JPH1192684A - ガス中蒸着によるε型銅フタロシアニン結晶及びその薄膜の作製方法 - Google Patents
ガス中蒸着によるε型銅フタロシアニン結晶及びその薄膜の作製方法Info
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- JPH1192684A JPH1192684A JP25868097A JP25868097A JPH1192684A JP H1192684 A JPH1192684 A JP H1192684A JP 25868097 A JP25868097 A JP 25868097A JP 25868097 A JP25868097 A JP 25868097A JP H1192684 A JPH1192684 A JP H1192684A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 染料、顔料として幅広く活用され、また、そ
の光化学性や半導体性を利用して、電子写真、センサー
その外の新しい応用が期待されているε型銅フタロシア
ニン、及びその製造方法に関する。 【解決手段】 銅フタロシアニンを0.01〜100T
orrの範囲の圧力の不活性気体中で蒸発させ、任意の
基板材料の上に凝集させることによって、ε型の結晶の
銅フタロシアニンを得る。
の光化学性や半導体性を利用して、電子写真、センサー
その外の新しい応用が期待されているε型銅フタロシア
ニン、及びその製造方法に関する。 【解決手段】 銅フタロシアニンを0.01〜100T
orrの範囲の圧力の不活性気体中で蒸発させ、任意の
基板材料の上に凝集させることによって、ε型の結晶の
銅フタロシアニンを得る。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】銅フタロシアニンは耐熱、耐光性
から、染料、顔料として幅広く活用されている。また、
その光化学性や半導体性を利用して、電子写真、センサ
ーその外の新しい応用が期待されている。これらの性質
では、平面上分子間のπ電子の重なりが重要な役割を果
たすため、中心金属の選定のみならず、結晶系の選定も
重要な要素となる。
から、染料、顔料として幅広く活用されている。また、
その光化学性や半導体性を利用して、電子写真、センサ
ーその外の新しい応用が期待されている。これらの性質
では、平面上分子間のπ電子の重なりが重要な役割を果
たすため、中心金属の選定のみならず、結晶系の選定も
重要な要素となる。
【0002】銅フタロシアニンの最も安定な結晶系はβ
型であるが、準安定相のα型も容易に得ることができ
る。このほかにγ、δ、ε、X、その他の数多くの結晶
系の存在が知られているが(文献1:Mol.Crys
t.Liq.Cryst.,1991,Vol.19
5,pp.265−279)、これらの特定の結晶系の
みを得ることは容易ではなく、微量の不純物や試料に加
える機械的応用力、熱履歴等によって結晶系が微妙に変
化するため、再現性の良い製造法を確立する必要があ
る。
型であるが、準安定相のα型も容易に得ることができ
る。このほかにγ、δ、ε、X、その他の数多くの結晶
系の存在が知られているが(文献1:Mol.Crys
t.Liq.Cryst.,1991,Vol.19
5,pp.265−279)、これらの特定の結晶系の
みを得ることは容易ではなく、微量の不純物や試料に加
える機械的応用力、熱履歴等によって結晶系が微妙に変
化するため、再現性の良い製造法を確立する必要があ
る。
【0003】たとえば銅フタロシアニンを電子感光体と
して利用するために、帯電性や光感度の最も高いのはε
型である。さらに、銅フタロシアニンは針状の結晶を形
成するが、実際の応用に関してはこれを均一に分散して
利用する必要がある。このように結晶系とその凝集構造
を再現性良く形成できれば、銅フタロシアニンの光、エ
レクトロニクス関連の新しい用途が拓けるもの考えられ
る。
して利用するために、帯電性や光感度の最も高いのはε
型である。さらに、銅フタロシアニンは針状の結晶を形
成するが、実際の応用に関してはこれを均一に分散して
利用する必要がある。このように結晶系とその凝集構造
を再現性良く形成できれば、銅フタロシアニンの光、エ
レクトロニクス関連の新しい用途が拓けるもの考えられ
る。
【0004】
【従来の技術】従来、α及びβ型の銅フタロシアニンは
容易に得られてきたが、その他の結晶系を得るための系
