JPH1192805A - 銅合金粉末およびその製造方法 - Google Patents

銅合金粉末およびその製造方法

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JPH1192805A
JPH1192805A JP9252438A JP25243897A JPH1192805A JP H1192805 A JPH1192805 A JP H1192805A JP 9252438 A JP9252438 A JP 9252438A JP 25243897 A JP25243897 A JP 25243897A JP H1192805 A JPH1192805 A JP H1192805A
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copper
silver
powder
nickel
alloy powder
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JP9252438A
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Inventor
Isao Abe
功 阿部
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Sumitomo Metal Mining Co Ltd
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Sumitomo Metal Mining Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 導電性、耐酸化性および耐マイグレーション
性に優れ、平均粒径が0.1〜10μmであり、球状で
分散性の良好な粒子で構成された銅合金粉末、および該
粉末を安価に製造する方法を提供する。 【解決手段】 本発明は、銀を1〜75重量%含む粉末
であって、粒子が、銅を主成分としたコア部と、銀を主
成分とした表面層とからなり、該表面層の該コア部側
に、銅および銀の連続的な濃度勾配が形成された組織を
有する銅合金粉末である。また、本発明の製法では、M
g(OH)2 粉末と、銅化合物粉末と、銀原料粉末とか
らなる混合物を得、該混合物中の銅および銀を金属状に
するために、水素雰囲気中約600℃で焙焼し、焙焼物
中の金属状の銅および銀を互いに拡散させるために、約
900℃で加熱し、加熱物中のMgOを酸で溶解し除去
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、スクリー
ン印刷などで電気回路を形成する厚膜プロセスにおいて
導電ペーストの構成成分として用いられる銅合金粉末お
よびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】導電ペーストは、電極形成成分としての
導電性粉末と、セルロース系樹脂、ターピネオールなど
の有機バインダーをスリーロールミルによって混練し、
導電性粉末を充分に混合分散することにより作製され
る。
【0003】このような導電ペーストの性能は、その構
成成分である導電性粉末の特性によってほぼ決定され
る。導電性粉末に必要な特性としては、(1)平均粒径
が0.1〜10μmであること、(2)粒子形状が球状
であること、(3)分散性が良好であることが挙げられ
る。
【0004】上記導電性粉末は、材質が銅、銀、ニッケ
ルのものが用いられているが、各々次の欠点を有する。
【0005】銅は、安価であるが大気中で容易に酸化し
酸化により導電性が低下しやすい。
【0006】銀は、大気中で酸化しにくく導電性が安定
しているが、マイグレーションが発生しやすい。そのた
め、銀を用いて電気回路を形成すると、マイグレーショ
ンによる回路の短絡が発生する。
【0007】ニッケルは、酸化による導電性の低下が銅
より少ないが、固有抵抗が高く導電性が低い。
【0008】上記銅の欠点を解消するために、球状銅粉
に銀をメッキ被覆した導電性粉末が提案されている(特
開平3−21659号公報)が、ペースト混練時に銀被
膜が剥離したり、銀のマイグレーションが発生したりす
るなどの問題がある。
【0009】また、上記銀の欠点を解消するために、銀
をAg−Pd合金にして用いることが提案されている
(特開平6−49269号公報)が、マイグレーション
を確実に防止するには、パラジウムを相当量添加する必
要があり、すると、導電性粉末の固有抵抗が上昇し導電
性が落ちる問題や、パラジウムが白金族に属するため導
電性粉末が高価になる問題などがある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
事情に鑑み、導電性、耐酸化性および耐マイグレーショ
ン性に優れ、平均粒径が0.1〜10μmであり、球状
で分散性の良好な粒子で構成された銅合金粉末、および
該粉末を安価に製造する方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するために、銅および銀を互いに拡散させて、銅を
主成分としたコア部と、銀を主成分とした表面層とから
なり、該表面層の該コア部側に、銅および銀の連続的な
濃度勾配が形成された組織を粒子に持たせることによっ
て、メッキ層と違って表面層が剥離しにくく、また表面
層のため該コア部の耐酸化性が向上して該コア部の優れ
た導電性が維持されるとともに、該表面層の銀−銅合金
のため耐マイグレーション性が向上した銅合金粉末、お
