JP2626107B2 - 楽音制御装置 - Google Patents

楽音制御装置

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JP2626107B2 JP1333988A JP33398889A JP2626107B2 JP 2626107 B2 JP2626107 B2 JP 2626107B2 JP 1333988 A JP1333988 A JP 1333988A JP 33398889 A JP33398889 A JP 33398889A JP 2626107 B2 JP2626107 B2 JP 2626107B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は、擦弦楽器、管楽器等の楽音発生を模擬す
るに好適な楽音制御装置に関するものである。
[発明の概要] この発明は、面上で操作可能な操作手段を設けると共
に、この操作手段の操作に応じて検出される操作位置に
基づいて速度情報を発生し、この速度情報に基づいて楽
音特性を制御することにより擦弦楽器等に近似した多様
な演奏表現を可能としたものである。
[従来の技術] 従来、操作速度、操作圧力等に応じて音色、音量等の
楽音特性を制御可能な電子楽器としては、鍵盤での押鍵
速度を検出して楽音の立上り波形を制御したり、押鍵中
に押鍵圧力を検出して楽音の持続波形を制御したりする
ものが知られている。
[発明が解決しようとする課題] 一般に、バイオリン、チェロ、ビオラ等の擦弦楽器に
あっては、弓を引く、押すの二方向で操作可能であると
共に各方向毎に弓速度、弓圧力等により楽音の立上り、
持続、立下り等に多様な表情を付加することができる。
これに対し、上記した従来の電子楽器では、押鍵速度
の検出は、鍵に連動したスイッチの接点移行時間を測定
するなどして行なわれるため、押鍵操作1回毎に1つの
速度情報が得られるだけで、弓操作の場合のように操作
中の速度変更に応じた楽音制御を行なうことはできな
い。また、鍵の可能範囲は狭いので、鍵押下に伴って指
定しうる速度の範囲も狭く、弓操作の場合のように広い
範囲で任意の速度を指定することはできない。
その上、上記した従来の電子楽器では、押鍵速度と押
鍵中の押鍵圧力は楽音に反映されるものの、押鍵中の鍵
操作速度は楽音に反映されない。従って、弓操作の場合
のように圧力一定で速度を変えたり、速度一定で圧力を
変えたりといった圧力と速度の組合せによる演奏表現は
できない。
この発明の目的は、擦弦楽器等に近似した多様な演奏
表現が可能であると共に、従来とは全く異なる新しい操
作方法により楽音制御可能な新規な楽音制御装置を提供
することにある。
[課題を解決するための手段] この発明に係る楽音制御装置は、 面に当接して操作可能な操作子[第1図34A]と、 この操作子が面に当接して操作されるのに伴って該操
作子の操作位置又は操作距離を検出して該操作位置又は
該操作距離を指示する検出情報を発生する検出手段[第
1図34,22、第16図140,158]と、 この検出手段からの検出情報を、該検出情報の指示す
る操作位置又は操作距離に対応する速度を表わす速度情
報に変換する変換手段[第1図18]と、 発生すべき楽音の音高を指定する音高指定手段[第1
図36]と、 この音高指定手段で指定された音高を有する楽音信号
を発生する楽音発生手段[第1図28]と、 この楽音発生手段にて発生される楽音信号の発生態様
(例えば立上り、持続、立下り等)を前記変換手段から
の速度情報に応じて制御する制御手段[第16図150,16
0]と を備えたものである。
[作用] この発明の構成によれば、面に当接して操作可能な操
作子を設け、この操作子の操作に伴って検出した操作位
置又は操作距離に基づいて速度を指定して楽音信号の発
生態様を制御するようにしたので、広い範囲で任意の速
度を指定可能となり、楽音の立上り、持続、立下り等に
多様な表情を付加することができる。
その上、面に当接して操作可能な操作子は、往復的に
のみ操作可能な操作手段に比べて操作可能な範囲が広い
ので、演奏表現の自由度が大きい利点もある。
この発明の楽音制御装置において、検出手段は、操作
子の操作に応じて操作圧力を検出して該操作圧力を表わ
