JPH1192245A - 中間材により接合したセラミックス部材およびその接合方法 - Google Patents

中間材により接合したセラミックス部材およびその接合方法

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JPH1192245A
JPH1192245A JP27526797A JP27526797A JPH1192245A JP H1192245 A JPH1192245 A JP H1192245A JP 27526797 A JP27526797 A JP 27526797A JP 27526797 A JP27526797 A JP 27526797A JP H1192245 A JPH1192245 A JP H1192245A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 セラミックス部材同士の強固な接合 【構成】 アルミナ、窒化珪素、サイアロン、ジルコニ
ア、アルミナ−ジルコニア、ジルコン、ムライとからな
る同種または異種のセラミックス材同士が中間材によっ
て接合されてなるセラミックス部材であって、該中間材
は、イットリアを2〜4モル%含有する正方晶ジルコニ
ア粉末またはこれとアルミナとの複合材の粉末を接合時
にその超塑性を利用して固相焼結を促進したものである
と共に焼結により生成した多結晶体を超塑性流動させて
形成したものである、厚さ5〜100μmの層からなる
接合強度の大きいセラミックス部材とその製法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、航空機、自動車、
家電製品、医療機器等の各種の機器、装置、部品、構造
材等に用いられるセラミックス材、特にアルミナ、窒化
珪素、サイアロン、ジルコニア、アルミナ−ジルコニ
ア、ジルコン(ZrO2 ・SiO2 )、ムライトからな
る同種または異種のセラミックス材同士を固相接合した
セラミックス材およびその接合方法に関する。
【0002】
【従来の技術】セラミックス材とセラミックス材とを接
合するためには、一方のセラミックス材と他方のセラミ
ックス材との間にろう材や金属箔を挿入したり、接合面
をメタライズ処理して中間層を設けた後で加熱、加圧す
ることによって接合する方法や、中間層なしで直接接合
する固相接合法が用いられているが、中間層を介して接
合した場合、接合部の強度、特に高温接合強度が母材に
比較して弱く、高温強度や信頼性の点で必ずしも充分で
はない。中間材としてセラミックス粉末を用いる方法も
あるが、かなりの高温、高圧力、長接合時間が必要であ
る。例えば、窒化珪素の場合は、1800℃−3GPa
−60min、アルミナの場合は、1650℃−100
MPa−60minの条件が必要である。接合部に中間
材を用いずにホットプレスやHIPにより直接接合する
方法では、大型の設備が必要で、接合部材の塑性変形の
ために寸法精度の低下が避けられない。
【0003】その他の接合方法として、母材に微細結晶
組織からなる粒径2μm以下のAl203/TiC複合材
を用い、これを真空中で超塑性発現域まで昇温したあと
圧縮変形させる方法が公知である(特開平4−2950
64号公報)。また、微細結晶粒セラミックス、微細結
晶粒金属との混合組成(具体的には3モル%イットリア
含有ジルコニアとアルミナとの混合組成を常圧焼結した
もの)の組成割合を傾斜させてなる複数の材料を用意
し、これらを組成割合の傾斜順に重層せしめたあと、超
塑性を発現する温度域にて加圧することにより複数の層
を一体に接合・成形する方法も公知である(特開平2−
217246号公報)。このように、接合部材の片方ま
たは両方が超塑性を発現するセラミックスの場合、大変
良好な接合が達成されるが、超塑性部材であるために被
接合部材の大変形がともなう問題がある。
【0004】さらに、本発明者らは、アルミナ多結晶体