よびその製造方法を提供すべく、鋭意研究した。
【0012】しかるに、合金粉末の製造方法として知ら
れているガスアトマイズ法とプラズマ法はともに、合金
融体を急冷するため、コア部と表面層とからなる粒子で
構成される粉末を製造できない。また、ガスアトマイズ
法では、粒子径が10μm以下の粉末を製造しにくく、
特に好ましい粒子径が5μm以下の粉末は、分級により
低い歩留まりで製造しており、非常に高価である。
【0013】上記研究の結果、本発明者は、次の3点を
見出だして本発明に到達した。
【0014】すなわち、(1)銅化合物粉末と銀化合物
粉末との混合物中の銅と銀を球形状の金属粒子に還元す
るために、該混合物を水素雰囲気で焙焼する際に、該混
合物中に、アルカリ土類金属化合物粉末を分散介在させ
ると、該アルカリ土類金属化合物粉末が、該還元された
金属粒子が焼結や融着によって粗大化するのを防止す
る。
【0015】(2)還元された金属粒子を適度に加熱す
ることにより、銅および銀が適当な幅と量だけ互いに拡
散し、銅を主成分とし銀を含むコア部と、銀を主成分と
し銅を含む表面層とからなり、該表面層の該コア部側
に、銅および銀の連続的な濃度勾配が形成された組織を
有する銅合金粉末粒子を得る。ここでも、アルカリ土類
金属化合物は、上記還元された金属粒子、上記合金粒子
およびこれらの金属・合金粒子が焼結や融着によって粗
大化するのを防止する。
【0016】(3)アルカリ土類金属化合物は、酸に溶
解するので、製造された銅合金粉末粒子と容易に分離で
きる。
【0017】すなわち、第1発明の銅合金粉末は、銀を
1〜75重量%含み、残部が銅および不可避不純物であ
り、平均粒径が0.1〜10μmであり、球状で分散性
の良好な粒子で構成された粉末であって、該粒子が、銅
を主成分とし銀を含むコア部と、銀を主成分とし銅を含
む表面層とからなり、該表面層の該コア部側に、銅およ
び銀の連続的な濃度勾配が形成された組織を有する。
【0018】第2発明の銅合金粉末は、銀を1〜75重
量%、およびニッケルを5〜40重量%含み、残部が2
0重量%以上の銅および不可避不純物であり、平均粒径
が0.1〜10μmであり、球状で分散性の良好な粒子
で構成された粉末であって、該粒子が、銅を主成分とし
銀およびニッケルを含むコア部と、銀を主成分とし銅お
よびニッケルを含む表面層とからなり、該表面層の該コ
ア部側に、銅、銀およびニッケルの連続的な濃度勾配が
形成された組織を有する。
【0019】また、第1発明の銅合金粉末の製造方法
は、アルカリ土類金属化合物粉末と、銅化合物粉末と、
銀原料粉末とからなり、銀量と銅量との重量比が(1〜
75):(25〜99)である混合物を得る第1工程
と、第1工程で得られた混合物中の銅および銀を金属状
にするために、水素雰囲気中400〜800℃で該混合
物を焙焼する第2工程と、第2工程で得られた焙焼物中
の金属状の銅および銀を互いに拡散させるために、70
0〜1200℃で、かつ第2工程の焙焼温度より高い温
度で該焙焼物をさらに加熱する第3工程と、第3工程で
得られた加熱物中のアルカリ土類金属化合物を酸で溶解
し除去する第4工程とからなる。
【0020】第2発明の銅合金粉末の製造方法は、アル
カリ土類金属化合物粉末と、銅化合物粉末と、銀原料粉
末と、ニッケル化合物粉末とからなり、銀量とニッケル
量と銅量との重量比が(1〜75):(5〜40):
(20〜94)である混合物を得る第1工程と、第1工
程で得られた混合物中の銅、ニッケルおよび銀を金属状
にするために、水素雰囲気中400〜800℃で該混合
物を焙焼する第2工程と、第2工程で得られた焙焼物中
の金属状の銅、銀およびニッケルを互いに拡散させるた
めに、700〜1200℃で、かつ第2工程の焙焼温度
より高い温度で該焙焼物をさらに加熱する第3工程と、
第3工程で得られた加熱物中のアルカリ土類金属化合物
を酸で溶解し除去する第4工程とからなる。
【0021】
【発明の実施の形態】第1(第2)発明の銅合金粉末に
おいて、銀含有量が1重量%未満では、コア部に対する
銀の前記耐酸化性向上作用が十分発揮し得ず、一方、7
5重量%を超えると、該耐酸化性向上作用がより以上に
増大しないだけでなく、銅を主成分としたコア部と、銀
を主成分とした表面層とからなる粒子を製造しにくくな
る。
【0022】第1(第2)発明の銅合金粉末粒子は、銅
を主成分とし銀(銀およびニッケル)を含むコア部と、
銀を主成分とし銅(銅およびニッケル)を含む表面層と
からなり、該表面層の該コア部側に、銅および銀(銅、
銀およびニッケル)の連続的な濃度勾配が形成された組
織を有する。すなわち、表面層のコア側は、銅(銅とニ
ッケル)および銀が互いに拡散して、連続的な濃度勾配
を各々形成している。これは、銅と銀、およびニッケル
と銀は相溶性が少ないためであり、ニッケルは、銅と非
常に容易に合金となるため、選択的に銅と均一な合金と
なってコア部を形成する。これに対して、メッキによっ
て表面層を形成すると、コア部で銀を、表面層で銅を含
まず、銅と銀が、コア部と表面層との境界で不連続な濃
度変化を形成するため、剥離しやすい。
【0023】第2発明の銅合金粉末において、銅含有量
の下限は、20重量%とする。20重量%未満では、銅
を主成分とするコア部と、銀を主成分とする表面層とか
らなる銅合金粒子を製造しにくくなる。
【0024】第1(第2)発明の銅合金粉末により次の
効果が得られる。
【0025】(1)表面層が銀と銅(銀と銅とニッケ
ル)との合金となるので、銀のマイグレーションが発生
しない。
【0026】(2)表面層によりコア部の耐酸化性が向
