JPH1193342A - 建造物等の防水構造とこれに使用する防水材ならびに防 水工法。 - Google Patents

建造物等の防水構造とこれに使用する防水材ならびに防 水工法。

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JPH1193342A
JPH1193342A JP26823897A JP26823897A JPH1193342A JP H1193342 A JPH1193342 A JP H1193342A JP 26823897 A JP26823897 A JP 26823897A JP 26823897 A JP26823897 A JP 26823897A JP H1193342 A JPH1193342 A JP H1193342A
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隆良 今井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 建造物等の屋上その他のコンクリ−ト下地面
の防水技術に関し、特に施工性、耐久性、経済性に優れ
た防水構造、防水方法ならびにこれらに使用する防水材
の実現。 【解決手段】 コンクリ−ト下地面上にアスファルトに
より貼着される第1防水層と、この第1防水層の上面に
アスファルトにより貼着される第2防水層と、前記コン
クリ−ト下地面と第1防水層下面との間に形成されて、
コンクリ−ト下地面からの水蒸気等の流体成分を脱気手
段を介して排出させるとともにコンクリ−ト下地面のク
ラックその他により発生する応力を吸収するための緩衝
層と、を具え、コンクリ−ト下地面と第1防水層下面と
の間にアスファルト層を点在形成して第1防水層をコン
クリ−ト下地面に貼着し、前記緩衝層をコンクリ−ト下
地面と第1防水層下面とにより囲繞される非接着部分に
より構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本願発明は、建造物等の屋上
その他のコンクリ−ト下地面の防水技術に関し、特に施
工性、耐久性、経済性に優れた防水構造、防水方法なら
びにこれらに使用する防水材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】建造物等における防水処理、特に屋上等
の降雨対策を要する箇所の防水対策種々の条件を勘案し
て、慎重なうえにもなお慎重を期する必要がある。これ
は、いったん漏水があれば建造物自体に重大な損傷を惹
起する可能性が大きいこと、工事が完了してからでは漏
水原因の特定が難しいこと、原因を把握してもその補修
には時間と費用を要するうえ、補修は速やかに実行する
必要があること等々、の理由による。図6は、従来のこ
の種の防水構造、すなわち建造物の屋上面における露出
防水構造を示す一部切欠斜視図である。
【0003】図において、Sはコンクリ−ト下地面、1
はコンクリ−ト下地面S上に張設された穴開きアスファ
ルトル−フィングフェルトで、所定間隔で複数の貫通孔
1aが整列形成されている。2は、前記穴開きアスファ
ルトル−フィングフェルト1の上面に接合された防水材
としてのストレッチル−フィング、3は、さらに前記ス
トレッチル−フィング2上面に接合された防水材として
の砂付きストレッチル−フィングである。そして、各防
水材の接合は熔融アスファルトaによりなされていて、
砂付きストレッチル−フィング3は、ストレッチル−フ
ィング2上面の全面に塗布された熔融アスファルトによ
り接合されている。一方、ストレッチル−フィング2と
コンクリ−ト下地面Sとは、前記複数の貫通孔1aを介
して熔融アスファルトにより、互いに、点接合されてい
る構成を有している。すなわち、図7に示すように、コ
ンクリト下地面S上に前記穴開きアスファルトル−フィ
ングフェルト1を張設し、次いで、その上面に熔融アス
ファルトAを塗布した後、ストレッチル−フィング2を
穴開きアスファルトル−フィングフェルト1上にセット
して互いに圧接させれば、貫通孔1a、1a..に充填
された熔融アスファルトによりストレッチル−フィング
2は、コンクリ−ト下地面Sと点接着されることとな
る。
【0004】前述のように、穴開きアスファルトル−フ