統的な方法は無く、熱処理、機械的剪断力、酸処理、有
機溶媒処理等によって、限定された条件下で特定の結晶
が得られている。特に、酸処理や有機溶媒処理では、銅
フタロシアニン中への微量な残留不純物が結晶転移に寄
与するとも言われており、不明な要因が多い。このよう
に、従来は半経験的に特定の結晶を得ているため、再現
性良く物性が明確に定義できる材料を得ることは困難で
あった。
容易に得られてきたが、その他の結晶系を得るための系
統的な方法は無く、熱処理、機械的剪断力、酸処理、有
機溶媒処理等によって、限定された条件下で特定の結晶
が得られている。特に、酸処理や有機溶媒処理では、銅
フタロシアニン中への微量な残留不純物が結晶転移に寄
与するとも言われており、不明な要因が多い。このよう
に、従来は半経験的に特定の結晶を得ているため、再現
性良く物性が明確に定義できる材料を得ることは困難で
あった。
【0005】さらに、銅フタロシアニンを精製すると、
針状の結晶として成長するため、均一な微粒子として分
散性を向上させるためには濃硫酸に溶解した後沈殿させ
る等の方法が必要となり、凝集構造の制御の過程で不純
物が混入する問題も避けられない。そこで、不純物混入
の少ないドライプロセスで結晶制御する技術が必要とさ
れてきた。
針状の結晶として成長するため、均一な微粒子として分
散性を向上させるためには濃硫酸に溶解した後沈殿させ
る等の方法が必要となり、凝集構造の制御の過程で不純
物が混入する問題も避けられない。そこで、不純物混入
の少ないドライプロセスで結晶制御する技術が必要とさ
れてきた。
【0006】従来のドライプロセスによる銅フタロシア
ニンの取り扱いで、最も良く知られているのは真空蒸着
法である。この手法では、高い基板温度で蒸着を行うと
β型の結晶が得られ、低い基板温度ではα型が得られる
ことが知られている。清浄な結晶性基板の上にエピタキ
シャル成長させた場合、膜厚の薄い成長初期段階では、
これら以外の準安定結晶系が観察される場合もあるが、
そのような結晶を任意の基板上に多量に得ることは困難
である。
ニンの取り扱いで、最も良く知られているのは真空蒸着
法である。この手法では、高い基板温度で蒸着を行うと
β型の結晶が得られ、低い基板温度ではα型が得られる
ことが知られている。清浄な結晶性基板の上にエピタキ
シャル成長させた場合、膜厚の薄い成長初期段階では、
これら以外の準安定結晶系が観察される場合もあるが、
そのような結晶を任意の基板上に多量に得ることは困難
である。
【0007】また、イオンを用いたドライプロセスとし
て、クラスターイオンビーム蒸着法も報告されている。
これはノズル付き密閉るつぼから高真空中に銅フタロシ
アニンを蒸発させて、微小原子集団であるクラスターを
形成し、これを電子でイオン化した後基板に向けて電界
を加速し、クラスターを基板に射突させて分子状にした
後、表面で薄膜に凝集させる方法であるが、得られる結
晶は真空蒸着と同様、高い基板温度ではβ型、低い基板
温度でα型である。
て、クラスターイオンビーム蒸着法も報告されている。
これはノズル付き密閉るつぼから高真空中に銅フタロシ
アニンを蒸発させて、微小原子集団であるクラスターを
形成し、これを電子でイオン化した後基板に向けて電界
を加速し、クラスターを基板に射突させて分子状にした
後、表面で薄膜に凝集させる方法であるが、得られる結
晶は真空蒸着と同様、高い基板温度ではβ型、低い基板
温度でα型である。
【0008】今一つのドライプロセスとして、低圧力の
ガス中で銅フタロシアニンを蒸発させる手法がある。H
eあるいはAr中でボート型蒸発源を用いてβ型銅フタ
ロシアニンを蒸発させた場合、β型銅フタロシアニンの
微粒子が得られた報告が有るが、それ以外の結晶系は見
出されていない(文献2:液面科学、第8巻、第5号、
1987)。
ガス中で銅フタロシアニンを蒸発させる手法がある。H
eあるいはAr中でボート型蒸発源を用いてβ型銅フタ
ロシアニンを蒸発させた場合、β型銅フタロシアニンの
微粒子が得られた報告が有るが、それ以外の結晶系は見
出されていない(文献2:液面科学、第8巻、第5号、
1987)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は不活性ガス中
で銅フタロシアニンを蒸発させることによって銅フタロ
シアニンの結晶を制御する技術である。すなわち、原料
を加熱・蒸発することにより分子状態にした銅フタロシ
アニンを周囲の気体分子と衝突させて冷却し、気相中で
