JP3029272B2 - 構造蛋白質遺伝子、組換えベクター、組換えウイルス、ポリペプチドおよびポリペプチドの製造方法 - Google Patents

構造蛋白質遺伝子、組換えベクター、組換えウイルス、ポリペプチドおよびポリペプチドの製造方法

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JP3029272B2 JP13722390A JP13722390A JP3029272B2 JP 3029272 B2 JP3029272 B2 JP 3029272B2 JP 13722390 A JP13722390 A JP 13722390A JP 13722390 A JP13722390 A JP 13722390A JP 3029272 B2 JP3029272 B2 JP 3029272B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はC型肝炎の病因であるC型肝炎ウイルス(以
下HCVと略記する場合がある)の構造蛋白質遺伝子領域
をもとに、C型肝炎患者血清中に存在するC型肝炎ウイ
ルスに対する抗体(抗HCV抗体)に対して、抗原性を有
するポリペプチドを製造する方法に関するものであり、
具体的に説明すれば、C型肝炎ウイルスの構造蛋白質遺
伝子領域を、バキュロウイルスの多角体蛋白質遺伝子の
プロモーターを含む転移ベクターに挿入して組換え転移
ベクターを調製し、ついで該組換え転移ベクターとバキ
ュロウイルスとを昆虫細胞に同時感染導入して、該構造
蛋白質遺伝子領域を含む組換えウイルスを調製し、更に
該組換えウイルスを昆虫細胞あるいは昆虫の幼虫に感染
させて、ポリペプチドを得ることを特徴とするポリペプ
チドの製造方法、およびそのポリペプチドに関し、更に
上記構造蛋白質遺伝子、それを含む組換え転移ベクター
および組換えウイルスに関する。
〔従来の技術〕
輸血後非A非B肝炎を起こした患者の血清をもとに、
C型肝炎ウイルスの遺伝子の一部がクローニングされ、
これが米国カイロン社のホートンらによりサイエンスに
報告された[Science.Vol.244,pp359−362,(198
9).]。更に、彼らはC型肝炎ウイルスの非構造蛋白
質領域をコードする遺伝子の一部を、酵母の発現ベクタ
ーに挿入し、酵母でこの遺伝子を発現させることに成功
した。この方法により生産される非構造蛋白質の一部分
は、C型肝炎患者血清中に存在する、抗HCV抗体に対し
て抗原性を有する[The Lancet,Vol.335,pp.1−3,199
0.]。この性質により、この蛋白質はC型肝炎の診断用
抗原として利用されている。
〔発明が解決しようとする課題〕
酵母で生産された抗原性蛋白質は、C型肝炎患者血清
中に存在する抗HCV抗体と反応するものの、この抗HCV抗
体はC型肝炎が発症してなお6カ月程度を経て、はじめ
て陽性となるものであることが分かってきた。また、こ
の抗原を用いて正常人血清あるいはC型肝炎患者血清を
試験すると、偽陽性または偽陰性を示す場合があること
も分かってきた[The Lancet,Vol.335,pp.754−757,(1
990).および臨床科学、25巻、7号、827ページ、1990
年]。このため、より精度の高い診断が可能となる、新
しい有用な抗原性を有するポリペプチドの開発が求めら
れている。
〔課題を解決するための手段〕
C型肝炎は、C型肝炎ウイルスによって引き起こされ
る肝炎であり、輸血後非A非B肝炎のほとんどは、この
肝炎であるといわれている。そして、その多くは更に肝
癌へと病状が進行する。C型肝炎ウイルスは遺伝子の長
さ約10kb(1万ヌクレオチド)のRNAウイルスと考えら
れ、フラビウイルスの仲間であると推定されている。こ
のことから考えると、5′末端側から約1.5kb(約1500
ヌクレオチド)の部分が構造蛋白質遺伝子部分に相当
し、残りが非構造蛋白質遺伝子部分に相当する。また約
1.5kbの構造蛋白質遺伝子部分は、フラビウイルスの遺
伝子構造との比較により、コア蛋白遺伝子領域(C)、
膜蛋白遺伝子領域(M)、外皮蛋白遺伝子領域(E)の
3部分に機能的に分かれるものと考えられている。
C型肝炎ウイルスの遺伝子の全塩基配列の報告はまだ
ないが、非構造蛋白質遺伝子を主体とした配列が、カイ
ロン社によって、ヨーロッパ特許EP0318216に報告され
ている。
C型肝炎ウイルスについての総合的な知見はこれまで
に全く得られておらず、こういう状況のもとでは、いか
なる遺伝子領域を、いかなる宿主ベクター系にのせる
と、有用な抗原性を有するポリペプチドを、効果的に得
られるのか全く不明である。我々はこれまでにホートン
らにより利用されてきた非構造蛋白質遺伝子領域ではな
く、新たに構造蛋白質遺伝子領域について、その遺伝子
発現を鋭意研究してきた。その結果、昆虫の宿主ベクタ
ー系を用いることにより、C型肝炎患者血清中に存在す
る抗HCV抗体に対し、特異性の高い有用な抗原性を有す
るポリペプチドを得ることに成功した。
即ち本発明は、次の構造を含むものである。
1.下記のアミノ酸配列をコードする塩基配列を含むC型
肝炎ウイルスの構造蛋白質遺伝子。
2.下記の塩基配列を含むC型肝炎ウイルスの構造蛋白質
遺伝子。
3.C型肝炎ウイルスの構造蛋白質遺伝子を含む領域を、
バキュロウイルスの多角体蛋白質遺伝子のプロモーター
を含む転移ベクターに挿入して得た組換え転移ベクタ
ー。
4.C型肝炎ウイルスの構造蛋白質遺伝子を含む領域を、
バキュロウイルスの多角体蛋白質遺伝子のプロモーター
を含む転移ベクターに挿入して組換え転移ベクターとバ
キュロウイルスとを昆虫細胞に感染導入して得た、該構
造蛋白質遺伝子を含む領域を含む組換えウイルス。
5.C型肝炎ウイルスの構造蛋白質遺伝子を含む領域を、
バキュロウイルスの多角体蛋白質遺伝子のプロモーター
を含む転移ベクターに挿入して組換えベクターを調製