ィングフェルト1とコンクリト下地面Sとは、貫通孔1
aの周縁で浸出した前記熔融アスファルトにより部分的
に接着されることはあるが、その他の部分は非接着状態
となっている。そして、このような構成を有することに
より、建造物の躯体側、具体的にはコンクリ−ト下地面
Sからの蒸散水分を前記非接着部分を通して防水構造外
に排出させて蒸散水分による防水層の膨れを防止し、あ
るいはクラックの発生等によるコンクリ−ト下地面Sか
ら防水構造側に加わるなんらかの応力を分散・吸収する
ことにより防水構造の破断等を防止するようになってい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
従来技術はその施工性の点において、今日の産業界一般
に求められている労働環境にそぐわない不都合を有して
いる。すなわち、前述の従来技術にあっては、ストレッ
チル−フィング2の貼着のための穴開きアスファルトル
−フィングフェルト1の上面への熔融アスファルトの散
布、砂付きストレッチル−フィング3の貼着のためのス
トレッチル−フィング2上面への熔融アスファルトの散
布、というように熔融アスファルトの散布を2度にわた
って行う必要がある。ところが、この熔融アスファルト
は300〓Cにも達する高温であるため、その散布作業
は極めて危険かつ過酷なものとならざるを得ない。この
ことは、防水工事現場における慢性的な要員不足の大き
な原因となっている。
【0006】また、上記従来の防水構造には、穴開きア
スファルトル−フィングフェルト1、ストレッチル−フ
ィング2および砂付きストレッチル−フィング3という
3枚のシ−ト状部材を積層するため、前述の2度にわた
る熔融アスファルトの散布作業を含めて作業工程が多く
なり、併せて構築に要する部品点数も多いため原価コス
トの増大を抑制できないという不都合もある。特に、穴
開きアスファルトル−フィングフェルト1は直接防水性
能に寄与しないにもかかわらず、その部材としてのコス
トは、工事コスト全体の中で無視できないものがある。
【0007】ところで、コンクリ−ト下地面からはアル
カリ成分が滲出し、これが防水構造に浸入して防水層の
耐久性に損傷をおよぼす虞があるが、従来技術ではこの
ような問題への対応がなされていない。
【0008】上述のような問題点を解決するため、例え
ば、穴のあいていないアスファルトル−フィングフェル
トと砂付きストレッチル−フィングの2層で防水層を形
成し、このうち下側の穴のあいていないアスファルトル
−フィングフェルトをコンクリ−ト下地面に熔融アスフ
ァルトにより点接着させる試みもなされている。しかし
ながら、接着点の位置をコンクリ−ト下地面に正確に設
定するための手段が講じられていないため、熔融アスフ
ァルトの塗布位置、および面積当たりの塗布位置数は不
規則かつ不十分なため、接着力不足を生じたり、あるい
は接着面積が過大となってコンクリ−ト下地面からの蒸
散水分の排出、あるいはコンクリ−ト下地面からの前記
応力の分散吸収を適正に成し得ず、実用には供しえない
のが実状である。
【0009】
【課題を解決するための手段】本願発明は、 建造物の
屋上その他のコンクリ−ト下地面における防水構造を、
コンクリ−ト下地面上にアスファルトにより貼着される
第1防水層と、この第1防水層の上面にアスファルトに
より貼着される第2防水層と、前記コンクリ−ト下地面
と第1防水層下面との間に形成されて、コンクリ−ト下
地面からの水蒸気等の流体成分を脱気手段を介して排出
させるとともにコンクリ−ト下地面のクラックその他に
より発生する応力を吸収するための緩衝層と、を具えて
構成することにより、上記従来の課題を解決しようとす
るものである。
【0010】前記防水構造において、コンクリ−ト下地
面と第1防水層下面との間にアスファルト層を点在形成
して第1防水層をコンクリ−ト下地面に貼着し、前記緩
衝層をコンクリ−ト下地面と第1防水層下面とにより囲
繞される非接着部分により構成することがある。
【0011】また、前記防水構造において、前記第1防
水層の下面には、コンクリ−ト下地面に点在形成すべき
アスファルト層の塗布位置に対応するマ−カ−部を形成
することがある。
【0012】あるいは、前記防水構造において、前記第
1防水層の下面にはコンクリ−ト下地面よりのアルカリ
