添加する方法、もしくは、切開したカイコを直接4級ア
ンモニウム塩水溶液に浸漬する方法が可能であるが、い
ずれの方法によっても同様な効果が得られる。また、4
級アンモニウム塩による処理温度、処理時間は、組換え
バキュロウイルスが十分に不活性化される条件であれば
よく、特に制限はないが、例えば0℃から25℃におい
て、1時間から24時間処理することによって良好な結
果が得られる。
【0023】組換えカイコ核多角体ウイルスが感染した
カイコ幼虫体液に添加される金属キレート剤としては、
エチレンジアミン4酢酸(EDTA)、エチレンジアミ
ン3酢酸、エチレンジアミン2酢酸、トランス1,2−
シクロヘキサンジアミン4酢酸、ジエチレントリアミン
5酢酸、トリエチレンテトラミン6酢酸またはそれらの
塩、0−フェナントロリン、ジピリジン等のジアミン類
が挙げられるが、医薬品等の製造においては安全性の観
点からEDTAが好適に用いられる。使用される金属キ
レート剤の濃度は、カイコ幼虫体液の着色が抑制される
濃度であれば良く特に制限はないが、通常2mM以上添
加することでカイコ幼虫体液の着色が効果的に抑制され
る。また、金属キレート剤による処理温度については特
に制限はなく、目的とする蛋白質の活性が安定に保持さ
れる温度であればよく、通常は、0℃から30℃が好適
である。
【0024】また、組換えバキュロウイルスが感染した
カイコ培養細胞またはカイコ幼虫体液に高濃度の塩を添
加したのちに限外濾過することで目的とする有用蛋白質
は良好に透過される。添加する塩の濃度としては目的と
する有用蛋白質が変性しない濃度であればよいが、1M
以上の塩を添加したときに良好な濾過性が得られる。
【0025】また、用いる塩は塩析効果の少ない塩が好
適に用いられ、具体的にはNaCl、KClなどが挙げ
られる。
【0026】組換えカイコ核多角体ウイルスが感染した
カイコ幼虫体液の限外濾過における限外濾過膜の素材に
は特に制限はないが、セルロース誘導体、ポリフェニル
スルホン誘導体など、工業的に入手可能な限外濾過膜が
好適に利用できる。また、限外濾過膜の形状にも特に限
定はなく、平膜状の限外濾過膜、ホローファイバー状の
限外濾過膜など一般に市販されている限外濾過膜が利用
できる。また、用いる限外濾過膜に依存していろいろな
タイプの限外濾過装置が利用可能であるが、いずれのタ
イプの限外濾過装置を用いても同様な効果が得られる。
【0027】限外濾過膜の性能としては、カイコ幼虫体
液中に存在する蛋白質のうち、SDS-PAGE上で分子量が約
30,000と70,000であり、かつ、両者合わせて
カイコ幼虫体液中の全蛋白量の80%から90%を占め
る蛋白質を透過させない分子量分画能を有しておればよ
く、通常、限外濾過膜の性能として表示されている分子
量分画サイズとして、50,000以上300,000未
満の限外濾過膜が好適に利用できる。さらに、意外なこ
とに、カイコ幼虫体液中に存在する上記SDS-PAGE上で分
子量が約30,000と70,000の蛋白質は、分子量
分画サイズ100,000の限外濾過膜をほとんど透過
しないことが本発明で見出された。したがって、分子量
分画サイズ100,000の限外濾過膜を目的蛋白質が
透過する場合は、分子量分画サイズ100,000の限
外濾過膜を用いた限外濾過において、カイコ体液中の主
な夾雑蛋白質と目的蛋白質の分離は透過液側で良好に達
成されることになる。
【0028】カイコ幼虫体液を限外濾過する場合、カイ
コ体液が時間とともに茶褐色に着色し、この着色によっ
て限外濾過の濾過性が低下する現象が認められる。目的
とする有用蛋白質は多くの場合安定性が良好ではないた
め、限外濾過処理はできるだけ短時間とすることが望ま
しい。カイコ幼虫体液はpHを6以下に保持することに
よって有効にその着色が抑制されることが本発明で見出
された。したがって、pH6以下の条件下で限外濾過す
ることで良好な濾過性が得られ、より短時間で限外濾過
処理を終了することが可能となる。しかし、一度pHを
6以下とした場合でも、そのpHを7以上とするとカイ
コ幼虫体液の着色が始まり、このため限外濾過における
濾過性が悪くなる。
【0029】目的蛋白質の単離、精製プロセスの必要
上、または、目的蛋白質の安定性の理由などから、組換
えカイコ核多角体ウイルスが感染したカイコ幼虫体液を
pH7以上にする必要がある場合には、金属キレート剤
の添加が有効である。すなわち、金属キレート剤を添加
した場合は、pHが7以上の場合でもカイコ幼虫体液が
着色することがないため、限外濾過における濾過性を良
好に維持することが可能となる。
【0030】こうして限外濾過処理された有用蛋白質を
さらに単離・精製するための方法に特に限定はなく、通
常の蛋白質の精製方法を用いることができる。例えば、
目的とする有用蛋白質が本来有する活性を指標としなが
ら、シリカゲル担体、イオン交換性担体、ゲル濾過担
体、キレート性担体、色素担持担体等を用いたクロマト
グラフィーや、限外濾過、ゲル濾過、透析、塩析等によ
る脱塩、濃縮を組み合わせることによって精製し単離す
ることができる。
【0031】特に、イヌIFN−γの生産においては、
限外濾過処理した後に、カチオン交換担体を用いてカラ
ム精製することがイヌIFN−γの純度を向上させるた
めに有効である。また、ネコIFNは、限外濾過処理し
た後にアフィニティー担体を用いてカラム精製すること
で大幅に純度が向上する。
【0032】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明の範囲がこれに限定されるもので
はない。
【0033】参考例1 <イヌIFN-γをコードするDNAを導入した組換え
カイコ核多核体病ウイルスの作成> (1)イヌcDNAの調製 イヌ末梢血よりリンパ球を分離し、フィトヘムアグルチ
ニン(PHA)を50μg/mlの終濃度で48時間刺
激した。刺激後、ISOGEN(ニッポンジ−ン社)を
用いて総RNAを調製した。得られたRNAを1mM
EDTAを含む10mM トリス塩酸緩衝液(pH7.