新たな結晶系に凝集するものである。従って、従来の真
空蒸着のように、分子状銅フタロシアニンを基板表面で
薄膜状に凝縮する手法ではなく、またガス中で単純に銅
フタロシアニンを蒸発させる手法とも異なる。得られた
銅フタロシアニン結晶は、任意の基板の上に薄膜として
得ることができ、これを剥離して粉末として利用するこ
ともできる。
で銅フタロシアニンを蒸発させることによって銅フタロ
シアニンの結晶を制御する技術である。すなわち、原料
を加熱・蒸発することにより分子状態にした銅フタロシ
アニンを周囲の気体分子と衝突させて冷却し、気相中で
新たな結晶系に凝集するものである。従って、従来の真
空蒸着のように、分子状銅フタロシアニンを基板表面で
薄膜状に凝縮する手法ではなく、またガス中で単純に銅
フタロシアニンを蒸発させる手法とも異なる。得られた
銅フタロシアニン結晶は、任意の基板の上に薄膜として
得ることができ、これを剥離して粉末として利用するこ
ともできる。
【0010】結晶系及び凝縮形態を蒸発温度(例えば、
約520℃以上)、ガスの種類(Ar、He、N2等の
不活性ガス)、ガス圧力(0.1−10Torr)等の
物理的条件によって制御する。本技術では、簡単な方法
で、不純物混入が少なく、良く制御された条件の下で銅
フタロシアニン結晶系を操作できるのみならず、任意の
厚さの薄膜として材料を扱うことができる。
約520℃以上)、ガスの種類(Ar、He、N2等の
不活性ガス)、ガス圧力(0.1−10Torr)等の
物理的条件によって制御する。本技術では、簡単な方法
で、不純物混入が少なく、良く制御された条件の下で銅
フタロシアニン結晶系を操作できるのみならず、任意の
厚さの薄膜として材料を扱うことができる。
【0011】
【課題を解決するための手段】図1に本発明の装置の模
式図を示す。原料銅フタロシアニンを蒸発源に充填し、
真空槽内に設置する。真空槽を高真空に排気して、内部
の残留気体や不純物を十分に除去した後、ニードル弁を
介して不活性気体を導入するとともに真空排気系を操作
して、真空槽内の圧力を任意に調整する。所定のガス圧
力に達したなら、蒸発源を加熱して、原料銅フタロシア
ニンをガス中に噴射させる。
式図を示す。原料銅フタロシアニンを蒸発源に充填し、
真空槽内に設置する。真空槽を高真空に排気して、内部
の残留気体や不純物を十分に除去した後、ニードル弁を
介して不活性気体を導入するとともに真空排気系を操作
して、真空槽内の圧力を任意に調整する。所定のガス圧
力に達したなら、蒸発源を加熱して、原料銅フタロシア
ニンをガス中に噴射させる。
【0012】蒸発温度は、るつぼ内部の銅フタロシアニ
ン蒸気圧における平均自由行程が、蒸発源のノズル直径
より小さくなるように選ぶ。この平均自由行程とは分子
が互いに衝突せずに進むことのできる距離であり、分子
の大きさおよび圧力の関数になる。即ち、本発明におい
ては、加熱蒸発して分子状なったフタロシアニンが、る
つぼのノズルを通して気体中に噴射されるが、ノズルの
直径が平均自由行程より大きい場合は蒸気の流れが粘性
流となり、断熱膨張よって温度が下がる。更に、周囲の
気体分子との衝突によっても熱エネルギーを奪われる。
ン蒸気圧における平均自由行程が、蒸発源のノズル直径
より小さくなるように選ぶ。この平均自由行程とは分子
が互いに衝突せずに進むことのできる距離であり、分子
の大きさおよび圧力の関数になる。即ち、本発明におい
ては、加熱蒸発して分子状なったフタロシアニンが、る
つぼのノズルを通して気体中に噴射されるが、ノズルの
直径が平均自由行程より大きい場合は蒸気の流れが粘性
流となり、断熱膨張よって温度が下がる。更に、周囲の
気体分子との衝突によっても熱エネルギーを奪われる。
【0013】真空槽中で銅フタロシアニンが形成する凝
集物を槽内に設置した基板に付着させる。付着膜厚を制
御する必要がある場合は、基板前面にシャッターを設
け、これを開閉することによって任意の膜厚を得る。必
要な量の銅フタロシアニン膜が得られたなら、蒸発源の
加熱を停止し、温度が下がった後真空槽に大気を導入
し、基板を取り出す。
集物を槽内に設置した基板に付着させる。付着膜厚を制
御する必要がある場合は、基板前面にシャッターを設
け、これを開閉することによって任意の膜厚を得る。必
要な量の銅フタロシアニン膜が得られたなら、蒸発源の
加熱を停止し、温度が下がった後真空槽に大気を導入
し、基板を取り出す。
【0014】
【発明の実施の形態】加熱蒸発して分子状になった銅フ