成分の浸透を防止するための保護膜を形成し、この保護
膜は樹脂フィルムで構成することがある。
【0013】あるいはまた、前記防水構造において、前
記保護膜下面にはコンクリ−ト下地面に点在形成すべき
アスファルト層の塗布位置に対応するマ−カ−部を形成
することがある。
【0014】そして、コンクリ−ト下地面上に点在塗布
したアスファルトにより貼着して防水層を形成するため
の防水材を、基材と、その両面に塗布されるアスファル
ト層と、前記アスファルト層のいずれかの表面には前記
点在形成されるアスファルトの位置に対応するマ−カ−
部とで、構成して、本願に係る前記防水構造の用に供す
る。
【0015】また、前記防水材において、前記アスファ
ルト層のいずれかには、その表面にコンクリ−ト下地面
よりのアルカリ成分の浸透を防止するための保護膜を形
成し、この保護膜を樹脂フィルムで構成するとともに前
記マ−カ−部はこの樹脂フィルム表面に形成することが
ある。
【0016】(イ)基材と、その両面に塗布されるアス
ファルト層と、アスファルト層のいずれかの表面に点在
形成されるマ−カ−部とを具えた防水材のロ−ルを、前
記マ−カ−部が建造物等におけるコンクリ−ト下地面に
対向するように解繿する工程、(ロ)防水材ロ−ルの前
記解繿に際して、前記コンクリ−ト下地面上の前記マ−
カ−部に対応する位置に熔融アスファルトを点在塗布
し、この熔融アスファルトにより防水材をコンクリ−ト
下地面上に貼着する工程、(ハ)前記(イ)、(ロ)の
工程を順次繰り返して、コンクリ−ト下地面上に防水材
を張設して第1防水層を形成するとともに、前記コンク
リ−ト下地面と第1防水層下面との間に形成され互いに
連通する非貼着部により、コンクリ−ト下地面からの水
蒸気等の流体成分を脱気手段を介して排出させ、かつコ
ンクリ−ト下地面のクラックその他により発生する外力
を吸収するための緩衝層を形成する工程、(ニ)前記第
1防水層上に、第2防水層を形成する工程。以上の工程
からなる防水工法を提供して、上記従来の問題点を解決
しようとするものである。
【0017】また、前記防水工法において、アスファル
ト層のいずれかには、その表面にコンクリ−ト下地面よ
りのアルカリ成分の浸透を防止するための保護膜を形成
し、この保護膜を樹脂フィルムで構成するとともに前記
マ−カ−部はこの樹脂フィルム表面に形成することがあ
る。
【0018】
【作用】本願発明は、少数の部材点数により、コンクリ
−ト下地面からの水蒸気等の流体成分を脱気手段を介し
て適正に排出させ、あるいはコンクリ−ト下地面から防
水層へのアルカリ成分の浸出を防止し、かつコンクリ−
ト下地面のクラックその他により発生する応力を吸収す
る機能を具え、施工が容易でしかも原価コストの低廉な
防水構造を実現する。
【0019】
【発明の実施例】図面にもとずいて、本願発明の実施例
を説明する。図1は、本願に係る防水構造の1実施例を
示す断面図である。図において、Sはコンクリ−ト下地
面、14はコンクリ−ト下地面S上に点在して塗布され
た接着手段としてのアスファルト、13は第1防水層1
2の下面に接合されてコンクリ−ト下地面Sからのアル
カリ成分の浸入を防止する保護膜としての樹脂フィルム
である。前記第1防水層12は、前記保護膜としての樹
脂フィルム13を介して、規則的に点在して整列するア
スファルト14によりコンクリ−ト下地面Sに接着され
ている。したがって、樹脂フィルム13とコンクリ−ト
下地面Sとの間には、接着部分(アスファルト14部
分)と互いに連通する複数の非接着部分とが形成される
ことになり、コンクリ−ト下地面Sと第1防水層12の
下面(保護膜13)とに囲繞されるこれら非接着部分に
より緩衝層15が構成されていて、コンクリ−ト下地面
からの水蒸気等の流体成分を脱気手段(不図示)を介し
て排出させるとともにコンクリ−ト下地面のクラックそ
の他により発生する応力を分散吸収するようになってい
る。なお、11は、第1防水層12の上面に熔融アスフ
ァルトにより貼着された第2防水層で、周知の砂付きア
スファルト防水材で構成されている。また、樹脂フィル
ム13において、アスファルト14と接する部分には後
に詳説するマ−カ−部としてインク層13aが形成され
ている。
【0020】図2は、前記第1防水層12を形成する防
