JP2002512002A - 新規なレオウイルス由来タンパク質、このタンパク質をコードする核酸、およびその使用 - Google Patents

新規なレオウイルス由来タンパク質、このタンパク質をコードする核酸、およびその使用

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JP2002512002A
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Abstract

(57)【要約】 本発明によれば、これら3種類の異なる融合原性オルトレオウイルス(すなわち、トリレオウイルス(ARV)、ネルソンベイウイルス(NBV)およびヒヒレオウイルス(BRV))によって誘導される膜融合およびシンシチウム形成に関与するウイルスタンパク質を同定しされる。これらのタンパク質をコードする遺伝子をクローニングし、配列決定したところ、その機能分析は、感染細胞中のこれらのタンパク質の発現により細胞−細胞融合を生じることを示唆している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の分野】
本発明は、新規なウイルス由来のタンパク質、およびその使用に関する。
【0002】
【発明の背景】
真核細胞の完全性および機能は、不透過性脂質二重層によって取り囲まれた個
別の膜隔室の存在によって変化する。これらの脂質二重層の疎水性は、ほとんど
総ての種類の帯電したまたは極性分子に対する効果的なバリヤーとしての働きを
示す。細胞膜の不透過性は、臨床および研究用途のいずれにおいても核酸、タン
パク質および薬理学的薬剤の効果的な細胞内送達における混乱要因であり、リポ
ソームを基剤とする送達系が開発されるようになった(例えば、Mannino, Biote
chniques, 6:682-690 (1988), およびGao, Gene Ther., 2:710-722 (1995)を参
照されたい)。
【0003】 リポソームを基剤とする送達系の意図するところは、液状小胞体内部に生物活
性分子を封入して、リポソーム−細胞融合を促進し、細胞内送達を容易にするこ
とである。しかしながら、脂質二重層の両面に配向した極性脂質ヘッドグループ
(headgroups)は、会合した水層と共に、自発的な膜融合を熱力学的に好ましくな
い工程とする。また、細胞−細胞膜融合(精子−卵融合または筋肉細胞の筋管へ
の分化の際など)および細胞内膜融合(細胞での小胞輸送系の一部など)は、本
質的な細胞工程である(White, Science, 258:917-924 (1992))。
【0004】 天然の細胞−細胞融合の他に、実験的に誘導した細胞−細胞融合も、研究目的
でのヘテロカリオンの産生並びに商業的応用に重要な方法である。様々な化学薬
剤や脂質を用いて膜融合を実験的に促進することができるが、これらの試薬は通
常は細胞毒性効果を示す(例えば、Iwamoto et al., Biol. Pharm. Bull., 19:8
60-863 (1996)およびMizuguchi et al., Biochem. Biophys. Res. Commun., 218
:402-407 (1996)を参照されたい)。生理学的条件下での膜融合はタンパク質介
在性であると一般に考えられており、これによりプロテオリポソーム(すなわち
、膜融合を促進するタンパク質を含むリポソーム)が開発され、一層効率的なリ
ポソーム−細胞融合が促進され、細胞毒性が減少した(例えば、Cheng, Hum. Ge
ne Ther., 7:275-282 (1996); Hara et al., Gene, 159:167-174 (1995);および
Findeis et al., Trends Biotechnol., 11: 202-205 (1993)を参照されたい)。
【0005】 膜融合の増大に用いられるタンパク質の選択は、それらの利用可能性によって
限定されている。膜融合を誘導することが最終的に示されている唯一のタンパク
質は、エンベロープウイルスのタンパク質である。総てのエンベロープウイルス
は、ウイルスエンベロープと細胞膜との融合に関与する融合タンパク質をコード
する。これらのウイルス融合タンパク質は、感染を受けやすい細胞の感染を成功
する上で本質的なものである。実際に、それらの作用機序は、タンパク質介在膜
融合の典型である(例えば、White, Ann. Rev. Physiol., 52:675-697 (1990)、
およびWhite, Science, 258:917-924 (1992)を参照されたい)。
【0006】 ほとんどのエンベロープウイルス融合タンパク質は、比較的(relatively)大き
いマルチマー性のI型膜タンパク質であり、例えばインフルエンザウイルスHA
タンパク質、低pHで活性化される融合タンパク質、および中性pHで作用する
センダイウイルスFタンパク質である。融合タンパク質の大半は、ビリオンの外
部表面に位置しており、ウイルス粒子と細胞膜との相互作用を促進する。ウイル
スエンベロープと細胞膜との融合は、融合ペプチドモチーフと呼ばれ、ウイルス
融合タンパク質の一部である両親媒性アルファ−ヘリックス領域によって伝達さ
れる。膜融合の開始における融合ペプチドの重要性を認識することにより、リポ
ソーム−細胞融合を増大させる融合ペプチドに類似の小型ペプチドが用いられる
ようになった(例えば、Muga et al., Biochemistry, 33:4444-4448 (1994)を参
照されたい)。
【0007】 エンベロープウイルス融合タンパク質は、細胞−細胞融合も開始し、ポリカリ
オン(シンシチウム)を形成する。感染細胞内部でのウイルス融合タンパク質の
合成により、融合タンパク質は小胞体およびゴルジ輸送系を介して細胞膜へと輸
送されるのであり、感染細胞から感染性の子孫ウイルス粒子の集結および発芽に
おける本質的段階である(Petterson, Curr. Top. Micro. Immunol., 170:67-10
6 (1991))。融合タンパク質の合成、輸送および折畳みは、様々な成分、例えば
タンパク質を細胞内輸送通路へ標的設定するためのシグナルペプチド、タンパク
質へのN−結合炭水化物付加のためのグリコシル化シグナル、およびタンパク質
を細胞膜に固定するための膜貫通ドメインによって促進される。効率的な膜融合
を促進するエンベロープウイルス融合タンパク質の能力により、細胞培養および
イン・ビボのいずれにおいてもタンパク質が介在するリポソーム−細胞融合を増
大するための再構成プロテオリポソーム(ヴィロソーム)においてこれらのタン
パク質が用いられるようになった(例えば、Ramani et al., FEBS Lett., 404:1
64-168 (1997); Scheule et al., Am. J. Respir. Cell Mol. Biol., 13:330-34
3 (1995);およびGrimaldi, Res. Virol., 146:289-293 (1995)を参照されたい)
【0008】 エンベロープウイルスとは異なり、エンベロープのないウイルスは、ウイルス
膜がなく、膜融合によって実現される侵入が妨げられるので、一般に融合タンパ
ク質をコードしない。エンベロープのないウイルスの子孫ウイルス粒子は脂質エ
ンベロープを獲得する必要がないので、これらのウイルスは通常は感染細胞から
は発芽しないで、むしろ細胞溶解によって放出される。その結果、エンベロープ
のないウイルスは、感染細胞の表面に融合タンパク質を発現せず、従って、シン
シチウム形成を誘発しない。この状況の唯一の例外は、分割された二本鎖RNA
(dsRNA)ゲノムを含むエンベロープのないウイルスの科であるReoviridae
科(Duncan et al., Virology, 212:752-756 (1995)およびそこに引用されてい
る文献を参照されたい)の選択されたウイルスを用いて起こる(例えば、「レオ
ウイルスおよびその複製(Nibert et al., Reoviruses and their replication)
」:基礎ウイルス学(Fundamental Virology), 第3版, B.N. Fields, D.M. Knip
e and P.M. Howley(監修), Lippincott-Raven Press, ニューヨーク(199
6年)を参照されたい)。
【0009】 従って、膜融合を誘導する付加タンパク質を同定し、膜融合を誘導する新規な
方法を開発することが望ましい。これらおよび他の要求は、本発明の明細書およ
び特許請求の範囲を再検討することによって明らかになるように、本発明によっ
て満足される。
【0010】
【発明の概要】
発明の簡単な説明 Orthoreovirus属は、2つの異なるサブグループである、トリおよび哺乳類レ
オウイルスを含む。哺乳類のものとは異なり、トリレオウイルス(avian reoviru
s)(ARV)は総て融合原性(fusogenic)であり、速やかかつ広汎な細胞−細胞
融合を誘導し、感染細胞培養物中でシンシチウムを形成する(Robertson and Wi
lcox, Vet. Bull., 56:726-733 (1986)を参照されたい)。ARVの他に、細胞
−細胞融合を誘導する2種類の例外的な哺乳類レオウイルスがあり、1つはオオ
コウモリから単離され、ネルソンベイ(Nelson Bay)ウイルス(NBV)と命名
されており(Gard and Compans, J. Virol., 6:100-106 (1970)を参照されたい
)、他方はヒヒから単離され、ヒヒレオウイルス(BRV)と呼ばれている(Du
ncan et al., Virology, 212:752-756 (1995)を参照されたい)。