し、ついで該組換えベクターとバキュロウイルスとを昆
虫細胞に感染導入して、該構造蛋白質遺伝子を含む領域
を有する組換えウイルスを調製し、更に該組換えウイル
スを昆虫細胞あるいは昆虫の幼虫に感染させて、ポリペ
プチドを得ることを特徴とするHCV抗原活性ポリペプチ
ドの製造方法。
6.下記のアミノ酸配列を含むHCV抗原活性ポリペプチド
(I)。
7.下記のアミノ酸配列を含むHCV抗原活性ポリペプチド
(II)。
本発明でいう構造遺伝子領域とは、C型肝炎ウイルス
のC領域、M領域、E領域を指すが、非構造遺伝子部分
と構造遺伝子領域の区分は、現在まだはっきりと特定さ
れてはいない。しかしながらカイロン社の発表した遺伝
子部分は、ほぼ非構造蛋白質遺伝子部分に相当すると考
えられており、これより上流の約1.5kbの領域が、構造
蛋白質遺伝子領域とされる。
この領域は、輸血後非A非B肝炎患者[血液中のアラ
ニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)値が150を示した
患者]の血清を用いて作成したcDNAライブラリーから、
得ることが出来る。具体的には、患者血清からRNAを分
離し、該RNAに対して逆転写酵素を使用して、一本鎖のc
DNAを合成、更にカイロン社の発表[EP 0318216]した
塩基配列の14〜73番目まで(コーディング鎖)を持つプ
ライマーと、297〜321番目まで(逆鎖)を持つプライマ
ーとをセットしてPCR法による遺伝子増幅を行い、得ら
れた遺伝子のクローンの塩基配列を解析する。次に、そ
れをもとにカイロン社の塩基配列171〜190(逆鎖)に相
当する、新しい塩基配列のプライマーを作成し、λgt11
ファージを利用して、患者の血清cDNAライブラリーを調
製する。次に、カイロン社の147〜171番目の塩基配列
(コーディング鎖)に相当する新しい塩基配列のプロー
ブを作成し、そのcDNAライブラリーに対して、プラーク
ハイブリダイゼーションを行なうことにより得られるも
のである。
C型肝炎ウイルスの遺伝子の塩基配列については、こ
れまでに数例の報告しかないが、その中で加藤、大越、
下遠野らは、1989年に日本のC型肝炎ウイルスとアメリ
カのC型肝炎ウイルスとの塩基配列の相違を指摘し、日
本型とアメリカ型のC型肝炎ウイルスが存在することを
報告している。[Proceeding of the Japan Academy,Vo
l.65,Ser.B,No.9,pp.219〜223(1989).]。
本発明に用いるC型肝炎ウイルスの構造蛋白質遺伝子
領域は、日本型、アメリカ型を問わず、全てのC型肝炎
ウイルスの遺伝子が、広く利用できる。但し、日本型C
型肝炎ウイルスの遺伝子を用いれば、日本型のC型肝炎
ウイルスに感染したC型肝炎の診断に特に有用となり、
抗HCV抗体に対して抗原性を有する有用なポリペプチド
が得られる。ここで、該構造蛋白質遺伝子領域はクロー
ニングによって得られたものでも良く、また有機合成的
に合成されたものであっても良い。
本発明でいう構造蛋白質遺伝子領域とは、C型肝炎ウ
イルスの約1.5kbの構造蛋白質遺伝子部分であれば日本
型、アメリカ型を問わず、また位置も長さも特に限定さ
れない。但し、第1図に示す1251塩基の構造蛋白質遺伝
子領域の全部または一部の領域を用いる場合は、特に有
用な抗原性を有するポリペプチドを得ることができる。
第1図に示す1251塩基の配列は、日本人のC型肝炎の
患者血清よりクローニングして得たHCVSP4断片の塩基配
列を示しており、日本型C型肝炎ウイルスに由来する遺
伝子である。そのため、第1図の配列は特に日本型C型
肝炎ウイルスの抗体を検出するのに有用な領域である。
第1図に1251塩基の構造蛋白質遺伝子領域のDNA塩基
配列と、対応するアミノ酸への翻訳配列を示すが、第1
図は本発明にいう構造蛋白質遺伝子領域を示す例であ
り、本発明は何等この配列に限定されない。更に、第1
図に示された領域は、遺伝子地図上で同一な位置づけを
される、他の日本型あるいはアメリカ型のC型肝炎ウイ
ルスの構造蛋白質遺伝子の領域をも代表して示すもので
あり、それらについても本発明に含まれる。
また第1図に示す構造蛋白質遺伝子領域の全部あるい
は一部について、その塩基配列の一部の領域が、置換あ
るいは挿入、欠失したものであっても、その遺伝子発現
により生産される有用な抗原性を有するポリペプチドの
性質が、本配列によって示されるものと実質的に同等で
ある場合は、本発明に含まれる。更に第1図の配列につ
いて、コドンのゆらぎの範囲内、即ち第1図のアミノ酸
配列を変えない範囲内で塩基が変化した配列について
は、第1図の塩基配列と実質的に同一と見なされ、本発
明に含まれる。
本発明でいうバキュロウイルスには種々あるが、本発
明ではAutographa californica nuclearpolyhedrosis v
irusやBombyx mori nuclear polyhedrosis virusが利用
でき、それぞれのウイルスは宿主昆虫としてSpodoptera
frugiperdaやBombyx moriに感染する。このうち、Bomb
yx mori nuclear polyhedrosis virus(以下、BmNPVと
略す場合がある)は、カイコ核多角体病ウイルスとして
知られており、このウイルスはカイコBombyx moriに感
染するため、宿主としてカイコが好適に利用できる。
本発明でいうBmNPVは養蚕業者に広く知られており、
前田、古沢らの分離した代表的な株にT3株があり、この
ウイルスのDNAは米国ATCCにNo.40188として寄託されて
いる。またBmNPVに感染したカイコから、公知の方法に
よって分離することもできる。このBmNPVの遺伝子DNAの
うち、本発明においてC型肝炎ウイルスの構造蛋白質遺
伝子領域と組換えられる部分は、多角体蛋白質遺伝子の
