JPH119616A - 眼用レンズ - Google Patents

眼用レンズ

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JPH119616A
JPH119616A JP9180712A JP18071297A JPH119616A JP H119616 A JPH119616 A JP H119616A JP 9180712 A JP9180712 A JP 9180712A JP 18071297 A JP18071297 A JP 18071297A JP H119616 A JPH119616 A JP H119616A
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lens
dye
density
light
ophthalmic lens
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Kazuo Ichikawa
一夫 市川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 レンズ厚さが薄い場合でも、光量変化に対す
る順応性に優れ、ひいては明所では眩しさが和らげら
れ、暗所では十分な視力の確保が可能となる眼用レンズ
を提供する。 【解決手段】 眼用レンズ1は、その径方向において、
中心部側の領域5aの色素密度を外縁部側の領域5bよ
りも高くすることで、明所にて瞳孔101が閉じると、
光は主に色素密度の高い領域5aを透過して網膜に至る
ので、強い光に対しても適度な減衰効果が得られ、眩し
さを和らげることができる。また、暗所においては、瞳
孔101が開いて色素密度の低い外側の領域5bが瞳孔
101内に露出し、少ない光を効率的に集めることがで
きるので必要十分な視力を確保できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、眼内レンズを始め
とする眼用レンズに関し、特に色素を含有した高分子材
料で構成される眼用レンズに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、白内障や緑内障など目の水晶体が
濁る疾患を治療する方法として、濁った水晶体を超音波
水晶体乳化吸引術等で除去し、代わって眼内レンズを埋
め込むことにより視力の回復を図る方法が普及しつつあ
る。このような眼内レンズとしては、例えば生体親和性
の観点からシリコン樹脂を主体に構成されたものが使用
されているが、シリコン樹脂は屈折率が比較的小さく、
所期の視力矯正作用を達成するためにはレンズ厚をかな
り大きくする必要がある。ここで、レンズ厚が大きくな
った場合、レンズの埋め込み手術を行う際に、角膜や虹
彩など瞳孔の周囲の眼組織を大きく切開しなければなら
ず、患者への負担も大きいことから、最近では、アクリ
ル樹脂などの屈折率の大きい高分子材料を用いた薄型の
レンズが使用されることが多くなっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、眼内レ
ンズにおいてレンズ厚が小さくなった場合、次のような
理由により、光量変化に対する順応性に支障を生ずる場
合がある。まず、人の目は、明所では過度に眩しくなら
ず、逆に暗所では少ない光量でよく見えるように、光量
変化に応じて瞳孔の開き量が自動調整されるようになっ
ている。また、眼内レンズは、網膜保護や色視症防止の
ために、紫外線や特定の波長の可視光線を減衰できるよ
う、一般には色素を配合した高分子材料で構成されてい
る。ここで、図11(a)に示すように、眼内レンズ1
00のレンズ厚さが比較的大きい場合(例えば、従来の
シリコン樹脂系の眼内レンズなど)は、明所にて瞳孔1
01が閉じると、光は主にレンズの厚い部分を透過して
網膜に至る。この場合、レンズの厚さ方向に存在する色
素の総量は多くなるから、強い光に対しても適度な減衰
効果が得られ、眩しさを和らげることができる。また、
暗所においては瞳孔101が開き、レンズ100の外側
