JPH1189403A - コンバインの脱穀装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 機体の前部に刈取装置を配置し、該刈取装置
の後方に扱胴を有する脱穀装置を配置し、該脱穀装置の
逆側にグレンタンクを配置する構成のコンバインにおい
て、脱穀性能をさらに向上する脱穀装置のレイアウトに
する。 【解決手段】 前記脱穀装置９の扱胴２０後部をグレン
タンク１５側に向けるように平面視で傾斜させ、扱胴後
端部をグレンタンク後部側方まで延出し、また、扱胴の
後部の外径を細くするテーパ２１を形成し、扱胴後端部
を排藁処理装置１７の直前方まで延出し、更に、扱胴の
外側側方に、扱胴の軸芯と平行状にフィードチェーン７
を配置し、該フィードチェーンの外側側方で機体の側部
上に選別後の二番物を搬送する還元コンベア６２を配置
した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は脱穀性能をさらに向
上する脱穀装置のレイアウトに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来から刈取装置によって刈り取られた
穀稈を、フィードチェーンによって受け継ぎ、穂先側を
脱穀装置の扱室内に案内していた。該扱室には扱胴が横
架され、扱胴下方に揺動選別装置が配設されていた。該
揺動選別装置には、選別本体、該選別本体の下方に配設
する唐箕、選別後の籾等を搬送するコンベア等が配設さ
れ、扱室より漏下された籾を揺動選別と風選別とを行
い、一番物、二番物、藁屑とに選別し、一番物をグレン
タンクに搬送し、二番物を還元コンベアを介して揺動選
別装置前部に再投入し、藁屑を機外に排出していた。そ
して、脱穀後の排藁は前記フィードチェーン後部より排
藁搬送装置に受け継ぎ、機体後部に配置した排藁カッタ
ーや結束装置より成る排藁処理装置へ搬送し、処理した
排藁を圃場へ放出していた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のコンバ
インは移動性や操作性等を高めるために軽量化やコンパ
クト化が図られ、また、コンバインの全長を短くするた
め、脱穀装置の扱胴の全長も短くされてきている。そし
て、この全長の短い扱胴によって効率良く脱穀を行うた
めに、扱胴の回転速度を速くしたり、脱粒を行う扱歯を
密に植設することによって対応させていたが、穀稈が扱
歯に当接する頻度が増加するために、砕かれ易く塵も多
く発生するようになっていた。また、前記還元コンベア
を揺動選別装置のグレンタンク側に配設する構成におい
ては、揺動選別装置のグレンタンク側に二番物が再投入
されるので、扱室内から漏下した籾と、二番物と合わさ
り、大量の籾等が投入されて、揺動選別装置による選別
性能を悪くしていた。この不具合をなくすために、還元
コンベアをフィードチェーン側に配設する技術がある
が、機体の左右幅が広がるものとなっていた。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明はこのような問題
点を解消するために、機体の前部に刈取装置を配置し、
該刈取装置の後方に扱胴を有する脱穀装置を配置し、該
脱穀装置の逆側にグレンタンクを配置する構成のコンバ
インにおいて、前記扱胴の後部を平面視で進行方向右側
へ傾斜させ、該扱胴後端部をグレンタンク後部側方まで
延出したものである。また、前記扱胴の後部を、外径が
しだいに細くなるテーパ状に形成し、該扱胴の後端部を
排藁処理装置の直前方まで延出し、また、前記扱胴の外
側側方に、扱胴の軸芯と平行状にフィードチェーンを配
置し、該フィードチェーンの外側側方で機体の側部上に
還元コンベアを配置したものである。

【０００５】

【本発明の実施の形態】本発明が解決しようとする課題
及び解決するための手段は以上の如くであり、次に添付
の図面に示した実施例の構成を説明する。図１はコンバ
イン全体平面図、図２は本発明の脱穀装置のレイアウト
を示す平面図、図３は脱穀装置の後面図、図４は一番コ
ンベアの断面図、図５は同じく断面図、図６は目抜き板
の断面図である。