5)(以下TEと略する。)に溶解し、70℃で5分間
処理した後、1M LiClを含むTEを同量加えた。
0.5MLiClを含むTEで平衡化したオリゴdTセ
ルロ−スカラムにRNA溶液をアプライし、同緩衝液に
て洗浄した。さらに0.3M LiClを含むTEにて
洗浄後、0.01% SDSを含む2mM EDTA
(pH7.0)で吸着したポリ(A)RNAを溶出し
た。こうして得られたポリ(A)RNAを用いて一本鎖
cDNAを合成した。すなわち、滅菌した0.5mlの
ミクロ遠心チュ−ブに5μgのポリ(A)RNAと0.
5μgのオリゴdTプライマ−(12−18mer)を
入れ、ジエチルピロカルボネ−ト処理滅菌水を加えて1
2μlにし、70℃で10分間インキュベ−トしたのち
氷中に1分間つけた。これに200mMトリス塩酸(p
H8.4),500mM KCl溶液を2μl,25m
M MgCl2 を2μl,10mM dNTPを1μl
および0.1M DTTを2μlそれぞれ加え、42℃
で5分間インキュベ−トしたのち、200ユニットのG
ibcoBRL社製SuperScript II R
Tを1μl加え、42℃でさらに50分間インキュベ−
トしてcDNA合成反応を行った。さらに70℃で15
分間インキュベ−トして反応を停止し、氷上に5分間置
いた。この反応液に1μlのE.coli RNase
H(2units/ml)を加え、37℃で20分間イ
ンキュベ−トした。
【0034】(2)イヌIFN-γ遺伝子の調製 イヌIFN-γのN末端およびC末端の塩基配列(文献
5)をもとに、5´GCGAATTCATGAATTA
TACAGCTATATCTTAGCT3´ (配列番
号1)と5´GCGAATTCTTATTTCGATG
CTCTGCGGCCTCGAAA3´(配列番号2)
の2種類の末端にEcoRI切断部位を付加したプライ
マ−をDNAシンセサイザ−にて合成した。上記(1)
で得られたcDNAを0.5mlのミクロ遠心チュ−ブ
に2μlづつ取り、各プライマ−を20pmol,20
mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)、1.5mM M
gCl2 、25mM KCl,100μg/ml ゼラ
チン、50μM各dNTP、4単位 Taq DNAポ
リメラ−ゼとなるように各試薬を加え、全量100μl
とする。DNAの変性条件を94℃,1分、プライマ−
のアニ−リング条件を55℃、2分、プライマ−の伸長
条件を72℃、3分の各条件でPerkin−Elme
r Cetus社のDNAサ−マルサイクラ−を用い、
30サイクル反応させた。これを1%アガロ−スゲルに
て電気泳動し、約560bpのDNA断片を常法(文献
10)に従って調製した。このDNA断片をInvit
rogen社のT−VectorにTAKARA社のD
NA Ligation Kit Ver.1を用いて
16℃、2時間反応を行い、連結した。これを用いて常
法に従い大腸菌を形質転換し、得られた形質転換体より
プラスミドDNAを常法に従い調製した。次にこのプラ
スミドにPCR断片が挿入されていることを前述と同じ
条件のPCRによって確認し、Genesis 200
0 DNA analysis system(デュポ
ン社)を用いて、ダイデオキシ法(文献11)でイヌI
FN-γDNAの塩基配列を確認した。
【0035】(3)カイコ発現用プラスミドの作製 ベクターpBM030(文献4)1μgを30ユニット
の制限酵素EcoRIで37℃、16時間消化した後、
1ユニットのバクテリア由来アルカリホスファターゼで
末端を脱リン酸化した。これを1%アガロ−スゲルにて
電気泳動し、約11.3KbのDNA断片を常法に従い
調製した。
【0036】TAKARA社のDNA Ligatio
n Kit Ver.1を用いて、16℃、16時間ラ
イゲ−ション反応を行い、上記のように調製した、pB
M030と、実施例2で調製したイヌIFN-γのDN
A断片を連結した。これを用いて常法に従い大腸菌HB
101を形質転換した。100μg/mlのアンピシリ
ンを含むLBプレート上に生育するコロニーの中から、
イヌIFN-γをコードするDNAの開始コドンから2
7bpまでを含むプライマー、すなわち、5’ATGA
ATTATAイヌAGCTATATCTTAGCT3’
(配列番号3)とpBM030のクローニングサイトE
coRIから下流の26bpのプライマー、すなわち、
5’ATCAACAACGCACAGAATCTAAC
GCT3’(配列番号4)の2種類のプライマーを用い
て、DNAの変性条件を94℃,1分、プライマ−のア
ニ−リング条件を55℃、2分、プライマ−の伸長条件
を72℃、3分の各条件でPerkin−Elmer
Cetus社のDNAサ−マルサイクラ−を用い、30
サイクルでPCRを行い、約650bpのDNA断片が
得られた、イヌIFN-γをコードするDNAがpBM
030に正方向に組み込まれているプラスミドを得た。
この組換え体プラスミドをpBMγとした。このプラス
ミドを含有する大腸菌をE.coli(pBMγ)と名
付けた。
【0037】(4)イヌIFN-γをコードするDNA
で組換えられた組換えカイコ核多角体病ウイルスの作製 参考文献4の方法で組換えウイルスを作製した。すなわ
ち、50mM HEPESバッファー(pH7.1)、
0.28M NaCl、0.7mM Na2HPO4、0.
7mM NaH2PO4からなる2.5mlの溶液に、2.
