JPH1185162A - 楽音発生装置 - Google Patents

楽音発生装置

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JPH1185162A
JPH1185162A JP9249259A JP24925997A JPH1185162A JP H1185162 A JPH1185162 A JP H1185162A JP 9249259 A JP9249259 A JP 9249259A JP 24925997 A JP24925997 A JP 24925997A JP H1185162 A JPH1185162 A JP H1185162A
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JP
Japan
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musical
musical instrument
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simulated
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Application number
JP9249259A
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English (en)
Inventor
Tatsuya Dejima
達也 出嶌
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Casio Computer Co Ltd
Original Assignee
Casio Computer Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単な構成で、しかも安価に自然楽器の動作
をシミュレートして、自然楽器に近い楽音を発生するこ
とができる楽音発生装置を実現する。 【解決手段】 シミュレートしようとする楽器の形状お
よび材質に対応する振動体8を加振して加振応答を計測
し、その加振応答に基づき共振特性を導出し、それに合
致するフィルタ定数を生成しておく。そして、押鍵操作
に応じて所定の楽音データW1を発生させると、DSP
10aが上記フィルタ定数に従ったフィルタリングを、
当該楽音データW1に施してシミュレートしようとする
楽器と等価な音色の楽音データW2を形成する。これに
より、従来、必須であった高速な論理演算手段を不要と
し、極めて簡単な構成で、しかも安価に自然楽器の動作
をシミュレートして自然楽器に近い楽音が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自然楽器の発音メ
カニズムをシミュレートする装置に係わり、特に、簡単
な構成で、しかも安価に自然楽器の動作をシミュレート
して、自然楽器に近い楽音を発生することができる楽音
発生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、自然楽器の発音メカニズムを
シミュレートする物理モデルを動作させ、自然楽器に近
い楽音を発生させる装置が各種開発されている。この種
の装置としては、例えば、管楽器の発音メカニズムをシ
ミュレートする装置の場合、マウスピースおよびリード
からなる部分の非線形動作をシミュレートする励振部
と、共鳴管の伝送特性をシミュレートする管体部とで閉
ループを形成し、この閉ループ中に励振部から吹奏圧に
相当する励振信号を注入して当該閉ループで信号を循環
させ、これにより共鳴管の共振動作に対応したピッチ
(音高)の楽音信号を得るようにしている。なお、こう
した技術についは、例えば、特開平2−293898号
公報に開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、かかる従来
の楽音発生装置では、非線形動作や共振動作などの発音
メカニズムをシミュレートする物理モデルを、リアルタ
イムに動作させて楽音を生成する訳であるが、そのよう
にするためには膨大な演算処理を瞬時にこなす高速な論
理演算手段が必須となるばかりか、装置構成が複雑化し
て製品コスト高を招致する、という問題がある。
【0004】そこで本発明は、このような事情に鑑みて
なされたもので、簡単な構成で、しかも安価に自然楽器
の動作をシミュレートして、自然楽器に近い楽音を発生
することができる楽音発生装置を提供することを目的と
している。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1に記載の発明では、シミュレートしようと
する楽器の形状および材質に対応する振動体と、前記振
動体を加振して加振応答を計測する加振応答計測手段
と、この加振応答計測手段によって計測された加振応答
に基づき、前記シミュレートしようとする楽器の共振特
性を導出すると共に、導出された共振特性に合致するフ
ィルタ定数を生成するフィルタ定数生成手段と、音高指
定操作に応じて所定の楽音波形を発生する波形発生手段
と、前記フィルタ定数生成手段が生成するフィルタ定数
に従ったフィルタリングを、前記楽音波形に施して前記
シミュレートしようとする楽器と等価な音色の楽音を形
成する波形制御手段とを具備することを特徴とする。
【0006】好ましい態様として、上記請求項1に従属
する請求項2に記載の発明によれば、前記振動体は、シ
ミュレートしようとする楽器の共鳴体に相当し、装置に
対して挿脱自在に形成されていることを特徴とする。
【0007】また、上記請求項1に従属する請求項3に
記載の発明によれば、前記加振応答計測手段は、加振応
答として得た振動周波数および振動レベルを、シミュレ
ートしようとする楽器の大きさを勘案して工学値変換す
ることを特徴としている。
【0008】さらに、上記請求項1に従属する請求項4
に記載の発明によれば、前記フィルタ定数生成手段は、
前記加振応答に基づき、シミュレートしようとする楽器
の共鳴体のn次固有値およびそのQ値を検出する共振特
性検出手段と、前記振動体の形状および材質をそれぞれ
表わす形状特性係数および材料物性係数を記憶する係数
記憶手段とを備え、使用される振動体に対応した形状特