【０００６】図１においてコンバインの全体構成から説
明すると、機体フレーム２前端に引起し・刈取装置８を
昇降可能に配設し、引起し・刈取装置８は前端に分草板
３を突出して穀稈を分草し、その後部に引起しケース４
を立設して該引起しケース４より突出したタインの回転
により穀稈を引き起こして、株元を刈り取り、上部搬送
装置２５・２６、下部搬送装置、縦搬送装置６にて後部
へ搬送し、この縦搬送装置６の上端から株元がフィード
チェーン７に受け継がれて脱穀装置９内に穀稈が搬送さ
れていた。また、前記フィードチェーン７後端には排藁
搬送装置１６が配設され、排藁搬送装置１６後下方に配
設した排藁処理装置１７にて、搬送されてきた排藁を切
断して圃場に放出している。前記脱穀装置の側部には選
別後の精粒を貯留するグレンタンク１５が配設され、該
グレンタンク１５前部には運転部１８が配設されてい
る。

【０００７】前記脱穀装置９は図２、図３に示すよう
に、扱胴２０が配設される扱室を形成し、該扱室の下方
に揺動本体５１等より構成される揺動選別装置を配設し
ている。該揺動本体５１によって、扱室内で脱粒された
籾等が揺動選別と風選別され、一番物と二番物と藁屑等
に選別されている。また、前記揺動本体５１下方の前後
途中位置には、一番コンベア２２と二番コンベア２３と
を横設している。前記一番コンベア２２の他側に揚穀コ
ンベア１３を連結し、流穀板上に漏下された一番物が、
一番コンベア２２、揚穀コンベア１３を介してグレンタ
ンク１５に搬送される。また、前記二番コンベア２３の
他端部に還元コンベア６２を連結し、該還元コンベア６
２の他端の排出口を揺動選別装置の前部に連通してい
る。二番コンベア２３側の穀粒板上に漏下された二番物
は、二番コンベア２３、還元コンベア６２を介して還元
され、再度選別を行うようにしている。

【０００８】本実施例において、一番コンベア２２を図
４、図５に示すように構成している。前記一番コンベア
２２を、上方を開口した断面視略「コ」字状の搬送樋３
５によって被装している。更に、図４に示すように、該
搬送樋３５を機体下面に開放し、搬送樋３５外周部の一
部に網状の目抜き板３６を形成している。該目抜き板３
６を、搬送樋３５外周のクローラ式走行装置１の内側端
部より一定間隔を開けた内側位置から揚穀コンベア１３
側に形成している。該目抜き板３６は、図５に示すよう
に、搬送樋３５を形成する前後面と下面に形成し、図６
に示すように、目抜き板３６の開口３７を、籾の径より
小径にしている。よって、一番コンベア２２内の一番物
に枝梗付着粒が混じった場合に、枝梗付着粒の枝梗が目
抜き板３６の孔内に入ったり、引っ掛かったりして、籾
が搬送されることで、枝梗が取り除かれて、その枝梗は
クローラ式走行装置１より内側の圃場に落下される。よ
って、グレンタンク１５内には枝梗付着粒や細かい塵や
埃等が投入されることがなくなるのである。

【０００９】次に、本発明において、機体の進行方向の
片側（本実施例において左側）に配した前記脱穀装置９
を、機体の左右片側で対角線上に配置し、脱穀装置９を
平面視で傾斜させている。即ち、図２に示すように、脱
穀装置９の側部を形成する支持体５０を平面視で傾斜状
に配置し、該支持板５０の前部に前部支持板５３を配置
し、支持体５０後部に後部支持板５４を配置し、該後部
支持板５４と前部支持板５３との間に扱胴２０の駆動軸
２４を軸支している。該駆動軸２４を、平面視で進行方
向に対して角度θ傾斜させている。

【００１０】前記扱胴２０の全長は従来より長くして、
扱胴２０後端部をグレンタンク１５後部側方まで延出
し、扱胴２０後端部の直後方に排藁処理装置１７を配設
し、脱穀された排藁の受け継ぎ距離を短くしている。前
記排藁処理装置１７のカッター軸は方向に対して左右方
向に配設し、圃場に藁屑を均等に放出している。

【００１１】そして、この全長を長くした扱胴２０の外
周面に扱歯２７・２７・・・を植設している。該扱歯２
７・２７・・・は、扱胴２０の長さを長くした分におい
て隣接する扱歯２７・２７の間隔を広げて植設し、脱粒
に適した一定数の扱歯２７・２７・・・を植設してい
る。この扱歯２７・２７・・・によって、扱胴２０を通
過する間に扱歯２７・２７・・・と当接する回数は増加
し、脱粒性能を高く維持するとともに、扱歯２７・２７
の間隔を広げたことで、穀稈が無理に砕かれて塵が発生
することを抑えている。