す圧力情報を発生し、制御手段は、変換手段からの速度
情報と検出手段からの圧力情報とに応じて楽音信号の発
生態様を制御するようにしてもよい。このようにする
と、楽音信号には速度の他に圧力も反映されるようにな
り、擦弦楽器等の演奏に一層近くなる。
[実施例] 第1図は、この発明の一実施例による電子楽器の構成
を示すもので、この電子楽器は楽音発生がマイクロコン
ピュータによって制御されるようになっている。なお、
第1図、第5図及び第6図において、斜線を付した信号
線は、複数の信号線を含むこと又は複数ビットの情報を
伝送することを表わす。
回路構成(第1図) バス10には、中央処理装置(CPU)12、プログラムメ
モリ14、ワーキングメモリ16、速度変換メモリ18、筆圧
−弓圧変換メモリ20、座標・圧力検出回路22、押鍵検出
回路24、操作検出回路26、音源回路28等が接続されてい
る。
CPU12は、メモリ14にストアされたプログラムに従っ
て楽音発生のための各種処理を実行するもので、これら
の処理については第13図乃至第16図を参照して後述す
る。CPU12に関しては、タイマ回路32が設けられてお
り、この回路32は、1〜10[ms]、好ましくは3[ms]
のクロック周期を有するタイマクロック信号TMCをCPU12
に割込命令信号として供給する。
ワーキングメモリ16は、CPU12による各種処理に際し
て利用される多数のレジスタを含むもので、この発明の
実施に関係するレジスタについては後述する。
座標・圧力検出回路22に関しては、ディジタイザとし
て知られる2次元入力パネル34が設けられている。ディ
ジタイザとしては、スイッチアレイ方式、電圧降下方
式、エンコーダ方式、磁界位相方式、静電結合方式、超
音波方式、磁歪方式、電磁誘導方式、電磁授受作用方式
等種々のものが提案されており、任意のものを用いるこ
とができる。
この実施例では、入力パネル34として、液晶表示パネ
ルと電磁授受作用方式で且つ圧力検知可能なディジタイ
ザとを重ね合せたものを用い、座標指示器として電子ペ
ン34Aを用いた。電子ペン34Aとしては、入力パネル34と
の接触を検知するペン先スイッチをそなえたものを用い
ることもできるが、接触検知は入力パネル側での圧力検
知で代行できるので、ペン先スイッチのないものを用い
てもよい。表示可能な入力パネル34を用いると、電子ペ
ン34Aで指示した座標を表示で確認しながら入力操作を
行なえるので好都合である。
座標・圧力検出回路22は、入力パネル34の有効読取領
域ER内において電子ペン34Aで指示されるx及びy座標
並びに操作圧力を検出するものである。
速度変換メモリ18は、位置−速度変換メモリ18A及び
距離−速度変換メモリ18Bを含むものである。メモリ18A
は、検出回路22で検出されるx座標値(操作位置)を第
2図に例示するような変換特性に従って速度データに変
換するものであり、メモリ18Bは、検出回路22で検出さ
れるx及びy座標値から求めた単位時間当りの移動距離
(操作速度)を第3図に例示するような変換特性に従っ
て速度データに変換するものである。この実施例では、
操作位置対応の速度データを使用する位置モード又は操
作速度対応の速度データを使用する速度モードのいずれ
かをモードスイッチの操作で任意に選択可能である。
筆圧−弓圧変換メモリ20は、演奏する人間の圧力感覚
にマッチした圧力データを得るために設けられたもの
で、検出回路22で検出される圧力(筆圧)を例えば第4
図に示すような変換特性に従って圧力(弓圧)データに
変換するものである。なお、このような変換を行なわ
ず、検出回路22からの圧力データをそのまま使用するこ
ともできる。
押鍵検出回路24は、鍵盤36の各鍵毎に押鍵情報(キー
オン/オフ及びキーコードの情報)を検出するものであ
る。
操作検出回路26は、前述したモードスイッチ等を含む
スイッチ群38中の各スイッチ毎に操作情報を検出するも
のである。
音源回路28は、前述した速度データ、圧力データ、押
鍵情報等に基づいて楽音信号TSを形成出力するもので、
詳しくは第5図を参照して後述する。
音源回路28からの楽音信号TSは、出力アンプ、スピー
カ等を含むサウンドシステム40に供給され、楽音として
発音される。
音源回路28(第5図) 第5図は、音源回路28の一構成例を示すもので、この