性係数および材料物性係数を当該係数記憶手段から読み
出し、読み出した形状特性係数および材料物性係数を、
前記共振特性検出手段によって検出された各次数毎の固
有値およびそのQ値に乗算してシミュレートしようとす
る楽器の共振特性に合致するフィルタ定数を生成するこ
とを特徴とする。
【0009】加えて、上記請求項1に従属する請求項5
に記載の発明によれば、前記波形制御手段は、フィルタ
定数生成手段から供給されるn次までのフィルタ定数を
用い、前記楽音波形について時分割に各次数毎のフィル
タリングを施すことを特徴としている。
【0010】本発明では、シミュレートしようとする楽
器の形状および材質に対応する振動体を加振して加振応
答を計測し、計測された加振応答に基づきシミュレート
しようとする楽器の共振特性を導出する。そして、導出
された共振特性に合致するフィルタ定数を生成してお
き、音高指定操作に応じて所定の楽音波形が発生する
と、生成しておいたフィルタ定数に従ったフィルタリン
グを、前記楽音波形に施してシミュレートしようとする
楽器と等価な音色の楽音を形成する。したがって、従来
のように、非線形動作や共振動作などの発音メカニズム
をシミュレートする物理モデルを、リアルタイムに動作
させて楽音を生成する必要がなくなるため、高速な論理
演算手段を必要とせず、極めて簡単な構成で、しかも安
価に自然楽器の発音をシミュレートして、自然楽器に近
い楽音を発生することが可能になっている。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明による楽音発生装置は、電
子楽器やパーソナルコンピュータを用いたDTM(デス
ク・トップ・ミュージック)装置などに適用され得る。
以下では、本発明の実施の形態である楽音発生装置を実
施例として図面を参照して説明する。
【0012】A.実施例の構成 (1)全体構成 図1は、本発明の一実施例による楽音発生装置の構成を
示すブロック図である。この図において、1は鍵盤であ
り、各鍵毎の押離鍵操作および押離鍵速度を検出してキ
ーオン/キーオフ信号、キーコード(あるいは鍵番号)
およびベロシティ情報からなる演奏情報を発生する。2
は装置パネル(図示略)に配設される各種のスイッチか
ら構成され、各スイッチ操作に応じたスイッチ信号を発
生するパネルスイッチ部である。なお、このパネルスイ
ッチ部2に配設される各種スイッチの内には、装置の動
作モードを選択するモード選択スイッチMOD(図示
略)等があり、このスイッチが意図するところについて
は追って述べる。
【0013】3は装置各部を制御するCPUであり、本
発明の要旨に係わる特徴的な動作については後述する。
4は上記CPU3にロードされる各種制御プログラム
や、特性テーブル(後述する)を記憶するROM、5は
CPU3のワークエリアとして用いられるRAMであ
り、各種演算結果やフラグを一時記憶するレジスタエリ
アの他、加振応答結果(後述する)を一時記憶する記憶
エリアも備える。このRAM5のメモリ構成については
追って詳述する。
【0014】6は、例えばピエゾ素子で構成される加振
部である。この加振部6は、CPU3から供給される加
振制御信号(正弦波信号あるいはホワイトノイズ信号)
に応じてピエゾ素子を駆動し、これにより得られる振動
により振動体8を加振する。7はピエゾ素子あるいは圧
電素子などの振動センサを備える振動検出部である。振
動検出部7では、加振部6によって加振される振動体8
の振動レベルを検出し、それを加振応答としてCPU3
に供給する。
【0015】振動体8は、各種の材質・形状から形成さ
れるチップであって、上記加振部6および振動検出部7
の装着端子T1,T2に挿脱自在にセットされる。この
振動体8を加振する振動モードとしては、例えば、所定
周波数範囲で掃引される正弦波振動や、上記ホワイトノ
イズ信号に対応したランダム波振動の他、ハンマーリン
グ加振によるインパルス応答を用いても良い。なお、こ
れら振動モードに応じて得られる加振応答に基づき、上
述のCPU3が振動体8のn次迄の固有値(共振周波
数)およびそのQ値を求める。
【0016】9は周知の波形メモリ読みだし方式により
構成される音源部である。この音源部9は、波形メモリ
から読み出した波形信号について、CPU3から供給さ
れる演奏情報に応じて修飾して楽音データWを発生す
る。10は、この楽音データW1に対してフィルタリン
グを施して波形制御(音色制御)する波形制御部であ
り、デジタル・シグナル・プロセッサ10a(以下、D
SP10aと略記する)とサウンドシステム10bとか
ら構成される。
【0017】DSP10aは、マイクロプログラミング
された論理演算ユニットから構成され、音源部9から供
給される楽音データW1について、自然楽器の共鳴体の
動作をシミュレートする2次IIRフィルタリングを施
して楽音データW2を形成する。このDSP10aで
は、上述した加振応答結果に基づきCPU3が生成する
フィルタ係数(後述する)に従って上記楽音データW1
に2次IIRフィルタリングを施して楽音データW2を
出力するものであり、その具体的な機能構成については
後述する。サウンドシステム10bでは、こうして得ら
れた楽音データW2をD/A変換した後に増幅して楽音
Sとして放音する。
【0018】(2)特性テーブルの構成 次に、図2を参照してROM4に記憶される特性テーブ
ルTABLEの構成について説明する。この特性テーブ
ルTABLEは、シミュレートしようとする楽器の形状
・材質に対応させたものであって、材料物性係数TAB
LE(K1)および形状特性係数TABLE(K2)か
らなる。材料物性係数TABLE(K1)は、シミュレ
ートしようとする楽器の共鳴体の材質を指定する値であ
り、図2に示す一例の場合、「金属」、「木材」および
「皮革」の各係数が定義されている。
【0019】一方、形状特性係数TABLE(K2)
は、シミュレートしようとする楽器の共鳴体の形状に対
応させた値であって、図2に示す一例の場合、「板」、
「箱」、「管」およびその他の各形状について固有値ス
ケールファクタF(1)〜F(N)が定義されている。
この固有値スケールファクタF(1)〜F(N)とは、
n次までの各固有値(共振周波数)に対する重み付けを
表わした値であって、最終的に得る音色の変化を左右す
る。なお、これら固有値スケールファクタF(1)〜F
(N)は、各形状について実験的あるいは経験的な知見