上する。製造される銅合金粉末にニッケルを添加する
(第2発明)と、銀のコア部への拡散がニッケルを添加
しない(第1発明)のと比べて抑えられ、従って表面層
の上記耐酸化性向上作用が増大し、コア部の耐酸化性が
向上する。このニッケル添加は、添加量が5重量%未満
では、上記耐酸化性向上作用の増大が十分でなく、一
方、40重量%を超えると導電性の低下が著しくなる。
【0027】(3)コア部と表面層とが剥離しにくい。
【0028】次に、第1(第2)発明の銅合金粉末の製
造方法について説明する。
【0029】[混合]アルカリ土類金属化合物は、酸化
マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウ
ム、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウ
ムなどが挙げられる。また、銅化合物は、酸化銅、亜酸
化銅、塩基性炭酸銅、水酸化銅などが挙げられる。さら
に、銀原料は、酸化銀、金属銀などが挙げられる。
【0030】ニッケル化合物(第2発明の銅合金粉末の
製造方法)は、酸化ニッケル、水酸化ニッケル、塩基性
炭酸ニッケルなどが挙げられる。
【0031】第1(第2)発明の銅合金粉末の製造方法
において、第1工程で混合したアルカリ土類金属化合物
は、第2工程の焙焼中および第3工程の加熱中、そのま
ま、あるいは熱分解生成物(酸化物)として固体状で存
在し(融点:2000℃以上)、第2工程においては、
生成した金属粒子の焼結や融着に対する障壁として働
き、該金属粒子が粗大化するのを防止し、第3工程にお
いては、製造される合金粒子の焼結や融着に対する障壁
として働き、該合金粒子が粗大化するのを防止する。さ
らに第4工程の溶解除去で、上記アルカリ土類金属化合
物は、上記合金粒子より酸易溶性のため、酸により容易
に溶解し、該合金粉末と分離される。
【0032】上記アルカリ土類金属化合物の粗大化防止
作用は、上記金属粒子や上記合金粒子との濡れ性の悪さ
に起因するものと思われる。上記粗大化防止作用を有効
に奏させるために、第1工程で混合物を得る際、アルカ
リ土類金属化合物粒子を他の粒子中に充分均一に分散さ
せることが重要である。
【0033】また、第1工程は、銅化合物(銅化合物と
ニッケル化合物)と銀原料粉末とを充分均一に分散させ
て、成分が均一(従って前記作用が均一)な粒子で構成
され、所望の平均粒径を有する銅合金粉末を製造する上
でも重要である。混合物中の銅化合物(銅化合物とニッ
ケル化合物)および銀原料粉末は粒子径が小さいほど、
製造される合金粉末の平均粒径は小さくなる。
【0034】上記のように粗大化を防止できるととも
に、銅化合物(銅化合物とニッケル化合物)と銀原料粉
末とを充分均一に分散させた混合物を作製するために、
例えば、次の混合法が好ましい。
【0035】(1)アルカリ土類金属化合物粉末と、銅
化合物(銅化合物とニッケル化合物)粉末と、銀原料粉
末とをボールミル・ビーズミル等の粉砕機で粉砕、混合
する。
【0036】(2)アルカリ土類金属、銅(銅とニッケ
ル)および銀よりなる群から選ばれた少なくとも1種を
含む水溶液中に苛性アルカリまたは炭酸アルカリを添加
して該少なくとも1種の化合物の沈殿を生成させなが
ら、他粉末との混合を行う。
【0037】上記(1)、(2)のようにして得た殿物
は固液分離し、固形分は水洗、乾燥、解砕した後、第2
工程に供する。
【0038】第1工程において、アルカリ土類金属化合
物粉末量と、銅量+銀量(銅量+銀量+ニッケル量)と
の重量比が0.1〜1であるように混合するのが好まし
い。この重量比が0.1未満では、第2および第3工程
における上記粗大化防止作用が十分発揮されず、従って
分散性の良好な粒子で構成された平均粒径が10μm以
下の銅合金粉末を製造しにくい。一方、重量比を1より
多くすると、第3工程における銅(銅とニッケル)およ
び銀の間の拡散が起り難くなるだけでなく、第4工程に
おいて、アルカリ土類金属化合物を溶解分離するために
使用する酸の量が増加する。
【0039】[焙焼]焙焼は、水素雰囲気中400〜8
00℃で行う。この焙焼により、第1工程で得られた混
合物中化合物状の銅(銅とニッケル)、および銀原料に
酸化銀を用いれば酸化物状の銀を還元して、球状で分散
性良好な金属状の銅(銅とニッケル)および銀を得る。
焙焼温度が400℃未満では、未還元物(銅化合物(銅
化合物とニッケル化合物)、および銀原料に酸化銀を用
いれば酸化銀)が残存し、焙焼後の加熱の際、この残存
物が、アルカリ土類金属化合物と複合酸化物を生成す
る。そして、生成した複合酸化物は、第4工程で酸に溶
解し難く、製造される銅合金粉末中に不純物として混入
する。一方、800℃を超えると、銅化合物とニッケル
化合物が還元される前に、これらとアルカリ土類金属化
合物とが、複合酸化物を生成する。そして、この複合酸
化物は、第2工程における水素還元の進行を困難にする
だけでなく、第4工程で酸に溶解し難く、製造される銅
合金粉末中に混入する。
【0040】第2工程で調製される水素雰囲気は、水素
単独の気流だけでなく、水素−窒素混合気流や水素−ア
ルゴン混合気流としてもよい。
【0041】[焙焼後の加熱]焙焼後の加熱では、70
0〜1200℃で、かつ焙焼温度より高い(好ましくは
50℃以上高い)温度まで昇温し、焙焼物を該温度でさ
らに加熱する。この加熱により、焙焼物中の金属状の銅
(銅とニッケル)および銀を互いに拡散させる。この拡
散により、銅合金粉末粒子は、銅を主成分とし銀(銀お
よびニッケル)を含むコア部と、銀を主成分とし銅(銅
およびニッケル)を含む表面層とからなる組織を有す