【0011】 本発明によれば、これら3種類の異なる融合原性オルトレオウイルスによって
誘導される膜融合およびシンシチウム形成に関与するウイルスタンパク質を同定
した。これらのタンパク質をコードする遺伝子をクローニングし、配列決定した
ところ、その機能分析は、感染細胞(transfected cell)中のこれらのタンパク質
の発現により細胞−細胞融合を生じることを示唆している。
【0012】 これらの例外的なエンベロープのないウイルス融合タンパク質は、これまでに
同定された融合タンパク質のいずれとも無関係であり、ウイルス融合タンパク質
の新規な科であり、エンベロープのないウイルスから最初に同定されたものであ
る。これらの例外的な融合タンパク質の配列分析は、幾つかの特有な構造上の特
徴を示しており、タンパク質が介在するリポソーム−細胞融合による様々な化合
物の細胞内伝達および細胞−細胞融合の促進に用いられる誘因物質としてのそれ
らの有用性を示唆している。本発明のレオウイルス融合タンパク質の構造および
機能的特性決定を、本明細書で説明する。
【0013】
【発明の具体的な説明】
発明の詳細な説明 本発明によれば、 分子量が約11,000であり、 約100未満のアミノ酸残基を有し、 1個の膜貫通ドメインを有し、 比較的小さな細胞内ドメインを有し、 比較的小さな細胞外ドメインであって、両親媒性アルファヘリックスモチーフ
を含む細胞外ドメインを有し、かつ 比較的非免疫原性である、タンパク質であって、 シグナルペプチドおよび N−結合グリコシル化シグナルを欠く、前記タンパク質 が提供される。
【0014】 前記の特性のプロフィールによって包含される典型的なタンパク質としては、
配列番号2に記載したものと実質的に同一のアミノ酸配列を有するタンパク質、
配列番号6に記載したものと実質的に同一のアミノ酸配列を有するタンパク質、
配列番号8に記載したものと実質的に同一のアミノ酸配列を有するタンパク質な
どが挙げられる。
【0015】 前記の特性のプロフィールによって包含される現在好ましいタンパク質として
は、配列番号2に記載したものと同一のアミノ酸配列を有するタンパク質、配列
番号6に記載したものと同一のアミノ酸配列を有するタンパク質、配列番号8に
記載したものと同一のアミノ酸配列を有するタンパク質などが挙げられる。
【0016】 本発明のもう一つの態様によれば、 分子量が約15,000であり、 約150未満のアミノ酸残基を有し、 1個の膜貫通ドメインを有し、 比較的小さな細胞内ドメインを有し、 比較的小さな細胞外ドメインであって、両親媒性アルファヘリックスモチーフ
を含む細胞外ドメインを有し、かつ 比較的非免疫原性である、タンパク質であって、 シグナルペプチド、および N−結合グリコシル化シグナル を欠く、前記タンパク質 が提供される。
【0017】 前記の特性のプロフィールによって包含される典型的なタンパク質としては、
配列番号10に記載したものと実質的に同一のアミノ酸配列を有するタンパク質
が挙げられる。前記の特性のプロフィールによって包含される現在好ましいタン
パク質としては、配列番号10に記載したものと同一のアミノ酸配列を有するタ
ンパク質が挙げられる。
【0018】 本発明の更にもう一つの態様によれば、前記融合タンパク質に対して生じた抗
体が提供される。このような抗体は、診断用途、治療用途などに用いることがで
きる。治療用途には、用いられる抗体はモノクローナル抗体であるのが好ましい
【0019】 前記抗体は、当業者には周知であるように、本発明の融合タンパク質またはそ
の断片を抗体産生の抗原として用いる標準的手法を用いて調製することができる
。本発明の抗体は、典型的には、本発明の融合タンパク質またはそのポリペプチ
ド断片を含む接種物で哺乳類を免役することにより、哺乳類に前記融合タンパク
質またはそのポリペプチド断片に対する免疫特異性を有する抗体分子を産生させ
ることによって生産される。
【0020】 例えば、ウサギで合成ペプチドに対して生じる抗体は、合成ペプチドと本発明
の融合タンパク質を等モルで認識し、好ましくは、それらは生のタンパク質の活
性を阻害することができる。このような融合タンパク質に対する抗体は、例えば
3ヶ月齢の雄および雌白色ニュージーランドウサギを、TyrをC−末端に付加
して、これを抗原として、4℃で2時間反応させることによるビスジアゾ化ベン
ジシン(BDB)結合によってBSAとカップリングさせた合成ペプチドで免役
することによって得ることができる。反応混合物を透析して低分子量物質を除去
し、保持物(retentate)を液体窒素で冷凍し、−20℃で保存する。動物を、Ben
oit et al., P.N.A.S. USA, 79, 917-921 (1982)の方法に準じて、ペプチド抗原
1mgの当量で免役する。4週間間隔で、動物に抗原200μgを注射することに
よって免疫を高め、10〜14日後に採血する。3回目の免疫増強(boost)の後
、抗血清を、クロラミンT法によって調製した放射性ヨウ素化抗原ペプチドと結
合する能力について検討した後、CMC−イオン交換カラムクロマトグラフィー
によって精製する。次に、抗体分子を哺乳類から収集し、例えばDEAE−Seph
adexの使用などの周知の手法によって所望な程度まで単離し、IgG画分を得る
【0021】 抗体の特異性を増強するため、抗体を、固相に付着した免疫ポリペプチドを用
いるイムノアフィニティークロマトグラフィーによって精製することができる。
抗体を、固相に付着した免疫ポリペプチドを抗体分子と免疫反応させ、固相に付
着した免疫複合体を形成するのに十分な時間、このポリペプチドと接触させる。
結合した抗体を、標準的手法によって複合体から分離する。
【0022】 ラジオイムノアッセイを、同一ウサギからの続いて得られる採血からの抗血清
および血清を用いて確立する。生の(natire)タンパク質は、合成ペプチド抗原と
比較して等モルでの抗体によって認識される。
【0023】 このようにして生成した抗体は、とりわけ試験試料に含まれる本発明の融合タ
ンパク質の濃度を検出するための診断法およびシステムに用いることができる。
抗融合タンパク質抗体を、これらの融合タンパク質のイムノアフィニティーまた
はアフィニティークロマトグラフィー精製に用いることもできる。更に、本発明
による抗融合タンパク質抗体を、治療法、例えば望ましくない融合工程の発生の
遮断に用いることができる。
【0024】 本発明の更にもう一つの態様によれば、必要に応じてプロモーターと操作上で
関連した前記タンパク質をコードする核酸が提供される。更に、このような核酸
分子またはその断片を容易に検出可能な置換基で標識し、所定試料中の本発明の
タンパク質をコードする遺伝子またはそのmRNA転写産物の存在および/また
は量のアッセイ用のハイブリダイゼーションプローブとして用いることができる
。本明細書に記載の核酸分子およびその断片は、本明細書記載の融合タンパク質
をコードする遺伝子を増幅するためのPCR反応におけるプライマーおよび/ま
たは鋳型としても用いられる。
【0025】 本発明の実施に使用が考えられる典型的な単離核酸としては、 配列番号1のヌクレオチド25〜1607、 配列番号5のヌクレオチド25〜1607、 配列番号7のヌクレオチド27〜1579、 配列番号9のヌクレオチド25〜832、または 同一アミノ酸配列をコードするが、アミノ酸の幾つかについて異なるコドン
を用いるか、もしくはそれらの変異体ヌクレオチド配列をスプライシングする、
それらの変異種 と実質的に同一の隣接ヌクレオチド配列を有する核酸が挙げられる。
【0026】 本発明により考えられる現在好ましい単離されかつ精製された核酸またはその
機能的断片は、前記タンパク質をコードする核酸、例えば (a)配列番号2、配列番号6、配列番号8または配列番号10に記載のアミ
ノ酸配列をコードするDNA、または (b)適度なストリンジェント条件下において(a)のDNAにハイブリダイ
ズするDNAであって、生物学的に活性な融合タンパク質をコードする前記DN
A、または (c)前記(a)または(b)のいずれかに関するDNA変性体(degenerate)
であって、生物学的に活性な融合タンパク質をコードする前記DNA である。
【0027】 本明細書で用いる「実質的に同一の隣接ヌクレオチド配列」という用語は、対
照ポリヌクレオチドと十分な相同性を有し、当業者によって用いられる典型的な
ストリンジェント条件下において対照ヌクレオチドにハイブリダイズするDNA
を表す。一つの態様においては、対照ヌクレオチドと実質的に同一ヌクレオチド
配列を有するDNAは、配列番号2、6、8または10と実質的に同一のアミノ
酸配列をコードする。もう一つの態様においては、「実質的に同一な隣接ヌクレ
オチド配列」を有するDNAは、被験DNAを比較している対照DNAのヌクレ
オチド配列に対して少なくとも60%の相同性を有する。好ましい態様では、D
NAは、比較用ヌクレオチド配列に対して少なくとも70%、更に好ましくは8
0%の相同性を有し、約90%を上回る相同性が特に好ましい。
【0028】 本発明で使用が考えられるプロモーターとしては、誘導(例えば、最小CMV
プロモーター、最小TKプロモーター、修飾MMLV LTR)、構成的(例え
ば、ニワトリβ−アクチンプロモーター、MMLV LTR(非修飾)、DHF
R)、および/または構成特異的プロモーターが挙げられる。
【0029】 本発明の実施において使用が考えられる誘導プロモーターは、誘導条件下でm
RNAの転写を最大限に促進する働きを有する転写制御領域を含んでなる。適当
な誘導プロモーターの例としては、IPTGに関与するE. coli lacオペレー
ター(Nakamura et al., Cell, 18:1109-1117, 1979参照)、重金属(例えば、
亜鉛)の誘導に関与するメタロチオネインプロモーター金属制御元素(Evans et