により求まるものである。
【0020】(3)RAM5のメモリ構成 次に、図3を参照してRAM5のメモリ構成について説
明する。図3において、DL,DFはそれぞれ検出レベ
ル記憶エリア、検出周波数記憶エリアであり、後述する
振動検出処理によって得られる加振応答結果がストアさ
れる。すなわち、検出周波数記憶エリアDFには、掃引
する各周波数f’がアドレスFADから順次ストアさ
れ、一方、検出レベル記憶エリアDLには各周波数f’
にそれぞれ対応した振動検出レベルがアドレスAADか
ら順次ストアされる。
【0021】IVEは固有値記憶エリアである。この固
有値記憶エリアIVには、後述する固有値検出処理によ
り得られる振動体8のn次の固有値(共振周波数)F
(1)〜F(N)がストアされる。QEはQ値記憶エリ
アであり、上記n次の固有値(共振周波数)にそれぞれ
対応するQ値(尖頭値幅)がストアされる。なお、この
Q値とは、共振特性の鋭さを表わす値である。AEはア
ドレスエリアであり、後述する一連の処理に用いるリー
ド・ライトアドレスAD(1)〜AD(N)を保持する
領域である。
【0022】(4)DSP10aの機能構成 次に、上述したDSP10aの機能構成について図4を
参照して説明する。この図において、20は減算器であ
り、音源部9(図1参照)より供給される楽音データW
1から加算器26の出力信号Bを減算して信号Aを発生
する。21は信号Aを1サンプル遅延させた信号Eを出
力する遅延素子、22は信号Eを1サンプル遅延させた
信号Fを出力する遅延素子である。
【0023】23〜25はそれぞれ係数乗算器である。
係数乗算器23では、遅延素子21から出力される信号
Eに係数b1(n)を乗算してなる信号Cを発生する。
係数乗算器24では、信号Eに係数bkを乗算してなる
信号Gを発生する。一方、係数乗算器25では、遅延素
子22から出力される信号Fに係数b2(n)を乗算し
てなる信号Dを発生する。係数乗算器23,25の各出
力信号C,Dは、加算器26にて加算され、信号Bとし
て出力される。
【0024】27は加算器であり、遅延素子22の出力
信号Fと係数乗算器24の出力信号Gとを加算して信号
Hを発生する。28は、加算器27の出力信号Hと減算
器20の出力信号Aとを加算して信号Iを発生する加算
器である。29はこの信号Iに係数K(n)を乗算して
なる楽音データW2を出力する係数乗算器である。
【0025】このような2次IIRフィルタによれば、
CPU3から与えられる各乗算係数b1(n),b2
(n),bKおよびK(n)に基づき楽音データW1に
フィルタリングを施すことによって、シミュレートしよ
うとする楽器の共鳴体と等価な共振特性を持つ楽音デー
タW2が形成される。この時、楽音データW2の音色傾
向は、前述した振動体8の材質および形状に依存するの
で、振動体8を各種材質・形状にセットし直すだけで各
様な音色の楽音を極めて容易に実現し得る訳である。
【0026】B.実施例の動作 次に、上記構成による実施例の動作について図5〜図1
3を参照して説明する。以下では、CPU3において実
行されるメインルーチンの動作と、このメインルーチン
からコールされる「解析モード」および「再生モード」
における一連の処理動作について述べた後、CPU3の
指示の下に、上述のフィルタ演算を行うDSP10aの
動作について述べる。
【0027】(1)メインルーチンの動作 まず、本実施例に電源が投入されると、CPU3はRO
M4から所定の制御プログラムをロードして図5に示す
メインルーチンを実行し、ステップSA1に処理を進
め、RAM5に設けられる各種レジスタをゼロリセット
したり、初期値セットする他、音源部9に対して内部レ
ジスタ類の初期化を指示するイニシャライズ処理を行
う。そして、イニシャライズ処理が完了すると、ステッ
プSA2に処理を進め、モード選択スイッチMODの操
作に応じた動作モードへ遷移させる。すなわち、解析モ
ードが選択された時にはステップSA3を介して解析モ
ードへ進み、再生モードが選択された時にはステップS
A4を介して再生モードに進む。
【0028】(2)解析モードの動作 以下、解析モードに遷移した場合に実行される一連の処
理について説明する。 解析処理ルーチンの動作 モード選択スイッチMODの操作により解析モードに遷
移すると、CPU3は図6に示す解析処理ルーチンを実
行してステップSB1に処理を進める。ステップSB1
では、シミュレートしようとする楽器の材質・形状に対
応させたチップ(振動体8)が前述した装着端子T1,
T2に挿入されているか否かを判断する。
【0029】ここで、チップが挿入されていないと、解
析モードの処理を継続し得ないので、判断結果が「N
O」となり、次のステップSB2に処理を進める。そし
て、ステップSB2では、再生モードに遷移すべくモー
ド選択スイッチMODがオン操作されたか否かを判断す
る。この状態でモード選択スイッチMODがオン操作さ
れた時には、判断結果が「YES」となり、ステップS
B3を経て後述の再生モードへ遷移するが、そうでない
場合には再びステップSB1に処理を戻す。
【0030】さて、所望の材質・形状によるチップ(振
動体8)を装着端子T1,T2にセットしてステップS
B1の判断結果が「YES」となると、ステップSB4
〜ステップSB9を経て、解析に必要な諸条件である
「チップスケール」、「材料物性係数」および「形状特
性係数」の入力処理を行う。すなわち、ステップSB4
ではチップスケールが入力されるまで待機し、入力され
たら、判断結果が「YES」となり、次のステップSB
5に進み、入力されたチップスケール値をレジスタSに
ストアする。なお、このチップスケールとは、チップ
(振動体8)寸法を、シミュレートしようとする楽器の
共鳴体サイズに見做すための乗算係数である。
【0031】そして、ステップSB6では、装着したチ
ップ(振動体8)の材質種類が入力されるまで待機し、
入力されたら、判断結果が「YES」となり、次のステ
ップSB7に進み、入力された材質種類に基づき、前述
した特性テーブルTABLE(図2参照)からテーブル
ルックアップされる材料物性係数TABLE(K1)を
レジスタK1にセットする。
【0032】次いで、ステップSB8では、装着したチ
ップ(振動体8)の形状が入力されるまで待機し、入力
されたら、判断結果が「YES」となり、次のステップ