5mlのDNA混合液(0.25M CaCl2、カイコ
核多角体病ウイルスBmNPV T3株(文献4)のD
NA10μg、組換え体プラスミドpBMγのDNA6
5μgを含む)を滴下し、生じた懸濁液0.5mlを5
mlの10%FBSを添加したTC−10培地(文献1
3)中、25cm2のフラスコで平面培養した約3×1
5個のBM−N細胞の培養基に加え、カイコ細胞にD
NAを導入した。20時間後、新鮮な培地と交換し、さ
らに7日間培養後、培養液を回収した。その培養液を遠
心して清澄化した上清を希釈して平面に培養したBM−
N細胞の培養基に添加して8日間培養後、顕微鏡観察に
よりウイルス感染が見られ、かつ多角体が形成していな
い培養基を選択した(限界希釈法)。
【0038】限界希釈法を7回繰り返し、組換え体ウイ
ルスをクローニングした。ここで作製したイヌIFNγ
をコードするDNAを含む組換えウイルスをrBNVγ
とした。
【0039】(5)rBNVγウイルス液の調製 75cm2のフラスコ底面で、15mlの10%FBS
を含むTC−10培地中で平面培養した約3×106
のBM−N細胞に、前記(4)でクローニングした組換
え体ウイルスを含むBM−N細胞の培養液50μlをB
M−N細胞に添加して、27℃で5日間培養後、培養液
を3,000rpmで5分間遠心分離して、遠心上清を
組換え体ウイルス液として得た。ウイルス液を10〜7
倍希釈し、その1mlをBM−N細胞の培養基に添加し
て27℃で7日間培養を続けると、顕微鏡観察によって
培養基のBM−N細胞にウイルス感染が認められた。
【0040】参考例2 <ネコIFNをコードするDNAを含む組換えカイコ核多
核体病ウイルスの作成> (1)ネコIFNをコードする遺伝子断片の調製 プラスミドpFeIFN1(特開平2−195884)から、
特開平4−207198に示された方法にしたがって、
ネコIFNをコードするDNAを含む組換えカイコ核多核
体病ウイルスを作成した。すなわち、pFeIFN1から得ら
れるネコIFN遺伝子を含むSfaN1-Hinc II 断片を pUC
18に導入した後、BamHI - HincII 断片として再度切
り出しネコIFN遺伝子とした。
【0041】(2)カイコ発現用プラスミドの作製 カイコクローニングベクターpBM030(文献4)の
Bgl II - Hinc IIサイトに上記(a)のBam HI - Hinc
II 断片を挿入してプラスミドpYU871を得た。
【0042】(3)ネコIFNをコードするDNAで組
換えられた組換えカイコ核多角体病ウイルスの作製 文献4の方法で組換えウイルスを作製した。すなわち、
50mM HEPESバッファー(pH7.1)、0.
28M NaCl、0.7mM Na2HPO4、0.7m
M NaH2PO4からなる2.5mlの溶液に、2.5m
lのDNA混合液(0.25M CaCl2、カイコ核
多角体病ウイルスBmNPV T3株(文献4)のDN
A10μg、組換え体プラスミドpYU871のDNA
65μgを含む)を滴下し、生じた懸濁液0.5mlを
5mlの10%FBSを添加したTC−10培地(文献
13)中、25cm2のフラスコで平面培養した約3×
105個のBM−N細胞の培養基に加え、カイコ細胞に
DNAを導入した。20時間後、新鮮な培地と交換し、
さらに7日間培養後、培養液を回収した。その培養液を
遠心して清澄化した上清を希釈して平面に培養したBM
−N細胞の培養基に添加して8日間培養後、顕微鏡観察
によりウイルス感染が見られ、かつ多角体が形成してい
ない培養基を選択した(限界希釈法)。
【0043】限界希釈法を7回繰り返し、組換え体ウイ
ルスをクローニングした。ここで作製したネコIFNを
コードするDNAを含む組換えウイルスをrBNV10
0とした。
【0044】(4)rBNV100ウイルス液の調製 75cm2のフラスコ底面で、15mlの10%FBS
を含むTC−10培地中で平面培養した約3×106
のBM−N細胞に、前記(3)でクローニングした組換
え体ウイルスrBNV100を含むBM−N細胞の培養
液50μlをBM−N細胞に添加して、27℃で5日間
培養後、培養液を3,000rpmで5分間遠心分離し
て、遠心上清を組換え体ウイルス液として得た。ウイル
ス液を10〜7倍希釈し、その1mlをBM−N細胞の
培養基に添加して27℃で7日間培養を続けると、顕微
鏡観察によって培養基のBM−N細胞にウイルス感染が
認められた。
【0045】参考例3 <抗ウイルス活性測定法>抗ウイルス活性は、文献11
に従ってCPE法により測定した。測定用ウイルスとし
てVesicular Stomatitis Vir
usを用い、感受性細胞としては、イヌIFN-γの抗
ウイルス活性を測定する場合にはイヌMDCK(ATC
C CCL−34)細胞を、また、ネコIFNの抗ウイ
ルス活性を測定する場合にはネコFC9(文献14)を
用いた。すなわち、96穴マイクロプレート上にコンフ
ルーエントとなるまで37℃で培養されたイヌMDCK
(ATCC CCL−34)細胞にイヌIFN-γを含
むサンプルの希釈液を、または、同様に37℃でコンフ
ルーエントとなるまで培養されたネコFC9細胞にネコ
IFNを含むサンプルの希釈液を加え、さらに、37℃
で20時間から24時間培養し抗ウイルス活性を誘導さ
せた。VSVを加え37℃で24時間培養した後、生存
してマイクロプレート上に付着しているイヌMDCK細
胞、または、ネコFC9細胞を20%ホルマリンを含む
クリスタルバイオレット染色液で染色した。マイクロプ
レート上のクリスタルバイオレットの量を570nm に
おける吸光度を測定することによって、細胞を50%生
存させる時のイヌIFN-γ、または、ネコIFNの量
を求め、この時のイヌIFN-γ、または、ネコIFN
の量を、抗ウイルス活性1ユニット(1U)と定義し
た。
【0046】参考例4 <細胞変性効果によるウイルス濃度の定量>文献14の
方法に従って、組換えウイルス濃度を定量した。すなわ
ち、組換えカイコ核多角体病ウイルスを感染させたカイ
コ培養細胞培養上清、または、カイコ幼虫体液抽出液を
希釈し、5×105個/mlのBM−N細胞培養液に添
加した。27℃で10日間培養した後に、顕微鏡観察に
よってBM−N細胞に対する細胞変性効果を確認し、感
染性ウイルス量を算定した。感染性ウイルス量は、文献
15に従ってTCID50(50% tissue culture in
fectious dose)を求めることによって決定した。