タロシアニンは、周囲の気体分子との衝突によっても熱
エネルギーを奪われる。これらの作用により、ノズルを
出た銅フタロシアニン蒸気は急激に過冷却状態になる。
周囲の気体が不活性であり、結晶の核となるような不純
物が無い環境では、過冷却になった銅フタロシアニン分
子は均質核形成によって固相へと相移転する。均質核形
成は、物質が十分に過冷却になった状態で、多体衝突に
よってある臨床核半径より大きな結晶核が生成され、こ
の核を中心として急激に凝縮が進行する現象である。
タロシアニンは、周囲の気体分子との衝突によっても熱
エネルギーを奪われる。これらの作用により、ノズルを
出た銅フタロシアニン蒸気は急激に過冷却状態になる。
周囲の気体が不活性であり、結晶の核となるような不純
物が無い環境では、過冷却になった銅フタロシアニン分
子は均質核形成によって固相へと相移転する。均質核形
成は、物質が十分に過冷却になった状態で、多体衝突に
よってある臨床核半径より大きな結晶核が生成され、こ
の核を中心として急激に凝縮が進行する現象である。
【0015】本発明のように、急激な過冷却が生じる場
合は、通常の結晶成長とは異なり、非熱平衡状態で結晶
が形成される。このため、通常の熱平衡では形成されな
いような準安定相の結晶を形成することもできる。ま
た、均質核形成ではナノメートルサイズの微少な凝縮核
を中心として結晶が成長するため、適当な条件下では超
微粒子状に銅フタロシアニンが凝集する。
合は、通常の結晶成長とは異なり、非熱平衡状態で結晶
が形成される。このため、通常の熱平衡では形成されな
いような準安定相の結晶を形成することもできる。ま
た、均質核形成ではナノメートルサイズの微少な凝縮核
を中心として結晶が成長するため、適当な条件下では超
微粒子状に銅フタロシアニンが凝集する。
【0016】このような超微粒子では、表面自由エネル
ギーの効果がバルクの自由エネルギーの効果に比べて大
きくなるため、通常のバルク結晶では観察されない特殊
な結晶構造をとることがある。これは、微粒子状の固体
では内部すなわちバルクに対して表面の割合が多くなる
ため、表面の効果は無視できないことになり、これに対
して通常の固体では内部に対して表面の割合が少ないの
で、表面の状態を無視することができるからである。更
にまた、通常の針状結晶と異なり、均一な凝集体を形成
できる。従って、ガス中蒸発を行うと、通常の熱平衡、
あるいはバルク状態では得ることが困難な結晶状態に銅
フタロシアニンを凝縮させることが可能となる。
ギーの効果がバルクの自由エネルギーの効果に比べて大
きくなるため、通常のバルク結晶では観察されない特殊
な結晶構造をとることがある。これは、微粒子状の固体
では内部すなわちバルクに対して表面の割合が多くなる
ため、表面の効果は無視できないことになり、これに対
して通常の固体では内部に対して表面の割合が少ないの
で、表面の状態を無視することができるからである。更
にまた、通常の針状結晶と異なり、均一な凝集体を形成
できる。従って、ガス中蒸発を行うと、通常の熱平衡、
あるいはバルク状態では得ることが困難な結晶状態に銅
フタロシアニンを凝縮させることが可能となる。
【0017】
【実施例1】 (Arガス中での蒸発)α型銅フタロシアニン100m
gをグラファイト製るつぼに充填し、真空槽に設置し
た。基板として有機溶媒で超音波洗浄したガラスをクヌ
ードセンセルから100mmの距離に設置した。真空槽
を液体窒素トラップおよび水冷バッフル付き油拡散ポン
プで排気し、1×10-5Torr以下の真空度を得た。
次に真空排気弁を閉じ、ニードル弁を介してArガス
(99.99%)を0.1〜10Torrの範囲で導入
した。圧力測定にはダイアフラム型真空計(MKS I
nstruments,PDR−C−1A)を用いた。
所定の圧力を得た後、るつぼを約520℃以上に加熱
し、蒸発した材料をガラス基板上に付着させた。30分
の蒸着で、膜厚約1μmの膜を得た。
gをグラファイト製るつぼに充填し、真空槽に設置し
た。基板として有機溶媒で超音波洗浄したガラスをクヌ
ードセンセルから100mmの距離に設置した。真空槽
を液体窒素トラップおよび水冷バッフル付き油拡散ポン
プで排気し、1×10-5Torr以下の真空度を得た。
次に真空排気弁を閉じ、ニードル弁を介してArガス
(99.99%)を0.1〜10Torrの範囲で導入
した。圧力測定にはダイアフラム型真空計(MKS I
nstruments,PDR−C−1A)を用いた。