一部である。本発明を完成させる際にもちいたBmNPVに
ついて、遺伝子地図と制限酵素地図を第2図に示す。
多角体蛋白質遺伝子のプロモーターを含む転移ベクタ
ーは特に限定されるものではなく、Autographa califor
nica nuclear polyhedrosis virusやBombyx mori nucle
ar polyhedorsis virusについて、これまでに開発され
てきた種々の転移ベクターも利用可能である。C型肝炎
ウイルスの構造蛋白質遺伝子領域は、多角体蛋白質遺伝
子のプロモーターの下流に挿入される。但し、第1図に
示す1251塩基の領域を遺伝子発現させる場合は、この領
域が遺伝子の翻訳のための開始コドンを持たないため、
転移ベクターの内部、即ち多角体蛋白質遺伝子のプロモ
ーターの下流に開始コドンを持つ転移ベクターが好適に
利用できる。その目的のためには、前田らが開発したpB
Eベクター、特開昭64−74990号に示されるpBFベクター
が好適に利用できる。
pBFベクターはBmNPVの多角体蛋白質遺伝子のプロモー
ター、および多角体蛋白質遺伝子の一部すなわち多角体
蛋白質遺伝子の前後と、大腸菌用ベクターとして知られ
るpUCベクターから構成されている。この様にpBFベクタ
ーは大腸菌ベクターpUCに由来する大腸菌体内での複製
開始領域を含んでおり、そのため大腸菌を使った通常の
遺伝子操作を行うことにより、組換え転移ベクターを得
ることが出来る。
第1図に示す1251塩基の領域を遺伝子発現させる場
合、pBFベクターのうち、特にpBF124は、該構造蛋白質
遺伝子領域と蛋白質翻訳のフレームが一致するために優
れている。転移ベクターpBF124の構造を第3図に示す。
転移ベクターpBFを利用する場合、C型肝炎ウイルス
の構造蛋白質遺伝子領域を、pBF転移ベクターのクロー
ニング部位に挿入して、組換え転移ベクターを調製す
る。pBFベクターのクローニング部位にはEcoR I、Xba
I、Stu I制限部位があるが、途中に終止コドンが入らな
い限り、そのどれを用いる事もできる。特にC型肝炎ウ
イルスの構造蛋白質遺伝子領域として、1251塩基の断片
を用いる場合は、その両末端にEcoR Iリンカーを結合さ
せ、pBF124のEcoR I部位に挿入することが出来る。
このようにして1251塩基の両末端にEcoR Iリンカーを
接続し、これを転移ベクターpBF124のEcoR I部位に、遺
伝子の向きを順方向に向けて挿入して得た組換え転移ベ
クターはpHC1244と名付けられ、更にこの組換え転移ベ
クターを用いて大腸菌JM109を形質転換した具体例は、
エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)HCV1244であ
り、この菌は茨城県つくば市東1丁目1番3号の通商産
業省工業技術院微生物工業技術試験所に平成2年5月22
日付で寄託され、微工研菌寄第11471号(FERM P−1147
1)なる番号が付されている。
本発明では、組換え転移ベクターとBmNPVとを、カイ
コ樹立培養細胞にカルシウム沈澱法を用いて同時に感染
導入し(コトランスフェクション)、組換え転移ベクタ
ーとBmNPVの両方に存在する、塩基配列の相同性の高い
対立遺伝子領域の間で、遺伝子の相同組換えを起こさせ
る。この方法により、BmNPVの核多角体蛋白質の一部
が、C型肝炎ウイルスの構造蛋白質遺伝子領域に置き換
えられた、組換えウイルスを得ることが出来る。
組換え転移ベクターとBmNPVとを、カイコ樹立培養細
胞にカルシウム沈澱法を用いて同時に感染導入する方法
は、前田らが特開昭61−9297号公報に発表している方法
で行うことが出来る。また、感染導入により得られた反
応液の上清から組換えウイルスを分離する方法は、プラ
ークアッセイ法[J.Seric.Sci.Jpn.Vol.53,p.547(198
4).に示される]や、リミティング希釈法[特願昭63
−152375号に示される]により分離することが出来る。
本発明ではAutographa californica nuclear polyhed
rosis virusやBombyx mori nuclear polyhedrosis viru
sなどのバキュロウイルスが利用できるが、それぞれの
ウイルスは宿主昆虫としてSpodoptera frugiperdaやBom
byx moriに感染する。特にBombyx mori nuclear polyhe
drosis virusを利用する場合は、このウイルスがカイコ
Bombyx moriに感染するため、カイコ樹立培養細胞ある
いはカイコ幼虫が利用される。
カイコ樹立培養細胞としては、BmNPVが増殖可能なも
のであれば特に制限なく利用できるが、ATCC、No.CRL−
8910株や、前田らの開発したBm・N2株、Bm・N4株などは
好適に利用でき、取り扱いの容易さの点からBm・N4株は
特に好適に利用できる。カイコ樹立培養細胞は公知の方
法、例えば牛胎児血清を含むTC−10培地中で培養するな
どの方法により、培養できる。
本発明では、組換えウイルスを昆虫細胞あるいは昆虫
の幼虫に感染させて、目的とする有用な抗原性を有する
ポリペプチドを得ることができる。組換えウイルスのカ
イコ樹立培養細胞への感染方法は、例えばカイコ樹立培
養細胞の培養液を容器にいれ、該細胞の容器の底面に沈
着させて後、容器の底面に付着しているカイコ樹立培養
細胞がはがれないように、古い培養液を抜取り、組換え
ウイルス液を滴下し、室温で1時間程度静置した後、牛
胎児血清を含む新しいカイコ培養培地を添加するとい
う、公知の方法が一般的である。その後例えば27度で組
換えウイルスを培養後、遠心分離して、培養細胞を沈澱
物として得る。この細胞は、抗HCV抗体に対して抗原性
を有する有用なポリペプチドを含有するので、これを精
