JPH1191581A - エスカレータ用車椅子運搬台車 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単な構造で、ハンドレールを傷付けること
なく安全に昇降させることのできるエスカレータ用車椅
子運搬台車の提供。 【解決手段】 運搬台車１本体のフレームに回動自在に
軸支される車椅子搭載部４と、この車椅子搭載部４の底
部に取付けられるローラ４Ａ、４Ｂと、これらのローラ
４Ａ、４Ｂを案内するガイド体５Ａ、５Ｂと、ガイド体
５Ａに備えられ、車椅子搭載部４の回動を抑制する抑制
体５Ａａと、後方ローラガイド体５Ｂに設けられる複数
の凸部５Ｂａ〜５Ｂｃと、車椅子搭載部４とローラ４Ｂ
間に介設されるばね７Ｃを備え、ステップ８に段付きが
生じて運搬台車１が傾斜したとき、車椅子搭載部４を回
動させて水平状態を保つとともに、車椅子搭載部４の回
動をローラ４Ａ、４Ｂがガイド体５Ａ、５Ｂにより案内
されることにより制限して安定した状態で移動させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、エスカレータを用
いて車椅子および車椅子利用者を昇降させるエスカレー
タ用車椅子運搬台車に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、エスカレータ用車椅子運搬台車と
して、車椅子を載置した運搬台車をエスカレータの可動
段上に載せ、この運搬台車に設けた把持具によりエスカ
レータのハンドレールを把持させ、エスカレータの移動
によりその傾斜面効果で回動桿を回動させて昇降脚を昇
降させ、車椅子を搭載する搭載台を水平状態にして可動
段で支持し、昇降させるように構成したものがある。

【０００３】なお、この種のものとして、例えば特開平
９−３０７６８号公報に記載されるものを挙げることが
できる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、前述した従
来のエスカレータ用車椅子運搬台車では、把持具により
ハンドレールを把持させるため、ハンドレールを傷付け
る恐れがあるとともに、ハンドレールに大きな負荷が掛
かることでステップの速度より遅くなり、運搬台車がス
テップから外れたり転倒する危険があった。また、車椅
子を搭載する搭載台を水平状態に保ために昇降脚を昇降
させる装置が設けられているが、この装置はエスカレー
タの移動によりその傾斜面効果で回動桿を回動させて昇
降脚を昇降させるため、構造が複雑であり、したがっ
て、故障が比較的多いとともに、この故障を防止するた
めに定期的に潤滑油を与えたり、チェーンの伸びを点検
する等の性能維持のための保全作業を要するという問題
があった。

【０００５】本発明はこのような従来技術における実情
に鑑みてなされたもので、その目的は、簡単な構造で、
ハンドレールを傷付けることなく安全に昇降させること
のできるエスカレータ用車椅子運搬台車を提供すること
にある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に本発明は、無端状に連結されて移動する複数のステッ
プと、これらのステップと同期して移動するハンドレー
ルとを備えたエスカレータに載置されるとともに、前記
ステップの踏面の少なくとも２倍以上の奥行き寸法を有
し、車椅子および車椅子利用者を乗せて昇降するエスカ
レータ用車椅子運搬台車において、本体のフレームに回
動自在に軸支される車椅子搭載部と、この車椅子搭載部
に取付けられる少なくとも１つのローラと、このローラ
を案内する所定長さのガイド体とを備えた構成にしてあ
る。

【０００７】前記のように構成した本発明によれば、エ
スカレータのステップに段付きが生じて運搬台車が傾斜
したとき、車椅子および車椅子利用者を乗せた車椅子搭
載部は本体のフレームに回動自在に軸支されていること
から回動して水平状態が保たれる。また、車椅子搭載部
はローラを介してガイド体により案内されて回動が制限
されることにより、安定した状態で移動する。これによ
って、簡単な構造で、ハンドレールを傷付けることなく
車椅子および車椅子利用者を乗せた運搬台車を安全に昇
降させることができる。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下、本発明のエスカレータ用車
椅子運搬台車の実施の形態を図に基づいて説明する。