【0047】実施例1 <カイコ生体中でのイヌIFN-γの生産と限外濾過に
よる夾雑蛋白質の除去>5令2日目のカイコ幼虫に、参
考例1の(5)で得た組換え体ウイルスのウイルス液を
2μl/頭注射し、25℃で4日間、市販の人工飼料
(カネボウシルクエレガンス社製)を与えて飼育した。
10頭のカイコの腹部を切り、0%、0.01%、また
は、0.02%の塩化ベンザルコニウムを含む100m
lの50mM酢酸バッファー(pH3. 5)に浸漬し、
4℃で20時間保持した。得られたカイコ体液抽出液を
2N NaOHで中和した後に、5,000rpmで15
分間遠心分離し上清を回収した。得られた上清2mlを
分子量分画100,000の限外濾過膜を用いて、3,0
00rpmで45分間遠心することで限外濾過処理を行
い、透過液と未透過液の液量、蛋白濃度、抗ウイルス活
性を測定した結果を表1に示す。
【0048】
【表1】
【0049】表1から、0.01%以上の塩化ベンザル
コニウム処理によって限外濾過処理における透過液量が
無添加の場合に比較して増加し、その結果、回収蛋白量
も大幅に増大したことがわかる。つまり、塩化ベンザル
コニウムは限外濾過における濾過性を大幅に改善する効
果を有することがわかる。また、この時の透過液側のイ
ヌIFN−γの比活性が処理前の比活性と比較して向上
していることから、限外濾過処理がイヌIFN−γの精
製においても有効なことがわかる。
【0050】実施例2 <限外濾過によるカイコ幼虫体液由来蛋白質の除去>5
令2日目のカイコ幼虫に、参考例1の(5)で得た組換
え体ウイルスのウイルス液を2μl/頭注射し、25℃
で4日間、市販の人工飼料(カネボウシルクエレガンス
社製)を与えて飼育した。10頭のカイコの腹部を切
り、0.01%の塩化ベンザルコニウムを含む100m
lの50mM酢酸バッファー(pH3.5)に浸漬し、
4℃で20時間保持した。得られたカイコ体液抽出液を
2N NaOHで中和した後に、5,000rpmで15
分間遠心分離し上清を回収した。得られた上清2mlを
分子量分画50,000、100,000、そして、30
0,000の限外濾過膜を用いて、3,000rpmで4
5分間遠心することで限外濾過処理を行い、その透過液
と未透過液を回収した。この透過液と未透過液の蛋白量
の測定結果を表2に示した。また、分子量分画100,
000と300,000の限外濾過膜を用いた時の透過
液と未透過液のSDS−PAGEにおけるクマシーブリ
リアントブルーによる染色結果を図1に示した。
【0051】
【表2】
【0052】表2から、分子量分画サイズ300,00
0の限外濾過膜を用いた限外濾過では、処理前のカイコ
体液抽出液の蛋白濃度と透過液の蛋白濃度がほとんど同
じことから、カイコ幼虫体液のほぼ全ての蛋白質が、分
子量分画サイズ300,000の限外濾過膜を透過する
ことがわかる。このことは、図1のSDS−PAGEの
結果からも明らかである。したがって、分子量分画サイ
ズ300,000の限外濾過膜ではカイコ幼虫体液中の
夾雑蛋白質を有効に除去することは困難である。一方、
図1から、分子量分画100,000の限外濾過処理に
おける透過液には、カイコ幼虫体液中の主な蛋白である
SDS−PAGE上で分子量30,000と70,000
の蛋白がほとんどないことがわかる。したがって、目的
とする蛋白質が、分子量分画サイズ100,000の限
外濾過膜を透過する場合には、用いた限外濾過膜の透過
液中では夾雑蛋白質の大半が除去されているため、目的
とする有用蛋白質を透過液から効率的に回収できること
がわかる。
【0053】実施例3 <カイコ生体中でのネコIFNの生産と限外濾過による
夾雑蛋白の除去>5令2日目のカイコ幼虫に、参考例2
の(4)で得た組換え体ウイルスのウイルス液を2μl
/頭注射し、25℃で4日間、市販の人工飼料(カネボ
ウシルクエレガンス社製)を与えて飼育した。10頭の
カイコの腹部を切り、0%、0.01%塩化ベンザルコ
ニウムを含む100mlの50mM酢酸バッファー(p
H3. 5)に浸漬し、4℃で20時間保持した。得られ
たカイコ体液抽出液を2NNaOHで中和した後、5,0
00rpmで15分間遠心分離し上清を回収した。得ら
れた上清2mlを分子量分画100,000の限外濾過
膜を用いて、3,000rpmで30分間遠心すること
で限外濾過処理を行い、透過液と未透過液の液量、抗ウ
イルス活性、蛋白濃度を測定した結果を表3に示す。
【0054】
【表3】
【0055】表3から、0.01%の塩化ベンザルコニ
ウム処理によって限外濾過処理における透過液量が無添
加の場合に比較して大きく増加し、その結果、回収蛋白
量も大幅に増大したことがわかる。つまり、塩化ベンザ
ルコニウムは限外濾過における濾過性を大幅に改善する
効果を有することがわかる。また、この時の透過液側の
ネコIFNの比活性が処理前の比活性と比較して向上し
ていることから、限外濾過処理がネコIFNの精製にお
いても有効なことがわかる。
【0056】実施例4 <金属キレート剤添加による限外濾過>5令2日目のカ
イコ幼虫に、参考例1の(5)で得た組換え体ウイルス
のウイルス液を2μl/頭注射し、25℃で4日間、市
販の人工飼料(カネボウシルクエレガンス社製)を与え
て飼育した。10頭のカイコの腹部を切り、EDTAを
終濃度で0mM、1.25mM、2.5mM、5mMを添
加した0.01%の塩化ベンザルコニウムを含む100
mlの50mM酢酸バッファー(pH3. 5)に浸漬
し、4℃で20時間保持した。得られたカイコ体液抽出
液を2N NaOHで中和した後に、5,000rpmで
15分間遠心分離し上清を回収した。この上清を4℃で
7日間保存した時の着色度を500nmにおける吸光度
を測定することで求めた。さらに、その2mlを分子量
分画サイズ100,000の限外濾過膜を用いて、3,0
00rpmで30分間遠心することで限外濾過処理を行
い、透過液の液量、蛋白濃度を測定した結果を表4に示
す。
【0057】
【表4】
【0058】表4から、2.5mM以上のEDTAを添
加した場合には、カイコ幼虫体液抽出液の着色は明らか
に抑制されており、また、着色の程度が低いほど限外濾
過における濾過性が良好なことがわかる。
【0059】実施例5 <酸性条件下での限外濾過>5令2日目のカイコ幼虫
に、参考例1の(5)で得た組換え体ウイルスのウイル
ス液を2μl/頭注射し、25℃で4日間、市販の人工
飼料(カネボウシルクエレガンス社製)を与えて飼育し