製することにより、目的のポリペプチドを得ることが出
来る。
組換えウイルスをカイコ幼虫に感染させる方法は、特
に限定されないが、感染させる幼虫としてはカイコ5令
幼虫が好ましい。感染方法としては経皮注射が一般的で
ある。
カイコの飼育期間は、組換えウイルスに感染後、3〜
5日が目安であり、抗HCV抗体に対して抗原性を有する
有用なポリペプチドは、カイコ幼虫を解剖し、下腹部に
蓄積している脂肪体を取り出すか、あるいはカイコ幼虫
をすりつぶすなどの作業の後、通常の蛋白質の分離精製
システムを利用して精製後、得ることができる。
転移ベクターとしてpBFベクターを用いた場合は、調
製された組換えウイルスは、多角体蛋白のN末端から始
まる一部の遺伝子領域の後ろに、C型肝炎ウイルスの構
造蛋白質遺伝子領域が融合している。このため該組換え
ウイルスがカイコ細胞あるいは幼虫に感染すると、多角
体蛋白質遺伝子のプロモーターが作用し、多角体蛋白質
の一部分とC型肝炎ウイルスの構造蛋白質との融合蛋白
質が作られることになる。
こうして出来た融合蛋白質は、抗HCV抗体に対して抗
原性を有する有用なポリペプチドとして利用でき、通常
はその遺伝子構造から予想される分子量、即ち開始コド
ンから終止コドンまでの分子量に相当する蛋白質が得ら
れる。しかしながら、例えば1251塩基の塩基配列を持つ
構造蛋白質遺伝子領域など、構造蛋白質遺伝子領域の中
の同じフレーム上に存在する、コア蛋白遺伝子領域、膜
蛋白遺伝子領域、外皮蛋白遺伝子領域の境界にまたがる
様な長い遺伝子領域を用いて、カイコで発現させる場合
には、開始コドンから終止コドンまでに対応する分子量
の大きな蛋白質以外に、分子量の小さな断片が得られる
ことがある。この原因は不明であるが、ひと続きの長い
構造遺伝子領域がカイコなどの真核細胞内で遺伝子発現
すると、翻訳後にコア蛋白部分、膜蛋白部分、外皮蛋白
部分などの境界領域や、その他分解され易い場所で、プ
ロテアーゼによる切断が起こるのかもしれない。こうし
て得られる小さなポリペプチドは、いずれも抗HCV抗体
に対して抗原性を有する有用なポリペプチドとして利用
できる。
〔発明の効果〕
本発明によりC型肝炎ウイルスの抗体に特異的に反応
する有用な抗原性を有するポリペプチドを効率よく生産
することが出来る。こうして得られたポリペプチドは、
C型肝炎の診断薬として利用できるが、C型肝炎の診断
薬として完全なものがない現在、本発明はきわめて大き
い意義を持つ。
本発明により得られた有用な抗原性を有するポリペプ
チドは、C型肝炎の患者血清中に存在する抗C型肝炎ウ
イルス抗体を特異的に認識するため、凝集法による診断
用抗原や、酵素抗体法(ELISA)による診断用抗原とし
て応用できる。
〔実施例〕
以下に本発明を具体的に例示するために実施例を示す
が、本発明の範囲はこの実施例に限定されるものではな
い。
実施例1 (RNAの調製) 輸血後非A非B患者血清300mを、19,000rpmで16時
間超遠心し、沈澱を得た。該沈澱物をGITC溶液100mに
溶解し、該溶解物100mに対して、100mのフェノール
−クロロホルム(1:1)を加え、15分間室温で振盪後、3
000rpm、15分間遠心した。該反応液の水層を取り出し、
水層100mに対して、isopropyl alcohol 100mを加
え、−20℃に3時間放置した。放置後、3000rpm,15分間
遠心し、沈澱物を得た。
該沈澱物に対して、GITC溶液10mを加え、溶解させ
る。該溶解液に対して、10mのフェノール−クロロホ
ルム(1:1)を加え、10分間室温で振盪後、3000rpm,15
分間遠心した。該反応液の水層を取り出し、水層10m
に対して、クロロホルム20mを加え、5分間振盪し
た。振盪後、3000rpm,15分間遠心し、水層10mを得
た。該水層10mを取り出し水層10mに対して、5M NaC
l溶液0.4mを加えた。
混合した後、30mの氷冷エタノールを添加し、−20
℃で12時間放置した。放置後、3000rpm,15分間遠心し、
沈澱物を得た。該沈澱物を75%エタノールで洗浄し、乾
燥後、蒸留水200μに溶解し、RNA溶解液を得た。
尚、GITC溶液の組成は、4Mグアニジウムイソチアネー
ト(フルカ(株)製,25mMクエン酸ソーダ,0.5%サルコ
シル,0.1Mメルカプトエタノールである。
(PCR法による遺伝子増幅) 得られたRNA溶液4μに、逆転写酵素反応液[250mM
Tris・HCl(pH8.3),375mM KCl,50mM DTT,15mM MgC
l2]2μ、塩基配列が(5′)AGTTCATCCAGGTACAACCG
AACCA(3′)で示される25塩基のプライマー溶液1μ
(100ng/μ)、4種類のデオキシヌクレオチド[dA
TP,dGTP,dCTP,dTTP、各15mM]を各0.5μずつ加えて、
9μの溶液を作った。
これにミネラルオイルを加えて、70℃、2分間加熱
し、ついで37℃に冷却し、逆転写酵素1μ(BRL社製
品)を加え、37℃で60分反応させた。
この反応液(10μ)に、更にPCR反応液[400mM Tri
s・HCl(pH8.8),100mM硫酸アンモニウム,40mM塩化マグ
ネシウム,60mMメルカプトエタノール,0.1%BSA]8.3μ
、4種類のデオキシヌクレオチド[dATP,dGTP,dCTP,d
TTP、各15mM]を各5μずつ、塩基配列(5′)AGGCT
AGCCAGCTGCCGACCCCTTACCGATTTTGACCAGGGCTGGGGCCCTATCA
GTTA(3′)で示される59塩基のプライマー溶液1μ
(100ng/μ)、塩基配列(5′)AGTTCATCCAGGTACAAC
CGAACCA(3′)で示される25塩基のプライマー溶液1
μ(100ng/μ)、水0.7μを加え、全量49μの
溶液とした。
この溶液92℃、5分間処理し、室温に冷却してTaqポ