る。それとともに、上記表面層のコア部側には、銅およ
び銀(銅、銀およびニッケル)の連続的な濃度勾配が形
成される。
【0042】第1発明の方法において、銅および銀が上
記のように連続的な濃度勾配を形成するのは、銅と銀と
が相溶性が少ないためである。また、第2発明の方法に
おいて、銅、銀およびニッケルが上記のように連続的な
濃度勾配を形成するとともに、銅およびニッケルがコア
部を選択的に形成するのは、銅およびニッケルと、銀と
は相溶性が少なく、ニッケルは、銅と非常に容易に均一
な合金となるためである。
【0043】なお、焙焼後の加熱は、製造される銅合金
粉末粒子の球形性だけでなく、結晶性、従って耐酸化性
をもさらに向上させる。
【0044】上記加熱温度が700℃未満では、上記効
果が十分得られない。また、1200℃を超えると、銅
粉末(銅粉末とニッケル粉末)、銀粉末やアルカリ土類
金属化合物粉末が焼結や融着を起こす。この焼結・融着
を起こすと、製造される銅合金粉末粒子は粗大化し易
く、かつ球形を保ち難くなり、また、アルカリ土類金属
化合物は酸溶解性が悪くなる。そのため、第4工程での
酸による溶解除去が不十分になるだけでなく、分離され
た銅合金粉末にアルカリ土類金属化合物が不純物として
混入する。
【0045】加熱雰囲気は、還元性、不活性、真空など
の非酸化性でよい。
【0046】[溶解分離]第4工程において、加熱物を
酸洗し、該加熱物中に含まれるアルカリ土類金属化合物
を溶解し、銅合金粉末から分離除去する。ここで使用す
る酸の種類は、有機、無機を問わず使用可能であるが、
安価な硫酸、塩酸が好ましい。酸使用量は、銅合金粉末
粒子をできるだけ溶解しないように、好ましくは、上記
アルカリ土類金属化合物を溶解するのに必要な理論量と
の重量比が1.0〜1.1となるようにする。
【0047】
【実施例】実施例1〜4で銅−銀合金粉末を、実施例5
〜7で銅−ニッケル−銀合金粉末を製造した。
【0048】[実施例1] (1)塩基性炭酸銅と水酸化マグネシウムと酸化銀との
混合物の作製 60.5gの試薬塩基性炭酸銅と、80gの試薬1級水
酸化マグネシウムとを1リットルの純水に懸濁させボー
ルミル(ボール:直径5mm、ジルコニア製)で12時
間粉砕、混合した後、ボールを分離して懸濁液を得た。
その懸濁液に、143gの試薬1級硝酸銀を500ml
の純水に溶解した水溶液と、33.7gの試薬1級水酸
化ナトリウムを200mlの純水に溶解した水溶液とを
添加して、30分間攪拌した。
【0049】得られた殿物を吸引ろ過により固液分離し
た後、2リットルの純水で固形物を洗浄し、80℃で1
2時間大気乾燥した。乾燥物は乳鉢で解砕した。
【0050】(2)焙焼 水素気流中500℃で1時間解砕物を焙焼した。
【0051】(3)焙焼後の加熱 焙焼後、雰囲気を水素から窒素に変えながら750℃ま
で昇温し、750℃を2時間保持した。
【0052】(4)マグネシウム化合物の溶解除去 加熱物を1リットルの純水中に懸濁させ、148gの試
薬1級硫酸を400mlの純水で希釈した溶液を添加し
30分間攪拌して、該加熱物中に含まれるマグネシウム
化合物を溶解した。
【0053】溶解後、吸引ろ過により固液分離した。分
離された粉末は、1リットルの純水で2回水洗し、60
℃で12時間真空乾燥した。以上の操作で121gの粉
末を得た。この粉末を硝酸に溶解し、ICP発光分析装
置で銀と銅を定量した結果、銀が74重量%、銅が2
5.5重量%であった。
【0054】(5)銅−銀合金粉末の物性評価 製造された銅−銀合金粉末について、粒子の形状と分散
性を観察し、平均粒径を測定し、そして粒子内の銅と銀
の分布状態を調査した。なお、上記観察・測定は走査型
電子顕微鏡で行った。このうち分散性は、個々の粒子が
独立に存在している程度を観察した。また、上記調査
は、銅−銀合金粉末をベークライト樹脂で固結し、研磨
した後、銅−銀合金粉末の断面を日立製X−650EP
MA装置で観察することによった。
【0055】その結果、粒子形状は球状で、粒子分散性
は良好であり、そして平均粒径は3μmであった。銅−
銀合金粉末の電子顕微鏡写真(倍率:3000倍)を図
2に示す。
【0056】上記調査は、図2の電子顕微鏡写真の+印
およびその近傍の粒子に対して行った。上記粒子を横断
する直線に沿って銀および銅のX線強度を測定し、その
強度チャートを該直線(図示)上の位置に対応させて、
夫々図1、図3に示す(倍率はいずれも6000倍)。
図1および図3より、次のことが分かる。粒子表面から
0.5μmの厚みで、コア部より銀含有量が著しく多い
銀−銅合金表面層がコア部を取り巻いている。そして、
上記表面層では、銅および銀が左右逆方向に連続的で急
な濃度勾配を形成し、互いに拡散した組織となっている
(図1で、ピーク状のチャートが見られる)。
【0057】[実施例2] (1)塩基性炭酸銅と水酸化マグネシウムと酸化銀との
混合物の作製 406gの試薬塩基性炭酸銅と、160gの試薬1級水
酸化マグネシウムとを2リットルの純水に懸濁させ、ボ
ールミル(ボール:直径5mm、ジルコニア製)で12
時間粉砕、混合した後、ボールを分離して懸濁液を得
た。その懸濁液に、118gの試薬1級硝酸銀を500
mlの純水に溶解した水溶液と、27.8gの試薬1級
水酸化ナトリウムを200mlの純水に溶解した水溶液
とを添加して、30分間攪拌した。
【0058】得られた殿物を吸引ろ過により固液分離し
た後、4リットルの純水で固形物を洗浄し、80℃で1
2時間大気乾燥した。乾燥物は乳鉢で解砕した。
【0059】(2)焙焼 水素気流中450℃で1時間解砕物を焙焼した。