た。10頭のカイコの腹部を切り、0.01%の塩化ベ
ンザルコニウムを含む100mlの50mM酢酸バッフ
ァー(pH3.5)に浸漬し4℃で20時間保持した。
この抽出液を2分割し、2N NaOHを用いて一方を
pH5に、他方をpH7に調整した。これらpH調整し
た抽出液を遠心分離(5,000rpmで15分間)し
上清を回収し、得られた上清を4℃で保存した。7日
後、この上清の500nmにおける吸光度を測定した。
さらに、その2mlを分子量分画サイズ100,000
の限外濾過膜を用いて、3,000rpmで30分間遠
心することで限外濾過処理を行い、透過液の液量、蛋白
濃度を測定した結果を表5に示す。
【0060】
【表5】
【0061】表5から明らかな様に、pH5に調整した
カイコ幼虫体液抽出液の着色は明らかに抑制されてお
り、また、着色の程度が低いpH5の方が、pH7より
限外濾過における濾過性が良好なことがわかる。
【0062】実施例6 <塩存在下での限外濾過>5令2日目のカイコ幼虫に、
参考例1の(5)で得た組換え体ウイルスのウイルス液
を2μl/頭注射し、25℃で4日間、市販の人工飼料
(カネボウシルクエレガンス社製)を与えて飼育した。
100頭のカイコの腹部を切り、1000mlの20m
Mリン酸バッファー(pH4.0)に浸漬し4℃で20
時間保持した。
【0063】得られたカイコ体液抽出液を2N NaO
Hで中和したのち、8,000rpmで10分間遠心分
離し上清を回収した。得られた上清液約1lを2等分
し、一つは、分子量分画50,000の限外濾過膜(親
水性ポリエーテルスルホン製)を用いて、そのまま限外
濾過した。もう一方は、終濃度2MとなるようにNaC
lを加え、よく溶解したのちに限外濾過した。得られた
それぞれの透過液中のイヌIFN-γ活性と蛋白濃度を
測定した結果を表6に示した。
【0064】
【表6】
【0065】表6から明らかなようにNaCl存在下で
限外濾過することで、透過液中のイヌIFN-γの比活
性が大幅に改善されおり、高塩濃度で限外濾過すること
でさらに精製効率が向上することが分かる。
【0066】実施例7 <限外濾過による組換えカイコ核多核体病ウイルスの除
去>5令2日目のカイコ幼虫に、参考例1の(5)で得
た組換え体ウイルスのウイルス液を2μl/頭注射し、
25℃で4日間、市販の人工飼料(カネボウシルクエレ
ガンス社製)を与えて飼育した。10頭のカイコの腹部
を切り、100mlの蒸留水に浸漬し4℃で20時間保
持した。得られたカイコ体液抽出液を5,000rpm
で15分間遠心分離し上清を回収した。得られた上清2
mlを分子量分画サイズ50,000、100,000、
そして、300,000の限外濾過膜を用いて、3,00
0rpmで30分間遠心することで限外濾過処理を行
い、その透過液中の組換えカイコ核多核体病ウイルスの
量を測定した。なお、対照として限外濾過を行わないと
きのカイコ幼虫体液抽出液中の組換えカイコ核多核体病
ウイルスの量も測定した。
【0067】
【表7】
【0068】表7に示した結果から、限外濾過により、
ウイルス量の減少が認められ、分子量分画サイズ10
0,000以下の限外濾過膜の透過液中には、組換えカ
イコ核多核体病ウイルスが検出されないことから、分子
量分画サイズ100,000以下の限外濾過膜を用いた
限外濾過処理によって、組換えカイコ核多核体病ウイル
スが完全に除去されることがわかる。
【0069】実施例7 <カイコ生体中で生産したイヌIFN-γの精製>5令
2日目のカイコ幼虫に、参考例1の(5)で得た組換え
体ウイルスのウイルス液を2μl/頭注射し、市販の人
工飼料(カネボウシルクエレガンス社製)を与えて、2
5℃で4日間飼育した。25頭のカイコの腹部を切り、
EDTAを終濃度で2.5mM添加した0.01%の塩化
ベンザルコニウムを含む250mlの50mM酢酸バッ
ファー(pH3.5)に浸漬し、4℃で20時間保持し
た。2N NaOHで中和した後、遠心分離(5,000
rpm、15分間)によって上清を得た。このカイコ体
液抽出物(イヌIFN-γ活性:4.0×106U/ml、
比活性5.6×105U/mg蛋白質)を材料として精製
を行った。このカイコ抽出液250mlを、ホローファ
イバー型の限外濾過装置(Amicon社製、分子量分画サイ
ズ100,000、H1P40−100)を用いて限外
濾過を行い透過液230mlを得た。この透過液200
mlを担体量5mlの"スルホプロピルセファロース
(ハイパフォーマンスタイプ)"にかけ、20mMリン
酸緩衝液(pH7.0)50mlで洗浄後、塩化ナトリ
ウムの直線的な濃度勾配により吸着物を溶出し、抗ウイ
ルス活性画分を集めて、イヌIFN-γを回収した。こ
の画分は6.0×106U/mlのイヌIFN-γ活性を含
み、比活性は7.1×107U/mgであった。この時の
イヌIFN-γ活性の回収率は89%であり、比活性は
127倍に向上した。なお、対照実験として、限外濾過
処理だけを省略した同様のイヌIFN−γの精製を行っ
たが、イヌIFN−γの回収率は35%と低く、比活性
の向上度も46倍と低い値であった。なお、この対照実
験では、大半のイヌIFN−γ活性がカラムの通過画分
に回収された。
【0070】実施例8 <カイコ生体中で生産したネコIFNの精製>5令2日
目のカイコ幼虫に、実施例2の(4)で得た組換え体ウ
イルスのウイルス液を2μl/頭注射し、市販の人工飼
料(カネボウシルクエレガンス社製)を与えて、25℃
で4日間飼育した。25頭のカイコの腹部を切り、ED
TAを終濃度で2.5mM添加した0.01%の塩化ベン
ザルコニウムを含む250mlの50mM酢酸バッファ
ー(pH3. 5)に浸漬し、4℃で20時間保持した。
2N NaOHで中和した後、遠心分離(5,000rp
m、15分間)によって上清を得た。このカイコ体液抽
出物(ネコIFN活性:3.0×106U/ml、比活
性:6.1×105U/mg蛋白質)を材料として精製を
行った。このカイコ抽出液250mlを、ホローファイ
バー型の限外濾過装置(Amicon社製、分子量分画サイズ
100,000、H1P40−100)を用いて限外濾
過を行い透過液220mlを得た。このカイコ抽出液2
00mlを、担体量5mlの"ブルーセファロース(ハ
イパフォーマンスタイプ)"にかけ、続いてこのカラム
を0.5M塩化ナトリウムを含む20mMリン酸緩衝液
(pH8.0)200mlで溶出した。溶出液は、2.9
×106U/mlのネコIFN活性を含み、比活性は4.