リメラーゼ1μ(2単位、New England Biolabs社製
品)を加えた。以下、アニール(55℃、45秒)、ポリメ
リゼーション(72℃、2分)、変性(90℃、1分)を、
35回繰り返して、DNAの増幅を行った。なお、本方法で
使用したプライマーを、カイロン社がEP0318216に発表
したHCVの遺伝子の塩基配列番号で示せば、以下の通り
である。まず59塩基のものは、15〜73番目のコーディン
グ鎖に相当し、つぎに25塩基のものは297〜321番目の逆
鎖に相当する。
以下、PCR法により増幅した遺伝子産物のクローニン
グについて述べるが、このクローニングの方法はマニア
ティスらの方法[Molecular Cloning,Cold Spring Harb
or Laboratory,New York(1982).]に従って行った。
まず増幅した遺伝子産物(307塩基対)をアガロースゲ
ル(2%)で電気泳動し、これから目的の長さのDNAを
回収した。ついでこれをKlenow fragment酵素処理し、D
NAの末端を平滑に揃え、更にT4ポリヌクレオチドキナー
ゼにより、5′末端をリン酸化した。これをプラスミド
ベクターpTZ19RのHinc II部位に挿入し、遺伝子のクロ
ーン化を行った。ついで、得られたクローンの307塩基
の配列を決定した。
決定した塩基配列をもとに、20塩基のオリゴヌクレオ
チド(5′)GGGCTCGGAGTGAAGCAATA(3′)[カイロン
社の発表した配列の171−190番目に逆鎖に相当する]
と、24塩基のオリゴヌクレオチド(5′)GCGTCGGAGGTG
TGTGGTCCAGTG(3′)[カイロン社の発表した配列の14
7〜170番目のコーディング鎖に相当する]の2種類を合
成した(アプライドバイオシステムズ社製品、340A型機
を使用した)。
(cDNAライブラリーの構築) cDNA合成はBRL社の合成キットを使用した。その方法
はcDNA合成マニュアル[BRL/コスモバイオ社Instructio
n Manual,Cat.No.8267SA]に従って行った。本実施例の
(RNAの調製)の項で、非A非B患者血清より調製した
1本鎖RNA溶液5μに、20塩基のオリゴヌクレニチド
を5μ(100μM)加え、逆転写酵素反応を行わせ
て、RNA/DNAの2本鎖とした。次いで大腸菌DNAポリメラ
ーゼIと、大腸菌RNA分解酵素Hとを加え、DNA/DNA2本
鎖とした。
次に、こうして得られた2本鎖DNAの両末端にEcoR I
リンカーを結合させた。この処理には宝酒造の酵素を用
い、宝酒造の酵素に添付されている反応条件で反応を行
った。まず2本鎖DNA約1μgを用いて、EcoR Iメチラ
ーゼ処理を行い、その後T4DNAリガーゼ反応によりEcoR
Iリンカーd(GGAATTCC)を結合させた。最後に得られ
た反応液をEcoR Iで切断し、EcoR I断片を回収した。
最後にこのEcoR I断片をλgt11のEcoR I部位に挿入
し、組換えλgt11ファージを作成したが、これにはStra
tagene社のキットGIGAPACK II GOLDを用い、方法はキッ
トに添付されているマニュアル[Protocol/Instruction
Manual Cat.#200214,200215,200216,December 6,198
9]に従った。まずλgt11のEcoR I部位にEcoR I断片を
挿入し、これをT4リガーゼにより結合させた。得られた
組換えファージDNA溶液をGIGAPACK II GOLDのIn Vitro
Packaging Kitを用いて、ファージに戻した。この時の
タイターを滴定した所1.2×106であった。このタイター
値は、独立したクローンの数を示す。
(プラークハイブリダイゼーション) プラークハイブリダイゼーションの方法はマニアティ
スらの方法[Molecular Cloning,Cold Spring Harbor L
aboratory,New York(1982).]に従って行った。まず
大腸菌Y1090をホストとし、直径15cmのプレート10枚
に、得られた組換えλgt11ファージ5×105相当を出現
させた。得られたプラークを、ニトロセルロースに写し
取り、24塩基のオリゴヌクレオチドをプローブとしてハ
イブリダイゼーションを行った。こうして、1kb以上の
挿入断片をもつクローン8株を選択し、この中で最も長
い断片を持つクローンを1株選び出した。そして、この
クローンのDNAをとり、EcoR Iで切断して、約1.2kbの断
片を回収した。この断片はプラスミドベクターpTZ19Rの
EcoR I部位にのせ換えた。
この組換えプラスミドをpHCVSP4と名付け、更にこの
プラスミドのEcoR I断片の塩基配列を直接調べた。この
ためにデリーションプラスミドを構築したが、これはヤ
ニシュ・ペロンらの方法[Gene,Vol.33,pp.103−119(1
985).]に従い、またプラスミド法による塩基配列の
決定は服部らの方法[Anal.Biochem.,Vol.152,pp.232−
238(1986).]に従った。こうしてpHCVSP4のEcoR I断
片、約1.2kbの塩基配列を決定した。この結果を第1図
に示す。なお、第1図には、対応するアミノ酸配列も示
す。この遺伝子断片のEcoR Iリンカーを除いた領域をSP
4と呼び、この領域は1251塩基から成る。
実施例2 (組換え転移ベクターの製造) 第1図に示すHCV構造遺伝子領域SP4が、大腸菌ベクタ
ーpTZ19BのEcoR I部位に挿入された、プラスミドpHCVSP
4を大量調製し、その200μgを第1表のNo.1に示す組成
の溶液に溶解し、次いで、EcoR I制限酵素(宝酒造
(株)社製No.1040S)を断続的に9時間添加していき、
切断反応を行った。
アガロースゲル電気泳動により切断反応の終了を確認
後、該HCVSP4切断溶液に対してラージスケールのアガロ