al., 米国特許第4,870,009号明細書参照)、IPTGに関与するファ
ージT7lacプロモーター(Studier et al., Meth. Enzymol, 185:60-89, 19
90、および米国特許第4,952,496号明細書参照)、熱ショックプロモー
ター、TK最小プロモーター、CMV最小プロモーター、合成プロモーターなど
に相当するDNA配列が挙げられる。
【0030】 本発明の実施において使用が考えられる典型的な構成的プロモーターとしては
、CMVプロモーター、SV40プロモーター、DHFRプロモーター、マウス
の哺乳類腫瘍ウイルス(MMTV)ステロイド誘導プロモーター、モロニーマウ
ス白血病ウイルス(MMLV)プロモーター、伸張因子1α(EF1α)プロモ
ーター、アルブミンプロモーター、APO A1プロモーター、サイクリックA
MP依存性キナーゼII(CaMKII)プロモーター、ケラチンプロモーター、C
D3プロモーター、免疫グロプリン軽または重鎖プロモーター、ニューロフィラ
メントプロモーター、ニューロン特異的エノラーゼプロモーター、L7プロモー
ター、CD2プロモーター、ミオシン軽鎖キナーゼプロモーター、HOX遺伝子
プロモーター、チミジンキナーゼ(TK)プロモーター、RNA PolIIプロ
モーター、MYODプロモーター、NYF5プロモーター、ホスホグリセロキナ
ーゼ(PGK)プロモーター、Stf1プロモーター、低密度リポタンパク質(
LDL)プロモーターなどが挙げられる。
【0031】 本発明のもう一つの態様によれば、本発明の融合タンパク質をコードする場合
によっては標識したcDNAまたはその断片を用いて、新規な融合タンパク質を
コードする付加配列に対する(複数の)ライブラリー(例えば、cDNA、ゲノ
ムなど)の検出に用いることができる。このようなスクリーニングは、典型的に
は初期には低ストリンジェント条件下において行われ、温度は約42℃未満であ
り、ホルムアミド濃度は約50%未満であり、塩濃度は中〜低である。現在好ま
しいスクリーニング条件は、温度が約37℃であり、ホルムアミド濃度が約20
%であり、塩濃度が約5X標準塩クエン酸塩(standard saline citrate)(SS
C;20X SSCは3M塩化ナトリウム、0.3Mクエン酸ナトリウムを含み
、pH7.0である)である。このような条件では、実質的な程度の相同性を有
する配列をプローブ配列を用いて同定することができ、安定なハイブリッドの同
定について完全な相同性を必要としない。「実質的な相同性」という用語は、少
なくとも50%相同性を有する配列を表す。好ましくは、プローブと少なくとも
70%の相同性を有する配列を同定できるが、プローブとの相同性がこれより低
い程度の配列は差別するハイブリダイゼーション条件が選択される。
【0032】 本明細書で用いられる核酸「プローブ」とは、一本鎖DNAまたはRNA、ま
たはそれらの類似体であって、配列番号1、5、7または9のいずれかに記載の
任意の14以上の隣接塩基と同一(またはの補体)である少なくとも14、好ま
しくは少なくとも20、更に好ましくは少なくとも50個の隣接塩基を含むヌク
レオチドの配列を有するものである。プローブは、以下に記載の当該技術分野で
周知の方法によって標識して、様々な診断キットで用いることができる。
【0033】 本明細書で用いられる様々な文法的形態での「標識」および「表示手段(indic
ating means)」という用語は、検出可能なシグナルの生成に直接または間接的に
関与し、複合体の存在を示唆する単一原子および分子を表す。任意の標識または
表示手段は、核酸プローブ、発現したタンパク質、ポリペプチド断片、または本
発明の抗体またはモノクローナル抗体組成物の一部である抗体分子に結合したり
または組込むことができ、または別個に用いることができる。これらの原子また
は分子は、単独でまたは他の試薬と共に用いることができる。このような標識は
、それ自身は臨床診断化学で周知である。
【0034】 標識手段は、抗体または抗原を変性することなくこれらと化学的に結合して、
有用な免疫蛍光トレーサーである蛍光発色団(fluorochrome)(染料)を形成する
ことができる蛍光標識剤である。適当な蛍光標識剤は、フルオレセインイソシア
ネート(FIC)、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、5−ジメ
チルアミン−1−ナフタレンスルホニルクロリド(DANSC)、テトラメチル
ローダミンイソチオシアネート(TRITC)、リサミン、ローダミン8200
スルホニルクロリド(RB−200−SC)などの蛍光発色団である。免疫蛍光
分析法は、DeLuca, 「免疫蛍光分析(Immunofluorescence Analysis)」、手段と
しての抗体(Antibody As a Tool), Marchalonis et al., John Wiley & Sons, L
td., pp. 189-231 (1982)に記載されており、前記文献の内容は、その開示の一
部として本明細書に引用される。
【0035】 好ましい態様においては、表示基は、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)
、グルコースオキシダーゼなどの酵素である。主要な表示基が酵素である場合に
は、レセプター−リガンド複合体(免疫反応体)が形成されることを可視化する
のに追加の試薬が必要である。HRPに対するこのような追加試薬としては、過
酸化水素、およびジアミノベンジジンのような酸化染料前駆体が挙げられる。グ
ルコースオキシダーゼと共に用いられる追加試薬は、2,2′−アジノ−ジ−(
3−エチル−ベンズチアゾリン−G−スルホン酸)(ABTS)である。
【0036】 放射性元素も有用な標識剤であり、本発明に例示的に用いられる。典型的な放
射能標識剤は、ガンマー放射線を生成する放射性元素である。124I、125 I、126I、131Iおよび51Crのようなガンマー線を放射する元素は、
放射性元素表示基の1つのクラスである。特に好ましいものは、125Iである
。もう一つの群の有用な標識手段は、陽電子を放射する11C、18F、15
および13Nのような元素である。このようにして放射された陽電子は、動物体
に含まれる電子と出会うことによりガンマー線を生成する。32P、111In
またはHのようなベーター線放射体も有用である。
【0037】 標識の基質への結合、すなわち核酸プローブ、抗体、ポリペプチドおよびタン
パク質の標識は、当該技術分野で周知である。例えば、ハイブリドーマによって
産生される抗体分子は、培地に1成分として供給される放射性同位体含有アミノ
酸を代謝的に取込むことによって標識することができる。例えば、Galfre et al
., Meth. Enzymol., 73:3-46 (1981)を参照されたい。活性化官能基によるタン
パク質接合またはカップリングの手法は、特に応用可能である。例えば、Aurame
as et al., Scand. J. Immunol., Vol. 8, Suppl. 7:7-23 (1978); Rodwell et
al., Biotech., 3:889-894 (1984)および米国特許第4,493,795号明細
書を参照されたい。
【0038】 本発明の更にもう一つの態様によれば、前記タンパク質を含む細胞が供給され
る。
【0039】 本発明の更にもう一つの態様によれば、前記核酸を含む細胞が供給される。
【0040】 本発明の更にもう一つの態様によれば、前記タンパク質および/または核酸を
含むリポソームが供給される。当該技術分野で周知のように、リポソームは、中
心に水性区画を包んでいる脂質膜二重層からなる封入された通常は球形の小胞体
である。リポソームは、核酸および他の生物学的材料を哺乳類細胞へ送達するの
に用いることができる。例えば、新分子生物学およびバイオテクノロジー(New,
in Molecular Biology and Biotechnology), pp 514-516, R.A. Meyers監修, VC
H Publishers, ニューヨーク(1995年)、およびその文献に引用されている
文献を参照されたい。
【0041】 本発明の更にもう一つの態様によれば、前記タンパク質の製造方法であって、
適当な宿主において上記タンパク質をコードする核酸を発現することを含んでな
る、前記方法が提供される。
【0042】 本発明の更にもう一つの態様によれば、膜融合を促進する方法であって、融合
させる膜を前記タンパク質の有効量と接触させることを含んでなる、前記方法が
提供される。
【0043】 本発明による融合が考えられる膜としては、細胞膜、リポソーム膜、プロテオ
リポソーム膜などが挙げられる。
【0044】 本発明の更にもう一つの態様によれば、モノクローナル抗体、サイトカインお
よび免疫調節因子の産生に有用なB細胞もしくはT細胞ハイブリドーマ細胞の様
なヘテロカリオンの産生法であって、例えば、不死化した骨髄腫細胞と主要なB
細胞もしくはT細胞を前記タンパク質の存在下にて接触させることを含んでなる
、前記方法が提供される。本発明で使用が考えられる不死化細胞としては、ヒト
またはマウスのB細胞骨髄腫細胞、T細胞骨髄腫などが挙げられ、本発明で使用
が考えられる抗体合成細胞としては、免疫感作した哺乳類由来の精製した脾臓細
胞などが挙げられる。
【0045】 本発明の更にもう一つの態様によれば、リポソーム−リポソーム融合またはリ
ポソーム−細胞融合の生成法であって、リポソームの形成に適する脂質と適当な
細胞とを本明細書記載の1種類以上のタンパク質の存在下にて接触させることを
含んでなる、前記方法が提供される。
【0046】 本発明の更にもう一つの態様によれば、リポソームを用いる生物活性化合物の