【０００９】図１は本発明のエスカレータ用車椅子運搬
台車の一実施形態を示し、上昇移動時の側面図、図２は
運搬台車に車椅子を載せるときの状態を示す側面図、図
３は車椅子搭載部に取付けられたローラおよびその近傍
を示す断面図である。

【００１０】運搬台車１は図１に示すように、その底部
に前輪１Ａと後輪１Ｂとをそれぞれ一対備えているとと
もに、運搬台車１の右側ハンドル１Ｃに設けたブレーキ
付与装置１Ｃａを握ると前輪１Ａの前輪ブレーキ１Ａａ
がかかり、かつ、図示しない左側ハンドルに設けたブレ
ーキ付与装置を握ると後輪１Ｂの後輪ブレーキ１Ｂａが
かかるようになっている。

【００１１】そして、本実施形態の運搬台車１は、運搬
台車１本体のフレーム、すなわち、支柱２の端部に設け
られた軸２Ａに回動自在に軸支される車椅子搭載部４
と、この車椅子搭載部４の底部に取付けられる前方ロー
ラ４Ａおよび後方ローラ４Ｂと、運搬台車１に設けら
れ、前方ローラ４Ａを案内する前方ローラガイド体５Ａ
および後方ローラ４Ｂを案内する後方ローラガイド体５
Ｂと、前方ローラガイド体５Ａ備えられ、車椅子搭載部
の回動、すなわち、床面６と車椅子搭載部４の搭載面と
の角度を０〜−３０度の範囲に抑制する抑制体５Ａａと
が設けられている。また、前記の抑制体５Ａａは、後方
ローラガイド体５Ｂに設けられる複数の凸部５Ｂａ〜５
Ｂｃと、図３に示すように、後方ローラ４Ｂと車椅子搭
載部４との搭載面に接続され他方を第１の継ぎ手７Ａに
嵌入する第２の継ぎ手７Ｂと、第１の継ぎ手７Ａ内に設
けられ、第１の継ぎ手７Ａと第２の継ぎ手７Ｂ間に介設
されたばね７Ｃとを有している。なお、前述したように
床面６と車椅子搭載部４の搭載面との角度の抑制範囲を
０〜−３０度としたことは、ステップ８の傾斜範囲と対
応したものである。

【００１２】この実施形態にあっては、まず、床面６に
運搬台車６を停止させ、車椅子搭載部４の搭載面と床面
６間に渡し板９を渡して車椅子３を後向きで車椅子搭載
部４に乗せた後、渡し板９を外し、運搬台車１をエスカ
レータの図示しない乗り口へ移動させる。

【００１３】次に、前輪１Ａをステップ８に乗せたと
き、ブレーキ付与装置１Ｃａを握りブレーキ装置１Ａａ
をかけると前輪１Ａが回転しないので、ステップ８の移
動に伴い運搬台車１が移動し、この後、後輪１Ｂがステ
ップ８に乗ったときに図示しない左側ハンドルのブレー
キ付与装置を握り、ブレーキ装置１Ｂｂをかけて後輪１
Ｂの回転を停止させ、運搬台車１がステップ８上に停止
するようにする。

【００１４】そして、ステップ８の移動に伴い傾斜角度
が変化することに応じて、車椅子搭載部４は軸２Ａを支
点として回動し、車椅子搭載部４の底部に設けられた前
方ローラ４Ａは前方ローラガイド体５Ａ上を摺動すると
ともに、後方ローラ４Ｂは後方ローラガイド体５Ｂを摺
動し、車椅子搭載部４の水平状態が保たれる。このと
き、ステップ８の最大傾斜角度である３０度に達する
と、前方ローラ４Ａは抑制体５Ａａに当接して車椅子搭
載部に載置した車椅子３が後方へ傾かないように抑制す
る。