【0060】(3)焙焼後の加熱 焙焼後、雰囲気を水素から窒素に変えながら950℃ま
で昇温し、950℃を2時間保持した。
【0061】(4)マグネシウム化合物の溶解除去 加熱物を2リットルの純水中に懸濁させ、296gの試
薬1級硫酸を800mlの純水で希釈した溶液を添加し
30分間攪拌して、該加熱物中に含まれるマグネシウム
化合物を溶解した。
【0062】溶解後、吸引ろ過により固液分離した。分
離された粉末は、1リットルの純水で2回水洗し、60
℃で12時間真空乾燥した。以上の操作で295gの粉
末を得た。実施例1と同様にして、この粉末中の銅と銀
を定量した結果、銅が76.3重量%、銀が23重量%
であった。
【0063】(5)銅−銀合金粉末の物性評価 製造された銅−銀合金粉末について、実施例1と同様に
して、粒子の形状と分散性を観察し、平均粒径を測定
し、そして粒子内の銅と銀の分布状態を調査した。
【0064】その結果、粒子形状は球状で、粒子分散性
は良好であり、そして平均粒径は2μmであった。ま
た、分布状態の調査では、粒子表面から0.1μmの厚
みで、コア部より銀含有量が著しく多い銀−銅合金表面
層がコア部を取り巻いていた。そして、上記表面層で
は、銅および銀が左右逆方向に連続的で急な濃度勾配を
形成し、互いに拡散した組織となっていた。
【0065】[実施例3] (1)酸化銅と水酸化マグネシウムと酸化銀との混合物
の作製 51gの試薬亜酸化銅と、15gの試薬1級水酸化マグ
ネシウムとを500mlの純水に懸濁させ、ボールミル
(ボール:直径5mm、ジルコニア製)で12時間粉
砕、混合した後、ボールを分離して懸濁液を得た。その
懸濁液に、23.7gの試薬1級硝酸銀を200mlの
純水に溶解した水溶液と、5.6gの試薬1級水酸化ナ
トリウムを100mlの純水に溶解した水溶液とを添加
して、30分間攪拌した。
【0066】得られた殿物を吸引ろ過により固液分離し
た後、1リットルの純水で固形物を洗浄し、80℃で1
2時間大気乾燥した。乾燥物は乳鉢で解砕した。
【0067】(2)焙焼 水素・窒素混合気流(混合比(容量)=2:1)中50
0℃で1時間解砕物を焙焼した。
【0068】(3)焙焼後の加熱 焙焼後、雰囲気を水素・窒素から窒素に変えながら95
0℃まで昇温し、950℃を2時間保持した。
【0069】(4)マグネシウム化合物の溶解除去 加熱物を500mlの純水中に懸濁させ、27.7gの
試薬1級硫酸を200mlの純水で希釈した溶液を添加
し30分間攪拌して、該加熱物中に含まれるマグネシウ
ム化合物を溶解した。
【0070】溶解後、吸引ろ過により固液分離した。分
離された粉末は、1リットルの純水で2回水洗し、60
℃で12時間真空乾燥した。以上の操作で58gの粉末
を得た。実施例1と同様にして、この粉末中の銅と銀を
定量した結果、銅が75.6重量%、銀が23.7重量
%であった。
【0071】(5)銅−銀合金粉末の物性評価 製造された銅−銀合金粉末について、実施例1と同様に
して、粒子の形状と分散性を観察し、平均粒径を測定
し、そして粒子内の銅と銀の分布状態を調査した。
【0072】その結果、粒子形状は球状で、粒子分散性
は良好であり、そして平均粒径は2μmであった。ま
た、分布状態の調査では、粒子表面から0.5μmの厚
みで、コア部より銀含有量が著しく多い銀−銅合金表面
層がコア部を取り巻いていた。そして、上記表面層で
は、銅および銀が左右逆方向に連続的で急な濃度勾配を
形成し、互いに拡散した組織となっていた。
【0073】[実施例4] (1)水酸化カルシウムと酸化銅と酸化銀との混合物の
作製 30gの試薬1級塩化カルシウム(無水)を500ml
の純水に溶解した水溶液に、51gの試薬亜酸化銅を懸
濁させ、その懸濁液に、22gの試薬1級水酸化ナトリ
ウムを100mlの純水に溶解した水溶液を添加して、
30分間攪拌し、固液分離して、亜酸化銅と水酸化カル
シウムとの混合殿物を得た。
【0074】また、23.7gの試薬1級硝酸銀を20
0mlの純水に溶解した水溶液と、5.6gの試薬1級
水酸化ナトリウムを100mlの純水に溶解した水溶液
とを添加して、30分間攪拌し、固液分離して、酸化銀
の殿物を得た。
【0075】得られた混合殿物と殿物を1リットルの純
水中に懸濁させ、30分間攪拌混合し、吸引ろ過により
固液分離した後、1リットルの純水で固形物を洗浄し、
80℃で12時間大気乾燥した。乾燥物は乳鉢で解砕し
た。
【0076】(2)焙焼 水素気流中650℃で1時間解砕物を焙焼した。
【0077】(3)焙焼後の加熱 焙焼後、雰囲気を水素から窒素に変えながら1000℃
まで昇温し、1000℃を1時間保持した。
【0078】(4)カルシウム化合物の溶解除去 加熱物を500mlの純水中に懸濁させ、55mlの試
薬1級塩酸(濃度:36%)を添加し30分間攪拌し
て、該加熱物中に含まれるカルシウム化合物を溶解し
た。
【0079】溶解後、吸引ろ過により固液分離した。分
離された粉末は、1リットルの純水で2回水洗し、60
℃で12時間真空乾燥した。以上の操作で56gの粉末
を得た。実施例1と同様にして、この粉末中の銅と銀を
定量した結果、銅が75.2重量%、銀が23.3重量
%であった。
【0080】(5)銅−銀合金粉末の物性評価 製造された銅−銀合金粉末について、実施例1と同様に
して、粒子の形状と分散性を観察し、平均粒径を測定
し、そして粒子内の銅と銀の分布状態を調査した。
【0081】その結果、粒子形状は球状で、粒子分散性
は良好であり、そして平均粒径は2μmであった。ま
た、分布状態の調査では、粒子表面から0.2μmの厚