水材Aの1実施例を示す断面図である。 図において、
16は、グラスファイバ−、ポリエステル等の不織布か
らなる基材、17は基材16の1側面に塗布積層された
アスファルト層で、18は基材16の他側面に塗布積層
されたアスファルト層である。前記アスファルト層17
の表面には鉱物砂粒層17aが形成されていいる。13
は前記アスファルト層18の表面に貼着された保護膜と
しての樹脂フィルムであり、この実施例では20μ厚の
OPPフィルムを使用している。19は樹脂フィルム1
3に規則的に点在して形成された後述のマ−カ−部であ
る。ところで、この樹脂フィルムにおいて、前記アスフ
ァルト層18と接する面には予めアスファルトと易接着
性の樹脂加工をなしておくのが望ましい。すなわち、前
記アスファルト層18の形成時のアスファルトの温度は
通常160〜190〓Cであるため、よほど低融点のフ
ィルムを使用する場合は前記樹脂加工は不要であるが、
フィルムの耐熱性を勘案してある程度の高融点のフィル
ムを使用して前記のような易接着性樹脂処理をなした方
が実施条件としては好ましい。一方、この樹脂フィルム
の他面、すなわち図2で下側面は前述のように熔融アス
ファルト14によりコンクリ−ト下地面に接着される
が、この溶融アスファルト14の温度は250〜300
〓Cであるため、低融点のフィルムである場合はフィル
ムが熔融してしまうのでアスファルトとフィルムとの間
での接着不良の懸念は生じない。しかしながら、気温の
低下時にはコンクリ−ト下地面に滴着させ前記溶融アス
ファルト14の温度が急激に低下してフィルムの融点以
下になり、アスファルトとフィルムとの間で接着不良が
生じる場合もある。したがって、樹脂フィルムの前記他
面、すなわちコンクリ−ト下地面に接する側において前
記熔融アスファルト14と接触する部分にも易接着性樹
脂処理をなすのが望ましい。上述の構成になる該実施例
に係る防水材Aは、約2mm厚、幅1mのシ−ト状に形
成され、常時はロ−ル状に巻回されている(図5参
照)。第1防水層12の形成は、後述図5に示すように
前記防水材Aをコンクリ−ト下地面に連続一体化するよ
うに敷設するが、このとき隣接する防水材Aの端部は1
0cmの幅で重ねあわされており、この重ねあわせ部分
は熔融アスファルトにより互いに接着される。したがっ
て、この場合にも前述と同様にアスファルトとフィルム
との接着性を確保するために、樹脂フィルムにおいて重
なりあう端部には10cm幅に易接着性樹脂処理をなす
のが望ましい。なお、前記樹脂フィルムにおいて、コン
クリ−ト下地面と接触する側には互いに連通する凹部を
形成すれば、この凹部が通気路として機能し第1防水層
とコンクリ−ト下地との間の脱気効果がより向上する。
なお、このような凹部形成の一例として、樹脂フィルム
面に5cm間隔で深さ0.7mmの凹部を格子状に設け
てもよい。
【0021】図3は前記第1防水層12としての防水材
の他の実施例を示す断面図である。この実施例では、ア
スファルト層18の片面には保護層として鉱物砂粒層1
8aが形成されていて、マ−カ−部19は前記鉱物砂粒
層18a面に形成されていて、もう一方の面には鉱物砂
粒が散着されている。なお、上述の各ァスファルト層
は、ブロ−ンアスファルトあるいはこれらの物性を改良
したいわゆる改質アスファルト等から適宜選択して用い
ることができる。
【0022】前述のように前記各防水材のコンクリ−ト
下地面と接合する面、すなわち図2に示す実施例では樹
脂フィルム13表面には、複数のマ−カ−部19が点在
形成されている。このマ−カ−部19は識別しやすいよ
うに白色インク(アスファルトとの接着性を勘案した易
接着性を有するもの)で印刷された直径10cm程度の
円形をなしており、いずれの実施例においても、約1M
2 あたり3個が図4に示すように示すように配列されて
いる。なお、使用するインクは、印刷面、すなわち樹脂
フィルム面、あるいは鉱物粉粒層の物性に対応して適宜
選択すればよい。なお、図4において、19bは樹脂フ
ィルム13表面の端部に10cm幅で施した易接着性樹
脂処理であり、前述のように第1防水層12を形成す
る際に防水材Aの端部相互の熔融アスファルトによる接
合を容易にする。
【0023】次に、上述の防水材を用いた防水工事の手