【００１５】また、ステップ８の傾斜角度の変化に伴い
車椅子搭載部４は回動するが、後方ローラガイド体５Ｂ
に設けた凸部５Ｂａ〜５Ｂｃのいずれかに後方ローラ４
Ｂが位置すると、車椅子搭載部４の回動が一旦停止して
ばね７Ｃが縮み当該凸部５Ｂａ〜５Ｂｃを超え得るステ
ップ８の傾斜角度となるまで車椅子搭載部４の回動が抑
制されるので、車椅子３の図示しない利用者が体を動か
しても車椅子搭載部４が急激に回動することを防止する
ブレーキ効果を実現する。

【００１６】次いで、前輪１Ａが図示しない降り口に近
づいたときに、前輪１Ａのブレーキ装置１Ａａを外し、
さらに、後輪１Ｂが降り口に近づいたときに、後輪１Ｂ
のブレーキ装置１Ｂａを外すことによりステップ８から
運搬台車１を降ろす。なお、この実施形態ではエスカレ
ータを上昇させる場合について説明したが、下降させる
場合も同等の手順であるため、説明を省略する。

【００１７】このように構成した実施形態では、簡単な
構造で、ハンドレールを傷付けることなく車椅子および
車椅子利用者を乗せた運搬台車１を安全に昇降させるこ
とができる。

【００１８】なお、本実施形態では前輪ローラ４Ａおよ
び後輪ローラ４Ｂを車椅子搭載部４の底部に設けたもの
としたが、本発明はこれに限らず、運搬台車１のフレー
ムに設けられるガイドに案内されるものであれば、例え
ば車椅子搭載部の側面に配設下ものでもよい。

【００１９】

【発明の効果】本発明は以上のように構成したので、従
来のように運搬台車を把持具によりハンドレールに把持
させることを要さないので、ハンドレールを傷付けるこ
とがなく美観および性能を維持することができととも
に、ハンドレールに負荷かが掛ることに伴う危険を防止
し、安全性の向上を図ることができる。また、簡単な構
造で運搬台車を昇降させることができ、これによって、
設備費および保全作業に係わる労力の低減を図ることが
できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のエスカレータ用車椅子運搬台車の一実
施形態を示し、上昇移動時の側面図である。

【図２】運搬台車に車椅子を載せるときの状態を示す側
面図である。

【図３】車椅子搭載部に取付けられたローラおよびその
近傍を示す断面図である。

【符号の説明】

１ 運搬台車 ２ 支柱 ２Ａ 軸 ３ 車椅子 ４ 車椅子搭載部 ４Ａ 前方ローラ ４Ｂ 後方ローラ ５Ａ 前方ローラガイド体 ５Ａａ 抑制体 ５Ｂ 後方ローラガイド体 ５Ｂａ〜５Ｂｃ 凸部 ７Ａ 第１の継ぎ手 ７Ｂ 第２の継ぎ手 ７Ｃ ばね ８ ステップ

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 無端状に連結されて移動する複数のステ
   ップと、これらのステップと同期して移動するハンドレ
   ールとを備えたエスカレータに載置されるとともに、前
   記ステップの踏面の少なくとも２倍以上の奥行き寸法を
   有し、車椅子および車椅子利用者を乗せて昇降するエス
   カレータ用車椅子運搬台車において、 本体のフレームに回動自在に軸支される車椅子搭載部
   と、この車椅子搭載部に取付けられる少なくとも１つの
   ローラと、このローラを案内する所定長さのガイド体と
   を備えたことを特徴とするエスカレータ用車椅子運搬台
   車。
2. 【請求項２】 前記車椅子搭載部と前記フレーム間に、
   前記車椅子搭載部の回動を抑制する抑制体を設けたこと
   を特徴とする請求項１記載のエスカレータ用車椅子運搬
   台車。
3. 【請求項３】 前記抑制体は、前記ガイド体に設けられ
   る少なくとも１つの凸部と、前記車椅子搭載部と前記ロ
   ーラ間に介設されたばねとを有することを特徴とする請
   求項１記載のエスカレータ用車椅子運搬台車。