の薄い部分、すなわち色素の総量が少なく透過率の高い
部分も瞳孔101内に露出するから、少ない光を効率的
に集めることができ、ひいては暗所においても必要十分
な視力を確保できる。
【0004】ところが、図11(b)に示すように、レ
ンズの厚さが小さい場合は、例えばレンズ中央部では光
の透過方向における色素の総量が減少することになるか
ら、明所において瞳孔101が収縮しても光がそれほど
減衰しないため非常に眩しく感じられ、例えばサングラ
スを着用しなければならないなどの不自由を生ずる場合
がある。これを解決するためには、例えば図11(c)
に示すように、含有される色素の濃度をレンズ全体に渡
って一様に高めることも考えられる。ところがこの場合
は、レンズ中央部と外側部分とでレンズ厚みにそれほど
差がないので、暗所で瞳孔101内に入るレンズ外側部
分の色素濃度が逆に大きくなり過ぎ、該部分の光の透過
率が減少して、暗所で視力が低下する等の問題が生ずる
のである。
【0005】本発明は、レンズ厚さが薄い場合でも光量
変化に対する順応性に優れ、ひいては明所では眩しさが
和らげられ、暗所では十分な視力の確保が可能となる眼
用レンズを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】上述の課
題を解決するために本発明の眼用レンズは、色素を配合
した高分子材料により構成され、レンズ厚さ方向におけ
る色素の平均含有密度(以下、色素密度という)が、レ
ンズ径方向において外縁部側の領域よりも中心部側の領
域の方が高くなっていることを特徴とする。
【0007】図10は上記本発明の眼用レンズを眼内レ
ンズに適用した場合の例を示している。すなわち、レン
ズ(1)の径方向において、中心部側の領域(5a)の
色素密度を外縁部側の領域(5b)よりも高くすること
で、同図(a)に示すように、明所にて瞳孔101が閉
じると、光は主に色素密度の高い領域(5a)を透過し
て網膜に至るので、強い光に対しても適度な減衰効果が
得られ、眩しさを和らげることができる。また、暗所に
おいては、瞳孔101が開いて色素密度の低い外側の領
域(5b)が瞳孔101内に露出し、少ない光を効率的
に集めることができるので必要十分な視力を確保でき
る。すなわち、レンズの径方向内側と外側とで色素密度
を異ならせることで、レンズ厚さが薄いにも拘わらず、
厚いレンズを使用した場合と同様の良好な光量適応性を
実現することができるのである。
【0008】この場合、上記眼用レンズは、その中心部
側から外縁部に向けて複数の着色ゾーンを設定し、その
中心部側のゾーンで色素密度が高く、外縁部側のゾーン
に向けてゾーン毎に段階的に色素密度が小さくなように
構成することができる。該構成のレンズは、ゾーン毎の
色素濃度はほぼ均一とできるので、例えば色素密度が高
くなる内側のものから、上記複数のゾーンを例えばイン
サート成形等により順次形成してゆけばよいから、製造
が比較的容易である利点がある。
【0009】一方、上記眼用レンズは、色素密度がレン
ズ中心部から外縁部側に向けて無段階に小さくなるよう
に構成することができる。この構成の場合は、レンズの
径方向における厚さ変化に合わせて色素密度分布をより
きめ細く調整することができ、ひいては光量変化に対す
る適応性により優れたレンズを得ることができる。
【0010】なお、上記眼用レンズにおいて色素は、レ
ンズ厚さ方向においてほぼ均一に分布するものであって
もよいし、レンズ厚さ方向においてその表層部又は中間
部に偏在するように分布していてもよい。
【0011】上記眼用レンズを構成する高分子材料は、
眼内レンズあるいはコンタクトレンズ等に使用されてい
る各種公知の高分子材料が使用可能であるが、このう
ち、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステ
ルを主成分とする高分子材料(以下、アクリル系高分子
材料という)は生体親和性が良好で、また耐久性にも優
れていることから本発明に特に好適に使用できる。具体