回路28は、バイオリンの4本の弦に対応した4つの音源
TG1〜TG4を含んでいる。従って、この実施例では、最大
で4音まで同時発音可能である。音源TG1〜TG4は、互い
に同一の構成で同様に動作するものであり、代表として
TG1の構成及び動作を後述する。
レジスタVRは、メモリ18から読出された速度データが
ストアされるもので、このレジスタからの速度データVE
LはTG1〜TG4の各音源に供給される。また、レジスタPR
は、メモリ20から読出された圧力データがストアされる
もので、このレジスタからの圧力データPRSはTG1〜TG4
の各音源に供給される。
レジスタKCR1〜KCR4は、音源TG1〜TG4にそれぞれ対応
して設けられたもので、鍵盤36で押された鍵に対応する
キーコードデータ(音高データ)がストアされる。レジ
スタKCR1〜KCR4からのキーコードデータKC1〜KC4は、キ
ーコード−遅延量変換メモリDM1〜DM4にそれぞれ供給さ
れる。
変換メモリDM1〜DM4は、いずれも鍵盤36の各鍵毎に第
1及び第2の遅延量データを記憶している。各鍵毎の第
1及び第2の遅延量データは、該鍵の音高に対応した合
計遅延量を所定の配分比で第1及び第2の遅延手段(例
えば第6図の60及び68)に配分するためのもので、合計
遅延量(例えば遅延段数)をDとし、配分比をK(Kは
0<K<1の範囲の値で例えば0.5)とすると、第1の
遅延量データはD×Kなる遅延量を表わし、第2の遅延
量データはD×(1−K)なる遅延量を表わす。
一例として、変換メモリDM1は、入力キーコードデー
タKC1を音高にて対応する第1及び第2の遅延量データD
LC11及びDLC12に変換し、これらのデータを音源TG1に供
給する。なお、レジスタKCR1の値が0(すなわちキーボ
ードデータなし)のときは、データDLC11及びDLC12とし
て音源TG1の第1及び第2の遅延手段を非導通とするよ
うなデータが供給される。
他の音源TG2〜TG4についても、TG1について上記した
と同様に遅延量データDLC21,22〜DLC41,42が供給され
る。
音源回路TG1〜TG4は、いずれも上記のようにして供給
される音源制御情報に基づいてディジタル形式の楽音波
形データを発生するもので、音源TG1〜TG4からの楽音波
形データWO1〜WO4は混合回路50で混合される。そして、
混合回路50からの楽音波形データは、ディジタル/アナ
ログ(D/A)変換回路52によりアナログ形式の楽音信号T
Sに変換され、この楽音信号TSがサウンドシステム40
(第1図)に供給される。
音源TG1(第6図) 第6図は、音源TG1の一構成例を示すもので、この音
源TG1は、擦弦音を模擬すべく構成されたものである。
可変遅延回路60、フィルタ62、乗算器64、加算器66、
可変遅延回路68、フィルタ70、乗算器72及び加算器74
は、閉ループ状に接続されてデータ循環路を構成してお
り、このデータ循環路の総遅延時間が弦(振動体)の長
さ、すなわち発生音の基本波周期に対応する。弦上の振
動の伝搬・分布状態がデータ循環路を介して循環する波
形データによって表現される。
遅延回路60及び68は、各々の遅延量が遅延量データDL
C11及びDLC12の示す値になるよう設定制御されるもので
ある。データ循環路を介して循環する波形データに対し
ては、遅延回路60及び68の合計遅延量に対応した音高が
付与される。すなわち、発生楽音の音高は、厳密には閉
ループ内の遅延量の総和で決まるので、予め回路60,68
以外のフィルタ等の遅延量を考慮して回路60,68の合計
遅延量を定めるようにすればその合計遅延量に対応した
音高が得られる。
フィルタ62及び70は、弦の材質による振動伝搬に対応
する損失を模擬したり、周波数に対する伝搬速度の非直
線性を模擬したりするためのもので、前者の模擬にはロ
ーパスフィルタを用いる。また、後者の模擬には、オー
ルパスフィルタを用い、その周波数対遅延特性が非直線
性を持つことを利用して非整数次倍音の発生を実現す
る。
乗算器64及び72は循環波形データに対して係数発生器
76及び78からの負の係数をそれぞれ乗算することにより
弦の一端及び他端での振動波の反射に相当する位相反転
を模擬するものである。この場合、負の係数としては、
弦の固定端にて損失がないものとしたいときは−1と