の接合に3モル%イットリア含有正方晶ジルコニア多結
晶体の板状体を中間材として用いて、中間材は超塑性を
発現するが、被接合材のアルミナはほとんど全く塑性変
形を生じない条件下で接合を行うと、従来よりかなりの
低温、低圧力、短時間(1450℃−8MPa−20m
in)で被接合部材を永久変形させることなく、優れた
固相接合を達成出来ることを見い出し、既に報告してい
る(「日本機械学会・精密工学会日立地方講演会講演論
文集」第37〜39頁,1992年、「日本機械学会・
精密工学会茨城講演会講演論文集」第64〜65頁,1
994年、「日本機械学会機械材料・材料加工技術講演
会講演論文集」第4巻,第131〜132頁,1996
年、「Proc.1st.Int.Conf.on P
rocessing Mater.for Prope
rties」Ed.by H.Henein et a
l.,The MMMS,pp.269−272,19
93、「Materials Science For
um」vols.170/172,pp.427−43
2,1994、「Proc.IUMRS−ICA−′9
4」pp.683−688,1994)。この方法は、
被接合部材の表面粗さが多少大きくても適用できること
も特長の1つである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らが既に提案
した中間材に超塑性を発現するセラミックス多結晶体の
板状体を用いてアルミナの固相接合を行う方法では、曲
面を有する被接合部材への適用は難しく、かつ中間材の
作製コストがかなり割高である。さらに、上記の接合方
法は被接合材がアルミナの場合に適しているが、アルミ
ナ以外の窒化珪素、サイアロン等を被接合部材とした同
種または異種材料間の接合強度の大きい汎用性がある接
合方法の開発が求められている。また、上記の特開平2
−217246号公報に示される方法では、材料の接触
面をダイヤモンドホイールで表面粗さRmax2μm程
度に平滑に研削することとしているが、被接合部材の表
面粗さが相当に大きくても適用できる接合法であれば曲
面等の複雑形状の部品の研削等の煩雑で費用のかかる工
程を省略出来る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、中間材に超
塑性を発現するセラミックスの粉末を用いた場合、被接
合材には塑性変形を生じさせず、中間材となる粉末とそ
の焼結体に十分な超塑性変形を生じさせることのできる
焼結温度、接合温度、接合圧力および接合時間が存在
し、超塑性の特長である低変形応力、大塑性変形能を利
用して、粉末の焼結と同時に被接合部材の表面粗さを中
間材の超塑性流動により埋めることにより強力な接合を
行うことができ、上記の課題が解決できることを見出し
た。
【0007】本発明の方法は、同種または異種のセラミ
ックス材同士が中間材によって接合されてなるセラミッ
クス部材の製造方法であって、ジルコニア系セラミック
スとして公知の正方晶ジルコニア多結晶(Tetrag
onal ZirconiaPolycrystal、
以下「TZP」という)にイットリア(Y2O3)を2〜
4モル%固溶含有させた正方晶ジルコニア(以下、適宜
「Y−TZP」という)粉末またはTZPとアルミナと
の複合材(以下、適宜「Y−TZP/Al2O3」とい
う)の粉末を、接合後の中間材の厚さが所定の値となる
ような分量だけ被接合材と被接合材との間に配置後、5
0〜150MPa、好ましくは100MPaで粉末を圧
密化し、ついで当該粉末が超塑性を発現する高温、すな
わち1350℃〜1600℃、好ましくは1400〜1
550℃の接合温度範囲に加熱し、2〜20MPa、好
ましくは4〜10MPaの圧力を5〜60分、好ましく
は20〜40分加えることを特徴とする。
【0008】接合圧力の下限を2MPaとしたのは、2
MPa以下の圧力では焼結および超塑性流動が不十分な
ためである。上限を20MPaとしたのは、これ以上の