所定の圧力を得た後、るつぼを約520℃以上に加熱
し、蒸発した材料をガラス基板上に付着させた。30分
の蒸着で、膜厚約1μmの膜を得た。
【0018】図2に、0.1、0.3、1及び10 T
orrにおけるArガス中で蒸着した膜、及び真空蒸着
膜(Ar圧力0 Torr)の紫外・可視吸光スペクト
ルを示す。波長600〜700nmに現われる銅フタロ
シアニンのQ帯に着目すると、ガス圧力を増大すると共
に波長780nm付近に新たな吸収が現われた。1To
rr以上のガス圧力で作製した膜のスペクトルは、文献
3の報告例(J.Electrochem.Soc.,
Vol.136,No.10,October198
9:The Electrochemical Soc
iety,Inc.)によるε型銅フタロシアニンのス
ペクトルと一致する。
orrにおけるArガス中で蒸着した膜、及び真空蒸着
膜(Ar圧力0 Torr)の紫外・可視吸光スペクト
ルを示す。波長600〜700nmに現われる銅フタロ
シアニンのQ帯に着目すると、ガス圧力を増大すると共
に波長780nm付近に新たな吸収が現われた。1To
rr以上のガス圧力で作製した膜のスペクトルは、文献
3の報告例(J.Electrochem.Soc.,
Vol.136,No.10,October198
9:The Electrochemical Soc
iety,Inc.)によるε型銅フタロシアニンのス
ペクトルと一致する。
【0019】図3に、α型銅フタロシアニン、ε型銅フ
タロシアニン、及び10TorrのArガス中で蒸着し
た膜を基板からはがして得られた粉末それぞれのKBr
法による赤外吸収スペクトルを示す。文献1の報告では
720cm-1付近及び775cm-1付近の吸収が結晶系
によって変化することが知られており、Arガス中で蒸
着した銅フタロシアニンはε型銅フタロシアニンと類似
のスペクトルを持つことがわかる。
タロシアニン、及び10TorrのArガス中で蒸着し
た膜を基板からはがして得られた粉末それぞれのKBr
法による赤外吸収スペクトルを示す。文献1の報告では
720cm-1付近及び775cm-1付近の吸収が結晶系
によって変化することが知られており、Arガス中で蒸
着した銅フタロシアニンはε型銅フタロシアニンと類似
のスペクトルを持つことがわかる。
【0020】以上のようにα型銅フタロシアニンは、通
常の真空中で蒸着するとα型銅フタロシアニンの薄膜が
得られるが、圧力数TorrのArガス中で蒸着するこ
とによりε型銅フタロシアニンへと結晶系を制御するこ
とができる。
常の真空中で蒸着するとα型銅フタロシアニンの薄膜が
得られるが、圧力数TorrのArガス中で蒸着するこ
とによりε型銅フタロシアニンへと結晶系を制御するこ
とができる。
【0021】
【実施例2】 (Heガス中での蒸発)実施例1と全く同様な手順によ
ってHeガス中で銅フタロシアニンを蒸着した。図4に
10TorrのHeガス中で蒸着した銅フタロシアニン
の赤外吸収スペクトルを、α型及びε型銅フタロシアニ
ンと比較して示す。いずれの結果でもArガスの場合と
同様、ε型銅フタロシアニンと一致する赤外吸収スペク
トルを呈した。
ってHeガス中で銅フタロシアニンを蒸着した。図4に
10TorrのHeガス中で蒸着した銅フタロシアニン
の赤外吸収スペクトルを、α型及びε型銅フタロシアニ
ンと比較して示す。いずれの結果でもArガスの場合と
同様、ε型銅フタロシアニンと一致する赤外吸収スペク
トルを呈した。
【0022】
【実施例3】 (N2ガス中で蒸発)実施例1と同様にN2ガス中で銅フ
タロシアニンを蒸着した結果の赤外吸収スペクトルを図
5に示す。N2ガスの場合でもArやHeガスの場合と
同様、ガス中蒸着によってε型銅フタロシアニンと一致
する赤外吸収スペクトルが得られた。
タロシアニンを蒸着した結果の赤外吸収スペクトルを図
5に示す。N2ガスの場合でもArやHeガスの場合と
同様、ガス中蒸着によってε型銅フタロシアニンと一致
する赤外吸収スペクトルが得られた。
【0023】
【発明の効果】本発明では、ε型銅フタロシアニンが薄
膜として得られる。また、本発明の実施例のような、圧
力数Torrのガス中では、銅フタロシアニン微粒子が
集合した構造の薄膜となる。これらの効果によって、電
子的機能の新たな活用などが期待される。したがって、
本発明では、ガス中蒸発を行って、結晶系や凝集形態を
制御することにより、銅フタロシアニンの電気的・光電
的機能を改善することが可能となり、得られた銅フタロ