し、定常的な損失があるものとしたいときはその損失に
対応して0〜−1の範囲で適当な値を選定すればよく、
所望によりその値を経時的に変更制御してもよい。
加算器66及び74は、非線形変換部NLからデータ循環路
に励振波形データを導入するためのものである。
速度データVELは、加算器82,84を介して非線形変換部
NLに供給される。この変換部NLは、擦弦の非線形変化を
模擬するために設けられたもので、加算器84の出力を入
力とする除算器86と、この除算器の出力を入力とする非
線形変換メモリ88と、このメモリの出力を入力とする乗
算器90とをそなえ、除算器86及び乗算器90には圧力デー
タPRSが供給され、乗算器90から励振波形データが出力
されるようになっている。
第7図は、擦弦の非線形変化の一例を示すもので、横
軸は弦に対する弓の相対速度を示し、縦軸は弓から弦に
与えられる変位速度を示す。弓速度が0近辺では、静止
摩擦の寄与が支配的であるため弦変位速度は弓速度の増
大に対して直線的に増大するが、ある程度以上の外力が
加わると動摩擦が支配的となり、負に弦変位速度への外
力の寄与度が低下することから第7図に示すように非線
形な変化となることが知られている。また、静止摩擦−
動摩擦の遷移においては第7図に示すようにヒステリシ
ス現象が生ずることも知られている。
第7図に示したような非線形変化を模擬するために、
非線形変換メモリ88には一例として第8図の実線Aに示
すような変換特性に従って数値データが記憶されてい
る。そして、弓圧に応じた静止摩擦領域の変化を模擬す
るために、メモリ88の入力側及び出力側にそれぞれ除算
器86及び乗算器90を設け、圧力データPRSとの除算及び
乗算を行なう。メモリ88の入力を圧力データPRSで除算
すると、第8図Aの特性は同図の一点鎖線Bに示すよう
な特性となり、メモリ88の出力に圧力データPRSを乗算
すると、第8図Bの特性は同図の破線Cに示すような特
性となる。なお、圧力データPRSに応じた特性変更を可
能にするには、上記のような演算方式に限らず、メモリ
88に圧力値毎に変換特性を記憶しておき、使用すべき変
換特性を圧力データPRSに応じて指定するようにしても
よい。
一例として、第9図に示すような経時的変化を示す速
度データを非線形変換部NLに入力すると、非線形変換部
NLからは第10図に示すような励振波形データが出力さ
れ、加算器66,74を介してデータ循環路に入力される。
前述したヒステリシス現象を模擬するため、非線形変
換部NLには、乗算器90の出力Qを入力とするローパスフ
ィルタ(LPF)92と、このフィルタの出力に係数発生器9
6からの係数を乗算する乗算器94と、この乗算器の出力
を加算器82の出力Sと加算してその加算出力S′を除算
器86に供給する加算器84とを含む帰還路が設けられてい
る。LPF92は、発振防止のため及び利得又は位相補償の
ために設けられたものであるが、フィルタ特性に応じて
非線形変換部NLの出力波形も変化するので、音色変化を
得ることもできる。
一例として、第11図に示すような変換特性(入力S′
対出力Qの特性)を非線形変換部NLに持たせた場合、帰
還率β=0.1(10%)とすれば、帰還路及び非線形変換
部NLを含む回路部の変換特性(入力S対出力Qの特性)
は第12図に示すようなヒステリシス特性を有するものと
なる。この場合、例えば係数発生器96で発生する係数を
変更するなどして帰還率を変更すればヒステリシス特性
が変更される。また、速度データVEL又は圧力データPRS
等に応じて帰還率を変更制御するようにすれば擦弦音に
一層近似した楽音発生が可能になる。なお、ヒステリシ
ス特性を得るには、上記のような帰還方式に限らず、メ
モリ88に入力値の変化方向毎に変換特性を記憶してお
き、入力値の変化方向を検知して使用すべき変換特性を
指定するようにしてもよい。
加算器98は、乗算器64及び72の出力を加算してその加
算出力を加算器82に供給するものである。このような加
算器98を設けたことにより循環波形データは非線形変換
部NLを介して再びデータ循環路に入力されるようにな
り、複雑な波形変化が得られる。
循環波形データからなる楽音波形データWO1は、一例
として乗算器72の出力側から導出される。楽音波形デー