SB9に進み、入力された形状に基づき、前述した特性
テーブルTABLEからテーブルルックアップされる形
状特性係数TABLE(K2)をレジスタK2にセット
する。
【0033】こうしてシミュレートしようとする楽器の
共鳴体の材質・形状に対応させたチップ(振動体8)の
属性(チップスケールS、材料物性係数K1および形状
特性係数K2)が設定されると、CPU3はステップS
B10に処理を進め、解析スイッチがオン操作されたか
否かを判断する。ここで、解析スイッチがオン操作され
ないと、判断結果が「NO」となり、前述したステップ
SB2に処理を戻すが、オン操作された時には、判断結
果が「YES」となり、次のステップSB11に進む。
【0034】そして、ステップSB11〜SB14で
は、後述する「振動検出処理」、「固有値検出処理」、
「Q値検出処理」および「係数乗算処理」を実行して振
動体8についての加振応答を計測し、計測した加振応答
結果に基づいてシミュレートしようとする楽器の共鳴体
が持つであろう固有の共振特性を解析的に推測し、その
推測した共振特性に合致するよう2次IIRフィルタの
各フィルタ係数を発生する。この後、ステップSB2に
戻り、モード選択スイッチの操作により再生モードへ遷
移する。
【0035】振動検出処理ルーチンの動作 上述したステップSB11を介して図7に示す振動検出
処理ルーチンが実行されると、CPU3はステップSC
1に処理を進める。ステップSC1では、掃引する加振
周波数を初期値設定すべく初期周波数をレジスタfにス
トアし、続くステップSC2ではアドレスカウンタAD
をゼロリセットする。次いで、ステップSC3に進む
と、レジスタfに格納される初期周波数に対して、レジ
スタSに格納されるスケール値を乗算し、その結果をレ
ジスタFにセットする。なお、こうしたスケール乗算
は、振動体8をシミュレートしようとする共鳴体サイズ
に見做すようにする為の処置である。
【0036】次に、ステップSC4では、スケール乗算
された加振周波数Fに従って加振部6に加振指示を与
え、続くステップSC5ではこの加振に応じて振動検出
部7が振動検出する迄待機する。そして、振動検出部7
による振動検出が完了すると、次のステップSC6に処
理を進め、検出した振動の周波数F’および振動レベル
A’を検知する。次いで、ステップSC7では、この検
知した周波数F’を上記スケール値Sで除算してなる検
出周波数f’をレジスタf’にストアする。
【0037】そして、次のステップSC8に進むと、検
出周波数f’をRAM5の検出周波数記憶エリアDF
(図3参照)のアドレス(FAD+AD)に格納し、続
くステップSC9では検出レベルAをRAM5の検出レ
ベル記憶エリアDLのアドレス(AAD+AD)に格納
する。この後、ステップSC10に処理を進め、レジス
タfに格納されている初期周波数をΔf分歩進させて次
の加振周波数を設定する。
【0038】そして、ステップSC11では、アドレス
カウンタADを1インクリメントして歩進させ、続くス
テップSC12ではこの歩進されたアドレスカウンタA
Dの値が記憶エリアを超えたアドレスを指定しているか
否か、つまり、振動検出が完了したかどうかを判断す
る。ここで、未完であれば、判断結果が「NO」とな
り、上述のステップSC3に処理を進め、上述した一連
の処理を繰り返し実行するが、振動検出が完了した時に
は判断結果が「YES」となり、本ルーチンを完了して
メインルーチンに処理を戻す。
【0039】固有値検出処理ルーチンの動作 さて、以上のようにして振動検出処理により加振応答が
計測されたとする。そうすると、CPU3は前述したス
テップSB12を介して図8に示す固有値処理ルーチン
を実行してステップSD1に処理を進める。ステップS
D1では、ポインタレジスタnに「1」をセットし、続
くステップSD2では、レジスタF1,F2およびアド
レスカウンタADをゼロリセットしておく。
【0040】こうして固有値(共振周波数)検出に必要
なレジスタ類をイニシャライズすると、CPU3はステ
ップSD3に処理を進め、上述した振動検出処理によっ
てRAM5の検出レベル記憶エリアDLにストアされた
N個の検出レベル(1)〜(N)の内、先頭アドレス
(AAD+AD)の検出レベル(1)を読み出してレジ
スタA1にストアする。
【0041】次いで、ステップSD4では、アドレスカ
ウント値AD+1がメモリ数以下であるか、すなわち、
検出レベル記憶エリアDLにストアされたN個の検出レ
ベル(1)〜(N)を読み出している最中であるかどう
かを判断する。読み出している最中であれば、ここでの
判断結果は「YES」となり、次のステップSD5に処
理を進め、読み出しが完了した時には判断結果が「N
O」となり、本ルーチンを完了させる。
【0042】さて、ステップSD5に進むと、アドレス
カウンタADの値を1インクリメントして歩進させ、そ
れに対応したアドレス(AAD+AD+1)に従って次
の検出レベル(2)を読み出してレジスタA2にストア
する。こうしてレジスタA1,A2にそれぞれ検出レベ
ル(1),(2)がセットされると、CPU3は次のス
テップSD6に進み、A2−A1≧0であるか否か、つ
まり、検出レベルが増加傾向にあるかどうかを判断す
る。
【0043】検出レベルが増加傾向にあると、A2−A
1≧0の条件を満たすので、ここでの判断結果は「YE
S」となり、次のステップSD7に進み、レジスタF1
に格納される符号フラグを「0(正)」にセットする。
これに対し、検出レベルが減少傾向にあると、A2−A
1≧0の条件を満たさないので、上記ステップSD6の
判断結果は「NO」となり、ステップSD8に進み、レ
ジスタF1に格納される符号フラグを「1(負)」にセ
ットする。
【0044】次いで、ステップSD9に進むと、レジス
タF1,F2にそれぞれ格納される符号フラグが一致し
ていないか否かを判断する。なお、レジスタF2は後述
するステップSD14にて前回の符号フラグが保持され
るようになっている。ここで、今回の符号フラグと前回
の符号フラグとが一致する場合、すなわち、検出レベル
が単調増加(もしくは単調減少)する場合には、固有値
(共振周波数)が存在し得ないので、判断結果は「N
O」となり、後述するステップSD14に処理を進め
る。一方、今回の符号フラグと前回の符号フラグとが一
致しない場合、すなわち、検出レベルが増加から減少