シアニンがセンサーや光電変換素子へ応用できるものと
期待される。
膜として得られる。また、本発明の実施例のような、圧
力数Torrのガス中では、銅フタロシアニン微粒子が
集合した構造の薄膜となる。これらの効果によって、電
子的機能の新たな活用などが期待される。したがって、
本発明では、ガス中蒸発を行って、結晶系や凝集形態を
制御することにより、銅フタロシアニンの電気的・光電
的機能を改善することが可能となり、得られた銅フタロ
シアニンがセンサーや光電変換素子へ応用できるものと
期待される。
【図1】 ガス中蒸着装置を示す図である。
【図2】 銅フタロシアニンのArガス中蒸着膜、及び
真空蒸着膜(Ar圧力0Torr)の紫外・可視吸光ス
ペクトルを示す図である。
真空蒸着膜(Ar圧力0Torr)の紫外・可視吸光ス
ペクトルを示す図である。
【図3】 α型銅フタロシアニン、ε型銅フタロシアニ
ン、及び10TorrのArガス中で蒸着した銅フタロ
シアニンのKBrによる赤外吸収スペクトルを示す図で
ある。
ン、及び10TorrのArガス中で蒸着した銅フタロ
シアニンのKBrによる赤外吸収スペクトルを示す図で
ある。
【図4】 α型銅フタロシアニン、ε型銅フタロシアニ
ン、及び10TorrのHeガス中で蒸着した銅フタロ
シアニンの赤外吸収スペクトルを示す図である。
ン、及び10TorrのHeガス中で蒸着した銅フタロ
シアニンの赤外吸収スペクトルを示す図である。
【図5】 α型銅フタロシアニン、ε型銅フタロシアニ
ン、及び10TorrのN2ガス中で蒸着した銅フタロ
シアニンの赤外吸収スペクトルを示す図である。
ン、及び10TorrのN2ガス中で蒸着した銅フタロ
シアニンの赤外吸収スペクトルを示す図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 銅フタロシアニンを0.01〜100T
orrの範囲の圧力の不活性気体中で蒸発させ、任意の
基板材料の上に凝集させることによって、ε型の結晶及
びその凝集構造の銅フタロシアニンを得ることを特徴と
するガス中蒸着によるε型銅フタロシアニン結晶及びそ
の薄膜の作製方法。 - 【請求項2】 不活性気体としては第0族元素の希ガス
又は窒素ガスが使用される請求項1に記載の方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25868097A JPH1192684A (ja) | 1997-09-24 | 1997-09-24 | ガス中蒸着によるε型銅フタロシアニン結晶及びその薄膜の作製方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25868097A JPH1192684A (ja) | 1997-09-24 | 1997-09-24 | ガス中蒸着によるε型銅フタロシアニン結晶及びその薄膜の作製方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1192684A true JPH1192684A (ja) | 1999-04-06 |
Family
ID=17323617
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP25868097A Pending JPH1192684A (ja) | 1997-09-24 | 1997-09-24 | ガス中蒸着によるε型銅フタロシアニン結晶及びその薄膜の作製方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1192684A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20110019777A (ko) * | 2008-06-10 | 2011-02-28 | 메르크 파텐트 게엠베하 | Oled의 제조 방법 |
-
1997
- 1997-09-24 JP JP25868097A patent/JPH1192684A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20110019777A (ko) * | 2008-06-10 | 2011-02-28 | 메르크 파텐트 게엠베하 | Oled의 제조 방법 |
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