タの導出位置は、図示のものに限らず、波形データが循
環する所ならどこでもよい。また、1ケ所のみから導出
するのではなく、複数ケ所から導出したものを混合して
出力するようにしてもよい。
上記した音源TG1は、フィルタを含む遅延のループ構
造となっているので、いわゆる櫛形フィルタ特性を示
す。弦と弓との関係を表わした非線形変換部NLからデー
タ循環路に励振波形データを入力すると、櫛形フィルタ
の共振峰周波数に応じた倍音スペクトル構成を示す波形
データがデータ循環路を介して循環することになる。
音源TG1は、速度データVEL及び圧力データPRSが供給
され且つデータDLC11及びDLC12として遅延量を示ものが
供給されることを条件として楽音波形データWO1を発生
するものである。従って、鍵盤36でいずれの鍵も押さな
いとき又は鍵を押してもレジスタKCR1にキーコードデー
タがセットされないときは、入力パネル34にて電子ペン
34Aで入力操作しても楽音波形データは発生されない。
また、レジスタKCR1にキーコードデータがセットされて
も、電子ペン34Aによる入力操作をしなければ楽音波形
データが発生されない。
レジスタKCR1にキーコードデータがセットされた状態
において電子ペン34Aによる入力操作を開始すると、そ
のときの操作力の加え方(例えば急速か徐々か)によっ
て楽音の立上りに多様な表情を付加することができる。
そして、楽音発生中も操作速度及び/又は操作圧力を加
減することで楽音に多様な表情を付加することができ、
この後楽音減衰を開始する際にも操作力の抜き方(例え
ば急速か徐々か)により楽音の立下りに多様な表情を付
加することができる。
上記したと同様の表情付加は、電子ペン34Aによる入
力操作を開始した後押鍵操作に応じてレジスタKCR1にキ
ーコードデータがセットされた場合にも可能である。
一方、楽音発生中に離鍵に応じてレジスタKCR1がクリ
アされると、遅延回路60,68が非導通になるので、楽音
は急速に減衰するようになる。また、楽音発生中にレジ
スタKCR1をクリアすることなく電子ペン34Aによる入力
操作をやめると、循環波形データが循環路の損失を受け
るので、楽音は徐々に減衰するようになる。従って、急
速及びゆっくりの2通りの減衰態様を得ることができ
る。
離鍵に伴う減衰制御は、遅延回路60,68を非導通にす
るものに限らず、データ循環路中に可変減衰器を接続し
てその減衰度を離鍵検出に応じて増大すべく制御する方
法、あるいはフィルタ62及び/又は70の利得を離鍵検出
に応じて低下すべく制御する方法などの方法を採用して
もよい。
ワーキングメモリ16 ワーキングメモリ16内のレジスタのうち、この発明の
実施に関係するものを列挙すると次の通りである。
(1)モードレジスタMD…これは、モードスイッチの操
作に応じて“1"又は“0"がセットされるもので、“1"な
らば速度モードを表わし、“0"ならば位置モードを表わ
す。
(2)キーコードレジスタKCD…これは、検出回路24を
介してキーオン又はキーオフイベントが検出されるたび
にそのイベント検出に係る鍵に対応したキーコードデー
タがストアされるものである。
(3)音源オン/オフレジスタKOR…これは、第5図の
レジスタKCR1〜KCR4にそれぞれ対応した4つのレジスタ
KOR1〜KOR4を含むもので、各レジスタ毎に“1"ならば対
応する音源が発音中であることを表わし、“0"ならば非
発音であることを表わす。
(4)x座標レジスタX…これは、検出回路22を介して
検出されるx座標値がセットされるものである。
(5)y座標レジスタY…これは、検出回路22を介して
検出されるy座標値がセットされるものである。
(6)圧力レジスタP…これは、検出回路22を介して検
出される圧力値がセットされるものである。
(7)ペン状態レジスタPSW…これは、電子ペン34Aとし
てペン先スイッチを有するものを用いた場合に使用され
るもので、ペン先スイッチがオン(接触)ならば“1"
が、オフ(非接触)ならば“0"がそれぞれセットされ
る。
(8)旧x座標レジスタXP…これは、レジスタXからx
座標値がセットされるものである。レジスタXが今回の
タイマ割込時のx座標値を示すのに対し、レジスタX
Pは、前回のタイマ割込時のx座標値を示す。
(9)旧y座標レジスタYP…これは、レジスタYからy