細胞内送達の方法であって、前記リポソームに前記の1種類以上のタンパク質を
配合することを含んでなる方法が提供される。
【0047】 効率的な膜融合の能力は、臨床的、工業的および基礎研究の状況に広汎に応用
することができる。レオウイルス融合タンパク質は、化学的に誘導された膜融合
の代替物として用い、例えばモノクローナル抗体産生のためのハイブリドーマ細
胞の生成中に細胞−細胞融合を促進することができる。この場合には、レオウイ
ルス融合タンパク質は、内部の一過性または恒久的なトランスフェクション細胞
個体から誘導発現されて、これらの細胞と標的細胞個体との融合を開始する。
【0048】 例外的なレオウイルス融合タンパク質は、リポソーム−細胞融合の増強にも応
用される。リポソームは、核酸、タンパク質および代謝調節因子を細胞中に導入
するための手段として開発された。リポソーム−細胞融合は十分に説明されてい
るが、膜融合の好ましくない熱力学は融合および細胞毒性の効率の変動に影響し
、これにより細胞結合および融合を促進するための特異タンパク質を含むプロテ
オリポソーム−リポソームが開発される。
【0049】 当該技術分野で報告されているプロテオリポソーム研究のほとんどは、様々な
エンベロープウイルス融合タンパク質の使用に関するものである。本発明によれ
ば、プロテオリポソームで用いる本発明のレオウイルス融合タンパク質と関連し
た新規な構造上の特徴を利用して、細胞培養物およびイン・ビボのいずれでも生
物活性化合物(例えば、核酸、タンパク質またはペプチド、薬理学的化合物など
)の細胞内送達を増進することができる。
【0050】 本発明で記載されるレオウイルス融合タンパク質は、異なる種(例えば、トリ
、およびヒトを含む哺乳類)由来の様々な種類の細胞で膜融合を促進し、細胞レ
セプター特異性が限定されかつこれらのタンパク質が一般的に応用可能であるこ
とを示唆している。リポソーム膜に特異的レセプター結合タンパク質を包含する
ことによって、レオウイルス融合タンパク質含有プロテオリポソームを特異的細
胞型に標的設定することもできる。この場合に、レセプター結合タンパク質は、
リポソームの標的設定した細胞付着を生じ、次いでレオウイルス融合タンパク質
によって伝達されるリポソーム−細胞融合が増大する。
【0051】 P11およびP15が細胞−細胞融合を誘導する能力の説明は、それらをヘテ
ロカリオンの産生、例えばモノクローナル抗体産生のためのハイブリドーマの発
生に使用することができることを示している。細胞−細胞融合の誘導は、通常は
化学的融合原(fusogen)であるポリエチレングリコール(PEG)を用いて開始
される。この手続きにより細胞−細胞融合が開始するが、細胞に対する毒性効果
によりヘテロカリオン単離の効率が妨げられる。「天然」の膜融合はタンパク質
−脂質相互作用によって介在され、従ってタンパク質介在膜融合は、化学的に誘
導される細胞融合より細胞毒性が遙かに低いと思われると一般に考えられている
【0052】 小さなレオウイルス融合タンパク質が効率的な細胞−細胞融合を促進する能力
の説明は、それらを化学的に誘導された細胞融合の代替物として用いることがで
きることを示唆している。強力な誘導プロモーターの制御下での細胞の1個体内
部のP11およびP15の発現により、第二の細胞個体との融合を開始し、細胞
毒性を減少させ、ヘテロカリオン単離を更に効率的にすることができる。
【0053】 本明細書記載のエンベロープのないウイルス融合タンパク質の例外的群は、生
物活性分子の細胞内送達のためのタンパク質によって伝達されるリポソーム−細
胞融合の増大におけるエンベロープウイルス融合タンパク質の使用の代替物であ
る。レオウイルス融合タンパク質の潜在的可能性は、それらの独特な構造および
生物学的特徴に関するものである。構造上の観点からは、レオウイルス融合タン
パク質におけるN−結合グリコシル化が大きさが小さいことおよび存在しないこ
とは、この系によって提供される最も明らかな利点である。エンベロープウイル
ス融合タンパク質のこのサイズの翻訳後グリコシル化および複雑な三次構造によ
り、組換えDNA法および原核または真核性発現系を用いる機能的タンパク質の
合成および精製が問題となっている。
【0054】 プロテオリポソームでのエンベロープウイルス融合タンパク質の使用に関する
研究の大半は、ウイルス粒子の産生に続いて精製、洗剤による可溶化を伴い、融
合タンパク質を含むウイルスエンベロープは、洗剤の除去によって「ヴィロソー
ム」に再構成される(Grimaldi, Res. Virol., 146:289-293 (1995)およびRaman
i et al., FEBS Lett., 404:164-168 (1997)を参照されたい)。エンベロープウ
イルス融合タンパク質のほとんどとは異なり、レオウイルス融合タンパク質は、
小さな非グリコシル化膜タンパク質である。それらの大きさが小さくかつN−結
合グリコシル化が見られないことから、これらのタンパク質は、様々な発現およ
び精製プロトコールを用いて、適正な翻訳後修飾の懸念なしに、機能的形態で生
成するのに一層容易かつ一層経済的になる。また、小さなサイズのレオウイルス
融合タンパク質は、精確なタンパク質の配座に必要な複雑でないタンパク質折畳
み経路および三次構造に寄与すると思われる。結果として、様々な抽出および可
溶化法(例えば、洗剤および変性剤の選択)の増加により、機能融合タンパク質
の精製およびリポソームへの組込みを促進するために利用可能となる。また、レ
オウイルス融合タンパク質の配列は、同時翻訳膜挿入を促進するのに要する明ら
かなシグナルペプチドを示していない。従って、これらのタンパク質は、エンベ
ロープウイルス融合タンパク質とは異なり、シグナルペプチドとは独立した翻訳
後膜挿入が可能であると思われる。翻訳とは独立して膜に挿入する能力により、
これらの融合タンパク質のリポソーム膜への組込みに極めて有利になる。
【0055】 レオウイルス融合タンパク質の興味深い生物学的特性は、それらの免疫原性お
よびpHとは独立した融合機構に関するものである。これらの小型レオウイルス
融合タンパク質が比較的非免疫原性であるという観察は、イン・ビボでのリポソ
ーム−細胞融合を促進するためのそれらの使用について深い意味を有する。細胞
融合を促進するためにリポソーム膜に組込まれた任意のタンパク質に対する効果
的な宿主免疫応答は、不利な結果をもたらす。最も単純なレベルでは、融合タン
パク質に対する中和抗体応答は、送達系の効果を減少させる要因となる。更に重
篤な免疫後遺症は、良好なリポソーム−細胞融合の後に細胞膜における融合タン
パク質を含む細胞の体液性または細胞介在免疫認識を伴う可能性がある。エンベ
ロープウイルス融合タンパク質が強免疫原性であるため、これらの不利な結果は
、プロテオリポソームを含むエンベロープウイルス融合タンパク質の投与後にか
なりの可能性を有し、レオウイルス融合タンパク質の使用に応用することが考え
られない状況となる。最後に、レオウイルス融合タンパク質は、インフルエンザ
ウイルスHAタンパク質とは異なり中性pHで作用し、生理学的条件下での細胞
培養およびイン・ビボでのそれらの使用が簡単になる。
【0056】 レオウイルス融合タンパク質をヘテロカリオン産生に用いるには、タンパク質
を細胞内から標準的組換えDNA法を用いて制御して誘導的に発現させる必要が
ある。この方法の有用性は、非誘導的に相同的細胞−細胞融合において既に示さ
れている。同様に、これらのタンパク質は、異種細胞型間の細胞−細胞融合を誘
導的に促進することができる。
【0057】 リポソーム−細胞融合のためのレオウイルス融合タンパク質の開発には、機能
的融合タンパク質の発現および精製、およびそれらをリポソーム膜に組込んでプ
ロテオリポソームを産生することが必要である。P11およびP15タンパク質
は、標準的方法を用いて発現させ、精製することができる。発現は、タンパク質
の発現レベルおよび機能活性によって様々な発現系、例えば、バキュロウイルス
または酵素真核発現ベクター、または原核発現系を用いて行うことができる。様
々な洗剤抽出法を用いて、タンパク質を可溶化した後、これを、標準的タンパク
質精製法を用いて洗剤−タンパク質複合体として精製することができる。幾つか
の異なる洗剤を用いて、いずれがタンパク質を融合活性を保持したまま可溶化す
るのに有効であるかを決定する必要があることがある。レオウイルス融合タンパ
ク質におけるN−結合グリコシル化が大きさが小さいことおよび存在しないこと
は、タンパク質可溶化および精製は、より大きく更に複雑な膜タンパク質を精製
するための同様な方法よりもかなり単純であることを示唆している。
【0058】 洗剤−タンパク質複合体を脂質と混合し、インフルエンザHAまたはセンダイ
ウイルスFタンパク質含有ヴィロソームを生じさせるのに用いる方法と同様の標
準的な公表された方法に準じて、透析、クロマトグラフィーまたは抽出によって
、洗剤を除去することができる(Grimaldi, Res. Virol., 146:289-293 (1995)
およびRamani et al., FEBS Lett., 404:164-168 (1997)を参照されたい)。こ
れらの方法により、プロテオリポソーム、すなわち小胞体膜に埋設されたARV
、NBVまたはBRV融合タンパク質を含む脂質小胞体が産生される。また、プ
ロテオリポソーム産生の最適条件を、リポソーム−細胞融合の効率に影響する可
能性があるプロテオリポソームの脂質組成およびサイズと同様に経験的に決定す
ることができる。重要な生物活性分子(例えば、核酸、タンパク質またはペプチ
ド、薬理化合物など)を、プロテオリポソームの形成中に包含し、リポソーム内
での分子の包装を容易にすることができる。プロテオリポソームは、遠心分離に
よって精製し、プロテオリポソームの細胞膜とのタンパク質によって増強される