8×107U/mg蛋白質であった。この時のネコIFN
活性の回収率は92%であり、比活性は79倍に向上し
た。なお、対照実験として、限外濾過処理だけを省略し
た同様のネコIFNの精製を行ったが、ネコIFNの回
収率は47%と低く、比活性の向上度も38倍と低い値
であった。なお、この対照実験では、大半のネコIFN
活性がカラムの通過画分に回収された。
【0071】
【発明の効果】組換えバキュロウイルスを用いた有用蛋
白質の製造において、限外濾過処理を行うことで、組換
えバキュロウイルスの除去と有用蛋白質の精製が同時に
可能となり、かつ、目的とする有用蛋白質の精製が容易
になる。以って有用蛋白質の量産化を可能とし、高純度
かつ安価な医薬品(抗腫瘍・抗ウイルス剤等)の製造が
可能となる。
【0072】参考文献 1.S.Watanabeら:Japan J.Ex
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【0073】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:32 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジ−:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 GAATTCATGAATTATACAAGCTATATCTTAGC
【0074】配列番号:2 配列の長さ:35 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジ−:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 GCGAATTCTTATTTCGATGCTCTGCGGCCTCGAAA
【0075】配列番号:3 配列の長さ:27 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジ−:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 ATGAATTATACAAGCTATATCTTAGCT
【0076】配列番号:4 配列の長さ:26 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジ−:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 ATCAACAACGCACAGAATCTAACGCT
【0077】配列番号:5 配列の長さ:501 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:cDNA to mRNA 起源 生物名:イヌ 配列の特徴 特徴を表わす記号:sig peptide 存在位置:1..72 特徴を決定した方法:S 特徴を表わす記号:mat peptide 存在位置:73..498 特徴を決定した方法:S 配列 ATG AAT TAT ACA AGC TAT ATC TTA GCT TTT CAG CTT TGC GTG ATT TTG 48 Met Asn Tyr Thr Ser Tyr Ile Leu Ala Phe Gln Leu Cys Val Ile Leu TGT TCT TCT GGC TGT AAC TGT CAG GCC ATG TTT TTT AAA GAA ATA GAA 96 Cys Ser Ser Gly Cys Asn Cys Gln Ala Met Phe Phe Lys Glu Ile Glu AAC CTA AAG GAA TAT TTT AAT GCA AGT AAT CCA GAT GTA TCG GAC GGT 144 Asn Leu Lys Glu Tyr Phe Asn Ala Ser Asn Pro Asp Val Ser Asp Gly GGG TCT CTT TTC GTA GAT ATT TTG AAG AAA TGG AGA GAG GAG AGT GAC 192 Gly Ser Leu Phe Val Asp Ile Leu Lys Lys Trp Arg Glu Glu Ser Asp AAA ACA ATC ATT CAG AGC CAA ATT GTC TCT TTC TAC TTG AAA CTG TTT 240 Lys Thr Ile Ile Gln Ser Gln Ile Val Ser Phe Tyr Leu Lys Leu Phe GAC AAC TTT AAA GAT AAC CAG ATC ATT CAA AGG AGC ATG GAT ACC ATC 288 Asp Asn Phe Lys Asp Asn Gln Ile Ile Gln Arg Ser Met Asp Thr Ile AAG GAA GAC ATG CTT GGC AAG TTC TTA AAT TCA TCC ACC AGT AAG AGG 336 Lys Glu Asp Met Leu Gly Lys Phe Leu Asn Ser Ser Thr Ser Lys Arg GAG GAC TTC CTT AAG CTG ATT CAA ATT CCT GTG AAC GAT CTG CAG GTC 384 Glu Asp Phe Leu Lys Leu Ile Gln Ile Pro Val Asn Asp Leu Gln Val CAG CGC AAG GCG ATA AAT GAA CTC ATC AAA GTG ATG AAT GAT CTC TCA 432 Gln Arg Lys Ala Ile Asn Glu Leu Ile Lys Val Met Asn Asp Leu Ser CCA AGA TCC AAC CTA AGG AAG CGG AAA AGG AGT CAG AAT CTG TTT CGA 480 Pro Arg Ser Asn Leu Arg Lys Arg Lys Arg Ser Gln Asn Leu Phe Arg GGC CGC AGA GCA TCG AAA TAA 501 Gly Arg Arg Ala Ser Lys ***
【0078】配列番号:6 配列の長さ:501 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:cDNA to mRNA 起源 生物名:イヌ 配列の特徴 特徴を表わす記号:sig peptide 存在位置:1..72 特徴を決定した方法:S 特徴を表わす記号:mat peptide 存在位置:73..498 特徴を決定した方法:S 配列 ATG AAT TAT ACA AGC TAT ATC TTA GCT TTT CAG CTT TGC GTG ATT TTG 48 Met Asn Tyr Thr Ser Tyr Ile Leu Ala Phe Gln Leu Cys Val Ile Leu TGT TCT TCT GGC TGT AAC TGT CAG GCC ATG TTT TTT AAA GAA ATA GAA 96 Cys Ser Ser Gly Cys Asn Cys Gln Ala Met Phe Phe Lys Glu Ile Glu AAC CTA AAG GAA TAT TTT CAG GCA AGT AAT CCA GAT