座標値がセットされるもので、前回のタイマ割込時のy
座標値を示す。
(10)データフラグOLD…これは、レジスタXP及びYP
おけるデータの有無を表わすもので、“1"ならばデータ
ありを、“0"ならばデータなしを表わす。
(11)距離レジスタDIST…これは、第3図の横軸に示す
ような単位時間当りの移動距離データがセットされるも
のである。
メインルーチン(第13図) 第13図は、メインルーチンの処理の流れを示すもの
で、このルーチンは電源オン等に応じてスタートする。
まず、ステップ100では、各種レジスタを初期化す
る。例えば、前述した(1)〜(11)のレジスタはすべ
てクリアする。そして、ステップ102に移る。
ステップ102では、鍵盤36にてキーオンイベントあり
か判定し、あり(Y)ならばステップ104で第14図につ
いて後述するようにキーオンのサブルーチンを実行す
る。
ステップ102の判定結果が否定的(N)であったとき
又はステップ104の処理が終ったときはステップ106に移
り、鍵盤36にてキーオフイベントありか判定する。この
判定結果が肯定的(Y)であればステップ108に移り、
第15図について後述するようにキーオフのサブルーチン
を実行する。
ステップ106の判定結果が否定的(N)であったとき
又はステップ108の処理が終ったときはステップ110に移
り、モードスイッチにオンイベントありか判定する。こ
の判定結果が肯定的(Y)であればステップ112に移
り、“1"からMDの内容を差引いたものをMDにセットす
る。すなわち、MDの内容が“0"であったときはMDに“1"
をセットし、MDの内容が“1"であったときはMDに“0"を
セットする。この結果、位置モードと速度モードはモー
ドスイッチをオンするたびに交互に指定されるようにな
る。
ステップ110の判定結果が否定的(N)であったとき
又はステップ112の処理が終ったときはステップ114に移
り、その他の処理(例えば音量等の設定処理)を実行す
る。この後は、ステップ102に戻り、それ以降の処理を
上記したと同様に繰返す。
キーオンのサブルーチン(第14図) 第14図は、キーオンのサブルーチンを示すもので、ス
テップ120では、キーオンに係るキーコードをKCDにセッ
トする。そして、ステップ122に移る。
ステップ122では、KORのいずれかの内容が“0"か判定
し、この判定結果が否定的(N)であればすべての音源
が使用中であるのでキーコード割当処理を行なわずに第
13図のルーチンにリターンする。なお、音源がすべて使
用中であっても最先にキーオンしたものから順に書換え
ていくようにしてもよい。
ステップ122の判定結果が肯定的(Y)であったとき
はステップ124に移り、“0"と判定されたKORに対応する
いずれかのレジスタKCR(第5図KCR1〜KCR4)にKCRのキ
ーコードをセットする。そして、ステップ126に移る。
ステップ126では、キーコードセットに係るKCRに対応
したKORに“1"をセットする。そして、第13図のルーチ
ンにリターンする。
第14図のルーチンによれば、例えばKOR1が“0"であっ
たときは、KCR1にキーコードがセットされると共にKOR1
に“1"がセットされ、音源TG1での楽音発生が可能とな
る。
キーオフのサブルーチン(第15図) 第15図は、キーオフのサブルーチンを示すもので、ス
テップ130では、キーオフに係るキーコードをKCDにセッ
トする。そして、ステップ132に移る。
ステップ132では、KCRのいずれかにKCDと同一のキー
コードありか判定する。この判定結果が否定的(N)で
あればキーオフした鍵に対応する楽音を発生中でなく、
キーオフ処理不要なので第13図のルーチンにリターンす
る。
ステップ132の判定結果が肯定的(Y)であったとき
はステップ134に移り、同一キーコードありのKCRに対応
したKORをクリア(“0"セット)する。そして、ステッ
プ136で同一キーコードありのKCRをクリアしてから第13
図のルーチンにリターンする。
第15図のルーチンによれば、例えばKCR1にKCDと同一
のキーコードがあったときは、KOR1及びKCR1がいずれも
クリアされ、KCR1のクリアに応答して音源TG1では第6
図の遅延回路60,68が非導通となり、発生中の楽音が減