(もしくは減少から増加)した場合には、固有値(共振
周波数)が存在するので、判断結果は「YES」とな
り、次のステップSD10に処理を進める。
【0045】ステップSD10では、レジスタF1に格
納される今回の符号フラグが「1」、つまり、検出レベ
ルが増加から減少に転じたか否かを判断する。検出レベ
ルが増加から減少に転じた時、すなわち、ピークレベル
が存在する場合には、判断結果が「YES」となり、ス
テップSD11に進む。ステップSD11では、検出レ
ベルが増加から減少に転じたことから1つ前のアドレス
ADに対応して読み出される検出レベル、すなわち、ア
ドレス(FAD+AD)に対応する検出周波数f’を固
有値F(n)と見做して固有値記憶エリアIVE(図3
参照)に格納する。これに対し、上記ステップSD10
において、レジスタF1に格納される今回の符号フラグ
が「0」、つまり、検出レベルが減少から増加に転じた
時には判断結果は「NO」となり、後述するステップS
D14に進む。
【0046】さて、こうしたピーク検出に基づき固有値
(共振周波数)が定まると、CPU3はステップSD1
2に処理を進め、その固有値に対応するアドレスADを
アドレス記憶エリアAD(n)に保持する。続いて、ス
テップSD13では、固有値に対応する検出レベル、つ
まり、アドレス(AAD+AD)に対応する検出レベル
をレジスタPK(n)にストアする。
【0047】次いで、ステップSD14に進むと、上述
したように、レジスタF1に格納される今回の符号フラ
グを、レジスタF2にストアして前回の符号フラグとし
て保持する。この後、次の検出レベルについて大小比較
すべく、レジスタA2の値をレジスタA1に入れ替え、
続くステップSD16ではレジスタnの値を1インクリ
メントして歩進させる。そして、ステップSD17では
この歩進されたレジスタnの値が検出レベルのデータ個
数Nを超えたか否かを判断し、超えていない時は判断結
果は「NO」となり、ピーク検出を続行すべく前述のス
テップSD4に処理を戻す。一方、レジスタnの値が検
出レベルのデータ個数Nを超えた時には、判断結果が
「YES」となり、本ルーチンを完了する。
【0048】このように、固有値検出処理ルーチンで
は、RAM5の検出レベル記憶エリアDLに格納される
検出レベル(1)〜(N)を順番に読み出し、互いに隣
接する2つの検出レベル同士を大小比較し、その符号が
正から負に転じた時にレベルが増加から減少へ変化した
としてピーク検出を行い、これによって求めたピークの
検出レベルに対応する検出周波数を固有値(共振周波
数)と見做して固有値記憶エリアIVEにストアするよ
うになっている。
【0049】Q値検出処理ルーチンの動作 次に、図9を参照してQ値検出処理ルーチンの動作につ
いて説明する。CPU3は前述したステップSB13を
介して図9に示すQ値検出処理ルーチンを実行すると、
ステップSE1に処理を進め、先ずポインタレジスタn
に「1」をセットする。次いで、ステップSE2では、
各固有値に対応するアドレス記憶エリアAD(n)のア
ドレス値をアドレスカウンタADにストアする。
【0050】次に、ステップSE3に進むと、このアド
レスカウンタADの値に基づき、アドレス(AAD+A
D)に格納される共振点での検出レベルを、検出レベル
記憶エリアDL(図3参照)から読み出してレジスタA
1にストアする。そして、次のステップSE4では、ア
ドレスカウンタADの値をレジスタAD1に格納し直
し、続くステップSE5ではこのレジスタAD1を1イ
ンクリメントしてアドレス歩進させる。この後、ステッ
プSE6に進み、この歩進されたレジスタAD1の値に
基づき、アドレス(AAD+AD1)に格納される検出
レベルを、検出レベル記憶エリアDL(図3参照)から
読み出してレジスタA2にストアする。
【0051】すなわち、ステップSE3〜SE6では、
共振点における検出レベル(ピークレベル)をレジスタ
A1に、次のアドレスに対応する検出レベルをレジスタ
A2にセットしておき、続くステップSE7では、両レ
ベル差(A2−A1)を算出し、その値が所定レベル以
上であるか否かを判断する。なお、ここで言う所定レベ
ルとは、上記ピークレベルより3dB(電圧比)減衰し
たレベルを指す。
【0052】両レベル差(A2−A1)が所定レベル以
上でなければ、判断結果が「NO」となり、上述のステ
ップSE5に処理を戻し、更に歩進させたレジスタAD
1の値に基づき、アドレス(AAD+AD1)に格納さ
れる検出レベルを、検出レベル記憶エリアDLから読み
出してレジスタA2にストアした後、再度、レジスタA
1に格納される共振点における検出レベル(ピークレベ
ル)とレジスタA2に格納される検出レベルとのレベル
差を算出し、それが所定レベル以上に収まるか否かを判
断する。
【0053】そして、両レベル差(A2−A1)が所定
レベル以上に収まった時には、上記ステップSE7の判
断結果が「YES」となり、次のステップSE8に処理
を進める。ステップSE8では、アドレスカウンタAD
に格納されるアドレス値を、レジスタAD2に保持した
後、そのアドレス値を1デクリメントする。すなわち、
共振点における検出レベル(ピークレベル)に達する1
つ前のアドレスがレジスタAD2にセットされる。
【0054】続いて、ステップSE9では、このレジス
タAD2の値に基づき、アドレス(AAD+AD2)に
格納されるピーク以前の検出レベルを、検出レベル記憶
エリアDL(図3参照)から読み出し、これをレジスタ
A2にストアする。次いで、ステップSE10では、レ
ジスタA1に格納される共振点における検出レベル(ピ
ークレベル)と、レジスタA2に格納されるピーク以前
の検出レベルとのレベル差(A2−A1)を算出し、そ
の値が所定レベル(ピークレベルより3dB減衰したレ
ベル)以上であるか否かを判断する。
【0055】両レベル差(A2−A1)が所定レベル以
上でなければ、判断結果が「NO」となり、上述のステ
ップSE9に処理を戻し、更にデクリメントさせたレジ
スタAD2の値に基づき、アドレス(AAD+AD2)
に格納される検出レベルを、検出レベル記憶エリアDL
から読み出してレジスタA2にストアした後、再度、レ
ジスタA1に格納される共振点における検出レベル(ピ
ークレベル)とレジスタA2に格納される検出レベルと
のレベル差を算出し、それが所定レベル以上に収まるか