的には、そのような高分子材料として、登録特許第26
04799号公報の第23欄26行〜第25欄11行に
記載されたアクリル系の各種レンズ形成モノマー成分を
主体とするもの、具体的には直鎖状、分岐鎖状、環状の
(メタ)アクリレート類(例えばメチル(メタ)アクリ
レート、エチル(エタ)アクリレート、イソプロピル
(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリ
レートなど)、シリコン含有(メタ)アクリレート類
(例えばペンタメチルジシロキサニル(メタ)アクリレ
ートなど)、フッ素含有(メタ)アクリレート類(例え
ばトリフルオロエチル(メタ)アクリレートなど)、水
酸基含有(メタ)アクリレート類(例えばヒドロキシエ
チル(メタ)アクリレートなど)、(メタ)アクリル
酸、(メタ)アクリルアミド類(例えば(メタ)アクリ
ル酸アミドなど)、芳香環含有(メタ)アクリレート類
(例えばベンジル(メタ)アクリレートなど)等を使用
できる。
【0012】また、架橋剤もアクリル系のもの(例えば
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート)を使用で
きる。
【0013】なお、上記アクリル系高分子材料は硬質の
ものでもよいが、例えば眼内レンズとして使用する場
合、柔軟性を有するアクリル系高分子材料を用いて、い
わゆるソフト眼内レンズとして構成すれば、レンズに可
橈性が生じて弾性変形も容易となるので、埋め込み手術
時の眼組織の切開量を少なく抑さえることができる。こ
のような、材質の具体例としては、ヒドロキシアルキル
(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類、
(メタ)アクリル酸等を主体とするものが特に好適に使
用できる。なお、本明細書では、「‥(メタ)‥」等と
記載することで、アクリル酸エステルと(メタ)アクリ
ル酸エステルとの双方を包含して示すものとする。
【0014】なお、アクリル系以外の高分子材料として
は、スチレンもしくはその誘導体、ビニルラクタム等の
モノマー成分を主体とするもの、あるいは各種シリコン
系高分子材料を使用することが可能である。また、非ア
クリル系の架橋剤としてはジビニルベンゼン、ジアリル
フタレートなどを使用できる。
【0015】また、上記高分子材料に配合する色素とし
ては、直接染料、油溶性染料、酸性染料、塩基性染料、
分散染料、バット染料等の各種染料類、あるいは各種有
機顔料色素を使用できる。具体的にはそのような色素と
して、特開平5−188329号公報の第3欄40行〜
第4欄45行に列挙されたものの1種又は2種以上を使
用することができる。
【0016】一方、配合された色素の溶出防止の観点か
らは、前述の登録特許第2604799号公報に開示さ
れたレンズ形成モノマー成分と共重合可能な重合性色
素、具体的には同公報第10欄30行〜第23欄25行
に列挙された重合性色素の1種又は2種以上を使用でき
る。この場合、該重合性色素は上記レンズ形成モノマー
成分と共重合された形で含有される。このような重合性
色素を使用することにより、色素の溶出が起こりにくく
なり、ひいてはレンズ内の色素密度を長期に渡って安定
に維持できる。
【0017】具体的には、そのような重合性色素とし
て、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、ア
リル基及びイソプロペニル基からなる群より選ばれた重
合性基を有する狭義の重合性色素を用いることもでき
る。そのような色素としてより具体的には、アゾ系(例
えば、1−フェニルアゾ−4−(メタ)アクリロイルオ
キシナフタレン、3−(メタ)アクリロイルアミド−4
−フェニルアゾフェノール、4−フェニルアゾ−7−
(メタ)アクリロイルアミド−1−ナフトールなど)、
アントラキノン系(1,5−(ビス((メタ)アクリロ
イルアミノ)−9,10−アントラキノンなど)、ニト
ロ系(o−ニトロアニリノメチル(メタ)アクリレート
など)、又はフタロシアニン系((メタ)アクリロイル