ースゲル電気泳動を行った。そして、HCV構造遺伝子を
含むEcoR I−EcoR I断片に相当するバンド部分の寒天片
を切り出し、電気泳動による溶出によって該断片を抽出
した。次いで、抽出液を更にフェノール抽出し、エタノ
ール沈澱してHCV構造遺伝子を含むEcoR I−EcoR I断片
を50μgを得た。
一方、カイコの発現系ベクターpBF124,10μgを第1
表No.1に示す組織の溶液に溶解し、次いでEcoR I制限酵
素を断続的に9時間添加していき、切断反応を行った。
次いで得られた反応液にアルカリフォスファターゼ
(宝酒造(株)製No.2120)1μを加え、60℃で30分
間反応させた。アルカリフォスファターゼ反応停止後、
該反応液をフェノール抽出、エタノール沈澱し、EcoR I
制限酵素で切断されたpBF1245μgを得た。
そして、該ベクター0.2μgと前記HCV構造遺伝子を含
むEcoR I−EcoR I断片2μgとをDNAライゲーションキ
ット(宝酒造(株)製No.6021)を用いてライゲーショ
ンを行った。
そして該操作により得られた接続反応液25μを大腸
菌JM109株コンピテントセル懸濁液200μに添加し、氷
上で30分放置した。その後42℃で2分間ヒート・ショッ
クし、更に氷上で5分間放置した後、LB液体培地800μ
を添加し、37℃で1時間おだやかに振盪培養した。
該媒体培地100μをアンピシリン100μg/mを含むL
B液体培地1.5mに接種し、37℃で8時間培養した。そ
れぞれの液体培地から1mずつ採取し、各採取培地中の
大腸菌内に所在するプラスミドをミニプレパレーション
法により抽出した。得られた各プラスミドのそれぞれを
EcoR I制限酵素で切断反応を行った。反応後、各反応液
をアガロースゲル電気泳動し、HCV構造遺伝子を含むEco
R I−EcoR I断片がpBF124に挿入しているプラスミドを
見出した。
そして、更にHCV構造遺伝子を含むEcoR I−EcoR I断
片がpBF124に挿入しているプラスミドを第1表No.2に示
す組織の溶液に溶解し、次いで、Sma I制限酵素(宝酒
造(株)製No.1085A)およびHpa I制限酵素(宝酒造
(株)製No.1064S)の両制限酵素を同時に添加して、切
断反応を行った。反応後、各反応液をアガロースゲル電
気泳動し、HCV構造遺伝子を含むEcoR I−EcoR I断片がp
BF124に正しい方向に挿入しているプラスミドを確認し
た。
この確認したプラスミドを所有している大腸菌が存在
する培養液から0.2mを採取し、アンピシリン10μg/m
を含むLB液体培地50mに接種後、37℃で12時間培養
した。
該媒体培地中の大腸菌内に存在するプラスミドをミデ
ィアム・プレパレーション法により抽出し、組換えベク
ターpHC1244 200μgを得た。
以上の工程を第5図に示す。
(組換えウイルスの製造) BmNPV T3株のウイルスDNAと前記組換えベクターpHC12
44とが1:100のモル比に調合された第2表の組成液I245
μを第2表の組成液II255μと混合した。
生じた懸濁液0.5mをTC−10(第3表)培地で培養し
ているカイコ樹立培養細胞Bm N4液(4×105Bmcells/m
)5mに加え、27℃、3時間の培養により、pHC1244
とBm NPV DNAのカイコ樹立細胞への感染導入を行った。
該DNAが導入されたBmN4細胞にTC−10培地の交換を行
った後、27℃で5日間培養した。次いでこの培養物を遠
心分離(1500rpm,10分間)し、得られた培養上清を組換
えウイルスクローニング用反応液とした。
該当クローニング用反応液をTC−10培地で10-6,10-7,
10-8に希釈し、それぞれ10mの希釈反応液とした。該
希釈反応液10mに対して、それぞれカイコ樹立培養細
胞BmN4液(105Bmcells/m)10mを混合し、該混合液
を200μずつ96穴のマイクロタイター・トレーの中に
分注し、27℃で5日間培養した。5日間培養後、マイク
ロタイター・トレーを検鏡し、細胞表面が粗く変形し、
ウイルスが感染した形態を示しているカイコ樹立培養細
胞で且つ該細胞内に多角体タンパクが検出されないウエ
ルを見い出し、そこから培養物を回収した。得られた培
養ものを遠心分離し、上清15μを組換えウイルスのポ
リペプチド発現用反応液とした。該反応液は、プラーク
検定で1×107PFU/mの力価を示す組換えウイルス液で
あった。尚、このポリペプチド発現用反応液を用い、組
換えウイルスのカイコ樹立培養細胞BmN4への感染、培養
を行い、組換えウイルスを増殖させた。この組換えウイ
ルスの増殖操作は、培養物の遠心分離(1500rpm,10分)
による上清液14mが、プラーク検定で1×108PFU/m
の力価を有するまでくり返し行った。
上記TC−10の培地は、第3表の培地900mに対し硫酸
カナマイシン(萬有製薬(株)製)60mgを添加し、次い
で、pH6.30〜6.35に調整し、濾過滅菌後、牛胎児血清10
0mを添加することにより調整される。