否かを判断する。
【0056】そして、両レベル差(A2−A1)が所定
レベル以上に収まった時には、上記ステップSE10の
判断結果が「YES」となり、次のステップSE11に
処理を進める。ステップSE11では、共振点における
検出レベル(ピークレベル)から所定レベル減衰したサ
ンプル点アドレスAD1,AD2のアドレス離間値(A
D1−AD2)を算出し、これをQ値(尖頭値幅)とし
てレジスタQ(n)にストアする。
【0057】この後、CPU3はステップSE12に処
理を進め、各固有値(共振周波数)毎について上述した
Q値検出処理を行うべくポインタレジスタnの値を1イ
ンクリメントして歩進させる。そして、ステップSE1
3では、歩進されたポインタレジスタnの値が固有値数
N以上であるか否か、つまり、全ての固有値についてQ
値検出処理が行われたかどうかを判断し、処理完遂した
時には判断結果が「YES」となり、本ルーチンを完了
するが、そうでない場合には判断結果が「NO」とな
り、前述のステップSE2に処理を戻して上述した一連
の処理を繰り返す。
【0058】このように、Q値検出処理ルーチンでは、
各固有値(共振周波数)毎に、その固有値における検出
レベル(ピークレベル)を中心として、サンプル点アド
レスを前後させてこのピークレベルとのレベル差が所定
レベルとなる2つの検出レベルを検索し、この検索した
2つの検出レベルに対応する各サンプル点アドレスAD
1,AD2のアドレス離間値(AD1−AD2)を算出
し、これをQ値(尖頭値幅)としてレジスタQ(n)に
ストアする。
【0059】係数乗算処理ルーチンの動作 以上のようにして、シミュレートしようとする楽器が持
つであろう固有の共振特性、すなわち、固有値(共振周
波数)およびQ値が求まると、CPU3は前述したステ
ップSB14(図6参照)を介して図10に示す係数乗
算処理ルーチンを実行し、ステップSF1に処理を進め
る。まず、ステップSF1では、前述した解析処理ルー
チンのステップSB6(図6参照)において入力された
チップ(振動体8)の材質種類に基づき特性テーブルT
ABLE(図2参照)からテーブルルックアップされた
材料物性係数TABLE(K1)を、レジスタkにスト
アする。
【0060】続いて、ステップSF2では、各固有値に
対応させたポインタレジスタnの値を「1」にセットす
る。次いで、ステップSF3では、このポインタレジス
タnの値に対応した1次のQ値に、レジスタkに格納さ
れる材料物性係数TABLE(K1)を乗算し、その結
果をレジスタQ(n)にストアする。そして、この後に
ステップSF4に進み、ポインタレジスタnの値を1イ
ンクリメントして歩進させ、続くステップSF5では、
全ての固有値について係数乗算したか否かを判断する。
【0061】全ての固有値について材料物性係数TAB
LE(K1)を乗算し終えた時には、ここでの判断結果
が「YES」となり、次のステップSF6に処理を進め
るが、そうでない場合には判断結果が「NO」となり、
上述のステップSF3に処理を戻し、全ての固有値につ
いて係数乗算されるまで繰り返す。
【0062】次いで、ステップSF6に進むと、再びポ
インタレジスタnの値を「1」にセットし直す。そし
て、ステップSF7では、前述した解析処理ルーチンの
ステップSB8(図6参照)において入力された形状種
類に基づき特性テーブルTABLE(図2参照)からテ
ーブルルックアップされた形状特性係数TABLE(K
1,n)を、レジスタkにストアする。
【0063】この形状特性係数TABLE(K2)は、
前述したように、シミュレートしようとする楽器の共鳴
体の形状に対応させた値であって、選択した形状、例え
ば、「板」、「箱」および「管」等の各形状について、
n次までの各固有値(共振周波数)に対する重み付けを
表わす固有値スケールファクタF(1)〜F(N)が定
義されている。したがって、このステップSF7におい
ては、選択した形状における、ポインタレジスタnの値
に対応した固有値のスケールファクタを、テーブルルッ
クアップしてレジスタkにストアするようになってい
る。
【0064】こうしてポインタレジスタnの値に対応し
た固有値のスケールファクタを、レジスタkにストアす
ると、CPU3は次のステップSF8に処理を進め、レ
ジスタkにストアされたスケールファクタを、対応する
固有値(共振周波数)F(n)に乗算し、その結果をレ
ジスタF(n)にストアする。
【0065】そして、ステップSF9に進み、ポインタ
レジスタnの値を1インクリメントして歩進させ、続く
ステップSF10では、全ての固有値について係数乗算
したか否かを判断する。全ての固有値について材料物性
係数TABLE(K1)を乗算し終えた時には、ここで
の判断結果が「YES」となり、本ルーチンの処理を完
了させるが、そうでない場合には判断結果が「NO」と
なり、上述のステップSF7に処理を戻し、全ての固有
値について係数乗算されるまで繰り返す。
【0066】このように、係数乗算処理では、入力され
た材質種類に対応した材料物性係数TABLE(K1)
を各固有値毎のQ値に乗算すると共に、入力された形状
に対応した形状特性係数TABLE(K2)の各スケー
ルファクタをそれぞれ対応する固有値に乗算して、シミ
ュレートしようとする楽器の共鳴体の共振特性を求めて
いる。
【0067】(3)再生モードの動作 次に、図11〜図13を参照して上述した解析モード下
の一連の処理により得られた特性、すなわち、シミュレ
ートしようとする楽器の共鳴体の共振特性を加味した楽
音を発生する再生モードの動作について説明して行く。
【0068】再生処理ルーチンの動作 さて、モード選択スイッチMODの操作に応じて再生モ
ードに遷移すると、CPU3は前述したステップSA4
(図5参照)を介して図11に示す再生処理ルーチンを
実行してステップSG1に処理を進める。ステップSG
1では、鍵盤1の各鍵を走査して鍵変化を判別する。
【0069】ここで、鍵イベントが発生しない場合、つ
まり、鍵操作がなされていない時には、再生に係わる処
理を一切行わずにステップSG7に処理を進め、モード
選択スイッチMODの操作の有無を判断する。そして、
モード選択スイッチMODが操作されたら、判断結果が
「YES」となり、次のステップSG8に進み、解析モ
ードへ遷移させて本ルーチンを完了させる。これに対
し、モード選択スイッチMODが操作されない時には判