化テトラアミノ銅フタロシアニンなど)のものが使用で
きる。また、それら成分を含むマクロモノマー系の色素
を使用してもよい。
【0018】なお、上記色素と組み合わせて紫外線吸収
剤を配合することもできる。この場合、アクリロイル
基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基及びイソプ
ロペニル基からなる群より選ばれた重合性基を有する重
合性紫外線吸収剤を使用でき、特に好ましくは、ベンゾ
フェノン系(例えば2−ヒドロキシ−4−(メタ)アク
リロイルオキシベンゾフェノンなど)、ベンゾトリアゾ
ール系(例えば2−(2’−ヒドロキシ−5’−(メ
タ)アクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベン
ゾトリアゾールなど)、サリチル酸誘導体系(例えば2
−ヒドロキシ−4−メタクリロイルオキシメチル安息香
酸フェニルなど)等の重合性紫外線吸収剤を使用できる
が、非重合性紫外線吸収剤を使用してもよい。また、紫
外線吸収剤の含有密度をレンズ外縁部側よりも中心部側
において高くなるようにしてもよい。
【0019】なお、以上の色素のうち、レンズの光透過
特性を天然の水晶体に近付け、例えば青色領域波長(約
380〜500nm)の吸収を高めて色視症を防止ないし
抑制する観点からは、黄色系のものを使用することが望
ましく、これと紫外線吸収剤とを併用すれば、紫外線か
らの網膜保護の効果も合わせて達成できるのでさらに望
ましい。
【0020】なお、本発明が適用される眼用レンズは眼
内レンズが主なものであるが、眼内レンズ以外の眼用レ
ンズ、たとえばコンタクトレンズ等にも本発明を適用で
きる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を用いて説明する。図1は、本発明の眼用レンズの一実
施例である眼内レンズを模式的に示したものである。す
なわち、該眼内レンズ1は、黄色系の色素を配合した含
水性の柔軟アクリル系高分子材料を主体に構成されてい
る。そして、その中心部側から外縁部に向けて複数の着
色ゾーン5が設定されており、その中心部側のゾーンで
色素密度が高く、外縁部側のゾーンに向けてゾーン毎に
段階的に色素密度が小さくなっている。なお、各ゾーン
5毎に、そのレンズ厚さ方向における色素密度はほぼ均
一となっている。また、図1(c)は、その色素密度の
レンズ径方向における分布状況を模式的に示したもので
ある。
【0022】このような眼内レンズ1は、例えば次のよ
うにして製造することができる。すなわち、上記アクリ
ル系高分子材料の原料となるモノマー(あるいはコポリ
マー)に上記色素及び架橋剤を所定の比率で混合して混
合物を作る。この場合、色素は前述の染料あるいは有機
顔料色素のほか、重合性色素を使用することができる。
そして、この混合物を金型中に射出して所定温度で加熱
して重合処理することにより、図5(a)に示すような
柱状樹脂成形部50aを得る。なお、使用した色素が重
合性色素である場合は、上記モノマーと重合性色素との
共重合反応が上記重合処理中に進行することとなる。
【0023】次いでこの柱状樹脂成形部50aを別の金
型60a内に配置し、色素配合量を減じた別の混合物5
0b’をその外側に射出・重合してインサート成形する
ことにより、同図(b)に示すように、色素密度の小さ
い成形部50bが上記成形部50aの外側に同心的に一
体化された複合形成物51’を得る。そして、新たに一
体化する成形部(混合物50c’による)の色素密度を
段階的に小さくしながら、金型(60b)を交換しつつ
上記インサート成形を繰り返すことにより、図6(a)
に示すような複合成形体51を得る。この複合成形体5
1は、色素密度が内側から外側に向けて段階的に小さく
なる複数の成形部50a〜50dが同心年輪状に形成さ
れた円柱形態をなすものとなる。そして、この複合成形
体51をその中心軸線と交差する向き(例えば直交する
向き)に分割し、さらに研削等により所定のレンズ形状
に成形することで、同図(b)に示すように、上記成形