【００１２】また、前記扱胴２０の後部を外径が後方に
なるに従って小径となるテーパ部２１を形成している。
この扱胴２０後部にテーパ部２１を形成したことで、扱
胴２０の全長を長くしても、排藁搬送装置１６前部と扱
胴２０後端部との間に十分な空間を形成することができ
て、排藁の穂先部分の停滞がなくなりスムースな搬送が
できるようになり、また、この空間において、扱歯とク
リンプ網との隙間は一定のため、扱き残しも少なくでき
る。更に、図３に示すようにテーパ部２１下方に吸引フ
ァン３０を配置するので、扱胴２０後端部と排藁処理装
置１７入口と吸引ファン３０までの距離がそれぞれ短く
なり、搬送距離を短くして搬送効率を向上できる。

【００１３】また、前記扱胴２０後端部を支持する前記
後部支持板５４の下端部を、図３に示すように、扱胴２
０後端部下面に合わせ、後部支持板５４下端部を高くし
ている。後部支持板５４下端部とクリンプ網３１後端部
との間隔を広くし、後方に搬送されている穀稈が後上方
にスムースに搬送される。よって、テーパ部２１を穀稈
が通過される際に、穀稈がテーパ部２１に沿って後上方
にスムースに搬送され、扱胴２０後方よりフィードチェ
ーン７によって穀稈がスムースに持ち上げられ、穀稈が
排藁搬送装置１６にスムースに受け継がれている。従っ
て、全長を長くして扱胴２０後端部を排藁処理装置１７
近傍位置まで延出しても、排藁搬送装置１６によって排
藁をスムーズに持ち上げ、排藁処理装置１７上方より排
藁を投入している。

【００１４】更に、前記扱胴２０後部のテーパ部２１に
は、長い扱歯２５が植設され、テーパ部２１の後方にな
るに従って、扱歯２５・２５・・・を長くし、扱胴２０
前部に植設した前記扱歯２７・２７・・・の外周端部と
同一高さにしている。よって、十分な隙間を形成した扱
胴２０後部を穀稈が通過される時に、長い扱歯２５・２
５・・・によって穀稈が確実に脱粒され、排藁内に籾が
混じることがなくなる。

【００１５】そして、前記扱胴２０の進行方向の右側に
配置されるグレンタンク１５は、グレンタンク１５の左
側面を扱胴２０の傾斜角度に合わせて傾斜状に形成して
いる。グレンタンク１５後部の左右幅を狭めて、グレン
タンク１５の側面が傾斜状に形成しているが、グレンタ
ンク１５前部の左右幅を広げて、タンクの内部容積を大
きくしている。

【００１６】また、前記扱胴２０の外側側面には、扱胴
２０の駆動軸２４と平行状にフィードチェーン７を配設
し、扱胴２０内に穀稈を確実に案内している。該フィー
ドチェーン７の前端部は扱胴２０の前面より更に前方に
突出されている。該扱胴２０前面は、図２示すように、
扱胴２０前面左側の直前方に、前記刈取装置８の縦搬送
装置６と上部搬送装置２６後端を配置する空間を形成し
ている。よって、前記縦搬送装置６と上部搬送装置２６
との配設に余裕ができ、進行方向に対し左右に傾ける角
度と上り傾斜角度とが緩やかになり、この部分での穀稈
の搬送をスムースとし、また、平面視傾斜状に配したフ
ィードチェーン７へ穀稈が円滑に受け継がれる。更に、
該縦搬送装置６後部と上部搬送装置２６後部からフィー
ドチェーン７への受継位置を扱胴２０左前面の近傍位置
とし、傾斜状に配した扱胴２０への穀稈の投入が容易と
なる。

【００１７】また、図３に示すように扱胴２０の下面を
クリンプ網３１によって被装し、該クリンプ網３１の下
方に揺動選別装置を構成する揺動本体５１を配置してい
る。該揺動本体５１の下方に配置される前記一番コンベ
ア２２、二番コンベア２３は、図２に示すように、扱胴
２０の駆動軸２４に対し各コンベア２２・２３の軸芯を
平面視で直角方向に配置している。