圧力では被接合材に塑性変形が生じるためである。接合
圧力は、低接合温度および中間材にY−TZP/Al2
O3を用いた場合は大きくする必要があり、高接合温度
では小さめでよい。被接合材を接合させるために加熱保
持する温度、すなわち接合温度は、中間材は超塑性を発
現するが、披接合材は塑性変形が生じない温度とする。
接合温度の下限を1350℃としたのは、1350℃以
上ではY−TZPおよびY−TZP/Al2O3複合材が
顕著な超塑性を発現するためであり、一方、上限を16
00℃としたのは、1600℃以上では被接合材が塑性
変形し、寸法変化が生じるためである。被接合材の塑性
変形が許容できる場合、あるいは、接合と同時に被接合
材の塑性変形を積極的に行う場合は、接合温度と接合圧
力は上記の上限以上でよい。
【0009】接合時間は、真空中で接合の場合は5〜2
0分程度で十分であり、大気中の場合は20〜60分が
好適である。大気中の接合の場合に長時間を要するの
は、被接合材と中間材との接合界面の気孔を減少させる
のに時間がかかるためである。また、中間材がY−TZ
P/Al2O3の場合は、超塑性変形のひずみ速度が遅い
ことに起因して、被接合部と中間材の間の隙間が十分埋
められるのに時間を要するため長めにする必要がある。
加熱および加圧に際しては、室温からの昇温中に1〜2
MPaの圧力を加えておき、接合温度に達すると同時に
所定の接合圧力を加えることが望ましい。また、接合後
の冷却途中で熱応力緩和のため一定の温度に保持するこ
とが望ましい。
【0010】さらに、本発明は、上記の方法で得られる
ところの同種または異種のセラミックス材同士が中間材
によって接合されてなるセラミックス部材に関する。該
中間材は、イットリアを2〜4モル%含有するY−TZ
P粉末またはイットリアを2〜4モル%含有するY−T
ZP/Al2O3粉末を接合時にその超塑性を利用して固
相焼結を促進したものであると共に焼結により生成した
多結晶体を超塑性流動させて形成したものである、厚さ
5〜100μm、より好ましくは5〜50μmの層から
なる。厚さが5μm未満では、被接合材同士が直接接触
する、すなわち中間材が存在しない領域が生じ易いため
であり、100μmを超えると接合部近くの被接合材に
生じる残留熱応力の影響が無視出来ないほど大きくな
り、接合強度を低下させるので好ましくない。なお、被
接合材の表面粗さが小さくかつ平行性が高くて被接合材
同士の直接接触の恐れがない場合は、中間材の厚さは5
μm未満でも使用出来る。
【0011】
【作用】超塑性は、低い応力で大きな塑性変形を示すこ
とが特長であり、この超塑性特性は粉末の焼結を促進す
る他、焼結後の多結晶体も低応力で大変形するので、被
接合材表面の凹凸が中間材の超塑性流動によりほぼ完全
に埋められ、被接合面と中間材との間には接合力を低下
させる空隙等はほとんど存在せず、これが接合強度を大
きくする原因の一つである。接合したセラミックス部材
は、中間材もセラミックスであるためにセラミックス部
材の特長が失われないとともに、接合部の曲げ強さが大
きい優れた特性を有する。また、被接合材と被接合材と
の間に当初充填した粉末を50〜150MPa程度の圧
縮処理を施して、圧密化することにより接合面と中間材
との間に空隙はほとんどなくなり良好な接合状態が得ら
れる。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明で対象とする好適な被接合
材は、アルミナ、窒化珪素、サイアロン、ジルコニア、
アルミナ−ジルコニア、ジルコン、ムライトであり、同
種の材料同士あるいは異種の材料同士の接合ができる。
被接合材はいずれも多結晶体である。これらの被接合材
の表面粗さは、中間材の厚さの1/2未満であればよ
い。すなわち、中間材の厚さをti、被接合材の接合部
の表面粗さをRy(最高高さ)とすると、Ry<(ti
/2)であればよい。例えば、中間材の厚さを50μm