第 3 表 培地組織 NaCl 0.5 g KCl 2.87g CaCl2・2H2O 1.32g MgCl・6H2O 2.28g MgCl・7H2O 2.78g Tryptose 2.0 g デキストロース 1.1 g (glucose) L−glutamine 0.3 g soln A 100m soln B** 100m soln C*** 1m NaH2PO4・2H2O 100m (0.891g/100m) NaHCO3 100m (0.35g/100m) H2Oで全量900mとする soln Aの組成 L−Arginine 5.79g L−Aspartic acid 3.5 g L−Asparagine・H2O 3.98g L−Alanine 2.25g β−Alanine 2.0 g L−Glutamic acid 6.0 g L−Glutamine 3.0 g Glycine 6.5 g L−Histidine 25.0 g L−Isoleucine 0.5 g L−Leucine 0.75g L−Lysine・HCl 6.25g L−Methionine 0.5 g L−Proline 3.5 g L−Phenylalanine 1.5 g DL−Serine 11.0 g L−Threonine 1.75gL−Valine 1.0 g H2Oで全量1000mとする** soln Aの組成 L−Cystine 0.25g L−Tryptophane 1.0 gL−Tyrosine 0.5 g H2Oで全量1000mとする** soln Aの組成 Thiamine・HCl 2.0mg Riboflavine 2.0mg D−Ca pantothenate 2.0mg Prydoxine・HCl 2.0mg Para−aminobenzoic acid 2.0mg Folic acid 2.0mg Nicotinitol 2.0mg Iso−Inositol 2.0mg Biotin 1.0mgCholine Cl 20.0mg H2Oで全量1000mとする (ポリペプチドの製造) カイコ樹立培養細胞BmN4を75cm2の培養フラスコ(コ
ーニング(株)製)で培養し、3×106Bmcells/フラス
コになるまで27℃で培養した。次いで、培養したカイコ
樹立培養細胞BmN4が容器の底面からはがれないように培
地を抜きとり、更に、上記増殖させた組換えウイルス液
5mを添加し、室温で1時間感染した。感染後、TC−10
培地10mを添加し、27℃、5日間培養した。5日間培
養後培養物を回収し、遠心分離(1500rpm,15分)した。
沈澱物(ウイルス成熟細胞)をPBS緩衝液で洗浄し、5
0mM Tris−HCl(pH7.4)10mに懸濁、ソニケーション
後、遠心分離(8000rpm,20分)した。沈澱物として得ら
れたポリペプチド90μgにレムリ緩衝液200μを添
加、懸濁したものを、煮沸し、遠心した上清をSDSゲル
電気泳動の試料とした。
こうしてSDS電気泳動を行ったゲルを用いて、ウエス
タンブロッティング分析を行った。ゲルからの蛋白質の
ブロッティングは、アトー社製製品ホライズブロット装
置を用いて電気的に行い、膜はイモビロンPVDFトランス
ファーメンブレン(ミリポア社製品)を用いた。また、
その方法はアンダーセンらの方法[J.Biochem.Biophys.
Method,Vol.10,p203(1984).]に従って行った。
こうして蛋白質がブロッティングされたイモビロンPV
DFトランスファーメンブレンに対して、一次抗体として
正常人血清、または輸血後非A非B肝炎患者血清をそれ
ぞれ反応させ、更にアビジン/ビオチン化酵素複合体法
により、分析を行った。この実験はドービンらの方法
[Proc.Natl.Acad.Sci.,U.S.A.,Vol.76,p4350(197
9).]に従って行った。
その結果、正常人血清を使用した場合には陽性なバン
ドは見られなかったが、輸血後非A非B肝炎患者血清使
用した場合には、分子量約50キロダルトン(kd)に相当
するバンド、約45kdに相当するバンド、約21kdに相当す
るバンドが検出された。
なお、50kdの分子量は、遺伝子構造から推定される融
合蛋白質の分子量、すなわちpBF124に由来するカイコ多
角体蛋白質遺伝子がコードする蛋白質部分の分子量と、
HCV構造蛋白質遺伝子領域に由来する蛋白質部分の分子
量の合計分子量に相当する。
実施例3 実施例2で得た増殖させた組換えウイルス液を、50μ
ずつ5令1日目のカイコ100匹に、それぞれ経皮的に
接種し、27℃で14日間、桑葉のペースト片を与えて飼育
後、解剖し、脂肪体を集めた。この脂肪体にリン酸バッ
ファー生理食塩水(PBS)10mを加えて洗浄後、再度50
mM Tris・HCl(pH7.4)を10m加えて懸濁し、超音波砕
後、遠心分離して沈澱物を2mgを得た。
この沈澱物に対し、実施例2と同じ方法により、SDS
電気泳動を行い、更にウエスタンブロッティング分析を
行った。この分析に用いた抗体は、1次抗体2次抗体と
も、実施例2と同じものを用いた。
その結果、正常人血清を使用した場合には陽性なバン
ドは見られなかったが、輸血後非A非B肝炎患者血清を
使用した場合には、分子量約50キロダルトン(kd)に相
当するバンド、約45kdに相当するバンド、約21kdに相当
するバンドが検出された。
実施例4 (ポリペプチドの分析) カイコ樹立培養細胞BmN4を225cm2の培養フラスコ(コ
ーニング株製)で培養し、1×107Bm cells/フラスコに
なるまで27℃で培養した。それを30フラスコ用意した。
次いで、培養したカイコ樹立培養細胞BmN4が容器の底面
からはがれないように培地を抜きとり、更に増殖させた
組換えウイルス(BmNPV F4)液15mをそれぞれ添加
し、室温で1時間感染した。感染後、TC−10培地30m
をそれぞれ添加し、27℃,5日間培養した。
5日間培養後、培養物を回収し、遠心分離(1500rpm,
15分)した。得られた沈澱物をPBS緩衝液で洗浄し、50m
M Tris・HCl(pH7.4)200mに懸濁し、ソニケーション
後、遠心分離(8000rpm,20分)した。
該沈澱物に対して、RIPA(−SDS)緩衝液200mに再
懸濁し、ソニケーションした後、遠心分離(8000rpm,20
分)した。該沈澱物に対してレムリ緩衝液3mを添加、
懸濁したものを煮沸し、遠心した(8000rpm,20分)遠心
した上清に対して、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳
動を行った。電気泳動後、ゲルを2M KCl溶液に浸漬し、
分子量50kdの位置に出現した白色バンドを切り出し、0.