融合により、細胞培養またはイン・ビボのいずれでも生物活性分子を分子内で送
達するのに用いることができる。
【0059】 前記で認められるように、化合物の細胞内送達のためのリポソームまたはプロ
テオリポソームの使用は当該技術分野で知られており、そのような方法の開発は
幾つかの先端分野で進行中である。本発明の系で特有なものは、例外的なこれま
で同定されていない群のエンベロープのないウイルス融合タンパク質を用いて膜
融合を促進することである。この新規な群の融合タンパク質の異常な構造および
機能上の特性は、これらのタンパク質により、タンパク質介在膜融合の現在の開
発に関連した問題点の多くを回避することができることを示している。
【0060】 本発明は、生理学的に許容可能なキャリヤーを活性成分として溶解または分散
されている本明細書に記載の融合タンパク質、そのポリペプチド断片、または抗
融合タンパク質抗体と共に含む治療組成物にも関する。好ましい態様では、この
治療組成物は、哺乳類またはヒト患者に治療目的で投与するとき免疫原性ではな
い。
【0061】 本明細書で用いられる「薬学上許容可能な」、「生理学的に許容可能な」とい
う用語、およびそれらが組成物、キャリヤー、希釈剤および試薬を表すときのそ
れらの文法上の変形は、相互可換的に用いられ、これらの材料を哺乳類に悪心、
眩暈、胃もたれ(gastric upset)などの好ましくない生理学的効果を生じること
なく投与することができることを表している。
【0062】 活性成分を溶解または分散させて含む薬理組成物の製造法は、当該技術分野で
周知である。典型的には、このような組成物は、液体溶液または分散液として注
射可能なものとして調製されるが、使用前に液体に溶解または懸濁するのに適し
た固形形態を調製することもできる。製剤は、乳化することもできる。
【0063】 活性成分を、薬学上許容可能でありかつ活性成分と和合性である賦形剤と、本
明細書に記載の治療法で使用するのに適当な量で混合することができる。適当な
賦形剤は、例えば水、食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノールなど
、並びにそれらの組合せである。更に、所望ならば、組成物は、活性成分の有効
性を増大する湿潤または乳化剤、pH緩衝剤などのような補助物質を微量含むこ
とができる。
【0064】 本発明の治療組成物は、成分の薬学上許容可能な塩を含むことができる。薬学
上許容可能な毒性のない塩としては、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、過塩素
酸、硝酸、チオシアン酸、硫酸、リン酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、
乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、ア
ントラニル酸、桂皮酸、ナフタレンスルホン酸、スルファニル酸などを用いて形
成される酸付加塩(ポリペプチドの遊離アミノ基と形成)が挙げられる。
【0065】 遊離カルボニル基と形成した塩は、例えば水酸化ナトリウム、水酸化アンモニ
ウム、水酸化カリウムなどのような無機塩基、およびモノ−、ジ−、およびトリ
−アルキルおよび−アリールアミン(例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピ
ルアミン、メチルアミン、ジメチルアミンなど)および場合によっては置換され
たエタノールアミン(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミンなど)の
ような有機塩基から誘導することもできる。
【0066】 生理学的に許容可能なキャリヤーは、当該技術分野で周知である。典型的な液
体キャリヤーは、活性成分および水以外の材料を含まないか、または生理学的p
H値のリン酸ナトリウム、生理学的食塩水、または両方、例えばリン酸緩衝食塩
水のような緩衝剤を含む滅菌水溶液である。更にまた、水性キャリヤーは、1以
上の緩衝剤塩、並びに塩化ナトリウムおよびカリウム、デキストロース、ポリエ
チレングリコール、および他の溶質のような塩を含むこともできる。
【0067】 液体組成物は、水の他におよび水以外に液相を含むこともできる。このような
追加液相の代表例は、グリセリン、綿実油のような植物油、および水−油エマル
ションである。
【0068】 治療上有効量は、所望な効果を得るための所定の計算量である。必要投与量は
、特定の治療および所望な治療期間によって変化するが、約10μg〜約1mg/
kg体重/日の投与量が治療に用いられることが予想される。幾つかの場合には、
これらの化合物をディーポウ(depot)または長時間継続形態で投与するのが特に
有利なことがある。治療上有効量は、典型的には生理学的に許容可能な組成物で
投与したときに約0.1μg/ml〜約100μg/ml、好ましくは約1.0μg
/ml〜約50μg/ml、更に好ましくは少なくとも約2μg/mlであり、通常は
5〜10μg/mlの血漿濃度を得るのに十分な本発明による融合タンパク質、ま
たはそのポリペプチド断片の量である。抗体は、当該技術分野で知られている実
施に準じて比例して適量で投与される。
【0069】
【実施例】
本発明を、下記の非制限的な実施例を参照することによって更に詳細に説明す
る。
【0070】 2種類のトリレオウイルス(ARV)株である株176(Hieronymous et al.
, Avian Dis., 27:255-259 (1983)を参照されたい)および株138(Drastini
et al., Can. J. Vet. Res., 58:75-78 (1994)を参照されたい)を分析した。唯
一の既知の融合原性哺乳類レオウイルス、すなわちネルソン・ベイウイルス(N
BV)(Gard and Compans, 前記引用を参照されたい)およびヒヒレオウイルス
(BRV)(Duncan et al., 前記引用を参照されたい)も分析した。これらの
ウイルスのゲノムは、これまでクローニングまたは配列決定されていなかった。
【0071】例1 ウイルス成長および精製 ARVの2つの株を、QM5細胞である連続ウズラ細胞系(Antin and Ordahl
, Devel. Biol., 143:111-121 (1991)を参照されたい)の単層で生育し、融合原
性哺乳類レオウイルスはサルベロ細胞で生育した。ウイルス粒子を、前記のよう
に分別遠心法によって感染細胞溶解生成物から単離して、精製した(Duncan, Vi
rology, 219:179-189 (1996)を参照されたい)。
【0072】例2 cDNAの合成およびクローニング ウイルスゲノムdsRNAセグメントを、RNアーゼおよびDNアーゼで前処
理した濃縮ウイルス保存物から単離して、細胞核酸に混入しているエキストラ−
ビリオンを除去した。ウイルス粒子を1%SDSを用いて破壊し、ウイルスdsR
NAをフェノール−クロロホルム抽出およびエタノール沈澱によって単離した。
ゲノムdsRNAの一部(20μg)を、E. coliポリ−Aポリメラーゼを用い
てポリ−Aの尾を付け、尾を付けたRNAをアガロースゲル電気泳動によって分
画し、個々のゲノムセグメントを、製造業者指定の方法に準じてRNaidプロトコ
ール(Bio 101)を用いて単離した。尾の付いたSクラスのゲノムセグメントを、
Superscript逆転写酵素(Life Technologies Inc.)およびオリゴ−dTプライマ
ーを用いる逆転写の鋳型として用いた。+および−鎖cDNAの一部を、ベント
ポリメラーゼ(New England Biolabs)およびNotI制限酵素部位を含むオリゴ
−dTプライマーを用いるPCR増幅の鋳型として用いた。PCR反応の生成物
を、NotIで消化し、アガロースゲル上でサイズ分画し、完全長のSゲノムセ
グメントに相当する生成物をGeneclean (Bio101)を用いてゲル−精製した。個々
のNotIで消化した二本鎖cDNAを、pBluescript (Stratagene)のNotI
部位にクローニングし、配列決定の鋳型として用いた。
【0073】例3 配列決定および配列分析 クローニングしたcDNAを、NRC/Dalhousie Joint Sequencing Core Facili
tyの自動DNAシークエンサー(Licor)を用いて配列決定した。総ての配列は、
両cDNA鎖からの全体で決定した。完全長のcDNA配列を、GCG配列分析
ソフトウェアを用いて編集し、分析した(Devereaux et al., Nucleic Acids Re
s., 12:387-395 (1984))を参照されたい)。
【0074】例4 トランスフェクションおよび細胞融合分析 ARVおよびNBV S1 cDNA、およびBRV S4 cDNAクロー
ンを、CMVプロモーターの制御下にて真核発現ベクターpcDNA(Invitroge
n)にサブクローニングした。プラスミドDNAを、Qiagenミディカラム(Qiagen)
上で製造業者の指定に準じて単離して、精製した。プラスミドDNA(1μg)
をリポフェクタミン(3μl)(Life Technologies Inc.)と混合し、12ウェル
のクラスタープレートで生育したサブコンフルエント細胞単層にトランスフェク
ションするのに用いた。トランスフェクションした細胞単層を37℃で24〜4
8時間インキュベーションした後、メタノールで固定し、水溶性Wright-Giemsa
染料(DiffQuik; VWR-Canlab)を用いてまたは前記の方法で感染動物から得たウイ
ルス特異性抗血清を用いる免疫染色によって染色した(Duncan et al., Virolog
y, 224:453-464 (1996)を参照されたい)。細胞融合を、染色した単層の光学顕