とすると被接合材の表面粗さは25μm未満であればよ
いことになり、研削等により特別に被接合面を平滑にす
る必要はない。被接合材の前処理としては、上記の条件
を満たす表面粗さの調整の他に、表面の油膜等の洗浄の
ために有機溶剤等により超音波洗浄を施すことが望まし
い。
【0013】ジルコニアの微粉末としては、その合成の
過程で安定化剤として主にイットリアを2〜6モル%程
度固溶させた部分安定化ジルコニア(Y−PSZ)が知
られているが、Y−PSZは正方晶率が数十%程度のジ
ルコニアである。本発明の特長の一つは、被接合材と中
間材の熱膨張係数差に起因する熱応力を、中間材である
Y−TZPの正方晶→単斜晶応力誘起マルテンサイト変
態により緩和することにあり、正方晶率の大きいY−T
ZPが用いられる。
【0014】Y−TZPの粉末の合成は、主に湿式法を
用いて行われており、中和共沈法、加水分解法、水熱酸
化法、熱分解法など各種の方法が知られている。本発明
で使用出来る粉末は、これらの製造法で製造された粉末
であって、高純度で易焼結性のものが望ましい。一般に
高い密度をもった高強度、高靱性の焼結体を得るための
粉末の条件としては、組成が均一で有害な不純物を含ま
ないこと、微粒子からなっており、かつ成形しやすいこ
とが必要であり、本件発明において用いる粉末としても
このような条件を満たすことが望ましい。イットリアの
含有量が3モル%のものは、超塑性を発現する物質とし
て最も適するが、その含有量が2〜4モル%の範囲であ
れば超塑性を発現させることが可能であり、本発明で使
用できる。また、Y−TZPにアルミナを複合した超高
強度を有する材料として公知のY−TZP/Al2O3も
Y−TZPと同様に使用できる。
【0015】粉末の当初の所要充填量は、加圧接合後の
中間材の厚さに応じて、焼結後の密度が理論密度と等し
くなると仮定して計算した量を用いればよい。この所要
充填量の粉末を被接合材と被接合材との間に配置後、例
えば室温で静水圧プレス等を用いて、好ましくは、約1
00MPaの圧縮圧力で密度を上昇させる、すなわち圧
密化する。適切な圧密化を行うと、接合後の中間材の密
度を理論密度の99%以上にすることも可能であるが、
室温で圧密化を施さないと接合後に多数の未焼結の粉末
に起因する空隙が生じ、接合強度は低下する。
【0016】粉末を被接合材と被接合材との間に配置す
る際には、結合剤などの添加剤を使用せずに乾燥した状
態の清浄な粉末のみを用いることが望ましいが、その他
に適宜、エタノール等を用いスラリー状やペ−スト状に
して充填する方法、スプレーにより均一に吹き付ける方
法、Y−TZPまたはY−TZP/Al2O3の薄膜に粉
末を塗布したものを充填する方法等種々の手段を採用で
きる。接合部に粉末を配置した後に粉末の均一化(均厚
化)のために、超音波振動を印加すると良い。加熱は、
電気炉と温度制御装置を用いて行う。圧力をかける手段
は、油圧式プレス、万能型材料試験機、静荷重の付加等
を使用する。
【0017】接合後の中間材の密度は、接合条件に依存
するが、通常理論密度の98%以上の密度が得られる。
なお、アルミナ、ジルコニア、アルミナ−ジルコニアの
場合は、反応相の発生は全く認められない。窒化珪素、
サイアロン、ジルコン、ムライトの場合は反応相の発生
が認められるが、一般に反応相の生成は強度低下の原因
となるので生成を抑制することが望ましい。
【0018】被接合材の種類、中間材および好適な接合
条件をまとめて表1に示す。なお、中間材の厚みは接合
後の好適な値である。表1に示す条件は同種のセラミッ
クス材を接合する場合の好適な条件であるが、異種のセ
ラミックス材を接合する場合は、表1に示す条件を考慮
して最適な条件を選択して実施すれば良い。
【0019】
【表1】
【0020】
【実施例】
実施例および比較例 被接合材としてアルミナを用い、中間材として3モル%
のイットリアを含有する結晶子径20〜40nmの3Y
−TZPの粉末を理論密度から計算した接合後の厚さが