みで、コア部より銀含有量が著しく多い銀−銅合金表面
層がコア部を取り巻いていた。そして、上記表面層で
は、銅および銀が左右逆方向に連続的で急な濃度勾配を
形成し、互いに拡散した組織となっていた。
【0082】[実施例5] (1)塩基性炭酸銅と水酸化マグネシウムと酸化ニッケ
ルと酸化銀との混合物の作製 60.5gの試薬塩基性炭酸銅と、80gの試薬1級水
酸化マグネシウムと、21.6gの試薬酸化ニッケルと
を、1リットルの純水に懸濁させ、ボールミル(ボー
ル:直径5mm、ジルコニア製)で12時間粉砕、混合
した後、ボールを分離して懸濁液を得た。その懸濁液
に、143gの試薬1級硝酸銀を500mlの純水に溶
解した水溶液と、33.7gの試薬1級水酸化ナトリウ
ムを200mlの純水に溶解した水溶液とを添加して、
30分間攪拌した。
【0083】得られた殿物を吸引ろ過により固液分離し
た後、2リットルの純水で固形物を洗浄し、80℃で1
2時間大気乾燥した。乾燥物は乳鉢で解砕した。
【0084】(2)焙焼 水素気流中450℃で1時間解砕物を焙焼した。
【0085】(3)焙焼後の加熱 焙焼後、雰囲気を水素から窒素に変えながら750℃ま
で昇温し、750℃を1時間保持した。
【0086】(4)マグネシウム化合物の溶解除去 加熱物を1リットルの純水中に懸濁させ、148gの試
薬1級硫酸を400mlの純水で希釈した溶液を添加し
30分間攪拌して、該加熱物中に含まれるマグネシウム
化合物を溶解した。
【0087】溶解後、吸引ろ過により固液分離した。分
離された粉末は、1リットルの純水で2回水洗し、60
℃で12時間真空乾燥した。以上の操作で131gの粉
末を得た。実施例1と同様にして、この粉末中の銀と銅
とニッケルを定量した結果、銀が67重量%、銅が23
重量%、ニッケルが9.7重量%であった。
【0088】(5)銅−ニッケル−銀合金粉末の物性評
価 製造された銅−ニッケル−銀合金粉末について、実施例
1と同様にして、粒子の形状と分散性を観察し、平均粒
径を測定し、そして粒子内の銅とニッケルと銀の分布状
態を調査した。
【0089】その結果、粒子形状は球状で、粒子分散性
は良好であり、そして平均粒径は3μmであった。ま
た、分布状態の調査では、粒子表面から0.5μmの厚
みで、コア部より銀含有量が著しく多い銀−銅−ニッケ
ル合金表面層がコア部を取り巻いていた。そして、上記
表面層では、銅および銀が左右逆方向に連続的で急な濃
度勾配を、またニッケルが銅と同方向に連続的で緩やか
な濃度勾配を形成して、互いに拡散した組織となってい
た。
【0090】[実施例6] (1)塩基性炭酸銅と水酸化マグネシウムと塩基性炭酸
ニッケルと酸化銀との混合物の作製 362gの試薬塩基性炭酸銅と、160gの試薬1級水
酸化マグネシウムと、96gの試薬塩基性炭酸ニッケル
とを、2リットルの純水に懸濁させ、ボールミル(ボー
ル:直径5mm、ジルコニア製)で12時間粉砕、混合
した後、ボールを分離して懸濁液を得た。その懸濁液
に、37.8gの試薬1級硝酸銀を500mlの純水に
溶解した水溶液と、9gの試薬1級水酸化ナトリウムを
100mlの純水に溶解した水溶液とを添加して、30
分間攪拌した。
【0091】得られた殿物を吸引ろ過により固液分離し
た後、4リットルの純水で固形物を洗浄し、80℃で1
2時間大気乾燥した。乾燥物は乳鉢で解砕した。
【0092】(2)焙焼 水素気流中500℃で1時間解砕物を焙焼した。
【0093】(3)焙焼後の加熱 焙焼後、雰囲気を水素から窒素に変えながら950℃ま
で昇温し、950℃を1時間保持した。
【0094】(4)マグネシウム化合物の溶解除去 加熱物を2リットルの純水中に懸濁させ、295gの試
薬1級硫酸を800mlの純水で希釈した溶液を添加し
30分間攪拌して、該加熱物中に含まれるマグネシウム
化合物を溶解した。
【0095】溶解後、吸引ろ過により固液分離した。分
離された粉末は、1リットルの純水で2回水洗し、60
℃で12時間真空乾燥した。以上の操作で260gの粉
末を得た。実施例1と同様にして、この粉末中の銅とニ
ッケルと銀を定量した結果、銅が75重量%、ニッケル
が15重量%、銀が9重量%であった。
【0096】(5)銅−ニッケル−銀合金粉末の物性評
価 製造された銅−ニッケル−銀合金粉末について、実施例
1と同様にして観察、測定および調査をした。
【0097】その結果、粒子形状は球状で、粒子分散性
は良好であり、そして平均粒径は2μmであった。銅−
ニッケル−銀合金粉末の電子顕微鏡写真(倍率:500
0倍)を図4に示す。
【0098】上記調査は、製造された銅−ニッケル−銀
合金粉末粒子を横断する直線に沿って銅、ニッケルおよ
び銀のX線強度を測定し、その強度チャートを該直線
(図示)上の位置に対応させて、夫々図5、図6、図7
に示す(倍率はいずれも10000倍)。
【0099】図5、図6および図7より、次のことが分
かる。粒子表面から0.1μmの厚みで、コア部より銀
含有量が著しく多い銀−銅−ニッケル合金表面層がコア
部を取り巻いている。そして、上記表面層では、銅およ
び銀が左右逆方向に連続的で急な濃度勾配を、またニッ
ケルが銅と同方向に連続的で緩やかな濃度勾配を形成し
て、互いに拡散した組織となっている(図7で、ピーク
状のチャートが見られる。そして中央部の一番高いピー
クはその左右両側粒子の表面層のピーク幅が合成され一
つに見える)。なお、図7のA、B、CおよびD点にお
ける銀と銅とニッケルのX線強度比は、それぞれ(6
2.0:34.2:3.8)、(6.8:81.9:1
1.3)、(3.4:83.5:13.2)、(3.