衰を開始する。なお、キーオフによるクリアを行なわず
に、消音処理はすべてペン離し操作(P又はPSWの値の
0への変化)に応じて行なうようにしてもよい。
タイマ割込みルーチン(第16図) 第16図は、タイマ割込みルーチンを示すもので、この
ルーチンはタイマクロック信号TMCの各クロックパネル
毎に例えば3[ms]の周期でスタートする。
まず、ステップ140では、検出回路22からx座標値、
y座標値及び圧力値を取込み、それぞれX、Y及びPに
セットする。また、電子ペン34Aとしてペン先スイッチ
を有するものを用いた場合には、ペン先スイッチの状態
信号(“1"又は“0")をPSWにセットする。
次に、ステップ142では、KORのいずれも“0"か判定す
る。この判定結果が肯定的(Y)であればいずれの音源
も音楽発生中でなく、処理不要なので第13図のルーチン
にリターンする。
ステップ142の判定結果が否定的(N)であったとき
はステップ144に移り、Pの値が0か(電子ペン非接触
か)判定する。電子ペン34Aとしてペン先スイッチを有
するものを用いた場合には、P=0かの判定に代えてPS
Wの内容が“0"か判定する。このような判定の結果が肯
定的(Y)であれば以下に述べるような処理が不要なの
で第13図のルーチンにリターンする。
ステップ144の判定結果が否定的(N)であったとき
はステップ146に移り、メモリ20からPの値に対応した
圧力データを読出し、レジスタPR(第5図)にセットす
る。そして、ステップ148に移る。
ステップ148では、MDの内容が“1"か(速度モード
か)判定し、この判定結果が否定的(N)であればステ
ップ150に移る。
ステップ150では、メモリ18AからXの値に対応した速
度データを読出し、レジスタVR(第5図)にセットす
る。ステップ150の処理により第2図に示したようなx
座標値(x方向の操作位置)に応じた速度指定が可能と
なる。例えば、入力パネル34においてXm/2より右側でx
座標値を指示すればそれに対応した正の速度値が得られ
る。これは、第7図又は第8図において引く方向の弓速
度又は入力に相当する。また、Xm/2より左側でx座標値
を指示すればそれに対応して負の速度値が得られる。こ
れは、第7図又は第8図において押す方向の弓速度又は
入力に相当する。
ステップ150の処理が終ったときは、第13図のルーチ
ンにリターンする。
ステップ148の判定結果が肯定的(Y)であったとき
はステップ152に移り、OLDの内容が“0"か(XP及びYP
データなしか)判定する。例えば電源オン後最初にステ
ップ152にきたような場合には、ステップ152の判定結果
が肯定的(Y)となり、ステップ154に移る。
ステップ154では、OLDに“1"をセットする。そして、
ステップ156でXP及びYPにX及びYの値をそれぞれセッ
トしてから、第13図のルーチンにリターンする。
この後、再び第16図のルーチンに入ると、ステップ15
2の判定結果が否定的(N)となり、ステップ158に移
る。
ステップ158では、X、XP、Y、YPの値をそれぞれ
X、XP、Y、YPとして、次の(1)及び(2)式の演算
を行なう。
そして、(1)式の演算により得られた値に(2)式
の演算により得られた符号を付したものをDISTにセット
する。この後、ステップ160に移る。
ステップ160では、メモリ18BからDISTの値に対応した
速度データを読出し、レジスタVR(第5図)にセットす
る。そして、ステップ156でX及びYの値をXP及びYP
それぞれセットしてから、第13図のルーチンにリターン
する。
ステップ152〜160の処理によれば、第3図に示したよ
うな単位時間当りの移動距離(面上の操作速度)に応じ
た速度指定が可能となる。例えば、入力パネル34におい
て電子ペン34Aを右方向に移動すれば差(XP−X)の符
号は負となり、第3図において正の速度値が得られる。
これは、第7図又は第8図において引く方向の弓速度又
は入力に相当する。また、ペン34Aを左方向に移動すれ
ば差の符号は正となり、第3図において負の速度値が得
られる。これは、第7図又は第8図において押す方向の
弓速度又は入力に相当する。
上記したステップ158では、(XP−X)の符号を付す
代りに(YP−Y)の符号を付すようにしてもよい。この