微鏡によって評価し、シンシチウム焦点を100倍で写真撮影した。
【0075】例5 融合誘導ゲノムセグメントのサブクローニングおよび分析 配列分析により、ARVおよびNBV S1ゲノムセグメントが3個の連続し
て重なり合ったオープンリーディングフレーム(ORFs)を含み、BRV S
4ゲノムセグメントは2個のORFsを含むことを決定した。いずれのORFが
ウイルス融合タンパク質をコードするかを決定するため、これらのゲノムセグメ
ントの部分を、図に示した配列特異的プライマーを用いて個々の領域のPCR増
幅によってpcDNA3にサブクローニングした。サブクローニング領域を、前
記のトランスフェクション分析によってそれらの融合誘導能について分析した。
【0076】例6 レオウイルス融合遺伝子のクローニングおよび配列決定 トリレオウイルス(ARV)および2個だけの融合原性哺乳類レオウイルスで
あるネルソン・ベイウイルス(NBV)およびヒヒレオウイルス(BRV)によ
って誘導される細胞−細胞融合に関与する2種類の無関係な融合タンパク質を同
定した。これらのタンパク質は、近似的予想分子量を反映するため、本明細書で
はP11(ARVおよびNBVについて)およびP15(BRVについて)と表
される。ARVの2つの株由来のP11をコードする遺伝子を、P15をコード
するNBV由来の遺伝子と同様に、クローニングおよび配列決定を行った。これ
らのタンパク質の配列から予想された構造構成を分析し、その膜融合特性を直接
示した。
【0077】 ARV株138および株176の配列は相同性が高く、P11融合タンパク質
の予測配列において96%のアミノ酸同一性を示す。その結果、ARV配列の下
記の説明は、株138および株176を表している。ARVおよびNBV融合タ
ンパク質を、それぞれのウイルスのS1ゲノムセグメントによってコードする。
ARVおよびNBV S1ゲノムセグメントおよび類似のBRV S4ゲノムセ
グメントの構成を、図1に模式的に示し、cDNA配列および予測された翻訳生
成物を配列番号1〜10に示す。
【0078】 S1ゲノムセグメントは、ARVおよびNBVについてそれぞれ1643また
は1617塩基対(bp)の長さであり、機能的にトリシストロニック(tricist
ronic)であり、別個の連続し、重なり合ったオープンリーディングフレーム(O
RFs)由来の3種類のタンパク質をコードすると思われる。3′−末端ORF
は、s3タンパク質、ウイルス細胞付着タンパク質、およびS1ゲノムセグメン
トのごく以前に認識された生成物をコードする(Varella and Benavente, J. Vi
rol., 68:6775-6777 (1994); Shapouri et al., J. Gen. Virol., 76:1515-1520
(1995); Shapouri et al., J. Gen. Virol., 77:1203-1210 (1996); Theophilo
s et al., Virology, 208:678-684 (1995))。1つの未承認報告では、シグマ3
がウイルス融合タンパク質を表すことを示唆していたが(Theophilos et al. (1
995), 前記引用)、その後これが不正確であることが示されている(例8参照)
【0079】 中央のORFは、未だ同定されておらずかついずれの以前に報告されたタンパ
ク質とも有意な相同性を示さない予測140〜146アミノ酸タンパク質(P1
6と表す)をコードする。P11タンパク質をコードする5′末端ORFは、最
初のメチオニンコドンで始まり、98または95コドンに亘る(それぞれ、AR
VまたはNBV)。ARVの2個のオーストラリア株のS1ゲノムセグメントか
ら得られた以前の未公表配列は、遺伝子構成が同様であることを示唆していた(
Kool and Holmes, Genbank提出物)。第三のARV単離物(株S1133)のS
1ゲノムセグメントの配列は、同様な構成を示したが、それぞれ81または37
アミノ酸をコードする最初の2つのORFが切断されていた(Shapouri et al.
(1995), 前記引用)。NBVについては、配列はこれまでに全く報告されていな
い。ARV S1ゲノムセグメントについての以前の報告のいずれにも、代わり
にs3コードORFに集中するP11 ORFの機能上の有意性は認められなか
った。本発明の前には、レオウイルスによって誘導される細胞融合におけるAR
VまたはNBVのP11の如何なる役割も先行技術分野では開示も示唆もされて
いない。
【0080】 ARVNBV S1ゲノムセグメントのBRVと機能的に同等なものは、S1
ゲノムセグメント(配列番号9参照)の大きさ(887bp)の約半分であるS
4ゲノムセグメントである。BRV S4ゲノムセグメントは、2つの連続し、
重なり合ったORFであって、それぞれが140アミノ酸タンパク質(P15a
およびP15bと命名)をコードするものを含む。これらの予測された遺伝子生
成物およびARVまたはNBV P11タンパク質のいずれにも配列相同性はな
いが、P15aの配列分析では、このタンパク質が膜相互作用ポテンシャルを有
し、かつBRVの融合タンパク質を表すことができることを示唆する予測した膜
貫通ドメインを検出し、この仮説は実験的に確認されている(例8参照)。
【0081】例7 レオウイルス融合タンパク質の配列分析 ARVおよびNBV P11タンパク質は、約38%の配列相同性と同様なド
メイン構成を有する小さなタンパク質(それぞれ、98および95アミノ酸)で
あり、これらのタンパク質は進化論的に関連していることを示唆している(図2
)。いずれのタンパク質も明確なシグナルペプチドを欠いており、それらは翻訳
後に膜に挿入されることを示唆している。いずれのタンパク質も、小さな(約4
0アミノ酸)細胞内および細胞外ドメインを生じるタンパク質の中央部に配置さ
れた1個の予測された膜貫通ドメインをも含んでいる。膜貫通ドメインのカルボ
キシル基部側の正に帯電したアミノ酸のクラスター形成の保存は、細胞外に存在
するアミノ末端ドメインと一致している(von Heijne, Curr. Op. Cell Biol.,
2:604-608 (1990))。それぞれのタンパク質における4個のシステイン残基は保
存され、ARVおよびNBV P11タンパク質は、同様な三次および四次構造
を示すことを示唆している。ARV P11タンパク質はN−結合グリコシル化
部位を欠いており、翻訳後グリコシル化は、機能的タンパク質折畳みには必要な
く、この予測は実験的に確かめられている(Duncan et al. (1996), 前記引用を
参照されたい)。NBV P11タンパク質は単一の可能なN−結合グリコシル
化部位を含むが、グリコシル化の阻害剤はNBVによって誘導される細胞融合に
影響を与えることができないので、この部位はグリコシル化されないと思われる
(Wilcox and Compans (1983)参照)。シグナルペプチドおよびN−結合グリコ
シル化の大きさ、存在しないこと、およびARVおよびNBV P11タンパク
質の予測ドメイン構成により、これらのタンパク質は十分に特性決定されたエン
ベロープウイルス融合タンパク質から明確に区別され、P11は膜融合タンパク
質の新規な種類であることを示唆している。
【0082】 BRV P15融合タンパク質は、ARVまたはNBVタンパク質と明確な配
列相同性を持たず、140アミノ酸であり、P11タンパク質よりかなり大きい
。P15タンパク質は、予測された膜貫通ドメインを有し、このドメインのカル
ボキシ側に正に帯電したアミノ酸がクラスター形成されており、P15は、AR
VおよびNBV P11の場合と同様に、タンパク質のアミノ末端が膜に対して
外側に廃校していることを示唆している(図3)。しかしながら、P15は、P
11より外部ドメインが小さく(43ではなく25アミノ酸)、予測内部ドメイ
ンが遙かに大きく(37ではなく約97アミノ酸)、P11の保存システイン残
基を欠いている。P15aの配列および予測構造は、このタンパク質がNBVお
よびARV P11タンパク質には無関係であり、従ってエンベロープのないウ
イルス融合タンパク質の第二の新規な型を表している。
【0083】例8 P11およびP15融合タンパク質は細胞−細胞融合を誘導する これらのレオウイルスタンパク質の融合を誘導するポテンシャルは、他のレオ
ウイルスタンパク質の非存在下にてトランスフェクション細胞中でそれらを発現
することによって直接証明されており、細胞内発現により、融合原性レオウイル
スのこの群によりウイルス感染に特徴的な細胞−細胞融合およびシンシチウム形
成の誘導が開始する。従って、ウズラ細胞単層をモックトランスフェクションし
(mock transfected)、またはARV、BRVまたはNBV融合タンパク質を発現
するプラスミドDNAでトランスフェクションした。トランスフェクションした
細胞を固定し、感染から36時間後に核をWright-Giemsa染料を用いて染色し、
染色した単層を100倍で写真撮影した。
【0084】 ARV、NBV P11またはBRV P15を発現するプラスミドのトラン
スフェクションにより、広汎な細胞融合と多核シンシチウム(ポリカリオン)を
発生した。ポリカリオンの出現は、トランスフェクション細胞を染色して、細胞
核を示すときには明白であり、大きなシンシチウム細胞内に核のクラスター形成
を示していた。モックトランスフェクション細胞はシンシチウム形成の兆候を示
さず、細胞融合は、トランスフェクション細胞内のレオウイルスタンパク質の発
現の直接的結果であることを示していた。これらの結果から、本発明のレオウイ
ルス融合タンパク質の膜融合誘導能が最終的に証明される。
【0085】 以前には、ARV融合タンパク質を表すと仮定された(Theophilos et al. (1