順を説明する。まず、コンクリ−ト下地面S上に、前述
した図2または図3に示す防水材のロ−ルを図5に示す
ように載置して矢符方向に回転させてロ−ル状の防水材
を、マ−カ−部19が建造物等におけるコンクリ−ト下
地面Sに対向するように解繿する。 防水材ロ−ルを解
繿しながら、コンクリ−ト下地面上に前記マ−カ−部1
9が接する直前に解繿を一時停止して、コンクリ−ト下
地面上のマ−カ−部19および易接着性樹脂処理部に対
応する位置に熔融アスファルトをマ−カ−部19および
易接着性樹脂処理部にほぼ見合う大きさに塗布し、この
部分に防水材を圧接してコンクリ−ト下地面Sに貼着す
る。以下、この工程を順次繰り返して、コンクリ−ト下
地面上に防水材を張設して第1防水層を形成する。コン
クリ−ト下地面に対する熔融アスファルトの点在形成
は、前記マ−カ−部19を基準に成しえるから所定の設
定基準どうりに、格別の熟練作業を要せず、迅速・簡便
になすことができる。なお、熔融アスファルトの塗布
は、種々の手段が可能であるが、柄杓等による手作業が
コスト、作業能率の点から現実的である。このようにし
て、コンクリ−ト下地面Sと第1防水層下面との間に
は、互いに連通する非貼着部が形成されて、この非貼着
部により図1に示す緩衝層15が形成されて、コンクリ
−ト下地面からの水蒸気等の流体成分を脱気手段を介し
て排出させ、かつコンクリ−ト下地面のクラックその他
により発生する応力を吸収することになる。次いで、前
記第1防水層上に熔融アスファルトにより周知のアスフ
ァルト防水材を貼着して第2防水層を形成し防水工事は
完了する。なお、前記緩衝層15は、脱気手段としての
周知の脱気筒に連結されコンクリ−ト下地面からの蒸散
水分等を系外に排出させ防水層の膨れを防止し、あるい
はコンクリ−ト下地面からの外力の防水層への伝達を遮
断する。
【0024】第1防水層は、施工後の水、熱による寸法
変化の少ないものが要求され、したがってその基材とし
てはガラス繊維不織布が特に好ましい。しかしながら、
ガラス繊維不織布は、耐アルカリ水性が必ずしも良好と
はいえない。ところが、第1防水層の接するコンクリ−
ト下地面からはアルカリ成分が滲出し第1防水層に影響
を及ぼすことが多い。そこで、前述のように第1防水層
の裏面には保護膜としての樹脂フィルムを設けて、コン
クリ−ト下地からのアルカリ成分の浸透を遮断するよう
にしている。 この保護膜についての若干の試験結果を
下記に示す。 基 材 : ガラス繊維不織布60g/m2 試験目的 : 保護膜の耐アルカリ性水の評価 試験内容 : 水酸化カルシュ−ム(Ca(OH)2 )飽和水
溶液(20〓c)に浸漬して抗張積(引張り強度と伸び率
の積)の変化を比較する (1)図2に示す防水材(保護膜としてOPPフィルム) 初 期 浸漬後30日 抗張積(kg・%) 25 24 (1)図3に示す防水材(保護膜として鉱物粉粒層) 初 期 浸漬後30日 抗張積(kg・%) 24 11 以上の結果から、保護膜としては、樹脂フィルムの優れ
ていることが判明した。
【0025】
【発明の効果】以上説明したように、本願発明によれ
ば、高熱の熔融アスファルトの塗布という極めて過酷な
作業を軽減でき、躯体側からの外力、蒸散水分による不
都合を排除し、しかも防水性能は従来と変わらない防水
構造を迅速、容易に実現でき、原価コストの低減にも資
するところが大である。
【図面の簡単な説明】
図1 本願に係る防水構造の1実施例を示す断面図で
ある。 図2 本願に係る防水材の1実施例を示す断面図であ
る。 図3 本願に係る防水材の他の実施例を示す断面図で
ある。 図4 マ−カ−部を示す平面図である。 図5 施工過程を示す斜視図である。 図6 従来例を示す一部切欠斜視図である。 図7 図6における一部断面図である。
【符号の説明】
11 第2防水層 12 第1防水層 13 保護膜(樹脂フィルム) 14 点在アスファルト 15 保護膜とコンクリ−ト下地面とに囲繞さ
れる非接着部により構成される緩衝層 S コンクリ−ト下地面 16 基材 17 アスファルト層 17a 鉱物粉粒層 18 アスファルト層 18a 鉱物粉粒層 19 マ−カ−部

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 建造物の屋上その他のコンクリ−ト下地