【００１８】また、前記二番コンベア２３端部に連結す
る還元コンベア６２を、フィードチェーン７と機体の左
側面との間の開放された空間に配置している。即ち、図
２に示すように、前記二番コンベア２３端部をフィード
チェーン７下方に配置し、還元コンベア６２の下端部を
連結している。該還元コンベア６２は、平面視で傾斜状
に配置したフィードチェーン７の側方で、機体フレーム
２後部左側の上方に配設される。更に、前記還元コンベ
ア６２をフィードチェーン７と平行状に前上方に延出
し、還元コンベア６２上端部を揺動選別装置の前部フィ
ードチェーン７側に連通し、揺動本体５１で選別された
二番物を揺動選別装置前部に投入している。揺動選別装
置のフィードチェーン７側に投入することで、扱胴２０
で脱粒され漏下される籾等と重なることがなく、揺動本
体５１の全幅に籾等を搬送して、揺動選別装置で効率良
く処理している。

【００１９】

【発明の効果】以上のように構成したので、本発明は次
のような効果を奏するものである。即ち、請求項１記載
のように、前記扱胴の後部を平面視で進行方向右側へ傾
斜させ、該扱胴後端部をグレンタンク後部側方まで延出
したので、扱胴の全長を長くすることができ、穀稈を扱
胴内を通過させる時間を長くすることができ、扱胴によ
る脱穀性能を向上するレイアウトを構成することができ
る。また、全長を長くしたことで、扱胴の外周面に植設
する扱歯の間隔を広げることができ、脱粒性能を高く維
持するとともに、穀稈が無理に砕かれて塵を発生させる
ことがない。

【００２０】また、請求項２記載のように、扱胴の後部
を、外径がしだいに細くなるテーパ状に形成し、該扱胴
の後端部を排藁処理装置の直前方まで延出したことによ
って、扱胴の全長を長くしても、排藁搬送装置前面と扱
胴後端部との間に十分な隙間を形成することができる。
更に、扱胴後部のテーパと扱胴下方を被装するクリンプ
網との間隔が広くなり、後方に搬送されている穀稈が滞
留されることなくスムースに搬送される。また、扱胴後
部のテーパに沿って、穀稈が後上方にスムースに搬送さ
れ、扱胴後方よりフィードチェーンによって穀稈がスム
ースに持ち上げられ、穀稈が排藁搬送装置にスムースに
受け継がれている。従って、扱胴後端部を排藁処理装置
近傍位置まで延出しても、排藁搬送装置に排藁を搬送す
ることができ、平面視で傾斜状に配置し、扱胴の全長を
長くし、脱穀性能を向上するレイアウトにすることがで
きる。

【００２１】また、請求項３記載のように、扱胴の外側
側方に、扱胴の軸芯と平行状にフィードチェーンを配置
し、該フィードチェーンの外側側方で機体の側部上に還
元コンベアを配置したことによって、開放された逆側の
空間に扱胴の軸芯と平行状にフィードチェーンを配置
し、更に、残りの空間に選別後の二番物を搬送する還元
コンベアを配置したことによって、効率の良いレイアウ
トを構成している。更に、揺動選別装置前部のフィード
チェーン側に二番物を投入し、扱胴で脱粒された籾等と
重なることがなく、揺動選別装置の全幅に籾等を投入し
ており、効率良く処理できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】コンバイン全体平面図である。

【図２】本発明の脱穀装置のレイアウトを示す平面図で
ある。

【図３】脱穀装置の後面図である。

【図４】一番コンベアの断面図である。

【図５】同じく断面図である。

【図６】目抜き板の断面図である。

【符号の説明】

６ 縦搬送装置 ７ フィードチェーン ８ 刈取装置 ９ 脱穀装置 １５ グレンタンク １７ 排藁処理装置 ２０ 扱胴 ２１ テーパ部 ２６ 上部搬送装置 ６２ 還元コンベア

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 機体の前部に刈取装置を配置し、該刈取
   装置の後方に扱胴を有する脱穀装置を配置し、該脱穀装
   置の逆側にグレンタンクを配置する構成のコンバインに
   おいて、前記扱胴の後部を平面視で進行方向右側へ傾斜
   させ、該扱胴後端部をグレンタンク後部側方まで延出し
   たことを特徴とするコンバインの脱穀装置。
2. 【請求項２】 請求項１記載の扱胴の後部を、外径がし
   だいに細くなるテーパ状に形成し、該扱胴の後端部を排
   藁処理装置の直前方まで延出したことを特徴とするコン
   バインの脱穀装置。
3. 【請求項３】 請求項１記載の扱胴の外側側方に、扱胴
   の軸芯と平行状にフィードチェーンを配置し、該フィー
   ドチェーンの外側側方で機体の側部上に還元コンベアを
   配置したことを特徴とするコンバインの脱穀装置。