995), 前記引用)シグマ3などの他のレオウイルスタンパク質のトランスフェク
ションでは、細胞融合を誘導することはできず、P11−またはP15−に特異
的な事例であることを示していた。更に、ARV P11翻訳開始部位を最適化
して、このタンパク質の発現を増加させると、融合活性が増大するが、P11に
おける小さな欠失により、シンシチウム形成が排除され、P11のみがARVに
よって誘導される膜融合に関与していることが確かめられる。更に、3種類総て
のタンパク質がトリまたは哺乳類起源の様々な細胞型で細胞融合を誘導し、膜融
合を誘導するためのこれらのタンパク質の総体的有用性を示している。
【0086】 本発明をその好ましい態様について詳細に説明したが、その改質および変更は
、記載されかつ特許請求されている発明の精神および範囲内にあることが理解さ
れるであろう。
【0087】配列の概要 配列番号1は、トリレオウイルス176 S1株(ARV1)から得たP11
タンパク質をコードするヌクレオチド配列である。 配列番号2は、配列番号1に記載のヌクレオチド25〜318によってコード
されるP11タンパク質の推定アミノ酸配列である。 配列番号3は、配列番号1に記載のヌクレオチド293〜730によってコー
ドされるP16タンパク質の推定アミノ酸配列である。 配列番号4は、配列番号1に記載のヌクレオチド630〜1607によってコ
ードされるシグマ3タンパク質の推定アミノ酸配列である。 配列番号5はARV138 S1株(ARV2)から得たP11タンパク質を
コードするヌクレオチド配列である。 配列番号6は、配列番号5に記載のヌクレオチド25〜318によってコード
されるP11タンパク質の推定アミノ酸配列である。 配列番号7は、配列番号5に記載のヌクレオチド293〜730によってコー
ドされるP16タンパク質の推定アミノ酸配列である。 配列番号8は、配列番号5に記載のヌクレオチド630〜1607によってコ
ードされるシグマ3タンパク質の推定アミノ酸配列である。 配列番号9は、ネルソン・ベイウイルス(NBV)から得られるP11タンパ
ク質をコードするヌクレオチド配列である。 配列番号10は、配列番号9に記載のヌクレオチド27〜311によってコー
ドされるP11タンパク質の推定アミノ酸配列である。 配列番号11は、配列番号9に記載のヌクレオチド277〜696によってコ
ードされるP16タンパク質の推定アミノ酸配列である。 配列番号12は、配列番号9に記載のヌクレオチド611〜1579によって
コードされるシグマ3タンパク質の推定アミノ酸配列である。 配列番号13は、ヒヒレオウイルス(BRV)から得られるP15aおよびP
15bタンパク質をコードするヌクレオチド配列である。 配列番号14は、配列番号13に記載のヌクレオチド25〜444によってコ
ードされるP15aタンパク質の推定アミノ酸配列である。 配列番号15は、配列番号13に記載のヌクレオチド413〜832によって
コードされるP15bタンパク質の推定アミノ酸配列である。
【0088】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 レオウイルス融合タンパク質コードゲノムセグメントの模式図をまとめて表し
たもの。例えば、図1Aはトリレオウイルス(ARV)由来のセグメントを表し
、図1BはNelson bayウイルス(NBV)由来のセグメントを表し、図1Cはヒ
ヒレオウイルス(BRV)由来のセグメントを表す。
【図2】 ARVおよびNBVのP11タンパク質の整列配列。点は、整列を保持するた
めの小さな挿入を示す。コンセンサス配列は、3種類の配列総てが一致する位置
を示しており、ダッシュは、その位置にコンセンサスがないことを示している。
予想膜貫通ドメインには、上線を付し、標識している。星印は、保存されたシス
テイン残基の位置を示し、+印は保存された塩基性アミノ酸残基を示している。
【図3】 BRV P15a融合タンパク質のアミノ酸配列。予想膜貫通ドメインには、
上線を付し、標識している。膜貫通に隣接する正に帯電したアミノ酸のクラスタ
ーは、+印で標識している。
【手続補正書】特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書
【提出日】平成11年7月9日(1999.7.9)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正内容】
【0014】 上記の特性のプロフィールによって包含される典型的なタンパク質としては、
配列番号2に記載したものと実質的に同一のアミノ酸配列を有するタンパク質、
配列番号6に記載したものと実質的に同一のアミノ酸配列を有するタンパク質、
配列番号10に記載したものと実質的に同一のアミノ酸配列を有するタンパク質
などが挙げられる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正内容】
【0015】 上記の特性のプロフィールによって包含される現在好ましいタンパク質として
は、配列番号2に記載したものと同一のアミノ酸配列を有するタンパク質、配列
番号6に記載したものと同一のアミノ酸配列を有するタンパク質、配列番号10
に記載したものと同一のアミノ酸配列を有するタンパク質などが挙げられる。
【手続補正書】特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書
【提出日】平成11年9月6日(1999.9.6)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0076
【補正方法】変更
【補正内容】
【0076】例6 レオウイルス融合遺伝子のクローニングおよび配列決定 トリレオウイルス(ARV)および2個だけの融合原性哺乳類レオウイルスで
あるネルソン・ベイウイルス(NBV)およびヒヒレオウイルス(BRV)によ
って誘導される細胞−細胞融合に関与する2種類の無関係な融合タンパク質を同
定した。これらのタンパク質は、近似的予想分子量を反映するため、本明細書で
はP11(ARVおよびNBVについて)およびP15(BRVについて)と表
される。ARVの2つの株(株176および株138)由来およびNBV由来の
P11をコードする遺伝子を、P15をコードするBRV由来の遺伝子と同様に
、クローニングおよび配列決定を行った。これらのタンパク質の配列から予想さ
れた構造構成を分析し、その膜融合特性を直接示した。
【手続補正書】特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書
【提出日】平成12年1月10日(2000.1.10)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正内容】
【0012】 これらの例外的なエンベロープのないウイルス融合タンパク質は、これまでに
同定された膜融合促進タンパク質のいずれとも無関係であり、ウイルス融合タン
パク質の新規な科であり、エンベロープのないウイルスから最初に同定されたも
のである。これらの例外的な融合タンパク質の配列分析は、幾つかの特有な構造
上の特徴を示しており、タンパク質が介在するリポソーム−細胞融合による様々
な化合物の細胞内伝達および細胞−細胞融合の促進に用いられる誘因物質として
のそれらの有用性を示唆している。本発明のレオウイルス融合タンパク質の構造
および機能的特性決定を、本明細書で説明する。 更に具体的には、本発明は、膜融合を促進する方法であって、融合を行う膜を
、レオウイルス科のウイルスから精製し、膜貫通タンパク質であり、膜融合を促
進することを特徴とするタンパク質、または膜融合を促進することができるその
断片の有効量と接触させることを含んでなる、上記方法を提供する。 本発明は、レオウイルス科のウイルスから精製し、かつ哺乳類に見られ、膜貫
通タンパク質であり、膜融合を促進することを特徴とするタンパク質、または膜
融合を促進することができるその断片も提供される。 方法を提供する。
【手続補正書】特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書
【提出日】平成12年2月14日(2000.2.14)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 1/15 C12N 1/19 4C084 1/19 1/21 4H045 1/21 C12P 21/02 C 5/10 21/08 C12P 21/02 C12Q 1/68 A 21/08 C12N 15/00 ZNAA C12Q 1/68 5/00 A (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG, BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,D K,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM ,HR,HU,ID,IL,IS,JP,KE,KG, KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,L U,LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO ,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG, SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,UA,U G,UZ,VN,YU,ZW Fターム(参考) 4B024 BA80 CA04 DA02 DA06 EA02 GA11 HA01 4B063 QA01 QA20 QQ08 QQ15 QQ43 QR08 QR33 QR42 QR56 QS25 QS34 QX02 4B064 AG01 AG27 BA13 CA10 CA12 CA19 CA20 CC24 DA20 4B065 AA26X AA90X AA95Y CA24 CA60 4C076 AA19 GG45 4C084 AA06 AA17 CA53 MA24 ZB212 4H045 AA10 AA11 CA01 EA65 FA72 HA05