部50a〜50dに基づくゾーン5が形成された眼内レ
ンズ1が得られる。
【0024】該構成の眼内レンズ1は、例えば図10に
模式的に示すように、その径方向において、中心部側の
領域5a(図1のもっとも内側のゾーンに対応)の色素
密度が外縁部側の領域5b(図1の外側の4つのゾーン
に対応)よりも高くなっていることから、同図(a)に
示すように、明所にて瞳孔101が閉じると、光は主に
色素密度の高い領域5aを透過して網膜に至るので、強
い光に対しても適度な減衰効果が得られ、眩しさを和ら
げることができる。また、暗所においては、瞳孔101
が開いて色素密度の低い外側の領域5bが瞳孔101内
に露出し、少ない光を効率的に集めることができるので
必要十分な視力を確保できる。
【0025】なお、図1ではゾーン5の数は4としてい
るが、これに限られるものではなく、例えば図3に示す
ように、内側と外側の2ゾーンのみとすることも可能で
ある。また、最も外側のゾーンは、色素をほとんど含有
しないものとして構成してもよい。
【0026】次に、図2は、色素密度がレンズ中心部か
ら外縁部側に向けて無段階に小さくなるように構成した
眼内レンズの例を示している。図1(c)は、その色素
密度のレンズ径方向における分布状況を模式的に示した
ものである。すなわち、該眼内レンズ70においては、
レンズの径方向において色素密度分布が、その厚さ変化
に合わせてよりきめ細く連続的に変化しており、光量変
化に対する適応性により優れたものとなっている。
【0027】このような眼内レンズ70は、例えば次の
ような方法で製造できる。すなわち、図5に示したもの
と同様のインサート成形により、図7(a)に示すよう
に、色素密度の高い内側成形部50aと、色素密度の低
い外側成形部50bとが同心的に形成された円柱状の複
合成形体52を作製する。なお、色素としては、骨格と
なる高分子材料に対し拡散可能、かつ水に対する溶解度
がなるべく小さいものを選定する。
【0028】そして、このような複合成形体52を加熱
炉61で所定温度に加熱すると、内側成形部50aの色
素が外側成形部50bへ拡散し、図7(b)に示すよう
に、複合成形体52は、色素密度が半径方向内側から外
側に向けて無段階に減少する拡散済み成形体53とな
る。そして、この拡散済み成形体53をその中心軸線と
交差する向き(例えば直交する向き)に分割し、さらに
研削等により所定のレンズ形状に成形することで、同図
(c)に示すように、眼内レンズ70が得られる。な
お、上記複合成形体52に代えて、図6に示すような3
以上の成形部が同心的に形成された複合成形体を用い、
これに上記したものと同様の拡散処理を施すようにして
もよい。
【0029】また、次のような方法も採用できる。ま
ず、適当な溶媒に対して色素は溶解し、高分子材料は溶
解しない(ただし膨潤はしてもよい)ような組み合わせ
で色素及び高分子材料を選定する。そして、該組み合わ
せにより、色素を所定密度で含有する高分子成形体54
を作製し、これを図8(a)に示すように上記溶媒L中
に浸漬する(この場合、適当な温度に加熱をしてもよ
い)。これにより、成形体54中の色素は表層部から溶
媒L中に溶出し、適当な時点で成形体54を該溶媒Lか
ら引き上げることにより、色素密度が半径方向内側から
外側に向けて無段階に減少する溶出済み成形体55とな
る。そして、この溶出済み成形体55を同様に分割・成
形することで、眼内レンズ70が得られる。
【0030】また、さらに別の方法としては、図9に示
すように、レンズ形状のキャビティ62aを有するとと
もに、その両レンズ面の中心部付近において該キャビテ
ィ62aに連通する液供給孔62bが形成された型62
を用意し、そのキャビティ62a内に、対応するレンズ
形状を有する高分子材料成形体55を配置する。そし
て、この状態で色素を含有する液体CLを上記液供給孔
62bに供給して、成形体55と接触させる。これによ
り、液体CL中の色素は、レンズ面中央から成形体55
の内部に厚さ方向に拡散し、さらに半径方向にも拡散し
て眼内レンズ70となる。