    面における防水構造であって、コンクリ−ト下地面上に
    アスファルトにより貼着される第1防水層と、この第1
    防水層の上面にアスファルトにより貼着される第2防水
    層と、前記コンクリ−ト下地面と第1防水層下面との間
    に形成されて、コンクリ−ト下地面からの水蒸気等の流
    体成分を脱気手段を介して排出させるとともにコンクリ
    −ト下地面のクラックその他により発生する応力を吸収
    するための緩衝層と、を具えたことを特徴とする建造物
    等の防水構造。
  2. 【請求項2】 請求項1において、コンクリ−ト下地面
    と第1防水層下面との間にアスファルト層を規則的に点
    在形成して第1防水層をコンクリ−ト下地面に貼着し、
    前記緩衝層をコンクリ−ト下地面と第1防水層下面とに
    より囲繞される非接着部分により構成したことを特徴と
    する建造物等の防水構造。
  3. 【請求項3】 請求項2において、前記第1防水層の下
    面にはコンクリ−ト下地面に点在形成すべきアスファル
    ト層の塗布位置に対応するマ−カ−部を規則的に形成し
    たことを特徴とする建造物等の防水構造。
  4. 【請求項4】 請求項1において、前記第1防水層の下
    面にはコンクリ−ト下地面よりのアルカリ成分の浸透を
    防止するための保護膜を形成し、この保護膜は樹脂フィ
    ルムで構成したことを特徴とする建造物等の防水構造。
  5. 【請求項5】 請求項4において、前記保護膜下面には
    コンクリ−ト下地面に点在形成すべきアスファルト層の
    塗布位置に対応するマ−カ−部を規則的に形成したこと
    を特徴とする建造物等の防水構造。
  6. 【請求項6】 基材と、その両面に塗布されるアスファ
    ルト層とからなり、建造物等におけるコンクリ−ト下地
    面上に点在塗布したアスファルトにより貼着して防水層
    を形成するための防水材であって、前記アスファルト層
    のいずれかの表面には規則的に形成される前記点在アス
    ファルトの位置に対応するマ−カ−部を規則的に形成し
    たことを特徴とする防水材。
  7. 【請求項7】 請求項6において、前記アスファルト層
    のいずれかには、その表面にコンクリ−ト下地面よりの
    アルカリ成分の浸透を防止するための保護膜を形成し、
    この保護膜を樹脂フィルムで構成するとともに前記マ−
    カ−部はこの樹脂フィルム表面に規則的に形成したこと
    を特徴とする防水材。
  8. 【請求項8】 以下の工程からなる防水工法。 (イ)基材と、その両面に塗布されるアスファルト層
    と、アスファルト層のいずれかの表面に規則的に点在形
    成されるマ−カ−部とを具えた防水材のロ−ルを、前記
    マ−カ−部が建造物等におけるコンクリ−ト下地面に対
    向するように解繿する工程、(ロ)防水材ロ−ルの前記
    解繿に際して、前記コンクリ−ト下地面上の前記マ−カ
    −部に対応する位置に熔融アスファルトを点在塗布し、
    この熔融アスファルトにより防水材をコンクリ−ト下地
    面上に貼着する工程、(ハ)前記(イ)、(ロ)の工程
    を順次繰り返して、コンクリ−ト下地面上に防水材を張
    設して第1防水層を形成するとともに、前記コンクリ−
    ト下地面と第1防水層下面との間に形成され互いに連通
    する非貼着部により、コンクリ−ト下地面からの水蒸気
    等の流体成分を脱気手段を介して排出させ、かつコンク
    リ−ト下地面のクラックその他により発生する応力を吸
    収するための緩衝層を形成する工程、(ニ)前記第1防
    水層上に、第2防水層を形成する工程。
  9. 【請求項9】 前記アスファルト層のいずれかには、そ
    の表面にコンクリ−ト下地面よりのアルカリ成分の浸透
    を防止するための保護膜を形成し、この保護膜を樹脂フ
    ィルムで構成するとともに前記マ−カ−部はこの樹脂フ
    ィルム表面に規則的に形成したことを特徴とする請求項
    8記載の防水工法。
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