100μmとなるように被接合材と被接合材との間に充
填し、室温で約100MPaの圧力で圧密化した。つい
で電気炉内において所定の接合温度まで約90分で加熱
すると同時に1〜2MPaの圧力を加えて、所定の接合
温度に達すると同時に2MPa、4MPa、6MPa、
8MPa、10MPaの各接合圧力になるようにした。
ついで、約20分間保持後、圧力を解除して炉冷した。
なお、冷却中に1350℃になった時点で熱応力緩和の
ため約10分間保持した。その後、接合した材料を研磨
後、接合部を走査型電子顕微鏡観察するとともに接合材
を室温で4点曲げ試験した。また、被接合材として、ア
ルミナおよび窒化珪素を用いて、同様の方法で、中間材
の厚みを代えて実施し、接合後のセラミックス材を室温
で4点曲げ試験した。これらの実施例および比較例を表
2に示す。なお、評価は、被接合材がアルミナの場合
は、350MPaを超えるものを、Si3N4の場合は、
200MPaを超えるものを○とした。
【0021】
【表2】
【0022】図1に、接合温度(℃)および接合圧力
(MPa)と室温での4点曲げ試験による曲げ強さ(M
Pa)との関係を示す。また、図2に、接合後の中間材
の厚さ(μm)と室温での4点曲げ試験による曲げ強さ
(MPa)との関係を示す。なお、中間材は、接合中の
超塑性流動により、中間材の一部が接合面間より外側へ
塑性流動するため、超塑性流動量の大きい高温、高圧力
ほど接合後の中間材の厚さは小さくなる。図1中に示し
た括弧内の数値は、接合後の中間材の厚さを示す。
【0023】図1から明らかなように、接合温度、接合
圧力が大きいほど良好な接合状態が得られ、接合強度も
大きくなる。しかし温度と接合圧力が大き過ぎると接合
した部材の塑性変形に起因する座屈が生じる。従って、
中間材の超塑性変形のみが生じ、被接合部材には全く塑
性変形を生じさせない接合条件がある。アルミナを被接
合材として接合した試験片の4点曲げ試験を行うと、ア
ルミナ側で破壊する。この理由として、中間材の曲げ強
度はアルミナより大きいことと、一方、中間材とアルミ
ナとの熱膨張係数差に起因する残留熱応力が存在し、接
合部から約1mm程度はなれたアルミナ側の表面に引張
りの残留熱応力が大きくなる領域があるので、そこから
割れが発生することが多い。しかし、接合したアルミナ
の破壊応力(曲げ強さ)は500MPa程度を示すので
十分な接合強度がある。
【0024】さらに、図2から明らかなように、接合後
の中間材の厚みが薄くなるほど接合した部材の曲げ強度
は大きくなる。これは接合部の中間材の厚みが薄いほど
残留熱応力が小さいためである。被接合材がSi3N4の
場合は、接合部の反応相付近が4点曲げ試験の際に割れ
の発生源になることが多い。これは、反応相の曲げ強度
がSi3N4や中間材である3Y−TZP/Al2O3より
小さいためと考えられる。
【0025】図3に、接合部の走査型電子顕微鏡写真を
示す。図3の(a)と(b)は、被接合材がアルミナ、
中間材が3Y−TZP、接合前に圧密化し、接合条件
は、温度1450℃、接合圧力6MPa、接合時間20
分、中間材の厚さは88μmの場合である。なお(a)
は、1000倍、(b)は、5000倍で撮影した結果
である。接合界面には空隙等はほとんどなく大変良好な
接合状態にあることが分かる。被接合材がアルミナの場
合は、反応相(化合物相や固溶相)の発生は全く認めら
れない。
【0026】図4は、被接合材がSi3N4、中間材が3
Y−TZP/Al2O3(平均粒径約0.1μmのアルミ
ナ粉末と3Y−TZP粉末を複合したもの)、接合前に
圧密化し、接合条件は、温度1450℃、接合圧力6M
Pa、接合時間20分、中間材の厚さ18μmの場合で
ある。接合界面には空隙等はほとんどなく大変良好な接
合状態にある。しかし、ZrNや複雑な組成をもつ化合
物である反応相の生成が認められる。これらの反応相
は、通常は母相や中間材よりも弱いために接合強度を低