GTA TCG GAC GGT 144 Asn Leu Lys Glu Tyr Phe Gln Ala Ser Asn Pro Asp Val Ser Asp Gly GGG TCT CTT TTC GTA GAT ATT TTG AAG AAA TGG AGA GAG GAG AGT GAC 192 Gly Ser Leu Phe Val Asp Ile Leu Lys Lys Trp Arg Glu Glu Ser Asp AAA ACA ATC ATT CAG AGC CAA ATT GTC TCT TTC TAC TTG AAA CTG TTT 240 Lys Thr Ile Ile Gln Ser Gln Ile Val Ser Phe Tyr Leu Lys Leu Phe GAC AAC TTT AAA GAT AAC CAG ATC ATT CAA AGG AGC ATG GAT ACC ATC 288 Asp Asn Phe Lys Asp Asn Gln Ile Ile Gln Arg Ser Met Asp Thr Ile AAG GAA GAC ATG CTT GGC AAG TTC TTA CAG TCA TCC ACC AGT AAG AGG 336 Lys Glu Asp Met Leu Gly Lys Phe Leu Gln Ser Ser Thr Ser Lys Arg GAG GAC TTC CTT AAG CTG ATT CAA ATT CCT GTG AAC GAT CTG CAG GTC 384 Glu Asp Phe Leu Lys Leu Ile Gln Ile Pro Val Asn Asp Leu Gln Val CAG CGC AAG GCG ATA AAT GAA CTC ATC AAA GTG ATG AAT GAT CTC TCA 432 Gln Arg Lys Ala Ile Asn Glu Leu Ile Lys Val Met Asn Asp Leu Ser CCA AGA TCC AAC CTA AGG AAG CGG AAA AGG AGT CAG AAT CTG TTT CGA 480 Pro Arg Ser Asn Leu Arg Lys Arg Lys Arg Ser Gln Asn Leu Phe Arg GGC CGC AGA GCA TCG AAA TAA 501 Gly Arg Arg Ala Ser Lys ***
【0079】配列番号:7 配列の長さ:441 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:cDNA to mRNA 起源 生物名:イヌ 配列の特徴 特徴を表わす記号:sig peptide 存在位置:1..72 特徴を決定した方法:S 特徴を表わす記号:mat peptide 存在位置:73..438 特徴を決定した方法:S 配列 ATG AAT TAT ACA AGC TAT ATC TTA GCT TTT CAG CTT TGC GTG ATT TTG 48 Met Asn Tyr Thr Ser Tyr Ile Leu Ala Phe Gln Leu Cys Val Ile Leu TGT TCT TCT GGC TGT AAC TGT CAG GCC ATG TTT TTT AAA GAA ATA GAA 96 Cys Ser Ser Gly Cys Asn Cys Gln Ala Met Phe Phe Lys Glu Ile Glu AAC CTA AAG GAA TAT TTT CAG GCA AGT AAT CCA GAT GTA TCG GAC GGT 144 Asn Leu Lys Glu Tyr Phe Gln Ala Ser Asn Pro Asp Val Ser Asp Gly GGG TCT CTT TTC GTA GAT ATT TTG AAG AAA TGG AGA GAG GAG AGT GAC 192 Gly Ser Leu Phe Val Asp Ile Leu Lys Lys Trp Arg Glu Glu Ser Asp AAA ACA ATC ATT CAG AGC CAA ATT GTC TCT TTC TAC TTG AAA CTG TTT 240 Lys Thr Ile Ile Gln Ser Gln Ile Val Ser Phe Tyr Leu Lys Leu Phe GAC AAC TTT AAA GAT AAC CAG ATC ATT CAA AGG AGC ATG GAT ACC ATC 288 Asp Asn Phe Lys Asp Asn Gln Ile Ile Gln Arg Ser Met Asp Thr Ile AAG GAA GAC ATG CTT GGC AAG TTC TTA CAG TCA TCC ACC AGT AAG AGG 336 Lys Glu Asp Met Leu Gly Lys Phe Leu Gln Ser Ser Thr Ser Lys Arg GAG GAC TTC CTT AAG CTG ATT CAA ATT CCT GTG AAC GAT CTG CAG GTC 384 Glu Asp Phe Leu Lys Leu Ile Gln Ile Pro Val Asn Asp Leu Gln Val CAG CGC AAG GCG ATA AAT GAA CTC ATC AAA GTG ATG AAT GAT CTC TCA 432 Gln Arg Lys Ala Ile Asn Glu Leu Ile Lys Val Met Asn Asp Leu Ser CCA AGA TAA 441 Pro Arg ***
【0080】配列番号:8 配列の長さ:453 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:cDNA to mRNA 起源 生物名:イヌ 配列の特徴 特徴を表わす記号:sig peptide 存在位置:1..72 特徴を決定した方法:S 特徴を表わす記号:mat peptide 存在位置:73..450 特徴を決定した方法:S 配列 ATG AAT TAT ACA AGC TAT ATC TTA GCT TTT CAG CTT TGC GTG ATT TTG 48 Met Asn Tyr Thr Ser Tyr Ile Leu Ala Phe Gln Leu Cys Val Ile Leu TGT TCT TCT GGC TGT AAC TGT CAG GCC ATG TTT TTT AAA GAA ATA GAA 96 Cys Ser Ser Gly Cys Asn Cys Gln Ala Met Phe Phe Lys Glu Ile Glu AAC CTA AAG GAA TAT TTT CAG GCA AGT AAT CCA GAT GTA TCG GAC GGT 144 Asn Leu Lys Glu Tyr Phe Gln Ala Ser Asn Pro Asp Val Ser Asp Gly GGG TCT CTT TTC GTA GAT ATT TTG AAG AAA TGG AGA GAG GAG AGT GAC 192 Gly Ser Leu Phe Val Asp Ile Leu Lys Lys Trp Arg Glu Glu Ser Asp AAA ACA