断結果が「NO」となり、この場合、何も処理せずに本
ルーチンを完了させる。
【0070】一方、押鍵操作に応じてキーオンイベント
が発生すると、上述のステップSG1の判断を経てステ
ップSG3に進み、押鍵された鍵の鍵番号をレジスタN
OTEにストアする。そして、ステップSG4では、押
鍵に応じて発生したベロシティ情報をレジスタVELに
ストアし、続くステップSG5では、上記レジスタNO
TE,VELにそれぞれ格納された鍵番号およびベロシ
ティ情報を音源部9へ送出する。この後、ステップSG
6に進み、音源部9に与えた演奏情報に基づく楽音の発
音を指示する。これにより、音源部9では、レジスタN
OTE,VELにそれぞれ格納された鍵番号およびベロ
シティ情報に基づく楽音データW1を発生し、これをD
SP10aに供給する。
【0071】こうして発音指示を出すと、CPU3は上
述したステップSG7,SG8を経て解析モードに遷移
するか、もしくはメインルーチンへ処理を復帰させる。
なお、この押鍵操作に対応した離鍵操作が行われた場合
には、ステップSG2に処理を進めて離鍵された鍵の楽
音について消音するよう音源部9に指示した後、ステッ
プSG7,SG8を実行する。
【0072】DSP10aの動作 以上のようにして、押鍵操作に応じて生成された楽音デ
ータW1がDSP10aに供給されると、DSP10a
はCPU3の指示の下に、図12に示すDSP処理を実
行し、ステップSH1に進む。ステップSH1に進む
と、DSP10aは音源部9からの入力の有無を判断
し、入力が無い場合には一旦、本動作を終了させるが、
入力が有った場合には次のステップSH2に処理を進め
る。
【0073】ステップSH2では、各固有値に対応する
ポインタレジスタnの値を「1」にセットし、続くステ
ップSH3ではCPU3から供給される係数、すなわ
ち、前述した係数乗算処理にて求めたF(n)を、DS
P10a内部のレジスタb1(n),b2(n)に、Q
(n)をDSP10a内部のレジスタK(n)にそれぞ
れストアする。次いで、ステップSH4に進むと、DS
P10aはポインタレジスタnの値に対応した次数の固
有値について与えられたフィルタ係数に従って、音源部
9から供給される楽音データW1に2次IIRフィルタ
リングを施す。
【0074】そして、この後、DSP10aはポインタ
レジスタnの値を1インクリメントして歩進させて処理
すべき次数を更新させ、続くステップSH6では、全て
の次数について処理したか否かを判断し、処理途中であ
れば、判断結果が「NO」となり、上述のステップSH
3〜SH5を繰り返す。一方、全ての次数についてのフ
ィルタリングが完了した時には、判断結果が「YES」
となり、本ルーチンを終了する。この結果、音源部9か
ら供給される楽音データW1についてシュミュレートし
ようとする楽器の共鳴体の特性が付与され、それによっ
て音色制御された楽音データW2が生成される。
【0075】フィルタ演算処理ルーチンの動作 次に、図13を参照し、DSP10aにおいて実行され
るフィルタ演算処理ルーチンの動作について説明する。
ここで行われるフィルタ演算は、図4に図示した2次I
IRフィルタリングに相当するものである。すなわち、
上述のステップSH4を介して本ルーチンが実行される
と、DSP10aは図13に示すステップSJ1に処理
を進め、レジスタINに一時記憶される楽音データW1
からレジスタBの値を減算してレジスタAにストアす
る。
【0076】次いで、ステップSJ2では、レジスタE
の値を1サンプル遅延させてレジスタE(−1)にセッ
トし、続くステップSJ3では、レジスタAの値をレジ
スタEにストアする。そして、ステップSJ4では、レ
ジスタFの値を1サンプル遅延させてレジスタF(−
1)にセットし、続くステップSJ5では、レジスタE
(−1)にセットされた1サンプル遅延値をレジスタF
にストアする。
【0077】次に、ステップSJ6に進むと、レジスタ
b1(n)の値にレジスタE(−1)の値を乗算し、そ
の結果をレジスタCにストアする。次に、ステップSJ
7では、レジスタb2(n)の値にレジスタF(−1)
の値を乗算し、その結果をレジスタDにストアする。そ
して、ステップSJ8では、上記レジスタCの値とレジ
スタDの値とを加算してその値をレジスタBに格納す
る。
【0078】ステップSJ9では、レジスタbkの値に
レジスタE(−1)の値を乗算し、その結果をレジスタ
Gにストアする。そして、ステップSJ10では、レジ
スタGの値とレジスタF(−1)の値とを加算してレジ
スタHにストアする。次のステップSJ11では、レジ
スタAの値とレジスタHの値とを加算してレジスタIに
ストアする。続いて、ステップSJ12では、レジスタ
K(n)の値をレジスタIの値に乗算し、その結果をレ
ジスタOUTにストアする。このレジスタOUTにセッ
トされた値は楽音データW2として出力され、続くステ
ップSJ13ではレジスタOUTの値をレジスタINに
書き換え、この後に本ルーチンの処理を完了する。
【0079】このように、DSP10aでは、CPU3
から与えられる各乗算係数b1(n),b2(n),b
KおよびK(n)に基づき楽音データW1に2次IIR
フィルタリングを施すことによって、自然楽器の共鳴体
から放射されたと等価な音色、すなわち、振動体8の材
質および形状に依存した音色の楽音データW2が形成さ
れる。したがって、振動体8を各種材質・形状にセット
し直すだけで各様な音色の楽音を極めて容易に実現し得
るようになるのである。
【0080】以上説明したように、本実施例によれば、
解析モード下において、シミュレートしようとする楽器
の形状・材質に相当するチップを選択し、選択したチッ
プを振動体8として加振部6および振動検出部7の装着
端子T1,T2にセットして加振応答を計測すると、こ
の計測した加振応答結果に基づき、シミュレートしよう
とする楽器が持つであろう固有の共振特性が解析的に推
測され、この推測した共振特性に合致するよう2次II
Rフィルタの各フィルタ係数を設定する。
【0081】そうして、再生モードに遷移すると、鍵操
作に応じて生成される楽音データW1が、上記解析モー
ドにて係数設定された2次IIRフィルタリングされ、
シミュレートしようとする楽器の共鳴体から放射された
と等価な音色を持つ楽音データW2が形成されるように
なっている。したがって、従来のように、非線形動作や