くするので望ましくなく、その生成を抑制することが望
ましい。
【0027】図5は、被接合材がアルミナ、中間材が3
Y−TZP、接合前の圧密化なし、接合条件は、温度1
400℃、接合圧力6MPa、接合時間20分、中間材
の厚さ93μmの場合で、中間材の焼結と超塑性流動が
不十分で、中間材部に多くの空隙が残存し、接合強度も
不十分の場合である。中間材に粉末を用いた揚合、接合
前に常温で圧縮処理、すなわち圧密化を施さないと、接
合部の中間材部には多くの空隙が残存し、接合強度が低
い。一方、50〜150MPa程度、例えば100MP
aの圧縮処理を施すと、空隙はほとんどなくなり良好な
接合状態が得られる。
【0028】
【発明の効果】本発明によれば、中間材に超塑性が発現
するセラミックス粉末を用い、適当な接合温度、接合圧
力および中間材の厚みの条件を組み合わせることにより
セラミックス材の強固な固相接合が達成できる。本発明
によれば、平面はもちろん曲面や凹凸面を有するセラミ
ックス同士の固相接合を、被接合部材の寸法変化をほと
んど伴わずに達成出来、また、中間材もセラミックスで
あるので、セラミックスの特長である耐熱性、耐摩耗
性、耐酸化性などが損なわれない接合部品の作製が可能
になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】種々の接合温度、接合圧力でアルミナの接合を
行った実施例および比較例についての接合強度を、4点
曲げ試験による曲げ強さによって示すグラフである。
【図2】接合後の中間材の厚さと接合を行った被接合材
であるアルミナおよびSi3N4の接合強度を、4点曲げ
試験による曲げ強さによって示すグラフである。
【図3】実施例において得られたアルミナを被接合材と
した接合部の走査型電子顕微鏡組織を示す写真である。
【図4】実施例において得られたSi3N4を被接合材と
した接合部の走査型電子顕微鏡組織を示す写真である。
【図5】比較例において得られたアルミナを被接合材と
した接合部の走査型電子顕微鏡組織を示す写真である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミナ、窒化珪素、サイアロン、ジル
    コニア、アルミナ−ジルコニア、ジルコン、ムライトか
    らなる同種または異種のセラミックス材同士が中間材に
    よって接合されてなるセラミックス部材であって、該中
    間材は、イットリアを2〜4モル%含有する正方晶ジル
    コニア粉末またはイットリアを2〜4モル%含有する正
    方晶ジルコニアとアルミナとの複合材の粉末を接合時に
    その超塑性を利用して固相焼結を促進したものであると
    共に焼結により生成した多結晶体を超塑性流動させて形
    成したものであることを特徴とする接合強度の大きいセ
    ラミックス部材。
  2. 【請求項2】 接合後の中間材の層の厚さが5〜100
    μmであることを特徴とする請求項1記載のセラミック
    ス部材。
  3. 【請求項3】 イットリアを2〜4モル%含有する正方
    晶ジルコニア粉末またはイットリアを2〜4モル%含有
    する正方晶ジルコニアとアルミナとの複合材の粉末を被
    接合材と被接合材との間に配置後、50〜150MPa
    で該粉末を圧密化し、該粉末およびその焼結後の多結晶
    体が超塑性を発現する1350℃〜1600℃の接合温
    度範囲に加熱し、2〜20MPaの接合圧力を加えるこ
    とを特徴とする請求項1または2記載のセラミックス部
    材の接合方法。
  4. 【請求項4】 室温からの昇温中に1〜2MPaの圧力
    を加えておき、接合温度に達すると同時に所定の接合圧
    力を加えることを特徴とする請求項3記載のセラミック
    ス部材の接合方法。
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