7:84.4:11.9)であった。
【0100】[実施例7] (1)酸化銅と水酸化マグネシウムと塩基性炭酸ニッケ
ルと酸化銀との混合物の作製 34gの試薬亜酸化銅と、25gの試薬1級水酸化マグ
ネシウムと、12gの試薬塩基性炭酸ニッケルとを、5
00mlの純水に懸濁させ、ボールミル(ボール:直径
5mm、ジルコニア製)で12時間粉砕、混合した後、
ボールを分離して懸濁液を得た。その懸濁液に、23.
4gの試薬1級硝酸銀を200mlの純水に溶解した水
溶液と、5.6gの試薬1級水酸化ナトリウムを100
mlの純水に溶解した水溶液とを添加して、30分間攪
拌した。
【0101】得られた殿物を吸引ろ過により固液分離し
た後、1リットルの純水で固形物を洗浄し、80℃で1
2時間大気乾燥した。乾燥物は乳鉢で解砕した。
【0102】(2)焙焼 水素・窒素混合気流(混合比(容量)=2:1)中50
0℃で30分解砕物を焙焼した。
【0103】(3)焙焼後の加熱 焙焼後、雰囲気を水素・窒素から窒素に変えながら10
00℃まで昇温し、1000℃を2時間保持した。
【0104】(4)マグネシウム化合物の溶解除去 加熱物を500mlの純水中に懸濁させ、46gの試薬
1級硫酸を200mlの純水で希釈した溶液を添加し3
0分間攪拌して、該加熱物中に含まれるマグネシウム化
合物を溶解した。
【0105】溶解後、吸引ろ過により固液分離した。分
離された粉末は、1リットルの純水で2回水洗し、60
℃で12時間真空乾燥した。以上の操作で48gの粉末
を得た。実施例1と同様にして、この粉末中の銅と銀と
ニッケルを定量した結果、銅が59重量%、銀が29重
量%、ニッケルが10重量%であった。
【0106】(5)銅−ニッケル−銀合金粉末の物性評
価 製造された銅−ニッケル−銀合金粉末について、実施例
1と同様にして、粒子の形状と分散性を観察し、平均粒
径を測定し、そして粒子内の銅とニッケルと銀の分布状
態を調査した。
【0107】その結果、粒子形状は球状で、粒子分散性
は良好であり、そして平均粒径は2μmであった。ま
た、分布状態の調査では、粒子表面から0.5μmの厚
みで、コア部より銀含有量が著しく多い銀−銅−ニッケ
ル合金表面層がコア部を取り巻いていた。そして、上記
表面層では、銅および銀が左右逆方向に連続的で急な濃
度勾配を、またニッケルが銅と同方向に連続的で緩やか
な濃度勾配を形成して、互いに拡散した組織となってい
た。
【0108】
【発明の効果】本発明によって、導電性、耐酸化性およ
び耐マイグレーション性に優れ、平均粒径が0.1〜1
0μmであり、球状で分散性の良好な粒子で構成された
銅合金粉末、および該粉末を安価に製造する方法を提供
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1で製造した銅−銀合金粉末粒子を横
断する図示直線に沿って測定し、該直線上の位置に対応
させて示した銀のX線強度のチャート(倍率:6000
倍)である。
【図2】 図1中の粒子を含んだ銅−銀合金粉末の走査
型電子顕微鏡写真(倍率:3000倍)である。
【図3】 銅のX線強度の図1と同様のチャート(倍
率:6000倍)である。
【図4】 実施例6で製造した銅−ニッケル−銀合金粉
末の走査型電子顕微鏡写真(倍率:5000倍)であ
る。
【図5】 実施例6で製造した銅−ニッケル−銀合金粉
末粒子を横断する図示直線に沿って測定し、該直線上の
位置に対応させて示した銅のX線強度のチャート(倍
率:10000倍)である。
【図6】 ニッケルのX線強度の図5と同様のチャート
(倍率:10000倍)である。
【図7】 銀のX線強度の図5と同様のチャート(倍
率:10000倍)である。

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 銀を1〜75重量%含み、残部が銅およ
    び不可避不純物であり、平均粒径が0.1〜10μmで
    あり、球状で分散性の良好な粒子で構成された粉末であ
    って、該粒子が、銅を主成分とし銀を含むコア部と、銀
    を主成分とし銅を含む表面層とからなり、該表面層の該
    コア部側に、銅および銀の連続的な濃度勾配が形成され
    た組織を有する銅合金粉末。
  2. 【請求項2】 銀を1〜75重量%、およびニッケルを
    5〜40重量%含み、残部が20重量%以上の銅および
    不可避不純物であり、平均粒径が0.1〜10μmであ
    り、球状で分散性の良好な粒子で構成された粉末であっ
    て、該粒子が、銅を主成分とし銀およびニッケルを含む
    コア部と、銀を主成分とし銅およびニッケルを含む表面
    層とからなり、該表面層の該コア部側に、銅、銀および
    ニッケルの連続的な濃度勾配が形成された組織を有する
    銅合金粉末。