1Mトリス、0.1Mトリシン、0.1%SDSの溶出液を使用して
電気的に溶出した。これによって、2mgのポリペプチド
を含む溶液が得られた。
該溶液1mg分をイモビロンPVDFトランスファーメンブ
レン(ミリポア社製)にスポットし、アトー社製品ホラ
イズブロット装置を用いてブロッティングを行った。ま
た、その方法はPaul Matsudairaの方法[The Journal o
f biological chemistry,Vol.262,No.21,pp.10035〜100
38(1987).]に従って行った。
クーマシーブルー R−250(Σ社製)で染色された
スポットを切り出し、ABI model 477A/120Aアミノ酸配
列決定システム(ABI社製)使用したアミノ酸配列を決
定した。尚、キャリヤーとしてバイオブレンプラス(AB
I社製)を用いた。
またポリペプチド溶液1mg分を凍結乾燥した。該凍結
乾燥物に対して6N HClを加えて溶解し、105℃,22時間加
水分解した。
該加水分解物に対して日立835型アミノ酸分析システ
ム(日立製作所(株)製)を使用して、アミノ酸組成を
分析した。
尚、RIPA−(SDS)緩衝液の組成は、10mM Tris・HCl
(pH7.4),1%NP−40,0.1%Sodium deoxy cholate,0.15
M NaCl,1mM EDTA,2mM PMSF,1%Triton−X,1mM dithioth
reitol(DTT)である。
こうして決定されたポリペプチドのN末端から34残基
までのアミノ酸配列の結果を下に示すが、これは遺伝子
から予想される配列と同一である。
またアミノ酸組成の分析結果を以下に示すが、これも
遺伝子構造から予想されるものとほぼ同じであった。以
下、アミノ酸の種類、1分子あたりのアミノ酸組成の実
測値(配列からの予想値)の順に示すとおり、Gly37.5
(38)、Ala42(41)、Val33(35)、Leu40(40)、Ile
19.5(20)、Met15(14)、Phe15(14)、Pro30(2
9)、Ser38(39)、Thr27(27)、Asp19(19)、Glu12
(12)、Lys10(9)、His14(14)、Arg32(34)、Tyr
20(19)であった。以上の結果から、得られたポリペプ
チドは第4図に示すアミノ酸配列をもつポリペプチドと
確認された。
なお、第4図に対応する遺伝子構造も示した。この図
の、遺伝子の塩基番号1〜126まではpBF124に由来する
カイコ核多角体蛋白質の遺伝子領域であり、番号127〜1
33と番号1385〜1391の2個所はλgt11組換えファージ作
成の時に用いたEcoR Iリンカーに由来する遺伝子領域で
あり、134〜1384までの1251塩基はC型肝炎ウイルス構
造蛋白質遺伝子領域であり、番号1392〜1398はpBFベク
ターのカイコ核多角体遺伝子の最後の領域に相当するも
のである。
【図面の簡単な説明】
第1図はHCVの構造蛋白質遺伝子及びそれに対応するア
ミノ酸配列を示す図、第2図はBmNPVの遺伝子地図と制
限酵素地図を示す図、第3図は転移ベクターpBF124の構
造を示す図、第4図はカイコ核多角体蛋白質の遺伝子の
一部を付加したHCVの構造蛋白質遺伝子およびそれに対
応するアミノ酸配列を示す図、第5図は組み換えベクタ
ーpHC1244の構築図である。
フロントページの続き (72)発明者 土方 誠 東京都中央区築地5―1―1 国立がん センター研究所内 (72)発明者 九内 健志 山口県徳山市御影町1番1号 徳山曹達 株式会社内 (72)発明者 菊池 匡芳 山口県徳山市御影町1番1号 徳山曹達 株式会社内 (56)参考文献 Virology,Vol.147 (2),p264−274(1985) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 15/00 C12P 21/02 C07K 14/18 CA(STN) BIOSIS(DIALOG) WPIDS(STN) GenBank,EMBL,DDBJ, SwissProt,PIR,Gene seq

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記のアミノ酸配列をコードする塩基配列
    を含むC型肝炎ウイルスの構造蛋白質遺伝子。
  2. 【請求項2】下記の塩基配列を含むC型肝炎ウイルスの
    構造蛋白質遺伝子。
  3. 【請求項3】請求項1又は2記載のC型肝炎ウイルスの
    構造蛋白質遺伝子を含む領域を、バキュロウイルスの多
    角体蛋白質遺伝子のプロモーターを含む転移ベクターに
    挿入して得た組換え転移ベクター。
  4. 【請求項4】請求項3記載の組換え転移ベクターとバキ
    ュロウイルスとを昆虫細胞に感染導入して得た、請求項
    1又は2記載のC型肝炎ウイルスの構造蛋白質遺伝子を
    含む組換えウイルス。
  5. 【請求項5】請求項1又は2記載のC型肝炎ウイルスの
    構造蛋白質遺伝子を含む領域を、バキュロウイルスの多
    角体蛋白質遺伝子のプロモーターを含む転移ベクターに
    挿入して組換えベクターを調製し、ついで該組換えベク
    ターとバキュロウイルスとを昆虫細胞に感染導入して、
    該構造蛋白質遺伝子を含む領域を有する組換えウイルス
    を調製し、更に該組換えウイルスを昆虫細胞あるいは昆
    虫の幼虫に感染させて、ポリペプチドを得ることを特徴
    とするHCV抗原活性ポリペプチドの製造方法。
  6. 【請求項6】下記のアミノ酸配列を含むHCV抗原活性ポ
    リペプチド(I)。
  7. 【請求項7】下記のアミノ酸配列を含むHCV抗原活性ポ
    リペプチド(II)。
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