【0031】なお、本発明の眼用レンズは、図1〜図3
に示すように、レンズ厚さ方向において色素が均一に分
布した態様の他、例えば図4(a)〜(c)に示すよう
に、レンズ厚さ方向においてその表層部に色素が偏在す
る態様としてもよい。この場合、色素を含有する上記表
層部、すなわち色素含有層1aは、例えば色素を含有し
た樹脂の蒸着あるいは焼き付け、あるいは樹脂膜の接合
等によって形成できる。なお、図4(a)及び(b)
は、膜面方向において、レンズ中心部側から外縁部に向
けて複数の着色ゾーン5を設定し、その中心部側のゾー
ンで色素密度が高く、外縁部側のゾーンに向けてゾーン
毎に段階的に色素密度が小さくなるように色素含有層1
aを形成した例((a)はレンズ1の片面に、(b)は
両面に形成)を示している。同図(c)は、レンズ中心
部側から外縁部に向けて色素密度が無段階に変化するよ
うに色素含有層1aを構成した例を示す。
【0032】また、図4(d)に示すように、レンズの
厚さ方向中間部に色素含有層1aを形成することもでき
る。さらに、図4(e)に示すように、色素密度がほぼ
均一な着色領域1bを、レンズの半径方向において、そ
の合計厚さが中心部側ほど厚くなるように形成すること
もできる。ここで、図4に示すいずれの態様も、色素の
含有密度はレンズの厚さ方向においては不均一である
が、これを該厚さ方向に平均化した場合のその平均の色
素含有密度は、いずれも半径方向中心部側ほど高くなる
ように設定されている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の眼用レンズの一実施例としての眼内レ
ンズを模式的に示す説明図。
【図2】同じく別の眼内レンズの実施例を模式的に示す
説明図。
【図3】同じくさらに別の眼内レンズの実施例を模式的
に示す説明図。
【図4】色素の含有密度を、レンズの厚さ方向において
不均一とした場合の各種眼内レンズの態様を示す模式
図。
【図5】図1の眼内レンズの製造工程の一例を示す説明
図。
【図6】図5に続く説明図。
【図7】図2の眼内レンズの製造工程の一例を示す説明
図。
【図8】図2の眼内レンズの製造工程の別の例を示す説
明図。
【図9】図2の眼内レンズの製造工程のさらに別の例を
示す説明図。
【図10】本発明に係る眼内レンズの作用説明図。
【図11】従来の眼内レンズの説明図。
【符号の説明】
1、70 眼内レンズ(眼用レンズ) 5 ゾーン

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 色素を配合した高分子材料により構成さ
    れ、レンズ厚さ方向における前記色素の平均含有密度
    (以下、色素密度という)が、レンズ径方向において外
    縁部側の領域よりも中心部側の領域の方が高くなってい
    ることを特徴とする眼用レンズ。
  2. 【請求項2】 前記眼用レンズの中心部側から外縁部に
    向けて複数の着色ゾーンが設定されており、その中心部
    側のゾーンで前記色素密度が高く、外縁部側のゾーンに
    向けてゾーン毎に段階的に前記色素密度が小さくなるよ
    うにした請求項1記載の眼用レンズ。
  3. 【請求項3】 前記色素密度がレンズ中心部から外縁部
    側に向けて無段階に小さくなるようにした請求項1記載
    の眼用レンズ。
  4. 【請求項4】 前記色素は、レンズ厚さ方向においてほ
    ぼ均一に分布している請求項1ないし3のいずれかに記
    載の眼用レンズ。
  5. 【請求項5】 前記色素は、レンズ厚さ方向においてそ
    の表層部又は中間部に偏在するように分布している請求
    項1ないし3のいずれかに記載の眼用レンズ。
  6. 【請求項6】 前記眼用レンズは、アクリル酸エステル
    及び/又はメタクリル酸エステルを主成分とする柔軟性
    高分子材料で構成されたソフト眼内レンズである請求項
    1ないし5のいずれかに記載の眼用レンズ。
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