ATC ATT CAG AGC CAA ATT GTC TCT TTC TAC TTG AAA CTG TTT 240 Lys Thr Ile Ile Gln Ser Gln Ile Val Ser Phe Tyr Leu Lys Leu Phe GAC AAC TTT AAA GAT AAC CAG ATC ATT CAA AGG AGC ATG GAT ACC ATC 288 Asp Asn Phe Lys Asp Asn Gln Ile Ile Gln Arg Ser Met Asp Thr Ile AAG GAA GAC ATG CTT GGC AAG TTC TTA CAG TCA TCC ACC AGT AAG AGG 336 Lys Glu Asp Met Leu Gly Lys Phe Leu Gln Ser Ser Thr Ser Lys Arg GAG GAC TTC CTT AAG CTG ATT CAA ATT CCT GTG AAC GAT CTG CAG GTC 384 Glu Asp Phe Leu Lys Leu Ile Gln Ile Pro Val Asn Asp Leu Gln Val CAG CGC AAG GCG ATA AAT GAA CTC ATC AAA GTG ATG AAT GAT CTC TCA 432 Gln Arg Lys Ala Ile Asn Glu Leu Ile Lys Val Met Asn Asp Leu Ser CCA AGA TCC AAC CTA AGG TAA 453 Pro Arg Ser Asn Leu Arg ***
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2における、分子量分画100,000
と300,000の限外濾過膜を用いた時の透過液と未
透過液のSDS−PAGEにおけるクマシーブリリアン
トブルーによる染色結果を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // C12N 5/10 C12N 7/00 7/00 5/00 B (C12P 21/02 C12R 1:91) (C12N 5/10 C12R 1:91) (72)発明者 岡田 勇雄 愛知県名古屋市港区大江町9番地の1 東 レ株式会社名古屋事業場内

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 組換えバキュロウイルスを感染させたカ
    イコ細胞培養上清、または、組換えバキュロウイルスを
    感染させたカイコ幼虫の体液から、限外濾過膜を用いて
    組換えバキュロウイルスを除去することを特徴とする有
    用蛋白質の製造方法。
  2. 【請求項2】 限外濾過膜の、分子量分画サイズが10
    0,000以下であることを特徴とする請求項1記載の
    有用蛋白質の製造方法。
  3. 【請求項3】 組換えバキュロウイルスを感染させたカ
    イコ細胞培養上清、または、組換えバキュロウイルスを
    感染させたカイコ幼虫の体液に1M以上の塩を添加した
    後に限外濾過することを特徴とする有用蛋白質の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 組換えバキュロウイルスを感染させたカ
    イコ細胞培養上清、または、組換えバキュロウイルスを
    感染させたカイコ幼虫の体液を4級アンモニウム塩で処
    理した後に限外濾過することを特徴とする有用蛋白質の
    製造方法。
  5. 【請求項5】 組換えバキュロウイルスを感染させたカ
    イコ細胞培養上清、または、組換えバキュロウイルスを
    感染させたカイコ幼虫の体液を、4級アンモニウム塩お
    よび金属キレート剤で処理した後に限外濾過することを
    特徴とする有用蛋白質の製造方法。
  6. 【請求項6】 限外濾過をpH6以下の条件で行うこと
    を特徴とする請求項2から4記載の有用蛋白質の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 分子量分画サイズが50,000以上3
    00,000未満の限外濾過膜で限外濾過することを特
    徴とする請求項3から6のいずれか1項記載の有用蛋白
    質の製造方法。
  8. 【請求項8】 4級アンモニウム塩が塩化ベンザルコニ
    ウムまたは塩化ベンゼトニウムであることを特徴とする
    請求項4から7のいずれか1項記載の有用蛋白質の製造
    方法。
  9. 【請求項9】 4級アンモニウム塩を、組換えバキュロ
    ウイルスを感染させたカイコ細胞培養上清、または、カ
    イコ幼虫の体液に対して0.01重量%以上の濃度で処
    理することを特徴とする請求項4から8のいずれか1項
    記載の有用蛋白質の製造方法。
  10. 【請求項10】 金属キレート剤がテトラエチレンジア
    ミン4酢酸であることを特徴とする請求項5から9のい
    ずれか1項記載の有用蛋白質の製造方法。
  11. 【請求項11】 有用蛋白質がイヌインターフェロン-
    γ、ネコインターフェロン-ω、イヌインターロイキン
    12またはヒトインターフェロンであることを特徴とす
    る請求項1から10のいずれか1項記載の有用蛋白質の
    製造方法。
  12. 【請求項12】イヌインターフェロン-γが配列番号5
    から8のいずれか記載のアミノ酸配列であることを特徴
    とする請求項11記載の有用蛋白質の製造方法。
  13. 【請求項13】 組換えバキュロウイルスが、イヌイン
    ターフェロン-γ、ネコインターフェロン-ω、イヌイン
    ターロイキン12またはヒトインターフェロンの蛋白質
    をコードするDNAにより、遺伝子組換えされた組換え
    カイコ核多角体病ウイルスであることを特徴とする請求
    項1から12のいずれか1項記載の有用蛋白質の製造方
    法。
  14. 【請求項14】 イヌインターフェロン−γの蛋白質を
    コードするDNAにより、遺伝子組換えされた組換えカ
    イコ核多角体病ウイルスを用いてイヌインターフェロン
    −γを製造する際に、4級アンモニウム塩で処理した後
    にカチオン交換担体を用いて精製することを特徴とする
    請求項13に記載の有用蛋白質の製造方法。
  15. 【請求項15】 カチオン交換体が、スルフォプロピル
    セファロースであることを特徴とする請求項14に記載
    の有用蛋白質の製造法。
  16. 【請求項16】 ネコインターフェロン−ωの蛋白質を
    コードするDNAにより、遺伝子組換えされた組換えカ
    イコ核多角体病ウイルスを用いてネコインターフェロン
    −ωを製造する際に、4級アンモニウム塩で処理した後
    にアフィニティー担体を用いて精製することを特徴とす
    る請求項13に記載の有用蛋白質の製造方法。
  17. 【請求項17】 アフィニティー担体がブルーセファロ
    ースであることを特徴とする請求項16に記載の有用蛋
    白質の製造方法。
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