  3. 【請求項3】 アルカリ土類金属化合物粉末と、銅化合
    物粉末と、銀原料粉末とからなり、銀量と銅量との重量
    比が(1〜75):(25〜99)である混合物を得る
    第1工程と、第1工程で得られた混合物中の銅および銀
    を金属状にするために、水素雰囲気中400〜800℃
    で該混合物を焙焼する第2工程と、第2工程で得られた
    焙焼物中の金属状の銅および銀を互いに拡散させるため
    に、700〜1200℃で、かつ第2工程の焙焼温度よ
    り高い温度で該焙焼物をさらに加熱する第3工程と、第
    3工程で得られた加熱物中のアルカリ土類金属化合物を
    酸で溶解し除去する第4工程とからなる銅合金粉末の製
    造方法。
  4. 【請求項4】 第1工程で混合物を得るために、アルカ
    リ土類金属化合物粉末と、銅化合物粉末と、銀原料粉末
    とをボールミルまたはビーズミルで混合する請求項3に
    記載の銅合金粉末の製造方法。
  5. 【請求項5】 第1工程で混合物を得るために、アルカ
    リ土類金属、銅および銀よりなる群から選ばれた少なく
    とも1種を含む水溶液中に苛性アルカリまたは炭酸アル
    カリを添加して該少なくとも1種の化合物の沈殿を生成
    させながら、混合を行う請求項3に記載の銅合金粉末の
    製造方法。
  6. 【請求項6】 第1工程で得られる混合物は、含まれる
    アルカリ土類金属化合物量と、銅量+銀量との重量比
    が、0.1〜1である請求項3〜5のいずれかに記載の
    銅合金粉末の製造方法。
  7. 【請求項7】 アルカリ土類金属化合物粉末と、銅化合
    物粉末と、銀原料粉末と、ニッケル化合物粉末とからな
    り、銀量とニッケル量と銅量との重量比が(1〜7
    5):(5〜40):(20〜94)である混合物を得
    る第1工程と、第1工程で得られた混合物中の銅、銀お
    よびニッケルを金属状にするために、水素雰囲気中40
    0〜800℃で該混合物を焙焼する第2工程と、第2工
    程で得られた焙焼物中の金属状の銅、銀およびニッケル
    を互いに拡散させるために、700〜1200℃で、か
    つ第2工程の焙焼温度より高い温度で該焙焼物をさらに
    加熱する第3工程と、第3工程で得られた加熱物中のア
    ルカリ土類金属化合物を酸で溶解し除去する第4工程と
    からなる銅合金粉末の製造方法。
  8. 【請求項8】 第1工程で混合物を得るために、アルカ
    リ土類金属化合物粉末と、銅化合物粉末と、銀原料粉末
    と、ニッケル化合物粉末とをボールミルまたはビーズミ
    ルで混合する請求項7に記載の銅合金粉末の製造方法。
  9. 【請求項9】 第1工程で混合物を得るために、アルカ
    リ土類金属、銅、銀およびニッケルよりなる群から選ば
    れた少なくとも1種を含む水溶液中に苛性アルカリまた
    は炭酸アルカリを添加して該少なくとも1種の化合物の
    沈殿を生成させながら、混合を行う請求項7に記載の銅
    合金粉末の製造方法。
  10. 【請求項10】 第1工程で得られる混合物は、含まれ
    るアルカリ土類金属化合物量と、銅量+銀量+ニッケル
    量との重量比が、0.1〜1である請求項7〜9のいず
    れかに記載の銅合金粉末の製造方法。
  11. 【請求項11】 第3工程の加熱温度は、第2工程の焙
    焼温度より50℃以上高い請求項3または7に記載の銅
    合金粉末の製造方法。
  12. 【請求項12】 アルカリ土類金属化合物は、酸化マグ
    ネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸
    化カルシウム、炭酸カルシウムおよび水酸化カルシウム
    よりなる群から選ばれた少なくとも1種である請求項
    3、4、6〜8および10のいずれかに記載の銅合金粉
    末の製造方法。
  13. 【請求項13】 銅化合物は、酸化銅、亜酸化銅、塩基
    性炭酸銅および水酸化銅よりなる群から選ばれた少なく
    とも1種である請求項3、4、7および8のいずれかに
    記載の銅合金粉末の製造方法。
  14. 【請求項14】 ニッケル化合物は、酸化ニッケル、水
    酸化ニッケルおよび塩基性炭酸ニッケルよりなる群から
    選ばれた少なくとも1種である請求項7または8に記載
    の銅合金粉末の製造方法。
  15. 【請求項15】 銀原料は、酸化銀、金属銀または酸化
    銀と金属銀である請求項3、4、7および8に記載の銅
    合金粉末の製造方法。
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