ようにすると、y=0からy=Ymへの方向が押す方向に
対応し、その反対の方向が引く方向に対応するようにな
る。この場合、ステップ150では、メモリ18AからYの値
に対応する速度データを読出してVRにセットするように
してもよく、このようにすればy方向の操作位置に応じ
た速度指定が可能になる。
変形例 この発明は、上記実施例に限定されるものではなく、
種々の改変形態で実施可能なものである。例えば、次の
ような変更が可能である。
(1)この発明は、複音電子楽器に限らず、単音電子楽
器にも適用できる。
(2)操作手段としては、ディジタイザ形式のものに限
らず、マウス等の平面移動可能なものを用いてもよい。
(3)音源回路としては、擦弦楽器を模擬したものに限
らず、管楽器を模擬したものや、その他周知の音源回路
を用いてもよい。
(4)速度情報を加速度情報に変換して楽音制御に用い
てもよい。
[発明の効果] 以上のように、この発明によれば、操作子を面に当接
して操作することにより楽音の立上り、持続、立下り等
に多様な表情を付加できるので、擦弦楽器等に近似した
楽音発生が可能となる効果が得られる。その上、面に当
接して操作可能な操作子を用いたので、演奏表現の自由
度が大きい利点もある。
【図面の簡単な説明】
第1図は、この発明の一実施例による電子楽器の構成を
示すブロック図、 第2図、第3図及び第4図は、メモリ18A、18B及び20の
変換特性をそれぞれ例示するグラフ、 第5図は、音源回路28の構成を示す回路図、 第6図は、音源TG1の構成を示す回路図、 第7図は、擦弦の非線形変化を例示するグラフ、 第8図は、非線形変換部NLの特性変更を例示するグラ
フ、 第9図及び第10図は、非線形変換部NLの入力例及び出力
例をそれぞれ示す波形図、 第11図は、非線形変換特性の一例を示すグラフ、 第12図は、帰還によるヒステリシス付与例を示すグラ
フ、 第13図は、メインルーチンを示すフローチャート、 第14図及び第15図は、それぞれキーオン及びキーオフの
サブルーチンを示すフローチャート、 第16図は、タイマ割込みルーチンを示すフローチャート
である。 10……バス、12……中央処理装置、14……プログラムメ
モリ、16……ワーキングメモリ、18……速度変換メモ
リ、20……筆圧−弓圧変換メモリ、22……座標・圧力検
出回路、24……押鍵検出回路、26……操作検出回路、28
……音源回路、32……タイマ回路、34……入力パネル、
34A……電子ペン、36……鍵盤、38……スイッチ群、40
……サウンドシステム、TG1〜TG4……音源、DM1〜DM4…
…キーコード−遅延量変換メモリ。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭52−117120(JP,A) 実開 昭60−191093(JP,U) 特公 昭48−42963(JP,B1) 特公 昭52−34971(JP,B1)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】面に当接して操作可能な操作子と、 この操作子が面に当接して操作されるのに伴って該操作
    子の操作位置又は操作距離を検出して該操作位置又は該
    操作距離を指示する検出情報を発生する検出手段と、 この検出手段からの検出情報を、該検出情報の指示する
    操作位置又は操作距離に対応する速度を表わす速度情報
    に変換する変換手段と、 発生すべき楽音の音高を指定する音高指定手段と、 この音高指定手段で指定された音高を有する楽音信号を
    発生する楽音発生手段と、 この楽音発生手段にて発生される楽音信号の発生態様を
    前記変換手段からの速度情報に応じて制御する制御手段
    と を備えた楽音制御装置。
  2. 【請求項2】前記検出手段は、前記操作位置又は前記操
    作距離の検出の際に前記操作子の操作圧力を検出して該
    操作圧力を表わす圧力情報を発生するものであり、前記
    制御手段は、前記変換手段からの速度情報と前記検出手
    段からの圧力情報とに応じて前記楽音信号の発生態様を
    制御するものである請求項1記載の楽音制御装置。
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