共振動作などの発音メカニズムをシミュレートする物理
モデルを、リアルタイムに動作させて楽音を生成する必
要がなくなり、簡単な構成で、しかも安価に自然楽器の
動作をシミュレートして、自然楽器に近い楽音を発生す
ることが可能になる訳である。
【0082】なお、本実施例では、シミュレートしよう
とする楽器の共鳴体に対応させたチップ(振動体8)を
選択して装着使用する態様であるが、これに替えて、例
えば、予め振動体8の材質・形状に対応させた様々な係
数群を3次元テーブルデータとして用意しておき、スイ
ッチ操作に応じて所望の共鳴体に対応する係数を選択
し、これに基づきフィルタリングする構成としても良
い。また、この実施例では、楽器の共鳴体の特性をシミ
ュレートさせているが、これに替えて、楽音が励振され
る過程、すなわち、発音体の非線形動作をシミュレート
する形態にしても良く、その場合、ホワイトノイズ等を
励振源とし、これに非線形動作をシミュレートするフィ
ルタリングを施す態様とする。
【0083】
【発明の効果】本発明によれば、シミュレートしようと
する楽器の形状および材質に対応する振動体を加振して
加振応答を計測し、計測された加振応答に基づきシミュ
レートしようとする楽器の共振特性を導出する。そし
て、導出された共振特性に合致するフィルタ定数を生成
しておき、音高指定操作に応じて所定の楽音波形が発生
すると、生成しておいたフィルタ定数に従ったフィルタ
リングを、前記楽音波形に施してシミュレートしようと
する楽器と等価な音色の楽音を形成するので、従来のよ
うに、非線形動作や共振動作などの発音メカニズムをシ
ミュレートする物理モデルを、リアルタイムに動作させ
て楽音を生成する必要がなく、この結果、高速な論理演
算手段を不要とした極めて簡単な構成で、しかも安価に
自然楽器の動作をシミュレートして、自然楽器に近い楽
音を発生することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による一実施例の構成を示すブロック図
である。
【図2】ROM4に記憶される特性テーブルの一例を示
す図である。
【図3】RAM5のメモリ構成を説明するための図であ
る。
【図4】DSP10aのフィルタ機能を示すブロック図
である。
【図5】メインルーチンの動作を示すフローチャートで
ある。
【図6】解析処理ルーチンの動作を示すフローチャート
である。
【図7】振動検出処理ルーチンの動作を示すフローチャ
ートである。
【図8】固有値検出処理ルーチンの動作を示すフローチ
ャートである。
【図9】Q値検出処理ルーチンの動作を示すフローチャ
ートである。
【図10】係数乗算処理ルーチンの動作を示すフローチ
ャートである。
【図11】再生処理ルーチンの動作を示すフローチャー
トである。
【図12】DSP処理ルーチンの動作を示すフローチャ
ートである。
【図13】フィルタ演算処理ルーチンの動作を示すフロ
ーチャートである。
【符号の説明】
1 鍵盤 2 パネルスイッチ部 3 CPU 4 ROM 5 RAM 6 加振部 7 振動検出部 8 振動体 9 音源部 10 波形制御部

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シミュレートしようとする楽器の形状お
    よび材質に対応する振動体と、 前記振動体を加振して加振応答を計測する加振応答計測
    手段と、 この加振応答計測手段によって計測された加振応答に基
    づき、前記シミュレートしようとする楽器の共振特性を
    導出すると共に、導出された共振特性に合致するフィル
    タ定数を生成するフィルタ定数生成手段と、 音高指定操作に応じて所定の楽音波形を発生する波形発
    生手段と、 前記フィルタ定数生成手段が生成するフィルタ定数に従
    ったフィルタリングを、前記楽音波形に施して前記シミ
    ュレートしようとする楽器と等価な音色の楽音を形成す
    る波形制御手段とを具備することを特徴とする楽音発生
    装置
  2. 【請求項2】 前記振動体は、シミュレートしようとす
    る楽器の共鳴体に相当し、装置に対して挿脱自在に形成
    されていることを特徴とする請求項1記載の楽音発生装
    置。
  3. 【請求項3】 前記加振応答計測手段は、加振応答とし
    て得た振動周波数および振動レベルを、シミュレートし
    ようとする楽器の大きさを勘案して工学値変換すること
    を特徴とする請求項1記載の楽音発生装置。
  4. 【請求項4】 前記フィルタ定数生成手段は、前記加振
    応答に基づき、シミュレートしようとする楽器の共鳴体
    のn次固有値およびそのQ値を検出する共振特性検出手
    段と、 前記振動体の形状および材質をそれぞれ表わす形状特性
    係数および材料物性係数を記憶する係数記憶手段とを備
    え、 使用される振動体に対応した形状特性係数および材料物
    性係数を当該係数記憶手段から読み出し、読み出した形
    状特性係数および材料物性係数を、前記共振特性検出手
    段によって検出された各次数毎の固有値およびそのQ値
    に乗算してシミュレートしようとする楽器の共振特性に
    合致するフィルタ定数を生成することを特徴とする請求
    項1記載の楽音発生装置。
  5. 【請求項5】 前記波形制御手段は、フィルタ定数生成
    手段から供給されるn次までのフィルタ定数を用い、前
    記楽音波形について時分割に各次数毎のフィルタリング
    を施すことを特徴とする請求項1記載の楽音発生装置。
JP9249259A 1997-09-16 1997-09-16 楽音発生装置 Pending JPH1185162A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011205802A (ja) * 2010-03-25 2011-10-13 Central Res Inst Of Electric Power Ind 電力機器の設計支援方法及び設計支援装置並びに設計支援プログラム

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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