Claims (42)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子量が約11,000であり、 約100未満のアミノ酸残基を有し、かつ 1個の膜貫通ドメインを有し、 比較的小さな細胞内ドメインを有し、 比較的小さな細胞外ドメインであって、両親媒性アルファヘリックスモチーフ
    を含む細胞外ドメインを有し、かつ 比較的非免疫原性である、タンパク質であって、 シグナルペプチド、および N−結合グリコシル化シグナル を欠く、前記タンパク質。
  2. 【請求項2】 配列番号2[ARV1]、配列番号6[ARV2]、または配列番号8[NB
    V]に記載されているものと実質的に同一のアミノ酸配列を有する、請求項1に
    記載のタンパク質。
  3. 【請求項3】 配列番号2[ARV1]、配列番号6[ARV2]、または配列番号8[NB
    V]に記載のアミノ酸配列を有する、請求項1に記載のタンパク質。
  4. 【請求項4】 分子量が約15,000であり、 約150未満のアミノ酸残基を有し、 1個の膜貫通ドメインを有し、 比較的小さな細胞内ドメインを有し、 比較的小さな細胞外ドメインであって、両親媒性アルファヘリックスモチーフ
    を含む細胞外ドメインを有し、かつ 比較的非免疫原性である、タンパク質であって、 シグナルペプチド、および N−結合グリコシル化シグナル を欠く、前記タンパク質。
  5. 【請求項5】 配列番号10[BRV]に記載されているものと実質的に同一のアミノ酸配列
    を有する、請求項4に記載のタンパク質。
  6. 【請求項6】 配列番号10[BRV]に記載のアミノ酸配列を有する、請求項4に記載のタ
    ンパク質。
  7. 【請求項7】 請求項1のタンパク質に対して生じる、抗体。
  8. 【請求項8】 請求項4のタンパク質に対して生じる、抗体。
  9. 【請求項9】 請求項1に記載のタンパク質をコードする、単離された核酸。
  10. 【請求項10】 配列番号1[ARV1]のヌクレオチド25〜1607、 配列番号5[ARV2]のヌクレオチド25〜1607、 配列番号7[NBV]のヌクレオチド27〜1579、または 同一アミノ酸配列をコードするが、アミノ酸の幾つかについて異なるコドンを
    用いるか、もしくはそれらの変異体ヌクレオチド配列をスプライシングする、そ
    れらの変異種、 と実質的に同一の隣接ヌクレオチド配列を有する、請求項9に記載の単離された
    核酸。
  11. 【請求項11】 (a)配列番号2、配列番号6または配列番号8に記載のアミノ酸配列をコー
    ドするDNA、 (b)適度なストリンジェント条件下において(a)のDNAにハイブリダイ
    ズするDNAであって、生物学的に活性な融合タンパク質をコードする前記DN
    A、または (c)前記(a)または(b)のいずれかに関するDNA変性体であって、生
    物学的に活性な融合タンパク質をコードする前記DNA から選択される、請求項1のタンパク質をコードする、単離されかつ精製された
    核酸、またはその機能性断片。
  12. 【請求項12】 誘導プロモーターと操作上で関連した、請求項9に記載の単離された核酸。
  13. 【請求項13】 請求項4に記載のタンパク質をコードする単離された核酸。
  14. 【請求項14】 配列番号9[BRV]のヌクレオチド25〜832、または 同一アミノ酸配列をコードするが、アミノ酸の幾つかについて異なるコドンを
    用いるか、もしくはそれらの変異体ヌクレオチド配列をスプライシングする、そ
    れらの変異種 と実質的に同一の隣接ヌクレオチド配列を有する、請求項13に記載の単離され
    た核酸。
  15. 【請求項15】 (a)配列番号10に記載のアミノ酸配列をコードするDNA、 (b)適度なストリンジェント条件下において(a)のDNAにハイブリダイ
    ズするDNAであって、生物学的に活性な融合タンパク質をコードする前記DN
    A、または (c)前記(a)または(b)のいずれかに関するDNA変性体であって、生
    物学的に活性な融合タンパク質をコードする前記DNA から選択される、請求項4のタンパク質をコードする、単離されかつ精製された
    核酸、またはその機能性断片。
  16. 【請求項16】 誘導プロモーターと操作上で関連した、請求項13に記載の単離された核酸。
  17. 【請求項17】 請求項1に記載のタンパク質を含む、細胞。
  18. 【請求項18】 請求項4に記載のタンパク質を含む、細胞。
  19. 【請求項19】 請求項9に記載の核酸を含む、細胞。
  20. 【請求項20】 請求項12に記載の核酸を含む、細胞。
  21. 【請求項21】 請求項13に記載の核酸を含む、細胞。
  22. 【請求項22】 請求項16に記載の核酸を含む、細胞。
  23. 【請求項23】 請求項1に記載のタンパク質を含む、リポソーム。
  24. 【請求項24】 請求項4に記載のタンパク質を含む、リポソーム。
  25. 【請求項25】 請求項9に記載の核酸を含む、リポソーム。
  26. 【請求項26】 請求項13に記載の核酸を含む、リポソーム。
  27. 【請求項27】 請求項1に記載のタンパク質の製造方法であって、適当な宿主において前記タ
    ンパク質をコードする核酸を発現することを含んでなる、前記方法。
  28. 【請求項28】 請求項1に記載のタンパク質の製造方法であって、適当な宿主において前記タ
    ンパク質をコードする核酸を発現することを含んでなる、前記方法。
  29. 【請求項29】 膜融合を促進する方法であって、融合させる膜を請求項1に記載のタンパク質
    の有効量と接触させることを含んでなる、前記方法。
  30. 【請求項30】 前記膜が、細胞膜、リポソーム膜、またはプロテオリポソーム膜である、請求
    項29に記載の方法。
  31. 【請求項31】 膜融合を促進する方法であって、融合させる膜を請求項4に記載のタンパク質
    の有効量と接触させることを含んでなる、前記方法。
  32. 【請求項32】 前記膜が、細胞膜、リポソーム膜、またはプロテオリポソーム膜である、請求
    項31に記載の方法。
  33. 【請求項33】 モノクローナル抗体、サイトカイン、免疫調節因子、または他のヘテロカリオ
    ンの産生に有用なB細胞もしくはT細胞ハイブリドーマ細胞の産生法であって、
    不死化した骨髄腫細胞と主要なB細胞もしくはT細胞とを請求項1に記載のタン
    パク質の存在下にて接触させることを含んでなる、上記方法。
  34. 【請求項34】 前記不死化細胞が、ヒトまたはマウスのB細胞骨髄腫細胞またはT細胞骨髄腫
    であり、前記抗体合成細胞が免疫感作した哺乳類由来の精製した脾臓細胞である
    、請求項33に記載の方法。
  35. 【請求項35】 モノクローナル抗体の産生に有用なハイブリドーマ細胞の産生法であって、不
    死化細胞と抗体合成細胞とを請求項4に記載のタンパク質の存在下にて接触させ
    ることを含んでなる、前記方法。
  36. 【請求項36】 前記不死化細胞が、ヒトまたはマウスのB細胞骨髄腫細胞またはT細胞骨髄腫
    であり、前記抗体合成細胞が免疫感作した哺乳類由来の精製した脾臓細胞である
    、請求項35に記載の方法。
  37. 【請求項37】 リポソーム−リポソーム融合またはリポソーム−細胞融合の生成法であって、
    リポソームの形成に適する脂質と適当な細胞とを請求項1に記載のタンパク質の
    存在下にて接触させることを含んでなる、前記方法。
  38. 【請求項38】 リポソーム−リポソーム融合またはリポソーム−細胞融合の生成法であって、
    リポソームの形成に適する脂質と適当な細胞とを請求項4に記載のタンパク質の
    存在下にて接触させることを含んでなる、前記方法。
  39. 【請求項39】 リポソームを用いる生物活性化合物の細胞外送達または細胞内送達の方法であ
    って、前記リポソームに請求項1に記載のタンパク質を配合することを含んでな
    る、前記方法。
  40. 【請求項40】 リポソームを用いる生物活性化合物の細胞外送達または細胞内送達の方法であ
    って、前記リポソームに請求項4に記載のタンパク質を配合することを含んでな
    る、前記方法。
  41. 【請求項41】 ハイブリダイゼーションプローブとして有用な単離された核酸断片であって、
    請求項9に記載の核酸の少なくとも14個の隣接ヌクレオチドを含んでなり、か
    つ検出可能な置換基で標識されていることを特徴とする、前記断片。
  42. 【請求項42】 ハイブリダイゼーションプローブとして有用な単離された核酸断片であって、
    請求項13に記載の核酸の少なくとも14個の隣接ヌクレオチドを含んでなり、
    かつ検出可能な置換基で標識されていることを特徴とする、前記断片。
JP2000520576A 1997-11-07 1998-11-06 新規なレオウイルス由来タンパク質、このタンパク質をコードする核酸、およびその使用 Pending JP2002512002A (ja)

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